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審決分類 審判 査定不服 特174条1項 取り消して特許、登録 A63F
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 A63F
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 A63F
管理番号 1324472
審判番号 不服2015-15774  
総通号数 207 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-03-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-08-26 
確定日 2017-02-23 
事件の表示 特願2011- 92612「ゲームシステム、操作装置、およびゲーム処理方法」拒絶査定不服審判事件〔平成24年 6月14日出願公開、特開2012-110670、請求項の数(14)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成22年11月1日(以下「優先日」という。)に出願された特願2010-245298号を先の出願とする、特許法第41条第1項に規定する優先権の主張を伴った平成23年4月19日付けの特許出願であって、原審において平成27年5月12日付けで手続補正がなされ、同年6月1日付けで拒絶査定(以下「原査定」という。原査定の謄本の送達(発送)日 同月3日。)がされ、これに対して、同年8月26日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正書が提出されて明細書、及び特許請求の範囲を補正する手続補正がなされ、その後、当審において平成28年8月15日付けで拒絶理由が通知され、指定期間内の同年10月13日付けで手続補正がされ、更に同年10月31日付けで拒絶理由が通知され、指定期間内の同年12月26日付けで手続補正がされたものである。

第2 原査定の概要について
1.原査定に係る拒絶理由の概要は、次のとおりである
この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

記 (引用文献等については引用文献等一覧参照)
<引用文献等一覧>
A.特開2001-34247号公報(引用文献A)
B.登録実用新案第3153862号公報(引用文献B)
C.特開平9-99173号公報(引用文献C)
D.特開2007-310840号公報(引用文献D)
E.特開2010-142561号公報(引用文献E)

・具体的には、本願発明1、2ないし6、11ないし14は、引用文献A、Bに記載された発明に基づいて、本願発明7は、引用文献AないしDに記載された発明に基づいて、本願発明8ないし10は、引用文献AないしEに記載された発明に基づいて、それぞれ当業者が容易に発明をすることができたとするものである。
なお、上記の引用文献Bは、コントローラーにタッチパネルを設けることは周知技術を示す文献として引用され、上記の引用文献3は、「コントロールパッドの裏面にトリガボタン(裏面操作ボタン)を設ける」周知技術を示す文献として引用され、引用文献4は、「コントローラの側面に補助ボタン(側面操作ボタン)を設ける」周知技術を示す文献として引用されたものである。

第3 当審で通知した1回目の拒絶理由の概要
当審において、平成28年8月15日付けで通知した1回目の拒絶理由の概要は、下記のとおりである。
本件出願の各請求項に係る発明は、本件出願の優先日前に日本国内または外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、本件出願の優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

記(引用文献については引用文献一覧参照)
(引用文献一覧)
1.特開2001-34247号公報(拒絶査定時の引用文献Aであって、以下、「引用例1」という。」)
2.実用新案登録第3153862号公報(拒絶査定時の引用文献Bであって、以下、「引用例2」という。)
3.特開2003-144748号公報(当審において新たに引用した文献であって、以下「引用例3」という。)
4.実用新案登録第3108313号公報(当審において新たに引用した文献であって、以下「引用例4」という。)
5.特開2010-142561号公報(拒絶査定時の引用文献Eであって、以下、「引用例5」という。)

・本願発明1について
本願発明1と引用例1記載の発明とを対比すると、次の点で相違する。
(相違点1)
本願発明1は、ゲーム装置が「第1ゲーム画像を逐次圧縮して圧縮画像データを生成するゲーム画像圧縮部」を備えるとともに、第1操作装置が「前記圧縮画像データを逐次伸張して前記第1ゲーム画像を得るゲーム画像伸張部」を備えるのに対し、引用例1記載の発明は、ゲーム画像圧縮部及びゲーム画像伸張部を備えるものではない点。
(相違点2)
本願発明1は、表示部の画面に「タッチパネル」が設けるのに対し、引用例1記載の発明では、タッチパネルを設けることについて言及がない点。
(相違点3)
第2ゲーム画像を生成するためのゲーム空間が、本願発明1では「第1ゲーム画像の生成に用いられた」ものであるのに対し、引用例1記載の発明では、第1ゲーム画像(副画面7に表示する視界画像)の生成に用いられたものであるか否かが不明である点。

上記の相違点について検討する。
(1)相違点1及び2について
引用例2記載の発明には、上記相違点1、及び、2に係る本願発明1の発明特定事項が示されている。
そして、赤外線通信等の通信手段を利用してゲーム画像を送受信しながらロールプレイングゲーム等を行うゲーム機やコントローラ(操作部)が、ゲーム画像の圧縮、伸張機能及びタッチパネルを備えることの優位性は明らかであるし、タッチパネルをLCDディスプレー等の表示部に設けることは、ゲーム機などの技術分野で慣用されている常套手段である。
してみれば、引用例1記載の発明において、引用例2記載の発明を適用することにより、上記相違点1、2に係る本願発明1の発明特定事項とすることは、当業者であれば容易に想到しうる程度の事項といえる。
(2)相違点3について
引用例1記載の発明では、「主人公Mが位置するオブジェクト空間を俯瞰する視界画像(第2ゲーム画像)」、「主人公Mに従動する視点位置の該オブジェクト空間の視界画像(第1ゲーム画像)」としているが、「俯瞰」の対象である「オブジェクト空間」と、「主人公Mに従動する視点」からみる対象である「オブジェクト空間」とは同じものである。そして、当業者であれば、オブジェクト空間が同じものなら、第1ゲーム画像及び第2ゲーム画像をそれぞれ生成するごとにオブジェクト制御処理を実行して、個別にオブジェクト空間を形成するのではなく、一方のゲーム画像の生成に用いられたオブジェクト空間を他方のゲーム画像を生成する際にも用いることによって、CPU等にかかるオブジェクト制御処理に伴う負担をできるだけ少なくしようと考えるのが普通である。
してみれば、引用例1記載の発明において、上記相違点3に係る本願発明1の発明特定事項とすることは、当業者であれば容易に想到しうる程度の事項といえる。
したがって、本願発明1は、引用例1、2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

・本願発明2ないし5、11ないし14も、本願発明1と同様に、引用例1、2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

・本願発明6に係る、「前記第1操作装置は、前記表示部の画面および前記タッチパネルが設けられる表平面において当該画面の両側に設けられる複数の表面操作ボタンと、前記表平面において前記画面の両側に設けられ、方向を指示可能な方向入力部とを備え、前記第1操作データは、前記複数の表面操作ボタンおよび前記方向入力部に対する操作を表すデータをさらに含む」との発明特定事項は、引用例3記載の発明に示されており、本願発明6は、引用例1ないし3に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
また、本願発明7に係る「前記第1操作装置は、前記表示部の画面および前記タッチパネルが設けられる表平面の反対側の裏平面に設けられる複数の裏面操作ボタンと、前記表平面と前記裏平面との間の側面に設けられる複数の側面操作ボタンとをさらに備え、前記第1操作データは、前記複数の裏面操作ボタンおよび側面操作ボタンに対する操作を表すデータをさらに含む」との発明特定事項は、引用例4に記載された発明に示されており、本願発明7は、引用例1ないし4に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

