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審決分類 審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備  C03B
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  C03B
審判 全部申し立て 2項進歩性  C03B
管理番号 1324834
異議申立番号 異議2016-700302  
総通号数 207 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2017-03-31 
種別 異議の決定 
異議申立日 2016-04-11 
確定日 2016-12-22 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第5795419号「ヒ素を含まないガラス」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第5795419号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1?8〕について訂正することを認める。 特許第5795419号の請求項1?4、6に係る特許を維持する。 特許第5795419号の請求項5、7、8に係る特許についての申立てを却下する。 
理由 1.手続の経緯
特許第5795419号の請求項1?8に係る特許についての出願は、1997年7月14日(パリ条約による優先権主張外国庁受理1996年7月19日、アメリカ合衆国(US) 1996年10月28日、アメリカ合衆国(US))を国際出願日とする特願平10-506192号の一部を、平成21年2月10日に新たな特許出願とした特願2009-28193号の一部を、更に平成26年10月7日に新たな特許出願(特願2014-206592号)としたものであって、登録後の経緯は以下のとおりである。

平成27年 8月21日 :特許権の設定登録
平成28年 4月11日 :特許異議申立人 日本電気硝子株式会社による特許異議の申立て
同年 6月 3日付け:取消理由の通知
同年 8月12日付け:訂正の請求、意見書の提出
同年10月19日付け:特許異議申立人による意見書の提出

2.訂正の適否についての判断
(1)訂正の内容
平成28年8月12日付け訂正請求(以下、「本件訂正請求」という。)による、一群の請求項1?8に係る訂正の内容は以下のア?オのとおりである。

ア 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1における「少なくとも1つの清澄剤」を、「Sb_(2)O_(3)、CeO_(2)、SnO_(2)、Fe_(2)O_(3)、およびそれらの混合物からなる群より選択される少なくとも1つの清澄剤」とする。

イ 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項5を削除する。

ウ 訂正事項3
特許請求の範囲の請求項6における「請求項5記載の方法。」を、「請求項1から4いずれか1項記載の方法。」とする。

エ 訂正事項4
特許請求の範囲の請求項7を削除する。

オ 訂正事項5
特許請求の範囲の請求項8を削除する。

(2)訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否、及び一群の請求項
ア 訂正事項1について
訂正事項1は、訂正前の請求項1の発明特定事項である「少なくとも1つの清澄剤」を、「Sb_(2)O_(3)、CeO_(2)、SnO_(2)、Fe_(2)O_(3)、およびそれらの混合物からなる群より選択される少なくとも1つの清澄剤」に限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、上記限定された清澄剤は、訂正前の請求項5に記載されていた事項であるから、訂正事項1は、新たな技術的事項を導入するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
したがって、訂正事項1は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項、第6項に適合するものである。

イ 訂正事項2、4、5について
訂正事項2、4、5は、それぞれ訂正前の請求項5、7、8を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、また、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項、第6項に適合するものである。

ウ 訂正事項3について
訂正事項3は、訂正前の請求項5の削除に伴って、請求項6の従属先を、訂正前の請求項5が従属していた「請求項1から4いずれか1項」とする訂正である。
そして、訂正前の請求項5に記載されていた清澄剤の特定は、訂正後の請求項1に追加され、訂正後の請求項2?4は、訂正後の請求項1に従属している。

したがって、訂正後の請求項6に係る発明は、訂正前の請求項6に係る発明と実質的に何ら変わるものではなく、訂正前の従属先である請求項5の削除により不明瞭になる記載を訂正するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書き第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
また、発明が実質的に何ら変わるものではないから、訂正事項3は、新たな技術的事項を導入するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
したがって、訂正事項3は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項、第6項に適合するものである。

エ 一群の請求項について
訂正事項1に係る訂正前の請求項1を、訂正前の請求項2?8は直接又は間接的に引用していたから、訂正前の請求項1?8は、特許法120条の5第4項に規定する一群の請求項であり、訂正事項1?5に係る訂正は、当該一群の請求項ごとに請求をしたものと認められる。

