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審決分類 |
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H01R 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01R |
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管理番号 | 1324374 |
審判番号 | 不服2016-2316 |
総通号数 | 207 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2017-03-31 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2016-02-16 |
確定日 | 2017-01-25 |
事件の表示 | 特願2014-548214「改良された電気コネクタアセンブリ」拒絶査定不服審判事件〔2013年6月27日国際公開、WO2013/093546、平成27年1月8日国内公表、特表2015-501074〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、2011年12月22日を国際出願日とする出願であって、平成26年8月19日に手続補正書が提出され、平成27年4月27日付けで拒絶の理由が通知され、その指定期間内の同年7月10日に意見書及び手続補正書が提出されたが、同年10月30日付けで拒絶査定がなされ(発送日:同年11月4日)、これに対し、平成28年2月16日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに、その審判の請求と同時に手続補正がされ、同年2月19日に手続補正書(方式)が提出されたものである。 第2 平成28年2月16日の手続補正についての補正却下の決定 〔補正却下の決定の結論〕 平成28年2月16日の手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。 〔理由〕 1 本願補正発明 本件補正は、特許請求の範囲の請求項1について、補正前(平成27年7月10日の手続補正書)の請求項1に、 「【請求項1】 第1および第2端子(20A,20B)を備えた第1コネクタ(10)と、第1および第2端子(38A,38B)を備えた第2コネクタ(12)と、前記第1コネクタ(10)内に設けられた第1インターロック端子(22C)および第2インターロック端子(22D)と、を具備した電気コネクタアセンブリであって、 前記第1および第2コネクタ(10,12)は、前記第1端子(20A,38A)同士、前記第2端子(20B,38B)同士、および前記インターロック端子(22C,22D)同士を接続および切断するために、未嵌合位置と嵌合完了位置との間において嵌合軸(XX)に沿って嵌合および分離されるように形成されており、 前記第2コネクタ(12)は、前記第1および第2コネクタ(10,12)の分離の際に、中間位置において前記第1および第2コネクタ(10,12)を遮るように形成された遮断システムを具備し、 前記中間位置においては、前記第1端子(20A,38A)は互いに接続されており、前記第2端子(20B,38B)は互いに接続されており、前記インターロック端子(22C,22D)は互いに切断されており、 前記第2コネクタ(12)は、前記中間位置において前記第1および第2コネクタ(10,12)を固定するように形成された固定システムを具備しており、 前記第1コネクタ(10)は、対応した第1および第2端子(20A,20B)、インターロック端子(22C,22D)、ならびに第1筐体(13)から突出したガイドピン(24)を収容した第1筐体(13)を具備し、 前記第2コネクタ(12)は、対応した第1および第2端子(38A,38B)、前記嵌合軸(XX)に沿ってスライド可能に第2筐体(28)上に組み付けられたスライダ(44)、ならびに前記嵌合軸(XX)に直交した軸(YY)の周りに回転可能に前記第2筐体(28)に組み付けられたカムギア(56)を収容した第2筐体を具備し、 前記ガイドピン(24)、前記スライダ(44)、および前記カムギア(56)は互いに協働するように形成され、前記第1および第2コネクタ(10,12)の嵌合/分離を補助しており、 前記カムギア(56)は前記ガイドピン(24)を受容および駆動するように形成されたガイド溝(58)を具備し、 前記固定システムは、前記ガイド溝(58)内に設けられ且つ前記中間位置において前記ガイド溝(58)内のガイドピン(24)を保持するように形成された保持ショルダ(64)を具備していることを特徴とする電気コネクタアセンブリ。」 とあったものを、 「【請求項1】 第1および第2端子(20A,20B)を備えた第1コネクタ(10)と、第1および第2端子(38A,38B)を備えた第2コネクタ(12)と、前記第1コネクタ(10)内に設けられた第1インターロック端子(22C)および第2インターロック端子(22D)と、を具備した電気コネクタアセンブリであって、 前記第1および第2コネクタ(10,12)は、前記第1端子(20A,38A)同士、前記第2端子(20B,38B)同士、および前記インターロック端子(22C,22D)同士を接続および切断するために、未嵌合位置と嵌合完了位置との間において嵌合軸(XX)に沿って嵌合および分離されるように形成されており、 前記第2コネクタ(12)は、前記第1および第2コネクタ(10,12)の分離の際に、中間位置において前記第1および第2コネクタ(10,12)を遮るように形成された遮断システムを具備し、 前記中間位置においては、前記第1端子(20A,38A)は互いに接続されており、前記第2端子(20B,38B)は互いに接続されており、前記インターロック端子(22C,22D)は互いに切断されており、 前記第2コネクタ(12)は、前記中間位置において前記第1および第2コネクタ(10,12)を固定するように形成された固定システムを具備しており、 