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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04B
審判 査定不服 特174条1項 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04B
管理番号 1324142
審判番号 不服2015-22436  
総通号数 207 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-03-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-12-03 
確定日 2017-01-20 
事件の表示 特願2012-200946「デジタル通信方式及び無線機」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 3月13日出願公開、特開2014- 45469〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成24年8月27日の出願であって、同年12月11日、平成25年8月21日、同年9月30日、同年11月21日、及び平成26年10月7日に手続補正がなされ、平成27年6月30日付けで拒絶理由が通知され、同年8月3日に意見書が提出されるとともに手続補正がなされ、同年10月26日付けで拒絶査定がなされ、これに対して平成27年12月3日に拒絶査定に対する審判が請求されるとともに手続補正がなされ、平成28年7月29日付けで当審から拒絶理由が通知され、これに対して同年8月25日に意見書が提出されるとともに手続補正がなされたものである。


第2 当審拒絶理由
当審において、平成28年7月29日付けで通知した拒絶理由の概要は以下のとおりである。
「1)本件出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第1号及び第2号に規定する要件を満たしていない。



(第6項第1号) ・・・・略・・・・

(第6項第2号)
請求項1,2の末尾は「デジタル通信方式及び無線機」となっているが,「無線機」の発明とした場合,「送信側」によって送信された信号を,同じ「無線機」にある「受信側」が受信しているかのようであり,構成が不明瞭である。・・・・略・・・・

2)平成24年12月11日,平成25年8月21日,平成25年9月30日,平成25年11月21日,平成26年10月7日,平成27年8月3日,及び平成27年12月3日付けでした手続補正は、下記の点で願書に最初に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。



出願人は,平成24年12月11日付け補正書において,請求項1の記載を「受信側においては,・・・送信側と同じ周波数間隔の2つの周波数で構成され・・・」と補正し,請求項2の記載を「受信側においては,・・・送信側局部発振波と同一の周波数間隔で2つの周波数・・・」と補正するとともに,明細書【0004】【0006】段落にも同様の内容の補正を行った。また平成27年8月3日付け手続補正書では,図2(受信部)において,「受信シンセサイザ回路56」が「乗算回路58」に供給する局部発振波の周波数をf6とf7に補正し,図1(送信部)において「乗算回路36」に供給される局部発振波の周波数f3及びf4とは異なるものに変更した。これに関連する【0040】段落の記載も同様に補正した。同様の趣旨の補正は他の手続補正書においてもなされている。これらの補正により,送信部と受信部において供給される局部発振波は,2つの局部発振波の周波数間隔が同一であれば周波数が同一でない構成も含むように補正されたことになる。
しかしながら,本願の願書に最初に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載されたものは,例えば請求項1に「受信側においては,・・・送信側と同じ2つの周波数で構成され・・・」と記載され,請求項2にも「受信側においては,・・・送信側局部発振波と同一で2つの周波数・・・」と記載され,明細書及び図面にも,例えば送信部(図1)の「乗算回路33」に供給される局部発振波と,受信部(図2)の「乗算回路55」に供給される局部発振波は,周波数がf3及びf4であり,同一である場合についてしか記載されていない。
そうしてみると,上記各補正書においてなされた補正は,本願の願書に最初に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載された事項の範囲内でなされたものではなく,新たな技術的事項を導入するものである。(送信側と受信側とで,局部発振波が同一の周波数f3,f4を有するものに限定されたい。)」


第3 当審の判断
1.特許法第36条第6項第2号について
平成28年8月25日付け手続補正(以下、「本件補正」という。)は、特許請求の範囲の記載を以下のとおりに補正するものである。

