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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 取り消して特許、登録 G06F
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F
管理番号 1325272
審判番号 不服2016-9662  
総通号数 208 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-04-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-06-29 
確定日 2017-03-07 
事件の表示 特願2011-278047「表示装置、プロジェクター、画像表示方法及び表示システム」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 7月 4日出願公開、特開2013-130915、請求項の数(10)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成23年12月20日の出願であって、平成28年3月29日付けで拒絶査定がされ、これに対し、平成28年6月29日に拒絶査定不服審判が請求され、同時に手続補正がされたものである。

第2 平成28年6月29日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)の適否
1.補正の内容
(1)請求項1について
本件補正は、特許請求の範囲の請求項1を、
「【請求項1】
画像が表示される表示面に対して指示体により指示した指示位置を検出する検出手段と、
前記指示体を判別する判別手段と、
前記判別手段により判別された指示体毎の操作領域を設定する設定手段と、
前記表示面に画像を表示する表示手段と、
前記判別手段により判別された指示体により指示されて前記検出手段により検出された前記指示位置の軌跡を示す画像を、当該指示体に対応する前記操作領域に表示するように前記表示手段を制御する表示制御手段と、を備え、
前記検出手段は、前記指示体から照射された光を撮像して、前記指示位置を特定し、
前記判別手段は、前記指示体から照射された光の照射パターン、または前記指示体から照射された光の波長に基づいて前記指示体を判別し、
前記表示制御手段は、前記指示体による前記指示位置が、対応する前記操作領域内に位置している場合であって、前記指示位置と前記操作領域の境界との距離が所定の閾値以下となった場合に、その旨を報知する
ことを特徴とする表示装置。」(下線は補正箇所を示す。)
とする補正(以下、「補正事項1」という。)を含んでいる。

(2)請求項8について
本件補正は、特許請求の範囲の請求項8を、
「【請求項8】
画像が投射されて表示される表示面に対して指示体により指示した指示位置を検出する検出手段と、
前記指示体を判別する判別手段と、
前記判別手段により判別された指示体毎の操作領域を設定する設定手段と、
光を投射することによって前記表示面に画像を表示する表示手段と、
前記設定手段により設定された操作領域を含む画像を前記表示手段に表示させる表示制御手段であって、前記判別手段により判別された指示体により指示されて前記検出手段により検出された前記指示位置の軌跡を示す画像を当該指示体の前記操作領域に表示させる表示制御手段と、を備え、
前記検出手段は、前記指示体から照射された光を撮像して、前記指示位置を特定し、
前記判別手段は、前記指示体から照射された光の照射パターン、または前記指示体から照射された光の波長に基づいて前記指示体を判別し、
前記表示制御手段は、前記指示体による前記指示位置が、対応する前記操作領域内に位置している場合であって、前記指示位置と前記操作領域の境界との距離が所定の閾値以下となった場合に、その旨を報知する
ことを特徴とするプロジェクター。」(下線は補正箇所を示す。)
とする補正(以下、「補正事項2」という。)を含んでいる。

(3)請求項9について
本件補正は、特許請求の範囲の請求項9を、
「【請求項9】
画像が表示される表示面に対して指示体により指示した指示位置を検出する検出ステップと、
前記指示体を判別する判別ステップと、
前記判別ステップにより判別された指示体毎の操作領域を設定する設定ステップと、
前記設定ステップにより設定された操作領域を含む画像を前記表示面に表示させる表示ステップであって、前記判別ステップにより判別された指示体により指示されて前記検出ステップにより検出された前記指示位置の軌跡を示す画像を当該指示体の前記操作領域に表示させる表示ステップと、を有し、
前記検出ステップでは、前記指示体から照射された光を撮像して、前記指示位置を特定し、
前記判別ステップでは、前記指示体から照射された光の照射パターン、または前記指示体から照射された光の波長に基づいて前記指示体を判別し、
前記表示ステップでは、前記指示体による前記指示位置が、対応する前記操作領域内に位置している場合であって、前記指示位置と前記操作領域の境界との距離が所定の閾値以下となった場合に、その旨を報知する
ことを特徴とする画像表示方法。」(下線は補正箇所を示す。)
とする補正(以下、「補正事項3」という。)を含んでいる。