前記第1コネクタ(10)は、対応した第1および第2端子(20A,20B)、インターロック端子(22C,22D)、ならびに第1筐体(13)から突出したガイドピン(24)を収容した第1筐体(13)を具備し、 前記第2コネクタ(12)は、対応した第1および第2端子(38A,38B)、前記嵌合軸(XX)に沿ってスライド可能に第2筐体(28)上に組み付けられたスライダ(44)、ならびに前記嵌合軸(XX)に直交した軸(YY)の周りに回転可能に前記第2筐体(28)に組み付けられたカムギア(56)を収容した第2筐体を具備し、 前記ガイドピン(24)、前記スライダ(44)、および前記カムギア(56)は互いに協働するように形成され、前記第1および第2コネクタ(10,12)の嵌合/分離を補助しており、 前記カムギア(56)は前記ガイドピン(24)を受容および駆動するように形成されたガイド溝(58)を具備し、 前記固定システムは、前記ガイド溝(58)内に設けられ且つ前記中間位置において前記ガイド溝(58)内のガイドピン(24)を保持するように形成された保持ショルダ(64)を具備しており、該保持ショルダ(64)は、前記中間位置において、前記電気コネクタアセンブリの分離方向に前記カムギア(56)が回転することを防止していることを特徴とする電気コネクタアセンブリ。」 と補正(下線は補正箇所を示すために請求人が付したものである。)することを含むものである。 上記補正は、発明を特定するために必要な事項である「保持ショルダ」について「該保持ショルダ(64)は、前記中間位置において、前記電気コネクタアセンブリの分離方向に前記カムギア(56)が回転することを防止している」との限定を付するものであり、かつ、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)否かについて検討する。 2 刊行物 原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願前に頒布された特表2011-530151号公報(以下「刊行物」という。)には、「電気コネクタシステム」に関して、図面(特に、図1?図6、図11?図16)と共に次の事項が記載されている。下線は当審で付した。 (1)「【請求項3】 第1電力端子(30;32)を収容した第1コネクタと、第2電力端子(122;124)を収容した第2コネクタと、を具備し、前記第1コネクタ(10)と第2コネクタ(100)とは、前記第1電力端子(30;32)と第2電力端子(122;124)とを接続および接続解除するために、嵌合軸(XX’)に沿って嵌合および分離可能である電気コネクタアセンブリであって、 前記第1コネクタ(10)は第1停止部(84)を具備し、前記第2コネクタ(100)は第2停止部(148)を具備し、前記第1停止部(84)および第2停止部(148)は前記嵌合軸(XX’)に沿って整列されて、前記第1コネクタ(10)と第2コネクタ(100)との分離を防止することを特徴とする電気コネクタアセンブリ。 【請求項4】 前記第2コネクタ(100)は前記第2停止部(148)を嵌合軸(XX’)に関して横方向に前記第1停止部(84)に対して移動させるための移動手段(140、141、142、151)と、該移動手段(140、141、142、151)を被ブロック位置においてブロックするためのブロック手段(139、152、156)と、を具備し、前記被ブロック位置において前記第1停止部(84)と第2停止部(148)とが整列する電気コネクタアセンブリであって、 前記第2コネクタ(100)は前記ブロック手段(139、152、156)を作動停止するためのブロック解除手段(143、154)を具備し、該ブロック解除手段(143、154)は、前記第1コネクタ(10)から離れるように前記嵌合軸(XX’)に沿った並進とは異なった移動を伴って、オペレータによって動作可能となるブロック解除要素(143)を具備していることを特徴とする請求項3に記載の電気コネクタアセンブリ。」 (2)「【0008】 本発明により、分離される前に電力端子が電力供給停止されることを確実にするために、分離動作において一時中断が導入される。」 (3)「【0023】 雄型電気コネクタ10および雌型電気コネクタ100は個々に図1および2に図示されている。 【0024】 雄型コネクタおよび雌型コネクタは直流400ボルト用の電気コネクタアセンブリを形成し、それらは、雄コネクタ(図1)から雌コネクタ(図2)に向かって方向付けられた嵌合軸XX’に沿って、互いに勘合するように意図されている。 【0025】 図1を参照すると、雄型コネクタのハウジングは外側ハウジング12と内側ハウジング20とを具備している。外側ハウジング12は、有利に楕円形断面形状を備えたチューブ14を具備している。チューブ14は嵌合軸XX’に沿って延在している。外側ハウジング12は嵌合軸XX’に直交して延在した後方ベースフランジ16を具備している。後方ベースフランジ16は、チューブ14の後端14Rにおいて、チューブ14に固定されている。固定アナ18は、外側ハウジング12を例えば壁に固定するために、後方ベースフランジ16を貫通して設けられている。 【0026】 内側ハウジング20は嵌合軸XX’に沿ったチューブ形状を成し、外側ハウジング12の内側チューブ14の内側に延在している。 【0027】 図4を参照すると、内側ハウジング20は円筒スリーブ22、24を具備し、それらは個々に各々が嵌合軸XX’に平行なYY’、ZZ’に沿って延在し、各々の円筒スリーブは個々に収容チャンバ21、23を画定している。各々の円筒スリーブ22、24は、嵌合軸XX’に直交して延在した個々の前面26、28を具備している。 【0028】 雄型コネクタ10は2つの雄型電力端子30、32を具備し、各々の端子は個々の収容チャンバ21、23に収容されており、個々の収容チャンバの長手軸YY’、ZZ’ に沿って延在している。各々の雄型端子30、32は円筒形本体31、33と、円筒形本体31、33から前方に向かって延在した前面ランス34、36と、を具備している。円筒形本体31、33は後方ベースフランジ16に対して後方に突出しており、図示された実施例においては、導体要素への固定システム、または(図示されていない)導体ケーブルへの固定システムを備えた後端31R,33Rを具備している。