• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1323926
審判番号 不服2016-6548  
総通号数 207 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-03-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-05-02 
確定日 2017-01-12 
事件の表示 特願2014- 83587「電子機器」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 9月18日出願公開、特開2014-170564〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続きの経緯・本願発明
本願は、平成23年8月12日を出願日とする特願2011-177012号(以下、「原出願」という。)の一部を、平成26年4月15日に新たに特許出願したものであって、平成27年7月24日付けで拒絶理由が通知され、それに対して同年9月28日付けで手続補正がなされたが、平成28年2月4日付けで拒絶査定がなされ、それに対して同年5月2日に拒絶査定不服の審判請求がされたものである。
本願の請求項1?6に係る発明は、平成27年9月28日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1?6に記載された事項により特定されるものと認められるところ、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は以下のとおりである。
「【請求項1】
電子機器であって、
コンテンツに関連する表示物のデータを取得する取得部と、
タッチパネルを有するディスプレイに表示する画像を生成する表示制御部とを備え、
前記表示制御部は、
複数の表示物を並べて配置する表示処理部と、
タッチパネルにおける表示物に対するタップ操作を、表示物の選択指示として取得する受付部と、を有し、
前記受付部がタップ操作による第1表示物の選択指示を取得すると、前記表示処理部は、第1表示領域に、選択された第1表示物と、選択されていない第2表示物とを含む複数の表示物を並べて表示しつつ、第2表示領域に、選択された第1表示物に対応付けられているコンテンツのアイコン画像およびコンテンツ情報を並べた第1コンテンツリストを表示するものであって、前記表示処理部は、第1表示領域における所定領域に、選択された第1表示物を配置し、
前記受付部が、第1表示領域におけるタップ操作による第2表示物の選択指示を取得すると、前記表示処理部は、第1表示領域における所定領域に、選択された第2表示物を移動させるとともに、第2表示領域に、選択された第2表示物に対応付けられているコンテンツのアイコン画像およびコンテンツ情報を並べた第2コンテンツリストを表示する、
ことを特徴とする電子機器。」

第2 引用文献・引用発明
(1)原査定の拒絶の理由に引用された特開2003-330587号公報(以下、「引用文献」という。)には、図面とともに次の記載がある。
(ア)「【0004】
【発明が解決しようとする課題】近年のこの種の携帯情報端末は、選択すべき機能が増加しており、上位概念のアイコンを表示するメイン表示画面(上位層表示画面)に全てのアイコンを表示することが困難になっている。そこで、これら従来技術では、前記メイン表示画面から1つの上位アイコンを選択すると、この上位アイコンの下位概念である複数の下位アイコンを備えたサブ表示画面(下位階層表示画面)を表示して、これらの下位アイコンからさらに選択操作させる階層構造の表示画面を備えるのが一般的となっている。
【0005】しかし、これらの階層構造の表示画面では、表示画面が全て切り替わるために、上位アイコンに含まれる下位アイコンを知るためには選択してみないと分からなくなっている。このため、特定の下位アイコンを探すためには、下位表示画面から上位表示画面に戻って再度操作選択する操作が頻繁に行なわれている。
【0006】そこで、この発明が目的とするところは、上位階層と下位階層の操作キーを1つの表示画面に効率よく表示させることで、操作性と視認性を向上した携帯情報端末機及びその操作表示方法を提供することにある。」

(イ)「【0009】
【発明の実施の形態】以下、図1から図9を参照して、本発明に係る携帯情報端末の実施の形態を詳細に説明する。図1から図7が第1の実施の形態に係る携帯電話、図8が第2の実施の形態に係る携帯電話、図9が第3の実施の形態に係る携帯電話を示している。なお、この実施の形態の説明では、前記第1の実施の形態と同等な構造や部位などは同一の符号を持って示し、重複した説明を省略する。また、以下の説明では、携帯電話を実施の形態として説明するが、これに限定されるものではなく、他の電子機器に適用することもできる。」

