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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G02B
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 取り消して特許、登録 G02B
管理番号 1324269
審判番号 不服2016-1125  
総通号数 207 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-03-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-01-26 
確定日 2017-02-14 
事件の表示 特願2011-270704「反射防止膜」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 6月20日出願公開、特開2013-122516、請求項の数(3)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成23年12月9日の出願であって、平成27年3月25日付けで拒絶の理由が通知され、同年5月29日付けで意見書が提出されるとともに手続補正がなされ、同年10月20日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、平成28年1月26日付けで拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正がなされ、その後、当審において同年28年9月30日付けで拒絶の理由(以下、「当審拒絶理由」という。)が通知され、同年11月8日に意見書が提出されるとともに手続補正がなされたものである。

第2 本願発明
本願の請求項1-3に係る発明は、平成28年11月8日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-3に記載された事項により特定されるものと認められる。
そのうち、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は以下のとおりである。
「【請求項1】
支持体の少なくとも一方の面に複数の層からなる光学干渉層が積層された反射防止膜の製造方法であって、
前記光学干渉層に含まれる各層は、隣接する層と互いに屈折率が異なり、
前記光学干渉層を構成する層数が5層以上であり、
前記光学干渉層に含まれる各層を形成するための水系塗布液が、無機酸化物微粒子および隣接する層と互いに鹸化度が1モル%以上、20モル%以下異なるポリビニルアルコールを含有し、
各層を形成するための塗布液を前記支持体上に同時重層塗布したのち乾燥して、前記光学干渉層を形成する工程を含むことを特徴とする反射防止膜の製造方法。」

第3 原査定の理由について
1 原査定の理由の概要
(1)特許法第29条第1項第3号(新規性)について
平成27年5月29日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1及び4に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。



引用例1:特表2009-544491号公報

引用例1に記載された反射防止膜の製造方法と、平成27年5月29日付けの手続補正で補正された請求項1及び4に係る製造方法とで、相違する点がなく、両者は同一である。

(2)特許法第29条第2項(進歩性)について
平成27年5月29日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1ないし4に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。



引用例1:特表2009-544491号公報
引用例2:特開2006-145587号公報
引用例3:特開2011-206708号公報
参考文献:Mowiol?Polyvinyl Alcohol、スイス、1999.12.発行、第B2頁

引用例1に記載された反射防止膜の製造方法と、平成27年5月29日付けの手続補正で補正された請求項1及び4に係る製造方法とで、相違する点がないので、当業者であれば、引用例1に記載された発明に基づいて、平成27年5月29日付けの手続補正で補正された請求項1及び4に係る発明を導きだすことは、容易に想到し得たことである。
ポリビニルアルコール等のポリマーをバインダとして用いて形成された低屈折率層、高屈折率層等からなる光学干渉層を有する反射防止膜の反射率として、可視光波長範囲で1.0%以下であること、及び、光学干渉層として5層以上の層構成とすることは、いずれも本願の出願前に周知技術(例.引用例2(特に、段落【0133】、【0235】を参照。))であるので、引用例1に記載の反射防止膜の製造方法に、前記周知技術を採用して、平成27年5月29日付けの手続補正で補正された請求項2及び3に係る発明を導きだすことは、当業者が容易に想到し得たことである。
なお、各種機能を有する多層塗工膜の製造技術において、隣接層のそれぞれに、鹸化度の異なるポリビニルアルコールを混合防止成分として含有させる層間混合防止技術は、本願の出願前に周知技術(例.引用例3(特に段落【0017】を参照。))である。

2 原査定の理由の判断
(1)引用例の記載事項
ア 引用例1について
引用例1には、次の事項が図とともに記載されている。
(ア)「【0001】
本発明は、柔軟支持体及び、該支持体上に、直接接触している少なくとも二つの薄層から構成されている光学用途用の柔軟材料に関する。これらの二つの層の屈折率は少なくとも0.20異なる。これらの層の一つは多孔質又はナノ多孔質で無機ナノ粒子を含み、他の層は非多孔質ポリマー層である。
【背景技術】
【0002】
誘電薄層は薄く、異なった化学化合物を含みそして典型的にはマイクロメーター又はナノメーター範囲の層厚みをもつ、通常透明な層である。誘電薄層は、表面及び境界層の光学的性質を変化させるために光学用途において使用される。入射光はそのような境界において、部分的に反射しそして部分的に透過しそして屈折する。回折挙動及び反射挙動は材料の好適な選択及び層の厚みによって大きく影響を受ける。興味ある層の厚みは、特定の用途のために興味ある波長範囲であるλ_(1)からλ_(2)の波長範囲内に位置する。
【0003】
λ/4の厚みをもついわゆるλ/4層は好ましくは反射防止コーティング及び高度に反射する誘電鏡に使用される。層厚みがλ/4の倍数である場合には、所望の効果はまだ存在するがしかし層の厚みが増大するにつれ次第に減少する。」