「 【請求項1】
送信側において、デジタル信号によって変調された被変調波を、発振源を同一とする2つの発振回路から出力された2つの周波数によって構成され、一定間隔で切り替わる局部発振波により周波数変換し、直接又はさらに周波数変換して送信する手段と、
受信側においては、受信波を直接又は周波数変換して、その出力を乗算回路に入力し、前記乗算回路において送信側と同じ周波数間隔の2つの周波数で構成され、それらの周波数が切り替わる周期が、送信側局部発振波の切り替わる周期と同期した受信側局部発振波によって周波数変換する手段を有することを特徴とするデジタル通信方式
【請求項2】
請求項1のデジタル通信方式及び無線機の送信側において、所定の周期になるように形成された最大で一定振幅、一定幅の基準信号と前記基準信号の間に前記基準信号と同一の幅で、多値のデジタルデータに基づいた前記基準信号の振幅を基準とした多値のデジタル値を表現する複数のデータ信号から構成されるデジタル信号を発生する手段と、
前記デジタル信号により搬送波を単側帯波方式にて変調し、前記デジタル信号の幅をτとしたとき、τを周期とする周波数(=1/τ)を通過帯域幅とするろ波回路に入力する手段と
乗算回路に一定振幅で前記基準信号の周期と同期して2つの周波数が切り替わる局部発振波とデジタル信号によって変調された搬送波を入力して二つの入力の和と差の周波数を作り、前記乗算回路の出力の一方を帯域通過ろ波回路によって取り出し、直接又は周波数変換して送信する手段を有し、
受信側においては、受信波を直接又は周波数変換して第1(前段の周波数変換回路で乗算回路を使用している場合は第2となる)の乗算回路に入力し、前記乗算回路のもう一方の入力に、送信側局部発振波と同一の周波数間隔で2つの周波数の切り替え周期が前記基準信号の周期に同期した受信側局部発振波を入力して、二つの入力の和と差の周波数を作り、帯域通過ろ波回路によって一方の周波数(送信側が和の場合、受信側では差となる)を取り出して中間周波増幅回路に入力する手段と
前記中間周波増幅器の出力の一部を検波し、帯域通過ろ波回路に入力して前記基準信号の周期の周波数を抽出して前記受信局部発振波の2つの周波数を切り替える周期と同期させる手段を有することを特徴とするデジタル通信システム。」

本件補正により補正された請求項1に係る発明は、請求項1の末尾に「・・・デジタル通信方式」と記載されているように「デジタル通信方式」に係る発明である。
ところが、請求項2には「請求項1のデジタル通信方式及び無線機の送信側において、・・・・・」と記載され、引用する請求項1が「デジタル通信方式及び無線機」の発明であるかのように記載されており、請求項1が「デジタル通信方式」に係る発明であることと整合しない。したがって、請求項2の「請求項1のデジタル通信方式及び無線機の送信側において」なる記載は、その意味する内容が明確ではない。
また、請求項2の末尾が「・・・・・デジタル通信システム。」と記載されていることからみて、請求項2は「デジタル通信システム」に係る発明であると考えられるものの、引用する請求項1は「デジタル通信方式」に係る発明であり整合しない。したがって、請求項2の、「・・・・デジタル通信システム。」なる記載は、その意味する内容が明確ではない。
したがって、平成28年7月29日付け拒絶理由通知書の「1)(第6項第2号)」の項で指摘した点の不備は依然として解消しておらず、特許請求の範囲の記載は、特許を受けようとする発明が明確に記載されているものとはいえない。

2.特許法第17号の2第3項について
(1)本件補正後の記載について
本件補正後の請求項1には、「受信側においては、・・・・送信側と同じ周波数間隔の2つの周波数で構成され、・・・・受信側局部発振波によって周波数変換する手段を有する」と記載されていることから、請求項1には、受信側の2つの局部発振波が、送信側の2つの局部発振波と同じ周波数間隔を有する2つの周波数で構成されるものが記載されているといえる。
また、本件補正後の請求項2には、「受信側においては、・・・・、送信側局部発振波と同一の周波数間隔で2つの周波数の切り替え周期が前記基準信号の周期に同期した受信側局部発振波を入力して」と記載されていることから、請求項2においても請求項1と同様に、受信側の2つの局部発振波が、送信側の2つの局部発振波と同じ周波数間隔の2つの周波数で構成されるものが記載されているということができる。

