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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H04W
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 H04W
管理番号 1325191
審判番号 不服2016-79  
総通号数 208 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-04-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-01-04 
確定日 2017-03-07 
事件の表示 特願2013-156102「制限付きアソシエーション情報を伝達するためのブロードキャスト信号の使用」拒絶査定不服審判事件〔平成25年12月26日出願公開、特開2013-258737、請求項の数(24)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1.手続の経緯
本願は、平成20年(2008年)11月13日(パリ条約による優先権主張 2007年11月16日(US)アメリカ合衆国、2007年11月16日(US)アメリカ合衆国、2007年11月16日(US)アメリカ合衆国、2008年1月31日(US)アメリカ合衆国 2008年11月12日(US)アメリカ合衆国)を国際出願日とする特願2010-534192号の一部を新たに特許出願したものであって、手続の概要は以下のとおりである。

平成25年 7月26日 特許出願
平成25年 8月26日 手続補正書
平成26年11月19日 拒絶理由通知
平成27年 3月25日 意見書、手続補正書
平成27年 8月21日 拒絶査定
平成28年 1月 4日 審判請求、手続補正書
平成28年 3月18日 前置報告
平成28年 8月31日 拒絶理由通知
平成28年12月21日 意見書、手続補正書

第2.特許請求の範囲の記載
本願の特許請求の範囲の記載は、平成28年12月21日付けの手続補正書の特許請求の範囲に記載された以下のとおりのものである。

「 【請求項1】
無線通信ネットワーク内の再選択のためにセル情報を決定するための方法であって、
アクセスポイントから受信されたブロードキャスト信号から制限付きアソシエーションインジケータを移動局で決定することと、
該移動局により、該制限付きアソシエーションインジケータに少なくとも部分的に基づいて該ブロードキャスト信号から該アクセスポイントに関係するグループ識別子を取得することと、
該移動局により、該グループ識別子が、アクセス可能なグループ識別子の維持リスト内に存在するかどうかを判定することと、ここにおいて、該移動局は、制限付きアソシエーションアクセスポイントとの通信の確立後、少なくとも部分的に、該アクセスポイントに関係する識別子を格納することによって、該維持リストを維持する、
該グループ識別子が該アクセス可能なグループ識別子の維持リスト内に存在するものとして判定することに少なくとも部分的に基づいて該アクセスポイントとの通信を確立することとを備え、ここにおいて、前記確立することは、
前記アクセスポイントがフェムトセルであることを、前記制限付きアソシエーションインジケータに少なくとも部分的に基づいて判定することと、
再選択のために前記フェムトセルアクセスポイントを優遇することを含む、
方法。
【請求項2】
前記アクセスポイントとの通信を確立することは、アイドルモードまたは接続モードで前記アクセスポイントへのセル再選択を実行することを備える請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記アクセスポイントとの通信を確立することは、前記アクセスポイントに接続確立要求を送信することを備える請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記制限付きアソシエーションインジケータを決定することは、前記ブ
ロードキャスト信号の1つまたは複数の外因的な側面を評価することに少なくとも部分的に基づく請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記1つまたは複数の外因的な側面は、その後のブロードキャスト信号が前記アクセスポイントから受信される時間間隔を含む請求項4に記載の方
法。
【請求項6】
前記ブロードキャスト信号は、前記時間間隔で前記アクセスポイントに
よって繰り返し送信されるビーコン信号である請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記制限付きアソシエーションインジケータは、前記ブロードキャスト信号内にその1つまたは複数のパラメータとして備えられる請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記グループ識別子は、共通サービスプロバイダを有するフェムトセルの一グループに関係する請求項1に記載の方法。
【請求項9】
その後通信確立を試みて前記ブロードキャスト信号から前記アクセスポイントのセクタ識別子を取得することをさらに備える請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記セクタ識別子に少なくとも部分的に基づいてその後の通信確立を要求することをさらに備える請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記制限付きアソシエーションインジケータは、信号伝達、データアクセス、登録、および/またはサービスを提供することに関して前記アクセスポイントが制限されていることを示す請求項1に記載の方法。
【請求項12】
無線通信装置であって、
ブロードキャスト信号をアクセスポイントから受信し、
該ブロードキャスト信号から制限付きアソシエーションインジケータを決定し、
該制限付きアソシエーションインジケータに少なくとも部分的に基づいて該ブロードキャスト信号から該アクセスポイントに関係するグループの識別を受信し、
該グループの該識別によって示される該アクセスポイントのグループ
が、選好アクセスポイントグループの維持リスト内に存在するかどうかを判定し、ここにおいて、該無線通信装置は、制限付きアソシエーションアクセスポイントとの通信の確立後、少なくとも部分的に、該アクセスポイントに関係する識別子を格納することによって、該維持リストを維持する、
該識別が該選好アクセスポイントグループの維持リスト内に存在するものとして判定することに少なくとも部分的に基づいて該アクセスポイントと通信するように構成された、少なくとも1つのプロセッサと、ここにおい