(イ)「【0032】
本発明により、柔軟支持体及び直接接触している少なくとも二つの層から構成され、該支持体上でそれらの屈折率の大きな差異をもつ光学用途用の柔軟材料が提供される。
また本発明の光学用途用柔軟材料は高い機械的柔軟性をもちそして大量に安価で効率的な方法で製造することができる。」

(ウ)「【0037】
低屈折率をもつ多孔質又はナノ多孔質層及び、直接接触した、高屈折率をもつ非多孔質層からなる多層が本発明に従った材料の最も小さな基本単位である。本発明に従った材料は少なくとも一つのそのような多層又はそのような多層の多数からなり、そこでは、異なった層の屈折率の差異、層の配向性、層の組成及びそれらの厚さは用途分野に依存する。
【0038】
低屈折率をもちそして無機ナノ粒子を含む本発明に従った材料の多孔質又はナノ多孔質層は、0.2μmから60.0μm、好ましくは1.0μmから40.0μm、より好ましくは2.0μmから20.0μmの乾燥した厚さをもつ。
【0039】
高屈折率をもつ本発明に従った材料の非多孔質ポリマー層は、0.2μmから2.5μm、好ましくは0.2μmから2.0μm、より好ましくは0.3μmから0.8μmの乾燥した厚さをもつ。

・・・略・・・

【0051】
天然の、沈殿した、煙状の金属酸化物、金属酸化物/水酸化物及び天然または合成ゼオライトが、低屈折率をもつ多孔質又はナノ多孔質層の調製のための無機ナノ粒子として使用される。SiO_(2)(シリカ)、Al_(2)O_(3)、TiO_(2)、ZnO、ZrO_(2)及びSnO_(2)又はインジウム又はスズの混合酸化物が金属酸化物として使用される。これらの化合物の全ての混合物を使用することもまた可能である。AlOOHは、例えば、金属酸化物/水酸化物として使用される。

・・・略・・・

【0070】
無機ナノ粒子を含みそして低屈折率をもつ多孔質又はナノ多孔質層のために好適なバインダーは一般に水溶性の親水性ポリマーである。完全に又は部分的に加水分解したポリビニルアルコール又は酢酸ビニルと他のモノマーのコポリマー;変性したポリビニルアルコール;ポリエチレンオキサイド;(メタ)アクリルアミドのホモポリマー又はコポリマー;ポリビニルピロリドン;ポリビニルアセタール;ポリウレタン及びデンプン、セルロース又はヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのような変性セルロース及びゼラチンのような合成、天然又は変性した天然ポリマーが使用される。全てのこれらのポリマーはまた混合物としても使用される。

・・・略・・・

【0078】
高屈折率をもつ非多孔質ポリマー層は、完全に又は部分的に加水分解したポリビニルアルコール又は酢酸ビニルと他のモノマーのコポリマー;変性したポリビニルアルコール;ポリエチレンオキサイド;(メタ)アクリルアミドのホモポリマー又はコポリマー;ポリビニルピロリドン;ポリビニルアセタール;ポリウレタン及びデンプン、セルロース又はヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのような変性セルロース及びゼラチン又はそれらの混合物のような合成、天然又は変性した天然水溶性ポリマーを含む。好ましい合成ポリマーは変性ポリビニルアルコール;ポリウレタン(メタ)アクリレート化したポリブタジエン、(メタ)アクリルアミドとポリ(アクリロニトリル)のコポリマー又はそれらの混合物である。