2.補正の適否
(1)補正事項1について
本件補正の補正事項1は、補正前の請求項1における「表示制御手段」について「前記指示体による前記指示位置が、対応する前記操作領域内に位置している場合であって、前記指示位置と前記操作領域の境界との距離が所定の閾値以下となった場合に、その旨を報知する」と限定するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また、特許法第17条の2第3項、第4項に違反するところはない。
そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「補正発明1」という。)が特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について以下に検討する。

(ア)引用文献・引用発明
原査定の拒絶の理由に引用された特開2010-20616号公報(以下、「引用例」という。)には、図とともに以下の事項が記載されている。(下線は当審で注目する点を示す。)
a.「【0017】
図1は、本発明のコンテンツ表示装置の装置構成の実施形態を示すブロック図である。図1に示すコンテンツ表示装置10は、撮影装置により撮影された画像などのコンテンツの表示、編集、注文などに関するアプリケーションの操作画面を表示するものであり、複数のユーザが同一の画面において同時に操作を行うためのものである。
【0018】
ここで、コンテンツとは、静止画、動画、画像の装飾などに用いる部品としての画像などの画像データや、音声データ、音楽データなど、デジタルで取り扱うことのできる全てのデータを含む。
以下の本実施例では、コンテンツとして静止画の画像データを用いた場合を一例にとって説明するが、本発明は、静止画の画像データに限らず、他のコンテンツであっても、同様に用いることができる。
【0019】
コンテンツ表示装置10は、ユーザが画像の編集や注文の指示を行うための操作部12、および、アプリケーションの操作画面を表示すると共に操作部12からの指示に応じた処理を実行する画像処理部14を有する。
【0020】
画像処理部14は、ユーザ情報取得手段16、画面分割手段18、指示取得手段20、画像格納手段22、処理実行手段24、および表示手段26を有する。
【0021】
操作部12は、コンテンツ表示装置10において、ユーザが画像の編集や注文などを実行する際に、表示手段26の画面上で実行指示を行うものである。
操作部12の具体的な態様には特に限定はなく、リモートコントローラや携帯端末、マウス、タッチペンなど、公知の各種の操作機器を用いればよい。
【0022】
操作部12は少なくとも2つ以上存在しており、各ユーザごとに割り当てられている。また、操作部12には、予め、それを使用するユーザのユーザ情報が設定されている。これにより、画像処理部14では、操作部12を操作しているユーザを識別する。なお、本発明では、一人のユーザが複数の操作部12を使用してもよい。
ユーザが表示手段26上で画像処理部14に指示を行うと、操作部12は、指示情報と共に自身が有するユーザ情報を、画像処理部14の指示取得手段20に送信することにより、編集や注文などの指示を行う。なお、操作部12の操作は、表示手段26上に各操作部ごとに表示されるポインタの動きと連動しており、ユーザは、ポインタの位置や動きを見ながら、操作部12を操作する。
【0023】
ユーザ情報取得手段16は、操作部12が有する、操作部12のユーザのユーザ情報を取得するものである。
ユーザ情報は、複数のユーザがアプリケーションの操作を行う場合に、画像処理部14において、操作部12より受けた指示がどのユーザによる操作であるかを識別するための、各ユーザに固有のユーザ識別情報と、画像処理部14の表示手段26を基準とした場合のユーザの位置情報を含む。また、この他にも、ユーザの顔画像や、年齢、身長などのデータを含んでいてもよい。
ユーザ情報の取得方法については、特に限定はなく、公知の各種の方法を用いればよい。
ユーザ情報取得手段16は、所定の時間間隔で、定期的にユーザ情報を取得する。
【0024】
例えば、ユーザ識別情報の取得方法としては、予め、各操作部12に、それを操作するユーザのユーザ識別情報を設定しておき、操作部12を操作することで、ユーザ識別情報を画像処理部14に送信する。または、予め、画像処理部14などに、各ユーザのユーザ識別情報とユーザの顔画像とを対応付けて記憶しておき、操作部12を操作しているユーザをカメラで撮影し、ユーザの顔を検出して、顔認証によりユーザを認識して、ユーザに対応するユーザ識別情報を取得してもよい。
【0025】
また、位置情報の取得方法は、例えば、画像処理部14付近にカメラを設置して、これにより操作部12を撮影することで、操作部12の画像処理部14からの距離や位置を検知すればよい。あるいは、カメラで操作部12を操作しているユーザを撮影し、ユーザの顔を検出して、顔の大きさなどから、ユーザの画像処理部14からの位置や距離を検知してもよい。または、操作部12自身が、表示手段26からの距離を検知できる機能を備えていてもよい。さらに、操作部12がタッチペンやタッチパネルである場合には、予め、操作部12の動きを操作パターンとして、ユーザごとに設定し、各ユーザのユーザ識別情報とユーザの操作パターンとを対応付けて記憶しておき、操作部12でなされた動き(操作パターン)に基づいて、ユーザに対応するユーザ識別情報を取得してもよい。
【0026】
また、ユーザ情報取得手段16は、検知したユーザ識別情報の数から、操作を行うユーザの人数を検知することができる。
ユーザ情報取得手段16は、取得したユーザ情報およびユーザ数の情報を、画面分割手段18に送信する。
【0027】
画面分割手段18は、ユーザ情報取得手段16から受信したユーザ情報およびユーザ人数の情報に基づいて、表示手段26の画面をユーザごとの領域に分割表示させるための制御を行うものである。
画面の分割方法、および、各分割領域への表示内容については、後に詳述する。」