各々の前面ランス34、36は個々の前面26、28を通じて前方に突出しており、前端34F、36Fを具備している。 【0029】 図1に戻って、雄型コネクタ10は2つの回転キャップ38、40を具備し、各々が個々の円筒スリーブ22、24に環状に組み付けられている。」 (4)「【0035】 図3を参照すると、雄型コネクタ10は、収容チャンバ22と24との間に配置された2つの縦長インターロック端子68、70を具備している。各々のインターロック端子68、70は嵌合軸XX’に平行に延在した前部プレート72、74を具備し、個々の後端部68R、70Rは電気的に制御可能なパワースイッチ200に接続されることを目的とした個々の制御ワイヤに接続されることを意図されている。各々の前部プレート72、74は前端部76、78を具備している。」 (5)「【0037】 雄型電力端子30、32はパワースイッチ200を介した電力源に接続されるよう意図されている。インターロック端子の接続はパワースイッチ200を閉じることを意図されており、インターロック端子の分離はパワースイッチ200を開くことを意図されている。 【0038】 インターロック端子とパワースイッチとは、以下に説明されているように、最初にシステムのスイッチオンを提供し、最後にシステムのスイッチオフを提供する。実際には、インターロック端子回路は最初に閉じられて、一旦雄型コネクタと雌型コネクタとが一体に十分に嵌合した場合に、雄型電力端子30、32を具備した電力回路の電源を入れる。それと相互に、インターロック端子は最後に閉じられて、雄型コネクタと雌型コネクタとが完全に分離される前に最初に電力回路の電源を切る。 【0039】 この目的のために、雄型コネクタ10は2つの絶縁ラグ80、82を具備している。各々のラグ80、82は前部プレート72、74の個々の1つの前端部76、78に沿って配置されている。各々のラグ80、82は前方傾斜部80F,82Fおよび後方傾斜部80R、82Rを具備している。 【0040】 雄型コネクタ10は、外側ハウジング12のチューブ14から外向きに突出した停止ピン84をさらに具備している。 【0041】 図2を参照すると、雌型コネクタ100は、有利に楕円形横断セクションを備えたチューブ104を具備した外側ボディ102を具備している。チューブ104は嵌合軸XX’に沿って延在している。外側ボディ102はチューブ104の隣において嵌合軸XX’に平行に延在下側壁106を具備している。 【0042】 外側ボディ102は2つの円筒スリーブ110、112を具備し、各々のスリーブは個々の一つの軸YY’、ZZ’に沿って延在し、各々が個々の収容チャンバ109、110を画定している。」 (6)「【0044】 雌型コネクタ100の各々のスリーブ110、112には長方形前方開口部118、120が設けられ、それらは嵌合の際に個々の1つの雄型電力端子26、28を受け入れるように意図されている。 【0045】 図4を参照すると、雌型コネクタ100は、前面114、116の後方の個々の一つの収容チャンバ109、111内に収容された雌型電力端子122、124を具備している。 【0046】 図3を参照すると、雌型コネクタ100はインターロック短絡部材126を具備している。インターロック短絡部材126は中央部128と、ヘアピン形状に嵌合軸XX’に直交した軸の周りに湾曲した2つの対向したアーム130、132と、を具備し、嵌合軸XX’に関して横方向に弾性変形可能とされている。各々のアーム130、132は中央部128の両側に自由端134、136を具備している。インターロック短絡部材126は2つのスリーブ110、112の間に配置され、雄型コネクタ10および雌型コネクタ100が嵌合工程にある場合、各々の自由端134、136は個々の1つのインターロック端子68、70の正面、より正確には個々の1つのラグ80、82の正面に配置されている。」 (7)「【0048】 図11を参照すると、雌型コネクタ100は嵌合軸XX’に沿ったチューブ形状を備えたスライダ140を具備している。スライダ140は外側ボディ102にスライド可能に組み付けられており、嵌合軸XX’に平行に延在した縦長ラック141を具備している。スライダ140はボタン143を具備し、そのボタンはスライダ本体に対して有利にヒンジ結合され、嵌合軸XX’部直交した方向に沿って押圧されるように取り付けられている。 【0049】 図13を参照すると、スライダ140は側壁106に向かって突出した停止歯139を具備している。停止歯139は前方横壁145と傾斜部147とを具備している。 【0050】 図11を参照すると、雌型電気コネクタ100は側壁106に組み付けられたカムギア142を具備している。そのような機構は特許文献1に記載されている。カムギア142は嵌合軸XX’に直交した軸GG’の周りに側壁106に対して回転可能である。カムギア142は停止ピン84を受け入れ且つ駆動するための回廊144を具備している。回廊144は軸GG’に平行で且つ軸GG’からオフセットされた軸の周りに有利に円形とされている。回廊144は停止ピン84の入口のための入口開口146と、回廊144の外周を画定している停止側壁148とを具備し、停止側壁は停止ピン84と協働することを意図されている。 【0051】 カムギア142は、軸GG’の周りに環状に延在した環状ラック150を具備している。環状ラック150は、スライダ140の縦長ラック141協働することを意図されている。 【0052】 雌型コネクタ100は、雌型コネクタと雄型コネクタとが嵌合された場合に雄型コネクタ10と雌型コネクタ100とをブロックするためのブロック要素152を具備している。ブロック要素152は側壁106に組み付けられ、前方ブロック位置(図16)につくために嵌合軸XX’に平行に側壁106に対してスライドすることを意図されており、その位置はブロック要素152のブロックアーム153が、カムギア142内に設けられたブロック開口部(図示略)内に入ることによってカムギア142の回転をブロックする位置である。 