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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G03G
管理番号 1324273
審判番号 不服2016-8421  
総通号数 207 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-03-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-06-07 
確定日 2017-02-20 
事件の表示 特願2013-273163「画像形成装置」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 6月19日出願公開、特開2014-112237、請求項の数(14)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成23年9月6日に出願した特願2011-194414号の一部を、平成25年2月21日に新たな特許出願とした特願2013-32416号の一部を、同年12月27日に新たな特許出願としたものであって、平成26年9月4日付け、及び平成28年2月5日付けで手続補正書が提出され、同年3月3日付けで拒絶査定がなされ(謄本送達日同年同月8日)、同年6月7日付けで審判請求書が提出されると同時に、手続補正書が提出されたものである。

第2 原査定の概要
原査定(平成28年3月3日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

本願請求項1、2、12は、特開2003-098771号公報(以下「引用文献1」という。)に記載の発明、及び特開2005-283898号公報(以下「引用文献2」という。)に記載の発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。

第3 平成28年6月7日付け手続補正(以下「本件補正」という。)の適否
本件補正は、特許法第17条の2第3項から第6項までの要件に違反しているものとは認められない。
本件補正による特許請求の範囲の補正は、特許請求の範囲の減縮及び請求項の削除を目的とするものであり、「第4 本願発明」から「第6 当審の判断」までに示すように、補正後の請求項1ないし14に係る発明は、独立特許要件を満たすものである。

第4 本願発明
本願請求項1ないし14に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明14」という。)は、平成28年6月7日付けの手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1ないし14に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりの発明である。

【請求項1】
用紙に測定用画像を形成する画像形成手段と、
前記測定用画像を加熱して前記用紙に定着させる定着手段と、
搬送経路に沿って前記用紙を搬送する搬送手段と、
前記用紙に定着された前記測定用画像の色を測定する測定手段と、
前記搬送手段による前記用紙の搬送を制御する制御手段と、を有し、
前記測定手段が前記測定用画像の測定を実行する場合、前記測定用画像が定着された前記用紙の種類に対応する冷却時間に基づき前記用紙の温度を低下させるために、前記測定手段が前記測定用画像の測定を実行する場合において前記用紙が前記定着手段を通過してから前記用紙が前記測定手段の測定位置を通過するまでの時間が、前記測定手段が前記測定用画像の測定を実行しない場合において前記用紙が前記定着手段を通過してから前記用紙が前記測定位置を通過するまでの時間よりも長くなるように、前記制御手段は前記用紙の種類に基づいて前記搬送手段を制御することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記搬送手段は、前記定着手段を通過した前記用紙の搬送方向を反転し、
前記測定手段が前記測定用画像の測定を実行する場合において前記用紙が前記定着手段を通過し終えてから前記搬送手段により前記搬送方向が反転された前記用紙が前記測定手段の測定位置を通過し終えるまでの時間が、前記測定手段が前記測定用画像の測定を実行しない場合において前記用紙が前記定着手段を通過し終えてから前記搬送手段により前記搬送方向が反転された前記用紙が前記測定位置を通過し終えるまでの時間よりも長くなるように、前記制御手段は前記用紙の種類に基づいて前記搬送手段を制御することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記搬送経路は、前記搬送経路の前記測定位置の下流に反転部を有し、
前記搬送手段は、前記反転部を用いて前記測定用画像が定着された前記用紙の搬送方向を反転し、
前記測定手段が前記測定用画像の測定を実行する場合において前記用紙が前記定着手段測定手段の測定位置を通過し終えるまでの時間が、前記測定手段が前記測定用画像の測定を実行しない場合において前記用紙が前記定着手段を通過し終えてから前記搬送手段により前記搬送方向が反転された前記用紙の前記後端が前記測定位置を通過し終えるまでの時間よりも長くなるように、前記制御手段は前記用紙の種類に基づいて前記搬送手段を制御することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記測定用画像が定着された前記用紙の温度が45℃以下となるように、前記用紙の種類に基づいて前記搬送手段を制御することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記用紙の種類に関する情報を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された前記情報に基づいて所定時間を決定する決定手段と、をさらに有し、
前記制御手段は、前記測定手段が前記測定用画像の測定を実行する場合において、前記用紙が前記定着手段を通過してから前記測定手段が前記用紙に定着された前記測定用画像を測定するまでに、前記用紙を前記所定時間停止させることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記用紙の種類に関する情報を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された前記情報に基づいて所定時間を決定する決定手段と、をさらに有し、
前記搬送手段は、前記搬送経路の前記反転部に搬送された前記用紙をスイッチバックすることによって前記用紙の搬送方向を反転し、
前記制御手段は、前記測定手段によって測定を実行する場合において、前記搬送手段により前記反転部に搬送された前記用紙を前記所定時間待機させることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記情報は、前記用紙の表面性に関する前記情報を含むことを特徴とする請求項5又は6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記情報は、前記用紙の坪量に関する前記情報を含むことを特徴とする請求項5乃至7のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記情報は、前記用紙の厚みに関する前記情報を含むことを特徴とする請求項5乃至8のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記制御手段は、前記測定手段によって測定を実行する場合において前記搬送手段により搬送される前記用紙の速度を、前記測定手段によって測定を実行しない場合において前記搬送手段により搬送される前記用紙の速度より遅くなるように、前記用紙の種類に基づいて前記搬送手段を制御することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記制御手段は、前記測定手段によって測定を実行する場合において前記搬送手段により反転された前記用紙が前記搬送手段により搬送される速度を、前記測定手段によって測定を実行しない場合において前記搬送手段により反転された前記用紙が前記搬送手段により搬送される速度よりも遅くすることを特徴とする請求項2乃至4のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項12】
変換条件に基づいて画像データを変換する変換手段と、
前記測定手段の測定結果に基づいて、前記変換条件を生成する生成手段と、をさらに有し、
前記画像形成手段は、前記変換手段により変換された前記画像データに基づいて画像を形成することを特徴とする請求項1乃至11のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記変換条件は、前記画像形成手段により形成される画像の色味を調整するためのプロファイルであることを特徴とする請求項12に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記測定手段は、
前記測定用画像が定着された前記用紙に光を照射する照射部と、
前記用紙上の前記測定用画像からの反射光を回折する回折格子と、
前記回折格子により回折された前記反射光を受光するラインセンサと、を有することを特徴とする請求項1乃至13のいずれか一項に記載の画像形成装置。

