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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F
審判 査定不服 5項独立特許用件 取り消して特許、登録 G06F
管理番号 1325224
審判番号 不服2016-9629  
総通号数 208 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-04-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-06-28 
確定日 2017-03-07 
事件の表示 特願2014-195810「管理装置および管理装置の制御方法」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 6月18日出願公開、特開2015-111403、請求項の数(13)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成26年9月25日(優先権主張平成25年11月1日)の出願であって、平成28年4月6日付けで拒絶査定がされ、これに対し、平成28年6月28日に拒絶査定不服審判が請求され、同時に手続補正がされたものである。

第2 平成28年6月28日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)の適否
1.補正の内容
(1)請求項1について
本件補正は、特許請求の範囲の請求項1を、
「【請求項1】
コンテンツ提供装置が生成した撮影画像であるコンテンツと、上記コンテンツ提供装置にて入力され上記コンテンツと対応付けられている、ユーザの宛先とを受信する受信部と、
上記コンテンツと上記ユーザの宛先とを対応付けて一時保存部に一時的に保存させる実行部と、
上記一時保存部において、上記コンテンツの残存保存期間が所定の期間よりも短いか否かを判定する残存保存期間判定部と、
上記コンテンツが、各ユーザ専用の記憶領域に保存されたか否かを判定する保存状態判定部と、
上記残存保存期間判定部が、上記コンテンツの残存保存期間が上記所定の期間よりも短いと判定し、かつ、上記保存状態判定部が上記コンテンツが上記各ユーザ専用の記憶領域に保存されていないと判定した場合、上記コンテンツに対応する上記ユーザの宛先に上記コンテンツの保存状態を通知する送信部とを備え、
上記保存状態判定部は、上記コンテンツが上記各ユーザ専用の記憶領域に保存されたときに情報が更新される上記コンテンツの保存履歴を参照して、上記コンテンツが上記各ユーザ専用の記憶領域に保存されたか否かを判定することを特徴とする管理装置。」(下線は補正箇所を示す。)
とする補正(以下、「補正事項1」という。)を含んでいる。

(2)請求項13について
本件補正は、特許請求の範囲の請求項13を、
「【請求項13】
コンテンツ提供装置が生成した撮影画像であるコンテンツと、上記コンテンツ提供装置にて入力され上記コンテンツと対応付けられているユーザの宛先とを受信する受信ステップと、
上記コンテンツと上記ユーザの宛先とを対応付けて一時保存部に一時的に保存させる実行ステップと、
上記一時保存部において、上記コンテンツの残存保存期間が所定の期間よりも短いか否かを判定する残存保存期間判定ステップと、
上記コンテンツが、各ユーザ専用の記憶領域に保存されたか否かを判定する保存状態判定ステップと、
上記残存保存期間判定ステップにおいて、上記コンテンツの残存保存期間が上記所定の期間よりも短いと判定され、かつ、上記保存状態判定ステップにおいて上記コンテンツが上記各ユーザ専用の記憶領域に保存されていないと判定された場合、上記コンテンツに対応する上記ユーザの宛先に上記コンテンツの保存状態を通知する送信ステップとを含み、
上記保存状態判定ステップでは、上記コンテンツが上記各ユーザ専用の記憶領域に保存されたときに情報が更新される上記コンテンツの保存履歴を参照して、上記コンテンツが上記各ユーザ専用の記憶領域に保存されたか否かを判定することを特徴とする管理装置の制御方法。」(下線は補正箇所を示す。)
とする補正(以下、「補正事項2」という。)を含んでいる。

2.補正の適否
(1)補正事項1について
本件補正の補正事項1は、補正前の請求項1における「上記コンテンツの保存履歴」について「上記コンテンツが上記各ユーザ専用の記憶領域に保存されたときに情報が更新される」と限定するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また、特許法第17条の2第3項、第4項に違反するところはない。
そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「補正発明1」という。)が特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について以下に検討する。