・・・略・・・

【0087】
本発明の別の態様においては、高屈折率をもつ非多孔質ポリマー層は、バインダーに加えて、さらに屈折率を増大させる非多孔質無機化合物を含む。非多孔質ポリマー層中で使用されたポリマーよりも、200nmから2500nmの興味深い波長範囲でより高い屈折率をもつ無機化合物がこの目的のために使用される。非多孔質層の屈折率は無機化合物の添加によって増大する。無機ナノ粒子を含みそして低屈折率をもつ多孔質又はナノ多孔質層と対比して、使用したポリマーに対する無機化合物の割合は細孔度が生じないように低く保たれるが、それはガス充填された細孔の存在が屈折率を減少させるためである。層は、細孔容積対合計容積の割合が4%以下である場合に、“非多孔質”である。
【0088】
得られる非多孔質層の効果的に達成可能な屈折率は常に、無機化合物を含まない非多孔質層の屈折率と無機化合物の屈折率の間にある。
本発明の好ましい態様においては、これらの無機ナノ粒子(主要粒子)の平均粒子径は好ましくは5nmから200nmである。特に好ましいのは、10から60nmの範囲のサイズである。無機ナノ粒子は好ましくは狭いサイズ分布をもち、そこでは主要粒子の少なくとも90%が、前述の2倍平均径より小さな直径をもちそして前述の3倍平均径より大きな直径をもつ主要粒子が実際上存在しない。
【0089】
非多孔質ポリマー層中のそのような好ましいナノ粒子の例はPbS、TiO_(2)、SiO_(2)、Al_(2)O_(3)、ZrO_(2)、ZnO及びSnO_(2)である。
本発明の別の態様においては、無機化合物は例えばポリ(ジブチルチタネート)のようなポリマーである。

・・・略・・・

【0100】
光学用途用のそのような柔軟材料の調製のための、本発明の第二の態様においては、高屈折率をもつ非多孔質ポリマーが最初に柔軟性支持体に適用される。その後、無機ナノ粒子を含む多孔質又はナノ多孔質層及びバインダー、そして所望により、その他の成分がコートされた柔軟支持体に適用される。

・・・略・・・

【0103】
本発明の別の態様においては、それぞれ無機ナノ粒子を含みそして低屈折率をもつ多孔質又はナノ多孔質層及び高屈折率をもつ非多孔質層からなる他の層が、一つの工程で同時に、インジウムスズ酸化物又は金属の被覆をもつ柔軟な金属、紙又はプラスチック支持体に適用される。この方法でコートされた柔軟支持体は後で乾燥される。」

(エ)「【実施例1】
【0111】
低屈折率をもちそして表2に示される組成(乾燥状態で)をもつ多孔質又はナノ多孔質層を、代理の透明ポリエステルフィルム、デュポン帝人フィルム社、ルクセンブルグから市販されているクロナール(商標)742に適用(塗布)した。
【0112】
【表2】

【0113】
表面変性されたSiO_(2)(シリカ)は、特許文献17の実施例1の方法に従って調製された。ポリビニルアルコールCは、オムヤAG社(スイス)からモビオール(Mowiol)40-88として市販されている。架橋剤は、シュバイツエルハールケミーAG、バッセル、スイスから市販されているホウ酸である。
【0114】
高屈折率をもちそしてポリビニルアルコールBからなる、約0.24μmの厚さをもつ非多孔質層を、この低屈折率をもつ多孔質又はナノ多孔質層に適用した。ポリビニルアルコールBは、オムヤAG社(スイス)からモビオール(Mowiol)56-98として市販されている。」

(オ)上記(エ)に示した低屈折率をもつ多孔質又はナノ多孔質層に含まれる「ポリビニルアルコールC」である「モビオール(Mowiol)40-88」及び高屈折率をもつ非多孔質層に含まれる「ポリビニルアルコールB」である「モビオール(Mowiol)56-98」の鹸化度は、それぞれ87.7±1.0モル%及び98.4±0.4モル%である(例えば、参考文献の第B2頁を参照。)。

(カ)引用例1の実施例1(上記(エ))は、上記(ア)ないし(ウ)に記載された事項を前提にするものであるから、上記(ア)ないし(オ)から、引用例1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。
「低屈折率をもち、表面変成SiO_(2)を6.000g/m^(2)、ポリビニルアルコールCを1.300g/m^(2)、架橋剤を0.229g/m^(2)の組成(乾燥状態で)をもつ多孔質又はナノ多孔質層を、透明ポリエステルフィルム、デュポン帝人フィルム社、ルクセンブルグから市販されているクロナール(商標)742に適用(塗布)し、(段落【0111】)
ポリビニルアルコールCは、オムヤAG社(スイス)から市販されているモビオール(Mowiol)40-88であり、その鹸化度は87.7±1.0モル%であり、(上記(オ))
高屈折率をもちそしてポリビニルアルコールBからなる、約0.24μmの厚さをもつ非多孔質層を、この低屈折率をもつ多孔質又はナノ多孔質層に適用し、(段落【0114】)
ポリビニルアルコールBは、オムヤAG社(スイス)から市販されているモビオール(Mowiol)56-98であり、その鹸化度は98.4±0.4モル%である、
光学用途用の柔軟材料の製造方法。(段落【0032】)」

