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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G09G
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G09G
管理番号 1324771
審判番号 不服2016-7311  
総通号数 207 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-03-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-05-19 
確定日 2017-02-09 
事件の表示 特願2011-257759「表示装置、及びそれを備えた画像形成装置」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 6月10日出願公開、特開2013-113912〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2011年(平成23年)11月25日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
平成27年 7月17日付け:拒絶理由の通知
平成27年 9月18日 :意見書、手続補正書の提出
平成28年 3月 2日付け:拒絶査定
平成28年 5月19日 :審判請求書、手続補正書の提出

第2 平成28年5月19日にされた手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成28年5月19日にされた手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 本件補正
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された(下線部は当審にて付したものであり、補正箇所を示す。)。
「 【請求項1】
スキャナにより読取られた原稿画像、ファクシミリにより受信された原稿画像、又は外部から入力した原稿画像を表示する表示部を備えた表示装置であって、
予め設定された特徴画像部分を記憶した記憶部と、
前記記憶部に記憶されている前記特徴画像部分が前記原稿画像に含まれている場合に、前記原稿画像における前記特徴画像部分を判別する判別部と、
前記表示部の視野角を変更する視野角変更部と、
前記視野角変更部を制御して、前記判別部による判別結果に基づき前記表示部の視野角を設定する制御部と、
前記表示部の視野角を指示するために操作される操作部とを備え、
前記操作部は、前記視野角変更部が前記表示部の視野角を変更した後、前記表示部の視野角に対する指示を受け付けること
を特徴とする表示装置。」

(2)本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前の、平成27年9月18日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。
「 【請求項1】
スキャナにより読取られた原稿画像、ファクシミリにより受信された原稿画像、又は外部から入力した原稿画像を表示する表示部を備えた表示装置であって、
予め設定された特徴画像部分を記憶した記憶部と、
前記記憶部に記憶されている前記特徴画像部分が前記原稿画像に含まれている場合に、前記原稿画像における前記特徴画像部分を判別する判別部と、
前記表示部の視野角を変更する視野角変更部と、
前記視野角変更部を制御して、前記判別部による判別結果に基づき前記表示部の視野角を設定する制御部と、
前記表示部の視野角を指示するために操作される操作部とを備えたこと
を特徴とする表示装置。」

2 補正の適否
本件補正について検討する。
本件補正は、本件補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「操作部」について、「前記視野角変更部が前記表示部の視野角を変更した後、前記表示部の視野角に対する指示を受け付けること」という限定を付加するものであって、本件補正前の請求項1に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載された発明の産業上の利用分野および解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後における請求項1に係る発明(以下、「本件補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項に規定に適合するか否か)について以下に検討する。

(1)本件補正発明
本件補正発明は、上記「1(1)」に記載したとおりのものである。

(2)引用例の記載事項
ア 引用例1
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願前に頒布された刊行物である特開2010-243800号公報(平成22年10月28日公開。以下、「引用例1」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている(なお、下線は当審で付したものであり、【0033】の「また、また」との記載は、「また、」の誤記と認定した。)。

a「【0001】
本発明は、画像処理装置に関し、ユーザインタフェースとして、操作者に情報を提示する表示部を備えた画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、画像処理装置の機能は多機能化する傾向にあり、例えば、そのような画像処理装置の一例であるデジタル複合機(MultiFunction Peripheral、MFP)は、一台でコピー機能、スキャナ機能、プリンタ機能、ファクシミリ機能、メール送受信機能等を集約的に併せ持つ装置である。多くのMFPにおいては、複数のユーザに共用される。」

b「【0010】
しかしながら、従来技術にかかる画像処理装置では、操作者が操作パネルで操作中に、当該操作パネル近傍にいる別のユーザから覗き見され、情報セキュリティが脅かされる点について、何ら対策が講じられていなかった。
【0011】
そのため、従来、操作者がMFPを操作中に別のユーザがLCDタッチパネルを覗き見ることは容易い事柄である。
【0012】
上記問題点を鑑み、本発明は、LCDタッチパネル(画像処理装置ユーザインタフェースの表示部)に表示される情報にかかる情報セキュリティを高度に確保することができる画像処理装置の提供を目的とする。」

c「【0033】
(ハードウェア構成)
図1は、本発明の実施の形態によるデジタル複合機(MFP)100のハードウェア構成を示したブロック図である。MFP100は、
演算機能、制御機能等を司るコンピュータであるコンピュータ主要部101と、
各種データを保持するためのデータ記憶部103と、
外部装置とのデータ送受信を行うためのインタフェース部105と、
画像を読み取って当該画像の電子データを生成する画像読取部107と、
画像の電子データに対し種々の画像処理を行う画像処理部109と、
画像処理された電子データを電子写真プロセスにより印刷出力する画像形成部111と、
ユーザIDを無線通信で検出する識別部112と、
操作者が設定入力や指示入力を行い、また、設定された機能の確認や種々の警告等を表示するユーザインタフェース部121と、
を有する。
コンピュータ主要部101は、中央処理装置(CPU)113と、リード・オンリー・メモリ(ROM)115と、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)119とを有する。
CPU113は、各種プログラムを実行し、様々なデータ演算処理およびMFP本体の制御処理を行う。
ROM115は、CPU113が実行可能な各種プログラムを保持する。
RAM119は、CPU113が使用するデータを保持する。
また、ユーザインタフェース部121は、操作者に情報を提示するための表示部123および操作者がMFP100に対して設定や指示等を入力するための操作部125を備える。表示部123は、マルチビュー液晶を備え、操作者に対して同時的に複数の画面を提示することができる。操作者は自らの視方向を変化させることにより、当該複数の画面を参照する。操作部125は、マルチビュー液晶と一体的に構成されるタッチパネルを備える。
インタフェース部105は、ネットワーク200を介して他のMFPやサーバ装置とデータ送受信可能に通信したり、携帯記憶装置(USBメモリ等)とデータ送受信したりすることが可能である。なお、本実施の形態によるMFP100は、インタフェース部105を介して各種プログラムを取得することができる。したがって、本発明にかかる作用を実現するためのプログラム等についても、インタフェース部105を介して取得し、実行可能である。識別部112は、ユーザのキー入力等によりユーザ認証を行う機能を備えてよい。その場合、無線通信機能は、必須ではない。」