第5 引用文献、引用発明等
1 引用文献1
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1には、以下の記載がある。

(1) 「【請求項1】 感光体と、この感光体上に静電潜像を形成する潜像形成手段と、静電潜像を現像してトナー像とする現像手段と、トナー像を転写材に転写する転写手段と、転写材に転写された像を定着させる定着手段と、転写材を供給する供給手段と、転写材をその搬送経路に配置したローラ、コロ、リブで搬送する搬送手段と、転写材上に形成した色味または濃度検出用トナーパッチに対して光を照射する光源とトナーパッチからの反射光を受光する受光手段とからなる検出手段とを有し、前記検出手段の出力に基づき画像の色味または濃度を制御するカラー画像形成装置において、前記トナーパッチは、前記転写材上のうち、転写ローラ、定着ローラ、加圧ローラといった画像形成に不可欠なローラを除く前記転写材の搬送経路のローラ、コロ、リブが接しない位置に形成したことを特徴とするカラー画像形成装置。」

(2) 「【0011】すなわち、転写材の供給口から定着器を経てセンサまでの搬送経路にはローラやコロやリブが存在するので、転写材がこれらとの摩擦により帯電し定着されていないトナーを吸着し、その表面にトナー汚れが発生する。また、ローラやコロなどがトナーパッチの表面をこするので、その表面にミクロな筋や紙の繊維によるがさつきが発生する。このような現象が発生すると、トナーパッチの色が混色し、明度が変わり、その正反射光がカラーセンサに混入し、正しい反射光の分光反射率測定が妨げられるという問題があった。特に、定着器の熱の影響を避けるために、カラーセンサを両面ユニットのスイッチバッチ機能内といった、定着器から離れた位置に設ける場合には、転写・定着後の搬送経路が長くなるため、ローラ、リブ、コロの影響をより受けやすくなるという問題があった。」