(ウ)「【0030】図5において、この携帯電話100で使用するアイコンのテーブルは、上位階層となるアイコンAからHと、この上位階層のアイコンの下位階層となるアイコンが設定されて、前記メモリ117に格納されている。図5は、縦軸のカテゴリー欄50に上位階層であるアイコンA?Hの項目を示し、横軸の小項目欄51に下位階層のアイコンの項目を示している。上位階層のアイコンAからHには、Aにメールを、Bにメインを、Cにサービスを、Dに待受設定を、Eに通話設定を、Fにお役立ちを、Gにマイ手帳を、Hに電話帳をそれぞれ設定している。これら上位階層のアイコンは、それぞれ3個または4個の下位階層のアイコン(小項目)が設定されている。この図5においては、上位階層のアイコンA?Hに含まれる下位階層のアイコン(小項目)をA?Hに対して1?4の数字をつけて表示する。例えば、上位階層のアイコンAの下位階層のアイコンの機能である小項目A1はEメールを、小項目A2はメッセージを、小項目A3はチャットを表すとする。アイコンBは小項目B1?B4に分かれており、例えばB3はマイデータ設定を示す。アイコンCは小項目C1?C4に分かれており、例えばC4はアプリケーションを示す。アイコンDは小項目D1?D4に分かれており、例えばD4はセキュリティを示す。項目Eは小項目E1?E4に分かれており、例えばE4は留守電/転送を示す。アイコンFは小項目F1?F4に分かれており、例えばF4はガイド/特別を示す。アイコンGは小項目G1?G4に分かれており、例えばG4は電卓を示す。アイコンHは小項目H1?H4に分かれており、例えばH3は発信履歴を示す。」

(エ)「【0037】次に、図7を参照して、具体的な操作表示方法を説明する。ここで、この実施の形態では、前記ポインティング部112の操作信号を前記CPU121が受け付けて、これに基づいて、前記メモリ117から各種の画像データを呼び出して前記ディスプレイ部101に表示する。以後の説明では、使用者が操作する観点に立って説明する。
【0038】先ず、この携帯電話100では、図示しない電源スイッチをON操作することで図示しない待受画面を表示することができる。この状態から、前記ポインティング部112を操作することで図7の(a)図に示すメニュー画面となる表示画面10を表示させることができる。この表示画面10は、選択エリア2に何れかのアイコンが存在し、その下位階層のアイコンが下位階層表示エリア3に表示されている。例えば、この実施の形態では、初期設定としてアイコンAが選択エリア2に存在し、下位階層のアイコンA1からA4の中でA1が拡大表示(選択状態)の表示画面が設定されている。もちろん、これに限定されるものではなく、自由に初期設定を変更してもよいし、あるいは、前回使用した下位階層のアイコンを前記メモリ部117に記憶しておき、これを表示させるようにしてもよい。
【0039】さて、図7(a)の状態で、決定キー60を押下することで、下位階層のアイコンA1を実行することができる。このアイコンA1が目的のアイコンではない場合、(b)図のように前記カーソル移動キー62の下キー62bを押下すると、アイコンA2が拡大表示され(アイコンA1が元の状態に戻る)、アイコンA1からアイコンA2に選択が移動する。更に下キー62bを押下するとアイコンA3、A4へと選択を移動させることができる。前記したように上キー62aを押下すると、アイコンA1からアイコンA4へ選択を移動させることができる。
【0040】一方、前記回転操作部61の時計回りの操作またはカーソル移動キー62の右キー62dの操作で、(a)図の状態から、上位階層のアイコンAからHがそれぞれ時計回りに1個ずつ移動して、(c)図に示すように、アイコンBが選択エリア2に移動した状態にすることができる。この表示画面では、アイコンBが選択エリア2に存在するので、下位階層表示エリア3にアイコンBの下位階層のアイコンB1からB4が表示され、最上段のアイコンB1が拡大表示される。この状態で下位階層のアイコンを選択したければ(b)図の操作を行なえばよい。また、別の上位階層のアイコンを選択したければ、更に前記回転操作部61またはカーソル移動キー62を操作すればよい。なお、前記したように反時計回りの回転動作を行なうこともできる。
【0041】前記目的の下位階層のアイコンを選択したら、前記決定キー60を押下することで、この下位階層のアイコンに対応した機能画面を表示することができる。例えば、(d)図は(a)図の状態(アイコンA1の選択状態)で決定キー60が押下された状態を示している。この機能画面は、例えば、複数の選択内容がリスト形式で表示された画面を示している。
【0042】以上述べたように、この実施の形態に係る携帯電話100では、回転操作部61とカーソル移動キー62と決定キー60とを備えたポインティング部112の操作で、1つの表示画面10を切り替えることなく、表示画面10を効率的に活用して迅速かつ容易に、かつ人間の感覚に対応して検索を行うことができる。」