d「【0035】
(機能的構成)
図2は、本実施の形態によるMFP100の機能的構成を示すブロック図である。当該機能は、図1に示したハードウェア構成要素、および、コンピュータ主要部101において実行されるプログラムの協働的作用により実現される。
【0036】
MFP100は、
MFP100の動作を制御するMFP制御部131と、
表示部123に表示する画面を決定する表示画面決定部133と、
操作部125に対して操作者がした操作を受け付ける操作受付部136と、
表示部123の画面を構成する複数あるいはひとつの画面のそれぞれについての視野角を、少なくとも、表示される画面の内容、操作者の属性、および、装置近傍における人間の存在の有無等のいずれかに基づいて決定する視野角決定部135と、
視野角決定部135が決定した視野角の値に基づいて表示部の視野角を調整する視野角調整部144と、
表示画面決定部133が決定した画面を視野角決定部135が決定した視野角で表示する第1画面表示部141、第2画面表示部142、および、第3画面表示部143と、
操作部125の一部を構成するハードウェアキー125hを制御するハードウェアキー制御部137と、
ユーザインタフェース部121に備えたプッシュ音を発音するスピーカを制御する音声制御部138と、
ユーザインタフェース部121に備えたLCDのバックライトを制御するバックライト制御部139と、を有する。
表示画面決定部133は、マルチビュー液晶で構成される表示部123に表示する複数の画面の内容を決定し、その内容を表示部123へ出力する。
視野角決定部135は、第1画面表示部141に表示される第1画面の視野角、第2画面表示部142に表示される第2画面の視野角、および、第3画面表示部143に表示される第3画面の視野角を決定する。
視野角調整部144は、マルチビュー液晶の視差バリア等を調整し、第1画面、第2画面、および、第3画面の視野角を調整する。
なお、視野角とは、操作者が画面を参照可能な視方向の範囲である。
さらに、MFP100は、
ユーザインタフェース部121に所定の空間的範囲における人間の有無を検知するセンサを備えてよい。当該センサは、例えば、赤外線センサである。MFP100は、ユーザインタフェース部121に向かって左側の所定の空間的範囲における人間の有無を検知する第1赤外線センサ部145、同じく正面の所定の空間的範囲における人間の有無を検知する第2赤外線センサ部146、同じく右側の所定の空間的範囲における人間の有無を検知する第3赤外線センサ部147、を備える。」

e「【0043】
(表示部に表示される内容に基づく視野角調整制御処理)
図7は、表示部123(主としてその第2画面表示部142)に表示される内容に基づく視野角調整制御処理のフローチャートである。
【0044】
ステップS101において、MFP100の視野角決定部135は、表示部123において、仕上がりのプレビュー表示が表示されるか、否か、について判定する。
視野角決定部135が、仕上がりのプレビュー表示が表示される、と判定した場合(ステップS101における「YES」)、処理は、ステップS103へ移行する。
視野角決定部135が、仕上がりのプレビュー表示は表示されない、と判定した場合(ステップS101における「NO」)、処理は、ステップS105へ移行する。
【0045】
ステップS103において、視野角決定部135は、第2画面153の視野角を通常時視野角(例えば、図6(a)のVA2N)よりも狭い視野角(例えば、図6(b)のVA2S)にすることを決定する。そして、視野角調整部144は当該決定を受けて、第2画面153の視野角を通常時視野角よりも狭い視野角に調整する。
【0046】
ステップS105において、視野角決定部135は、第2画面153の視野角を通常時視野角(例えば、図6(a)のVA2N)にすることを決定する。そして、視野角調整部144は当該決定を受けて、第2画面153の視野角を通常時視野角に調整する。
【0047】
本フローチャートにおいては、表示部に表示される内容の情報セキュリティの確保の要否を判定する基準として、仕上がりプレビュー表示の有無を用いて説明した。だが、情報セキュリティ確保要否判定基準は、これに限定されない。ここでの当該判定基準としては、表示内容に基づいた判定基準であればよい。それら判定基準の別例としては、仕上がりプレビュー表示の他、処理中のドキュメントに付されたセキュリティ情報、サービスマンモードの画面、FAX番号等入力のための画面、メールアドレス等入力のための画面、管理者モードの画面、ユーザ認証等に用いるユーザID及びパスワード(操作者の個人情報)の入力画面等が挙げられる。
【0048】
図7に示した処理は、適宜繰り返し実行されてよく、画面の表示内容が変化すると、ほぼ同時的に、視野角も再調整されるようにMFP100を構成してよい。」

f「【0065】
ステップS101においては、視野角決定部135は、第2画面153に表示される画面が、仕上がりプレビュー表示モードであるか、否か、について判定する。表示される画面が仕上がりプレビュー表示モードであると判定されれば、第2画面153の視野角は、通常時視野角よりも狭い視野角に設定される(ステップS103)。
【0066】
同様、ステップS303においては、視野角決定部135は、プレビュー原稿(現在処理中のジョブにかかるドキュメント)に関連付けて保持される属性情報を参照し、当該属性情報に、高いセキュリティを要求する内容が含まれているか、否か、について判定する。なお、本ステップは、現在第2画面153が仕上がりプレビュー表示であるか否かに関係なしに、現在処理中のジョブにかかるドキュメントについてのセキュリティレベルに基づく判定処理を行うステップである。
プレビュー原稿(現在処理中のジョブにかかるドキュメント)が、高いセキュリティを要求するドキュメントであると判断されれば、第2画面153が仕上がりプレビュー表示であるか否かに拘わらず、第2画面153の視野角は、通常時視野角よりも狭い視野角に設定される(ステップS103)。」

g 【図3】より、表示部123の画面が、第1画面151、第2画面153、第3画面155から構成されていることが見てとれる。

(ア)引用例1には、「表示部を備えた画像処理装置」が記載されている(【0001】)。

(イ)引用例1の「近年、画像処理装置の機能は多機能化する傾向にあり、例えば、そのような画像処理装置の一例であるデジタル複合機(MultiFunction Peripheral、MFP)」(【0002】)、「MFP100は、・・・(略)・・・各種データを保持するためのデータ記憶部103と、・・・(略)・・・画像を読み取って当該画像の電子データを生成する画像読取部107と、・・・(略)・・・画像処理された電子データを電子写真プロセスにより印刷出力する画像形成部111と、・・・(略)・・・操作者が設定入力や指示入力を行い、また、設定された機能の確認や種々の警告等を表示するユーザインタフェース部121と、を有する」(【0033】)、「ユーザインタフェース部121は、操作者に情報を提示するための表示部123および操作者がMFP100に対して設定や指示等を入力するための操作部125を備える」(【0033】)との記載より、引用例1には、「画像処理装置はMFP100であり、MFP100は、各種データを保持するためのデータ記憶部103と、画像を読み取って画像の電子データを生成する画像読取部107と、画像処理された画像の電子データを電子写真プロセスにより印刷出力する画像形成部111と、操作者が設定入力や指示入力を行い、また、設定された機能の確認や種々の警告等を表示するユーザインタフェース部121であって、操作者に情報を提示するための表示部123と、操作者がMFP100に対して設定や指示等を入力するための操作部125とを備えるユーザインタフェース部121とを有する」ことが記載されているということができる。