【0053】 ブロック要素152は停止歯156を備えた可撓性縦長アーム154をさらに具備し、停止歯はスライダ140の停止歯139と協働することを意図されている。図13に示されたように、停止歯156は、スライダ140を前方にスライドさせるために前方傾斜部147と協働するための後方傾斜部158と、停止歯139の後部壁145と係合することによってスライダ140の後方への移動を停止するための前部壁160と、を具備している。」 (8)「【0061】 雄型電気コネクタ10と雌型電気コネクタ100との嵌合がここに説明されている。 【0062】 3つの差込動作および3つの位置が、どのようにして雄型コネクタと雌型コネクタとが嵌合/分離されるか、言い換えると、挿入/抜去されるか、または電気的に接続/遮断されるかを記載するために定義されている。第1差込動作は、雄型コネクタと雌型コネクタとが嵌合していないと想定されるか、または嵌合していない状態に相当している。第1差込動作は、例えば雄型コネクタと雌型コネクタとが整列されているが互いに完全に係合していない場合に開始する。この第1差込動作は仮嵌合位置Aにおいて終了し、その位置はアーム130、132が個々のラグ80、82の前方傾斜部80F、82Fと係合する直前の位置に相当する。位置Aは第2差込動作の開始点を画定している。第2差込動作は中間位置Bにおいて終了し、その位置は一旦自由端134、136が前面ランス72、74と電気的に接触する位置である。第2差込動作の終了は第3差込動作の開始に相当している。嵌合位置Cは、雄型電力コネクタ30、32と雌型電力コネクタ122、124とが一旦前面ランス72、74と電気的に接触する位置であり、その位置は第3差込動作の終了を画定している。 【0063】 雄型コネクタ10と雌型コネクタ100とは最初に位置Aにセットされ、それらはそこでは嵌合軸XX’に関して整列されている。 【0064】 図14を参照すると、スライダ140は後方にあり、環状ラック150と係合した縦長ラック141を備えている。入口開口部146は前向きに向けられ、停止ピン84の正面に配置されている。」 (9)「【0067】 雄型コネクタ10と雌型コネクタ100とは、その後嵌合軸XX’に沿って互いに向かって移動する。(省略)」 (10)「【0069】 雄型コネクタとメス型コネクタとが互いに向かう同じ動作の際に、停止ピン84は入口開口部146によって回廊144に侵入する。スライダ140はその後前方に移動し、ラック150、141の協働を介して軸GG’周りのカムギア142の回転を誘導する。その後、回廊144は、雄型コネクタ10と雌型コネクタ100とを互いに向かって最終の未嵌合位置A(審決注:「仮嵌合位置A」の誤記)に到達するまで移動させるために、停止ピン84を前方に移動させる。ラック150、141の使用は、スライダ140の大きい移動量を回廊144によって移動する停止ピン84の小さい移動量へと導かせ、雄型コネクタとメス型コネクタとの互いに向かった移動に必要な力を小さくしており、特に雄型電力端子と雌型電力端子との接続のための労力を小さくしている。最終的な仮嵌合位置Aにおいて、雄型電力端子30、32は個々の雌型電力端子122、124と接触し、一方でインターロック短絡部材126の自由端134、136はラグ80、82の正面にある。 【0070】 雄型コネクタ10と雌型コネクタ100とは、第1差込動作(審決注:「第2差込動作」の誤記)におけるスライダ140のスライドによって互いに向かって移動され、インターロック短絡部材126はラグ80、82と接触する。 【0071】 第1差込動作(審決注:「第2差込動作」の誤記)において、アーム130、132の頭部は、個々のインターロック端子68、70から離れるようにアーム130、132を移動させるため、個々のラグ80、82の前方傾斜部80F、82Fに係合する。 【0072】 雄型コネクタ10と雌型コネクタ100とは、その後スライダ140のスライドによって互いに向かってさらに移動され、それは自由端134、136が、中間位置Bとなるために、後方傾斜部80R、82Rによってガイドされるまで移動される。中間位置Bにおいて、アーム130、132はインターロック端子68、70の前部プレート72、74に接触し、これによって、インターロック端子68、70を一体に電気的に接続する。スイッチ200はその後電源が入り、電力端子30、32を具備した電力回路を閉じる。 【0073】 位置Aから位置Bへと移動する間、各々のアーム130、132はこれによって関連したラグ80、82と相互作用し、アーム130、132は弾性変形して、一方でラグ80、82の周りを巡回する。ラグ80、82は安全部材のために設けられており、アーム130、132がインターロック端子に接触する位置である中間位置は第1コネクタ内のインターロック端子の正確な位置およびインターロック端子形状の特に長さの誤差又は公差から独立している。 【0074】 インターロック短絡部材126のアーム130、132およびラグ80、82は、これによって互いに2つのインターロック端子68、70に接触するための接触部材を形成しており、一方で、ラグ80、82は、仮嵌合位置Aと中間位置C(審決注:「中間位置B」の誤記)との間において、個々のインターロック端子68、70から離れる用に移動するアーム130、132のために分離手段を形成している。 【0075】 コネクタアセンブリの設計の際に、第1差込動作(審決注:「第2差込動作」の誤記)に相当した、仮嵌合位置Aと中間位置Bとのあいだの距離が決定される。それは製造クリアランスと、中間位置Bにおける雌型電力端子内への雄型電気端子の所望の挿入長さにしたがって設計され、電力端子30、32の適切な嵌合および接続は、電力端子が電源によって通電される前に確保される。 【0076】 スライダ140は前方に移動され、雄型コネクタ10と雌型コネクタ100とは、第2差込動作(審決注:「第3差込動作」の誤記)を通じて嵌合位置C(図15)に到達するまで、互いに近接するように移動される。 【0077】 中間位置Bと嵌合位置Cとの間において、各々のアーム130、132は弾性変形し、各々の自由端134、136は個々のインターロック端子68、70の前方ランス72、74上をスライドし、傾く。 