イ 引用例2について
引用例2には、次の事項が図とともに記載されている。
「【0126】
《反射防止層》
本発明に係る光干渉による反射防止層について説明する。

・・・略・・・

【0132】
本発明の防眩性反射防止フィルムは低屈折率層のみの単層構成でも、また多層の屈折率層を設けることも好ましい。透明なフィルム支持体上に、防眩性ハードコート層、中間層を有し、その微細凹凸形状表面上に光学干渉によって反射率が減少するように屈折率、膜厚、層の数、層順等を考慮して積層出来る。反射防止層は、支持体よりも屈折率の高い高屈折率層と、支持体よりも屈折率の低い低屈折率層を組み合わせて構成したり、特に好ましくは、3層以上の屈折率層から構成される反射防止層であり、支持体側から屈折率の異なる3層を、中屈折率層(支持体または防眩性ハードコート層よりも屈折率が高く、高屈折率層よりも屈折率の低い層)/高屈折率層/低屈折率層の順に積層されているものが好ましい。
【0133】
または、2層以上の高屈折率層と2層以上の低屈折率層とを交互に積層した4層以上の層構成の反射防止層も好ましく用いられる。

・・・略・・・

【0137】
〈低屈折率層〉
本発明に係る低屈折率層では以下の中空球状シリカ系微粒子が好適に用いられる。

・・・略・・・

【0181】
また、低屈折率層は、5?50質量%の量のポリマーを含むことも出来る。ポリマーは、微粒子を接着し、空隙を含む低屈折率層の構造を維持する機能を有する。ポリマーの使用量は、空隙を充填することなく低屈折率層の強度を維持出来るように調整する。ポリマーの量は、低屈折率層の全量の10?30質量%であることが好ましい。ポリマーで微粒子を接着するためには、・・・略・・・或いは(3)微粒子間のバインダーとして、ポリマーを使用することが好ましい。・・・略・・・(3)のポリマーは、低屈折率層の塗布液にモノマーを添加し、低屈折率層の塗布と同時または塗布後に、重合反応により形成することが好ましい。・・・略・・・(1)表面処理、(2)シェル及び(3)バインダーについて順次説明する。

・・・略・・・

【0187】
(3)バインダー
バインダーポリマーは、飽和炭化水素またはポリエーテルを主鎖として有するポリマーであることが好ましく、飽和炭化水素を主鎖として有するポリマーであることが更に好ましい。・・・略・・・
【0188】
バインダーポリマーは、低屈折率層の塗布液にモノマーを添加し、低屈折率層の塗布と同時または塗布後に重合反応(必要ならば更に架橋反応)により形成することが好ましい。低屈折率層の塗布液に、少量のポリマー(例えば、ポリビニルアルコール、ポリオキシエチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース、ニトロセルロース、ポリエステル、アルキド樹脂)を添加してもよい。

・・・略・・・

【0198】
〈高屈折率層及び中屈折率層〉
本発明においては、反射率の低減のために、防眩性ハードコート層、中間層を付与した透明支持体と低屈折率層との間に、高屈折率層を設けることが好ましい。また、該透明支持体と高屈折率層との間に中屈折率層を設けることは、反射率の低減のために更に好ましい。高屈折率層の屈折率は、1.55?2.30であることが好ましく、1.57?2.20であることが更に好ましい。中屈折率層の屈折率は、透明支持体の屈折率と高屈折率層の屈折率との中間の値となるように調整する。中屈折率層の屈折率は、1.55?1.80であることが好ましい。高屈折率層及び中屈折率層の厚さは、5nm?1μmであることが好ましく、10nm?0.2μmであることが更に好ましく、30nm?0.1μmであることが最も好ましい。高屈折率層及び中屈折率層のヘイズは、5%以下であることが好ましく、3%以下であることが更に好ましく、1%以下であることが最も好ましい。高屈折率層及び中屈折率層の強度は、1kg荷重の鉛筆硬度でH以上であることが好ましく、2H以上であることが更に好ましく、3H以上であることが最も好ましい。

・・・略・・・

【0208】
本発明に用いられる高屈折率層及び中屈折率層は、微粒子として金属酸化物粒子を含み、更にバインダーポリマーを含むことが好ましい。

・・・略・・・

【0235】
(反射防止層の反射率)
本発明に係る反射防止層は、450nm?650nmにおける平均反射率が1%以下であることが好ましく、特に好ましくは0.5%以下である。また、この範囲における最低反射率は0.00?0.3%にあることが特に好ましい。
反射防止層の屈折率と膜厚は、分光反射率の測定より計算して算出することが出来る。また、作製した低反射フィルムの反射光学特性は、分光光度計を用い、5度正反射の条件にて反射率を測定することが出来る。この測定法において、反射防止層が塗布されていない側の基板面を粗面化した後、黒色のスプレーを用いて光吸収処理を行い、フィルム裏面での光の反射を防止して、反射率が測定される。」

