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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H05K
審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 取り消して特許、登録 H05K
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 H05K
管理番号 1323976
審判番号 不服2016-935  
総通号数 207 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-03-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-01-21 
確定日 2017-02-07 
事件の表示 特願2011-248718「電子部品の接合条件決定方法」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 5月30日出願公開、特開2013-105886、請求項の数(6)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成23年11月14日の出願であって、平成27年8月21日付けで拒絶理由が通知され、同年10月13日付けで手続補正がされ、同年10月26日(発送日:同年11月4日)に拒絶査定(以下、「原査定」という。)がされ、これに対し、平成28年1月21日に拒絶査定不服審判が請求され、その審判の請求と同時に手続補正がされ、その後、当審において同年7月27日付けで拒絶理由(以下、「当審拒絶理由1」という。)が通知され、同年9月12日付けて手続補正がされ、同年10月20日付けで拒絶理由(以下、「当審拒絶理由2」という。)が通知され、同年12月5日付けで手続補正がされたものである。

第2 本願発明
本願の請求項1ないし6に係る発明は、平成28年12月5日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1ないし6に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、本願の請求項1及び請求項6に係る発明(以下、「本願発明1」及び「本願発明2」という。)は、次のとおりである。
「【請求項1】
導電性粒子として使用される、固相線温度及び粒径が異なる複数の金属粒子を含有する異方性導電フィルムを介在させて、第1の電子部品と第2の電子部品とを加熱圧着し、加熱圧着後の前記異方性導電フィルム中の、光学顕微鏡により得られる画像における前記固相線温度及び粒径が異なる複数の金属粒子の面積値を算出することによって、加熱圧着時の、少なくとも到達温度を含む接合条件を決定する電子部品の接合条件決定方法。

【請求項6】
第1の電子部品の端子と第2の電子部品の端子との間に異方性導電フィルムを介在させて、前記第1の電子部品と前記第2の電子部品とを接続する接続構造体の製造方法において、
導電性粒子として使用される、固相線温度及び粒径が異なる複数の金属粒子を含有する前記異方性導電フィルムを介在させて、第1の電子部品と第2の電子部品とを加熱圧着し、加熱圧着後の前記異方性導電フィルム中の、光学顕微鏡により得られる画像における前記固相線温度及び粒径が異なる複数の金属粒子の面積値を算出することによって、加熱圧着時の、少なくとも到達温度を含む接合条件を決定し、
前記接合条件に基づいて、前記異方性導電フィルムを介在させた前記第1の電子部品と前記第2の電子部品とを、相対的に固相線温度が低い金属粒子を溶融させ、他の金属粒子を溶融させない状態の加熱温度で加熱押圧する接続構造体の製造方法。」

第3 原査定の理由について
1 原査定の理由の概要
平成27年10月13日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1ないし9に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

刊行物1:特開平5-226020号公報
刊行物2:特開2002-368410号公報

(1)請求項1、7ないし9に対して
刊行物1には、平均粒径が3μmのNi粒子と、平均粒径が2μmのポリプロピレン粉末を配合した異方導電接着フィルムを作成し、回路電極を有するガラス基板とTABとの間に挿入することによる熱圧着による接続作業の後で、ポリプロピレン粉末の形状を観察することで接続時の異方導電接着フィルムの温度を確認すること(【0007】)が記載されている。
刊行物1に記載された発明におけるNi粒子とポリプロピレン粉末とからなる構成は、固相線温度及び粒径が異なる粒子であって、その溶融状態を観察することで加熱圧着時の接合条件を決定するものである点で、請求項1、8及び9における複数の金属粒子と同等の機能を有し、固相線温度が異なる粒子であって、その溶融状態を観察することで加熱圧着時の接合条件を決定するものである点で、請求項7における複数の金属粒子と同等の機能を有する。そのため、これらの請求項に係る発明は複数の金属粒子すなわち接着フィルムに含まれる複数の粒子の両方が金属からなるのに対して、刊行物1に記載された発明では2種の粒子のうち一方がポリプロピレンすなわち樹脂である点で相違するほかは、両者の間に格段の差異を有さない。
一方、刊行物2には、融点の異なる複数の半田粉を含み、どの半田粉が溶融しているかを調べることで温度範囲を認識することができる半田温度調査物(【0005】、【0006】)であって、融点ごとに異なる大きさとすることで目視により温度状態を知ることができるようにしたもの(【0007】、【0008】)で、樹脂で被覆したもの(【0011】、【0012】)が記載されている。
刊行物1に記載された発明におけるポリプロピレン粉末を、刊行物2に記載されているように同様の作用を有する1又は複数種の半田粉に置き換えることに、格段の困難を要するものではないし、顕著な作用効果を奏するものでもない。