ア.引用文献・引用発明
(イ)原査定の拒絶の理由に引用された特開2006-109440号公報(以下、「引用例1」という。)には、図とともに以下の事項が記載されている。
a.「【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、1以上の被写体を撮像手段で撮像して撮像画像を作成する撮像処理を許容し、編集対象の画像を編集手段で編集して編集画像を作成する編集処理を許容し、所定の画像を出力手段で出力する写真シール自動販売装置と、該写真シール自動販売装置と通信手段で通信可能に接続され、該写真シール自動販売装置の出力手段から送信される前記所定の画像を受信して、所定期間中、該所定の画像を閲覧可能な状態で記録保管すると共に、該所定期間経過後、該所定の画像を削除する管理サーバとを備えたことを特徴とする写真シール画像管理システムであることを特徴とする。
・・・中略・・・
【0010】
以上の構成及び構造により、写真シール自動販売機での編集画像又は/及び撮像画像を管理サーバに記憶し、該画像に対して携帯電話等で閲覧やダウンロードのためにアクセスすることができ、前記画像データを印刷した写真シールシートを取得する、あるいは前記画像データを自己の携帯電話に送信して待ち受け画面に利用するといった二次利用が可能になる。
【0011】
さらには、保管期間の経過した利用者データ(画像データを含む)は、削除してデータを整理することができ、画像データベースの容量増加を抑制することができる。
【0012】
これにより、利用者がアクセスできなくなった、又はアクセスする必要のなくなった写真シール自動販売装置で作成した画像を適切に管理することができる。
【0013】
好ましい実施の形態として、前記管理サーバは、前記所定の画像と共に、該画像を作成した利用者のメールアドレスを記録保管して、前記所定期間経過後、該利用者に対するメール送信を行い、該メール送信から一定時間内に該利用者による情報の入力が行われた場合には前記所定期間を延長し、該メール送信から一定時間経過しても該利用者による情報の入力が行われない場合には前記所定期間を延長しない構成とすることができる。
【0014】
以上の構成により、保管期間の経過した利用者データ(画像データを含む)は、原則削除してデータを整理することができると共に、画像がまだ必要な利用者に対しては、会員登録等の情報の入力によって保管期間を延長することができる。これにより、情報整理手段(情報削除手段)としての機能で画像データベース92の容量増加を抑制した上で、会員登録手段(保存期間延長手段)としても機能し、利用者の個々の要望に対応することができる。」

b.「【0086】
次に、写真シール自動販売機1、携帯電話60、及び管理サーバ90の動作について、この順に説明する。
まず、写真シール自動販売機1について、図12に示す処理フロー図と共に、図13及び図14の画面イメージ説明図を参照して説明する。
【0087】
利用者によって投入口15a(図2)に硬貨(コイン)が投入されると(ステップp1)、図11に示した制御端末10は、ディスプレイ18にシール分割数(編集画像や撮像画像の配置)を選択させる選択画面を表示する(ステップp2)。
【0088】
制御端末10は、正面ストロボ照明ボックス3及び天井ストロボ照明ボックス4による照明光で被写体を照射し、デジタルカメラ17で該被写体を撮像する(ステップp3)。

前記撮像が終了すると、制御端末10は前記撮像による撮像画像に対して、入力装置14で利用者に落書き編集させる落書き編集を実行する(ステップp4)。
【0089】
前記落書き編集が終了すると、制御端末10は、図13の(J)に示す画像送信選択画面をディスプレイ18に表示し、編集画像又は/及び撮像画像を携帯電話60等で閲覧、利用可能に送信するか否かを選択させる(ステップp5)。
【0090】
利用者にNOが選択された場合はステップp10に進み、YESが選択された場合は、図13の(K)に示す送信画像選択画面を表示する。このとき、送信する画像を、入力装置14で利用者に選択させる(ステップp6)。
【0091】
利用者によって画像が選択されると、図14の(L)に示すメールアドレス入力画面を表示し、利用者にメールアドレス(携帯電話60のメールアドレス)を入力装置14で入力させる(ステップp7)。
【0092】
なお、前記メールアドレスの入力は、(L)に示したアルファベット表示18kを、一文字ずつタッチペン14a(図2)でタッチさせ、タッチされた文字を入力枠18jに順次表示して実行する。
【0093】
制御端末10は、ディスプレイ18に図14の(M)に示す暗証番号入力画面を表示し、利用者が覚えやすい任意の暗証番号を入力させる(ステップp8)。
この暗証番号の入力が完了すると、制御端末10は、ステップp6で選択された画像、ステップp7で入力されたメールアドレス、及びステップp8で入力された暗証番号をセットにして画像提供データを作成する。該画像提供データは、PHSユニット26を介して管理サーバ90に送信する(ステップp9)。
【0094】
ここで、管理サーバ90は、前記画像提供データを画像データベース92に格納し、携帯電話60のブラウザでホームページにアクセスした際に、CGI(Common Gateway Interface)によって前記画像提供データへのアクセスを許容する状態にする。このアクセスの条件として前記暗証番号を設定すると共に、前記メールアドレスに対して後述する案内メールを送信し、利用者への通知手段としての機能も果たす。」

