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審決分類 |
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 A63F 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 A63F |
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管理番号 | 1324259 |
審判番号 | 不服2016-8392 |
総通号数 | 207 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2017-03-31 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2016-06-07 |
確定日 | 2017-02-14 |
事件の表示 | 特願2013- 11715「ゲーム装置及びプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 9月 5日出願公開、特開2013-172955、請求項の数(7)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成25年1月25日(優先権主張 平成24年1月26日(以下、「優先日」という。))の出願であって、平成26年12月18日付けで拒絶理由が通知され、平成27年2月23日付けで意見書及び手続補正書が提出され、同年8月18日付けで最後の拒絶理由が通知され、同年10月26日付けで意見書が提出されたが、平成28年3月4日付けで拒絶査定(以下、「原査定」という)がされ(同査定の謄本の送達(発送)日 同年同月8日)、これに対し、同年6月7日に拒絶査定不服審判が請求され、その後、当審において同年12月9日付けで拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)が通知され、同年同月21日付けで手続補正がされたものである。 第2 本願発明 本願の請求項1ないし7に係る発明は、平成28年12月21日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1ないし7に記載された事項により特定されるものと認められる。本願の請求項1ないし7に係る発明(以下、順に「本願発明1」ないし「本願発明7」という。)は以下のとおりである。 「【請求項1】 ユーザを識別するためのユーザ識別情報と、オブジェクトに関する情報であるオブジェクト情報と、が対応付けて記憶された記憶装置にアクセス可能なゲーム装置であって、 ユーザが操作する端末装置から抽選の実行指示を受け付ける受付手段と、 前記受付手段で受け付けられた実行指示に応じて、抽選対象となる複数のオブジェクト情報の中から2以上のオブジェクト情報を決定する抽選手段と、 前記抽選手段で決定された2以上のオブジェクト情報の中から少なくとも1つのオブジェクト情報を前記ユーザが選択できるように、前記端末装置に前記2以上のオブジェクト情報を表示させる提示手段と、 前記ユーザが選択したオブジェクト情報を、前記ユーザ識別情報に対応付けて記憶する対応付け手段と を具備することを特徴とするゲーム装置。 【請求項2】 前記抽選手段で決定された2以上のオブジェクト情報の組合せが1又は複数の特典条件のいずれかを充足したとき、充足した前記特典条件に応じた特典を前記ユーザに提供する特典手段をさらに具備することを特徴とする請求項1に記載のゲーム装置。 【請求項3】 前記特典手段は、前記抽選手段で決定された2以上のオブジェクト情報の組合せが、複数の特典条件のうち2以上の特典条件を同時に充足したとき、同時に充足した特典条件の組合せに応じた特典を前記ユーザに提供することを特徴とする請求項2に記載のゲーム装置。 【請求項4】 前記特典手段は、前記オブジェクト情報に基づいて前記抽選手段で決定された2以上のオブジェクト情報の組合せが前記特典条件を充足するか否かを判断することを特徴とする請求項2又は3に記載のゲーム装置。 【請求項5】 前記抽選手段で決定する前記2以上のオブジェクト情報の数を設定する設定手段をさらに具備し、 前記特典手段は、前記設定手段で設定された数に応じて前記特典条件を変更することを特徴とする請求項2?4のいずれかに記載のゲーム装置。 