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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 A63F
管理番号 1324298
審判番号 不服2015-9991  
総通号数 207 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-03-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-05-28 
確定日 2017-02-14 
事件の表示 特願2012-217482「パフォーマンスデータを選択および描画する改良された方法および装置」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 2月 7日出願公開、特開2013- 27731、請求項の数(16)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本件出願は、2006年(平成18年)8月21日(パリ条約による優先権主張・外国庁受理2005年8月19日、米国)を国際出願日として出願した特願2008-527201号の一部を、平成24年9月28日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。
平成24年10月24日: 手続補正書
平成25年10月 9日付け: 拒絶理由の通知
平成26年 1月 8日: 意見書及び手続補正書の提出
平成26年 6月16日付け: 拒絶理由(最後)の通知
平成26年 9月18日: 意見書の提出
平成27年 1月28日付け: 拒絶査定
平成27年 5月28日: 審判請求書及び手続補正書の提出
平成28年 1月22日付け: 拒絶理由の通知
平成28年 4月25日: 意見書及び手続補正書の提出
平成28年 9月28日付け: 拒絶理由の通知
平成28年11月 9日: 意見書及び手続補正書の提出

第2 本願発明
本願の請求項1ないし16に係る発明は、平成28年11月9日に提出された手続補正書で補正された特許請求の範囲の請求項1ないし16に記載された事項により特定されるとおりのものであって、以下のとおりのものである。

「【請求項1】
少なくとも第1のユーザのパフォーマンスシーケンスを示すパフォーマンスデータを記録できる第1のコンピュータ装置上で、他のユーザのパフォーマンスシーケンスを当該パフォーマンスデータに基づいてシミュレートするゲーム処理方法であって、
a)前記第1のコンピュータ装置を少なくとも1つのサーバに通信ネットワークを介して接続するステップと、
b)前記第1のユーザまたは他のユーザによって前記パフォーマンスデータを少なくとも1つのサーバにアップロードするステップと、
c)前記ユーザの指示に基づいて、第1の条件に合致する複数の他ユーザのパフォーマンスデータを検索するための検索クエリーを前記第1のコンピュータ装置において構築し、少なくとも1つの前記サーバにおいて、前記検索クエリーに基づいて、前記第1の条件に合致する他ユーザのパフォーマンスデータが複数含まれるパフォーマンスデータパッケージを複数生成するステップと、
d)前記複数のパフォーマンスデータパッケージを前記第1のユーザが選択可能なように提示するステップと、
e)前記検索クエリーに基づいて、前記生成されたパフォーマンスデータパッケージを前記サーバからダウンロードするステップと、を備え、
前記ダウンロードするステップは、前記複数のパフォーマンスデータパッケージの中から、ユーザにより選択されたパフォーマンスデータパッケージをダウンロードする、ゲーム処理方法。
【請求項2】
前記第1の条件とは異なる条件であって前記パフォーマンスデータをフィルタリングするための第2の条件を前記第1のユーザによって特定するステップをさらに備える、請求項1に記載のゲーム処理方法。
【請求項3】
前記検索クエリーを構築するステップは、パフォーマンスデータ検索のための前記第2の条件に基づき前記第1の条件が設定された前記検索クエリーを構築するステップを含む、請求項2に記載のゲーム処理方法。
【請求項4】
前記パフォーマンスシーケンスはレースゲームにおけるパフォーマンスシーケンスであり、
前記第2の条件を特定するステップは、レースビデオゲームで使用されるレースコースを特定するステップを含む、請求項2に記載のゲーム処理方法。
【請求項5】
前記パフォーマンスシーケンスはレースゲームにおけるパフォーマンスシーケンスであり、
前記第2の条件を特定するステップは、レースビデオゲームで使用される天候条件を特定するステップを含む、請求項2に記載のゲーム処理方法。
【請求項6】
前記他ユーザを識別するためのデータをサーバから前記通信ネットワークを通して受信するステップを、さらに含む、請求項1に記載のゲーム処理方法。
【請求項7】
前記ユーザのパフォーマンスシーケンスは、シミュレートされた運転シーケンスである、請求項1に記載のゲーム処理方法。
【請求項8】
前記ユーザのパフォーマンスシーケンスは、ビデオゲームのパフォーマンスシーケンスである、請求項1に記載のゲーム処理方法。
【請求項9】
複数のユーザのパフォーマンスシーケンスをシミュレートするゲームシステムであって、
少なくとも第1のユーザのパフォーマンスシーケンスを示すパフォーマンスデータを記録し、かつ、ディスプレイを有する第1のコンピュータ装置と、
通信ネットワークと、
所定のデータベースを有する少なくとも1つの所定のサーバと、を備え、
前記第1のコンピュータ装置は、
前記パフォーマンスデータを前記所定のサーバにアップロードするアップロード部と、
前記パフォーマンスデータが複数含まれるパフォーマンスデータパッケージをダウンロードするために前記第1のユーザが選択可能な他ユーザのパフォーマンスデータパッケージを識別するための表示を複数生成し、前記第1のコンピュータ装置のディスプレイに表示するパフォーマンスデータパッケージ表示部を含み、
前記第1のコンピュータ装置は、
前記第1のユーザにより選択された内容に基づいてデータベースへ送信をするための検索クエリーを生成し、
前記データベースから、前記検索クエリーに応じて検索された前記パフォーマンスデータパッケージを生成した後にダウンロードする、ゲームシステム。
【請求項10】
前記システムは、複数の前記所定のサーバを含み、当該複数の前記所定のサーバには、前記所定のデータベースが記憶されている得点結果サーバが含まれており、
前記パフォーマンスデータは、当該得点・結果サーバにアップロードされ、前記パフォーマンスデータパッケージは当該得点・結果サーバからダウンロードされる、請求項9に記載のゲームシステム。
【請求項11】
前記得点・結果サーバは、他ユーザのパフォーマンスデータを記憶するパフォーマンスデータデータベースと、プレイヤ個人の得点を記憶する得点・結果データベースとを有する、請求項10に記載のゲームシステム。
【請求項12】
前記得点・結果データベースは、パフォーマンスデータデータベース内のデータを一意に特定するための識別用データであるポインタを含む、請求項11に記載のゲームシステム。
【請求項13】
前記他のユーザのパフォーマンスパッケージの検索条件は、パフォーマンスが閾値を超える前記他のユーザのパフォーマンスデータを示す、請求項9に記載のゲームシステム。
【請求項14】
前記他のユーザのパフォーマンスパッケージの検索条件は、前記第1のユーザのパフォーマンスデータと類似している複数の他のユーザのパフォーマンスデータを示す、請求項9に記載のゲームシステム。
【請求項15】
前記パフォーマンスシーケンスは、レースビデオゲームのレースである、請求項9に記載のゲームシステム。
【請求項16】
前記パフォーマンスシーケンスは、ビデオゲームで競争するためのタスクである、請求項9に記載のゲームシステム。」

第3 原査定の理由について
1 原査定の理由の概要
この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。


請求項1ないし24
引用文献1.特開2003-320164号公報
引用文献2.特開2000-237451号公報
引用文献3.特開2004-141525号公報
引用文献4.特開2003-93745号公報