(ウ)引用例1の「MFP100は、・・・(略)・・・表示部123の画面を構成する複数あるいはひとつの画面のそれぞれについての視野角を、少なくとも、表示される画面の内容・・・(略)・・・に基づいて決定する視野角決定部135と、視野角決定部135が決定した視野角の値に基づいて表示部の視野角を調整する視野角調整部144と、・・・(略)・・・を有する」(【0036】)、「視野角決定部135は、・・・(略)・・・第2画面表示部142に表示される第2画面の視野角・・・(略)・・・を決定する」(【0036】)、「視野角調整部144は、マルチビュー液晶の視差バリア等を調整し、・・・(略)・・・第2画面・・・(略)・・・の視野角を調整する」(【0036】)との記載および表示部123が第2画面153を有すること(上記g)から、引用例1には、「MFP100が、表示部123の第2画面153の視野角を、表示される画面の内容に基づいて決定する視野角決定部135と、視野角決定部135が決定した視野角の値に基づいて、表示部123の第2画面153の視野角を調整する視野角調整部144とを有する」ことが記載されているといえる。

(エ)引用例1の「ステップS101において、MFP100の視野角決定部135は、表示部123において、仕上がりのプレビュー表示が表示されるか、否か、について判定する」(【0044】)、「ステップS101においては、視野角決定部135は、第2画面153に表示される画面が、仕上がりプレビュー表示モードであるか、否か、について判定する」(【0065】)との記載および上記gより、引用例1には、「表示部123の第2画面153は、仕上がりプレビュー表示を表示する」ことが記載されているといえる。

(オ)引用例1の「ステップS303においては、視野角決定部135は、プレビュー原稿(現在処理中のジョブにかかるドキュメント)に関連付けて保持される属性情報を参照し、当該属性情報に、高いセキュリティを要求する内容が含まれているか、否か、について判定する。なお、本ステップは、現在第2画面153が仕上がりプレビュー表示であるか否かに関係なしに、現在処理中のジョブにかかるドキュメントについてのセキュリティレベルに基づく判定処理を行うステップである。プレビュー原稿(現在処理中のジョブにかかるドキュメント)が、高いセキュリティを要求するドキュメントであると判断されれば、第2画面153が仕上がりプレビュー表示であるか否かに拘わらず、第2画面153の視野角は、通常時視野角よりも狭い視野角に設定される(ステップS103)」(【0066】)との記載より、引用例1には、「視野角決定部135は、プレビュー原稿についてのセキュリティレベルに基づく判定処理を行い、プレビュー原稿が、高いセキュリティを要求するドキュメントであると判断すれば、第2画面153の視野角を通常時視野角よりも狭い視野角に設定する」ことが記載されているといえる。

(カ)したがって、上記引用例1に記載された事項と上記(ア)ないし(オ)とを総合すれば、引用例1には、次の発明が記載されている(以下、「引用発明」という。)。

「表示部を備えた画像処理装置であって、
画像処理装置はMFP100であり、
各種データを保持するためのデータ記憶部103と、
画像を読み取って画像の電子データを生成する画像読取部107と、
画像処理された画像の電子データを電子写真プロセスにより印刷出力する画像形成部111と、
操作者が設定入力や指示入力を行い、また、設定された機能の確認や種々の警告等を表示するユーザインタフェース部121であって、操作者に情報を提示するための表示部123と、操作者がMFP100に対して設定や指示等を入力するための操作部125とを備えるユーザインタフェース部121と、
表示部123の第2画面153の視野角を、表示される画面の内容に基づいて決定する視野角決定部135と、
視野角決定部135が決定した視野角の値に基づいて、表示部123の第2画面153の視野角を調整する視野角調整部144と、
を有する、表示部を備えた画像処理装置であって、
表示部123の第2画面153は、仕上がりプレビュー表示を表示し、
視野角決定部135は、プレビュー原稿についてのセキュリティレベルに基づく判定処理を行い、プレビュー原稿が、高いセキュリティを要求するドキュメントであると判断すれば、第2画面153の視野角を通常時視野角よりも狭い視野角に設定する、
表示部を備えた画像処理装置。」

イ 引用例2
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願前に頒布された刊行物である特開2006-60404号公報(平成18年3月2日公開。以下、「引用例2」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている(なお、下線は当審で付した。)。

a「【0001】
本発明は、機密情報を含むシートを分別することのできる画像読取装置及びそれを備えてなる画像形成装置に関する。」

b「【0008】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、書類に付加された機密書類を示す画像を読み取り、機密書類とそうでない一般書類とに自動的に分別することができる画像読取装置とその装置を備えた画像形成装置を提供するものである。」

c「【0035】
(実施の形態3)
この実施の形態では、シートを読み取って機密を表す情報を判別し、判別結果に基づいてシートを分別する動作について説明する。
図3?5は、この発明の画像読取装置が備える原稿搬送部であるADFの機械的構成と、ADFに載置された原稿が搬送される様子を示す説明図である。図3(a)は、通常原稿Aと機密を表す情報を含む原稿Bとが重ねて原稿トレイ113に載置されている状態を示している。この状態から、図2の原稿搬送モータ120をオンするとともにピックアップローラクラッチ123をオンしてピックアップローラ101降下させ、上側の原稿Aを1枚給紙し、読取部へ搬送する。読取処理は、原稿を原稿台12上で停止させた状態で、光源ユニット13を図1のPos1からPos2まで走査させて原稿上の画像を読み取ってもよいが、光源ユニット13をPos1の位置に静止させておき、その状態で光源ユニット上を搬送されて通過する原稿上の画像を読み取るようにしてもよい。このようにすれば、原稿を停止させることなく画像を読み取ることができるので、原稿を停止させる場合に比べて読取処理を短時間で行うことができる。図3(b)は、Pos1の位置に静止した図示しない光源ユニット上を原稿Aが通過する様子を示している。読取を終了した原稿は、そのまま右側の排出部へ搬送される。原稿Aの先端が、排出部の排出切換フラッパ109に到達する前に原稿Aの読み取り処理が終了し、読み取られた画像は図2の画像処理部151で処理される。
【0036】
画像読取装置が分別モードで動作している場合、画像処理部151で処理された画像データはいったん記憶部154内の画像メモリ157へ記憶される。そして、読み取った原稿画像に機密を表す情報が含まれているかどうかを、参照情報記憶部155に予め記憶されたデータと記憶部154に記憶された画像データとを比較することによって判定する。前記比較処理は、比較部153によって行われる。図7は、原稿に含まれる機密を表わす情報の例を示す説明図である。図7(a)は、「秘」の文字が丸い枠で囲まれた画像が、原稿が機密情報であることを表している。(b)は、原稿の文章内に含まれる「社外秘」のキーワードが、当該原稿が機密情報であることを表している。さらに(c)は、原稿の一部に印字されたバーコードの内容によって、書類の種類が分類され、バーコードの内容が機密情報を表す場合を示している。そして、(d)は、原稿内に一般の人には意味が解釈できない特定のパターンによってその原稿が機密情報であることを表す場合を示している。
【0037】
このような機密を表す情報を判別するために、図2の参照情報記憶部155には、たとえば図7(a)に対応するマル秘の画像データを予め記憶させておき、この画像データが、記憶部154に記憶された原稿の画像データの一部と相関があるかどうかを比較する。これは、いわゆる画像のパターンマッチングの判定処理として知られる手法を用いることによって実現することができる。あるいは、図7(b)のキーワードに対応して、参照情報記憶部155に、「社外秘」を記憶しておき、画像処理部151は、読取処理した原稿画像をOCR処理し、処理結果の文章にキーワードである「社外秘」の文字が含まれているかどうかを検索することによって実現することができる。また、図7(c)のバーコードに対応して、参照情報記憶部155にバーコードが示すデータのうち、機密を表すデータを記憶しておき、画像処理部151は、まず、読取処理した原稿画像中に含まれるバーコードを前述のパターンマッチング処理によって抽出し、さらに、抽出されたバーコードを解読することによってバーコードが表すデータを取得し、これと参照情報記憶部155に記憶された機密を表すバーコードデータとを比較することによって実現することができる。さらにまた、図7(d)の符号に対しても、前述の図7(a)の場合と同様に、参照情報記憶部155に画像を記憶させておき、パターンマッチングの手法を用いて原稿中に機密を表すパターンが含まれている場合に、それを抽出することができる。」