ウ 引用例3について
引用例3には、次の事項が図とともに記載されている。
(ア)「【0001】
本発明は、多層塗工膜の製造方法及び該製造方法により得られる多層塗工膜に関する。さらに詳しくは、複数の塗工液を一括で塗布することにより、層間の密着性が良好な多層塗工膜を、簡便かつ生産性良く製造する方法及び該方法により得られる多層塗工膜に関する。
【背景技術】
【0002】
多層塗工膜の形成には、「有機溶剤系」塗工液を用いる方法と、「水系」塗工液を用いる方法が知られているが、工業的に実施する場合における環境保全や健康の観点から、水系塗工液や、有害物質であるトルエン等を使わない、いわゆるノントル系の塗工液を用いる方法が好ましいと言える。
多層塗工膜の形成方法としては、複数の塗工液を用いて、塗布と乾燥処理を繰り返すタンデム塗工方式が知られている。該タンデム塗工方式では、下層塗工液が上層塗工液によって流されることのないよう、上層塗工液を塗布する前に下層を定着させておく必要がある。特に、水系塗工液を用いた多層塗工膜の製造では、1つの乾燥工程に非常に多くの時間及びエネルギーを要するため、塗布と乾燥処理を繰り返すタンデム塗工方式では極めて多くの時間及びエネルギーが必要となり、該タンデム塗工方式は水系塗工液を用いた多層塗工膜の製造には適さない。また、タンデム塗工方式では、塗布と乾燥処理を繰り返すために、層間に必然的に空気が入り込むため、層間密着性が不十分となる傾向にある。さらには、層数を増やすほど異物混入の確立が高まるため、このことが歩留まりの低下につながる。
【0003】
一方、上記問題を解決する方法として、走行する基材上に1回の塗布プロセスにより多層を形成する多層塗工方式が知られており、該多層塗工方式は、写真フィルム等の塗工プロセスに広く利用されている。多層塗工方式は、例えば図1に示すように、塗布ヘッド1における複数の狭いスリットから塗工液A及びBを押し出し、傾斜したスライド面2上を重力の作用により自然流下させ、重なりあった塗工液A及びBをロール3によって、走行する基材4上に転移させて多層塗工膜を形成するものである。
水系塗工液を用いた方法であって、このような多層塗工方式を採用した方法としては、ゼラチンをバインダーとするハロゲン化乳化剤を同時多層塗布し、その後冷却する方法(特許文献1参照)が知られている。この方法は、ゼラチンのゾル-ゲル変換特性を利用して多層膜をゲル化させて超高粘状態にし、層間の混合を起こり難くした上で熱風乾燥等により塗膜(塗工膜)を形成するものである。

・・・略・・・

【0007】
本発明は、このような状況下になされたものであり、1回の塗布プロセスにより多層を形成する多層塗工方式であり、粘度を調整して積層させるゼラチン等のゲル化剤や増粘剤等を用いる必要性がなく、かつ操作が簡易であり、さらには、例えばハードコート性や透明性等の各種機能を付与し得る多層塗工膜の製造方法であって、複数の塗工液を一括で塗布することにより、層間の密着性が良好な多層塗工膜を、簡便かつ生産性良く製造する方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、1回の塗布プロセスにより多層を形成する多層塗工方式において、接する2種の塗工液の少なくとも一方に、2種の塗工液の混合を防止する混合防止成分を予め混入しておくことにより、塗工液間の界面が確保され、層間の密着性が良好な多層塗工膜を、簡便かつ生産性良く製造し得ることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。」