て、前記通信することは、
前記アクセスポイントがフェムトセルであることを、前記制限付きアソシエーションインジケータに少なくとも部分的に基づいて判定することと、
再選択のために前記フェムトセルアクセスポイントを優遇することを含み、
該少なくとも1つのプロセッサに結合されたメモリとを備える無線通信装置。
【請求項13】
無線ネットワーク内のアクセスポイントと通信することを容易にする無線通信装置であって、
アクセスポイントから受信されたブロードキャスト信号から制限付きアソシエーションインジケータを決定するための手段と、
該制限付きアソシエーションインジケータに少なくとも部分的に基づいて該ブロードキャスト信号から該アクセスポイントに関係するグループの識別を決定するための手段と、
該グループの該識別が、アクセス可能なグループの識別の維持リスト内に存在するかどうかを判定するための手段と、ここにおいて、該無線通信装置は、制限付きアソシエーションアクセスポイントとの通信の確立後、少なくとも部分的に、該アクセスポイントに関係する識別子を格納することによって、該維持リストを維持する、
該グループの該識別に少なくとも部分的に基づいて該アクセスポイントと通信するための手段とを備え、ここにおいて、前記通信するための手段は、
前記アクセスポイントがフェムトセルであることを、前記制限付きアソシエーションインジケータに少なくとも部分的に基づいて判定するための手段と、
再選択のために前記フェムトセルアクセスポイントを優遇するための手段を含む、
無線通信装置。
【請求項14】
コードを記憶するコンピュータ可読記憶媒体であって、前記コードは、
アクセスポイントから受信されたブロードキャスト信号から制限付きアソシエーションインジケータを少なくとも1つのコンピュータに決定させるためのコードと、
該制限付きアソシエーションインジケータに少なくとも部分的に基づいて該ブロードキャスト信号から該アクセスポイントに関係するグループ識別子を該少なくとも1つのコンピュータに取得させるためのコードと、
該グループ識別子が、アクセス可能なグループ識別子の維持リスト内に存在するかどうかを少なくとも1つのコンピュータに判定させるためのコードと、ここにおいて、該少なくとも1つのコンピュータは、制限付きアソシ
エーションアクセスポイントとの通信の確立後、少なくとも部分的に、該アクセスポイントに関係する識別子を格納することによって、該維持リストを維持する、
該グループ識別子が該アクセス可能なグループ識別子の維持リスト内に存在していると判定することに少なくとも部分的に基づいて該アクセスポイントとの通信を該少なくとも1つのコンピュータに確立させるためのコードとを備え、ここにおいて、前記確立させるためのコードは、
前記アクセスポイントがフェムトセルであることを、前記制限付きアソシエーションインジケータに少なくとも部分的に基づいて該少なくとも1つのコンピュータに判定させるためのコードと、
再選択のために前記フェムトセルアクセスポイントを該少なくとも1つのコンピュータに優遇させるためのコードを含む、
コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項15】
装置であって、
アクセスポイントから受信されたブロードキャスト信号から制限付きアソシエーションインジケータを決定する制限付きアソシエーションインジケータ識別器と、
該制限付きアソシエーションインジケータに少なくとも部分的に基づいて該ブロードキャスト信号から該アクセスポイントに関係するアクセスポイントグループ識別を取得し、該アクセスポイントグループ識別が、アクセス可能なアクセスポイントグループ識別の維持リスト内に存在するかどうかを判定するアクセスポイント識別子判定器と、ここにおいて、該装置は、制限付きアソシエーションアクセスポイントとの通信の確立後、少なくとも部分的に、該アクセスポイントに関係する識別子を格納することによって、該維持リストを維持する、
該識別によって示される該アクセスポイントのグループが選好アクセスポイントグループの該維持リスト内に存在するものとして判定することに少なくとも部分的に基づいて該アクセスポイントとの通信を確立するセル再選択器とを備え、ここにおいて、前記セル再選択器は、
前記アクセスポイントがフェムトセルであることを、前記制限付きアソシエーションインジケータに少なくとも部分的に基づいて判定し、
再選択のために前記フェムトセルアクセスポイントを優遇するように構成される、
装置。
【請求項16】
前記セル再選択器は、アイドルモードまたは接続モードで前記アクセスポイントへのセル再選択を実行することによって前記アクセスポイントとの通信を確立する請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記セル再選択器は、アクセス要求を前記アクセスポイントに送信することによって前記アクセスポイントとの通信を確立する請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記制限付きアソシエーションインジケータ識別器は、前記ブロードキャスト信号の1つまたは複数の外因的な側面を評価することに少なくとも部分的に基づいて前記制限付きアソシエーションインジケータを決定する請求項15に記載の装置。
【請求項19】
前記1つまたは複数の外因的な側面は、その後のブロードキャスト信号が前記アクセスポイントから受信される時間間隔を含む請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記ブロードキャスト信号は、前記時間間隔で前記アクセスポイントに
よって繰り返し送信されるビーコン信号である請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記制限付きアソシエーションインジケータ識別器は、前記ブロードキャスト信号内に備えられる1つまたは複数のパラメータから前記制限付きアソシエーションインジケータを決定する請求項15に記載の装置。
【請求項22】
前記制限付きアソシエーションインジケータ識別器は、その後通信確立を試みて前記ブロードキャスト信号から前記アクセスポイントのセクタ識別子を取得する請求項15に記載の装置。
【請求項23】
前記セル再選択器は、前記セクタ識別子に少なくとも部分的に基づいてその後の通信確立を要求する請求項22に記載の装置。
【請求項24】
前記制限付きアソシエーションインジケータは、信号伝達、データアクセス、登録、および/またはサービスを提供することに関して前記アクセスポイントが制限されていることを示す請求項15に記載の装置。」