(ア)引用例2には、「画像形成装置」が記載されている(【0001】)。

(イ)
a 引用例2の「原稿Aの読み取り処理が終了し、読み取られた画像は図2の画像処理部151で処理される」(【0035】)、「画像処理部151で処理された画像データはいったん記憶部154内の画像メモリ157へ記憶される。そして、読み取った原稿画像に機密を表す情報が含まれているかどうかを、参照情報記憶部155に予め記憶されたデータと記憶部154に記憶された画像データとを比較することによって判定する」(【0036】)との記載について、段落【0035】の「読み取られた画像」は、段落【0036】の「読み取った原稿画像」に対応し、参照情報記憶部155に予め記憶されたデータと比較される記憶部154に記憶された「画像データ」とは、原稿Aの読み取り処理の終了後、画像処理部151で処理された「読み取った原稿画像の画像データ」であるといえるため、引用例2には、「参照情報記憶部に予め記憶されたデータと、読み取った原稿画像の画像データとを比較することによって、読み取った原稿画像に機密を表す情報が含まれているかどうかを判定する」ことが記載されているといえる。

b 引用例2の「参照情報記憶部155に予め記憶されたデータ」(【0036】)、「このような機密を表す情報を判別するために、図2の参照情報記憶部155には、たとえば図7(a)に対応するマル秘の画像データを予め記憶させてお」(【0037】)く、「あるいは、図7(b)のキーワードに対応して、参照情報記憶部155に、「社外秘」を記憶してお」(【0037】)く、「また、図7(c)のバーコードに対応して、参照情報記憶部155にバーコードが示すデータのうち、機密を表すデータを記憶してお」(【0037】)く、「さらにまた、図7(d)の符号に対しても、前述の図7(a)の場合と同様に、参照情報記憶部155に画像を記憶させてお」(【0037】)く、との記載より、引用例2において、参照情報記憶部に予め記憶された「データ」とは、「マル秘の画像データ、「社外秘」のキーワード、バーコードが示すデータのうち、機密を表すデータ、符号の画像といったデータ」であるといえる。

c 上記aおよびbより、引用例2には、「参照情報記憶部に予め記憶された、マル秘の画像データ、「社外秘」のキーワード、バーコードが示すデータのうち、機密を表すデータ、符号の画像といったデータと、読み取った原稿画像の画像データとを比較することによって、読み取った原稿画像に機密を表す情報が含まれているかどうかを判定する」ことが記載されているといえる。

(ウ)したがって、上記引用例2に記載された事項と上記(ア)および(イ)とを総合すると、引用例2には、次の技術が記載されている(以下、「引用例2に記載された技術」という。)。

「参照情報記憶部に予め記憶された、マル秘の画像データ、「社外秘」のキーワード、バーコードが示すデータのうち、機密を表すデータ、符号の画像といったデータと、読み取った原稿画像の画像データとを比較することによって、読み取った原稿画像に機密を表す情報が含まれているかどうかを判定する、画像形成装置。」

ウ 引用例3
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願前に頒布された刊行物である特開2008-52058号公報(平成20年3月6日公開。以下、「引用例3」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている(なお、下線は当審で付したものであり、【0001】の「本発明は、本発明は、」との記載は「本発明は、」の誤記と認定した。)。

a「【0001】
本発明は、表示部の視野角を制御することの可能な表示装置、表示装置を含む通信システム、表示装置の視野角制御方法、視野角制御プログラム、および該プログラムを記録した記録媒体に関するものである。」

b「【0008】
昨今、携帯型の情報端末装置における通信技術の発達により、公共の場で携帯電話機などを使用し、インターネットを介して各ホームページ(いわゆる、ウェブページ)を見ることが容易にできるようになっている。そのため、公共の場で機密性の高い、例えば、インターネットバンキングの情報を見る機会も増え、情報漏えいリスクが高まっている。そこで、上述のような表示装置の視野角制御を行い、機密を保持すべき情報を見る際には狭視野角モードに設定することで、他人に情報を覗き見されることを防止することができる。
【0009】
しかしながら、現状の視野角制御型の表示装置は、上記各特許文献に開示されているように、ユーザ自身が設定を行うことで視野角を狭くしたり、あるいは、機器自体の機能などに応じて視野角を制御したりするものであり、表示される画像内容(コンテンツ)自体の機密保持の必要性に応じて視野角を変更することはできない。そのため、同じアプリケーションを使用して表示されるウェブコンテンツのうちの一部のコンテンツに機密を保持する必要性の高い情報が含まれている場合に、その画像表示モードが常に広視野角モードに設定される可能性があり、情報が他人に覗き見されてしまう危険がある。
【0010】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、表示されるコンテンツに応じて自動的に視野角を変更でき、情報漏えい防止に貢献できる表示装置を提供することを目的とする。」

c「【0048】
本実施形態の携帯電話機1は、メイン画面4の視野角を制御して、広視野角モードおよび狭視野角モードの何れか一方から他方に切り替える機能を有する。この視野角モードの切り替えは、ユーザが所定の操作ボタンを操作することにより実行できる。なお、視野角を変更する構造としては、種々のものが知られており、例えば上記特許文献1・3・4に記載されているので、その説明を省略する。
【0049】
また、本実施形態では、携帯電話機1がインターネットを介して受信したコンテンツ(画像情報)の内容に基づいて、自動的に視野角モードの切替えを行うことができる。この視野角制御の詳細については後述する。」