2 原査定の理由の判断
(1)刊行物
ア 引用文献1
引用文献1には、以下の記載がある。

(ア) 「【請求項1】プレイヤーに渡された記録媒体(2A,2B) に記録されたプレイヤーのIDコードの読取り装置(11)と、プレイされたゲームの三次元画像データを、プレイヤーのIDコードを含む他のゲームデータと共に記録し得るゲームデータ記録装置(19)と、通信制御装置(20)とを具備した多数のレーシングゲーム機(1A,1B,1C)と;通信回線(3) を通じて各レーシングゲーム機からアップロードされる上記プレイされたゲームの三次元画像データを、上記他のゲームデータと共に記録、管理し得るデータベースサーバー(4) と、から成り;各レーシングゲーム機(1A,1B,1C)は、通信回線(3) を通じて上記データベースサーバー(4) にアクセスし、データベースサーバーに記録されたゲームの中から選ばれた一つのゲームに係る三次元画像データを、上記他のゲームデータと共にダウンロードし、当該ダウンロードしたゲームのレーシングカーの画像を競争相手として、プレイヤーの制御するレーシングカーの画像と共にモニター(16)上にディスプレイしながらレーシングゲームを行い得るよう構成されたことを特徴とするレーシングゲームシステム。」

(イ) 「【請求項2】データベースサーバー(4) が、各レーシングゲーム機からアップロードされるゲームデータに基づき、レースのジャンル及びコース別の各プレイヤーの最高記録を保存すると共に、各ジャンル及びコース別に、それら多数のプレイヤーの記録についてのランキングリストを作成、保存することを特徴とする請求項1に記載のレーシングゲームシステム。」

(ウ) 「【0020】他方、ゴーストカーの選択をプレイヤー自身が行えるようにするには、次のように構成するとよい。即ち、データベースサーバー4の管理装置42に、前記ランキングリストを開示する掲示板機能を設け、プレイヤーがゲーム機を介してデータベースサーバーにアクセスしたとき、この掲示板に表示されるランキングリストを参照しつつ当該プレイヤーがそのゲーム機を操作して所望のランキングのゴーストデータを選択できるようにするとよい。」

(エ) 上記(ア)ないし(ウ)の記載より、「プレイされたゲームの三次元画像データを、プレイヤーのIDコードを含む他のゲームデータと共に記録し得るゲームデータ記録装置(19)と、通信制御装置(20)とを具備した多数のレーシングゲーム機」上で、「ダウンロードしたゲームのレーシングカーの画像を競争相手として、プレイヤーの制御するレーシングカーの画像と共にモニター(16)上にディスプレイしながらレーシングゲームを行」うレーシングゲームシステムの処理方法が記載されていることは自明であり、当該方法は以下のステップが順に行われることも自明である。
「通信制御装置(20)を具備した多数のレーシングゲーム機(1A,1B,1C)」を「通信回線(3) を通じて」「データベースサーバー」に接続するステップ。
「プレイされたゲームの三次元画像データ」を、「データベースサーバー」に「各レーシングゲーム機からアップロードされる」ステップ。
「通信回線(3) を通じて上記データベースサーバー(4) にアクセスし、データベースサーバーに記録されたゲームの中から」「一つのゲームに係る三次元画像データ」を「選」ぶステップであって、「データベースサーバー(4) が、各レーシングゲーム機からアップロードされるゲームデータに基づき、レースのジャンル及びコース別の各プレイヤーの最高記録を保存すると共に、各ジャンル及びコース別に、それら多数のプレイヤーの記録についてのランキングリストを作成、保存」し、「データベースサーバー4の管理装置42に、前記ランキングリストを開示する掲示板機能を設け、プレイヤーがゲーム機を介してデータベースサーバーにアクセスしたとき、この掲示板に表示されるランキングリストを参照しつつ当該プレイヤーがそのゲーム機を操作して所望のランキングのゴーストデータを選択」するステップ。
「選ばれた一つのゲームに係る三次元画像データを、上記他のゲームデータと共にダウンロード」するステップ。
「プレイヤーの制御するレーシングカーの画像と共にモニター(16)上にディスプレイしながらレーシングゲームを行」うステップ。

上記(ア)ないし(ウ)を総合すると、引用文献1には次の発明(以下「引用発明1-1」という。)が記載されている。
「プレイされたゲームの三次元画像データを、プレイヤーのIDコードを含む他のゲームデータと共に記録し得るゲームデータ記録装置(19)と、通信制御装置(20)とを具備した多数のレーシングゲーム機(1A,1B,1C)と;通信回線(3) を通じて各レーシングゲーム機からアップロードされる上記プレイされたゲームの三次元画像データを、上記他のゲームデータと共に記録、管理し得るデータベースサーバー(4) と、から成り、各レーシングゲーム機(1A,1B,1C)は、通信回線(3) を通じて上記データベースサーバー(4) にアクセスし、データベースサーバーに記録されたゲームの中から選ばれた一つのゲームに係る三次元画像データを、上記他のゲームデータと共にダウンロードし、当該ダウンロードしたゲームのレーシングカーの画像を競争相手として、プレイヤーの制御するレーシングカーの画像と共にモニター(16)上にディスプレイしながらレーシングゲームを行い得、
データベースサーバー(4) が、各レーシングゲーム機からアップロードされるゲームデータに基づき、レースのジャンル及びコース別の各プレイヤーの最高記録を保存すると共に、各ジャンル及びコース別に、それら多数のプレイヤーの記録についてのランキングリストを作成、保存し、
データベースサーバー4の管理装置42に、前記ランキングリストを開示する掲示板機能を設け、プレイヤーがゲーム機を介してデータベースサーバーにアクセスしたとき、この掲示板に表示されるランキングリストを参照しつつ当該プレイヤーがそのゲーム機を操作して所望のランキングのゴーストデータを選択できるレーシングゲームシステム。」

また上記(ア)ないし(エ)より、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明1-2」という。)も記載されている。
「プレイされたゲームの三次元画像データを、プレイヤーのIDコードを含む他のゲームデータと共に記録し得るゲームデータ記録装置(19)と、通信制御装置(20)とを具備した多数のレーシングゲーム機上で、ダウンロードしたゲームのレーシングカーの画像を競争相手として、プレイヤーの制御するレーシングカーの画像と共にモニター(16)上にディスプレイしながらレーシングゲームを行うゲーム処理方法であって、
通信制御装置(20)を具備した多数のレーシングゲーム機(1A,1B,1C)を通信回線(3) を通じてデータベースサーバーに接続するステップと、
プレイされたゲームの三次元画像データを、データベースサーバーに各レーシングゲーム機からアップロードされるステップと、
通信回線(3) を通じて上記データベースサーバー(4) にアクセスし、データベースサーバーに記録されたゲームの中から一つのゲームに係る三次元画像データを選ぶステップであって、データベースサーバー(4) が、各レーシングゲーム機からアップロードされるゲームデータに基づき、レースのジャンル及びコース別の各プレイヤーの最高記録を保存すると共に、各ジャンル及びコース別に、それら多数のプレイヤーの記録についてのランキングリストを作成、保存し、データベースサーバー4の管理装置42に、前記ランキングリストを開示する掲示板機能を設け、プレイヤーがゲーム機を介してデータベースサーバーにアクセスしたとき、この掲示板に表示されるランキングリストを参照しつつ当該プレイヤーがそのゲーム機を操作して所望のランキングのゴーストデータを選択するステップと、
選ばれた一つのゲームに係る三次元画像データを、上記他のゲームデータと共にダウンロードするステップと、
プレイヤーの制御するレーシングカーの画像と共にモニター(16)上にディスプレイしながらレーシングゲームを行うステップと、
を備えるゲーム処理方法。」