(2)請求項2に対して
刊行物2における融点ごとに異なる大きさとすることで目視により温度状態を知ることができるようにしたことが、請求項2における金属粒子の粒径を観察することによって到達温度を決定することに相当する。このことを、刊行物1における加熱圧着時の接合条件を決定するために用いることで、請求項2に規定された事項は導かれるものである。

(3)請求項3に対して
粒径と固相線温度との関係は、当業者が適宜設定しうる事項にすぎない。固相線温度が高い粒子ほど粒径を小さくすることにより、他の関係(たとえば刊行物2の【0030】に記載のように融点が高くなるほど粒径を大きくする)と比較して進歩性を肯定するに足る顕著な作用効果を奏するものとは認められない。

(4)請求項4に対して
刊行物2の【0029】には、融点を183℃、217℃、221℃、227℃、232℃の半田粉から適宜選択することが記載されている。これらの半田粉の融点の差は少なくとも1℃以上あるので、請求項4における固相線温度の差を1℃以上とすることは刊行物2に記載されているものである。

(5)請求項5に対して
刊行物2の記載からみて、目視によりどの融点の半田であるか知ることができれば足るものと認められる。粒径の差の最小値を規定することで、規定外のものと比較して、進歩性を肯定するに足る顕著な作用効果を奏するものとは認められない。

(6)請求項6に対して
刊行物2に記載された発明における融点の異なる複数の半田粉を用いることが、請求項6における金属粒子が半田粒子であることに相当する。

2 原査定の理由の判断
(1)刊行物
ア 刊行物1
原査定の拒絶理由に引用され、本願の出願前に頒布された刊行物1の段落【0001】ないし【0008】には、本願発明1及び本願発明2の記載ぶりに則って整理すると、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。

[引用発明]
「融点が異なる複数の樹脂の粒子を含有する異方導電性接着フィルムを介在させて、ITOガラス基板とTABとを熱圧着し、熱圧着後の前記異方導電性接着フィルム中の、前記融点が異なる複数の樹脂の粒子を拡大鏡により目視により観察することによって、接続時の前記異方導電性接着フィルムの温度を把握する、接続時の温度判定方法。」

イ 刊行物2
原査定の拒絶理由に引用され、本願の出願前に頒布された刊行物2の段落【0005】ないし【0008】には、【図1】とともに、次の事項が記載されている。
(ア)「【0005】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、半田温度調査物であって、融点の異なる複数種の半田粉を含むことを特徴としている。
【0006】このような構成の請求項1記載の発明では、それぞれの種類の半田粉の融点が異なるため、所定の温度で溶融する半田粉と、この温度で溶融しない半田粉とが存在する場合に、温度が両方の半田粉の融点の間の領域にあることが判る。また、全ての種類の半田粉が溶融していない場合は、温度が全ての半田粉の融点より低い状態にあることが判る。さらに、全ての半田粉が溶融している場合は、全ての半田粉の融点より温度が高いことが判る。このため、請求項1記載の発明では、熱電対などの温度測定手段を用いることなく、この半田温度調査物が配置された各所の温度範囲を認識することが可能となる。
【0007】また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の半田温度調査物であって、前記複数種の半田粉は、それぞれ異なる大きさに設定されていることを特徴とする。
【0008】したがって、請求項2記載の発明では、半田粉の大きさが種類毎に大きさが異なるため、溶融していない状態の半田粉を特定することが可能である。このため、目視により、温度状態を知ることが可能となる。」

ウ 前置報告書で新たに引用された刊行物
前置報告書に引用され、本願の出願前に頒布された刊行物である登録実用新案第3007613号公報(以下、「刊行物3」という。)には、【図2】、【図5】及び【図6】とともに、次の事項が記載されている。