(ア)引用例3には、「表示部の視野角を制御することの可能な表示装置」が記載されている(【0001】)。

(イ)引用例3の「表示装置の視野角制御を行い、機密を保持すべき情報を見る際には狭視野角モードに設定することで、他人に情報を覗き見されることを防止することができる」(【0008】)、「画像表示モードが常に広視野角モードに設定される可能性があり、情報が他人に覗き見されてしまう危険がある」(【0009】)、「本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、表示されるコンテンツに応じて自動的に視野角を変更でき、情報漏えい防止に貢献できる表示装置を提供することを目的とする」(【0010】)との記載より、「表示部の視野角を制御することの可能な表示装置」(上記(ア))は、「機密を保持すべき情報を見る際には狭視野角モードに設定することで、他人に情報を覗き見されることを防止することができる表示装置において、画像表示モードが常に広視野角モードに設定される可能性があり、情報が他人に覗き見されてしまう危険があるという問題点に鑑みてなされたものである」といえる。

(ウ)引用例3の「本実施形態の携帯電話機1は、メイン画面4の視野角を制御して、広視野角モードおよび狭視野角モードの何れか一方から他方に切り替える機能を有する。この視野角モードの切り替えは、ユーザが所定の操作ボタンを操作することにより実行できる」(【0048】)、「また、本実施形態では、・・・(略)・・・コンテンツ(画像情報)の内容に基づいて、自動的に視野角モードの切替えを行うことができる」(【0049】)との記載より、引用例3には、「広視野角モードおよび狭視野角モードの切り替えは、ユーザが所定の操作ボタンを操作することにより実行できるとともに、画像情報の内容に基づいて、自動的に視野角モードの切替えを行うことができる」ことが記載されているといえる。

(エ)したがって、上記引用例3に記載された事項と上記(ア)ないし(ウ)とを総合すると、引用例3には、次の技術が記載されている。

「機密を保持すべき情報を見る際には狭視野角モードに設定することで、他人に情報を覗き見されることを防止することができる表示装置において、画像表示モードが常に広視野角モードに設定される可能性があり、情報が他人に覗き見されてしまう危険があるという問題点に鑑み、表示部の視野角を制御することの可能な表示装置であって、広視野角モードおよび狭視野角モードの切り替えは、ユーザが所定の操作ボタンを操作することにより実行できるとともに、画像情報の内容に基づいて、自動的に視野角モードの切替えを行うことができる、表示装置。」

エ 引用例4
本願の出願前に頒布された刊行物である特開2005-260858号公報(平成17年9月22日公開。以下、「引用例4」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている(なお、下線は当審で付したものである。)。

a「【0001】
本発明は、携帯電話機の表示装置における画像表示に関し、特に表示内容に応じて表示装置の視野角を変化させる技術に関する。」

b「【0003】
しかし、利用者は屋外で携帯電話機のメール機能を使用することもあり、その場合、他人に見られたくない画像が広視野角ディスプレイに表示されるという困った状況が現出する。
この種の問題を解決する手段として、ディスプレイに視野角を制限するシートを貼り付けることにより、視野角を狭くする技術が特許文献1に開示されている。この技術によれば覗き見を防止することができるが、視野角が固定されてしまうという問題がある。
【0004】
また、視野角を切替える技術として、広視野角と狭い視野角(以下「狭視野角」という。)を電気的に切替える技術が特許文献2に開示されている。この方法によれば、広視野角と狭視野角を容易に切替えることができる。
この技術は携帯電話機のディスプレイに利用することもでき、例えば、視野角を切替えるボタンを携帯電話機に設け、利用者のボタン操作に応じて視野角を切替えることも可能である。」

c「【0005】
しかし、表示される画像に応じてその都度、視野角切替操作を行うことは利用者にとって手間であり、また視野角の切替操作を忘れることもある。
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、利用者に視野角切替操作の手間をかけずに、確実に視野角を変化させることを目的とする。」

d「【0026】
視野角表示制御部2は、視野角保持部1から一時視野角情報を読み出し、視野角画像を表示する信号を表示部116へ送出する。
照明制御部5は、表示部116の視野角が狭視野角であるときにバックライトの光を広視野角のときより強くするように調整する信号を照明部121へ送出する。
<動作>
図4は、携帯電話機100が利用者による実行機能の指定操作に応じて視野角の変更を行う(以下、「視野角自動変更処理」という。)動作を示すフローチャートである。」

e「【0030】
また、ステップS30において、視野角変更制御部10が一時視野角情報を広視野角であると判断した場合、視野角変更制御部10は視野角変更を指示する信号を表示部116へ送出せず、表示部116は広視野角で表示を続ける。
<視野角手動変更処理>
次に、前述した視野角自動変更処理による視野角で画像を表示している場合において、利用者の視野角変更操作を受付け、表示部116における現在の視野角を変更する処理(以下、「視野角手動変更処理」という。)について説明する。」

f「【0032】
<動作>
図6は、視野角手動変更処理を携帯電話機100で行った場合のフローチャートである。
表示部116において狭視野角か広視野角で表示している場合に、視野角変更指示受付部3が、利用者の操作による視野角変更キー13押下を受付けると、視野角変更制御部10へ視野角変更を指示する信号を送出する(ステップS100)。
【0033】
次に、ステップS100により視野角変更を指示する信号を受け取った視野角変更制御部10は、視野角情報保持部1から一時視野角情報を読み出し、表示部116における現在の視野角が狭視野角と広視野角のどちらの状態であるかを判断する(ステップS110)。
ステップS110において、視野角変更制御部10が広視野角であると判断した場合、視野角変更制御部10は表示部116へ狭視野角信号を送出し、この信号を受け取った表示部116は狭視野角で表示する(ステップS111)。
【0034】
また、ステップS110において、視野角変更制御部10が狭視野角であると判断した場合、視野角変更制御部10は表示部116へ広視野角信号を送出し、この信号を受け取った表示部116は広視野角で表示する(ステップS112)。
<視野角情報更新>
次に、予め記憶部120に記憶された各実行機能に対応する視野角情報を更新する処理について説明する。」

(ア)引用例4には、「携帯電話機の表示装置における技術」について記載されている(【0001】)。

(イ)引用例4の「ディスプレイに視野角を制限するシートを貼り付けることにより、視野角を狭くする技術が特許文献1に開示されている。この技術によれば覗き見を防止することができるが、視野角が固定されてしまうという問題がある」(【0003】)、「本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、利用者に視野角切替操作の手間をかけずに、確実に視野角を変化させることを目的とする」(【0005】)との記載より、「携帯電話機の表示装置における技術」(上記(ア))は、「ディスプレイの視野角を狭くすると、覗き見を防止することができるが、視野角が固定されてしまう、という問題に鑑みてなされたものである」といえる。

(ウ)引用例4には、「携帯電話機が、利用者による実行機能の指定操作に応じて視野角の変更を行う(以下、「視野角自動変更処理」という。)」ことが記載されているといえる(【0026】)。