(3)訂正の適否についてのむすび
以上のとおり、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書き各号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項、及び同条第9項において準用する同法第126条第5項、第6項の規定に適合するので、訂正後の請求項〔1?8〕について訂正を認める。

3.特許異議の申立てについて
(1)本件特許発明
上記のとおり訂正が認められるので、本件訂正請求により訂正された訂正請求項1?8に係る発明(以下「本件特許発明1?8」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1?8に記載された次の事項により特定されるとおりのものと認める。(下線部は訂正箇所である。)

【請求項1】
アルカリ金属酸化物を実質的に含まず、As_(2)O_(3)が0.02モルパーセント未満のケイ酸塩ガラスを清澄する方法であって、
Sb_(2)O_(3)、CeO_(2)、SnO_(2)、Fe_(2)O_(3)、およびそれらの混合物からなる群より選択される少なくとも1つの清澄剤を使用するダウンドロー法を用いて前記ケイ酸塩ガラスを製造すること、
前記ケイ酸塩ガラスのβ-OH値を測定すること、
前記ケイ酸塩ガラスの製造中、該ケイ酸塩ガラス中の水分量を、測定したβ-OH値が0.41/mm以下となるように、すること
を含んでなる方法。
【請求項2】
前記ケイ酸塩ガラス中の水分量を、測定したβ-OH値が0.35/mm未満となるように、することを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記ケイ酸塩ガラスの製造中における溶融または形成プロセス中にガラスを白金または白金合金と接触させることを含むことを特徴とする請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記ダウンドロー法がフュージョン法であることを特徴とする請求項1から3いずれか1項記載の方法。
【請求項5】 (削除)

【請求項6】
前記ケイ酸塩ガラスが0.02から1モルパーセントのSb_(2)O_(3)を有するようになる量で、アンチモン含有材料を用いることを特徴とする請求項1から4いずれか1項記載の方法。
【請求項7】 (削除)

【請求項8】 (削除)

(2)取消理由の概要
訂正前の請求項1?4、7、8に係る特許に対して、平成28年6月3日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。

請求項1に係る特許発明は、「少なくとも1つの清澄剤を使用する」ことを特定事項とするが、いかなる清澄剤を使用するかについては、「As_(2)O_(3)が0.02モルパーセント未満のケイ酸塩ガラス」であることから、As_(2)O_(3)を用いるものではないと認められる以外、何ら特定されていない。
本件特許明細書の表1(【0032】)には、清澄剤として、SnO_(2)とSb_(2)O_(3)とを併用した実施例1?3が具体的に開示され、同【0009】?【0012】には、As_(2)O_(3)の代わりに使用できる「他の清澄成分」として、「Sb_(2)O_(3)、CeO_(2)、SnO_(2)、Fe_(2)O_(3)、およびそれらの混合物」が記載されているが、当該清澄成分以外のあらゆる「少なくとも1つの清澄剤」において、「融点及び歪み点の高いガラスをうまく清澄する」という本件特許発明の課題を解決できるとはいえない。
したがって、清澄剤について、「少なくとも1つの清澄剤を使用する」ことしか特定しない請求項1に係る特許発明は、本件特許明細書に発明として記載されたものではない。
清澄剤を更に特定するものではない請求項2?4、7、8についても、同旨。

したがって、請求項1?4、7、8に係る特許は、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものであり、取り消されるべきものである。

(3)当審の判断
ア 取消理由に対する当審の判断
本件特許発明1は、清澄剤が、「Sb_(2)O_(3)、CeO_(2)、SnO_(2)、Fe_(2)O_(3)、およびそれらの混合物からなる群より選択される少なくとも1つの清澄剤」に限定されたから、「融点及び歪み点の高いガラスをうまく清澄する」という本件特許発明の課題を解決できるものであり、本件特許明細書に発明として記載されたものである。
したがって、本件特許発明1、及びこれを引用する本件特許発明2?4、6は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たす。