(ア)「【0006】
本考案はまず、その端子接続部を整列方向に向かって互いに異なる観察領域の大きさで透視もしくは立体観察する、異なる倍率を持つ複数の受像手段と、受像した映像から少なくとも接続部の輪郭または外形を認識することで接続状況の良否を判断する処理手段とを有したものであって、このほかの手段を含むのは構わないものである。
【0007】
また本考案は、その端子接続部を整列方向に向かって走査する倍率の小さい受像手段と、端子接続部を整列方向に向かって走査する倍率の大きい受像手段と、倍率の小さい受像手段の映像から少なくとも接着剤の圧接幅を測定し、その結果を元に倍率の大きい受像手段の映像から導電粒子の接合面積に相当する量を演算する処理手段とを少なくとも有し、あるいは、透明な基板側から端子接続部に照明を与える照明手段と、照明された端子接続部を整列方向に向かって走査する倍率の小さい受像手段と、端子接続部を整列方向に向かって走査する倍率の大きい受像手段と、倍率の小さい受像手段の映像から少なくとも端子電極と端子部と接着剤の圧接幅を認識し、一方倍率の大きい受像手段の映像から導電粒子の数または面積などを認識することで、接合の良否判定を演算する処理手段とを有したものである。」

(イ)「【0014】
3は、表示器1の基板11と駆動基板2の間に挟まれた異方性導電接着剤で、導電粒子31が混入された接着剤32からなり、例えばエポキシ樹脂SEBS樹脂混合物のような半熱硬化性樹脂、もしくはポリエステル系、ポリアミド・エポキシ系の樹脂が利用でき、また導電粒子31としては、直径が2?10μmの、表面を金属鍍金されたポリスチレン、ABS等の導電性樹脂ビーズのもの、もしくは、半田、スズ、金、クロムなどの金属粒子を単独もしくは混合して用いることができる。これらの導電粒子31は接着剤32にできるだけ均一に分散されていることが望ましい。そしてこの基板11、24を加圧することにより、端子部12、22との間に位置する導電性接着剤3の中の導電粒子31が、その粒子形状が使用前の粒子外形よりも大きい形をなす様につぶされて接続を行っている。」

(ウ)「【0025】
さらに、粒子形状は、加圧が少ないと点接触となり、加圧が多すぎると導電粒子が粉砕される。従って導電粒子31の粒子形状が使用前の粒子外形よりも大きい形をなすように、一部亀裂が入ることにより外周が一回り大きくなり、いわゆる蓮の葉状の投影面形状が得られるようにして接続を行うのが最も好ましい。そこで、表示器の端子電極と駆動素子の端子部との間に位置し粒子外形が使用前の粒子外形よりも大きい導電粒子を所定の数または面積に対して複数含んでいか否かを基にして接続の良否判定の基準とすると、概括的ではあるがそれ程の判断誤りもなく、検査判定の速度が高くなって好ましい。」

(2)本願発明1について
ア 対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、引用発明の「融点」は、本願発明1の「固相線温度」に相当し、以下同様に、「異方導電性接着フィルム」は「異方性導電フィルム」に、「ITOガラス基板」は「第1の電子部品」に、「TAB」は「第2の電子部品」に、「熱圧着」は「加熱圧着」に、「接続時の前記異方導電性接着フィルムの温度」は「到達温度」に、「接続時の前記異方導電性接着フィルムの温度を把握する、接続時の温度判定方法」は「加熱圧着時の、少なくとも到達温度を含む接合条件を決定する電子部品の接合条件決定方法」に、それぞれ相当する。
また、引用発明の「樹脂の粒子」と、本願発明1の「導電性粒子」及び「金属粒子」とは、「粒子」という限りにおいて共通する。

したがって、本願発明1と引用発明とは、次の一致点及び相違点を有する。

[一致点]
「固相線温度が異なる複数の粒子を含有する異方性導電フィルムを介在させて、第1の電子部品と第2の電子部品とを加熱圧着し、加熱圧着後の前記異方性導電フィルム中の、前記固相線温度が異なる複数の粒子によって、加熱圧着時の、少なくとも到達温度を含む接合条件を決定する電子部品の接合条件決定方法。」

[相違点]
本願発明1は、「導電性粒子として使用される、固相線温度及び粒径が異なる複数の金属粒子」を含有する加熱圧着後の異方性導電フィルム中の、「光学顕微鏡により得られる画像における前記固相線温度及び粒径が異なる複数の金属粒子の面積値を算出する」ことによって接合条件を決定するのに対し、引用発明は、融点が異なる複数の樹脂の粒子を含有する熱圧着後の異方導電性接着フィルム中の、複数の樹脂の粒子を拡大鏡により目視により観察する点。