(エ)引用例4の「視野角自動変更処理による視野角で画像を表示している場合において、利用者の視野角変更操作を受付け、表示部116における現在の視野角を変更する処理(以下、「視野角手動変更処理」という。)」(【0030】)、「表示部116において狭視野角か広視野角で表示している場合に、視野角変更指示受付部3が、利用者の操作による視野角変更キー13押下を受付けると、視野角変更制御部10へ視野角変更を指示する信号を送出する」(【0032】)との記載において、段落【0032】の「表示部116において狭視野角か広視野角で表示している場合」とは、段落【0030】の「視野角自動変更処理による視野角で画像を表示している場合」に対応するものであって、「視野角自動変更処理によって表示部において狭視野角か広視野角で表示している場合」であるといえ、段落【0032】の「利用者の操作による視野角変更キー13押下を受付ける」こととは、「利用者の操作を受付ける」ことといえるから、引用例4には、「視野角自動変更処理によって表示部において狭視野角か広視野角で表示している場合に、利用者の操作を受付けると、表示部における現在の視野角を変更する視野角手動変更処理を行う」ことが記載されているといえる。

(オ)したがって、上記引用例4に記載された事項及び上記(ア)ないし(エ)とを総合すると、引用例4には、次の技術が記載されている。

「携帯電話機の表示装置において、ディスプレイの視野角を狭くすると、覗き見を防止することができるが、視野角が固定されてしまう、という問題に鑑み、携帯電話機は、利用者による実行機能の指定操作に応じて視野角の変更を行う視野角自動変更処理を行い、視野角自動変更処理によって表示部において狭視野角か広視野角で表示している場合に、利用者の操作を受付けると、表示部における現在の視野角を変更する視野角手動変更処理を行う技術。」

オ 引用例5
本願の出願前に頒布された刊行物である特開2006-319554号公報(平成18年11月24日公開。以下、「引用例5」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている(なお、下線は当審で付した。)。

a「【0001】
本発明は、携帯情報端末装置に係り、さらに詳しくは、各種情報が表示される表示画面の視野角を制御して覗き見を抑制させる携帯電話機などの携帯情報端末装置の改良に関する。

b「【0040】
視野角制御部407は、シークレットモード指定フラグに基づいて視野角制御用液晶パネル2を制御し、表示画面の視野角の狭小化を行っている。具体的には、シークレットモード指定フラグ記憶部404のシークレットモード指定フラグを参照し、当該シークレットモード指定フラグがオン状態であれば、狭視野モードに切り替えられる。一方、シークレットモード指定フラグがオフ状態であれば、広視野モードに切り替えられる。つまり、メインディスプレイの表示モードがシークレットモードであれば、狭視野モードとなり、非シークレットモードであれば、広視野モードとなる。
【0041】
ここでは、シークレットモードへの切り替えに連動して視野角を切り替えるのとは別に、「視野切替」キーの押下によって手動で視野角を切り替えることもできるものとする。具体的には、シークレットモード及び非シークレットモードのいずれの表示モードであっても、「視野切替」キーの操作によって狭視野モード及び広視野モードの切り替えを強制的に行うことができる。また、カメラによって撮影された画像データを画面表示させるアプリケーションプログラムなどのように、表示画面を広い視野角で閲覧させるのが望ましい特定のアプリケーションプログラムの起動に合わせて視野角の狭小化を解除させても良い。」

c「【0050】
本実施の形態によれば、秘匿性の高いユーザデータをシークレットデータとして予め指定しておくことにより、当該シークレットデータを表示させるシークレットモードへの切り替えに連動させて表示画面の視野角を自動的に狭小化することができる。従って、シークレットデータを含み秘匿性の高い表示画面ごとに視野角を狭小化させるための操作入力を必要としないので、表示画面の視野角を必要に応じて狭小化させる際の操作性を向上させることができる。
【0051】
なお、本実施の形態では、シークレットモードへの切り替えに合わせて視野角が狭小化される場合の例について説明したが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、シークレットモードに移行後、シークレットデータが画面内に含まれる場合には視野角を狭小化し、画面内にシークレットデータが含まれない場合には視野角の狭小化を行わないようにしても良い。つまり、シークレットデータが画面上に表示されている場合にのみ、狭視野モードに切り替え、シークレットデータが表示されていない場合には広視野モードに切り替える。この様にすれば、シークレットデータが画面上に表示されている場合にのみ視野角が狭小化されるので、シークレットデータの秘匿性を適切に向上させることができる。」

(ア)引用例5には、「各種情報が表示される表示画面の視野角を制御して覗き見を抑制させる携帯電話機などの携帯情報端末装置」が記載されている(【0001】)。

(イ)引用例5の「シークレットモードに移行後、シークレットデータが画面内に含まれる場合には視野角を狭小化し、画面内にシークレットデータが含まれない場合には視野角の狭小化を行わないようにしても良い。つまり、シークレットデータが画面上に表示されている場合にのみ、狭視野モードに切り替え、シークレットデータが表示されていない場合には広視野モードに切り替える」(【0051】)との記載において、「シークレットデータが画面上に表示されている場合」とは、「シークレットデータが画面内に含まれる場合」に対応し、「シークレットデータが表示されていない場合」とは、「画面内にシークレットデータが含まれない場合」に対応するから、引用例5には、「シークレットデータが画面内に含まれる場合には狭視野モードに切り替え、画面内にシークレットデータが含まれない場合には広視野モードに切り替える」ことが記載されているといえる。

(ウ)引用例5の「シークレットモードへの切り替えに連動して視野角を切り替えるのとは別に、「視野切替」キーの押下によって手動で視野角を切り替えることもできるものとする。具体的には、シークレットモード及び非シークレットモードのいずれの表示モードであっても、「視野切替」キーの操作によって狭視野モード及び広視野モードの切り替えを強制的に行うことができる」(【0041】)との記載において、「「視野切替」キーの操作によって」行う切り替えは、「「視野切替」キーの押下によって手動で」行う切り替えに対応し、「「視野切替」キーの操作によって手動で」切替えを行うということができるから、引用例5には、「「視野切替」キーの操作によって手動で狭視野モード及び広視野モードの切り替えを強制的に行うことができる」ことが記載されているといえる。

(エ)したがって、上記引用例5に記載された事項と上記(ア)ないし(ウ)とを総合すると、引用例5には、次の技術が記載されている。

「各種情報が表示される表示画面の視野角を制御して覗き見を抑制させる携帯電話機などの携帯情報端末装置であって、シークレットデータが画面内に含まれる場合には狭視野モードに切り替え、画面内にシークレットデータが含まれない場合には広視野モードに切り替え、「視野切替」キーの操作によって手動で狭視野モード及び広視野モードの切り替えを強制的に行うことができる、携帯情報端末装置。」

(3)引用発明との対比
ア 本件補正発明と引用発明とを対比する。
(ア)引用発明の「画像」は、「画像読取部107」が「読み取」るものであり、本件補正発明の「原稿画像」は、「スキャナにより読取られた」、「ファクシミリにより受信された」または「外部から入力した」ものであるから、引用発明の「画像」は、本件補正発明の「原稿画像」に相当する。また、引用発明の「視野角調整部144」は、本件補正発明の「視野角変更部」に相当する。