・本願発明8に係る、「前記第1操作装置は磁気センサをさらに備え、前記第1操作データは前記磁気センサの検出結果のデータをさらに含む」との発明特定事項、及び、本願発明9に係る、「前記慣性センサは、3軸の加速度センサおよび3軸のジャイロセンサである」との発明特定事項、更に、本願発明10に係る、「前記ゲーム装置は、前記ゲーム装置に着脱可能であり、ゲームプログラムを記録した外部記録媒体から情報を読み出す読出部と、ネットワークに接続可能であり、当該ネットワークを介して通信可能な情報処理装置との間で通信を行うネットワーク通信部と、前記ゲーム装置の外部の電源から当該ゲーム装置内の各部へ電力を供給する電力供給部とを備え、前記ゲーム処理部は、前記読出部から読み出されたゲームプログラムに基づいてゲーム処理を行う」との発明特定事項は、いずれも、引用例5に記載された発明に示されている。
したがって、本願発明8ないし10は、引用例1ないし5に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4 本願発明
本願の請求項1ないし14に係る発明(以下「本願発明1ないし14」という。)は、平成28年12月26日付けの手続補正書で補正された特許請求の範囲の請求項1ないし14に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
据置型のゲーム装置と、第1操作装置とを含むゲームシステムであって、
前記ゲーム装置は、
前記第1操作装置から第1操作データを受信する第1操作データ受信部と、
前記第1操作データに基づいてゲーム処理を実行するゲーム処理部と、
前記ゲーム処理に基づいて第1ゲーム画像および第2ゲーム画像を逐次生成する画像生成部と、
前記第1ゲーム画像を逐次圧縮して圧縮画像データを生成するゲーム画像圧縮部と、
前記圧縮画像データを前記第1操作装置へ無線で逐次送信するゲーム画像送信部と、
前記第1操作装置とは別体の外部表示装置へ前記第2ゲーム画像を逐次出力する画像出力部とを備え、
前記第1操作装置は、
表示部と、
前記表示部の画面に設けられるタッチパネルと、
慣性センサと、
前記タッチパネルおよび慣性センサの出力データを含む第1操作データを前記ゲーム装置へ無線で送信する第1操作データ送信部と、
前記ゲーム装置から前記圧縮画像データを逐次受信するゲーム画像受信部と、
前記圧縮画像データを逐次伸張して前記第1ゲーム画像を得るゲーム画像伸張部とを備え、
前記表示部は、伸張によって得られた前記第1ゲーム画像を逐次表示し、
前記ゲーム処理部は、
前記第1操作データに基づいて、仮想のゲーム空間においてオブジェクトを動作させるオブジェクト制御処理を実行するオブジェクト処理部と、
前記オブジェクト制御処理が実行されたゲーム空間において、第1仮想カメラと第2仮想カメラとを設定する仮想カメラ設定部とを含み、
前記画像生成部は、前記オブジェクト制御処理が実行されたゲーム空間および前記第1仮想カメラに基づく第1の描画処理によって前記第1ゲーム画像を生成し、当該第1ゲーム画像の生成に用いられたゲーム空間および前記第2仮想カメラに基づく第2の描画処理によって前記第2ゲーム画像を生成し、
前記ゲームシステムは、前記第1操作データに基づくゲーム操作の結果を表すゲーム画像として、前記第1ゲーム画像および前記第2ゲーム画像を生成して、前記第1ゲーム画像を前記表示部に表示させ、前記第2ゲーム画像を前記外部表示装置に表示させる第1モードと、前記第1ゲーム画像のみを生成して前記表示部に表示させる第2モードとの両方で動作可能であり、前記第2モードによる前記ゲーム処理の実行中において、ゲーム画像を前記外部表示装置に表示させるように変更可能である、ゲームシステム。
【請求項2】
前記ゲームシステムは、第2操作装置をさらに含み、
前記第2操作装置は、当該第2操作装置に対する操作を表す第2操作データを前記ゲーム装置へ無線で送信する第2操作データ送信部を備え、
前記ゲーム装置は、前記第2操作データを受信する第2操作データ受信部をさらに備え、
前記ゲーム処理部は、前記第2操作データに基づいてゲーム処理を実行する、請求項1に記載のゲームシステム。
【請求項3】
前記ゲーム装置は、
前記ゲーム処理に基づいて第1ゲーム音声および第2ゲーム音声を生成するゲーム音声生成部と、
前記第1操作装置とは別体の外部音響装置へ前記第2ゲーム音声を出力するゲーム音声出力部と、
前記第1ゲーム音声を前記第1操作装置へ無線で送信するゲーム音声送信部とをさらに備え、
前記第1操作装置は、
前記第1ゲーム音声を前記ゲーム装置から受信するゲーム音声受信部と、
前記ゲーム音声受信部によって受信された前記第1ゲーム音声を出力するスピーカとをさらに備える、請求項1または請求項2に記載のゲームシステム。
【請求項4】
前記第1操作装置はマイクをさらに備え、
前記第1操作データ送信部は、前記マイクが検知した音のデータを前記ゲーム装置へ無線でさらに送信する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のゲームシステム。
【請求項5】
前記第1操作装置は、
カメラと、
前記カメラが撮像したカメラ画像を圧縮して圧縮撮像データを生成するカメラ画像圧縮部とをさらに備え、
前記第1操作データ送信部は、前記圧縮撮像データを前記ゲーム装置へ無線でさらに送信し、
前記ゲーム装置は、前記圧縮撮像データを伸張してカメラ画像を得るカメラ画像伸張部をさらに備える、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のゲームシステム。
【請求項6】
前記第1操作装置は、
前記表示部の画面および前記タッチパネルが設けられる表平面において当該画面の両側に設けられる複数の表面操作ボタンと、
前記表平面において前記画面の両側に設けられ、方向を指示可能な方向入力部とを備え、
前記第1操作データは、前記複数の表面操作ボタンおよび前記方向入力部に対する操作を表すデータをさらに含む、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のゲームシステム。
【請求項7】
前記第1操作装置は、
前記表示部の画面および前記タッチパネルが設けられる表平面の反対側の裏平面に設けられる複数の裏面操作ボタンと、
前記表平面と前記裏平面との間の側面に設けられる複数の側面操作ボタンとをさらに備え、
前記第1操作データは、前記複数の裏面操作ボタンおよび側面操作ボタンに対する操作を表すデータをさらに含む、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のゲームシステム。
【請求項8】
前記第1操作装置は磁気センサをさらに備え、
前記第1操作データは前記磁気センサの検出結果のデータをさらに含む、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のゲームシステム。
【請求項9】
前記慣性センサは、3軸の加速度センサおよび3軸のジャイロセンサである、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のゲームシステム。
【請求項10】
前記ゲーム装置は、
前記ゲーム装置に着脱可能であり、ゲームプログラムを記録した外部記録媒体から情報を読み出す読出部と、
ネットワークに接続可能であり、当該ネットワークを介して通信可能な情報処理装置との間で通信を行うネットワーク通信部と、
前記ゲーム装置の外部の電源から当該ゲーム装置内の各部へ電力を供給する電力供給部とを備え、
前記ゲーム処理部は、前記読出部から読み出されたゲームプログラムに基づいてゲーム処理を行う、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載のゲームシステム。
【請求項11】
第1操作装置と通信可能なゲーム装置であって、
前記第1操作装置から第1操作データを受信する第1操作データ受信部と、
前記第1操作データに基づいてゲーム処理を実行するゲーム処理部と、
前記ゲーム処理に基づいて第1ゲーム画像および第2ゲーム画像を逐次生成する画像生成部と、
前記第1ゲーム画像を逐次圧縮して圧縮画像データを生成するゲーム画像圧縮部と、
前記圧縮画像データを前記第1操作装置へ無線で逐次送信するゲーム画像送信部と、
前記第1操作装置とは別体の外部表示装置へ前記第2ゲーム画像を逐次出力する画像出力部とを備え、
前記第1操作装置は、
表示部と、
前記表示部の画面に設けられるタッチパネルと、
慣性センサと、
前記タッチパネルおよび慣性センサの出力データを含む第1操作データを前記ゲーム装置へ無線で送信する第1操作データ送信部と、
前記ゲーム装置から前記圧縮画像データを逐次受信するゲーム画像受信部と、
前記圧縮画像データを逐次伸張して前記第1ゲーム画像を得るゲーム画像伸張部とを備え、
前記表示部は、伸張によって得られた前記第1ゲーム画像を逐次表示し、
前記ゲーム処理部は、
前記第1操作データに基づいて、仮想のゲーム空間においてオブジェクトを動作させるオブジェクト制御処理を実行するオブジェクト処理部と、
前記オブジェクト制御処理が実行されたゲーム空間において、第1仮想カメラと第2仮想カメラとを設定する仮想カメラ設定部とを含み、
前記画像生成部は、前記オブジェクト制御処理が実行されたゲーム空間および前記第1仮想カメラに基づく第1の描画処理によって前記第1ゲーム画像を生成し、当該第1ゲーム画像の生成に用いられたゲーム空間および前記第2仮想カメラに基づく第2の描画処理によって前記第2ゲーム画像を生成し、
前記ゲーム装置は、前記第1操作データに基づくゲーム操作の結果を表すゲーム画像として、前記第1ゲーム画像および前記第2ゲーム画像を生成して、前記第1ゲーム画像を前記表示部に表示させ、前記第2ゲーム画像を前記外部表示装置に表示させる第1モードと、前記第1ゲーム画像のみを生成して前記表示部に表示させる第2モードとの両方で動作可能であり、前記第2モードによる前記ゲーム処理の実行中において、ゲーム画像を前記外部表示装置に表示させるように変更可能である、ゲーム装置。
【請求項12】
据置型のゲーム装置と、第1操作装置とを含むゲームシステムにおいて実行されるゲーム処理方法であって、
前記第1操作装置は、第1操作装置が備える表示部の画面に設けられるタッチパネルの出力データと、慣性センサの出力データとを含む第1操作データを前記ゲーム装置へ無線で送信する第1操作データ送信ステップを実行し、
前記ゲーム装置は、
前記第1操作装置から第1操作データを受信する第1操作データ受信ステップと、
前記第1操作データに基づいてゲーム処理を実行するゲーム処理ステップと、
前記ゲーム処理に基づいて第1ゲーム画像および第2ゲーム画像を逐次生成する画像生成ステップと、
前記第1ゲーム画像を逐次圧縮して圧縮画像データを生成するゲーム画像圧縮ステップと、
前記圧縮画像データを前記第1操作装置へ無線で逐次送信するゲーム画像送信ステップと、
前記第1操作装置とは別体の外部表示装置へ前記第2ゲーム画像を逐次出力する画像出力ステップとを実行し、
前記第1操作装置はさらに、
前記ゲーム装置から前記圧縮画像データを逐次受信するゲーム画像受信ステップと、
前記圧縮画像データを逐次伸張して前記第1ゲーム画像を得るゲーム画像伸張ステップと、
伸張によって得られた前記第1ゲーム画像を前記表示部に逐次表示する表示ステップとを実行し、
前記ゲーム処理ステップは、
前記第1操作データに基づいて、仮想のゲーム空間においてオブジェクトを動作させるオブジェクト制御処理を実行するオブジェクト処理ステップと、
前記オブジェクト制御処理が実行されたゲーム空間において、第1仮想カメラと第2仮想カメラとを設定する仮想カメラ設定ステップとを含み、
前記画像生成ステップにおいては、前記オブジェクト制御処理が実行されたゲーム空間および前記第1仮想カメラに基づく第1の描画処理によって前記第1ゲーム画像が生成され、当該第1ゲーム画像の生成に用いられたゲーム空間および前記第2仮想カメラに基づく第2の描画処理によって前記第2ゲーム画像が生成され、
前記ゲーム装置は、前記第1操作データに基づくゲーム操作の結果を表すゲーム画像として、前記第1ゲーム画像および前記第2ゲーム画像を生成して、前記第1ゲーム画像を前記表示部に表示させ、前記第2ゲーム画像を前記外部表示装置に表示させる第1モードと、前記第1ゲーム画像のみを生成して前記表示部に表示させる第2モードとの両方で動作可能であり、前記第2モードによる前記ゲーム処理の実行中において、ゲーム画像を前記外部表示装置に表示させるように変更可能である、ゲーム処理方法。
【請求項13】
前記ゲームシステムは、第2操作装置をさらに含み、
前記第2操作装置は、当該第2操作装置に対する操作を表す第2操作データを前記ゲーム装置へ無線で送信する第2操作データ送信ステップを実行し、
前記ゲーム装置は、前記第2操作データを受信する第2操作データ受信ステップをさらに実行し、
前記ゲーム処理ステップにおいては、前記第2操作データに基づいてゲーム処理が実行される、請求項12に記載のゲーム処理方法。
【請求項14】
第1操作装置と通信可能なゲーム装置のコンピュータにおいて実行されるゲームプログラムであって、
前記第1操作装置から受信される前記第1操作データに基づいてゲーム処理を実行するゲーム処理手段と、
前記ゲーム処理に基づいて、前記第1操作装置に出力するための第1ゲーム画像、および、前記第1操作装置とは別体の外部表示装置に出力するための第2ゲーム画像を逐次生成する画像生成手段として前記コンピュータを機能させ、
前記第1操作装置は、
表示部と、
前記表示部の画面に設けられるタッチパネルと、
慣性センサと、
前記タッチパネルおよび慣性センサの出力データを含む第1操作データを前記ゲーム装置へ無線で送信する第1操作データ送信部とを備え、
前記表示部は、前記第1ゲーム画像を逐次表示し、
前記ゲーム処理手段は、
前記第1操作データに基づいて、仮想のゲーム空間においてオブジェクトを動作させるオブジェクト制御処理を実行するオブジェクト処理手段と、
前記オブジェクト制御処理が実行されたゲーム空間において、第1仮想カメラと第2仮想カメラとを設定する仮想カメラ設定手段とを含み、
前記画像生成手段は、前記オブジェクト制御処理が実行されたゲーム空間および前記第1仮想カメラに基づく第1の描画処理によって前記第1ゲーム画像を生成し、当該第1ゲーム画像の生成に用いられたゲーム空間および前記第2仮想カメラに基づく第2の描画処理によって前記第2ゲーム画像を生成し、
前記画像生成手段は、前記第1操作データに基づくゲーム操作の結果を表すゲーム画像として、前記第1ゲーム画像および前記第2ゲーム画像を生成して、前記第1ゲーム画像を前記表示部に表示させ、前記第2ゲーム画像を前記外部表示装置に表示させる第1モードと、前記第1ゲーム画像のみを生成して前記表示部に表示させる第2モードとの両方で動作可能であり、前記第2モードによる前記ゲーム処理の実行中において、ゲーム画像を前記外部表示装置に表示させるように変更可能である、ゲームプログラム。」