b.「【0030】
処理実行手段24は、画像格納手段22に格納されている画像データの中から、表示手段26に表示する画像を選択して表示を行う。画像の選択は、ユーザ情報取得手段16において取得したユーザ識別情報に基づいて行う。
また、指示取得手段20において取得した指示情報およびこれに対応するユーザ識別情報に基づいて、表示画像の編集や注文などの処理を行う。
【0031】
表示手段26は、アプリケーションにおいて、画像データの編集や注文などを行うための操作画面を表示するものである。ユーザは、表示手段26を見ながら、操作部12を用いて、画面上でアプリケーションの操作を行う。」

c.「【0050】
次に、上述の方法により画面分割したされたユーザごとの各領域における画像の表示方法について詳述する。本発明では、分割した各領域は各ユーザに対応しており、各ユーザに応じた画面表示を行う。
【0051】
図10に、ユーザごとの画面表示の一例を示す。ここでは、一例として、画像のプリント注文を行う場合の画面表示を行う場合について説明する。
図10では、ユーザAおよびBについて、ユーザ情報に基づいて画面を分割し、画面の左半分をユーザA、右半分をユーザBの操作画面としている。
【0052】
画面分割が終了すると、処理実行手段24は、画像格納手段22に格納されている画像群のサムネイル画像を、ユーザAおよびBの各領域にそれぞれ表示する。なお、ユーザAおよびBの操作領域において、表示されている画像は同一のものである。
さらに、処理実行手段24は、ユーザ情報取得手段16が受信したユーザ情報に基づいて、表示する画像のうち、各ユーザに関連する画像を識別して、抽出する。
【0053】
画像の抽出は、例えば、画像の顔検出に基づいて行えばよい。つまり、処理実行手段24において、各画像データの顔検出および顔認識処理を行う。さらに、ユーザ情報としてユーザ情報取得手段16において取得した、各ユーザの顔画像と、各画像データにおいて検出された顔とを照合して、そのユーザが写っていると認識された画像を、そのユーザの関連画像として抽出する。
または、初めに画像格納手段22にプリント注文のための画像データをアップロードした(所有していた)ユーザのユーザ識別情報を、各画像データと対応付けて記憶しておき、これに基づいて、ユーザがアップロードした画像は、そのユーザの関連画像として識別して、これを抽出してもよい。
あるいは、操作部12が携帯電話などの撮影機器の付属した端末である場合には、操作部12でユーザの顔画像を撮影し、これをユーザ情報として使用してもよい。
【0054】
ユーザに関連する画像が抽出されると、表示手段26の各ユーザの操作領域において、各領域を操作するユーザに関連する画像を強調表示する(ステップS22)。
強調表示は、例えば図10に示すように、ユーザ毎に異なる種類の枠で画像を囲って表示する。図10では、画面の左半分はユーザAの操作領域であるので、左側の領域内の画像のうち、ユーザAに関連する画像を、太枠で囲んで表示する。同様に、画面の右半分はユーザBの操作領域なので、この領域内の画像のうち、ユーザBに関連する画像を、破線の枠で囲んで表示する。
このように、各ユーザに関連する画像を強調表示することにより、各ユーザが、自身に関連する画像を探し易くなり、プリント注文を行う画像をスムーズに選択することができる。
【0055】
画像の強調表示は、枠のデザインを変える以外にも、枠の色を変えて表示したり、該当する画像の隅や、画像付近にマークを表示したり、または、該当する画像を、他の画像よりも大きいサイズで拡大表示するなど、関連画像とそうでない画像との区別がつくような方法であれば、どのような表示方法を行ってもよい。
ユーザは、画面上で、プリント注文を行う画像を選択する。選択が終了すると、操作部12を用いて、画像処理部14に画像選択の完了を通知する(ステップS24)。画像処理部14では、完了の通知を受信すると、選択された画像をプリント注文に供する。」