(イ)引用発明において、「画像処理装置」が、「表示部123」を有し、「表示部123」の第2画面153が、仕上がりプレビューを表示することを踏まえれば、「画像処理装置」が「表示部123」に仕上がりプレビューを表示させる装置(すなわち、表示装置)を備えることは明らかであるから、引用発明の「表示部を備えた画像処理装置」は、本件補正発明の「表示部を備えた表示装置」に相当する。

(ウ)引用発明の「各種データを保持するためのデータ記憶部103」と、本件補正発明の「予め設定された特徴画像部分を記憶した記憶部」とは、「記憶部」である点で共通する。

(エ)引用発明において、「仕上がりプレビュー表示を表示する」ことは、画像形成部111からの印刷出力の仕上がりを事前に視認するために「画像」を表示することを意味するといえるから、引用発明の「画像を読み取って画像の電子データを生成する画像読取部107」および「仕上がりプレビュー表示を表示」する「表示部123の第2画面153」と、本件補正発明の「スキャナにより読取られた原稿画像、ファクシミリにより受信された原稿画像、又は外部から入力した原稿画像を表示する表示部」とは、「読取られた原稿画像を表示する表示部」である点で共通する。

(オ)引用発明において、「視野角調整部144」は、「視野角決定部135が決定した視野角の値に基づいて視野角を調整する」ものであり、「プレビュー原稿」とは、画像形成部111からの印刷出力の仕上がりを事前に視認するために表示される「画像」を意味するといえる。また、引用発明の「画像」は、本件補正発明の「原稿画像」に相当するものである(上記(ア))。
そして、本願の明細書に「重要レベル又は機密レベルが高く、情報の漏洩を防止すべき原稿画像に対しては特徴画像記憶部86に記憶されている特徴画像部分を予め合成しておく必要がある」(【0057】)と記載されていることを踏まえれば、本件補正発明において、「前記記憶部に記憶されている前記特徴画像部分が前記原稿画像に含まれている場合に、前記原稿画像における前記特徴画像部分を判別する」ことは、具体的には、「原稿画像の重要レベル又は機密レベルを判別する」ことと捉えることができる。
してみれば、引用発明の「表示部123の第2画面153の視野角を、表示される画面の内容に基づいて決定する」とともに、「プレビュー原稿についてのセキュリティレベルに基づく判定処理を行い、プレビュー原稿が、高いセキュリティを要求するドキュメントであると判断すれば、第2画面153の視野角を通常時視野角よりも狭い視野角に設定する」、「視野角決定部135」と、本件補正発明の「前記記憶部に記憶されている前記特徴画像部分が前記原稿画像に含まれている場合に、前記原稿画像における前記特徴画像部分を判別する判別部」および「前記視野角変更部を制御して、前記判別部による判別結果に基づき前記表示部の視野角を設定する制御部」とは、「原稿画像の重要レベル又は機密レベルを判別する判別部」および「前記視野角変更部を制御して、前記判別部における判別結果に基づき前記表示部の視野角を設定する制御部」である点で共通する。

(カ)引用発明の「操作者がMFP100に対して設定や指示等を入力するための操作部125」と、本件補正発明の「前記表示部の視野角を指示するために操作され」かつ「前記視野角変更部が前記表示部の視野角を変更した後、前記表示部の視野角に対する指示を受け付ける」、「操作部」とは、「指示するために操作される操作部」である点で共通する。

イ 上記(ア)ないし(カ)から、本件補正発明と引用発明との一致点および相違点は、次のとおりである。

【一致点】
「読取られた原稿画像を表示する表示部を備えた表示装置であって、
記憶部と、
原稿画像の重要レベル又は機密レベルを判別する判別部と、
前記表示部の視野角を変更する視野角変更部と、
前記視野角変更部を制御して、前記判別部における判別結果に基づき前記表示部の視野角を設定する制御部と、
指示するために操作される操作部と、
を備えた表示装置。」

【相違点1】
原稿画像を表示装置に入力する手段について、本件補正発明では「スキャナにより読取られた」、「ファクシミリにより受信された」または「外部から入力した」と特定されているのに対し、引用発明では「画像読取部107」が「読み取」ることのみが特定されている点。

【相違点2】
「記憶部」について、本件補正発明では「予め設定された特徴画像部分を記憶した」ものであるのに対し、引用発明にはそのような特定がない点。

【相違点3】
「判別部」について、本件補正発明では「前記記憶部に記憶されている前記特徴画像部分が前記原稿画像に含まれている場合に、前記原稿画像における前記特徴画像部分を判別する」のに対し、引用発明にはそのような特定がない点。

【相違点4】
「操作部」について、本件補正発明では「前記表示部の視野角を指示するために操作される」ものであって、「前記視野角変更部が前記表示部の視野角を変更した後、前記表示部の視野角に対する指示を受け付ける」ものであるのに対し、引用発明にはそのような特定がない点。

(4)判断
以下、上記相違点1ないし4について検討する。

ア 相違点1について
本件補正後の請求項1の「スキャナにより読取られた原稿画像、ファクシミリにより受信された原稿画像、又は外部から入力した原稿画像」との記載が、原稿画像を表示装置に入力する手段を選択的に記載したものと理解できることを踏まえれば、本件補正発明における「原稿画像」として、「スキャナにより読取られた」、「ファクシミリにより受信された」または「外部から入力した」原稿画像を用いることと、引用発明における「画像」として、「画像読取部107」が「読み取」る画像を用いることに実質的な相違はない。
仮に、本件補正発明が、「スキャナにより読取られた」、「ファクシミリにより受信された」および「外部から入力した」といった構成を全て具備するものに限定して理解すべきだとしても、このような構成を全て具備するデジタル複合機は、文献を提示するまでもなく周知であるから、「画像読取部107」が「読み取」る画像を用いる引用発明に、前記周知な事項を適用し、引用発明における「画像」として、「スキャナにより読取られた」画像、「ファクシミリにより受信された」画像、および、「外部から入力した」画像を用いる構成とすることは、当業者が容易に想到し得るものである。

イ 相違点2および3について
引用例2には、「参照情報記憶部に予め記憶された、マル秘の画像データ、「社外秘」のキーワード、バーコードが示すデータのうち、機密を表すデータ、符号の画像といったデータと、読み取った原稿画像の画像データとを比較することによって、読み取った原稿画像に機密を表す情報が含まれているかどうかを判定する、画像形成装置。」(上記「(2)引用例の記載事項」の「イ 引用例2」参照)の技術が記載されている。
そして、引用例2に記載された技術における「原稿画像に機密を表す情報が含まれているかどうかを判定する」ことは、「原稿画像の重要レベル又は機密レベルを判別する」ことといえる。