これに関して、本件の明細書の記載(平成27年12月3日付け手続補正書参照。)では、【0004】?【0005】、【0016】、【0020】、【0035】、及び【0051】段落に以下の事項が記載されている。

「 【0004】
良質の通信を得るには、内部雑音及び外部雑音を含めた全ての雑音及び妨害波の影響を可能の限り少なくすることが必要である。請求項1の送信側において、デジタル信号によって変調された被変調波を、一定振幅で発振源を同一とする2つの発振回路から出力された2つの周波数によって構成され、それらの周波数は前もって定められ、規則的に、一定間隔及び高速で切換る局部発振波によって周波数変換することにより、雑音及び妨害波との大きな差別化を行うとともに、受信側で希望波を捕捉し易くした。
受信側においては、受信波を直接又は周波数変換して、その出力を乗算回路に入力し、前記乗算回路において送信側と同じ周波数間隔の2つの周波数で構成され、それらの周波数が切り替わる周期が、送信側局部発振波の切り替わる周期と同期した受信側局部発振波によって周波数変換することにより希望波を抽出し、雑音及び妨害波は取り除かれて、雑音及び妨害波の影響を無視出来る程度まで小さくした。
【0005】
・・・・・・
受信側において、受信波を直接又は周波数変換して第1(前段の周波数変換回路で乗算回路を使用している場合は第2となる)の乗算回路に入力し、前記乗算回路のもう一方の入力に、送信側局部発振波と同一の周波数間隔で2つの周波数の切り替え周期が前記基準信号の周期に同期した受信側第2局部発振波(アンテナからの入力を直接入力する場合は第1局部発振波となる)を入力して、二つの入力の和と差の周波数を作り、帯域通過ろ波回路によって一方の周波数(送信側が和の場合、受信側では差となる)を取り出して中間周波増幅回路に入力する。
前記中間周波増幅器の出力の一部を検波し、帯域通過ろ波回路に入力して基準信号の周期の周波数を抽出して、前記第2局部発振波の2つの周波数を切り替える周期と同期させる。これにて同期が安定的に継続され、希望波が安定的に受信される。」(下線は、当審で付したものである。以下同様。)

「 【0016】
図1において、電圧制御発振回路11及び15は、本発明の2つの切り替わる周波数(図1ではf3及びf4)を発振する。」

「 【0020】
切換回路22は、電圧制御回路11および15の出力を分周回路27の出力によって所定の時間毎に切り換えて、その出力(図1ではf3*f4)を乗算回路33に入力する。切換回路22には、切換時発生する高調波分を取り除く帯域通過ろ波回路を含むものとする。(f3*f4は、f3とf4が一定時間毎に交互に切り替わっていることを意味するものとする。)」

「 【0035】
乗算回路57において、乗算回路57のもう一方の入力として受信シンセサイザ回路56から所定の間隔で切換る2つの周波数(図2ではf6及びf7)が入力される。乗算回路57の出力は、帯域通過ろ波回路58を介して中間周波増幅回路59に入力される。帯域通過ろ波回路58の出力波形は図5(b)となる。」

「 【0051】
分周回路102及び106は、電圧制御発振回路101及び105の周波数を分周して、位相比較回路103及び107に入力される所定の周波数とする。分周回路102及び106は、それぞれ、電圧制御発振回路101及び105、の周波数(図3ではf6及びf7を決定する。」

また、本件図面の記載(平成27年12月3日付け手続補正書参照。)をみると、送信部である図1の乗算回路33には「f3*f4」が入力されるように記載されているのに対して、受信部である図2の乗算回路57には「f6*f7」が入力されていることが見てとれる。また、シンセサイザ回路である図3には、切換回路111に入力され受信部乗算回路57へ送られる信号に対して「f6」及び「f7」と表記されている。