第5 引用例の記載事項(以下の下線は、いずれも審決で付した。)
1.引用例1
引用例1には、図面と共に次の事項が記載されている。
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、表示画面を有する本体部とリモコンやコントローラー等の補助部とを有する映像表示装置に関する。」
「【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために請求項1に記載された発明は、第1画像データを表示する主画面を有する本体部と、第1画像データに関係する第2画像データを表示する副画面を有するとともに前記本体部から分離された補助部とを備えたことを特徴としている。この構成によると、相互に関係する2つの画像データは本体部に設けられる主画面と、本体部と別体の補助部に設けられる副画面とに表示される。」
「【0014】
【発明の実施の形態】本発明の実施形態を図を参照して説明する。図1、図2は第1実施形態の映像表示装置の概念図及びブロック図を示している。本実施形態の映像表示装置1はゲーム機として構成されている。映像表示装置1は本体部2及び本体部2から分離されたコントローラー3(補助部)を備えている。
【0015】本体部2はCD等から成るアプリケーション10による画像データが入力される入力部4、画像データを生成する映像生成部12、映像生成部12で生成された画像データを表示する主画面6を備え、CPU5により制御されている。
【0016】コントローラー3は画像データを表示する副画面7と、主画面6及び副画面7の表示画像を操作する操作部8とが設けられている。操作部8による操作は赤外線通信等の通信手段(不図示)によって入力部4に入力され、CPU5に制御されている。操作部8と入力部4とは通信用ケーブルにより接続してもよい。
【0017】映像生成部12で生成された画像データは同様の通信手段により補助部3に送信され、副画面7に表示される。CPU5、映像生成部12及び入力部4を覆う筐体9は主画面6と分離して設けられ、ケーブル(不図示)により接続されている。
【0018】このような構成の映像表示装置1は主人公がオブジェクト空間内を移動するロールプレイングゲームを行う際に、主画面6に主人公Mが位置するオブジェクト空間を俯瞰する視界画像を表示する。副画面7は主人公Mに従動する視点位置の該オブジェクト空間の視界画像を表示する。」
【0019】例えば図1では主画面6内で主人公Mと敵キャラクタKが相対する画面が表示されると、副画面7には主人公Mから見た敵キャラクタKが表示される。そして、操作部8の操作によりオブジェクト空間を表す画像データが変化してゲームが行われる。」
「【0022】また、コントローラ3にコントローラ3の向きを検出する検出部を設けて、その向きに応じて主画面6または副画面7の表示画像が視点の異なる視界画像に変化するようにしてもよい。例えば前述の図1に示すように、主画面6には主人公Mが位置するオブジェクト空間を俯瞰する視界画像が表示されている。副画面7には主人公Mに従動する視点位置の該オブジェクト空間の視界画像が表示されている。
【0023】この状態から図3に示すように、ユーザがコントローラ3の向きを変えると、主人公Mが向きを変えたように向きに応じた視界画像が副画面7に表示される。この時、主画面6内の主人公Mは向きが変っている。従って、ユーザは主人公Mに対してより一体感を得ることができ、更にゲームの臨場感を向上させることができる。」
「【0024】また、コントローラ3にアプリケーション10を装着する装着部及び該アプリケーション10を制御するCPUを設けると、該アプリケーション10による副画面7の表示画像を操作部8により操作することでコントローラ3を独立した携帯型ゲーム機として使用することができる。」
「【0026】次に、図4、図5は第2実施形態の映像表示装置の概略構成図及びブロック図を示している。本実施形態の映像表示装置1はゲーム機として構成されており、第1実施形態と同様の本体部2及びコントローラ3を備えている。更に別のコントローラ11が設けられている。」