第3.当審の拒絶理由
平成28年8月31日付けで通知した当審の拒絶理由の概要は、特許請求の範囲の請求項の記載が不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないというものである。
上記「第2.特許請求の範囲の記載」に記載したように、本願の特許請求の範囲の請求項の記載は、補正によって明確なものとなり、当審の拒絶理由は解消した。

第4.原査定の理由の概要
原査定の理由の概要は、本願の各請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないというものである。

1.Vodafone Group,Signalling on a CSG Cell,3GPP TSG RAN WG2#58bis,R2-072831,2007年6月29日(以下、「引用例1」という。)

2.NTT DoCoMo,Inc.,Cell ID Assignment for Home Node B,3GPP TSG RAN WG2 Meeting #59 R2-073374,2007年8月20日(以下、「引用例2」という。)

3.ASUSTeK,CSG related system information and CSG subscription information,3GPP TSG-RAN WG2 #60,R2-075133,2007年11月9日(以下、「引用例3」という。)

4.Panasonic,CSG Cell Prioritization by UE,3GPP TSG RAN WG2 #59 R2-073282,2007年8月20日(以下、「引用例4」という。)

5.TSG RAN WG2,LS on Closed Subscriber Groups for LTE Home cells,3GPP TSG-RAN WG2#58bis R2-072991,2007年6月25日(以下、「引用例5」という。)

第5.当審の判断
1.引用発明
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用例1には、以下の記載がなされている。

(1)「1 Introduction
……
1.A UE should not camp on or access a CSG Cell if it is not part of the User Group which is allowed to access that CSG Cell.」
(当審訳
1 序論
……
1.UEは、そのCSGセルにアクセスすることが許可されているユーザ・グループの一員でなければ、そのCSGセルにキャンプオンまたはアクセスすべきでない。)

(2)「2 Discussion

The main point of the above requirement is to avoid the UE from accessing the CSG cell unnecessarily, which requires the UE to have prior knowledge about the cell.