【請求項6】 前記2以上のオブジェクト情報を抽選で決定した順番を管理する管理手段をさらに具備し、 前記特典手段は、複数の前記組合せを構成する前記オブジェクト情報が1又は複数の特典条件のいずれかを充足したとき、充足した前記特典条件に応じた特典を前記ユーザに提供することを特徴とする請求項2?5のいずれかに記載のゲーム装置。 【請求項7】 コンピュータを、請求項1?6のいずれかに記載のゲーム装置の各手段として機能させるためのプログラム。」 第3 原査定の理由について 1.原査定の理由の概要 原査定は、平成27年8月19日付けの拒絶理由によるものであって、その概要は以下のとおりである。 この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 記 (引用文献等については引用文献等一覧参照) ・請求項1 ・引用文献1-2 ・請求項2,6 ・引用文献1-2 ・請求項3-4 ・引用文献1-2、または1-3 ・請求項5 ・引用文献1-3 ・請求項7 ・引用文献1-2 <引用文献等一覧> 引用文献1.特開2008-253521号公報 引用文献2.特開2010-51400号公報 引用文献3.特開2007-229205号公報 2.原査定の理由の判断 (1)引用例 原査定に係る拒絶理由で引用された、本願の優先日前に頒布された刊行物である特開2008-253521号公報(以下、「引用例1」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている(下線は審決で付した。以下同じ。)。 ア.「【0020】 図2は、本発明の実施の形態に係るアイテム継承システムのブロック図である。このブロック図において、サーバ10は、上述のオンラインRPGのサーバソフトウェアが実行されており、ユーザの識別情報(ID)や電子住民識別情報(ID)や課金情報等を記憶したユーザデータベース101(ユーザ記憶データベース)と、このユーザデータベース101の各ユーザに関連づけられており、この関連づけられたユーザが単一又は複数の電子住民ごとのデータを記憶している電子住民データベース102と、個々のアイテムの属性を記憶しているアイテムデータベース103(アイテム記憶手段、アイテムデータベース)と、抽選箱が複数ある場合に抽選箱の個別のデータを記憶している抽選箱データベース104(選択譲渡オブジェクトデータベース)と、アクセスしたユーザの認証を行うと共に該ユーザが行動させる電子住民の選択を行う電子住民認証部110と、ネットワーク5と接続するインターフェイスでありデータを送受信するネットワーク接続部111(ネットワーク接続手段)と、ネットワーク接続部111から電子住民の情報を出力する出力部112と、ネットワーク接続部111より電子住民の行動の入力をする入力部113と、収納されたアイテムである収納アイテムを抽選により電子住民に譲渡する抽選部114(選択譲渡オブジェクト)と、電子住民の制御を行う制御部115(制御手段)と、本発明の実施の形態に係るオンラインRPGの提供者(コンピュータの管理者)が該オンラインRPGの管理を行う管理部116とから、構成されている。 【0021】 また、クライアント20-1は、上述のオンラインRPGのクライアント用ソフトウェアが実行されており、サーバ10から送られてきた一時的なデータを記憶する記憶部210と、ネットワーク5と接続するインターフェイスでありデータを送受信するネットワーク接続部211と、仮想空間や電子住民の状況等を表示する液晶ディスプレイ等である表示部212と、ユーザからの入力を行うキーボードやジョイパッド等のユーザ・インターフェイスである入力部213と、クライアント20-1の各ブロックの制御を行うCPU等である制御部215とから構成されている。また、このクライアント20-1と同様の構成をした20-2?20-nも、同様にインターネット等であるネットワーク5に接続されている。 【0022】 〔データベースの構成〕 ここで、サーバ10上で稼働しているデータベースについて、図3?6を参照して説明する。 ユーザデータベース101には、ユーザごとに、ユーザがサーバ10と接続する際のアカウント(サービスを利用するための権利)の番号又は文字列であるユーザ識別情報A1、そのユーザが行動を選択する電子住民識別情報A2、ユーザの課金情報A3等が記憶されている。」 イ.「【0024】 また、ユーザはアカウントを作成すると、電子住民を複数人(例として8人)、作成することが可能になる。