上記の記載事項を総合すると、引用例1には、次の発明(以下、「引用発明」1という。)が記載されていると認定できる。
「ゲーム機として構成されている映像表示装置1であって、
映像表示装置は、第1画像データを表示する主画面を有する本体部と、第1画像データと相互に関係する第2画像データを表示する副画面を有するとともに前記本体部から分離されたコントローラー3(補助部)とを備え、
本体部2はCD等から成るアプリケーション10による画像データが入力される入力部4、画像データを生成する映像生成部12、映像生成部12で生成された画像データを表示する主画面6を備え、CPU5により制御されていて、CPU5、映像生成部12及び入力部4を覆う筐体9は主画面6と分離して設けられ、ケーブルにより接続されており、
コントローラー3は画像データを表示する副画面7と、主画面6及び副画面7の表示画像を操作する操作部8とが設けられていて、操作部8による操作は赤外線通信等の通信手段によって入力部4に入力され、CPU5に制御され、
映像生成部12で生成された画像データは同様の通信手段によりコントローラー3(補助部)に送信されて、副画面7に表示され、
映像表示装置1は主人公がオブジェクト空間内を移動するロールプレイングゲームを行う際に、主画面6には主人公Mが位置するオブジェクト空間を俯瞰する視界画像を表示し、副画面7には主人公Mに従動する視点位置の該オブジェクト空間の視界画像を表示して、操作部8の操作によりオブジェクト空間を表す画像データが変化してゲームが行われ、
コントローラ3にコントローラ3の向きを検出する検出部を設けて、その向きに応じて主画面6または副画面7の表示画像が視点の異なる視界画像に変化するようにし、
コントローラ3にアプリケーション10を装着する装着部及び該アプリケーション10を制御するCPUを設け、該アプリケーション10による副画面7の表示画像を操作部8により操作することでコントローラ3を独立した携帯型ゲーム機として使用することができる、
映像表示装置。」