【0078】 雄型電力端子30、32および雌型電力端子122、124は、中間位置Bと嵌合位置Cとの間の第2差込動作の全ての段階において、互いの接触を維持するように形成されている。 【0079】 ブロック要素152は、その後ブロック位置(図16)まで前方に押され、その位置においてアーム153は回転を防止するためにカムギア142に係合する。」 (11)「【0080】 雄型コネクタ10と雌型コネクタ100との分離操作がここに記載される。 【0081】 ブロック要素152が後方に押され、ブロック要素はカムギア142をブロックしなくなる(図15)。 【0082】 スライダ140は後方にスライドし、そのことは被ブロック位置(図13)までカムギア142の回転を導き、その位置において停止歯139、156が互いに係合して、スライダ140が雄型電気コネクタ10から離れるようにさらにスライドすることをブロックしている。 【0083】 被ブロック位置において、停止ピン84はまだ回廊144内にあり、停止ピン84は回廊144の停止側壁148によって停止されており(図11)この位置において雄型コネクタ10と雌型コネクタ100とをロックしている。 【0084】 好適に、被ブロック位置は中間位置Bと、最も近い(分離の際の最初の)仮嵌合位置Aと、の間にある。すなわち、電力端子が互いに接続され、一方で、インターロック端子が互いに分離されたときの第1差込動作(審決注:「第2差込動作」の誤記)に沿っている。 【0085】 その後、ボタン143が嵌合軸XX’に直交した軸に沿って押される。ボタン143は順に可撓性アーム154を押し、それは嵌合軸XX’に直交して停止歯156を停止歯139に対して移動させるためである(図13)。 【0086】 その後、スライダ140は、入口開口部146が停止歯84(審決注:「停止ピン84」の誤記)と整列するために、雄型コネクタ10からさらに離れるように移動する。スライダ140、カムギア142および2つのラック141、151は、その後停止側壁148によって形成された停止部を停止ピン84によって形成された停止部に関して移動させるための移動手段を形成する。 【0087】 停止歯139と停止歯156を備えたブロック要素152とは被ブロック位置においてブロックを移動するためのブロック手段を形成し、一方で、雄型コネクタ10と雌型コネクタ100とは中間位置Bから仮嵌合位置Aまで移動することも理解されるべきである。ボタン143と停止歯139が固定された可撓性アームとは、停止歯139、156を互いに対して移動することによってブロック手段の動作を停止させるブロック解除手段を形成している。 【0088】 ブロック手段は、雄型電力端子がもはや電源が入らず、一方で雌型電力端子から分離されたことを確実にするための手段を設けている。これは、雄型コネクタと雌型コネクタとの分離の間に電気的火花が発生することを防止している。実際に、ブロック手段を解除するためにボタン143を押すための操作に必要とされる時間は、パワースイッチ200が雄型電力端子を具備した電力回路を開くために十分である。」 (12)上記(7)の「回廊144は停止ピン84の入口のための入口開口146と、回廊144の外周を画定している停止側壁148とを具備し、停止側壁は停止ピン84と協働することを意図されている」(段落【0050】)との記載、及び上記(11)の「被ブロック位置において、停止ピン84はまだ回廊144内にあり、停止ピン84は回廊144の停止側壁148によって停止されており(図11)この位置において雄型コネクタ10と雌型コネクタ100とをロックしている」(段落【0083】)との記載を踏まえると、図11には、カムギア142の回廊144において停止側壁148の一部が肉厚となり回廊144内に突出することが図示されている。 (13)上記(8)の「第1差込動作は、雄型コネクタと雌型コネクタとが嵌合していないと想定されるか、または嵌合していない状態に相当している。第1差込動作は、例えば雄型コネクタと雌型コネクタとが整列されているが互いに完全に係合していない場合に開始する」(段落【0062】)との記載によれば、第1差込動作は、雄型コネクタと雌型コネクタとが完全に係合していない位置から開始することが理解できる。 (14)上記(10)の「中間位置Bにおいて、アーム130、132はインターロック端子68、70の前部プレート72、74に接触し、これによって、インターロック端子68、70を一体に電気的に接続する」(段落【0072】)との記載、及び同「中間位置Bと嵌合位置Cとの間において、各々のアーム130、132は弾性変形し、各々の自由端134、136は個々のインターロック端子68、70の前方ランス72、74上をスライドし、傾く。雄型電力端子30、32および雌型電力端子122、124は、中間位置Bと嵌合位置Cとの間の第2差込動作の全ての段階において、互いの接触を維持するように形成されている」(段落【0077】?段落【0078】)との記載によれば、嵌合位置Cにおいて、雄型電力端子30、32および雌型電力端子122、124は互いに接触し、インターロック端子68、70は電気的に接続することが理解できる。 (15)上記(11)の「好適に、被ブロック位置は中間位置Bと、最も近い(分離の際の最初の)仮嵌合位置Aと、の間にある。すなわち、電力端子が互いに接続され、一方で、インターロック端子が互いに分離されたときの第1差込動作(審決注:「第2差込動作」の誤記)に沿っている」(段落【0084】)との記載からみて、被ブロック位置においては、前記雄型電力端子30と雌型電力端子122は互いに接続されており、雄型電力端子32と雌型電力端子124は互いに接続されており、インターロック端子68,70は互いに切断されているといえる。 (16)上記(11)「雄型コネクタ10と雌型コネクタ100との分離操作がここに記載される」(段落【0080】)との記載、及び同「スライダ140は後方にスライドし、そのことは被ブロック位置(図13)までカムギア142の回転を導き、その位置において停止歯139、156が互いに係合して、スライダ140が雄型電気コネクタ10から離れるようにさらにスライドすることをブロックしている」(段落【0082】)との記載によれば、雄型コネクタ10及び雌型コネクタ100の分離の際に、被ブロック位置において停止歯139、156はスライダ140がスライドすることをブロックしていることが理解できる。