(3) 上記(2)の「転写材」の「表面」に「紙の繊維によるがさつきが発生する。」という記載から、「転写材」が「紙」であることは自明である。また、上記(2)の「定着器」、「カラーセンサ」はそれぞれ(1)の「定着手段」、「検出手段」であることは自明である。

上記(1)から(3)を総合すると、引用文献1には以下の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されている。

「感光体と、この感光体上に静電潜像を形成する潜像形成手段と、静電潜像を現像してトナー像とする現像手段と、トナー像を紙に転写する転写手段と、紙に転写された像を定着させる定着手段と、紙を供給する供給手段と、紙をその搬送経路に配置したローラ、コロ、リブで搬送する搬送手段と、紙上に形成した色味または濃度検出用トナーパッチに対して光を照射する光源とトナーパッチからの反射光を受光する受光手段とからなる検出手段とを有し、前記検出手段の出力に基づき画像の色味または濃度を制御するカラー画像形成装置であって、定着手段の熱の影響を避けるために、検出手段を定着手段から離れた位置に設けたカラー画像形成装置。」

2 引用文献2
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献2には、以下の記載がある。

(1) 「【請求項1】
トナー像を転写材に転写して画像を形成する画像形成装置であって、
前記転写材にそれぞれ異なる色のカラーパッチを形成する手段と、
前記カラーパッチが形成された転写材に照射された光の反射光強度を検出する光検出手段と、
前記カラーパッチが形成された転写材を搬送する搬送手段と、
前記光検出手段により前記カラーパッチからの反射光強度を検出する際に、前記搬送手段により搬送される前記転写材の搬送速度を低下させるように制御する制御手段とを有し、
前記制御手段による制御の下で前記光検出手段により検出された前記カラーパッチからの反射光強度を基に、前記制御手段は画像形成部における画像形成条件を設定することを特徴とする画像形成装置。」

(2) 「【0003】
しかし、このような画像形成装置を使用する際、装置の設置環境の変化や長時間の使用により装置の各部の特性に変動が生じると、形成される画像の濃度や色度が変動してしまう。特に電子写真方式のカラープリンタの場合には、わずかな濃度変動でもカラーバランスが崩れてしまう恐れがあるため、各色の画像を記録する記録部では常に一定の濃度、階調性を保つ必要がある。そこで、各色のトナーに対して絶対湿度に対応した数種類の露光量や現像バイアスなどのプロセス条件を設定し、カラー画像形成装置に固有の濃度-階調特性を補正するキャリブレーションテーブルなどの階調補正手段を備え、温湿度センサによって測定された絶対湿度に基づいて、それに応じたプロセス条件や階調補正値を選択している。また、使用中の装置各部に変動が発生してもほぼ一定の濃度、階調性、色味が得られるように、各色のトナーを用いて濃度検知用のトナー像(以下、トナーパッチ又は単にパッチ)を中間転写体上に作成し、これを記録紙などの転写材に転写し、その転写されたトナーパッチの濃度を光学センサで検知し、その結果を露光量や現像バイアス等のプロセス条件にフィードバックして、形成される画像の濃度制御を行っている。」

(3) 「【0007】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたもので、転写材に定着されたカラーパッチの濃度又は色度を検知する際、転写材の搬送に伴うバタツキによる影響を少なくしてパッチの濃度や色度を正確に検出する画像形成装置及びそのカラーバランス調整方法を提供する。」

(4) 「【0022】
カラーセンサ42は、記録紙1の搬送路25の定着器13の下流に配置され、色度制御用のカラーパッチが形成された記録紙1の後端が排紙センサ20を通過した後に、その記録紙1の先端がカラーセンサ42の検知部付近に到達する。また、このカラーセンサ42の検知部は、記録紙1の画像形成面へ向けられており、記録紙1上に形成された定着後のカラーパッチの色をRGBフィルタを介して検出した信号を出力している。」