イ 引用文献2
引用文献2には、以下の記載がある。

(ア) 「【0032】はじめに、図3に示すフローチャートを参照しながら、カーレースゲーム実行中に3次元バーチャルフィールドを表すシミュレーション画像中にゴーストカーを表示させるゴーストカー処理について説明する。ゴーストカー処理は、例えばタイムアタックモードによるカーレースゲームの際に実行される。タイムアタックモードは、一人のプレーヤーの操作によってプレーヤーズカーを走行させて、予め決められたコースの走行に要する時間を競うもので、その際に、走行データ選択部42aの機能によってデータ格納部18に格納されている複数分の走行データ52aを含む記録走行データ52の中からプレーヤーからの指示に応じて走行データを選択し、この選択した走行データをもとに走行されるゴーストカーを表示させることができる。ゴーストカーを走行させるための走行データ52aは、例えば複数分の走行データ52aのそれぞれに付随する記録データ52b中の登録名(及び走行タイム)の一覧を表示させ、その中からプレーヤーによって任意に選択させるものとする。」

(イ) 「【0059】なお、ゴーストカー処理の説明では、シミュレーション画像中に1台のゴーストカーのみが表示された例を示しているが、複数台のゴーストカーを同時にプレーヤーズカーと共に表示させても良い。この場合、各ゴーストカー毎に半透明化が行われるものとする。」

(ウ) 上記(ア)、(イ)の記載から、「カーレースゲーム」及び「カーレースゲームの処理方法」が記載されていることは自明である。

上記(ア)ないし(ウ)を総合すると、引用文献2には次の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されている。
「走行データ選択部42aの機能によってデータ格納部18に格納されている複数分の走行データ52aを含む記録走行データ52の中からプレーヤーからの指示に応じて走行データを選択し、この選択した走行データをもとに走行されるゴーストカーを表示させることができ、
ゴーストカーを走行させるための走行データ52aは、例えば複数分の走行データ52aのそれぞれに付随する記録データ52b中の登録名(及び走行タイム)の一覧を表示させ、その中からプレーヤーによって任意に選択させ、
複数台のゴーストカーを同時にプレーヤーズカーと共に表示させても良い、
カーレースゲーム及びカーレースゲームの処理方法。」

ウ 引用文献3
引用文献3には、以下の記載がある。

(ア) 「【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ゲームシステム、プログラム及び情報記憶媒体に関する。」

(イ) 「【0077】
また、例えば「過去に対戦したプレーヤ」を参加プレーヤ(対戦相手)情報の検索条件に採用してもよい。具体的には、他のプレーヤと対戦した時に、お互いに名刺(ID)を交換する。そして、そのプレーヤのIDをアドレス帳に追加して更新する。そして、参加プレーヤ情報の検索の際に、そのアドレス帳を検索条件として選ぶと、過去に対戦したプレーヤが検索されて表示される。そして、このアドレス帳が初期検索条件に設定されれば、過去に対戦したプレーヤや友達のプレーヤが、常に初期検索画面として表示されるようになり、プレーヤの利便性を向上できる。」

(ウ) 上記(ア)、(イ)の記載から、「ゲームの処理方法」が記載されていることは自明である。

上記(ア)ないし(ウ)を総合すると、引用文献3には次の発明(以下「引用発明3」という。)が記載されている。
「過去に対戦したプレーヤを参加プレーヤ(対戦相手)情報の検索条件に採用し、
他のプレーヤと対戦した時に、お互いに名刺(ID)を交換し、そのプレーヤのIDをアドレス帳に追加して更新し、参加プレーヤ情報の検索の際に、そのアドレス帳を検索条件として選ぶと、過去に対戦したプレーヤが検索されて表示される、
ゲームシステム、プログラム、情報記憶媒体、及びゲーム処理方法。」

エ 引用文献4
引用文献4には、以下の記載がある。

(ア) 「【請求項1】 相互に個別通信を行う情報端末装置と、ネットワークゲームを上記情報端末装置に対して提供するネットワークゲーム情報処理装置とを、ネットワークを介して通信可能に接続して構成されたネットワークゲーム情報管理システムであって、
上記情報端末装置は、
他の上記情報端末装置との間の上記個別通信による個別通信情報を格納する個別通信情報格納手段と、
上記個別通信情報格納手段にて格納された上記個別通信情報を上記ネットワークゲーム情報処理装置に対して送信する個別通信情報送信手段と、
を備え、
上記ネットワークゲーム情報処理装置は、
上記情報端末装置から上記個別通信情報を受信し、当該個別通信情報を格納する個別通信情報収集手段と、
上記個別通信情報収集手段にて格納された上記個別通信情報に基づいて、上記ネットワークゲームにおいてユーザ同士をマッチングするためのリスト情報を作成するリスト情報作成手段と、
上記リスト情報作成手段にて作成された上記リスト情報に基づいて上記ネットワークゲームを上記情報端末装置に対して提供するネットワークゲーム提供手段と、
を備えたことを特徴とするネットワークゲーム情報管理システム。
【請求項2】 上記個別通信情報は、上記ユーザを一意に識別するためのユーザID、通信相手のユーザID、通信日時、通信時間、通信頻度、通信回数、勝敗、および、通信詳細事項のうち少なくとも一つに関する情報を含むこと、
を特徴とする請求項1に記載のネットワークゲーム情報管理システム。
【請求項3】 上記リスト情報作成手段は、
上記ユーザID、上記通信相手のユーザID、上記通信日時、上記通信時間、上記通信頻度、上記通信回数、上記勝敗、および、上記通信詳細事項のうち少なくとも一つに関する情報に基づいて、上記ユーザ間の友達度を決定する友達度決定手段と、
上記友達度決定手段にて決定された上記友達度に基づいて、友達リストを作成する友達リスト作成手段と、
をさらに備えたことを特徴とする請求項2に記載のネットワークゲーム情報管理システム。」

(イ) 上記(ア)の記載から、「ネットワークゲーム処理方法」についても記載されていることは自明である。

上記(ア)、(イ)を総合すると、引用文献4には次の発明(以下「引用発明4」という。)が記載されている。
「ネットワークゲームにおいてユーザ同士をマッチングするためのリスト情報を作成するリスト情報作成手段と、
上記リスト情報作成手段にて作成された上記リスト情報に基づいて上記ネットワークゲームを上記情報端末装置に対して提供するネットワークゲーム提供手段と、
を備え、
リスト情報作成手段は、
ユーザID、通信相手のユーザID、通信日時、通信時間、通信頻度、通信回数、勝敗、および、通信詳細事項のうち少なくとも一つに関する情報に基づいて、上記ユーザ間の友達度を決定する友達度決定手段と、
上記友達度決定手段にて決定された上記友達度に基づいて、友達リストを作成する友達リスト作成手段と、
をさらに備えたネットワークゲーム情報管理システム及びネットワークゲーム処理方法。」