上記下線部の記載によれば、引用例には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。
「コンテンツ表示装置10は、ユーザが画像の編集や注文の指示を行うための操作部12、および、アプリケーションの操作画面を表示すると共に操作部12からの指示に応じた処理を実行する画像処理部14を有し、
前記画像処理部14は、ユーザ情報取得手段16、画面分割手段18、指示取得手段20、画像格納手段22、処理実行手段24、および表示手段26を有し、
前記操作部12は少なくとも2つ以上存在しており、ユーザごとに割り当てられ、操作部12には、予め、それを使用するユーザのユーザ情報が設定されており、ユーザが表示手段26上で画像処理部14に指示を行うと、操作部12は、指示情報と共に自身が有するユーザ情報を、画像処理部14の指示取得手段20に送信することにより、編集や注文などの指示を行うものであり、タッチペンを用いてもよく、操作部12の操作は、表示手段26上に操作部ごとに表示されるポインタの動きと連動しており、ユーザは、ポインタの位置や動きを見ながら、操作部12を操作でき、
ユーザ情報は、複数のユーザがアプリケーションの操作を行う場合に、画像処理部14において、操作部12より受けた指示がどのユーザによる操作であるかを識別するための、各ユーザに固有のユーザ識別情報と、画像処理部14の表示手段26を基準とした場合のユーザの位置情報を含み、
ユーザ情報取得手段16は、操作部12が有する、操作部12のユーザのユーザ情報を取得するものであり、検知したユーザ識別情報の数から、操作を行うユーザの人数を検知することができ、
画面分割手段18は、ユーザ情報取得手段16から受信したユーザ情報およびユーザ人数の情報に基づいて、表示手段26の画面をユーザごとの領域に分割表示させるための制御を行うものであり、分割した各領域は各ユーザに対応しており、
画面分割が終了すると、処理実行手段24は、画像格納手段22に格納されている画像群の画像を、各領域にそれぞれ表示し、さらに、ユーザ情報取得手段16が受信したユーザ情報に基づいて、表示する画像のうち、各ユーザに関連する画像を識別して抽出し、表示手段26の各ユーザの操作領域において、各領域を操作するユーザに関連する画像を強調表示するコンテンツ表示装置10。」

(イ)対比
補正発明1と引用発明とを対比する。
・引用発明の「表示手段26の画面」は、補正発明1の「画像が表示される表示面」に相当する。
・引用発明の「操作部12」は「タッチペンを用いてもよい」ものであるから、補正発明1の「指示体」に相当する。
・引用発明は、「操作部12の操作は、表示手段26上に操作部ごとに表示されるポインタの動きと連動しており、ユーザは、ポインタの位置や動きを見ながら、操作部12を操作」できるものであるから、表示手段26の画面に対して操作部12により指示した指示位置を検出する検出手段を有することは明かであり、当該検出手段は、補正発明1の「画像が表示される表示面に対して指示体により指示した指示位置を検出する検出手段」に相当するといえる。
・引用発明の「ユーザ情報取得手段16」は、「操作部12が有する、操作部12のユーザのユーザ情報を取得するもの」であるから、補正発明1の「前記指示体を判別する判別手段」に相当するといえる。
・引用発明の「画面分割手段18」は、「ユーザ情報取得手段16から受信したユーザ情報およびユーザ人数の情報に基づいて、表示手段26の画面をユーザごとの領域に分割表示させるための制御を行うものであり、分割した各領域は各ユーザに対応して」いるから、補正発明1の「前記判別手段により判別された指示体毎の操作領域を設定する設定手段」に相当するといえる。
・引用発明の「処理実行手段24」は、「画像格納手段22に格納されている画像群の画像を、各領域にそれぞれ表示」するから、補正発明1の「前記表示面に画像を表示する表示手段」に相当するといえる。
・引用発明の「コンテンツ表示装置10」は、補正発明1の「表示装置」に相当する。