(5) 上記(4)の「カラーセンサ」は、上記(1)の「光検出手段」であることは自明である。また、上記(1)の「前記光検出手段により前記カラーパッチからの反射光強度を検出する際に、前記搬送手段により搬送される前記転写材の搬送速度を低下させるように制御する制御手段」を有するとの記載と、上記(3)の「カラーセンサ42は、記録紙1の搬送路25の定着器13の下流に配置され」るとの記載からすれば、「前記光検出手段により前記カラーパッチからの反射光強度を検出する」場合において、「記録紙」が「定着器」を通過してから「記録紙」が「光検出手段」を通過するまでの時間は、「前記光検出手段により前記カラーパッチからの反射光強度を検出」しない場合において、「記録紙」が「定着器」を通過してから「記録紙」が「光検出手段」を通過するまでの時間よりも長くなるように、「制御手段」が「搬送手段」を制御することは自明である。

上記(1)ないし(5)を総合すると、引用文献2には次の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されている。
「転写材に定着されたカラーパッチの濃度又は色度を検知する際、転写材の搬送に伴うバタツキによる影響を少なくしてパッチの濃度や色度を正確に検出する画像形成装置であって、
光検出手段によりカラーパッチからの反射光強度を検出する場合において、記録紙が定着器を通過してから前記記録紙が前記光検出手段を通過するまでの時間は、前記光検出手段により前記カラーパッチからの反射光強度を検出しない場合において、前記記録紙が定着器を通過してから記録紙が光検出手段を通過するまでの時間よりも長くなるように、制御手段が搬送手段を制御する画像形成装置。」

3 引用文献3
平成28年7月1日付け前置報告書に引用された特開2006-350244号公報(以下「引用文献3」という。)には、以下の記載がある。

(1) 「【請求項1】
シートにトナーを定着させてトナー像を形成するトナー像形成手段と、
前記シートが排出される排出部と、
前記トナー像形成手段によって前記トナーが定着されたシートを搬送して前記排出部に排出する搬送手段と、
前記搬送手段によって搬送される前記シートを冷却する冷却手段と、
前記シートの種類を指示するシート種類指示手段と、
前記シート種類指示手段によって指示された種類に応じて、前記搬送手段が前記シートを搬送するときの搬送速度を制御する制御手段と
を備えることを特徴とする画像形成装置。」

(2) 「【0002】
プリンタや複写機等の画像形成装置においては、トナーを用紙(シート)に転写し、用紙上のトナーを定着装置の熱により融解させた後、冷却凝固させて用紙にトナーを定着させる方式を取っている。このような画像形成装置においては、定着後の用紙はかなり熱を持ったまま排紙トレイに排出されるため、排出された用紙同士が融解トナーにより付着するいわゆる「ブロッキング」と呼ばれる現象を引き起こすことがある。」

(3) 「【0026】
以上説明したように本実施形態においては、用紙冷却部40で用紙が搬送される際の搬送速度を、用紙の種類によって制御する。つまり、ブロッキングが発生し易い用紙の場合には、用紙冷却部40における用紙搬送を低速で実施し、用紙を長時間、冷却エリアに留めておくことによって、ブロッキングを防止する。このようにすることによって、画像形成処理の処理速度が高く用紙の排出スピードが高速である画像形成装置においても、トナー像が形成された用紙の冷却を良好に行ってブロッキングを防止することが可能となる。
【0027】
また、すべての用紙に対して搬送速度を遅くすると、用紙の排出スピードが遅くなり、画像形成装置の生産性が低くなるという問題があるが、本実施形態においては、用紙の種類によって搬送速度を制御するため、例えば冷却がほとんど必要ない用紙に対しては、搬送速度を最速にするなどの制御を行うことができ、画像生成の生産性が低下するのを防ぐことができる。」