2.引用例2
引用例2には、図面と共に次の事項が記載されている。
「【0001】
本考案はビデオゲームコントローラーに関し、特に多様な感知、伝送装置、LCDディスプレーを備えるビデオゲームコントローラーに関する。
【背景技術】
【0002】
ビデオゲームコントローラー(Video Game Controller)は、テレビゲーム機、コンピューターゲームに使用される。該ビデオゲームコントローラーにより信号を伝送し、ゲーム機、テレビ、或いはコンピューターを制御してゲームを操作する。」
「【0009】
図1、2、3に示すように、本考案のビデオゲームコントローラー1は、複数のボタン11、1つ以上のジョイスティック12、ゲームコントローラーチップ(Game Controller Chip)13を備える。各ボタン11とジョイスティック12は、ゲームコントローラーチップ13にそれぞれ連接する。ビデオゲームコントローラー1はさらに、LCDディスプレー21、グラフコントローラーチップ22を備える。LCDディスプレー21は、グラフコントローラーチップ22に連接し、グラフコントローラーチップ22は、ゲームコントローラーチップ13に連接する。
【0010】
ビデオゲームコントローラー1はさらに、カメラ31、影像コンバーター32を備える。カメラ31は、影像コンバーター32に連接し、影像コンバーター32は、ゲームコントローラーチップ13に連接する。
【0011】
ビデオゲームコントローラー1はさらに、マイク41、音声コンバーター42、増幅器43、サウンドデバイス44を備える。音声コンバーター42は、マイク41と増幅器43にそれぞれ連接し、増幅器43は、サウンドデバイス44に連接する。しかも、音声コンバーター42は、ゲームコントローラーチップ13にも連接する。
【0012】
ビデオゲームコントローラー1はさらに、タッチパネル51、温度及び動作センサー52、伝送インターフェースデバイス53、無線ネットワークモジュール54、MPEGエンコーダー&デコーダー55、メモリデバイス56、赤外線伝送モジュール57の内の、任意の1種或いは2種以上の組合せを備える。任意の1種或いは2種以上の組合せはすべて、ゲームコントローラーチップ13と直接連接する。ビデオゲームコントローラー1はさらに、充電装置6を備え、内蔵する充電電池に対して充電を行なう。」
「【0013】
ゲームコントローラーチップ(Game Controller Chip)13は、それが連接するすべての装置の機能作動を制御し、通常は統合チップで、内蔵ゲームを執行し、各チップの作動を調整し、データの入力と出力を処理し、ゲーム本体とのコミュニケーションを行なう。タッチパネル(Touch Panel)51は、接触感知を座標信号に転換し、ゲームコントローラーチップ13に提供し、これにより、ボタン11、或いはマウスの機能をシミュレートする。ボタン11とジョイスティック12(Key & Joystic)は、ビデオゲームコントローラー1の操作と、データ入力に用いる。温度及び動作センサー(Temperature & Motion Sensor)52は、室内温度の感知と、ビデオゲームコントローラー1の動作の感応を担当する。伝送インターフェースデバイス(Transmittion Interface)53は、有線或いは無線伝送を行い、これによりゲーム機本体或いは他の設備とデータ交換を行なう。無線ネットワークモジュール(Wireless Network Module)54は、インターネットへの接続を提供するモジュールである。MPEGエンコーダー&デコーダー(MPEG Encoder & Decoder)55は、影像と音声をMPEGフォーマットに圧縮し、また解凍する。・・・」
「【0014】
ビデオゲームコントローラー1は、ことなく組合せ方式により、上記した各種機能の回路を、ビデオゲームコントローラー1に統合することができ、これにより、操作時に様々な使用方式と利便性を使用者に提供することができる。以下に、ビデオゲームコントローラー1が応用可能な場面と、その使用方式について説明する。
【0015】
(一)内蔵ゲーム:内蔵ゲームは、メモリデバイス56のメモリ或いは外付けメモリ中に保存する。例えば、メインゲームと対応する電子アナログペットは、メインゲームをプレイ中の操作を利用し、電子アナログペットに運動と成長を提供する。他にも、簡単な知育ゲーム、戦闘ゲーム、ロールプレイングゲームなどがある。また、伝送インターフェースを対応させ、他のビデオゲームコントローラーと対戦することもできる。
(二)メインゲーム第二表示画面:メインゲームの動作を対応させ、ゲームオプションをオンラインで表示し、或いはメインキャラクターの自主トレをオフラインで行なう。・・・」

上記の記載事項を総合すると、引用例2には、次の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されていると認定できる。
「テレビゲーム機やコンピューターゲームに使用されるビデオゲームコントローラー1であって、
ビデオゲームコントローラー1は、ゲームコントローラーチップ13を備え、ゲームコントローラーチップ13は、それが連接するすべての装置の機能作動を制御して、内蔵ゲームを執行し、各チップの作動を調整し、データの入力と出力を処理し、ゲーム本体とのコミュニケーションを行ない、
ビデオゲームコントローラー1はさらに、ゲームコントローラーチップ13に連接するLCDディスプレー21、カメラ31、マイク41、サウンドデバイス44、タッチパネル51、温度及び動作センサー52、MPEGエンコーダー&デコーダー55を備え、
タッチパネル51は、接触感知を座標信号に転換し、ゲームコントローラーチップ13に提供し、温度及び動作センサー52は、室内温度の感知と、ビデオゲームコントローラー1の動作の感応を担当し、MPEGエンコーダー&デコーダー55は、影像と音声をMPEGフォーマットに圧縮し、また解凍するもので、
ビデオゲームコントローラー1の応用可能な場面と、その使用方式の一つが、メインゲームの動作を対応させ、ゲームオプションをオンラインで表示し、或いはメインキャラクターの自主トレをオフラインで行なうメインゲーム第二表示画面であるビデオゲームコントローラー1。」

3.引用例3
引用例3には、図面と共に次の事項が記載されている。
「【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、ゲーム機に接続され映像の表示を可能にしたコントローラ及びゲーム機に関する。」
「【0022】次に、このゲーム機本体装置100に接続されるコントローラ300について図2乃至4を参照して説明する。なお、コントローラ300は、ゲーム機本体装置100と別体である。
【0023】コントローラ300は、ゲーム機本体装置100に各種指示を行う入力ボタン310が主表面に形成された制御部320と、この制御部320に電気的且つ機械的に接続された表示装置350とから構成される。
【0024】表示装置350は、制御部320から視認側に突出したアーム部330と、アーム部330に支持され中央に表示画面340a、表示画面340aを挟んで左右に音声出力部340bを備えた表示部340とから構成され、アーム部330によって表示部340と制御部320との間隔dは、例えば制御部320の入力ボタン310の操作に支障のない程度の、例えば3cm程度の間隔が維持されている。この間隔は2cm以上であれば十分であるが、10cm以上に離間するとコントローラ300の重心位置が制御部320から離間し、操作性が悪くなる恐れがある。」
第2図から、入力ボタン310には、通常、方向入力部として使用される十字型のボタン310a、310iが含まれ、入力ボタン310が主表面に形成された制御部320は、表示装置350の左右両側に配置されていることが看取できる。

上記の記載事項を総合すると、引用例3には、次の発明(以下、「引用発明3」という。)が記載されていると認定できる。
「ゲーム機本体装置100に各種指示を行う入力ボタン310が主表面に形成された制御部320と、この制御部320に電気的且つ機械的に接続された表示装置350とから構成されるコントローラ300であって、
入力ボタン310には、通常、方向入力部として使用される十字型のボタン310a、310iが含まれ、入力ボタン310が主表面に形成された制御部320は、表示装置350の左右両側に配置されているコントローラ300。」

4.引用例4
引用例4には、図面と共に次の事項が記載されている。
「【0001】
本考案は、両手で握って操作ボタン等を操作することによりゲームを行うゲーム機用コントローラに関する。」
「【0009】
図1に示すように、本考案のゲーム機用コントローラは中空のケース1を備える。ケース1は、上ケース2、下ケース3、及び左右の側板部4を組み付けて成り、横長で扁平なケース本体部5と、ケース本体部5の前面両側部から前方に向けて一体に突出した一対の握り部6とを有する。
上ケース2及び下ケース3の殆どの部分は透明合成樹脂を素材とし、握り部6の外側面を形成する側板部4は不透明な合成樹脂を素材としている。
また、ケース本体部5の内部には、回路基板、LED、ブザー、バイブレータ、導線等を収納してある。
【0010】
ケース本体部5の上面に複数の操作部を設ける。操作部としては、ケース本体部5の上面中央部に設置したスタートボタン7と、左右両側に設置した第1操作スイッチ8及び第2操作スイッチ9と、第1操作スイッチ8及び第2操作スイッチ9よりやや前方中央寄りに旋回可能に設置した一対の操作桿10とがある。
第1操作スイッチ8は、十文字状の平面形状を有し、ケース本体部5に形成した十文字形の孔へ上下動可能に、且つ、上方へ付勢して嵌合してある。
第2操作スイッチ9は、ケース本体部5に形成した透孔へ上下動可能に、且つ、上方へ付勢して取り付けた4個のボタンより成る。これらには、操作上の識別のために、異なる4種のマークを付してある。
【0011】
握り部6は、先端に近付くほど下がるよう緩やかに傾斜しており、握りやすいように先端部が細い湾曲した断面を有する(図3)。また、左右の握り部6はその前後方向の軸線を前面から背面側へ狭くなるように配置されている。
握り部6の基部下半部はケース本体部5の下面から突出し、握り部6の基端面11は、ケース本体部5の下面に対してほぼ直交すると共に、ケース本体部5の背面よりも手前側へ後退している。また、握り部6の基端面11は、両側の基端面11間の距離が手前側よりも背面側において幅広くなるよう傾斜している(図2)。
左右の握り部6の基端面には、それぞれ左右の下部操作ボタン12,13を設ける。下部操作ボタン12,13は、握り部の前後方向軸の方向で移動可能に、且つ、背面側へ付勢して取り付けてある。
【0012】
一方、左右の下部操作ボタン12,13の上方において、ケース本体部5の背面両側部にそれぞれ左右の上部操作ボタン14,15を設置する(図4)。・・・」