(オ)「【0047】次に、図9を参照して第3実施の形態に係る携帯電話100bを説明する。図9はメニューの選択動作を説明するためのトップメニューの移動とポインティングデバイスの操作の関係を示す図である。この実施の形態に係る携帯電話100bの表示画面10bは、表示画面の片側に縦長の軌道1の一部を表示し、他の片側に下位階層表示エリア3を備えたものである。この実施の形態では、軌道1の一部を表示画面上に表示し、軌道1の他の部分を仮想的に表して隠蔽しているので、表示画面の他の片側に形成される空白部を広く取れるので、この広い空白部を利用して広い下位階層表示エリア3を配置することができる。ここで、この実施の形態では、前記軌道の一部が隠蔽されるので上位階層のアイコンの全体像がつかみ難いので、上下方向の中央に配置される選択エリア2の上下位置に少なくとも前後のアイコンを表示するようにする。これにより、次に選択エリア2に移動するアイコンを把握することができる。他の操作は、図8と同様に付き、説明を省略する。
【0048】なお、前記で説明した実施の形態では、回転操作部61を備えたポインティング部112で説明したが、これに限定されるものではなく、2つのスクロールキーと決定キーを備えていればよい。」

上記記載によれば、第3実施の形態に係る携帯電話100bについて次のことがいえる。
a.【0037】の記載によれば、ポインティング部112の操作信号をCPU121が受け付けて、これに基づいて、メモリ117から各種の画像データを呼び出してディスプレイ部101に表示するものである。

b.【0038】の記載によれば、ポインティング部112を操作することで図9の(a)図に示すメニュー画面となる表示画面10bをディスプレイ部101に表示させることができ、【0047】の記載及び図9の(a)図によれば、軌道1上には、上位階層のアイコンAからHが配置され、表示画面10bは、表示画面の片側に縦長の軌道1の一部を表示し、他の片側に下位階層表示エリア3を備えたものであり、前記軌道の一部を表示は、上下方向の中央に配置される選択エリア2に何れかの上位階層のアイコンを表示し、その上下位置に少なくとも前後の上位階層のアイコンが表示されるものであって、一つの上位階層のアイコンを選択エリア2に移動した状態にすることができ、下位階層表示エリア3に選択エリア2に存在する上位階層のアイコンの複数の下位階層のアイコンが表示されるものである。

c.【0040】の記載及び図9の(a)図、(b)図によれば、ポインティング部112の回転操作部61の右回りの操作またはカーソル移動キー62の右キー62dの操作で、図9の(a)図の状態から、上位階層のアイコンAからHがそれぞれ右回りに1個ずつ移動して、図9の(b)図に示すように、アイコンBが選択エリア2に移動した状態にすることができ、この表示画面では、アイコンBが選択エリア2に存在するので、下位階層表示エリア3にアイコンBの下位階層のアイコンB-1からB-8が表示される。
上記a.?c.によれば、引用文献には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。
「ポインティング部112の操作信号をCPU121が受け付けて、これに基づいて、メモリ117から各種の画像データを呼び出してディスプレイ部101に表示するものであり、
ポインティング部112を操作することで、ディスプレイ部101にメニュー画面となる表示画面10bを表示させることができ、
表示画面10bは、表示画面の片側に縦長の軌道1の一部を表示し、他の片側に下位階層表示エリア3を備えたものであり、
前記軌道1上には、上位階層のアイコンAからHが配置されており、前記軌道の一部の表示は、上下方向の中央に配置される選択エリア2に何れかの上位階層のアイコンを表示し、その上下位置に少なくともその前後の上位階層のアイコンが表示されるものであって、一つの上位階層のアイコンを選択エリア2に移動した状態にすることができ、下位階層表示エリア3に選択エリア2に存在する上位階層のアイコンの複数の下位階層のアイコンが表示されるものであり、
選択エリア2に上位階層のアイコンAを表示し、下位階層表示エリア3にアイコンAの下位階層のアイコンA-1からA-8が表示された状態で、ポインティング部112の回転操作部61の操作で、上位階層のアイコンAからHがそれぞれ右回りに1個ずつ移動して、アイコンBが選択エリア2に移動した状態にすることができ、この表示画面では、アイコンBが選択エリア2に存在するので、下位階層表示エリア3にアイコンBの下位階層のアイコンB-1からB-8が表示される、
携帯電話100b。」