イ 特許異議申立人の意見について
特許異議申立人は意見書において、本件特許発明の課題は、「融点及び歪点の高いガラスをうまく清澄する」というような漠然としたものではなく、「清澄剤としてヒ素を使用する必要がなく、融点及び歪点の高いフラットパネル表示装置用のガラスをうまく清澄する」ことであると主張し、本件特許明細書の発明の詳細な説明は、出願時の技術常識に照らしても、ケイ酸塩ガラスのβ-OH値を「0.41/mm以下」とすれば、本件特許発明の課題を解決できる、と当業者が認識できる程度に記載されていないと主張する。

しかしながら、本件明細書【0011】、【0028】の記載によれば、本件特許発明の清澄方法は、形成領域に白金を用いたダウンドロー製造法により形成された、幅広い様々なガラスに適用できるものであり、フラットパネル表示装置用のガラスに限定されたものではないから、上記特許異議申立人の主張は採用できない。

ウ 取消理由に採用しなかった特許異議申立理由に対する当審の判断
(ア)特許異議申立人は、特許異議申立書において、本件特許発明1の「前記ケイ酸塩ガラスの製造中、該ケイ酸塩ガラス中の水分量を、測定したβ-OH値が0.41/mm以下となるように、する」ことは、製造したケイ酸塩ガラス成形体のβ-OH値を測定し、その測定結果に基づいて、製造中のケイ酸塩ガラス中の水分量が、β-OH値の目標値である0.41/mm以下となるように、上記ケイ酸塩ガラス中の水分量を製造中に制御(フィードバック制御)することを規定されたものと解されるが、そのようなフィードバック制御を行うことは、本件特許明細書の発明の詳細な説明に記載されていないから、本件特許発明1は発明の詳細な説明に記載されたものではなく、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていないと主張している。

上記主張について検討するに、本件明細書【0016】には、ガラスのβ-OH値を減少させる具体的な方法として、バッチ材料の選択及び乾燥剤の添加、すなわち、製造前にガラスの水分量を調整する方法のみが記載されている。
してみれば、本件特許発明1の、「前記ケイ酸塩ガラスの製造中、該ケイ酸塩ガラス中の水分量を、測定したβ-OH値が0.41/mm以下となるように、する」ことは、ケイ酸塩ガラスを製造している間、ケイ酸塩ガラスのβ-OH値が0.41/mm以下となるように、あらかじめ製造したケイ酸塩ガラス成形体のβ-OH値を測定した結果に基づいて、バッチ材料の選択や乾燥剤の添加などにより製造条件を調整しておくことを規定したものと解され、特許異議申立人が主張するように、ケイ酸塩ガラス中の水分量を製造中に制御(フィードバック制御)することを規定したものと解することはできない。
よって、上記特許異議申立人の主張は採用できず、本件特許発明1は発明の詳細な説明に記載された範囲のものである。

(イ)特許異議申立人は、特許異議申立書において、本件特許明細書の発明の詳細な説明には、ケイ酸塩ガラスの「製造中」、つまり溶融、成形工程で、ガラス中の水分量を調整する手段は記載されていないから、本件特許発明1は発明の詳細な説明に記載されたものではなく、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていないと主張している。

上記主張について検討するに、上記(ア)にて説示したとおり、本件特許発明における「ケイ酸塩ガラスの製造中」は、「ケイ酸塩ガラスを製造している間」と解され、特許異議申立人が主張するように、溶融、成形工程を意味するものと解することはできない。
よって、上記特許異議申立人の主張は採用できない。