上記(1)ないし(3)より、引用文献3には次の発明(以下「引用発明3」という。)が記載されている。
「用紙にトナーを定着させてトナー像を形成するトナー像形成手段と、
前記用紙が排出される排出部と、
前記トナー像形成手段によって前記トナーが定着された用紙を搬送して前記排出部に排出する搬送手段と、
前記搬送手段によって搬送される前記用紙を冷却する冷却手段と、
前記用紙の種類を指示する用紙種類指示手段と、
前記用紙種類指示手段によって指示された種類に応じて、前記搬送手段が前記用紙を搬送するときの搬送速度を制御する制御手段と
を備える画像形成装置であって、
定着後の用紙はかなり熱を持ったまま排紙トレイに排出されるため、排出された用紙同士が融解トナーにより付着するいわゆるブロッキングが発生し易い用紙の場合には、用紙冷却部における用紙搬送を低速で実施し、用紙を長時間、冷却エリアに留めておくことによって、ブロッキングを防止するとともに、冷却がほとんど必要ない用紙に対しては、搬送速度を最速にするなどの制御を行うことができ、画像生成の生産性が低下するのを防ぐことができる画像形成装置。」

4 引用文献4
平成28年7月1日付け前置報告書に引用された特開2003-114187号公報(以下「引用文献4」という。)には、以下の記載がある。

(1) 「【請求項1】 像担持体にトナー像を形成し、このトナー像を転写材に転写する画像形成装置において、
前記転写材上に光を照射する白色の光源と、前記転写材上のトナー像又は前記転写材からの反射光を分光する手段と、分光された前記反射光を検出する複数画素からなる光検出手段と、を有し、
前記光検出手段と前記分光手段の間に、可視光より波長の長い所定の波長以上、又は、可視光より波長の短い所定の波長以下の光を吸収する手段を設け、
前記光検出手段は、分光された光の可視光よりも広い波長範囲を検出できる画素数を有している、ことを特徴とする画像形成装置。」

(2) 「【0038】転写材1に定着された幾つかのトナーパッチからの反射光を読み取った色度センサ26の各画素の出力より、各トナーパッチの分光反射率が求まる。このデータから転写材上の画像に所望の色味からのずれがある場合、各色のトナーに対応した絶対湿度に応じた数種類の露光量や、現像バイアスなどのプロセス条件、ルックアップテーブルなどの階調補正手段を制御し転写材上に所望の色味を出すようにフィードバックをかけることができ、色味の安定した画像形成装置が実現できる。
【0039】図2を参照して、色度センサ26について説明する。色度センサ26は、詳細を図3、図4に示す光検出手段となるラインセンサ101を有する。又、色度センサ26は、白色LEDやハロゲンランプ、RGBの3色LED等からなる102光源を有する。光源102は、可視光全体にわたる発光波長分布をもつ。光源102から発せられた光105は、約45°で転写材1の上に形成されたトナーパッチのようなトナー像のトナー面104に入射し、トナー面104で乱反射し上方へと広がる。乱反射光106はレンズ107で平行光となった後、回折格子108に入射角0°で入射し、分光される。分光された光は、可視光の範囲外の所定波長以上(又は、以下)の波長を透過しないフィルター109を通ってラインセンサ101に入射する。ここでは、フィルターとして730nmにカットオフ周波数を持つ赤外カットフィルターの例を用いて説明を行う。」

上記(1)、(2)より、引用文献4には次の発明(以下「引用発明4」という。)が記載されている。

「像担持体にトナー像を形成し、このトナー像を転写材に転写する画像形成装置であって、
転写材に定着された幾つかのトナーパッチからの反射光を読み取った色度センサを有し、
色度センサは、ラインセンサ、光源を有し、
光源から発せられた光は、約45°で転写材の上に形成されたトナーパッチのようなトナー像のトナー面に入射し、トナー面で乱反射し上方へと広がり、乱反射光はレンズで平行光となった後、回折格子に入射角0°で入射し、分光され、分光された光は、ラインセンサに入射する、画像形成装置。」