(2) 対比・判断
始めに、請求項1ないし16の「パフォーマンスデータパッケージ」の用語について検討すると、請求項1には「第1の条件に合致する他ユーザのパフォーマンスデータが複数含まれるパフォーマンスデータパッケージ」と記載されており、「パフォーマンスデータが複数含まれる」ものとして特定されているから、「パフォーマンスデータパッケージ」は、「パフォーマンスデータ」の一態様を意味しているといえる。

ア 請求項1に係る発明(以下「本願発明1」という。)について
本願発明1と引用発明1-2とを対比すると、引用発明1-2の「多数のレーシングゲーム機上」で「各プレイヤー」により「プレイされたゲームの三次元画像データ」及び「プレイヤーのIDコードを含む他のゲームデータ」は、本願発明1の「少なくとも第1のユーザのパフォーマンスシーケンスを示すパフォーマンスデータ」及び「他のユーザのパフォーマンスシーケンス」を示す「パフォーマンスデータ」に相当する。
引用発明1-2の「プレイされたゲームの三次元画像データを、プレイヤーのIDコードを含む他のゲームデータと共に記録し得る」「レーシングゲーム機(1A,1B,1C)」は、本願発明1の「少なくとも第1のユーザのパフォーマンスシーケンスを示すパフォーマンスデータを記録できる第1のコンピュータ装置」に相当する。
引用発明1-2の「多数のレーシングゲーム機上」で「各プレイヤー」により「プレイされたゲームの三次元画像データ」及び「プレイヤーのIDコードを含む他のゲームデータ」を「ダウンロード」して「ゲームのレーシングカーの画像を競争相手として、プレイヤーの制御するレーシングカーの画像と共にモニター(16)上にディスプレイしながらレーシングゲームを行うゲーム処理方法」は、本願発明1の「第1のコンピュータ装置上で、他のユーザのパフォーマンスシーケンスを当該パフォーマンスデータに基づいてシミュレートするゲーム処理方法」に相当する。
引用発明1-2の「通信制御装置(20)を具備した多数のレーシングゲーム機(1A,1B,1C)を通信回線(3) を通じてデータベースサーバーに接続するステップ」は、本願発明1の「前記第1のコンピュータ装置を少なくとも1つのサーバに通信ネットワークを介して接続するステップ」に相当する。
引用発明1-2の「多数のレーシングゲーム機」で「各プレイヤー」により「プレイされたゲームの三次元画像データを、データベースサーバーに各レーシングゲーム機からアップロードされるステップ」は、本願発明1の「前記第1のユーザまたは他のユーザによって前記パフォーマンスデータを少なくとも1つのサーバにアップロードするステップ」に相当する。
引用発明1-2の「ランキングリストを開示する掲示板機能を設け、プレイヤーがゲーム機を介してデータベースサーバーにアクセスしたとき、この掲示板に表示されるランキングリストを参照しつつ当該プレイヤーがそのゲーム機を操作して所望のランキングのゴーストデータを選択するステップ」は、本願発明1の「複数のパフォーマンスデータ」を「第1のユーザが選択可能なように提示するステップ」に相当する。
引用発明1-2の「選ばれた一つのゲームに係る三次元画像データを、上記他のゲームデータと共にダウンロードするステップ」は、本願発明1の「パフォーマンスデータ」を「サーバからダウンロードするステップと、を備え、前記ダウンロードするステップは、前記複数のパフォーマンスデータ」の「中から、ユーザにより選択されたパフォーマンスデータ」を「ダウンロードする」ことに相当する。

したがって、本願発明1と引用発明1-2とは、
「少なくとも第1のユーザのパフォーマンスシーケンスを示すパフォーマンスデータを記録できる第1のコンピュータ装置上で、他のユーザのパフォーマンスシーケンスを当該パフォーマンスデータに基づいてシミュレートするゲーム処理方法であって、
a)前記第1のコンピュータ装置を少なくとも1つのサーバに通信ネットワークを介して接続するステップと、
b)前記第1のユーザまたは他のユーザによって前記パフォーマンスデータを少なくとも1つのサーバにアップロードするステップと、
d)前記複数のパフォーマンスデータを第1のユーザが選択可能なように提示するステップと、
e)パフォーマンスデータをサーバからダウンロードするステップ
とを備え、
前記ダウンロードするステップは、前記複数のパフォーマンスデータの中から、ユーザにより選択されたパフォーマンスデータをダウンロードする、ゲーム処理方法。」
である点で一致し、以下の点で相違する。

[相違点1]
本願発明1が、
「前記ユーザの指示に基づいて、第1の条件に合致する複数の他ユーザのパフォーマンスデータを検索するための検索クエリーを前記第1のコンピュータ装置において構築し、少なくとも1つの前記サーバにおいて、前記検索クエリーに基づいて、前記第1の条件に合致する他ユーザのパフォーマンスデータが複数含まれるパフォーマンスデータパッケージを複数生成するステップ」と、
「複数のパフォーマンスデータパッケージ」を前記第1のユーザが選択可能なように提示するステップと、
「前記検索クエリーに基づいて、前記生成されたパフォーマンスデータパッケージ」を前記サーバからダウンロードするステップと、を備え、
前記ダウンロードするステップは、「複数のパフォーマンスデータパッケージ」の中から、ユーザにより選択された「パフォーマンスデータパッケージ」をダウンロードするのに対し、
引用発明1-2は、これらの点について明らかでない点。

上記相違点1について検討すると、引用発明1-1、引用発明2ないし引用発明4のいずれも、上記相違点1に係る本願発明1の発明特定事項を備えていない。
また、上記相違点に係る本願発明1の発明特定事項が、設計的事項であるとする根拠もない。
したがって上記相違点1に係る本願発明1の発明特定事項は、引用発明1-1、引用発明2ないし引用発明4に基づいて、当業者が容易に想到し得たとはいえない。
よって、本願発明1は、引用発明1-1、1-2、及び引用発明2ないし引用発明4に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

