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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B60N
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 B60N
管理番号 1324372
審判番号 不服2015-21878  
総通号数 207 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-03-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-12-10 
確定日 2017-01-25 
事件の表示 特願2014-554839「ワンピース型背もたれ構造体の製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 8月 1日国際公開、WO2013/112787、平成27年 2月16日国内公表、特表2015-504819〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯
本件出願は、2013年1月25日(パリ条約による優先権主張 2012年1月26日、米国)を国際出願日とする出願であって、平成27年7月30日付けで手続補正書が提出され、同年8月28日付けで拒絶の査定がなされ(同査定の謄本の送達(発送)日 同年9月8日)、これに対し、同年12月10日に拒絶査定に対する審判請求がなされ、これと同時に特許請求の範囲を補正する手続補正がされたものである。

第2.平成27年12月10日付けの手続補正書による補正(以下「本件補正」という。)についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
本件補正を却下する。

[理由]
1.本件補正後の本願の発明
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、
「【請求項1】
背もたれ構造体の製造方法であって、
複数のスタンピングプロセスによって単一材料片を屈曲させて背もたれ構造体を形成し、
前記背もたれ構造体は、中央開口部のまわりに延在するウェブと、前記中央開口部に隣接する前記ウェブの内周まわりに延在する内側フランジと、前記ウェブの外周まわりに延在する外側フランジとを備え、
前記内側フランジは、第1のスタンピングプロセスにより引き抜きなしに屈曲されて形成され、
前記外側フランジは、第2のスタンピングプロセスにより引き抜きなしに屈曲されて形成されることを特徴とする方法。」
と補正された。(下線は補正個所を示すために審決で付した。以下の下線も同様に審決で付した。)
上記の補正は、請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である、内側フランジ及び外側フランジの形成方法に関して、「引き抜きなしに」との限定事項を付加するものであって、当該補正は、特許法第17条の2第5項第2号に規定される「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の前記請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という。)は、前記に記載された事項により特定されるところ、本願補正発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について以下に検討する。