(イ)「【0016】
本発明においては、接する2種の塗工液の少なくとも一方に、混合防止成分を予め混入する方法として、(a)親水性有機溶剤に対する溶解度が50mg/100ml以上であり、且つ水に対する溶解度が1mg/100ml以下である混合防止成分を、親水性有機溶剤系塗工液に予め混入する方法、及び/又は(b)水に対する溶解度が50mg/100ml以上であり、且つ親水性有機溶剤に対する溶解度が1mg/100ml以下である混合防止成分を、水系塗工液に予め混入する方法を用いることができる。該方法としては、方法(a)が好ましい。
親水性有機溶剤又は水に対する溶解度が50mg/100ml以上というのは、任意に溶解するものをも含むことを意味する。
なお、「親水性有機溶剤に対する溶解度が50mg/100ml以上であり、且つ水に対する溶解度が1mg/100ml以下である混合防止成分」は、好ましくは、親水性有機溶剤に対する溶解度が70mg/100ml以上であり、且つ水に対する溶解度が1mg/100ml以下である混合防止成分であり、より好ましくは、親水性有機溶剤に対する溶解度が80mg/100ml以上であり、且つ水に対する溶解度が1mg/100ml以下である混合防止成分であり、さらに好ましくは、親水性有機溶剤に対する溶解度が100mg/100ml以上であり、且つ水に対する溶解度が0.5mg/100ml以下である混合防止成分である。
また、「水に対する溶解度が50mg/100ml以上であり、且つ親水性有機溶剤に対する溶解度が1mg/100ml以下である混合防止成分」は、好ましくは、「水に対する溶解度が70mg/100ml以上であり、且つ親水性有機溶剤に対する溶解度が1mg/100ml以下である混合防止成分」であり、より好ましくは、「水に対する溶解度が80mg/100ml以上であり、且つ親水性有機溶剤に対する溶解度が1mg/100ml以下である混合防止成分」であり、さらに好ましくは、「水に対する溶解度が100mg/100ml以上であり、且つ親水性有機溶剤に対する溶解度が0.5mg/100ml以下である混合防止成分」である。
【0017】
(混合防止成分)
親水性有機溶剤に対する溶解度が50mg/100ml以上であり、且つ水に対する溶解度が1mg/100ml以下である混合防止成分としては、けん化度30?45モル%(好ましくは30?40モル%)のポリビニルアルコール(PVA)、スルホン化度5?20モル%のポリスチレンスルホン酸及びその塩、スルホン化度5?20モル%のポリビニルスルホン酸及びその塩等が挙げられる。前記その塩としては、いずれも、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩等が挙げられる。
なお、前記PVA、ポリスチレンスルホン酸及びその塩、ポリビニルスルホン酸及びその塩の重量平均分子量は、1万?10万が好ましい。ここで、本明細書において、重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算の値である。
また、水に対する溶解度が50mg/100ml以上であり、且つ親水性有機溶剤に対する溶解度が1mg/100ml以下である混合防止成分としては、けん化度80?100モル%のポリビニルアルコール(PVA)、スルホン化度60?100モル%のポリスチレンスルホン酸及びその塩、スルホン化度60?100モル%のポリビニルスルホン酸及びその塩等が挙げられる。なお、前記PVAの重量平均分子量は1万?10万が好ましく、ポリスチレンスルホン酸の重量平均分子量は1万?10万が好ましい。
接する2種の塗工液の少なくとも一方に混入する混合防止成分の含有量に特に制限はないが、過剰に添加せずに塗工液間の拡散混合を防止する観点から、該混合防止成分を含む塗工液の固形分量に基づき、通常、好ましくは1?30質量%、より好ましくは1?20質量%、より好ましく3?18質量%、さらに好ましくは5?16質量%である。
【0018】
水系塗工液と親水性有機溶剤系塗工液は、互いに親和性があるため、通常であれば両者は混ざり合うが、本発明では、混合防止成分を用いることにより、2種の塗工液の拡散混合を防止又は抑制し、界面を安定的に確保することができた。中間層を挿入するといった実施形態ではないにも関わらず、なぜ混合を効率的に防止又は抑制できたかは明確にはわからないが、混入した混合防止成分が塗工液全体の性質に影響を及ぼし、その結果、層界面を確保できる程度に、他方の塗工液に対する親和性を効率的に低下させることができたためと推測される。」

(2)対比及び判断
ア 本願発明と引用発明との対比及び判断
本願発明と引用発明とでは、少なくとも以下の点で相違する。

相違点1:
本願発明は、支持体の少なくとも一方の面に複数の層からなる光学干渉層が積層された「反射防止膜」の製造方法であって、「光学干渉層を構成する層数が5層以上」であり、光学干渉層に含まれる各層を形成するための塗布液が「水系塗布液」であり、隣接する層に「互いに鹸化度が1モル%以上、20モル%以下異なるポリビニルアルコールを含有」して、これを支持体上に「同時重層塗布」する方法であるのに対し、
引用発明は、透明ポリエステルフィルムに低屈折率をもつ多孔質又はナノ多孔質層及び高屈折率をもつ非多孔質層とが積層された光学用途用の柔軟材料の製造方法であって、低屈折率をもつ多孔質又はナノ多孔質層と、高屈折率をもつ非多孔質層との2層を積層し、各層を形成する塗布液が水系塗布液であるかどうか明らかでなく、低屈折率をもつ多孔質又はナノ多孔質層と、高屈折率をもつ非多孔質層とがそれぞれ、互いに鹸化度が87.7±1.0モル%及び98.4±0.4モル%であるポリビニルアルコールを含有し、低屈折率をもつ多孔質又はナノ多孔質層上に、高屈折率をもつ非多孔質層を塗布により形成している点。