The solution to this requirement can be split into the following aspects:」
(当審訳
2 議論

上記の要求の主な点は、UEを、不必要にCSGセルにアクセスすることから、回避することで、それは、UEにセルについての事前の知識を持っているように要求する。

この要求に対する解決は次の観点に分けることができる:)

(3)「1) CSG indication

In some deployments a cell could be known as a CSG cell by virtue that it is in a specific frequency band, and this would need to be signalled on the system information of the network.

However for many operators it would not be cost effective to assign a frequency band purely to the CSG cells, and the frequency band would be shared between the CSG cells and the cells providing additional (location specific) capacity enlargements. In this case the cell with a CSG would need to identify in the System Information that it is a CSG cell.

The CSG indication would need to be transmitted such that it is readily available on the cell, as it needs to be efficient for a UE to determine that this is a closed cell. It should be discussed whether this indication should be included in the MIB or in SU1.

It is assumed that a UE in LTE_ACTIVE state would not need to read the CSG indication of target cell on a different frequency, however it would need to read this indication if the target cell is on the same frequency band.」
(当審訳
1) CSGインジケーション

いくつかの展開において、セルが特定の周波数帯にあることで、それがCSGセルであると知ることができ、このことは、ネットワークのシステム情報で送られることを必要とする。

しかしながら多くのオペレーターにとって、単にCSGセルに周波数帯を割り当てることは費用効果が高くなく、そして周波数帯はCSGセルと追加の(場所に特定された)回線容量の拡張を提供しているセルの間に共有される。この場合には、CSGを有するセルは、システム情報で、CSGセルであることを明らかにする必要がある。

それがクローズセルであると、UEが効率的に決定することが必要であるから、CSGインジケーションは、セルで容易に得られるように、送信される必要がある。このインジケーションを、MIBまたはSU1のどちらに含めるべきか、議論する必要がある。

LTE ACTIVE状態のUEは、異なった周波数のターゲットセルのCSGインジケーションを読み取る必要がないと想定されるが、ターゲットセルが同じ周波数帯にあるなら、このインジケーションを読み取る必要がある。)

(4)「2) Unique CSG Identifier of the cell

The unique CSG identifier would identify which group of subscribers are allowed to access this cell. The identifier would be used in conjunction with the CSG Indication.

The CSG identifier would need to be transmitted such that it is readily available on the cell, as it needs to be efficient for a UE to determine whether a UE is allowed to access a neighbour cell. It is therefore proposed that the CSG identifier is contained within SU1 of the system information.

It is assumed that a UE in LTE_ACTIVE state would not need to read the CSG identifier of target cell on a different frequency unless instructed to do so, however it would need to read this indication if the target cell is on the same frequency band.」
(当審訳
2) セルの一義的なCSG識別子

一義的なCSG識別子は、どの加入者グループがこのセルにアクセスを許可されるのかを明らかにする。この識別子は、CSGインジケーションと関連して用いられる。

UEが隣接セルにアクセスを許可されるかどうかを、UEが効率的に決定することが必要であるから、CSG識別子は、セルで容易に得られるよう
に、送信される必要がある。それゆえ、CSG識別子がシステム情報のSU1に含まれることを提案する。

LTE ACTIVE状態のUEは、異なった周波数のターゲットセルのCSG識別子を読み取る必要がないと想定されるが、ターゲットセルが同じ周波数帯にあるなら、この識別子を読み取る必要がある。)

(5)「3) UE knowledge of which cells it is allowed to access cells with this CSG Identifier