したがって、両者は、以下の一致点と相違点とを有する。
<一致点>
「画像が表示される表示面に対して指示体により指示した指示位置を検出する検出手段と、
前記指示体を判別する判別手段と、
前記判別手段により判別された指示体毎の操作領域を設定する設定手段と、
前記表示面に画像を表示する表示手段と、を備え、
ることを特徴とする表示装置。」

<相違点1>
補正発明1では、「検出手段」が「前記指示体から照射された光を撮像して、前記指示位置を特定」し、「判別手段」が、「前記指示体から照射された光の照射パターン、または前記指示体から照射された光の波長に基づいて前記指示体を判別」するのに対し、引用発明は、そのような検出手段及び判別手段の特定はない点。

<相違点2>
補正発明1は、「前記判別手段により判別された指示体により指示されて前記検出手段により検出された前記指示位置の軌跡を示す画像を、当該指示体に対応する前記操作領域に表示するように前記表示手段を制御する表示制御手段」を備えるのに対し、引用発明は、操作部12の指示位置の軌跡を示す画像を表示する表示制御手段を備えていない点。

<相違点3>
補正発明1は、「前記表示制御手段は、前記指示体による前記指示位置が、対応する前記操作領域内に位置している場合であって、前記指示位置と前記操作領域の境界との距離が所定の閾値以下となった場合に、その旨を報知する」のに対し、引用発明は、そのような表示制御手段を備えていない点。

(ウ)判断
上記相違点2、3について検討する。
拒絶査定および前置報告書において引用された他の文献には、上記相違点2、3に係る補正発明1の構成は記載されておらず、示唆されてもいない。

また、上記相違点2、3に係る補正発明1の構成が周知技術であったともいえない。

ほかに、引用発明において上記相違点2、3に係る補正発明1の構成を採用することが、当業者が容易に想到し得たことというべき理由は見当たらない。

以上のとおりであるから、補正発明1は、上記相違点1を検討するまでもなく、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

ほかに、補正発明1を特許出願の際独立して特許を受けることができないものというべき理由を発見しない。
よって、本件補正の補正事項1は、特許法第17条の2第6項において準用する同法126条第7項の規定に適合する。

(2)補正事項2について
本件補正の補正事項2は、補正事項1と同様の内容であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また、特許法第17条の2第3項、第4項に違反するところはない。
そして、本件補正後の前記請求項8に記載された発明(以下、「補正発明8」という。)は、補正発明1をプロジェクターとして表現したものであるから、補正発明1と同様に引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。
よって、補正事項2についても、補正事項1と同様に、特許法第17条の2第6項において準用する同法126条第7項の規定に適合する。

(3)補正事項3
本件補正の補正事項3は、補正事項1と同様の内容であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また、特許法第17条の2第3項、第4項に違反するところはない。
そして、本件補正後の前記請求項9に記載された発明(以下、「補正発明9」という。)は、補正発明1を画像表示方法として表現したものであるから、補正発明1と同様に引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。
よって、補正事項3についても、補正事項1と同様に、特許法第17条の2第6項において準用する同法126条第7項の規定に適合する。

3.むすび
以上のとおりであるから、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合する。

第3 本願発明
本件補正は、上記のとおり、特許法第17条の2第3項ないし第6項の規定に適合するから、本願の請求項1?10に係る発明は、本件補正により補正された特許請求の範囲の請求項1?10に記載された事項により特定されるとおりのものである。

そして、補正発明1、補正発明8、補正発明9は、上記第2の2.のとおり、当業者が引用発明に基づいて容易に発明をすることができたものではない。
また、請求項1に係る発明を直接又は間接的に引用する請求項2?7、10に係る発明は、請求項1に係る発明をさらに限定した発明であるから、当業者が引用発明に基づいて容易に発明をすることができたものではない。

したがって、本願については、原査定の拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2017-02-21 
出願番号 特願2011-278047(P2011-278047)
審決分類 P 1 8・ 575- WY (G06F)
P 1 8・ 121- WY (G06F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 円子 英紀  
特許庁審判長 高瀬 勤
特許庁審判官 山澤 宏
和田 志郎
発明の名称 表示装置、プロジェクター、画像表示方法及び表示システム  
代理人 渡辺 和昭  
代理人 西田 圭介  
代理人 仲井 智至  

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