相違点2:
本願発明は、光学干渉層に含まれる各層を形成するための塗布液が、「無機酸化物微粒子」を有しているのに対し、
引用発明は、高屈折率をもつ非多孔質層に、無機酸化物微粒子を有していない点。

イ 上記アからみて、引用発明は、上記相違点1及び2において本願発明と相違していることから、本願発明は、引用発明と同一でなく、引用例1に記載された発明ではない。

ウ 上記相違点1について検討する。
(ア)引用例1には、【実施例1】において、低屈折率をもつ多孔質又はナノ多孔質層及び高屈折率をもつ非多孔質層との2層を積層した際に、それぞれの層に含有されるポリビニルアルコールの鹸化度が87.7±1.0モル%及び98.4±0.4モル%であるものを使用しており、これらの鹸化度の差は、9.3モル%?12.1モル%である。

(イ)ここで、引用例1には、「本発明は、柔軟支持体及び、該支持体上に、直接接触している少なくとも二つの薄層から構成されている光学用途用の柔軟材料に関する。」(段落【0001】)と記載されており、「少なくとも二つの薄層」との用語からみて、引用発明には、「透明ポリエステルフィルム」上に積層される「低屈折率をもつ多孔質又はナノ多孔質層及び高屈折率をもつ非多孔質層」とからなる積層を2層以上としても良いことが示唆されている。

(ウ)しかしながら、引用例1には、「低屈折率をもつ多孔質又はナノ多孔質層及び高屈折率をもつ非多孔質層」とからなる積層を、本願発明同様に「5層以上」としたときに、各層に鹸化度が1モル%以上、20モル%以下異なるポリビニルアルコールを用いることについて記載されておらず、また示唆もない。

(エ)さらに、引用発明は、支持体である「透明ポリエステルフィルム」上に「低屈折率をもつ多孔質又はナノ多孔質層」を塗布にて形成し、その上に「高屈折率をもつ非多孔質層」を塗布にて形成していることから、その層構造は、支持体/低屈折率をもつ多孔質又はナノ多孔質層/高屈折率をもつ非多孔質層となり、当該積層構造が、反射防止膜の層構造とは異なることは技術常識からみて明らかである。

(オ)ここで、引用例1には、「λ/4の厚みをもついわゆるλ/4層は好ましくは反射防止コーティング及び高度に反射する誘電鏡に使用される。」(段落【0003】)と記載されていることから、引用発明の「透明ポリエステルフィルムに低屈折率をもつ多孔質又はナノ多孔質層及び高屈折率をもつ非多孔質層とが積層された光学用途用の柔軟材料」を、反射防止膜として用いることについて一応示唆されているものの、引用例1には、引用発明の「光学用途用の柔軟材料」を本願発明同様に「5層以上」の「反射防止膜」として用いた際に、各層に鹸化度が1モル%以上、20モル%以下異なるポリビニルアルコールを用いることについて記載されておらず、また示唆もない。

(カ)引用例1には、「本発明の別の態様においては、それぞれ無機ナノ粒子を含みそして低屈折率をもつ多孔質又はナノ多孔質層及び高屈折率をもつ非多孔質層からなる他の層が、一つの工程で同時に、インジウムスズ酸化物又は金属の被覆をもつ柔軟な金属、紙又はプラスチック支持体に適用される。」(段落【0103】)との記載から、「低屈折率をもつ多孔質又はナノ多孔質層及び高屈折率をもつ非多孔質層」の2層を同時重層塗布することについて、示唆されているが、引用例1には本願発明のように「5層以上」の層を「同時重層塗布」することについて記載されておらず、また示唆もない。

(キ)引用例2には、「2層以上の高屈折率層と2層以上の低屈折率層とを交互に積層した4層以上の層構成の反射防止層」(段落【0133】)と記載されており、反射防止膜において低屈折率層と高屈折率層をそれぞれ2層以上、合わせて4層以上の反射防止膜とすることは、本願の出願前において、周知技術であったともいえる。