(2)原査定において、原出願の出願日前の周知技術を示す文献として引用された特開2009-303143号公報(以下、「周知文献」という。)には、図面とともに次の記載がある。
「【0072】
図3において、下側LCD12には5つのアイコンI(アイコンI9、I10、I11、I12、I13)、吹き出しB、スライドバーSB、およびカーソルCが表示されている。これらの画像は、予め登録されたファイルやプログラムをアイコンIで一覧表示し、タッチパネル13へのタッチ操作等によってアイコンIに関連するファイルやプログラムを起動するアプリケーションソフト(ランチャー)を、CPU31が実行することによって表示されている。
【0073】
アイコンIは、それぞれ予め登録されたファイルやプログラム(典型的には、CPU31によって実行可能なコンピュータプログラム)に関連付けられた画像である。ユーザはアイコンIを利用して所望のプログラムを起動させることができる。ここで、本実施形態では全部で24個のアイコンI(アイコンI1?I24)が図4に示すように順序づけられており、この順序にしたがって、それらの24個のアイコンIのうちの数個が画面の所定領域Ai(以下、アイコン列表示領域Aiと称す)に表示される。図3においては、破線で囲った領域を、アイコン列表示領域Aiとしている。ユーザは、アイコン列表示領域Aiに表示されているアイコン列から所望のプログラムに対応するアイコンIを選択することによって、当該所望のプログラムをCPU31に実行させることができる。また、ユーザは、アイコン列表示領域Aiに表示されているアイコン列をスクロールさせることによって、任意のアイコンを下側LCD12に表示させて選択することができる。
【0074】
吹き出しBは、アイコン列表示領域Aiの中央に表示されているアイコン(図3の例ではアイコンI11)に関する説明文(そのアイコンI11に対応するプログラム名やプログラムの説明等)を、ユーザに提供するための画像である。
・・・中略・・・
【0076】
そして、ユーザがアイコン列表示領域Aiの中央のアイコンI11をタッチペン27でタップ操作すると、タップ操作されたアイコンI11に関連付けられたプログラムが実行される。また、図3の状態において、ユーザがアイコン列表示領域Aiの中央のアイコンI11以外のアイコンI(アイコンI9、I10、I12、I13)をタッチペン27でタップ操作すると、タップ操作されたアイコンIがアイコン列表示領域Aiの中央に向かって移動するようにアイコン列がスクロールする。
【0077】
なお、上述したようなアイコン操作方法は、ハードウェアスイッチ(操作ボタン14)を代用して行うこともできる。例えば、図3の状態でユーザが操作ボタン14Dを押下すると、アイコン列表示領域Aiの中央のアイコンI11に関連するプログラムが起動される。また、ユーザが右ボタン(すなわち方向入力ボタン14Aの右部分)を押下すると、アイコン列がアイコンIの1個分だけ画面の右方向にスクロールする。また、ユーザが左ボタン(すなわち方向入力ボタン14Aの左部分)を押下すると、アイコン列がアイコンIの1個分だけ画面の左方向にスクロールする。」

上記記載によれば、「タッチパネルにおけるタップ操作を、アイコンの選択指示として取得し、アイコン列表示領域の中央のアイコン以外のアイコンをタップ操作すると、タップ操作されたアイコンがアイコン列表示領域の中央に向かって移動するようにアイコン列をスクロールすること」(以下、「周知技術」という。)は、原出願の出願日前に周知技術である。