その際、2つのラック141、151は歯合しているから、カムギア142の回転もブロックされ、雄型コネクタ10及び雌型コネクタ100も分離をブロックされることは明らかである。 そうすると、雌型コネクタ100は、雄型コネクタ10及び雌型コネクタ100の分離の際に、被ブロック位置において前記雄型コネクタ10及び雌型コネクタ100の分離をブロックするように形成された停止歯139、156を具備しているといえる。 (17)上記(1)の「前記第1コネクタ(10)は第1停止部(84)を具備し、前記第2コネクタ(100)は第2停止部(148)を具備し、前記第1停止部(84)および第2停止部(148)は前記嵌合軸(XX’)に沿って整列されて、前記第1コネクタ(10)と第2コネクタ(100)との分離を防止する」(【請求項3】)との記載、及び上記(11)の「被ブロック位置において、停止ピン84はまだ回廊144内にあり、停止ピン84は回廊144の停止側壁148によって停止されており(図11)この位置において雄型コネクタ10と雌型コネクタ100とをロックしている」(段落【0083】)との記載によれば、被ブロック位置において、停止ピン84が停止側壁148によって停止されて、雄型コネクタ10及び雌型コネクタ100の分離を防止することが理解できる。 そうすると、雌型コネクタ100は、被ブロック位置において雄型コネクタ10及び雌型コネクタ100の分離を防止するように形成された停止ピン84及び停止側壁148を具備しているといえる。 (18)上記(10)の「雄型コネクタとメス型コネクタとが互いに向かう同じ動作の際に、停止ピン84は入口開口部146によって回廊144に侵入する。スライダ140はその後前方に移動し、ラック150、141の協働を介して軸GG’周りのカムギア142の回転を誘導する。その後、回廊144は、雄型コネクタ10と雌型コネクタ100とを互いに向かって最終の未嵌合位置A(審決注:「仮嵌合位置A」の誤記)に到達するまで移動させるために、停止ピン84を前方に移動させる。ラック150、141の使用は、スライダ140の大きい移動量を回廊144によって移動する停止ピン84の小さい移動量へと導かせ、雄型コネクタとメス型コネクタとの互いに向かった移動に必要な力を小さくしており、特に雄型電力端子と雌型電力端子との接続のための労力を小さくしている」(段落【0069】)との記載からみて、停止ピン84、スライダ140、及びカムギア142は互いに協働するように形成され、雄型コネクタ10及び雌型コネクタ100の嵌合/分離を補助しているといえる。 (19)上記(7)の「回廊144は停止ピン84の入口のための入口開口146と、回廊144の外周を画定している停止側壁148とを具備し、停止側壁は停止ピン84と協働することを意図されている」(段落【0050】)との記載、及び上記(11)の「被ブロック位置において、停止ピン84はまだ回廊144内にあり、停止ピン84は回廊144の停止側壁148によって停止されており(図11)この位置において雄型コネクタ10と雌型コネクタ100とをロックしている」(段落【0083】)との記載からみて、停止ピン84及び停止側壁148は、回廊144内に設けられ且つ被ブロック位置において前記回廊144内の停止ピン84を停止するように形成された停止側壁148を具備しているといえる。そして、停止ピン84が回廊144の停止側壁148によって停止していれば、カムギア142は回転を停止することは明らかであるから、該停止側壁148は、前記被ブロック位置において、雄型コネクタ10と雌型コネクタ100とが分離する方向にカムギア142が回転することを停止させているといえる。 上記記載事項、認定事項及び図示内容を総合し、本願補正発明の記載ぶりに則って整理すると、刊行物には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。 「雄型電力端子30,32を備えた雄型コネクタ10と、雌型電力端子122,124を備えた雌型コネクタ100と、前記雄型コネクタ10内に設けられたインターロック端子68,70と、を具備した電気コネクタアセンブリであって、 前記雄型コネクタ10及び雌型コネクタ100は、前記雄型電力端子30と雌型電力端子122同士、前記雄型電力端子32と雌型電力端子124同士、及び前記インターロック端子68,70同士を接続および切断するために、雄型コネクタ10と雌型コネクタ100とが完全に係合していない位置と嵌合位置Cとの間において嵌合軸XX’に沿って嵌合および分離されるように形成されており、 前記雌型コネクタ100は、前記雄型コネクタ10及び雌型コネクタ100の分離の際に、被ブロック位置において前記雄型コネクタ10及び雌型コネクタ100の分離をブロックするように形成された停止歯139、156を具備し、 前記被ブロック位置においては、前記雄型電力端子30と雌型電力端子122は互いに接続されており、前記雄型電力端子32と雌型電力端子124は互いに接続されており、前記インターロック端子68,70は互いに切断されており、 前記雌型コネクタ100は、前記被ブロック位置において前記雄型コネクタ10及び雌型コネクタ100の分離を防止するように形成された停止ピン84及び停止側壁148を具備しており、 前記雄型コネクタ10は、対応した雄型電力端子30,32、インターロック端子68,70、並びに外側ハウジング12から突出した停止ピン84を収容した外側ハウジング12を具備し、 前記雌型コネクタ100は、対応した雌型電力端子122,124、前記嵌合軸XX’に沿ってスライド可能に外側ボディ102上に組み付けられたスライダ140、並びに前記嵌合軸XX’に直交した軸GG’の周りに回転可能に前記外側ボディ102に組み付けられたカムギア142を収容した外側ボディ102を具備し、 前記停止ピン84、前記スライダ140、及び前記カムギア142は互いに協働するように形成され、前記雄型コネクタ10及び雌型コネクタ100の嵌合/分離を補助しており、 前記カムギア142は前記停止ピン84を受容および駆動するように形成された回廊144を具備し、 前記停止ピン84及び停止側壁148は、前記回廊144内に設けられ且つ前記被ブロック位置において前記回廊144内の前記停止ピン84を停止するように形成された停止側壁148を具備しており、該停止側壁148は、前記被ブロック位置において、前記雄型コネクタ10と雌型コネクタ100とが分離する方向に前記カムギア142が回転することを停止させている電気コネクタアセンブリ。」 