(ウ)請求項9に係る発明(以下「本願発明2」という。)について
本願発明2と引用発明1-1とを対比すると、引用発明1-1の「多数のレーシングゲーム機からアップロード」されて「データベースサーバーに記録されたゲームの中から選ばれた一つのゲームに係る三次元画像データ」を、「他のゲームデータと共にダウンロードし、当該ダウンロードしたゲームのレーシングカーの画像を競争相手として、プレイヤーの制御するレーシングカーの画像と共にモニター(16)上にディスプレイしながらレーシングゲームを行」う「レーシングゲームシステム」は、本願発明2の「複数のユーザのパフォーマンスシーケンスをシミュレートするゲームシステム」に相当する。
引用発明1-1の「プレイされたゲームの三次元画像データ」及び「プレイヤーのIDコードを含む他のゲームデータ」は、本願発明2の「少なくとも第1のユーザのパフォーマンスシーケンスを示すパフォーマンスデータ」に相当する。
引用発明1-1の「プレイされたゲームの三次元画像データを、プレイヤーのIDコードを含む他のゲームデータと共に記録し得る」「レーシングゲーム機(1A,1B,1C)」及び「モニター」は、本願発明2の「少なくとも第1のユーザのパフォーマンスシーケンスを示すパフォーマンスデータを記録し、かつ、ディスプレイを有する第1のコンピュータ装置」に相当する。
引用発明1-1において、「各レーシングゲーム機(1A,1B,1C)」と「データベースサーバー(4)」は「通信回線(3) 」により接続されていることは自明であるから、引用発明1-1は「通信ネットワーク」を備えていることは明らかである。
引用発明1-1の「データベースサーバー(4)」は、本願発明2の「所定のデータベースを有する少なくとも1つの所定のサーバ」に相当する。
引用発明1-1の「プレイされたゲームの三次元画像データ」及び「他のゲームデータ」を「通信回線(3) を通じて各レーシングゲーム機からアップロード」する「通信制御装置」は、本願発明2の「第1のコンピュータ装置」が備える「パフォーマンスデータを所定のサーバにアップロードするアップロード部」に相当する。
引用発明1-1の「レーシングゲーム機」は、「掲示板に表示されるランキングリストを参照しつつ当該プレイヤーがそのゲーム機を操作して所望のランキングのゴーストデータを選択できる」ものであって、「ランキングリスト」が「モニター」に表示されることは自明であるから、本願発明2の「パフォーマンスデータ」を「ダウンロードするために前記第1のユーザが選択可能な他ユーザのパフォーマンスデータ」を「識別するための表示を複数生成し、第1のコンピュータ装置のディスプレイに表示する表示部」を備えていることは明らかである。
引用発明1-1の「データベースサーバーに記録されたゲームの中から選ばれた一つのゲームに係る三次元画像データを、上記他のゲームデータと共にダウンロード」することは、本願発明2の「データベース」から「パフォーマンスデータ」を「ダウンロードする」ことに相当する。
引用発明1-1の「レーシングゲームシステム」は、本願発明2の「ゲームシステム」に相当する。
したがって、本願発明2と引用発明1-1とは、「複数のユーザのパフォーマンスシーケンスをシミュレートするゲームシステムであって、少なくとも第1のユーザのパフォーマンスシーケンスを示すパフォーマンスデータを記録し、かつ、ディスプレイを有する第1のコンピュータ装置と、通信ネットワークと、所定のデータベースを有する少なくとも1つの所定のサーバと、を備え、前記第1のコンピュータ装置は、前記パフォーマンスデータを前記所定のサーバにアップロードするアップロード部と、パフォーマンスデータをダウンロードするために前記第1のユーザが選択可能な他ユーザのパフォーマンスデータを識別するための表示を複数生成し、第1のコンピュータ装置のディスプレイに表示する表示部を含み、第1のコンピュータ装置は、データベースからパフォーマンスデータをダウンロードする、ゲームシステム。」である点で一致し、以下の点で相違している。

[相違点2]
本願発明2は、「パフォーマンスデータが複数含まれるパフォーマンスデータパッケージ」をダウンロードするために第1のユーザが選択可能な他ユーザの「パフォーマンスデータパッケージ」を識別するための表示を複数生成し、第1のコンピュータ装置のディスプレイに表示する「パフォーマンスデータパッケージ」表示部を含み、
「前記第1のコンピュータ装置は、
前記第1のユーザにより選択された内容に基づいてデータベースへ送信をするための検索クエリーを生成し、」
前記データベースから、前記「検索クエリーに応じて検索された前記パフォーマンスデータパッケージを生成した後に」ダウンロードするのに対し、
引用発明1-1は、これらの事項について明らかでない点。

上記相違点2について検討すると、引用発明1-2、引用発明2ないし引用発明4のいずれも、上記相違点2に係る本願発明2の発明特定事項を備えていない。
また、上記相違点に係る本願発明2の発明特定事項が、設計的事項であるとする根拠もない。
したがって上記相違点1に係る本願発明2の発明特定事項は、引用発明1-2、引用発明2ないし引用発明4に基づいて、当業者が容易に想到し得たとはいえない。
よって、本願発明2は、引用発明1-1、1-2及び引用発明2ないし引用発明4に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

(ウ)請求項2ないし8、10ないし16に係る発明について
請求項2ないし8に係る発明は、本願発明1をさらに限定したものであるから、本願発明1と同様に、当業者が引用発明1-1、1-2及び引用発明2ないし引用発明4に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。
請求項10ないし16に係る発明は、本願発明2をさらに限定したものであるから、本願発明2と同様に、当業者が引用発明1-1、1-2及び引用発明2ないし引用発明4に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

(3)原査定に理由についてのまとめ
以上のとおり、請求項1ないし16に係る発明は、引用文献1ないし引用文献4に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。
よって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。

第4 当審拒絶理由について
1 当審拒絶理由の概要
(1)平成28年1月22日付け拒絶理由通知の概要
ア 理由1
この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。


出願時の技術常識に照らしても、請求項1、16に係る発明の範囲まで、発明の詳細な説明に記載に開示された内容を拡張ないし一般化することはできないから、請求項1、16に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものとはいえない。

イ 理由2
この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。


請求項1、2、4、5、14-17、20、21には不明確な記載があるから、請求項1、2、4、5、14-17、20、21及びこれらを引用する請求項に係る発明は明確ではない。

ウ 理由3
この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

記 (引用文献等については引用文献等一覧参照)
・請求項1ないし23
・引用文献5.特開2002-301266号公報
・引用文献6.特開2004-313402号公報

(2)平成28年9月28日付け拒絶理由通知の概要
請求項1ないし23に係る発明は明確でなく、また、発明の詳細な説明に記載したものではないから、この出願は、特許請求の範囲の記載は、特許法第36条第6項第1号又は第2号に規定する要件を満たしていない。

3 当審拒絶理由についての判断
(1)平成28年1月22日付け拒絶理由通知の理由1及び2について
同年4月25日に提出された手続補正書による補正により、同年1月22日付け拒絶理由通知の理由1及び2は解消した。

(2)平成28年9月28日付け拒絶理由通知の理由について
同年11月9日に提出された手続補正書による補正により、同年9月28日付け拒絶理由通知の理由は解消した。

(3)平成28年1月22日付け拒絶理由通知の理由3について
ア 刊行物の記載事項
(ア)引用文献5
引用文献5には、以下の記載がある。

(a) 「【特許請求の範囲】
【請求項1】 サーバー(1)と、サーバー(1)に公衆通信回線網(2)を通じて接続される複数のドライビングゲーム機(3)とからなるドライビングゲームシステムにおいて、
各ドライビングゲーム機(3)は、そのゴーストデータを記録し得るメモリ(32)と、そのメモリ(32)に記録されたゴーストデータをサーバー(1)に送信し得ると共に、サーバー(1)に記録されたゴーストデータを閲覧、検索、ダウンロードし得る装置を具備し、
サーバー(1)は、各ドライビングゲーム機(3)からアップロードされたゴーストデータの内容を評価し、ランク付けを行うと共に、そのゴーストデータを、そのランク、プレイヤー名、ゲーム機IDコードと共に記録し、かつ、ドライブゲーム機のプレイヤーから要求されたときは、その要求された記録を、要求のあったゲーム機にダウンロードし得るよう構成されていることを特徴とする上記のドライビングゲームシステム。
【請求項2】 ドライビングゲーム機(3)が、プレイヤーを、ダウンロードされたゴーストデータと対戦させ得るゲームプログラムを装備している請求項1に記載のドライビングゲームシステム。」