第3 対比
本願発明と引用発明とを対比する。
・引用発明の「ディスプレイ部101」は、本願発明の「タッチパネルを有するディスプレイ」と、「ディスプレイ」である点では共通する。
そして、引用発明の「携帯電話100b」は、「ポインティング部112の操作信号をCPU121が受け付けて、これに基づいて、メモリ117から各種の画像データを呼び出してディスプレイ部101に表示する」から、本願発明の「コンテンツに関連する表示物のデータを取得する取得部と、タッチパネルを有するディスプレイに表示する画像を生成する表示制御部とを備え」る「電子機器」と、「表示物のデータを取得する取得部と、ディスプレイに表示する画像を生成する表示制御部とを備え」る「電子機器」である点では共通する。
・引用発明の「上位階層のアイコン」は、本願発明の「複数の表示物」に相当し、引用発明の「上位階層のアイコン」を表示する制御を司る部分は、本願発明の「複数の表示物を並べて配置する表示処理部」に相当する。
・引用発明の「選択エリア2」に表示する「上位階層のアイコン」は、本願発明の「選択された第1表示物」に相当し、引用発明の「選択エリア」の上下位置に表示される「その前後の上位階層のアイコン」は、本願発明の「選択されていない第2の表示物」に相当し、引用発明の「表示画面10b」の「軌道の一部を表示」している部分は、本願発明の「第1表示領域」に相当する。
・引用発明の「下位階層表示エリア3」は、本願発明の「第2表示領域」に相当し、「選択エリア2に存在する上位階層のアイコンの複数の下位階層のアイコン」は、本願発明の「選択された第1表示物に対応付けられているコンテンツのアイコン画像」と、「選択された第1表示物に対応付けられているアイコン画像」である点では共通する。
・引用発明は「ポインティング部112の回転操作部61の操作で、上位階層のアイコンAからHがそれぞれ右回りに1個ずつ移動して、アイコンBが選択エリア2に移動した状態にする」ことができ、当該操作によるアイコンBの選択エリアへの移動をアイコンBの選択指示として取得していることは明らかであり、引用発明の「当該操作によるアイコンBの選択エリアへの移動をアイコンBの選択指示として取得」する部分は、本願発明の「タッチパネルにおける表示物に対するタップ操作を、表示物の選択指示として取得する受付部」と、「表示物に対する操作を、表示物の選択指示として取得する受付部」である点では共通する。
・引用発明の「一つの上位階層のアイコンを選択エリア2に移動した状態にすることができ、下位階層表示エリア3に選択エリア2に存在する上位階層のアイコンの複数の下位階層のアイコンが表示」される制御を司る部分は、本願発明の「受付部がタップ操作による第1表示物の選択指示を取得すると、」「第1表示領域に、選択された第1表示物と、選択されていない第2表示物とを含む複数の表示物を並べて表示しつつ、第2表示領域に、選択された第1表示物に対応付けられているコンテンツのアイコン画像およびコンテンツ情報を並べた第1コンテンツリストを表示する」表示処理部と、「受付部が操作による第1表示物の選択指示を取得すると、」「第1表示領域に、選択された第1表示物と、選択されていない第2表示物とを含む複数の表示物を並べて表示しつつ、第2表示領域に、選択された第1表示物に対応付けられているアイコン画像を並べた第1リストを表示する」表示処理部である点では共通している。
・引用発明の「選択エリア2に上位階層のアイコンAを表示し、下位階層表示エリア3にアイコンAの下位階層のアイコンA-1からA-8が表示された状態で、ポインティング部112の回転操作部61の右回りの操作で、上位階層のアイコンAからHがそれぞれ右回りに1個ずつ移動して、アイコンBが選択エリア2に移動した状態にすることができ、この表示画面では、アイコンBが選択エリア2に存在するので、下位階層表示エリア3にアイコンBの下位階層のアイコンB-1からB-8が表示される」制御を司る部分は、本願発明の「第1表示領域における所定領域に、選択された第1表示物を配置し、前記受付部が、第1表示領域におけるタップ操作による第2表示物の選択指示を取得すると、」「第1表示領域における所定領域に、選択された第2表示物を移動させるとともに、第2表示領域に、選択された第2表示物に対応付けられているコンテンツのアイコン画像およびコンテンツ情報を並べた第2コンテンツリストを表示する」表示処理部と、「第1表示領域における所定領域に、選択された第1表示物を配置し、受付部が、第1表示領域における操作による第2表示物の選択指示を取得すると、第1表示領域における所定領域に、選択された第2表示物を移動させるとともに、第2表示領域に、選択された第2表示物に対応付けられているアイコン画像を並べた第2リストを表示する」表示処理部である点では共通している。

したがって、両者は、以下の点で一致し、また、相違する。
<一致点>
「電子機器であって、
表示物のデータを取得する取得部と、
ディスプレイに表示する画像を生成する表示制御部とを備え、
前記表示制御部は、
複数の表示物を並べて配置する表示処理部と、
表示物に対する操作を、表示物の選択指示として取得する受付部とを、有し、
前記受付部が操作による第1表示物の選択指示を取得すると、前記表示処理部は、第1表示領域に、選択された第1表示物と、選択されていない第2表示物とを含む複数の表示物を並べて表示しつつ、第2表示領域に、選択された第1表示物に対応付けられているアイコン画像を並べた第1リストを表示するものであって、前記表示処理部は、第1表示領域における所定領域に、選択された第1表示物を配置し、
前記受付部が、第1表示領域における操作による第2表示物の選択指示を取得すると、前記表示処理部は、第1表示領域における所定領域に、選択された第2表示物を移動させるとともに、第2表示領域に、選択された第2表示物に対応付けられているアイコン画像を並べた第2リストを表示する、
ことを特徴とする電子機器。」