c.「【0102】
次に、期限切れの画像データを管理サーバ90が整理する処理について、図19、図21に示す管理サーバ90の制御装置(図示省略)の動作を示す処理フロー図と共に、図20の画面イメージ説明図を参照して説明する。
【0103】
画像データベース92に保管している画像のうち、保管期間が7日間を超えている画像データが存在すると(ステップr1)、管理サーバ90は、その画像データの利用者に対して、図20の(U)に示すように会員登録を促すメールを送信する(ステップr2)。
【0104】
メール送信後24時間待機し(ステップr3)、利用者による会員登録のアクセスがあれば(ステップr4)、後述する会員登録処理を実行する(ステップr5)。
アクセスがなかった場合は、利用者情報(前記画像を含む)を管理サーバ90から削除する(ステップr6)。
【0105】
前記会員登録処理について図21と共に説明すると、まず、会員登録のホームページ(管理サーバ90)に、利用者によって携帯電話60でアクセスされると、図20の(V)に示す会員登録画面を携帯電話60に表示する(ステップs1)。このとき、会員用ニックネームとして、メールアドレスをデフォルト設定して表示する。
【0106】
利用者によって登録するボタンが選択(押下)されると(ステップs2)、ニックネームを前記メールアドレスとして画像データベース92に保存する(ステップs3)。
【0107】
登録しないボタンが選択された場合には(ステップs4)、画像データベース92から該当する画像を削除する(ステップs5)。
ニックネーム変更ボタンが選択された場合は(ステップs6)、図14の(L)に示したような入力画面を表示してネックネームを入力させ、画像データベース92に記憶のニックネームを、入力されたニックネームに変更する(ステップs7)。
【0108】
以上の動作により、利用者は予め設定されたメールアドレスをニックネームとして、簡単な操作、すなわち文字入力不要で登録するボタンを押下するワンタッチ操作(簡易登録手段、簡易保存手段)によって画像を保存することができる。
【0109】
また、メールアドレスをニックネーム(利用者情報)とすることで、一意に確定する固定データに基づく利用者管理が可能となり、利用者も簡易かつ便利に会員登録を行うことができる。
【0110】
さらには、保管期間の経過した利用者データ(画像データを含む)は、原則削除してデータを整理することができると共に、画像がまだ必要な利用者に対しては、会員登録によって保管期間を延長することができる。これにより、情報整理手段(情報削除手段)としての機能で画像データベース92の容量増加を抑制した上で、会員登録手段(保存期間延長手段)としても機能し、利用者の個々の要望に対応することができる。」

上記下線部の記載によれば、引用例1には、管理サーバ90に関して、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。
「写真シール自動販売機1の制御端末10によりデジタルカメラ17で撮像され、選択された編集画像又は/及び撮像画像、入力されたメールアドレス、及び入力された暗証番号をセットにした画像提供データを受信して画像データベース92に格納し、
画像データベース92に保管している画像のうち、保管期間が7日間を超えている画像データが存在すると、その画像データの利用者に対して、会員登録を促すメールを送信し、メール送信後24時間待機し、アクセスがなかった場合は、利用者情報(前記画像を含む)を管理サーバ90から削除し、利用者による会員登録のアクセスがあれば会員登録によって保管期間を延長することができる、管理サーバ90。」