(ウ)特許異議申立人は、特許異議申立書において、本件特許明細書に記載された実施例2、3のケイ酸塩ガラスは、いずれも清澄剤としてSnO_(2)とSb_(2)O_(3)とを併用したものであり、他の清澄剤を使用した場合でも、本件特許発明の課題を解決できると当業者が認識できるものではないから、訂正前の請求項5に基づいて清澄剤を限定したものである本件特許発明1であっても、発明の詳細な説明に記載されたものではなく、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていないと主張している。
また、SnO_(2)とSb_(2)O_(3)とを併用した清澄剤以外に、本件特許発明の課題を解決し得る清澄剤を選択するためには、当業者は過度の試行錯誤を必要とするから、本件特許発明1は特許法第36条第4項第1号に規定する実施可能要件を満たしていないとも主張している。

上記主張について検討するに、本件特許明細書【0009】には、「ヒ素が知られている最高温度の清澄剤の中の一つである」こと、「他の清澄剤は・・・溶融温度の高いガラスに清澄剤として加えられたときに・・・清澄能力を果たすことができない」ことが記載され、同【0012】には、「通常、高溶融温度(・・・)でそれほど効率的ではない他の清澄成分、例えば、Sb_(2)O_(3)、CeO_(2)、SnO_(2)、Fe_(2)O_(3)、およびそれらの混合物を、As_(2)O_(3)の代わりに必要であれば使用して、そのガラスをうまく清澄することができることが分かった」ことが記載されている。
そして、Sb_(2)O_(3)、CeO_(2)、SnO_(2)、Fe_(2)O_(3)はいずれも同様の作用機序をもつ清澄剤であることが、本件特許の出願当時の当業者の技術常識であった。
上記本件特許明細書の記載及び上記技術常識に照らせば、本件特許発明は、水分量(β-OH値)を低く維持することで、溶融温度の高いガラスの清澄剤として、As_(2)O_(3)以外の「他の清澄成分」を用いることができるようになった点に特徴を有するものであるということができ、当業者は、本件特許明細書に開示された実施例1?3において用いられている「SnO_(2)及びSb_(2)O_(3)」を、「Sb_(2)O_(3)、CeO_(2)、SnO_(2)、Fe_(2)O_(3)、およびそれらの混合物からなる群より選択される少なくとも1つ」まで拡張ないし一般化することができ、また、その実施が当業者に過度の試行錯誤を要求するものともいえない。
したがって、上記特許異議申立人の主張は採用できない。

(エ)特許異議申立人は、特許異議申立書において、本件特許発明1におけるβ-OH値「0.41/mm以下」は、本件特許明細書【0032】の実施例2を根拠とするものであるが、実施例2の気体状混在物の数は、液晶ディスプレイ用ガラスとして100%不良となる品質のものであるから、本件特許発明1は、本件特許発明の課題を解決できると当業者が認識できる程度に記載されておらず、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていないと主張している。

しかしながら、上記「イ」でも説示するとおり、本件特許発明は、液晶ディスプレイ用ガラスに限定された清澄方法ではないから、上記特許異議申立人の主張は採用できない。

(オ)特許異議申立人は、特許異議申立書において、本件特許に係る出願は、ケイ酸塩ガラスの製造中に、その前に製造したケイ酸塩ガラス中のβ-OH値の測定値と、β-OH値の目標値とを用いて、ケイ酸塩ガラス中の水分量をフィードバック制御するという、もとの特許出願に記載のない新たな技術事項を導入するものであるから、特許法第44条第1項に規定する分割の要件を満たさないと主張し、そうであれば、本件特許発明は、甲第1、2号証に基づいて当業者が容易に発明できたものであると主張している。

甲第1号証:特開2009-149512号公報
甲第2号証:特開2014-88306号公報

しかしながら、上記「ウ(ア)」における説示と同様の理由により、本件特許発明は、本件特許に係る出願のもとの出願である特願平10-506192号の願書に最初に添付した発明の詳細な説明に発明として記載されていたものであり、本件特許に係る出願が適法な分割出願でない、という特許異議申立人の主張は採用できない。
してみれば、本件特許に係る出願の分割原出願である特願平10-506192号の出願日以降に公開された甲第1、2号証に基づいて、進歩性の欠如を申し立てる申立理由は採用できない。