The UE would need to be provided with a list of which CSG it is allowed to access in LTE_IDLE state, and it is assumed that this is provided in the NAS signalling.」
(当審訳
3) UEの、CSG識別子を含んだ、どのセルにアクセスすることが許可されているかについての知識

UEは、LTE IDLE状態で、どのCSGにアクセスすることを許可されているかのリストを提供される必要があり、これがNAS信号で供給されると想定される。)

(6)「3 Conclusion

It is proposed that a cell indicates whether it is a CSG cell or not using a CSG indicator, and that this is either sent in the MIB or in SU1 of the cell. If the cell indicates that it is a CSG cell, then the UE must also read the CSG identifier of the cell, and it is proposed that this identifier is sent in SU1.

In LTE_IDLE state the UE read the CSG indicator prior before camping on a LTE cell which does not have a CSG group (i.e. a non-CSG cell), and the UE shall read the CSG indicator and the CSG identifier and determine that it is part of the CSG prior camping on a CSG cell.」
(当審訳
3 結論

CSGインジケータを用いて、セルがCSGセルであるか否かを、セルが示すこと、及びそれがセルのMIBまたはSU1のいずれかで送信されることを提案する。セルがCSGセルであることを示すときは、UEはそのセルのCSG識別子を読み取らなければならず、この識別子をSU1で送信することを提案する。

UEは、LTE IDLE状態で、CSGグループを持たないLTEセル(すなわち、非CSGセル)にキャンプオンする前に、CSGインジケータを事前に読み取り、UEは、CSGインジケータ及びCSG識別子を読み
取って、CSGセルにキャンプオンする前に、CSGの一員であると決定しなければならない。)

したがって、引用例1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているといえる。

UEを、UEが隣接セルにアクセスを許可されるかどうかを、UEが効率的に決定し、不必要にCSGセルにアクセスすることから回避するために、UEがセルについての事前の知識を持っているようにする方法であって、
UEは、セルのMIBで送信されるCSGインジケータを読み取ること
と、
UEは、CSGインジケーションと関連して用いられるCSG識別子を読み取ることと、
UEは、CSGインジケータ及びCSG識別子を読み取って、CSGセルにキャンプオンする前に、CSGの一員であると決定することと、
UEは、どのCSGにアクセスすることを許可されているかのリストを提供されることと、を備え、
UEが、CSG識別子を含んだ、どのセルにアクセスすることが許可されているかについての知識を持っているようにする方法。

2.対比
引用発明の「UE」及び「セル」は、本願発明の「移動局」及び「アクセスポイント」に、それぞれ対応し、それらが無線通信ネットワーク内のものであることは明らかである。
引用発明は「UEを、UEが隣接セルにアクセスを許可されるかどうか
を、UEが効率的に決定し、不必要にCSGセルにアクセスすることから、回避するために、UEがセルについての事前の知識を持っているようにする方法」であり、隣接セルにアクセスを許可されるかどうかを決定するのは、隣接セルを選択してアクセスするためであるから、UEが現在選択しているセルから、隣接セルを選択してアクセスする、再選択のためのものといえ
る。そして、引用発明は、「UEは、CSGインジケータ及びCSG識別子を読み取って」とするもので、「CSGインジケータ」及び「CSG識別
子」はセル情報といえるから、本願発明とは、無線通信ネットワーク内の再選択のためにセル情報を決定するための方法である点で共通する。
引用発明は「UEは、セルのMIBで送信されるCSGインジケータを読み取ること」とするもので、「CSGインジケータ」は本願発明の「制限付きアソシエーションインジケータ」に対応し、「MIB」はMaster Infromation Blockの略であって、PBCHで端末に報知するなシステム情報の一部であるから、本願発明とは、アクセスポイントから受信されたブロードキャスト信号から制限付きアソシエーションインジ
ケータを移動局で決定する点で共通する。
引用発明は「UEは、CSGインジケーションと関連して用いられるCSG識別子を読み取ること」とするので、本願発明とは、移動局により、アクセスポイントに関係するグループ識別子を取得する点で共通する。
引用発明は「UEは、どのCSGにアクセスすることを許可されているかのリストを提供されること」として、「UEが、CSG識別子を含んだ、どのセルにアクセスすることが許可されているかについての知識を持っているようにする」ものであるから、「リスト」に「CSG識別子」が含まれていることは明らかであり、本願発明とは、移動局により、グループ識別子が、アクセス可能なグループ識別子のリスト内に存在するかどうかを判定する点で共通する。
引用発明は「UEは、CSGインジケータ及びCSG識別子を読み取っ
て、CSGセルにキャンプオンする前に、CSGの一員であると決定すること」とするもので、「CSGの一員であると決定すること」とした後に、そのセルにキャンプオンし、通信を確立することは明らかであるから、本願発明とは、グループ識別子がアクセス可能なグループ識別子の維持リスト内に存在するものとして判定することに少なくとも部分的に基づいて該アクセスポイントとの通信を確立する点で共通する。
したがって、本願発明と引用発明とを対比すると、以下の点で一致し、また相違する。