上記の記載事項を総合すると、引用例4には、次の発明(以下、「引用発明4」という。)が記載されていると認定できる。
「両手で握って操作ボタン等を操作することによりゲームを行うゲーム機用コントローラであって、
コントローラは横長で扁平なケース本体部5を有し、ケース本体部5の上面に、第1及び第2操作スイッチ8、9や、操作桿10等で構成される操作部を設け、ケース本体部5の下面の左右の握り部6の基端面には、それぞれ下部操作ボタン12,13を設け、ケース本体部5の背面に上部操作ボタン14、15を設置したゲーム機用コントローラ。」

5.引用例5
引用例5には、図面と共に次の事項が記載されている。
「【0001】
本発明は、ジャイロセンサと加速度センサを利用したゲームを実行するゲーム装置およびゲームプログラムに関し、より特定的には、入力装置に加えられた動きを検出してゲーム処理に反映するゲーム装置およびゲームプログラムに関する。」
「【0032】
[ゲームシステムの全体構成]
図1を参照して、本発明の一実施形態に係る姿勢算出装置の一例であるゲーム装置を含むゲームシステム1について説明する。図1は、ゲームシステム1の外観図である。以下、据置型のゲーム装置を一例にして、本実施形態のゲーム装置およびゲームプログラムについて説明する。図1において、ゲームシステム1は、テレビジョン受像器(以下、単に「テレビ」と記載する)2、ゲーム装置3、光ディスク4、入力装置8、およびマーカ部6を含む。本システムは、入力装置8を用いたゲーム操作に基づいてゲーム装置3でゲーム処理を実行するものである。」
「【0035】
入力装置8は、自機に対して行われた操作の内容を示す操作データをゲーム装置3に与えるものである。本実施形態では、入力装置8はコントローラ5とジャイロセンサユニット7とを含む。詳細は後述するが、入力装置8は、コントローラ5に対してジャイロセンサユニット7が着脱可能に接続されている構成である。コントローラ5とゲーム装置3とは無線通信によって接続される。本実施形態では、コントローラ5とゲーム装置3との間の無線通信には例えばBluetooth(ブルートゥース)(登録商標)の技術が用いられる。なお、他の実施形態においてはコントローラ5とゲーム装置3とは有線で接続されてもよい。」
「【0046】
ゲーム装置3には、電源ボタン24、リセットボタン25、およびイジェクトボタン26が設けられる。電源ボタン24およびリセットボタン25は、システムLSI11に接続される。電源ボタン24がオンされると、ゲーム装置3の各構成要素に対して、図示しないACアダプタを経て電源が供給される。リセットボタン25が押されると、システムLSI11は、ゲーム装置3の起動プログラムを再起動する。イジェクトボタン26は、ディスクドライブ14に接続される。イジェクトボタン26が押されると、ディスクドライブ14から光ディスク4が排出される。」
「【0066】
図9にはジャイロセンサユニット7の構成の一例が示される。ジャイロセンサユニット7は、上述したハウジング710、コネクタ706および708、リリースボタン712aおよび712b、フック712Faおよび712Fb、ロックスイッチ714、コネクタカバー716ならびにロックバネ718aおよび718bに加え、ジャイロ基板720および支持部材726を備える。ジャイロ基板720はコネクタ706および708の各々と信号線で接続され、支持部材726はジャイロ基板720ならびにコネクタ706および708を支持する。
【0067】
ジャイロ基板720にはジャイロセンサ55が設けられる。・・・
【0069】
また、ジャイロセンサ55は、2チップ構成とは限らず、3個の1軸ジャイロセンサ(3チップ)で構成してもよく、1個の3軸ジャイロセンサ(1チップ)で構成してもよい。いずれの場合も、上述の3つの角速度を適正に検出できるように、各チップの位置や向きが決定される。さらにまた、場合によっては、ジャイロセンサ55は、1個の2軸ジャイロセンサで構成しても、2個または1個の1軸ジャイロセンサで構成してもよい。」
「【0071】
なお、センサは、好ましい実施例ではジャイロセンサ(角速度センサ)であるが、たとえば加速度センサ、速度センサ、変位センサ、回転角センサなど、他のモーションセンサでもよい。モーションセンサ以外にも、傾斜センサ、イメージセンサ、光センサ、圧力センサ、磁気センサ、温度センサなどがあり、いずれのセンサを追加する場合でも、センサの検出対象を利用した操作が可能となる。いずれのセンサを用いた場合でも、従来操作装置に接続されていた他の装置をそのまま使用しながら、操作装置に当該センサを追加することができる。」
【0072】
図11は、入力装置8(コントローラ5およびジャイロセンサユニット7)の構成を示すブロック図である。コントローラ5は、操作部32(各操作ボタン32a?32i)、コネクタ33、撮像情報演算部35、通信部36、および加速度センサ37を備えている。コントローラ5は、自機に対して行われた操作内容を示すデータを操作データとしてゲーム装置3へ送信するものである。」

上記の記載事項を総合すると、引用例5には、次の発明(以下、「引用発明5」という。)が記載されていると認定できる。
「テレビジョン受像器2、ゲーム装置3、入力装置8を含むゲームシステムであって、
入力装置8は、自機に対して行われた操作の内容を示す操作データをゲーム装置3に与えるもので、コントローラ5とジャイロセンサユニット7とを含み、
ゲーム装置3には、電源ボタン24が設けられ、電源ボタン24がオンされると、ゲーム装置3の各構成要素に対して、ACアダプタを経て電源が供給され、
ジャイロセンサユニット7は、3軸ジャイロセンサ(1チップ)で構成されるジャイロセンサ55のほか、加速度センサや磁気センサでもよく、
コントローラ5は、加速度センサ37を備えていて、自機に対して行われた操作内容を示すデータを操作データとしてゲーム装置3へ送信するゲームシステム。」