イ 判断
上記相違点について検討する。
刊行物2には、融点及び大きさが異なる複数種の半田粉を用いて、目視により温度状態を知ることが可能となることが記載されている。
また、刊行物3には、受像手段の映像から異方性導電接着剤3の中の導電粒子31の面積を認識することで、接合の良否判定を演算することが記載されている。
しかしながら、刊行物2及び3には、上記相違点に係る本願発明1の、加熱圧着後の「複数の金属粒子の面積値」を算出することが記載も示唆もされていない。
そして、本願発明1の、加熱圧着後の「複数の金属粒子の面積値」を算出することは、「溶融した金属粒子3と溶融していない金属粒子3とを特定し、加熱圧着時の到達温度を決定することができる。」(本願明細書の段落【0049】)との効果を奏するものである。
そうであれば、上記相違点に係る本願発明1の構成は、当業者が引用発明、刊行物2に記載された事項及び刊行物3に記載された事項から容易に想到したとはいえない。

ウ 小括
したがって、本願発明1は、当業者が引用発明、刊行物2に記載された事項及び刊行物3に記載された事項に基いて容易に発明をすることができたとはいえない。

(3)本願発明2について
本願発明2は、「導電性粒子として使用される、固相線温度及び粒径が異なる複数の金属粒子」を含有する加熱圧着後の異方性導電フィルム中の、「光学顕微鏡により得られる画像における前記固相線温度及び粒径が異なる複数の金属粒子の面積値を算出する」ことによって接合条件を決定するとの発明特定事項を有するものである。
そうすると、本願発明2は、前記(2)イと同様の理由により、当業者が刊行物1に記載された発明、刊行物2に記載された事項及び刊行物3に記載された事項に基いて容易に発明をすることができたとはいえない。

(4)請求項2ないし5に係る発明について
請求項2ないし5に係る発明は、本願発明1をさらに限定したものであるので、本願発明1と同様に、当業者が引用発明、刊行物2に記載された事項及び刊行物3に記載された事項に基いて容易に発明をすることができたとはいえない。

(5)まとめ
よって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することができたとはいえない。

第4 当審拒絶理由について
1 当審拒絶理由1の概要
(1)この出願は、発明の詳細な説明の記載について下記の点で、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。

請求項1、7、8及び9には、「面積値を算出すること」が特定されている。
しかしながら、明細書の発明の詳細な説明には、段落【0046】に「画像処理によって金属粒子3の面積値を算出することにより、」との記載はあるものの、面積値をどのように算出するか、あるいはその定義について、具体的な記載はない。

(2)この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

ア 請求項1、7、8及び9に記載された、「面積値」とは何か、明細書や図面の記載を参酌しても、不明である。
したがって、請求項1ないし9に係る発明は明確でない。

イ 請求項2に記載された「前記金属粒子の溶融状態として、前記加熱圧着後の前記異方性導電フィルム中の金属粒子の粒径を観察すること」との事項は、請求項1に記載された「面積値を算出する」との事項と整合しない。 そして、請求項3ないし6は、請求項2を直接又は間接的に引用している。したがって、請求項2ないし6に係る発明は明確でない。

ウ 請求項7の、「粒径」が特定されていない条件での「面積値の算出」が、どのように「接合条件を決定」する際に反映されるか、不明である。
したがって、請求項7に係る発明は明確でない。

エ 請求項8は、「異方性導電フィルム」という物の発明であるが、「当該異方性導電フィルムを介在させて、第1の電子部品と第2の電子部品とを加熱圧着し、加熱圧着後の当該異方性導電フィルム中の金属粒子の面積値を算出することによって、加熱圧着時の接合条件を決定する」との記載は、製造に関して経時的な要素の記載がある場合及び製造に関して技術的な特徴や条件が付された記載がある場合に該当するため、当該請求項にはその物の製造方法が記載されているといえる。
したがって、請求項8に係る発明は明確でない。