3 対比 本願補正発明と引用発明とを対比すると、後者の「雄型コネクタ10」は前者の「第1コネクタ(10)」に相当し、以下同様に、「雄型電力端子30」は「第1端子(20A)」に、「雄型電力端子32」は「第2端子(20B)」に、「外側ハウジング12」は「第1筐体(13)」に、「停止ピン84」は「ガイドピン(24)」に、「インターロック端子68」は「第1インターロック端子(22C)」に、「インターロック端子70」は「第2インターロック端子(22D)」に、「雌型コネクタ100」は「第2コネクタ(12)」に、「雌型電力端子122」は「第1端子(38A)」に、「雌型電力端子124」は「第2端子(38B)」に、「外側ボディ102」は「第2筐体(28)」に、「スライダ140」は「スライダ(44)」に、「カムギア142」は「カムギア(56)」に、「回廊144」は「ガイド溝(58)」に、「嵌合軸XX’」は「嵌合軸(XX)」に、「前記嵌合軸XX’に直交した軸GG’」は「前記嵌合軸(XX)に直交した軸(YY)」に、「雄型コネクタ10と雌型コネクタ100とが完全に係合していない位置」は「未嵌合位置」に、「嵌合位置C」は雄型電力端子30、32および雌型電力端子122、124は互いに接触し、インターロック端子68、70は電気的に接続するから「嵌合完了位置」にそれぞれ相当する。 また、後者の「前記雄型電力端子30と雌型電力端子122は互いに接続されており、前記雄型電力端子32と雌型電力端子124は互いに接続されており、前記インターロック端子68,70は互いに切断されて」いることは前者の「前記第1端子(20A,38A)は互いに接続されており、前記第2端子(20B,38B)は互いに接続されており、前記インターロック端子(22C,22D)は互いに切断されて」いることに相当するから、後者の「被ブロック位置」は前者の「中間位置」に相当する。 後者の「前記雄型コネクタ10及び雌型コネクタ100の分離をブロックする」ことは前者の「前記第1および第2コネクタ(10,12)を遮る」ことに相当し、後者の「停止歯139、156」は前者の「遮断システム」に相当する。 そうすると、後者の「前記雌型コネクタ100は、前記雄型コネクタ10及び雌型コネクタ100の分離の際に、被ブロック位置において前記雄型コネクタ10及び雌型コネクタ100の分離をブロックするように形成された停止歯139、156を具備」することは前者の「前記第2コネクタ(12)は、前記第1および第2コネクタ(10,12)の分離の際に、中間位置において前記第1および第2コネクタ(10,12)を遮るように形成された遮断システムを具備」することに相当する。 後者の「雄型コネクタ10及び雌型コネクタ100の分離を防止する」ことは、停止ピン84が停止側壁148によって停止することによって生じ、それに伴い雄型コネクタ10及び雌型コネクタ100も停止するから、前者の「第1および第2コネクタ(10,12)を固定する」ことに相当し、後者の「停止ピン84及び停止側壁148」は前者の「固定システム」に相当する。 そうすると、後者の「前記雌型コネクタ100は、前記被ブロック位置において前記雄型コネクタ10及び雌型コネクタ100の分離を防止するように形成された停止ピン84及び停止側壁148を具備」することは前者の「前記第2コネクタ(12)は、前記中間位置において前記第1および第2コネクタ(10,12)を固定するように形成された固定システムを具備」することに相当する。 後者の「前記被ブロック位置において前記回廊144内の前記停止ピン84を停止するように形成された停止側壁148」に関して、刊行物の「前記第1停止部(84)および第2停止部(148)は前記嵌合軸(XX’)に沿って整列されて、前記第1コネクタ(10)と第2コネクタ(100)との分離を防止する」(【請求項3】)との記載、「前記被ブロック位置において前記第1停止部(84)と第2停止部(148)とが整列する」(【請求項4】)との記載、及びカムギア142の回廊144において停止側壁148の一部が肉厚となり回廊144内に突出すること(図11)からみて、被ブロック位置において停止ピン84と停止側壁148とは嵌合軸(XX’)に沿って整列し当接して停止しているといえるから、後者の「前記被ブロック位置において前記回廊144内の前記停止ピン84を停止する」ことは前者の「前記中間位置において前記ガイド溝(58)内のガイドピン(24)を保持する」ことに相当し、また、後者の「停止側壁148」と前者の「保持ショルダ(64)」とは、「保持手段」という限りで共通する。 そうすると、後者の「前記停止ピン84及び停止側壁148は、前記回廊144内に設けられ且つ前記被ブロック位置において前記回廊144内の前記停止ピン84を停止するように形成された停止側壁148を具備」することと前者の「前記固定システムは、前記ガイド溝(58)内に設けられ且つ前記中間位置において前記ガイド溝(58)内のガイドピン(24)を保持するように形成された保持ショルダ(64)を具備」することとは、「前記固定システムは、前記ガイド溝(58)内に設けられ且つ前記中間位置において前記ガイド溝(58)内のガイドピン(24)を保持するように形成された保持手段を具備」するという限りで共通する。 後者の「被ブロック位置において、前記雄型コネクタ10と雌型コネクタ100とが分離する方向に前記カムギア142が回転することを停止していること」は前者の「中間位置において、前記電気コネクタアセンブリの分離方向に前記カムギア(56)が回転することを防止していること」に相当する。 