(1)一致点
無線通信ネットワーク内の再選択のためにセル情報を決定するための方法であって、
アクセスポイントから受信されたブロードキャスト信号から制限付きアソシエーションインジケータを移動局で決定することと、
該移動局により、該アクセスポイントに関係するグループ識別子を取得することと、
該移動局により、該グループ識別子が、アクセス可能なグループ識別子の維持リスト内に存在するかどうかを判定することと、
該グループ識別子が該アクセス可能なグループ識別子の維持リスト内に存在するものとして判定することに少なくとも部分的に基づいて該アクセスポイントとの通信を確立することとを備えた、
方法。

(2)相違点1
本願発明は「該移動局により、該制限付きアソシエーションインジケータに少なくとも部分的に基づいて該ブロードキャスト信号から該アクセスポイントに関係するグループ識別子を取得すること」とするのに対して、引用発明は、「グループ識別子」に対応する「CSG識別子」が、「CSGインジケーションと関連して用いられる」との特定はあるが、「該制限付きアソシエーションインジケータに少なくとも部分的に基づいて該ブロードキャスト信号から」とする特定がない点。

(3)相違点2
本願発明は「該移動局は、制限付きアソシエーションアクセスポイントとの通信の確立後、少なくとも部分的に、該アクセスポイントに関係する識別子を格納することによって、該維持リストを維持する」とするのに対して、引用発明はそのような特定がない点。

(4)相違点3
本願発明は「…通信を確立すること」が、「前記アクセスポイントがフェムトセルであることを、前記制限付きアソシエーションインジケータに少なくとも部分的に基づいて判定することと、再選択のために前記フェムトセルアクセスポイントを優遇することを含む」とするのに対して、引用発明はそのような特定がない点。

3.判断
上記相違点について検討する。
上記相違点2及び3に示した、本願発明の発明を特定するための事項について、引用例1には記載も示唆もなく、引用例2-5についても同様であ
り、引用発明において、これらの相違点を本願発明のようにすることは、当業者が容易にできることとはいえない。
したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本願発明は、引用例1-5に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。
請求項2-11は、請求項1を引用するものであり、請求項12、13-15に係る発明は、本願発明に対応する無線通信装置、コンピュータ可読記憶媒体、及び装置の発明であり、請求項16-24は請求項15を引用するものであるから、それらの請求項に係る発明についても同様である。

第5.むすび
以上のとおり、本願の請求項1-24に係る発明は、引用例1-5に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとすることができないから、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2017-02-20 
出願番号 特願2013-156102(P2013-156102)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (H04W)
P 1 8・ 537- WY (H04W)
最終処分 成立  
前審関与審査官 青木 健  
特許庁審判長 水野 恵雄
特許庁審判官 吉田 隆之
加藤 恵一
発明の名称 制限付きアソシエーション情報を伝達するためのブロードキャスト信号の使用  
代理人 蔵田 昌俊  
代理人 井関 守三  
代理人 奥村 元宏  
代理人 福原 淑弘  

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