(ク)しかしながら、引用例2には、5層以上の反射防止膜の低屈折率層と高屈折率層に、それぞれ鹸化度の異なるポリビニルアルコールを含有することについては、記載ないし示唆はない。

(ケ)引用例3には、「1回の塗布プロセスにより多層を形成する多層塗工方式において、接する2種の塗工液の少なくとも一方に、2種の塗工液の混合を防止する混合防止成分を予め混入」(段落【0008】)すること、前記「混合防止成分」として「「多層塗工方式」において、「親水性有機溶剤に対する溶解度が50mg/100ml以上であり、且つ水に対する溶解度が1mg/100ml以下である混合防止成分としては、けん化度30?45モル%(好ましくは30?40モル%)のポリビニルアルコール(PVA)」及び「水に対する溶解度が50mg/100ml以上であり、且つ親水性有機溶剤に対する溶解度が1mg/100ml以下である混合防止成分としては、けん化度80?100モル%のポリビニルアルコール(PVA)」(段落【0017】)が例示されている。

(コ)しかしながら、引用例3には、互いに接する層の間で、少なくともいずれか一方に混合防止成分を混入することについては記載されているものの、互いに接する層の間で、鹸化度が異なるポリビニルアルコールをそれぞれ用いることについては、記載ないし示唆はない。

(サ)上記(ア)ないし(ク)からみて、引用例1ないし引用例3には、相違点1に係る本願発明の構成について、記載ないし示唆はなく、当業者であっても引用発明、引用例2及び引用例3に記載された事項に基づいて、上記構成のようになすことは容易に想到し得たことであるとはいえない。

(シ)上記(ア)ないし(サ)からみて、上記相違点2については検討するまでもなく、本願発明は引用例1に記載された発明ではなく、かつ、当業者が引用例1ないし引用例3に基づいて容易に想到し得たものでもない。

(3)小括
上記(2)からみて、本願発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された引用例1に記載された発明ではなく、また、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された引用例1ないし引用例3に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたとはいえない。
よって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することができない。

第4 当審拒絶理由について
1 当審拒絶理由の概要
(1)特許法第29条第2項(進歩性)について
平成28年1月26日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1及び請求項1の記載を引用する請求項2及び4に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。



引用例1:特表2009-544491号公報
引用例2:特開2006-145587号公報
参考文献:Mowiol?Polyvinyl Alcohol、スイス、1999.12.発行、第B2頁

(2)特許法第36条第6項第1号(サポート要件)について
本願は、平成28年1月26日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の記載が下記の点で不備であり、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。



本願明細書の発明の詳細な説明には、光学干渉層に含まれる各層を水系塗布液から形成していること、及び、隣接する層とのポリビニルアルコールの鹸化度の差が1モル%以上であることが記載されているところ、平成28年1月26日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1には、それぞれ「各層を形成するための塗布液」及び「隣接する層と互いに鹸化度が20モル%以下異なる」としか記載されていないことから、平成28年1月26日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1及び請求項1の記載を引用する請求項2ないし4に係る発明は、発明の詳細な説明に記載されたものではない。

2 当審拒絶理由の判断
平成28年11月8日付け手続補正書によって、上記1(1)の当審拒絶理由に対応する請求項1が削除されると共に、上記1(1)の当審拒絶理由の無い補正前の請求項3を新たな請求項1とし、さらに鹸化度の異なるのが「1モル%以上」と限定する補正がなされた。
よって、上記1(1)で示した当審拒絶理由は解消した。

(2)特許法第36条第6項第1号(サポート要件)について
平成28年11月8日付け手続補正書によって、本願の請求項1は「・・・各層を形成するための水系塗布液が、・・・隣接する層と互いに鹸化度が1モル%以上、20モル%以下異なるポリビニルアルコールを含有し・・・」と補正された。このことにより、請求項1に係る発明は、発明の詳細な説明に記載されたものとなった。
よって、上記1(2)で示した当審拒絶理由は解消した。

(3)小括
そうすると、もはや、当審で通知した拒絶理由によって本願を拒絶することはできない。

第5 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2017-01-27 
出願番号 特願2011-270704(P2011-270704)
審決分類 P 1 8・ 113- WY (G02B)
P 1 8・ 121- WY (G02B)
最終処分 成立  
前審関与審査官 小西 隆  
特許庁審判長 鉄 豊郎
特許庁審判官 河原 正
渡邉 勇
発明の名称 反射防止膜  
代理人 八田国際特許業務法人  

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