(ロ)原査定の拒絶の理由に引用された特開2006-311344号公報(以下、「引用例2」という。)には、図とともに以下の事項が記載されている。
「【0032】
<実施の形態2>
図5は本発明の実施の形態2に適用されるデジタル複合機の構成図である。図5に示す実施の形態2のデジタル複合機1aは、図1に示す実施の形態1のデジタル複合機1に対して、各ユーザ端末へ送信したリンク先情報などのデータの送信記録を保存するデータ記憶部11が追加されている。すなわち、データ記憶部11は、それぞれのユーザ端末へリンク先情報などのデータを送信するたびに送信記録を保存しておく。したがって、もし、送信先のユーザ端末がダウンロードを実施した場合には、データ記憶部11の記録内容は、該当するユーザ端末がダウンロードを完了したステータスに変わる。
【0033】
図6は、図5に示す実施の形態2におけるデジタル複合機1aのデータ記憶部11が行う処理の流れを示すフローチャートである。すなわち、図6において、まず、データ記憶部11はスキャンしたデータを保存する(ステップS1)。さらに、ダウンロード手段やダウンロードの通知日時などのダウンロード状況を全ユーザ端末に通知する(ステップS2)。このとき、デジタル複合機1aの管理者から各ユーザ端末へ通知される電子メールは、『ダウンロード期限が近づいています。〇月×日までに、下記リンク先よりファイルをダウンロードして下さい。』というような内容のものであり、本来のダウンロード期限から所定時間前に送信される。
【0034】
次に、データ記憶部11は、全てのユーザ端末がダウンロードを行ったか否かを判断する(ステップS3)。ここで、全てのユーザ端末がダウンロードを行っていれば(ステップS3でYesの場合)、データ記憶部11に保存されているデータを削除する(ステップS4)。
【0035】
一方、ステップS3で、全てのユーザ端末がダウンロードを完了していなければ(ステップS3でNoの場合)、データ記憶部11は、自己に保存されているデータのダウンロード期限の所定時間前に到達しているか否かを判断する(ステップS5)。ここで、ダウンロード期限に未だ到達していない場合は(ステップS5でNoの場合)、ステップS2に戻って前述の処理を繰り返すが、保存されているデータのダウンロード期限に到達した場合は(ステップS5でYesの場合)、未ダウンロードのユーザ端末にデータを送信してから(ステップS6)、データ記憶部11に保存されているデータを削除する(ステップS7)。このようにして、送信先の全てのユーザ端末がダウンロードを完了したら、デジタル複合機1aのデータ記憶部11は、自己に記録されているデータを、たとえ全てのユーザ端末からダウンロードの要求が自発的にされなくともダウンロード期限前にこのデータを削除する。
【0036】
このようにして、本発明の実施の形態2におけるデジタル複合機1aは、ダウンロード期限日から所定時間前が来たら全てのユーザ端末にダウンロードを催促する機能を追加すると共に、全てのユーザ端末がダウンロードを完了したらダウンロード期限に到達しなくても自動的にデータを削除する機能を追加している。そのため、ダウンロードの徹底化が図れると共に、ダウンロード期限よりも前にデータ記憶部11に保存されているデータが整理されているためハードディスクを有効に活用することができる。」

上記下線部の記載によれば、引用例2には、次の技術(以下、「引用例2記載の技術」という。)が記載されている。
「デジタル複合機1aのデータ記憶部11は、スキャンしたデータを保存し、それぞれのユーザ端末へリンク先情報などのデータを送信するたびに送信記録を保存し、さらに、ダウンロード手段やダウンロードの通知日時などのダウンロード状況を全ユーザ端末に通知し、このときのデジタル複合機1aの管理者から各ユーザ端末へ通知される電子メールは、『ダウンロード期限が近づいています。〇月×日までに、下記リンク先よりファイルをダウンロードして下さい。』というような内容のものであり、本来のダウンロード期限から所定時間前に送信され、
全てのユーザ端末がダウンロードを行ったか否かを判断し、全てのユーザ端末がダウンロードを行っていれば、データ記憶部11に保存されているデータを削除し、
一方、全てのユーザ端末がダウンロードを完了していなければ、保存されているデータのダウンロード期限の所定時間前に到達しているか否かを判断し、ダウンロード期限に未だ到達していない場合は、ダウンロード状況を全ユーザ端末に通知する処理を繰り返すが、保存されているデータのダウンロード期限に到達した場合は、未ダウンロードのユーザ端末にデータを送信してから、データ記憶部11に保存されているデータを削除する、デジタル複合機1a。」