してみれば、引用発明と引用例2に記載された技術とは、いずれも原稿画像を扱う装置に関するものであって、原稿画像の重要レベル又は機密レベルを判別する点で共通するから、引用発明の視野角決定部135における具体的な判定処理として、引用例2に記載された技術における「マル秘の画像データ、「社外秘」のキーワード、バーコードが示すデータのうち、機密を表すデータ、符号の画像といったデータと、読み取った原稿画像の画像データとを比較することによって、読み取った原稿画像に機密を表す情報が含まれているかどうかを判定する」処理を採用することは、当業者が容易に想到し得たことである。
また、引用発明に引用例2に記載された技術を用いるにあたり、引用発明の「各種データを保持するためのデータ記憶部103」に、「マル秘の画像データ、「社外秘」のキーワード、バーコードが示すデータのうち、機密を表すデータ、符号の画像といったデータ」、すなわち、「特徴画像部分」を予め記憶することは、当業者が適宜なし得る事項である。

ウ 相違点4について
表示部等に対する覗き見に関する課題を解決するために、「自動と手動の両方により表示部等の視野角を広い視野角または狭い視野角に設定可能とする技術」(以下、「周知技術1」という。例えば、上記「(2)引用例の記載事項」の「ウ 引用例3」ないし「オ 引用例5」参照)、および、「自動で表示部等の視野角を広視野角または狭視野角に設定した後、利用者の操作により手動で表示部等の視野角を設定可能とする技術」(例えば、上記「(2)引用例の記載事項」の「エ 引用例4」および「オ 引用例5」参照)はともに周知である。

したがって、「視野角調整部144」が「視野角決定部135が決定した視野角の値に基づいて、表示部123の第2画面153の視野角を調整」する引用発明において、「自動と手動の両方により表示部等の視野角を広い視野角または狭い視野角に設定可能と」し、「自動で表示部等の視野角を広視野角または狭視野角に設定した後、利用者の操作により手動で表示部等の視野角を設定可能とする」ことに格別の困難性を有しない。
その際、利用者が手動で視野角を設定するための操作を、引用発明における「操作者がMFP100に対して設定や指示等を入力するための操作部125」で受け付ける構成とすることは、当業者が適宜なし得ることである。

エ そして、これらの相違点を総合的に勘案しても、本件補正発明の奏する作用効果は、引用発明、引用例2に記載された技術、周知技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。

オ したがって、本件補正発明は、引用発明、引用例2に記載された技術、周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(5)本件補正についてのむすび
よって、本件補正は、特許法第17条の2第6項で準用する同法第126条第7項の規定に違反してなされたものであるから、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について
1 本願発明
平成28年5月19日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、平成27年9月18日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、上記「第2[理由]1(2)本件補正前の特許請求の範囲」に記載したとおりのものである。

2 引用例の記載事項
原査定の拒絶の理由で引用された引用例1ないし3とその記載事項は、上記「第2[理由]2(2)引用例の記載事項」の「ア 引用例1」ないし「ウ 引用例3」に記載したとおりである。また、引用例4および5とその記載事項は、上記「第2[理由]2(2)引用例の記載事項」の「エ 引用例4」および「オ 引用例5」に記載したとおりである。

3 引用発明との対比
本願発明は、上記「第2[理由]2 補正の適否」で検討した本件補正発明から、「前記操作部は、前記視野角変更部が前記表示部の視野角を変更した後、前記表示部の視野角に対する指示を受け付けること」に限る限定事項を削除したものである。
そうすると、上記「第2[理由]2(3)引用発明との対比」の「イ」において示した本件補正発明と引用発明との相違点を踏まえれば、本願発明と引用発明との一致点および相違点は次のとおりである。

【一致点’】
「読み取られた原稿画像を表示する表示部を備えた表示装置であって、
記憶部と、
原稿画像の重要レベル又は機密レベルを判別する判別部と、
前記表示部の視野角を変更する視野角変更部と、
前記視野角変更部を制御して、前記判別部における判別結果に基づき前記表示部の視野角を設定する制御部と、
指示するために操作される操作部と、
を備えた表示装置。」

【相違点1’】
原稿画像を表示装置に入力する手段について、本願発明では「スキャナにより読取られた」、「ファクシミリにより受信された」または「外部から入力した」と特定されているのに対し、引用発明では「画像読取部107」が「読み取」ることのみが特定されている点。

【相違点2’】
「記憶部」について、本願発明では「予め設定された特徴画像部分を記憶した」ものであるのに対し、引用発明にはそのような特定がない点。

【相違点3’】
「判別部」について、本願発明では「前記記憶部に記憶されている前記特徴画像部分が前記原稿画像に含まれている場合に、前記原稿画像における前記特徴画像部分を判別する」のに対し、引用発明にはそのような特定がない点。

【相違点4’】
「操作部」について、本願発明では「前記表示部の視野角を指示するために操作される」ものであるのに対し、引用発明にはそのような特定がない点。

4 判断
以下、上記相違点1’ないし4’について検討する。

ア 相違点1’について
相違点1’と相違点1(上記「第2[理由]2(3)引用発明との対比」の「イ」参照)とは同一内容であるところ、上記「第2[理由]2(4)判断」の「ア 相違点1について」において示した判断と同様に、相違点1’に係る本願発明の構成について、本願発明と引用発明とに実質的な相違はなく、相違点1’に係る本願発明の構成は、引用発明に基づいて、当業者が容易に想到し得るものである。

イ 相違点2’および3’について
相違点2’および3’と、相違点2および3(上記「第2[理由]2(3)引用発明との対比」の「イ」参照)とは、それぞれ同一内容であるところ、上記「第2[理由]2(4)判断」の「イ 相違点2および3について」において示した判断と同様に、相違点2’および3’に係る本願発明の構成は、引用発明および引用例2に記載された技術に基づいて、当業者が容易に想到し得るものである。

ウ 相違点4’について
上記「第2[理由]2(4)判断」の「ウ 相違点4について」においても周知技術1として記載したとおり、表示部等に対する覗き見に関する課題を解決するために、「自動と手動の両方により表示部等の視野角を広い視野角または狭い視野角に設定可能とする技術」は周知である。

したがって、「視野角調整部144」が「視野角決定部135が決定した視野角の値に基づいて、表示部123の第2画面153の視野角を調整」する引用発明において、「自動と手動の両方により表示部等の視野角を広い視野角または狭い視野角に設定可能とする」ことに格別の困難性を有しない。
その際、利用者が手動で視野角を設定するための操作を、引用発明における「操作者がMFP100に対して設定や指示等を入力するための操作部125」で受け付ける構成とすることは、当業者が適宜なし得ることである。

エ そして、これらの相違点を総合的に勘案しても、本願発明の奏する作用効果は、引用発明、引用例2に記載された技術、周知技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。

オ したがって、本願発明は、引用発明、引用例2に記載された技術、周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

5 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その余の請求項に論及するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2016-11-29 
結審通知日 2016-12-06 
審決日 2016-12-19 
出願番号 特願2011-257759(P2011-257759)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (G09G)
P 1 8・ 121- Z (G09G)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小川 浩史  
特許庁審判長 酒井 伸芳
特許庁審判官 須原 宏光
高橋 克
発明の名称 表示装置、及びそれを備えた画像形成装置  
代理人 特許業務法人あーく特許事務所  

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