<相違点1>
本願発明は、取得部が、「コンテンツに関連する表示物のデータ」を取得しており、第1リストが、「選択された第1表示物に対応付けられているコンテンツのアイコン画像およびコンテンツ情報を並べた第1コンテンツリスト」であり、第2リストが「選択された第2表示物に対応付けられているコンテンツのアイコン画像およびコンテンツ情報を並べた第2コンテンツリスト」であるのに対して、引用発明は、取得部は、アイコン等の各種の画像データを取得しているものの、「コンテンツに関連する」画像データと特定されておらず、第1リスト及び第2リストが選択された表示物に対応付けられているアイコン画像を並べたものではあるが、「コンテンツのアイコン画像およびコンテンツ情報を並べたコンテンツリスト」とされていない点。

<相違点2>
本願発明では、「ディスプレイ」が「タッチパネルを有するディスプレイ」であり、「受付部」が、「表示物の選択指示」、「第1表示物の選択指示」、「第2表示物の選択指示」として取得する「操作」が、「タッチパネルにおける表示物に対するタップ操作」であるのに対して、引用発明では、「ディスプレイ」が「タッチパネル」を有しておらず、「受付部」が、「表示物の選択指示」、「第1表示物の選択指示」、「第2表示物の選択指示」として取得する「操作」が、「ポインティング部112の回転操作部61」による「上位階層のアイコン」の「選択エリア2」への移動操作である点。

第4 当審の判断
・相違点1について
引用文献1の摘記事項(ウ)(【0030】)に「上位階層のアイコンAの下位階層のアイコンの機能である小項目A1はEメールを、小項目A2はメッセージを、小項目A3はチャットを表すとする。アイコンBは小項目B1?B4に分かれており、例えばB3はマイデータ設定を示す。アイコンCは小項目C1?C4に分かれており、例えばC4はアプリケーションを示す。」と記載、すなわち、上位階層及び下位階層のアイコンのデータがコンテンツに関連するものを含むことが記載されている。
したがって、引用発明において、取得部が、「コンテンツに関連する表示物のデータ」を取得しており、表示する第1リストが、「選択された第1表示物に対応付けられているコンテンツのアイコン画像およびコンテンツ情報を並べた第1コンテンツリスト」であり、表示する第2リストが「選択された第2表示物に対応付けられているコンテンツのアイコン画像およびコンテンツ情報を並べた第2コンテンツリスト」であるようにすることは、当業者が容易になし得ることである。

・相違点2について
上記周知文献の【0077】に「なお、上述したようなアイコン操作方法は、ハードウェアスイッチ(操作ボタン14)を代用して行うこともできる。」と記載されているように、上記周知技術のアイコン操作方法は、タッチパネルにおけるタップ操作で行うこともできるし、ハードウェアスイッチを用いて行うこともできるものであるから、引用発明において、タッチパネルを有するディスプレイを用いた上記周知技術を採用することは当業者が容易に想到し得ることである。
したがって、引用発明において、上記周知技術を採用して、「ディスプレイ」を「タッチパネルを有するディスプレイ」とし、「表示物の選択指示」、「第1表示物の選択指示」、「第2表示物の選択指示」として「受付部」が取得する「操作」を、「タッチパネルにおける表示物に対するタップ操作」とすることは、当業者が容易になし得ることである。

本願発明によってもたらされる効果は、引用発明及び周知技術から、当業者が容易に想到し得た構成のものが奏するであろうと当業者が予想できる範囲内のものであり、本願発明の進歩性を肯定する根拠となり得るものではない。

したがって、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

第5 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、その余の請求項について論及するまでもなく、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2016-11-09 
結審通知日 2016-11-15 
審決日 2016-11-29 
出願番号 特願2014-83587(P2014-83587)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 池田 聡史  
特許庁審判長 高瀬 勤
特許庁審判官 和田 志郎
土谷 慎吾
発明の名称 電子機器  
代理人 三木 友由  
代理人 青木 武司  
代理人 森下 賢樹  
代理人 村田 雄祐  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