上記摘記した明細書の記載事項及び図面の記載をみれば、本件補正後の請求項1,2の記載に対応して、受信側局部発振波が送信側と同じ周波数間隔の2つの周波数で構成されるものについて記載されているということができ、さらに、【0016】、【0020】、【0035】、【0051】段落、及び図1、2、3によれば、送信部では局部発振波の周波数はf3及びf4であるのに対して、受信部ではf6及びf7と異なって表記されていることから、2つの局部発振波の周波数間隔は送信側と受信側とで同じであるものの、2つの局部発信周波数は送信側と受信側とで同一の周波数に限定されていないことが明らかである。

したがって、これらの記載を踏まえると、本件補正後の明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「本件補正後の明細書等」という。)には、次の技術事項(以下、「技術事項A」という。)が記載されているものと認められる。

「受信側局部発振波の2つの周波数は、送信側局部発振波の2つの周波数と同じ周波数間隔に構成されるが、受信側局部発振波の2つの周波数は送信側局部発振波の2つの周波数と同一とは限定されない。」(技術事項A)


(2)本願の願書に最初に添付した特許請求の範囲,明細書及び図面の記載事項について

本願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の請求項1、請求項2は以下のとおりである。

「【請求項1】
送信側において、デジタル信号によって変調された被変調波を、一定振幅で2つの周波数が一定間隔で切り替わる局部発振波により周波数変換し、直接又はさらに周波数変換して送信する手段と、
受信側においては、受信波を直接又は周波数変換して、送信側と同じ2つの周波数で構成され、それらの周波数が切り替わる周期が、送信側局部発振波の切り替わる周期と同期した受信側局部発振波によって周波数変換する手段を有することを特徴とするデジタル通信方式及び無線機。
【請求項2】
請求項1のデジタル通信方式及び無線機の送信側において、所定の周期になるように形成された最大で一定振幅、一定幅の基準信号を発生する手段と、
乗算回路に一定振幅で前記基準信号の周期と同期して2つの周波数が切り替わる局部発振波とデジタル信号によって変調された搬送波を入力して二つの入力の和と差の周波数を作り、前記乗算回路の出力の一方を帯域通過ろ波回路によって取り出し、直接又は周波数変換して送信する手段を有し、
受信側においては、受信波を直接又は周波数変換して第1の乗算回路に入力し、乗算回路のもう一方の入力に、送信側局部発振波と同一で2つの周波数の切り替え周期を基準信号の周期に同期した受信側局部発振波を入力して二つの入力の和と差の周波数を作り、帯域通過ろ波回路によって一方の周波数(送信側が和の場合、受信側では差となる)を取り出して中間周波増幅回路に入力する手段と
前記中間周波増幅器の出力の一部を検波し、帯域通過ろ波回路に入力して基準信号の周波数を抽出して前記受信局部発振波の2つの周波数を切り替える周期と同期させる手段を有することを特徴とするデジタル通信方式及び無線機。」

また、本願の願書に最初に添付した明細書の【0004】【0016】及び【0055】段落に、

「 【0004】
良質の通信を得るには、内部雑音及び外部雑音を含めた全ての雑音及び妨害波の影響を可能の限り少なくすることが必要である。請求項1の送信側において、被変調波を、一定振幅で大きく周波数が離れた2つの周波数が、規則的に、一定間隔及び高速で切換る局部発振波によって周波数変換することにより、雑音及び妨害波との大きな差別化を行うとともに、受信側で希望波を捕捉し易くした。
受信側においては、送信側と同じ2つの周波数で構成され、それらの周波数が切り替わる周期が、送信側局部発振波の切り替わる周期と同期した受信側局部発振波によって周波数変換することにより希望波を抽出し、雑音及び妨害波を取り除いて、雑音及び妨害波の影響を無視出来るまで小さくした。」