この電子住民の作成は対話的に行われ、オンラインRPGの世界観に沿った名前、種族、性別、仮想空間内での顔や服装等の外観等の属性を選択することができる。 ユーザが作成した電子住民の属性は、制御部115により電子住民データベース102に記憶される。また、この電子住民をオンラインRPGのサーバ用ソフトウェアやユーザ用ソフトウェアにおいて電子住民を仮想空間内で識別させるための識別情報(ID)である電子住民識別情報が、ユーザデータベース101の電子住民識別情報A2に記憶される。 【0025】 電子住民データベース102には、電子住民ごとに、電子住民を識別させるための電子住民識別情報B1(識別情報記憶手段)と、電子住民が保有するアイテムを記憶する保有アイテム記憶部B2(保有アイテム情報記憶手段)と、この電子住民が保有する電子価値を記憶する保有電子価値記憶部B3(電子価値情報記憶手段)と、位置情報記憶部B5(位置情報記憶手段)と、所有する部屋の情報を記憶する部屋記憶部B6(部屋記憶手段)とが記憶されている。 なお、この電子住民データベース102は、各電子住民に対応するサーバ内で実行されているプログラムと連携する「オブジェクト」型のデータ構造となっている。 【0026】 更に詳しく説明すると、電子住民ごとに、電子住民識別情報B1は、上述の電子住民作成時にユーザに作成された電子住民の識別情報であるID1?IDnの1つを記憶している。 保有アイテム記憶部B2は、該当する電子住民の保有するアイテムの識別情報(ID)と、この保有する各アイテムの付随的な情報等の属性情報を記憶している。このアイテムの識別情報はアイテムデータベース103のアイテム識別情報C1に記憶されているアイテム番号と同じであり、このアイテム番号を基にして、アイテムデータベース103を参照することで、各アイテムの属性や名称を電子住民を介してユーザが参照することができる。」 ウ.「【0047】 ここで、抽選箱の所有者である電子住民が「アクセスする」の選択肢を入力部213により選択すると、この選択肢に係る入力情報がネットワーク接続部211から、ネットワーク5を介して、サーバ10のネットワーク接続部111で受信され入力部113に入力される。この入力部113に入力された入力情報を、制御部115が感知する。これにより、以下で説明する抽選箱のメンテナンスを行うことができる。 また、抽選箱の所有者又は所有者でない電子住民が「ガチャガチャを回す」の選択肢を入力部213により選択すると、同様に、この選択に係る入力情報がネットワーク接続部211から、ネットワーク5を介して、サーバ10のネットワーク接続部111で受信される。この入力部113に入力された入力情報を、制御部115が感知する。これにより、以下で説明する抽選箱使用処理を行うことができる。」 エ.「【0085】 〔抽選箱の使用〕 次に、抽選箱を使用したい電子住民が、該当する抽選箱を使用(操作)して譲渡が行われる際の、抽選箱使用処理の流れの例について、図13のフローチャートを参照して説明する。 ここでは、該当する抽選箱をLOT2とし、LOT2の抽選箱を使用するユーザ(他のユーザ)が行動を選択している電子住民の認識情報をID2とする。」 オ.「【0092】 (ステップS2007) 次に、ステップS2007においては、上述のように、制御部115が、LOT2の抽選箱データベース104の収納アイテム記憶部D2に記憶されたアイテムから、所定の演算方法で(例えば疑似乱数で)譲渡するアイテムを選択する。 【0093】 (ステップS2008) 次に、ステップS2008において、制御部115が、選択されたアイテムの名前を用いて、「(選択されたアイテムの名前)を手に入れた。」というメッセージをクライアント20-1の表示部212が表示するように出力させる。 このメッセージが表示された際の画面ショットを図22に示す。」 カ.「【0096】 (ステップS2011) ステップS2011においては、制御部115は、LOT2の抽選箱データベース104の収納アイテム記憶部に記憶されている上述の選択されたアイテムの識別情報と付随する情報を、ID2の電子住民の保有アイテム記憶部B2に移動する。これによって、アイテムの譲渡が行われることになる。」 上記の記載事項を総合すると、引用例1には、次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されているものと認められる。 