イ.対比
補正発明1と引用発明とを対比する。
引用発明の「写真シール自動販売機1」は、補正発明1の「コンテンツ提供装置」に相当する。
引用発明の「編集画像又は/及び撮像画像」は「写真シール自動販売機1の制御端末10によりデジタルカメラ17で撮像」された画像及び撮像した画像を編集したものであるから、補正発明1の「コンテンツ提供装置が生成した撮影画像であるコンテンツ」に相当する。
引用発明の「入力されたメールアドレス」は「選択された編集画像又は/及び撮像画像」と「セット」にされているから、補正発明1の「コンテンツ提供装置にて入力され上記コンテンツと対応付けられている、ユーザの宛先」に相当する。
引用発明においては、「写真シール自動販売機1の制御端末10によりデジタルカメラ17で撮像され、選択された編集画像又は/及び撮像画像、入力されたメールアドレス、及び入力された暗証番号をセットにした画像提供データを受信」するから、当該受信する手段は、補正発明1の「ンテンツ提供装置が生成した撮影画像であるコンテンツと、上記コンテンツ提供装置にて入力され上記コンテンツと対応付けられている、ユーザの宛先とを受信する受信部」に相当するといえる。
引用発明の「画像提供データを受信して」格納する「画像データベース92」は、「保管期間」を有するから、補正発明1の「一時保存部」に相当するといえ、引用発明の「画像データベース92」に「画像提供データ」を格納するのを司る部分は、補正発明1の「上記コンテンツと上記ユーザの宛先とを対応付けて一時保存部に一時的に保存させる実行部」に相当するといえる。
引用発明の「画像データベース92に保管している画像のうち、保管期間が7日間を超えている画像データが存在する」ことの判断を司る部分は、補正発明1の「上記一時保存部において、上記コンテンツの残存保存期間が所定の期間よりも短いか否かを判定する残存保存期間判定部」に相当するといえる。
引用発明の「画像データベース92に保管している画像のうち、保管期間が7日間を超えている画像データが存在すると、その画像データの利用者に対して、会員登録を促すメールを送信」することを司る部分は、補正発明1の「上記残存保存期間判定部が、上記コンテンツの残存保存期間が上記所定の期間よりも短いと判定し、かつ、上記保存状態判定部が上記コンテンツが上記各ユーザ専用の記憶領域に保存されていないと判定した場合、上記コンテンツに対応する上記ユーザの宛先に上記コンテンツの保存状態を通知する送信部」と「上記残存保存期間判定部が、上記コンテンツの残存保存期間が上記所定の期間よりも短いと判定した場合、上記コンテンツに対応する上記ユーザの宛先に上記コンテンツに関して通知する送信部」である点では共通するといえる。
引用発明の「管理サーバ90」は、補正発明1の「管理装置」に相当する。

したがって、両者は、以下の一致点と相違点とを有する。
<一致点>
「コンテンツ提供装置が生成した撮影画像であるコンテンツと、上記コンテンツ提供装置にて入力され上記コンテンツと対応付けられている、ユーザの宛先とを受信する受信部と、
上記コンテンツと上記ユーザの宛先とを対応付けて一時保存部に一時的に保存させる実行部と、
上記一時保存部において、上記コンテンツの残存保存期間が所定の期間よりも短いか否かを判定する残存保存期間判定部と、
上記残存保存期間判定部が、上記コンテンツの残存保存期間が上記所定の期間よりも短いと判定した場合、上記コンテンツに対応する上記ユーザの宛先に上記コンテンツに関して通知する送信部とを備える、
ことを特徴とする管理装置。」

<相違点1>
補正発明1は、「上記コンテンツが、各ユーザ専用の記憶領域に保存されたか否かを判定する保存状態判定部」を備え、「送信部」が「上記残存保存期間判定部が、上記コンテンツの残存保存期間が上記所定の期間よりも短いと判定し、かつ、上記保存状態判定部が上記コンテンツが上記各ユーザ専用の記憶領域に保存されていないと判定した場合、上記コンテンツに対応する上記ユーザの宛先に上記コンテンツの保存状態を通知する」のに対し、引用発明は、上記のような「保存状態判定部」を備えておらず、「送信部」がメールを通知するのが、「上記保存状態判定部が上記コンテンツが上記各ユーザ専用の記憶領域に保存されていないと判定」した場合ではなく、通知するのは「コンテンツの保存状態」ではない点。