「 【0016】
図1において、電圧制御発振回路11及び15は、本発明の送信側の出力の周波数(図ではf2+f3*f4)を形成する2つの周波数(図ではf3及びf4)を発振する。(f3*f4はf3とf4が一定時間ごとに交互に切り替わることを意味するとする)」

「 【0055】
図3において、電圧制御発振回路101及び105は、受信側の指定された2つの周波数(図ではf3及びf4)を発振する。」

と記載されており、図面の記載をみても、送信部について記載された図1において、切換回路20から乗算回路33に入力される信号は「f3*f4」となっており、図2に記載された受信部において受信シンセサイザ56から乗算回路55へ入力される信号局部発振波も「f3*f4」と記載されている。また、図3において切換回路111に入力され受信部乗算回路55へ送られる信号は「f3」と「f4」と表記されている。

摘記したように、本願の願書に最初に添付した請求項1,2の記載、及び明細書【0004】段落の記載によれば、受信側局部発振波の2つの周波数が送信側局部発振波の2つの周波数と同じであることは明らかであり、また、摘記した明細書の【0016】【0055】段落、及び図1、2、3の記載をみても、送信側の局部発振波の2つの周波数と受信側の局部発振波の2つの周波数は、いずれも「f3」と「f4」であるから、同じ周波数であると考えるのが自然である。
したがって、本願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲、又は図面(以下、「願書に最初に添付した明細書等」という。)には、送信側の局部発振波の2つ周波数と受信側の局部発振波の2つの周波数が同一の周波数であるものが記載されているということができる。

(3)新規事項の判断
そうしてみると、本件補正後の明細書等に記載された技術事項Aは、2つの局部発振波の周波数の間隔が、送信側と受信側とで同じであればいいから、送信側の局部発振波の2つの周波数と受信側の局部発振波の2つの周波数が異なる構成も含んでいるところ、願書に最初に添付した明細書等には、送信側の局部発振波の2つの周波数と受信側の局部発振波の2つの周波数が同一であるものについて記載されているのみであるから、本件補正後の明細書等には、願書に最初に添付した明細書等には記載されていなかった、送信側と受信側とで局部発振波の2つの周波数の間隔は同じであるが、周波数そのものは異なる構成を含むことになる。
また、局部発振波の2つの周波数が送信側と受信側とで同じであることから、局部発振波の2つの周波数の間隔が送信側と受信側とで同じであれば、2つの周波数同士が同じでなくてもよいということは、自明であるとはいえない。
したがって、本件補正は願書に最初に添付した明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものであり、これらに記載した事項の範囲内においてしたものではない。

なお、請求人は平成28年8月25日付け意見書において、「(3)前記請求項1の特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない件について」として、本件補正は、出願時の特許請求の範囲、明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであり、新たな技術的事項の導入には当たらない旨主張している。
しかしながら、請求人の主張は、送受信両回路の2つの周波数の周波数間隔が同一であることが必要である技術的な理由を説明するものであって、送受信両回路の2つの周波数の周波数間隔が同一であることが、本願の願書に最初に添付した明細書等に記載されたものである理由を述べているものではないから、これを採用することはできない。


第3 むすび
以上のとおり、本願の請求項2に係る発明は、特許法第36条第6項第2号の規定により特許をうけることができないものである。また、平成28年8月25日付けでした手続補正は、特許法第17条の2第3項に違反する。それ故、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2016-11-08 
結審通知日 2016-11-15 
審決日 2016-11-30 
出願番号 特願2012-200946(P2012-200946)
審決分類 P 1 8・ 55- WZ (H04B)
P 1 8・ 537- WZ (H04B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 石田 昌敏  
特許庁審判長 水野 恵雄
特許庁審判官 佐藤 智康
山本 章裕
発明の名称 デジタル通信方式及び無線機  

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