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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録(定型) C02F
審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 取り消して特許、登録(定型) C02F
管理番号 1324143
審判番号 不服2015-13769  
総通号数 207 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-03-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-07-22 
確定日 2017-02-06 
事件の表示 特願2011- 81567「生物ろ過用充填材」拒絶査定不服審判事件〔平成24年11月 8日出願公開、特開2012-213734、請求項の数(2)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1.手続の経緯

本願は、平成23年4月1日の出願であって、平成26年12月15日付けの拒絶理由が通知され、平成27年3月12日付けの手続補正がされたが、同年4月28日付けで拒絶査定がされ、これに対し、同年7月22日付けで本件審判が請求されると同時に手続補正がされたものである。

第2.補正の却下の決定

[結論]
平成27年7月22日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
(1)補正の内容
本件補正後の請求項1には、生物ろ過用充填材の外周形状について、
「中空筒状主体の周側面には、前記両端開放の溝に挟まれ前記中空筒状主体の長手方向に延びる複数の第1の突条部と、前記第1の突条部の周側面よりも突出して前記中空筒状主体の長手方向に延びる複数の第2の突条部とが、それら各第2の突条部間に前記両端開放の溝と前記第1の突条部とが存在するように設けられ」ること、及び、
「前記第1の突状部および前記第2の突状部の周方向の幅は、前記溝の周方向の幅よりも大で、かつ、前記第2の突状部の周側面の曲率半径は、前記第1の突状部の周側面の曲率半径よりも小である」ことが記載されている。

(2)補正の適否
これに対し、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲及び図面(以下、まとめて「当初明細書」という。)には、生物ろ過用充填材の外周形状について、
「中空筒状主体の周側に、両端開放の溝を、周方向に列設」(【請求項1】等)すること、
「主体1の周方向に並べてほぼ等間隔を存し4条の突条部1c,1c,1c,1cを設け」(【0011】)ること、及び、
「各部の大きさは自由に選択すれば良い」(【0013】)ことと共に、
次の図面が記載されているにすぎない。
【図3】

してみると、中空筒状主体の周側面に、突出高さの異なる2種類の突条部を設けることや、当該突条部と溝の幅の大小関係や、2種類の突条部の曲率半径の大小関係を特定することは、当初明細書に記載された技術的事項ではないし、当初明細書の記載から当業者に自明な技術的事項でもない。
したがって、上記請求項1の補正を含む本件補正は、当初明細書のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものであるから、当初明細書に記載した事項の範囲内においてしたものとはいえない。
よって、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3.本願発明の認定

本件補正は却下されたので、本願の請求項1,2に係る発明(以下、「本願発明1,2」という。)は、平成27年3月12日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1,2に記載された次の事項により特定されるとおりのものと認める。

【請求項1】
粘土を焼成して成る中空筒状主体を備え、該中空筒状主体の周側に、両端開放の溝を、周方向に列設し、
前記中空筒状主体の長手方向の両端面は傾斜面であり、かつ、前記中空筒状主体の周面には、その周面よりも突出して前記中空筒状主体の長手方向に延びる突条部を設けたことを特徴とする生物ろ過用充填材。
【請求項2】
粒子状の軽石を配合した煉瓦用粘土で構成した、請求項1記載の生物ろ過用充填材。

第4.原査定の理由

原査定の拒絶の理由は、
「本願発明1,2は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。」
というものであり、次の文献が引用されている。
国際公開第2005/108680号(以下、「引用例1」という。)
特開平3-95295号公報 (以下、「引用例2」という。)
特開2001-340883号公報 (以下、「引用例3」という。)

第5.当審の判断

上記理由について検討するに、引用例1?3には、生物ろ過用充填材の形状について、引用例1に、

[0060]また、本発明に用いる水質浄化体の形状は、特に限定されないが、中空形状であることが好ましい。中空形状とすることで水との接触面積および水の滞留時間が増加し、水質浄化機能を向上させることが可能となる。また、浄化体表面は凹凸形状であることがより好ましくこれによれば水との接触面積がさらに増加し、微生物の付着性も向上する。図 1 (a)や (b)には、中空形状の表面に複数の凹凸を有する水質浄化体の一形態を示す。
[図 1]


という記載があるにすぎず、本願発明1,2の発明特定事項である「中空筒状主体の長手方向の両端面は傾斜面であ」ることについて記載も示唆もない。
したがって、本願発明1,2が、引用例1?3に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

第6.むすび

以上のとおり、本願については、原査定の拒絶の理由を検討しても、その理由によって拒絶すべきものとすることはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2016-12-27 
出願番号 特願2011-81567(P2011-81567)
審決分類 P 1 8・ 561- WYF (C02F)
P 1 8・ 121- WYF (C02F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 片山 真紀  
特許庁審判長 新居田 知生
特許庁審判官 大橋 賢一
永田 史泰
発明の名称 生物ろ過用充填材  
代理人 中島 重雄  

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