<相違点2>
補正発明1は、「上記保存状態判定部は、上記コンテンツが上記各ユーザ専用の記憶領域に保存されたときに情報が更新される上記コンテンツの保存履歴を参照して、上記コンテンツが上記各ユーザ専用の記憶領域に保存されたか否かを判定する」のに対し、引用発明は、そのような「保存状態判定部」を備えていない点。

ウ.判断
上記相違点1について検討する。
引用発明は、「写真シール自動販売機1の制御端末10によりデジタルカメラ17で撮像され」た「撮像画像」の「画像データの利用者に対して、会員登録を促すメールを送信」するものであるから、の「スキャンしたデータのダウンロード期限から所定時間前に」「全てのユーザ端末がダウンロードを完了していない」場合に「ダウンロード状況」を全ユーザ端末にメールで通知する引用文献2記載の技術を適用する動機付けはない。
また、引用文献2記載の技術は、「スキャンしたデータのダウンロード期限から所定時間前に全てのユーザ端末がダウンロードを行ったか否かを判断」し、「全てのユーザ端末がダウンロードを完了していない」場合に「ダウンロード状況」を全ユーザ端末にメールで通知しているが、「全てのユーザ端末がダウンロードを完了していない」ことを判断することは、補正発明1の「上記コンテンツが各ユーザ専用の記憶領域に保存されていない」と判定するものではなく、「ダウンロード状況」を全ユーザ端末にメールで通知することが、補正発明1の「上記コンテンツに対応する上記ユーザの宛先に上記コンテンツの保存状態を通知する」ことに相当するといえないから、上記相違点1に係る補正発明1の構成は記載されておらず、示唆されているともいえない。
したがって、引用発明において、引用例2記載の技術を採用することができたとしても、そのことによって上記相違点1を克服することが当業者にとって容易であったということはできない。

拒絶査定において引用された他の引用文献には、上記相違点1に係る補正発明1の構成は記載されておらず、示唆されてもいない。

また、上記相違点1に係る補正発明1の構成が周知技術であったともいえない。

ほかに、引用発明において上記相違点1に係る補正発明1の構成を採用することが、当業者が容易に想到し得たことというべき理由は見当たらない。

以上のとおりであるから、上記相違点2を検討するまでもなく、補正発明1は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

ほかに、補正発明1を特許出願の際独立して特許を受けることができないものというべき理由を発見しない。

よって、本件補正の補正事項1は、特許法第17条の2第6項において準用する同法126条第7項の規定に適合する。

(2)補正事項2について
本件補正の補正事項2は、補正事項1と同様の内容であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また、特許法第17条の2第3項、第4項に違反するところはない。
そして、本件補正後の前記請求項13に記載された発明(以下、「補正発明13」という。)は、補正発明1を制御方法として表現したものであり、補正発明1と同様に引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

よって、補正事項2についても、補正事項1と同様に、特許法第17条の2第6項において準用する同法126条第7項の規定に適合する。

3.むすび
以上のとおりであるから、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合する。

第3 本願発明
本件補正は、上記のとおり、特許法第17条の2第3項ないし第6項の規定に適合するから、本願の請求項1?13に係る発明は、本件補正により補正された特許請求の範囲の請求項1?13に記載された事項により特定されるとおりのものである。

そして、補正発明1、補正発明13は、上記第2の2.のとおり、当業者が引用発明に基づいて容易に発明をすることができたものではない。
また、請求項1に係る発明を直接又は間接的に引用する請求項2?12に係る発明は、請求項1に係る発明をさらに限定した発明であるから、当業者が引用発明に基づいて容易に発明をすることができたものではない。

したがって、本願については、原査定の拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2017-02-21 
出願番号 特願2014-195810(P2014-195810)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G06F)
P 1 8・ 575- WY (G06F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 宮久保 博幸  
特許庁審判長 高瀬 勤
特許庁審判官 土谷 慎吾
和田 志郎
発明の名称 管理装置および管理装置の制御方法  
代理人 村上 尚  

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