2 当審拒絶理由2の概要
この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。

(1)発明の詳細な説明には、「観察工程S3において、加熱圧着した部位を剥がし、加熱圧着後の接着フィルム1中の金属粒子3の溶融状態を観察することによって、溶融しなかった金属粒子3と溶融した金属粒子3とを確認する。」(段落【0037】)との記載、「例えば、光学顕微鏡を用いて金属粒子3の粒径を観察する際に、画像処理によって金属粒子3の面積値を算出することにより、溶融した金属粒子3と溶融していない金属粒子3とを特定し、加熱圧着時の到達温度を決定するようにしてもよい。」(段落【0046】)との記載、「表1に示すように、固相線温度以下で加熱圧着した場合の面積置の平均(630.4393μm^(2))と、固相線温度以上で加熱圧着した場合の面積置の平均(1143.96μm^(2))とでは、約2倍の差があることが分かる。そのため、画像処理によって加熱圧着後の金属粒子3の面積値を算出することにより、溶融した金属粒子3と溶融していない金属粒子3とを特定し、加熱圧着時の到達温度を決定することができる。」(段落【0049】)との記載、「また、上述した説明では、固相線温度及び粒径が異なる複数の金属粒子3を含有する接着フィルム1を用いるものとしたが、(省略)」(段落【0050】との記載がある。
これらの記載から、発明の詳細な説明に記載した発明において、面積値を算出される対象は、「固相線温度及び粒径が異なる複数の金属粒子」であるといえる。
しかしながら、請求項1及び6に係る発明において、面積値を算出される対象は「前記金属粒子」と記載されており、単数の金属粒子の面積値を算出する発明が含まれる。
そうであれば、請求項1及び請求項6に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものでない。

(2)発明の詳細な説明には、「例えば、光学顕微鏡を用いて金属粒子3の粒径を観察する際に、画像処理によって金属粒子3の面積値を算出することにより、溶融した金属粒子3と溶融していない金属粒子3とを特定し、加熱圧着時の到達温度を決定するようにしてもよい。」(段落【0046】)との記載、「【0049】表1に示すように、固相線温度以下で加熱圧着した場合の面積置の平均(630.4393μm^(2))と、固相線温度以上で加熱圧着した場合の面積置の平均(1143.96μm^(2))とでは、約2倍の差があることが分かる。そのため、画像処理によって加熱圧着後の金属粒子3の面積値を算出することにより、溶融した金属粒子3と溶融していない金属粒子3とを特定し、加熱圧着時の到達温度を決定することができる。」(段落【0049】)との記載、「これにより、溶融した金属粒子と溶融していない金属粒子とを特定することができので、加熱圧着時の到達温度を正確に決定することができる。」(段落【0050】)との記載がある。
これらの記載から、発明の詳細な説明に記載した発明において、加熱圧着時の条件として、少なくとも「到達温度」が決定されるといえる。
しかしながら、請求項1及び請求項6に係る発明において、加熱圧着時の条件として決定される対象は「接合条件」とだけ記載されているから、加熱圧着時の条件として「到達温度」が決定されない発明が含まれる。
そうであれば、請求項1及び請求項6に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものでない。

3 当審拒絶理由1の判断
(1)平成28年9月12日付け手続補正により、補正前の請求項1,9の「金属粒子の面積値を算出」との記載は、補正後の請求項1,6の「光学顕微鏡により得られる画像における金属粒子の面積値を算出」との記載に補正された。
(2)同補正により、補正前の請求項1,9の「面積値」は、補正後の請求項1,6の「光学顕微鏡により得られる画像」の「面積値」であることが明確になり、また、請求項2、7及び8は削除された。
よって、当審拒絶理由1は解消した。

4 当審拒絶理由2の判断
(1) 平成28年12月5日付け手続補正により、補正前の請求項1及び請求項6の「前記金属粒子の面積値を算出することによって、」との記載は、補正後の請求項1及び請求項6の「前記固相線温度及び粒径が異なる複数の金属粒子の面積値を算出することによって、」との記載に補正された。
(2)同手続補正により、補正前の請求項1及び請求項6の「加熱圧着時の接合条件を決定」との記載は、補正後の請求項1及び請求項6の「加熱圧着時の、少なくとも到達温度を含む接合条件を決定」との記載に補正された。
よって、当審拒絶理由2は解消した。

第5 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2017-01-25 
出願番号 特願2011-248718(P2011-248718)
審決分類 P 1 8・ 537- WY (H05K)
P 1 8・ 536- WY (H05K)
P 1 8・ 121- WY (H05K)
最終処分 成立  
前審関与審査官 井出 和水  
特許庁審判長 冨岡 和人
特許庁審判官 内田 博之
中川 隆司
発明の名称 電子部品の接合条件決定方法  
代理人 小池 晃  
代理人 伊賀 誠司  
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