(カ)特許異議申立人は、特許異議申立書において、本件特許発明は、甲第3号証に記載された発明と、甲第4?6号証に記載された技術事項により、当業者が容易に発明できたものであると主張している。

甲第3号証:Corning Incorporatedによる、「Code: 1737F」のMaterial information
甲第4号証:特開平6-263473号公報
甲第5号証:特開平5-306140号公報
甲第6号証:日刊工業新聞 1995年6月22日発行

上記主張について検討するに、甲第3号証に、「アルカリ金属酸化物を実質的に含まず、β-OH値が0.31/mmであるケイ酸塩ガラス」という「物の発明」が記載されているとしても、甲3号証には、ガラスのβ-OH値を0.31/mmとする具体的な製造方法、特に、ガラスの清澄方法については、何ら記載されていない。
したがって、甲第4?6号証に記載された技術事項を考慮しても、「Sb_(2)O_(3)、CeO_(2)、SnO_(2)、Fe_(2)O_(3)、およびそれらの混合物からなる群より選択される少なくとも1つの清澄剤を使用する」「ケイ酸塩ガラスを清澄する方法」である本件特許発明は、甲第3号証に記載された発明から、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

4.むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項1?4、6に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1?4、6に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
そして、本件請求項5、7、8に係る特許は、訂正により削除されたため、本件請求項5、7、8に対して、特許異議申立人 日本電気硝子株式会社がした特許異議の申立てについては、対象となる請求項が存在しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルカリ金属酸化物を実質的に含まず、As_(2)O_(3)が0.02モルパーセント未満のケイ酸塩ガラスを清澄する方法であって、
Sb_(2)O_(3)、CeO_(2)、SnO_(2)、Fe_(2)O_(3)、およびそれらの混合物からなる群より選択される少なくとも1つの清澄剤を使用するダウンドロー法を用いて前記ケイ酸塩ガラスを製造すること、
前記ケイ酸塩ガラスのβ-OH値を測定すること、
前記ケイ酸塩ガラスの製造中、該ケイ酸塩ガラス中の水分量を、測定したβ-OH値が0.41/mm以下となるように、すること
を含んでなる方法。
【請求項2】
前記ケイ酸塩ガラス中の水分量を、測定したβ-OH値が0.35/mm未満となるように、することを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記ケイ酸塩ガラスの製造中における溶融または形成プロセス中にガラスを白金または白金合金と接触させることを含むことを特徴とする請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記ダウンドロー法がフュージョン法であることを特徴とする請求項1から3いずれか1項記載の方法。
【請求項5】 (削除)
【請求項6】
前記ケイ酸塩ガラスが0.02から1モルパーセントのSb_(2)O_(3)を有するようになる量で、アンチモン含有材料を用いることを特徴とする請求項1から4いずれか1項記載の方法。
【請求項7】 (削除)
【請求項8】 (削除)
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2016-12-14 
出願番号 特願2014-206592(P2014-206592)
審決分類 P 1 651・ 536- YAA (C03B)
P 1 651・ 121- YAA (C03B)
P 1 651・ 537- YAA (C03B)
最終処分 維持  
前審関与審査官 相田 悟  
特許庁審判長 大橋 賢一
特許庁審判官 新居田 知生
永田 史泰
登録日 2015-08-21 
登録番号 特許第5795419号(P5795419)
権利者 コーニング インコーポレイテッド
発明の名称 ヒ素を含まないガラス  
代理人 城村 邦彦  
代理人 柳田 征史  
代理人 佐久間 剛  
代理人 熊野 剛  
代理人 佐久間 剛  
代理人 柳田 征史  

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