(b) 上記(a)の記載より、「ゴーストデータを記録し得るメモリ(32)」を「具備」した「ドライビングゲーム機(3)」上で、「サーバー(1)に公衆通信回線網(2)を通じて接続される複数のドライビングゲーム機(3)」の「各ドライビングゲーム機(3)からアップロードされたゴーストデータ」を「ダウンロード」して、「プレイヤー」が「ダウンロードされたゴーストデータと対戦」するゲーム処理方法が示されているといえ、以下の処理が順に行われていることは自明である。
「サーバー(1)に公衆通信回線網(2)を通じて接続」するステップ。
「各ドライビングゲーム機(3)」は、「メモリ(32)に記録されたゴーストデータをサーバー(1)に送信」して「アップロード」するステップ。
「各ドライビングゲーム機(3)」において「サーバー(1)に記録されたゴーストデータを閲覧、検索、ダウンロード」するステップ。

上記(a)より、引用文献5には次の発明(以下、「引用発明5-1」という。)が記載されている。
「サーバー(1)と、サーバー(1)に公衆通信回線網(2)を通じて接続される複数のドライビングゲーム機(3)とからなるドライビングゲームシステムにおいて、
各ドライビングゲーム機(3)は、そのゴーストデータを記録し得るメモリ(32)と、そのメモリ(32)に記録されたゴーストデータをサーバー(1)に送信し得ると共に、サーバー(1)に記録されたゴーストデータを閲覧、検索、ダウンロードし得る装置を具備し、
サーバー(1)は、各ドライビングゲーム機(3)からアップロードされたゴーストデータの内容を評価し、ランク付けを行うと共に、そのゴーストデータを、そのランク、プレイヤー名、ゲーム機IDコードと共に記録し、かつ、ドライブゲーム機のプレイヤーから要求されたときは、その要求された記録を、要求のあったゲーム機にダウンロードし得るよう構成され、
ドライビングゲーム機(3)が、プレイヤーを、ダウンロードされたゴーストデータと対戦させ得るゲームプログラムを装備しているドライビングゲームシステム。」

また、上記(b)より、引用文献5には次の発明(以下「引用発明5-2」という。)が記載されている。
「ゴーストデータを記録し得るメモリ(32)を具備したドライビングゲーム機(3)上で、サーバー(1)に公衆通信回線網(2)を通じて接続される複数のドライビングゲーム機(3)の各ドライビングゲーム機(3)からアップロードされたゴーストデータをダウンロードして、プレイヤーがダウンロードされたゴーストデータと対戦するゲーム処理方法であって、
サーバー(1)に公衆通信回線網(2)を通じて接続するステップと、
各ドライビングゲーム機(3)は、メモリ(32)に記録されたゴーストデータをサーバー(1)に送信してアップロードするステップと、
各ドライビングゲーム機(3)においてサーバー(1)に記録されたゴーストデータを閲覧、検索、ダウンロードするステップとを備えた、
ドライビングゲームシステムのゲーム処理方法。」

(イ)引用文献6
引用文献6には、以下の記載がある。

(a) 「【請求項1】
ゲームデータを蓄積するサーバに複数のゲーム装置と情報端末とが通信可能に接続されたゲームシステムにおけるゲームの制御方法であって、
ゲーム装置が、ゲームを実行し、実行したゲームについて、プレイヤに関する情報及びゲームの結果に関する情報を含むヘッダ部と、ゲーム進行に関する情報を含むボディ部とを有するゲームデータを生成するステップと、
前記ゲーム装置が、ゲーム終了後に、前記ゲームデータをサーバにアップロードするステップと、
ゲーム進行の再生を希望するユーザにより情報端末に入力された検索条件を、前記情報端末が前記サーバに送信するステップと、
前記サーバが、前記サーバに蓄積された複数のゲームデータのヘッダ部を前記検索条件に基づいて検索するステップと、
前記サーバが、検索されたゲームデータの一覧を前記情報端末に送信するステップと、
前記情報端末が、送信されたゲームデータの一覧を表示するステップと、
前記情報端末が、表示されたゲームデータの一覧から選択されたゲームデータを前記サーバからダウンロードするステップと、
前記情報端末が、ダウンロードしたゲームデータのボディ部に基づいてゲーム進行を再生するステップと
を有することを特徴とするゲームの制御方法。」

(b) 「【請求項5】
ゲームデータを蓄積するサーバに複数のゲーム装置と情報端末とが通信可能に接続された
ゲームシステムであって、
前記ゲーム装置は、
実行するゲームについて、プレイヤに関する情報及びゲームの結果に関する情報を含むヘッダ部と、ゲーム進行に関する情報を含むボディ部とを有するゲームデータを生成するゲームデータ生成手段と、
前記ゲームデータを前記サーバにアップロードするゲームデータ送信手段とを有し、
前記サーバは、
前記サーバに蓄積された複数のゲームデータのヘッダ部を所定の検索条件に基づいて検索するゲームデータ検索手段と、
検索されたゲームデータの一覧を前記情報端末に送信するゲームデータ一覧送信手段とを有し、
前記情報端末は、
入力された検索条件を前記サーバに送信する検索条件送信手段と、
送信されたゲームデータの一覧を前記情報端末に表示するゲームデータ一覧表示手段と、
表示されたゲームデータの一覧から選択されたゲームデータをダウンロードするゲームデータ受信手段と、
ダウンロードしたゲームデータのボディ部に基づいてゲーム進行を再生するゲーム進行再生手段とを有する
ことを特徴とするゲームシステム。」

(c) 「【0080】
[他の実施形態]
本発明の他の実施形態によるゲームシステムについて図15を用いて説明する。上述した実施形態は麻雀ゲームをプレイし、要求に応じて麻雀ゲームを再生するものであったが、本実施形態ではレースゲームをプレイし、要求に応じてレースゲームを再生する。」

(d) 「【0083】
ヘッダー部は、(a)装置情報として、ゲーム装置の筐体シリアルID、ゲーム装置が設置された店舗ID等、(b)ユーザ情報として、メンバーズカード40のカードID、プレイヤタイプ(人間かCPUか)、プレイヤのニックネーム、車種、車のカラー等、(c)ゲーム情報として、走行タイム等から構成されている。
【0084】
ユーザ情報は、レース対戦者分の情報が含まれる。装置情報も、ネットワーク対戦の場合を考慮して、レース対戦者の4人分の情報が含まれる。」