第6 当審の判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明1とを対比すると、引用発明1の「紙」、「色味または濃度検出用トナーパッチ」は本願発明1の「用紙」、「測定用画像」に相当する。
引用発明1の「感光体と、この感光体上に静電潜像を形成する潜像形成手段と、静電潜像を現像してトナー像とする現像手段と、トナー像を紙に転写する転写手段」は、「色味または濃度検出用トナーパッチ」を「紙上に形成」するものであることは自明であるから、本願発明1の「用紙に測定用画像を形成する画像形成手段」に相当する。
引用発明1の「紙に転写された像を定着させる定着手段」は、本願発明1の「前記測定用画像を加熱して前記用紙に定着させる定着手段」に相当する。
引用発明1の「紙上に形成した色味または濃度検出用トナーパッチに対して光を照射する光源とトナーパッチからの反射光を受光する受光手段とからなる検出手段」は、「前記検出手段の出力に基づき画像の色味または濃度を制御する」ためのものであるから、本願発明1の「前記用紙に定着された前記測定用画像の色を測定する測定手段」に相当する。
引用発明1の「紙をその搬送経路に配置したローラ、コロ、リブで搬送する搬送手段」は、本願発明1の「搬送経路に沿って前記用紙を搬送する搬送手段」に相当する。
引用発明1は「紙をその搬送経路に配置したローラ、コロ、リブで搬送する搬送手段」を制御する制御手段を備えていることは自明であり、当該制御手段は、本願発明1の「前記搬送手段による前記用紙の搬送を制御する制御手段」に相当する。
引用発明1の「カラー画像形成装置」は、本願発明1の「画像形成装置」に相当する。
以上より、本願発明1と引用発明1とは、
「用紙に測定用画像を形成する画像形成手段と、
前記測定用画像を加熱して前記用紙に定着させる定着手段と、
搬送経路に沿って前記用紙を搬送する搬送手段と、
前記用紙に定着された前記測定用画像の色を測定する測定手段と、
前記搬送手段による前記用紙の搬送を制御する制御手段と、を有する画像形成装置。」である点で一致し、以下の点で相違する。

[相違点]
本願発明1は「前記測定手段が前記測定用画像の測定を実行する場合、前記測定用画像が定着された前記用紙の種類に対応する冷却時間に基づき前記用紙の温度を低下させるために、前記測定手段が前記測定用画像の測定を実行する場合において前記用紙が前記定着手段を通過してから前記用紙が前記測定手段の測定位置を通過するまでの時間が、前記測定手段が前記測定用画像の測定を実行しない場合において前記用紙が前記定着手段を通過してから前記用紙が前記測定位置を通過するまでの時間よりも長くなるように、前記制御手段は前記用紙の種類に基づいて前記搬送手段を制御する」のに対し、引用発明1はこの点について明らかではない点。