第6 当審の判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明1とを対比する。
後者の「主画面6」と「副画面7」は、その機能等からみて、前者の「外部表示装置」と「表示部」に相当しており、後者の「主画面6と分離して設けられた筐体9によって覆われているCPU5、映像生成部12及び入力部4からなる本体部2」は、前者の「据置型のゲーム装置」に相当し、同様に、「コントローラー3(補助部)」は、「第1操作装置」に相当している。また、後者の「(コントローラ3に設けられた)操作部8による操作」及び「コントローラ3の向き」により、表示画面を操作しているから、後者は、「(コントローラ3に設けられた)操作部8による操作」及び「コントローラ3の向き」についてのデータを有することは明らかであって、これらのデータは、前者の「第1操作データ」に相当し、また後者の「入力部4」は前者の「第1操作データ受信部」に相当する。そして、後者の「コントローラ3の向きを検出する検出部」は、前者の「慣性センサ」を包含するものである。
また、後者の「映像生成部12」は、前者の「画像生成部」に相当し、後者の「オブジェクト空間」は、前者の「オブジェクト制御処理が実行されたゲーム空間」に相当する。そして、後者において、「主画面6及び副画面7の表示画像を操作する操作部8」、及び「操作部8の操作によりオブジェクト空間を表す画像データが変化してゲームが行われ」としているところから、後者も、前者の「第1操作データに基づいてゲーム処理を実行するゲーム処理部」に相当するものを備え、「第1操作データに基づいて、仮想のゲーム空間においてオブジェクトを動作させるオブジェクト制御処理を実行するオブジェクト処理」に相当する処理をしているといえる。
そして、後者の「(映像生成部12で生成された画像データをコントローラー3(補助部)に送信する)通信手段」は、前者の「ゲーム画像送信部」に相当し、後者は「画像データをコントローラー3(補助部)に送信する」以上、コントローラー3(補助部)側に、前者の「ゲーム画像受信部」に相当するものが設けられているのは明らかである。また、後者において、主画面6は、映像生成部12で生成された画像データを表示するから、後者も、前者の「外部表示装置へ第2ゲーム画像を逐次出力する画像出力部」に相当するものを備えているといえる。
更に、後者は、「主画面6には主人公Mが位置するオブジェクト空間を俯瞰する視界画像を表示し」、「副画面7には主人公Mに従動する視点位置の該オブジェクト空間の視界画像を表示して」いるが、これは、「主人公Mが位置するオブジェクト空間」を「俯瞰する」位置にある仮想カメラと、「主人公Mに従動する視点位置」にある仮想カメラとを設定して、2つの仮想カメラからみた、それぞれの視界画像(ゲーム画像)が生成されていることを意味している。したがって、後者も、前者と同様に、「オブジェクト制御処理が実行されたゲーム空間において、第1仮想カメラと第2仮想カメラとを設定する仮想カメラ設定部とを含」むと共に、「オブジェクト制御処理が実行されたゲーム空間および第1仮想カメラに基づく第1の描画処理によって前記第1ゲーム画像を生成し、」「ゲーム空間および第2仮想カメラに基づく第2の描画処理によって第2ゲーム画像を生成」しているといえる。
また、上記の、後者において、「主画面6には主人公Mが位置するオブジェクト空間を俯瞰する視界画像を表示し」、「副画面7には主人公Mに従動する視点位置の該オブジェクト空間の視界画像を表示して」いるのは、前者の「第1ゲーム画像および第2ゲーム画像を生成して、前記第1ゲーム画像を表示部に表示させ、第2ゲーム画像を外部表示装置に表示させる第1モード」の態様といえる。
そして、後者は、「ゲーム機として構成されている映像表示装置1」であるが、当該映像表示装置を用いる「ゲームシステム」を開示しているといえる。
なお、後者では、「コントローラ3にアプリケーション10を装着する装着部及び該アプリケーション10を制御するCPUを設け、該アプリケーション10による副画面7の表示画像を操作部8により操作することでコントローラ3を独立した携帯型ゲーム機として使用することもできる」としているが、これは、コントローラ3を独立した携帯型ゲーム機として使用する場合であるから、当然、上記の「副画面7の表示画像」はコントローラ3(第1操作装置)で生成されるものであって、上記のようなコントローラ3の使用に係るゲーム処理の態様は、前者の「(据置型のゲーム装置の画像生成部で)第1ゲーム画像のみを生成して(第1操作装置の)表示部に表示させる第2モード」とは明らかに異なっている。

したがって、両者は、
「据置型のゲーム装置と、第1操作装置とを含むゲームシステムであって、
前記ゲーム装置は、
前記第1操作装置から第1操作データを受信する第1操作データ受信部と、
前記第1操作データに基づいてゲーム処理を実行するゲーム処理部と、
前記ゲーム処理に基づいて第1ゲーム画像および第2ゲーム画像を逐次生成する画像生成部と、
前記(第1ゲーム画像の)画像データを前記第1操作装置へ無線で逐次送信するゲーム画像送信部と、
前記第1操作装置とは別体の外部表示装置へ前記第2ゲーム画像を逐次出力する画像出力部とを備え、
前記第1操作装置は、
表示部と、
慣性センサと、
前記慣性センサの出力データを含む第1操作データを前記ゲーム装置へ無線で送信する第1操作データ送信部と、
前記ゲーム装置から前記画像データを逐次受信するゲーム画像受信部とを備え、
前記表示部は、前記第1ゲーム画像を逐次表示し、
前記ゲーム処理部は、
前記第1操作データに基づいて、仮想のゲーム空間においてオブジェクトを動作させるオブジェクト制御処理を実行するオブジェクト処理部と、
前記オブジェクト制御処理が実行されたゲーム空間において、第1仮想カメラと第2仮想カメラとを設定する仮想カメラ設定部とを含み、
前記画像生成部は、前記オブジェクト制御処理が実行されたゲーム空間および前記第1仮想カメラに基づく第1の描画処理によって前記第1ゲーム画像を生成し、ゲーム空間および前記第2仮想カメラに基づく第2の描画処理によって前記第2ゲーム画像を生成し、
前記ゲームシステムは、前記第1操作データに基づくゲーム操作の結果を表すゲーム画像として、前記第1ゲーム画像および前記第2ゲーム画像を生成して、前記第1ゲーム画像を前記表示部に表示させ、前記第2ゲーム画像を前記外部表示装置に表示させる第1モードで動作可能である、ゲームシステム。」
の点で一致し、以下の点で相違している。

[相違点1]
本願発明1は、ゲーム装置が、「第1ゲーム画像を逐次圧縮して圧縮画像データを生成するゲーム画像圧縮部と」、「前記圧縮画像データ」を送信するゲーム画像送信部とを備えるとともに、第1操作装置が、「前記圧縮画像データを逐次伸張して前記第1ゲーム画像を得るゲーム画像伸張部」を備え、表示部が、「伸張によって得られた」前記第1ゲーム画像を逐次表示しているのに対し、引用発明1は、ゲーム画像圧縮部及びゲーム画像伸張部を備えるものではない点。
[相違点2]
本願発明1は、表示部の画面に「タッチパネル」を設け、第1操作データが「前記タッチパネル」および慣性センサ「の出力データを含む」のに対し、引用発明1では、この点につき言及がない点。
[相違点3]
本願発明1は、「第1ゲーム画像の生成に用いられたゲーム空間」に基づいて第2ゲーム画像を生成するのに対し、引用発明1では、第1ゲーム画像(副画面7に表示する視界画像)の生成に用いられたゲーム空間(オブジェクト空間)に基いて第2ゲーム画像を生成するか否かが不明である点。
[相違点4]
本願発明1は、「第1ゲーム画像のみを生成して表示部に表示させる第2モード」での動作が可能であり、「前記第2モードによるゲーム処理の実行中において、ゲーム画像を外部表示装置に表示させるように変更可能である」のに対し、引用発明1では、第2モードによるゲーム処理について言及されていない点。

(2)判断
まず、相違点4について検討する。
上記相違点4に係る本願発明1の発明特定事項である「第1ゲーム画像のみを生成して表示部に表示させる第2モード」については、引用発明2ないし5のいずれにおいても開示や示唆はされておらず、また、本願の優先日前における周知慣用の技術事項であるともいえない。
そして、上記相違点4に係る本願発明1の発明特定事項が、当業者にとって設計事項であるとする根拠もない。
したがって、他の相違点を判断するまでもなく、本願発明1は、引用発明1ないし5に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