上記(a)、(c)、(d)より、引用文献6には、次の発明(以下「引用発明6-1」という。)が記載されている。
「ゲームデータを蓄積するサーバに複数のゲーム装置と情報端末とが通信可能に接続されたゲームシステムにおけるゲームの制御方法であって、
ゲーム装置が、ゲームを実行し、実行したゲームについて、プレイヤに関する情報及びゲームの結果に関する情報を含むヘッダ部と、ゲーム進行に関する情報を含むボディ部とを有するゲームデータを生成するステップと、
前記ゲーム装置が、ゲーム終了後に、前記ゲームデータをサーバにアップロードするステップと、
ゲーム進行の再生を希望するユーザにより情報端末に入力された検索条件を、前記情報端末が前記サーバに送信するステップと、
前記サーバが、前記サーバに蓄積された複数のゲームデータのヘッダ部を前記検索条件に基づいて検索するステップと、
前記サーバが、検索されたゲームデータの一覧を前記情報端末に送信するステップと、
前記情報端末が、送信されたゲームデータの一覧を表示するステップと、
前記情報端末が、表示されたゲームデータの一覧から選択されたゲームデータを前記サーバからダウンロードするステップと、
前記情報端末が、ダウンロードしたゲームデータのボディ部に基づいてゲーム進行を再生するステップと
を有するゲームの制御方法であって、
ゲームはレースゲームであり、
ヘッダー部は、(a)装置情報として、ゲーム装置の筐体シリアルID、ゲーム装置が設置された店舗ID等、(b)ユーザ情報として、メンバーズカード40のカードID、プレイヤタイプ(人間かCPUか)、プレイヤのニックネーム、車種、車のカラー等、(c)ゲーム情報として、走行タイム等から構成され、
ユーザ情報は、レース対戦者分の情報が含まれる。装置情報も、ネットワーク対戦の場合を考慮して、レース対戦者の4人分の情報が含まれる、
ゲームの制御方法。」

また、上記(b)、(c)、(d)より、引用文献6には、次の発明(以下「引用発明6-2」という。)が記載されている。
「ゲームデータを蓄積するサーバに複数のゲーム装置と情報端末とが通信可能に接続された
ゲームシステムであって、
前記ゲーム装置は、
実行するゲームについて、プレイヤに関する情報及びゲームの結果に関する情報を含むヘッダ部と、ゲーム進行に関する情報を含むボディ部とを有するゲームデータを生成するゲームデータ生成手段と、
前記ゲームデータを前記サーバにアップロードするゲームデータ送信手段とを有し、
前記サーバは、
前記サーバに蓄積された複数のゲームデータのヘッダ部を所定の検索条件に基づいて検索するゲームデータ検索手段と、
検索されたゲームデータの一覧を前記情報端末に送信するゲームデータ一覧送信手段とを有し、
前記情報端末は、
入力された検索条件を前記サーバに送信する検索条件送信手段と、
送信されたゲームデータの一覧を前記情報端末に表示するゲームデータ一覧表示手段と、
表示されたゲームデータの一覧から選択されたゲームデータをダウンロードするゲームデータ受信手段と、
ダウンロードしたゲームデータのボディ部に基づいてゲーム進行を再生するゲーム進行再生手段とを有する
ゲームシステムであって、
ゲームはレースゲームであり、
ヘッダー部は、(a)装置情報として、ゲーム装置の筐体シリアルID、ゲーム装置が設置された店舗ID等、(b)ユーザ情報として、メンバーズカード40のカードID、プレイヤタイプ(人間かCPUか)、プレイヤのニックネーム、車種、車のカラー等、(c)ゲーム情報として、走行タイム等から構成され、
ユーザ情報は、レース対戦者分の情報が含まれる。装置情報も、ネットワーク対戦の場合を考慮して、レース対戦者の4人分の情報が含まれる、
ゲームシステム。」

イ 対比・判断
(ア)本願発明1について
本願発明1と引用発明5-2とを対比すると、引用発明5-2の「ドライビングゲーム機(3)」は、本願発明1の「第1のコンピュータ装置」に相当する。
引用発明5-2の「ゴーストデータを記録」することは、本願発明1の「少なくとも第1のユーザのパフォーマンスシーケンスを示すパフォーマンスデータを記録できる」ことに相当する。
引用発明5-2の「サーバー(1)に公衆通信回線網(2)を通じて接続される複数のドライビングゲーム機(3)の各ドライビングゲーム機(3)からアップロードされたゴーストデータをダウンロードして、プレイヤーがダウンロードされたゴーストデータと対戦する」ことは、本願発明1の「第1のコンピュータ装置上で、他のユーザのパフォーマンスシーケンスを当該パフォーマンスデータに基づいてシミュレートする」ことに相当する。
引用発明5-2の「ドライビングゲームシステムのゲーム処理方法」は、本願発明1の「ゲーム処理方法」に相当する。
引用発明5-2の「サーバー(1)に公衆通信回線網(2)を通じて接続するステップ」は、本願発明1の「前記第1のコンピュータ装置を少なくとも1つのサーバに通信ネットワークを介して接続するステップ」に相当する。
引用発明5-2の「各ドライビングゲーム機(3)は、メモリ(32)に記録されたゴーストデータをサーバー(1)に送信してアップロードするステップ」は、本願発明1の「第1のユーザまたは他のユーザによって前記パフォーマンスデータを少なくとも1つのサーバにアップロードするステップ」に相当する。
引用発明5-2の「各ドライビングゲーム機(3)においてサーバー(1)に記録されたゴーストデータ」を「検索」する「ステップ」は、本願発明1の「ユーザの指示に基づいて、第1の条件に合致する」「他ユーザのパフォーマンスデータを検索するための検索クエリーを前記第1のコンピュータ装置において構築し、少なくとも1つの前記サーバにおいて、前記検索クエリーに基づいて、前記第1の条件に合致する他ユーザのパフォーマンスデータ」を「生成するステップ」に相当する。
引用発明5-2の「各ドライビングゲーム機(3)においてサーバー(1)に記録されたゴーストデータ」を「検索、ダウンロードするステップ」は、「前記検索クエリーに基づいて、前記生成されたパフォーマンスデータ」を「サーバからダウンロードするステップと、を備え、前記ダウンロードするステップ」は、「ユーザにより選択されたパフォーマンスデータ」を「ダウンロードする」ことに相当する。
したがって、本願発明1と引用発明5-2とは、
「少なくとも第1のユーザのパフォーマンスシーケンスを示すパフォーマンスデータを記録できる第1のコンピュータ装置上で、他のユーザのパフォーマンスシーケンスを当該パフォーマンスデータに基づいてシミュレートするゲーム処理方法であって、
a)前記第1のコンピュータ装置を少なくとも1つのサーバに通信ネットワークを介して接続するステップと、
b)前記第1のユーザまたは他のユーザによって前記パフォーマンスデータを少なくとも1つのサーバにアップロードするステップと、
c)ユーザの指示に基づいて、第1の条件に合致する他ユーザのパフォーマンスデータを検索するための検索クエリーを前記第1のコンピュータ装置において構築し、少なくとも1つの前記サーバにおいて、前記検索クエリーに基づいて、前記第1の条件に合致する他ユーザのパフォーマンスデータを生成するステップと、
d)前記検索クエリーに基づいて、前記生成されたパフォーマンスデータをサーバからダウンロードするステップと、を備え、
e)前記ダウンロードするステップは、ユーザにより選択されたパフォーマンスデータをダウンロードする、ゲーム処理方法。」
である点で一致し、以下の点で相違している。

[相違点3]
本願発明1は、「複数の他ユーザのパフォーマンスデータ」を検索するための検索クエリーを構築し、「他ユーザのパフォーマンスデータが複数含まれるパフォーマンスデータパッケージを複数」生成し、「前記複数のパフォーマンスデータパッケージを前記第1のユーザが選択可能なように提示」し、「前記生成されたパフォーマンスデータパッケージ」であって、「前記複数のパフォーマンスデータパッケージの中から」、ユーザにより選択された「パフォーマンスデータパッケージ」をダウンロードするのに対し、引用発明5-2は、これについて明らかでない点。