(2)相違点についての判断
上記相違点に係る本願発明1の発明特定事項の「用紙の温度を低下させる」ことは、「用紙の温度を低下させるために、前記測定手段が前記測定用画像の測定を実行する場合において前記用紙が前記定着手段を通過してから前記用紙が前記測定手段の測定位置を通過するまでの時間が、前記測定手段が前記測定用画像の測定を実行しない場合において前記用紙が前記定着手段を通過してから前記用紙が前記測定位置を通過するまでの時間よりも長くなる」ことからすれば、「測定手段の測定位置を通過する」ときの「用紙の温度を低下させる」ことを特定している。また、「用紙の種類に対応する冷却時間に基づき」、「用紙の種類に基づいて前記搬送手段を制御する」ことは、「用紙の温度を低下させるため」に行われるものであることは明らかである。したがって、上記相違点に係る本願発明1の発明特定事項について、「測定手段の測定位置を通過する」ときの「用紙の温度を低下させるため」に、「用紙の種類に対応する冷却時間に基づき」、「用紙の種類に基づいて前記搬送手段を制御する」ことは、一体不可分なものである。
引用発明2の「光検出手段」、「カラーパッチ」、「記録紙」、「定着器」、「制御手段」、「搬送手段」は、それぞれ上記相違点に係る本願発明1の発明特定事項の「測定手段」、「測定用画像」、「定着手段」、「制御手段」、「搬送手段」に相当し、引用発明2の「光検出手段によりカラーパッチからの反射光強度を検出する場合」、「前記光検出手段により前記カラーパッチからの反射光強度を検出しない場合」は、それぞれ上記相違点に係る本願発明1の発明特定事項の「前記測定手段が前記測定用画像の測定を実行する場合」、「前記測定手段が前記測定用画像の測定を実行しない場合」に相当する。
したがって、引用発明2は、上記相違点に係る本願発明1の、「測定手段の測定位置を通過する」ときの「用紙の温度を低下させるため」に、「用紙の種類に対応する冷却時間に基づき」、「用紙の種類に基づいて前記搬送手段を制御する」ことを備えていない。
引用発明3の「搬送手段がシートを搬送するときの搬送速度を制御する制御手段」により、「ブロッキングが発生し易い用紙の場合には、用紙冷却部における用紙搬送を低速で実施し」、「冷却がほとんど必要ない用紙に対しては、搬送速度を最速にするなどの制御を行う」ことは、上記相違点に係る本願発明1の「用紙の温度を低下させるため」に、「用紙の種類に対応する冷却時間に基づき」、「用紙の種類に基づいて前記搬送手段を制御する」ことに相当する。しかしながら、引用発明3は「排紙トレイ」での「用紙の温度を低下させるため」のものであって、「測定手段の測定位置を通過する」ときの「前記用紙の温度を低下させるため」のものではない。
したがって、引用発明3は、「測定手段の測定位置を通過する」ときの「用紙の温度を低下させるため」に、「用紙の種類に対応する冷却時間に基づき」、「用紙の種類に基づいて前記搬送手段を制御する」ことを備えていない。
引用発明4は、相違点1に係る本願発明1が備える発明特定事項を備えていない。
以上より、引用発明2ないし4は、上記相違点に係る本願発明の発明特定事項のうち、「測定手段の測定位置を通過する」ときの「用紙の温度を低下させるため」に、「用紙の種類に対応する冷却時間に基づき」、「用紙の種類に基づいて前記搬送手段を制御する」ことを備えていない。また、この点が設計的事項であるとする根拠もない。
したがって、引用発明2ないし4から、上記相違点に係る本願発明1の発明特定事項を当業者が容易に想到し得たとはいえない。
そして、本願発明1は、これにより「本実施形態では、用紙110の種類に応じて待機の要/不要を使い分けたり、用紙110の種類に応じて所定時間Tを使い分けたりする。とりわけ、用紙110の種類に応じて所定時間Tを動的に調整すれば、測色シーケンスにかかる時間を最小限に抑えることができる。」(発明の詳細な説明【0052】)、「このように、本実施形態によれば、用紙110の温度が十分に低下した状態で測色を実行する。よって、用紙110の厚さ、坪量や表面性が異なっても、カラーセンサ200の測色結果を安定化させることができる。」(発明の詳細な説明【0055】)という顕著な効果を奏するものである。
よって、本願発明1は、当業者が引用発明1ないし4に基づいて、容易に発明をすることができたとはいえない。

2 本願発明2ないし14について
本願発明2ないし14は、本願発明1にさらに限定を加えたものであるから、本願発明1同様に、当業者が引用発明1ないし4に基づいて、容易に発明をすることができたとはいえない。

3 まとめ
以上のとおり、本願発明1ないし14は、当業者が引用発明1ないし4に基づいて、容易に発明をすることができたとはいえない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

第7 原査定について
上記のとおり、本願発明1ないし14は、当業者が、原査定の拒絶の理由で引用された引用発明1、2に基づいて、容易に発明をすることができたとはいえない。

第8 むすび
以上のとおり、原査定の拒絶の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2017-02-08 
出願番号 特願2013-273163(P2013-273163)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G03G)
最終処分 成立  
前審関与審査官 佐々木 創太郎三橋 健二  
特許庁審判長 森次 顕
特許庁審判官 植田 高盛
黒瀬 雅一
発明の名称 画像形成装置  
代理人 下山 治  
代理人 大塚 康徳  
代理人 木村 秀二  
代理人 大塚 康弘  
代理人 高柳 司郎  
代理人 永川 行光  
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