2.引用例
原査定に係る拒絶理由で引用された、本願の優先日前である平成23年8月25日に頒布された刊行物である国際公開第2011/103501号パンフレット(以下「引用例」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。(なお、原文の後の括弧{}内に記載したものは、引用例に係る国際出願の国内公表のための公報である特表2013-520348号公報を参照した当審での訳文である。)
ア.「 16. A method of manufacturing a seat back structure, comprising:
forming the seat back structure from a single piece of material, wherein the seat back structure comprises a web extending about a central opening, an inner flange extending about an inner perimeter of the web adjacent to the central opening, and an outer flange extending about an outer perimeter of the web, wherein the inner flange, the outer flange and the web form a channel extending about the seat back structure. 」(請求項16)
{「【請求項16】
シートバック構造体を製造する方法であって、
単一の材料片から前記シートバック構造体を形成することを含み、
前記シートバック構造体が、
中央開口部の周りに延びるウェブと、
前記中央開口部に隣接して前記ウェブの内周の周りに延びる内側フランジと、
前記ウェブの外周の周りに延びる外側フランジと、
を備え、
前記内側フランジと前記外側フランジと前記ウェブが前記シートバック構造体の周りに延びる溝形材を形成する、方法。」}
イ.「 FIG. 1 is a perspective view of an exemplary vehicle that includes seats which may employ a one-piece seat back structure. As illustrated, the vehicle 10 includes an interior 12 having a seat 14. As discussed in detail below, the seat 14 includes a seat back structure formed from a single piece of material. Such a configuration may substantially reduce seat construction costs compared to seat backs that include multiple components joined together to form a complete structure. Specifically, seat backs having multiple formed components of different shapes (e.g., brackets, cross -members, etc.) require separate dies, or separate series of dies, to form each component. As will be appreciated, construction cost may increase proportionally to the number of dies due to the expense associated with designing and building each die. In contrast, the present embodiment employs a single die, or single series of dies, to form the seat back structure from one piece of material (e.g., sheet metal). Furthermore, because the entire seat back structure is formed as a single unit, labor and material costs associated with joining the individual components may be substantially reduced or eliminated. In addition, the resultant seat back structure may be lighter than multi-component structures because of the reduction in number of connections (i.e., fewer weld joints, fewer bolted connections, etc.). Consequently, the one-piece seat back structure may be both lighter and less expensive to produce than conventional structures formed by coupling multiple components. 」([0020])
{「図1は、一体型シートバック構造体を使用することができるシートを含む、典型的な車両の斜視図である。図示のように、車両10は、シート14を有する内部12を含む。以下に詳細に説明するように、シート14は、単一の材料片から形成されたシートバック構造体を含む。このような構成は、完全な構造体を形成するために互いに連結された複数の構成部分を含むシートバックに比べて、実質的にシートの製造コストを低減することができる。詳細には、異なる形状の複数の成形された構成部分(例えば、ブラケット、クロスメンバーなど)を有するシートバックは、各構成部分を形成するために、別個のダイ、又は別シリーズのダイを必要とする。理解されるように、製造コストは、各ダイの設計及び組み立てに関連する費用のために、ダイの数に比例して増加する可能性がある。これに対して、本実施形態は、シートバック構造体を単一片の材料(例えば、シートメタル)から形成するために、単一のダイ、又は単一シリーズのダイを使用する。また、シートバック構造体全体が単一のユニットとして形成されるので、個々の構成部分の接合に関連する人件費及び材料費を大幅に低減又は削減することができる。加えて、得られるシートバック構造体は、結合部の数の減少(すなわち、より少ない溶接継手、より少ないボルト連結など)によって、マルチコンポーネント構造体よりも軽くすることができる。その結果、一体型シートバック構造体は、複数の構成部分を連結することによって形成される従来の構造体よりも、軽いだけでなく、製造費を安くすることができる。」}(段落【0010】を参照。)
ウ.「In certain embodiments, the seat back structure 24 may be formed from a tailor welded blank. A tailor welded blank includes multiple layers of steel and/or other materials (e.g., aluminum, etc.) welded together to form a blank having desired structural properties. For example, certain regions of the blank may have increased thickness (e.g., via welding additional layers of material to the blank) to enhance structural rigidity. Other regions of the blank may include material having greater ductility and/or malleability to facilitate formation of complex shapes. As a result, once the tailor welded blank is formed (e.g., via a stamping process) into the desired shape, the resultant structure (e.g., seat back structure 24) may include complex geometric shapes, while providing the desired strength and structural rigidity. 」([0030])
{「ある実施形態において、シートバック構造体24は、テーラードブランクから形成されることができる。テーラードブランクは、所望の構造体特性を有するブランクを形成するために、互いに溶接された多層の鋼及び/又は他の材料(例えば、アルミニウムなど)を含む。例えば、ブランクのある領域は、構造的剛性を高めるために、(例えば、追加の材料層をブランクに溶接することによって)厚みを増すことができる。ブランクの他の領域は、複雑な形状の形成を容易にするために、より大きな延性及び/又は展性を有する材料を含むことができる。その結果、テーラードブランクが(例えば、スタンピング工程によって)所望の形状に形成されると、得られた構造体(例えば、シートバック構造体24)は、所望の強度及び構造的剛性を提供しつつ、複雑な幾何学的形状を含むことができる。」}(段落【0021】を参照。)

上記の記載事項を総合すると、引用例には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。
「シートバック構造体を製造する方法であって、
シートメタルのような単一の材料片から前記シートバック構造体を形成することを含み、
前記シートバック構造体が、
中央開口部の周りに延びるウェブと、
前記中央開口部に隣接して前記ウェブの内周の周りに延びる内側フランジと、
前記ウェブの外周の周りに延びる外側フランジとを備え、
前記内側フランジと前記外側フランジは、単一のダイ、又は単一シリーズのダイを使用するスタンピング工程によって所望の形状に形成され、前記内側フランジと前記外側フランジと前記ウェブが前記シートバック構造体の周りに延びる溝形材を形成する、方法。」

3.対比
本願補正発明と引用発明1とを対比する。
後者の「シートバック構造体」は、その構造及び機能等からみて、前者の「背もたれ構造体」に相当するものであり、以下同様に、「シートメタルのような単一の材料片」は「単一材料片」に、「中央開口部の周りに延びるウェブ」は「中央開口部のまわりに延在するウェブ」に、「前記中央開口部に隣接して前記ウェブの内周の周りに延びる内側フランジ」は「前記中央開口部に隣接する前記ウェブの内周まわりに延在する内側フランジ」に、「前記ウェブの外周の周りに延びる外側フランジ」は「前記ウェブの外周まわりに延在する外側フランジ」に、「スタンピング工程」は「スタンピングプロセス」に、それぞれ相当する。そして、後者の「シートメタルのような(平面形状の)単一の材料片から前記シートバック構造体を形成する」過程において、材料片の「屈曲」が行われることは明らかである。