上記相違点3について検討すると、引用発明5-1、6-1、6-2は、上記相違点3に係る本願発明1の「他ユーザのパフォーマンスデータが複数含まれるパフォーマンスデータパッケージを複数生成する」という発明特定事項を備えていない。
また、上記相違点3に係る本願発明1の発明特定事項が、設計的事項であるとする根拠もない。
したがって上記相違点3に係る本願発明1の発明特定事項は、引用発明5-1及び引用発明6-1、6-2に基づいて、当業者が容易に想到し得たとはいえない。
よって、本願発明1は、引用文献5、及び引用文献6に記載の発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

(イ)本願発明2について
本願発明2と引用発明5-1とを対比すると、引用発明5-1の「サーバー(1)に公衆通信回線網(2)を通じて接続される複数のドライビングゲーム機(3)」の「各ドライビングゲーム機(3)は、そのゴーストデータを記録し得るメモリ(32)と、そのメモリ(32)に記録されたゴーストデータをサーバー(1)に送信し」、「サーバー(1)に記録されたゴーストデータを閲覧、検索、ダウンロードし」、「ドライビングゲーム機(3)が、プレイヤーを、ダウンロードされたゴーストデータと対戦させ得る」「ドライビングゲームシステム」は、本願発明2の「複数のユーザのパフォーマンスシーケンスをシミュレートするゲームシステム」に相当する。
引用発明5-1の「ドライビングゲーム機(3)」は、「ゴーストデータを記録し得るメモリ(32)」を「具備」し、また、ディスプレイを有することは技術常識であるから、引用発明5-1の「ドライビングゲーム機(3)」は、本願発明2の「少なくとも第1のユーザのパフォーマンスシーケンスを示すパフォーマンスデータを記録し、かつ、ディスプレイを有する第1のコンピュータ装置」に相当する。
引用発明5-1の「公衆通信回線網(2)」は、本願発明2の「通信ネットワーク」に相当する。
引用発明5-1の「ゴーストデータ」が「各ドライビングゲーム機(3)からアップロード」される「サーバー(1)」は、「ランク、プレイヤー名、ゲーム機IDコード」を「記録」した「ゴーストデータ」のデータベースを備えていることは自明であるから、本願発明2の「所定のデータベースを有する少なくとも1つの所定のサーバ」を備えていることは明らかである。
引用発明5-1は、「各ドライビングゲーム機」が「具備」する「サーバー(1)に公衆通信回線網(2)を通じて接続」し、「ゴーストデータが公衆通信回線網2を介してサーバ1にアップロードされ」、「ゴーストデータをサーバー(1)に送信し得る」「装置」は、本願発明2の「パフォーマンスデータを前記所定のサーバにアップロードするアップロード部」に相当する。
引用発明5-1の「各ドライビングゲーム機」が「具備」する「各ドライビングゲーム機(3)からアップロードされ」、「ランク、プレイヤー名、ゲーム機IDコードと共に」「サーバー(1)に記録されたゴーストデータを閲覧」「し得る装置」は、本願発明2の「パフォーマンスデータ」を「ダウンロードするために前記第1のユーザが選択可能な他ユーザのパフォーマンスデータ」を「識別するための表示を複数生成し、前記第1のコンピュータ装置のディスプレイに表示する表示部」に相当する。
引用発明5-1の「ユーザー」が「ゴーストデータ」を「検索」することは、本願発明2の「第1のユーザにより選択された内容に基づいてデータベースへ送信をするための検索クエリーを生成」することに相当する。
引用発明5-1の「ユーザー」が「ゴーストデータ」を「検索」して「ドライブゲーム機のプレイヤーから要求されたときは、その要求された記録を、要求のあったゲーム機にダウンロード」することは、本願発明2の「データベースから、前記検索クエリーに応じて検索された前記パフォーマンスデータ」を「ダウンロードする」ことに相当する。
したがって、本願発明2と引用発明5-1とは、
「複数のユーザのパフォーマンスシーケンスをシミュレートするゲームシステムであって、
少なくとも第1のユーザのパフォーマンスシーケンスを示すパフォーマンスデータを記録し、かつ、ディスプレイを有する第1のコンピュータ装置と、
通信ネットワークと、
所定のデータベースを有する少なくとも1つの所定のサーバと、を備え、
前記第1のコンピュータ装置は、
前記パフォーマンスデータを前記所定のサーバにアップロードするアップロード部と、
前記パフォーマンスデータをダウンロードするために前記第1のユーザが選択可能な他ユーザのパフォーマンスデータを識別するための表示を複数生成し、前記第1のコンピュータ装置のディスプレイに表示する表示部を含み、
前記第1のコンピュータ装置は、
前記第1のユーザにより選択された内容に基づいてデータベースへ送信をするための検索クエリーを生成し、
前記データベースから、前記検索クエリーに応じて検索された前記パフォーマンスデータを生成したダウンロードする、ゲームシステム。」
である点で一致し、以下の点で相違する。

[相違点4]
本願発明2では、「パフォーマンスデータが複数含まれるパフォーマンスデータパッケージ」をダウンロードするものであって、「パフォーマンスデータパッケージ」を識別するための表示を複数生成し、表示する「パフォーマンスデータパッケージ」表示部を含み、
検索クエリーに応じて検索された「パフォーマンスデータパッケージ」を「生成した後に」ダウンロードするのに対し、引用発明5-1はこれについて明らかでない点。

上記相違点4について検討すると、引用発明5-2、6-1、6-2は、上記相違点4に係る本願発明2の「検索クエリーに応じて検索されたパフォーマンスデータパッケージを生成した後にダウンロードする」という発明特定事項を備えていない。
また、上記相違点に係る本願発明2の発明特定事項が、設計的事項であるとする根拠もない。
したがって上記相違点4に係る本願発明2の発明特定事項は、引用発明5-2、6-1、6-2に基づいて、当業者が容易に想到し得たとはいえない。
よって、本願発明2は、引用文献5、6に記載の発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

(ウ)請求項2ないし8、10ないし16に係る発明について
請求項2ないし8に係る発明は、本願発明1をさらに限定したものであるから、本願発明1と同様に、当業者が引用文献5、6に記載の発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。
請求項10ないし16に係る発明は、本願発明2をさらに限定したものであるから、本願発明2と同様に、当業者が引用文献5、6に記載の発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

ウ 平成28年1月22日付け拒絶理由通知の理由3についてのまとめ
以上のとおり、請求項1ないし16に係る発明は、当業者が、引用文献5及び引用文献6に記載された発明に基づいて、容易に発明をすることができたとはいえない。
よって、平成28年1月22日付け拒絶理由通知の理由3は、解消した。

(4)当審拒絶理由についてのまとめ
以上のとおり、平成28年1月22日付け拒絶理由通知の理由1ないし理由3、及び同年9月28日付け拒絶理由通知の理由は、解消した。

第5 まとめ
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2017-02-02 
出願番号 特願2012-217482(P2012-217482)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (A63F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 中澤 言一古川 直樹中村 和正  
特許庁審判長 黒瀬 雅一
特許庁審判官 吉村 尚
植田 高盛
発明の名称 パフォーマンスデータを選択および描画する改良された方法および装置  
代理人 特許業務法人 小笠原特許事務所  

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