(2)本願発明2ないし14について
上記相違点4に係る本願発明1の発明特定事項は、本願発明11、12、14も同様に備えており、また、本願発明2ないし10は、本願発明1を引用する発明であり、本願発明13は、本願発明12を引用する発明である。
したがって、本願発明1と同様の理由により、本願発明2ないし14も、引用発明1ないし5に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
よって、当審において、1回目の拒絶理由通知で指摘した拒絶理由によって、本願を拒絶することはできない。

第7 原査定についての判断
上記のとおり、平成28年12月26日付けの手続補正によって、当該補正後における本願発明1、11、12、及び14は、いずれも、第1操作データに基づくゲーム操作の結果を表すゲーム画像として、第1ゲーム画像および第2ゲーム画像を生成して、前記第1ゲーム画像を表示部に表示させ、前記第2ゲーム画像を外部表示装置に表示させる第1モードと、「前記第1ゲーム画像のみを生成して前記表示部に表示させる第2モード」との両方で動作可能であり、「前記第2モードによる前記ゲーム処理の実行中において、ゲーム画像を前記外部表示装置に表示させるように変更可能である」という発明特定事項を有するものとなった。当該発明特定事項は、原査定における引用文献A、B(1回目の拒絶理由における引用文献1、2)には記載されておらず、本願の優先日前における周知慣用の技術事項でもないので、本願発明1、11、12、及び14は、原査定における引用文献A、Bに記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとするものである。
また、本願発明2ないし10は、本願発明1を引用する発明であり、本願発明13は、本願発明12を引用する発明であるから、本願発明1、及び12と同様の理由により、本願発明2ないし14も、引用発明AないしEに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
したがって、原査定を維持することはできない。

第8 当審で通知した2回目の拒絶理由について
1.当審で通知した2回目の拒絶理由の概要
当審では、平成28年10月31日付けで拒絶理由を通知したが、その概要は次のとおりである。
(理由1)本件出願に係る平成28年10月13日付けでした、特許請求の範囲の請求項1、11、12、14についての手続補正は、下記の点で、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。

(理由2)本件出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。

(理由3)本件出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。


[理由1について]
・請求項1について
上記平成28年10月13日付けの手続補正において、請求項1に関しては、「前記画像生成部は、前記第1操作データに基づくゲーム操作の結果を表すゲーム画像として、前記第1ゲーム画像および前記第2ゲーム画像を生成する第1モードと、前記第1ゲーム画像のみを生成する第2モードとの両方で動作可能であり、前記ゲーム処理の実行中において第2モードから第1モードへと変更可能である、(ゲームシステム。)」という記載を加入する補正がなされた。
上記記載のうち、「前記ゲーム処理の実行中において第2モードから第1モードへと変更可能である」点は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものではない。

上記の点に関連して、上記手続補正と同日付の意見書において、請求人が上記補正の根拠であるとしている明細書の段落【0240】には、次の記載がある。
「【0240】
さらに、上記において、ゲーム画像を表示する表示装置を端末装置7からテレビ2へとゲーム中に変更することも可能である。具体的には、CPU10は、上記ステップS9をさらに実行し、ゲーム画像をテレビ2へ出力するようにすればよい。なお、ステップS9でテレビ2へ出力される画像は、ステップS10で端末装置7へ送信されるゲーム画像と同じである。これによれば、ゲーム装置3からの入力を表示させるようにテレビ2の入力を切り替えることで、端末装置7と同一のゲーム画像がテレビ2に表示されることとなるので、ゲーム画像を表示する表示装置をテレビ2に変更することができる。なお、テレビ2にゲーム画像が表示された後は、端末装置7の画面表示がオフにされてもよい。」

上記段落の記載が意味するところは、(端末装置7及び第1ゲーム画像のみを使用する)ゲーム処理の実行中に、第1ゲーム画像を表示する表示装置を、端末装置7(第1操作装置)からテレビ2(第1操作装置とは別体の外部表示装置)へと変更することが可能であることをいったものであって、ゲーム処理の実行中において、「第1ゲーム画像のみを生成する第2モード」から、「第1ゲーム画像および第2ゲーム画像を生成する第1モード」へと変更することが可能であることをいったものではない。
そして、上記段落の記載、及び、当該記載に関連する段落(【0237】?【0239】)の記載のほかには、ゲーム中の画像表示態様の変更に関する記載は、見当たらない。

・請求項11、12、14についても、上記と同様のことがいえる。

[理由2について]
上記の理由1で指摘した、「前記ゲーム処理の実行中において第2モードから第1モードへと変更可能である」点は、発明の詳細な説明や図面に記載されていない。
したがって、請求項1、11、12、14の発明、及びこれを引用する請求項2ないし10、13の発明は、発明の詳細な説明に記載したものとはいえない。

[理由3について]
・請求項1について
上記のとおり、請求項1には、「第1ゲーム画像および第2ゲーム画像を生成する第1モード」、及び「第1ゲーム画像のみを生成する第2モード」という記載がある。
上記の記載によれば、各モードにおいて、第1ゲーム画像や第2ゲーム画像が生成されることはわかるが、生成された画像がどのように表示されるかが明示されておらず、この点において、第1モード及び第2モードがそれぞれどのようなものを意味するのかが明確ではない。

・請求項11、12、14についても、上記と同様のことがいえる。

2.当審で通知した2回目の拒絶理由についての検討
上記の理由1ないし3の拒絶理由に対し、平成28年12月26日付け手続補正書によって、明細書の段落【0007】の記載が補正されたほか、特許請求の範囲について、次のとおりの補正がされた。
請求項1については、補正前の
「前記画像生成部は、前記第1操作データに基づくゲーム操作の結果を表すゲーム画像として、前記第1ゲーム画像および前記第2ゲーム画像を生成する第1モードと、前記第1ゲーム画像のみを生成する第2モードとの両方で動作可能であり、前記ゲーム処理の実行中において第2モードから第1モードへと変更可能である、」という記載は、
「前記ゲームシステムは、前記第1操作データに基づくゲーム操作の結果を表すゲーム画像として、前記第1ゲーム画像および前記第2ゲーム画像を生成して、前記第1ゲーム画像を前記表示部に表示させ、前記第2ゲーム画像を前記外部表示装置に表示させる第1モードと、前記第1ゲーム画像のみを生成して前記表示部に表示させる第2モードとの両方で動作可能であり、前記第2モードによる前記ゲーム処理の実行中において、ゲーム画像を前記外部表示装置に表示させるように変更可能である、」と補正された。
また、請求項11、12、14についても、上記と同趣旨の補正がなされた。
上記のとおり、平成28年12月26日付けの手続補正がなされた結果、当審において、2回目の拒絶理由通知で指摘した上記の拒絶理由1ないし3は解消した。

第9 むすび
以上のとおり、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2017-02-13 
出願番号 特願2011-92612(P2011-92612)
審決分類 P 1 8・ 537- WY (A63F)
P 1 8・ 55- WY (A63F)
P 1 8・ 121- WY (A63F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 中村 和正  
特許庁審判長 吉村 尚
特許庁審判官 畑井 順一
黒瀬 雅一
発明の名称 ゲームシステム、操作装置、およびゲーム処理方法  
代理人 石原 盛規  
代理人 小沢 昌弘  
代理人 寺本 亮  

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