したがって、両者は、
「背もたれ構造体の製造方法であって、
スタンピングプロセスによって単一材料片を屈曲させて背もたれ構造体を形成し、
前記背もたれ構造体は、中央開口部のまわりに延在するウェブと、前記中央開口部に隣接する前記ウェブの内周まわりに延在する内側フランジと、前記ウェブの外周まわりに延在する外側フランジとを備え、
前記内側フランジは、スタンピングプロセスにより屈曲されて形成され、
前記外側フランジは、スタンピングプロセスにより屈曲されて形成される方法。」
の点で一致し、以下の点で相違している。
[相違点]
本願補正発明は、内側フランジは「第1のスタンピングプロセスにより引き抜きなしに」形成され、外側フランジは「第2のスタンピングプロセスにより引き抜きなしに」形成される、つまりスタンピングプロセスが「複数」であり、「引き抜きなし」であるのに対し、引用発明は、「内側フランジと外側フランジは、スタンピング工程によって」形成される、つまりスタンピング工程(スタンピングプロセス)が「複数」であることと、「引き抜きなし」であることに言及していない点。

4.判断
上記の相違点について検討する。
一般に屈曲する個所や形状の相違に応じて、複数のスタンピング工程を行うことに特段の技術的な困難性はなく、引用発明において、内側フランジ、及び外側フランジを形成するにあたって、1回のスタンピング工程(スタンピングプロセス)で行うか、2回のスタンピング工程で行うかの何れかであって、本願明細書をみても、内側フランジを第1のスタンピングプロセスにより形成し、外側フランジを第2のスタンピングプロセスにより形成することに、格別の技術的意義は示されていない。
また、引き抜き加工とは、金属材料を先細りのダイス穴を通して引っ張り、所望の断面形状の細長い製品とする加工法であるから、引用発明における内側フランジ、及び外側フランジを所望の形状に形成するための加工に「引き抜き(加工)」を行ってはいないと解するのが技術的に自然である。
してみれば、引用発明において、上記相違点に係る本願補正発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得る程度の事項といえる。
よって、本願補正発明は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。
なお、請求人は、審判請求の理由において「引き抜き(英語表現ではdrawingと称し、「絞り」と翻訳される場合もある)」(審判請求書第8頁第18?20行)として、本願補正発明でいう「引き抜き」は、引き抜きとは全く態様の異なる加工である「絞り」をも含むかのような主張をしている。
しかし、仮に請求人が主張するように解したとしても、「絞り」を伴わない材料片の屈曲加工が可能であることは明らかであって、常套手段であるから、上記の判断結果が左右されるということはない。

5.むすび
以上のとおりであって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3.本願の発明について
1.本願の発明
本件補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成27年7月30日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「【請求項1】
背もたれ構造体の製造方法であって、複数のスタンピングプロセスによって単一材料片を屈曲させて背もたれ構造体を形成し、前記背もたれ構造体は、中央開口部のまわりに延在するウェブと、前記中央開口部に隣接する前記ウェブの内周まわりに延在する内側フランジと、前記ウェブの外周まわりに延在する外側フランジとを備え、前記内側フランジは、第1のスタンピングプロセスによる屈曲によって形成され、前記外側フランジは、第2のスタンピングプロセスによる屈曲によって形成されることを特徴とする方法。」

2.引用例
原査定の拒絶の理由に引用された刊行物及びその記載内容、並びに引用発明は、上記「第2.2.引用例」に記載したとおりである。

3.対比・判断
本願発明は、上記「第2.1.本件補正後の本願の発明」で検討した、本願補正発明に係る内側フランジ及び外側フランジの形成方法に関し、「引き抜きなしに」との限定を省いたものに相当する。

そうすると、本願発明を特定する事項の全てを含み、さらに限定したものである本願補正発明が、上記の「第2.3.対比」及び「第2.4.判断」に記載したとおり、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものといえる。

4.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2016-08-26 
結審通知日 2016-08-30 
審決日 2016-09-12 
出願番号 特願2014-554839(P2014-554839)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (B60N)
P 1 8・ 572- Z (B60N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小島 哲次  
特許庁審判長 吉村 尚
特許庁審判官 黒瀬 雅一
藤本 義仁
発明の名称 ワンピース型背もたれ構造体の製造方法  
代理人 三好 秀和  
代理人 伊藤 正和  
代理人 原 裕子  
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