したがって、両者は、 「第1および第2端子を備えた第1コネクタと、第1および第2端子を備えた第2コネクタと、前記第1コネクタ内に設けられた第1インターロック端子および第2インターロック端子と、を具備した電気コネクタアセンブリであって、 前記第1および第2コネクタは、前記第1端子同士、前記第2端子同士、および前記インターロック端子同士を接続および切断するために、未嵌合位置と嵌合完了位置との間において嵌合軸に沿って嵌合および分離されるように形成されており、 前記第2コネクタは、前記第1および第2コネクタの分離の際に、中間位置において前記第1および第2コネクタを遮るように形成された遮断システムを具備し、 前記中間位置においては、前記第1端子は互いに接続されており、前記第2端子は互いに接続されており、前記インターロック端子は互いに切断されており、 前記第2コネクタは、前記中間位置において前記第1および第2コネクタを固定するように形成された固定システムを具備しており、 前記第1コネクタは、対応した第1および第2端子、インターロック端子、ならびに第1筐体から突出したガイドピンを収容した第1筐体を具備し、 前記第2コネクタは、対応した第1および第2端子、前記嵌合軸(XX)に沿ってスライド可能に第2筐体上に組み付けられたスライダ、ならびに前記嵌合軸に直交した軸の周りに回転可能に前記第2筐体に組み付けられたカムギアを収容した第2筐体を具備し、 前記ガイドピン、前記スライダ、および前記カムギアは互いに協働するように形成され、前記第1および第2コネクタの嵌合/分離を補助しており、 前記カムギアは前記ガイドピンを受容および駆動するように形成されたガイド溝を具備し、 前記固定システムは、前記ガイド溝内に設けられ且つ前記中間位置において前記ガイド溝内のガイドピンを保持するように形成された保持手段を具備しており、該保持手段は、前記中間位置において、前記電気コネクタアセンブリの分離方向に前記カムギアが回転することを防止している電気コネクタアセンブリ。」 である点で一致し、以下の点で相違している。 〔相違点〕 「保持手段」について、本願補正発明は「保持ショルダ(64)」であるのに対し、引用発明は、「停止側壁148」である点。 4 当審の判断 そこで、相違点を検討する。 本願補正発明の保持ショルダ(64)に関して、発明の詳細な説明には「カムギア56はガイド溝58内に設けられた保持ショルダ64を具備し、ガイド溝58内においてガイドピン24を保持する。保持ショルダ64は全体的に弓形であり、入口開口部60に隣接した側壁62上に設けられている」(段落【0040】)との記載がある。 他方、刊行物には、停止側壁148に関して、カムギア142の回廊144において停止側壁148の一部が肉厚となり回廊144内に突出していることが図示されている(図11)。 そして、停止側壁148の突出した部分が停止ピン84を保持すると認められるところ、この部分の具体的な形状は当業者における設計事項である。 そうすると、引用発明の停止側壁148を、その機能を保ちながら形状を変更して、本願補正発明の保持ショルダ(64)とすることは、当業者が容易になし得たことである。 また、本願補正発明が奏する効果は、全体としてみて、引用発明から、当業者が予測できる範囲内のものであって、格別なものでない。 したがって、本願補正発明は、引用発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。 5 むすび 以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明について 1 本願発明 本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし9に係る発明は、平成27年7月10日の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし15に記載されたとおりのものであると認められるところ、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、前記「第2〔理由〕1」に補正前の請求項1として記載したとおりのものである。 2 刊行物 原査定の拒絶の理由に引用した刊行物、その記載事項、及び引用発明は、前記「第2〔理由〕2」に記載したとおりである。 3 対比及び当審の判断 本願発明は、前記「第2〔理由〕」で検討した本願補正発明における「保持ショルダ」について「該保持ショルダ(64)は、前記中間位置において、前記電気コネクタアセンブリの分離方向に前記カムギア(56)が回転することを防止している」との限定を省いたものである。 そうしてみると、本願発明の発明特定事項をすべて含んだものに実質的に相当する本願補正発明が、前記「第2〔理由〕3及び4」に記載したとおり、引用発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、実質的に同様の理由により、引用発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。 4 まとめ したがって、本願発明は、引用発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 第4 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、本願の他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2016-08-26 |
結審通知日 | 2016-08-30 |
審決日 | 2016-09-12 |
出願番号 | 特願2014-548214(P2014-548214) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(H01R)
P 1 8・ 575- Z (H01R) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 石川 貴志 |
特許庁審判長 |
森川 元嗣 |
特許庁審判官 |
内田 博之 冨岡 和人 |
発明の名称 | 改良された電気コネクタアセンブリ |
代理人 | 森 隆一郎 |
代理人 | 棚井 澄雄 |
代理人 | 阿部 達彦 |