「サーバ10は、オンラインRPGのサーバソフトウェアが実行されており、ユーザの識別情報(ID)や電子住民識別情報(ID)や課金情報等を記憶したユーザデータベース101(ユーザ記憶データベース)と、このユーザデータベース101の各ユーザに関連づけられており、この関連づけられたユーザが単一又は複数の電子住民ごとのデータを記憶している電子住民データベース102とから、構成され、 ユーザデータベース101には、ユーザごとに、ユーザ識別情報A1が記憶され、 ユーザが作成する電子住民を仮想空間内で識別させるための識別情報(ID)である電子住民識別情報が、ユーザデータベース101の電子住民識別情報A2に記憶され、 電子住民データベース102には、電子住民ごとに、電子住民を識別させるための電子住民識別情報B1(識別情報記憶手段)と、電子住民が保有するアイテムを記憶する保有アイテム記憶部B2(保有アイテム情報記憶手段)とが記憶されており、 保有アイテム記憶部B2は、該当する電子住民の保有するアイテムの識別情報(ID)を記憶しており、 クライアント20-1は、ユーザからの入力を行うキーボードやジョイパッド等のユーザ・インターフェイスである入力部213とから構成され、 抽選箱の所有者又は所有者でない電子住民が「ガチャガチャを回す」の選択肢を入力部213により選択すると、この選択に係る入力情報がネットワーク接続部211から、ネットワーク5を介して、サーバ10のネットワーク接続部111で受信され、 この入力部113に入力された入力情報を、制御部115が感知し、 制御部115が、LOT2(該当する抽選箱)の抽選箱データベース104の収納アイテム記憶部D2に記憶されたアイテムから、所定の演算方法で(例えば疑似乱数で)譲渡するアイテムを選択し、 制御部115が、選択されたアイテムの名前を用いて、「(選択されたアイテムの名前)を手に入れた。」というメッセージをクライアント20-1の表示部212が表示するように出力させ、 制御部115は、LOT2(該当する抽選箱)の抽選箱データベース104の収納アイテム記憶部に記憶されている上述の選択されたアイテムの識別情報と付随する情報を、ID2(LOT2の抽選箱を使用するユーザ(他のユーザ)が行動を選択している電子住民の認識情報)の電子住民の保有アイテム記憶部B2に移動する サーバ10。」 同じく原査定に係る拒絶理由で引用された、本願の優先日前に頒布された刊行物である特開2010-51400号公報(以下、「引用例2」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。 キ.「【0027】 (全体構成) 図1は本発明の一実施形態に係るゲームシステム1の構成図である。 図1に示すように、このゲームシステムは、ゲームカード2のゲームデータ識別情報5を読み込むことで特定のゲームを実行するゲーム機3と、このゲーム機3とLANやインターネット等の情報ネットワークを介して接続され前記ゲームカード2の抽選コード6を利用してゲームデータに付加するゲームオプション情報の抽選を行うサーバ4とを有する。」 ク.「【0044】 また、プログラム格納エリア54bは、前記ゲームカードの抽選コード6をゲーム機3から受け取り、抽選によって前記ゲームオプション識別情報を特定若しくは落選を決定する抽選実行手段62と、このサーバから抽選の結果である抽選パターンを送信する抽選結果送信手段63と、抽選コード6についての抽選結果の履歴を更新する抽選結果履歴更新手段64とを格納する。」 ケ.「【0046】 前記抽選実行手段62は、通信デバイス48を介してゲーム機3から受信した抽選コード6に基づいて抽選を実行する。具体的には、抽選実行手段62は、例えば乱数発生アルゴリズムにより乱数を発生させ、この乱数及び抽選コード6をもとに所定の演算を行うことにより、図6の抽選パターンのいずれか一つを決定する抽選を行う機能を有する。」 コ.図6からは、抽選パターンのゲームオプション情報が、「1」、「2」、「3」、「1、2」、「1、3」、「2、3」、「1、2、3」、なし、であることが看取できる。 上記の記載事項を総合すると、引用例2には、次の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されているものと認められる。 「ゲームカード2の抽選コード6を利用してゲームデータに付加するゲームオプション情報の抽選を行うサーバ4であって、 前記ゲームカードの抽選コード6をゲーム機3から受け取り、抽選によってゲームオプション識別情報を特定若しくは落選を決定する抽選実行手段62は、ゲームオプション情報が、「1」、「2」、「3」、「1、2」、「1、3」、「2、3」、「1、2、3」、なし、である抽選パターンのいずれか一つを決定する抽選を行う サーバ4。」 (2)対比 本願発明1と引用発明1とを対比する。 後者の「サーバ10」は、「オンラインRPGのサーバソフトウェアが実行され」るものだから、前者の「ゲーム装置」に相当する。 後者の「ユーザ識別情報A1」は前者の「ユーザを識別するためのユーザ識別情報」に相当し、同様に、「電子住民が保有するアイテムを記憶する保有アイテム記憶部B2」は「オブジェクトに関する情報であるオブジェクト情報」に相当する。 後者の「ユーザデータベース101」には「ユーザごとに、ユーザ識別情報A1が記憶され」、また、「電子住民データベース102」には「電子住民が保有するアイテムを記憶する保有アイテム記憶部B2(保有アイテム情報記憶手段)とが記憶されて」いる。一方、前者の「記憶装置」は「ユーザを識別するためのユーザ識別情報と、オブジェクトに関する情報であるオブジェクト情報と、が対応付けて記憶された」ものである。そうすると、後者の「ユーザデータベース101」と前者の「記憶装置」とは「ユーザを識別するためのユーザ識別情報」「が記憶された記憶装置」との概念で、また、後者の「電子住民データベース102」と前者の「記憶装置」とは「オブジェクトに関する情報であるオブジェクト情報」「が記憶された記憶装置」との概念でそれぞれ共通する。 後者においては、「クライアント20-1は、ユーザからの入力を行うキーボードやジョイパッド等のユーザ・インターフェイスである入力部213とから構成され、抽選箱の所有者又は所有者でない電子住民が「ガチャガチャを回す」の選択肢を入力部213により選択すると、この選択に係る入力情報がネットワーク接続部211から、ネットワーク5を介して、サーバ10のネットワーク接続部111で受信され」るから、後者の「サーバ10のネットワーク接続部111」は、前者の「ユーザが操作する端末装置から抽選の実行指示を受け付ける受付手段」に相当する。 後者の「この入力部113に入力された入力情報を、制御部115が感知し、制御部115が、LOT2(該当する抽選箱)の抽選箱データベース104の収納アイテム記憶部D2に記憶されたアイテムから、所定の演算方法で(例えば疑似乱数で)譲渡するアイテムを選択」する「制御部115」と、前者の「前記受付手段で受け付けられた実行指示に応じて、抽選対象となる複数のオブジェクト情報の中から2以上のオブジェクト情報を決定する抽選手段」とは、「前記受付手段で受け付けられた実行指示に応じて、抽選対象となる複数のオブジェクト情報の中からオブジェクト情報を決定する抽選手段」との概念で共通する。 後者の「選択されたアイテムの名前を用いて、「(選択されたアイテムの名前)を手に入れた。」というメッセージをクライアント20-1の表示部212が表示するように出力させ」る「制御部115」と、前者の「前記抽選手段で決定された2以上のオブジェクト情報の中から少なくとも1つのオブジェクト情報を前記ユーザが選択できるように、前記端末装置に前記2以上のオブジェクト情報を表示させる提示手段」とは、「前記抽選手段で決定されたオブジェクト情報を前記端末装置に表示させる提示手段」との概念で共通する。 したがって、両者は、 「ユーザを識別するためのユーザ識別情報が記憶された記憶装置と、オブジェクトに関する情報であるオブジェクト情報が記憶された記憶装置にアクセス可能なゲーム装置であって、 ユーザが操作する端末装置から抽選の実行指示を受け付ける受付手段と、 前記受付手段で受け付けられた実行指示に応じて、抽選対象となる複数のオブジェクト情報の中からオブジェクト情報を決定する抽選手段と、 前記抽選手段で決定されたオブジェクト情報を前記端末装置に表示させる提示手段と、 を有するゲーム装置。」 の点で一致し、以下の点で相違している。 [相違点1] 前者の「記憶装置」が「ユーザを識別するためのユーザ識別情報と、オブジェクトに関する情報であるオブジェクト情報と、が対応付けて記憶され」、「対応付け手段」が「前記ユーザが選択したオブジェクト情報を、前記ユーザ識別情報に対応付けて記憶する」のに対して、後者においては「ユーザ識別情報A1」と「保有アイテム記憶部B2」とを対応付けて記憶しない点。 [相違点2] 前者の「抽選手段」が「抽選対象となる複数のオブジェクト情報の中から2以上のオブジェクト情報を決定する」のに対して、後者においては決定するオブジェクト情報が2以上ではない点。 [相違点3] 前者の「提示手段」が「前記抽選手段で決定された2以上のオブジェクト情報の中から少なくとも1つのオブジェクト情報を前記ユーザが選択できるように、前記端末装置に前記2以上のオブジェクト情報を表示させる」のに対して、後者においては表示させるオブジェクト情報が2以上ではない点。 (3)判断 上記相違点2について検討する。 引用発明2の「サーバ4」は本願発明1の「ゲーム装置」に相当し、同様に、「抽選実行手段62」は「抽選手段」に、「ゲームオプション情報」は「オブジェクト情報」にそれぞれ相当する。そして、引用発明2において「抽選実行手段62」は「抽選によってゲームオプション識別情報を特定若しくは落選を決定」し、「ゲームオプション情報が、「1」、「2」、「3」、「1、2」、「1、3」、「2、3」、「1、2、3」、なし、である抽選パターンのいずれか一つを決定する抽選を行う」ものであるから、引用発明2の「抽選手段」(「抽選実行手段62」)が行う抽選には、「1」、「2」、「3」のように1の「オブジェクト情報」(「ゲームオプション情報」)を決定する場合や、落選を決定する(「オブジェクト情報」(「ゲームオプション情報」)をなしと決定する)場合がある。そして、このような場合には、引用発明2は、2以上の「オブジェクト情報」(「ゲームオプション情報」)を決定するものではない。 そうすると、引用発明2は、上記相違点2に係る本願発明1の発明特定事項を備えるものではない。 また、上記相違点2に係る本願発明1の発明特定事項が、当業者にとって設計事項であるとする根拠もない。 よって、引用発明1において、引用発明2を適用したとしても、上記相違点2に係る本願発明1の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到できたことではない。 また、原査定に係る拒絶理由で引用された特開2007-229205号公報には、「スロットマシンを模した演出表示を行う」(段落【0077】)ことが記載されているものの、上記相違点2に係る本願発明1の発明特定事項は開示されていない。 したがって、本願発明1は、引用発明1及び2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。 (4)小括 以上のとおり、本願発明1は、当業者が引用発明1及び2に基づいて容易に発明をすることができたとはいえない。 本願発明2ないし6は、本願発明1をさらに限定したものである。また、本願発明7は、請求項1ないし6の記載を引用したプログラムの発明であって、上記相違点2に係る本願発明1の発明特定事項と同様の発明特定事項を有する。 すると、本願発明2ないし7は、本願発明1と同様に、当業者が引用発明に基づいて容易に発明をすることができたとはいえない。 よって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 第4 当審拒絶理由について 1.当審拒絶理由の概要 「この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 記 請求項4には「前記選択肢」との記載があるが、特許請求の範囲にはこの記載より前に「選択肢」という用語が記載されていないため、「前記」が何を指すのかが不明である。 よって、請求項4ないし7に係る発明は明確でない。」 2.当審拒絶理由の判断 平成28年12月21日付け手続補正書によって、本願の請求項4は上記「第2 本願発明」において摘示したとおりに補正された。 このことにより、請求項4ないし7に係る発明は明確となった。 よって、当審拒絶理由は解消した。 第5 むすび 以上のとおりであるから、原査定の理由及び当審拒絶理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2017-01-30 |
出願番号 | 特願2013-11715(P2013-11715) |
審決分類 |
P
1
8・
537-
WY
(A63F)
P 1 8・ 121- WY (A63F) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 有家 秀郎 |
特許庁審判長 |
黒瀬 雅一 |
特許庁審判官 |
植田 高盛 森次 顕 |
発明の名称 | ゲーム装置及びプログラム |
代理人 | グローバル・アイピー東京特許業務法人 |