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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 取り消して特許、登録 G06F
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F
管理番号 1325346
審判番号 不服2016-10787  
総通号数 208 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-04-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-07-15 
確定日 2017-03-07 
事件の表示 特願2014-543620「電子ペーパー画面上の増分ページ遷移」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 6月 6日国際公開、WO2013/082135、平成27年 2月26日国内公表、特表2015-506013、請求項の数(15)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1.手続の経緯

本願は、2012年11月28日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2011年11月28日 米国)を国際出願とする出願であって、平成27年8月25日付けで拒絶理由が通知され、同年11月30日付けで手続補正がなされたが、平成28年3月10日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年7月15日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。


第2.平成28年7月15日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)の適否

1.補正の内容
(1)請求項1について
本件補正は、補正前の特許請求の範囲の請求項1を、

「【請求項1】
コンテンツをレンダリングするように構成され、複数の画素を含む、電子ペーパー画面と、
前記電子ペーパー画面上にレンダリングされたコンテンツを更新するように構成される、画面制御器と、
フレームバッファであって、前記画面制御器が当該フレームバッファから前記電子ペーパー画面上の前記コンテンツを更新する、フレームバッファと、
1つ以上のプロセッサと、
コンピュータで実行可能な命令を格納する1つ以上のコンピュータ可読媒体であって、前記命令は、1つ以上のプロセッサ上で実行されたとき、前記1つ以上のプロセッサに、
電子書籍の第1のページから前記電子書籍の第2のページへと操縦することを求める要求を受け取るステップと、
前記要求を受け取ることに少なくとも部分的に応答して、前記フレームバッファを前記第2のページに対応する画素値で満たし、および前記画面制御器に逐次的な命令を発行することによって、前記電子書籍の前記第1のページから前記電子書籍の前記第2のページへと遷移するステップであって、各逐次的な命令ごとに、前記第1のページを表示している画素のセットを、前記フレームバッファ中の、前記電子書籍の前記第2のページに対応する前記画素値のサブセットにより更新し、前記第2のページをレンダリング中のある時点において利用可能な前記更新の数に少なくとも部分的に基づいて、前記画素値のサブセットのサイズが変更される、ステップと、
を含む動作を実行させる、コンピュータ可読媒体と
を備えたことを特徴とする電子書籍リーダデバイス。」

とする補正(以下、「補正事項1」という。)を含んでいる。(下線は補正事項を示している。)

(2)請求項11について
本件補正は、補正前の特許請求の範囲の請求項11を、

「【請求項11】
電子ペーパー画面を含み、および実行可能な命令とともに構成される、電子デバイスの制御下で、
前記電子ペーパー画面上のコンテンツ項目の第1の部分をレンダリングするステップと、
前記電子ペーパー画面上のコンテンツ項目の、異なる第2の部分をレンダリングするための要求を受け取るステップであって、前記コンテンツ項目の前記第2の部分は、前記電子ペーパー画面の画素のセットに対応する、ステップと、
前記要求を受け取ることに少なくとも部分的に応答して、フレームバッファを前記第2の部分に対応する画素値で満たし、および前記電子ペーパー画面が前記コンテンツ項目の前記第2の部分に対応する前記フレームバッファからのそれぞれの画素値をレンダリングするまで、前記電子ペーパー画面の前記画素のセットを、前記フレームバッファ中の対応する前記画素値のサブセットによって、逐次的に更新するステップであって、前記第2の部分をレンダリング中のある時点において利用可能な前記更新の数に少なくとも部分的に基づいて、前記対応する前記画素値のサブセットの特性が変更される、ステップと
を含むことを特徴とする方法。」

とする補正(以下、「補正事項2」という。)を含んでいる。

2.補正の適否
(1)補正事項1について
本件補正のうち上記補正事項1は、補正前の請求項1に記載された「前記電子書籍の前記第2のページに対応する前記画素値のサブセットにより更新する、ステップ」に、「前記第2のページをレンダリング中のある時点において利用可能な前記更新の数に少なくとも部分的に基づいて、前記画素値のサブセットのサイズが変更される」点を付加して限定したものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

また、特許法第17条の2第3項、第4項に違反するところはない。

ア.請求項1について
そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「補正発明1」という。)が特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について以下に検討する。

a.引用例の記載事項

原査定の拒絶の理由に引用された特開平11-134351号公報(以下、「引用例1」という。)には、次の記載がある。(下線は当審において付加した。)

(a)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子化されたドキュメントをあたかも書籍のように閲覧することのできる電子ブック装置に関する。特に、ドキュメントをイメージデータとして電子化したデータ、及びメディアを再生しディスプレーに表示する電子ブック表示制御装置に関する。」(1頁2欄)

(b)「【0019】
【発明の実施の形態】図1は請求項1に記載の電子ブック表示制御装置に関する本発明の実施例を示すブロック図である。1は装置全体の制御を行うCPUであり、2は書籍の内容を画像データとして記憶した画像データ記憶部であり、3は上記画像データを取り込み所望の制御を行う画像データ制御部であり、4は現表示ページ及び次表示ページの画像データを格納する表示準備用画像データ記憶部であり、5は書籍内容の画像データ及び電子ブックの操作に関する情報を表示する表示部であり、6は上記表示部を制御する表示制御部であり、7は上記表示部に表示するデータを格納する表示用画像データ記憶部であり、8はユーザが電子ブックを操作するための入力部であり、9はページ切り替え期間中の特定の時刻に表示部に表示されるデータを記憶するページ切り替えデータ記憶部であり、10は上記ページ切り替えデータの列情報を格納する列情報格納テーブルであり、11は上記列情報から表示準備用画像データ記憶部のアドレス及び現表示ページ及び次表示ページの画像データを選択する選択手段を含む表示切り替え制御部である。なお、本発明における次表示ページは、書籍上のページでは、次のページであったり、1ページ前のページであったり、現表示ページから数ページ飛んだページであったりする。」(4頁5欄)

(c)「【0020】図2は、上記ページ切り替えデータ記憶部に記載された、ページ切り替えデータの例を示した図である。まず初めに、図中の縦軸のT0?Tqについて説明する。ここでqは表示されるページ切り替えのシーンの数を表すものである。T0?Tqはページ切り替え期間中の各シーンが表示される時刻を表しており、各時刻を4ページの見開きの書籍を例にとって説明する。最初は1,2ページが開かれた状態であり、2ページをめくり3,4ページが開かれる状態にするようなページ切り替えを考える。
【0021】時刻T0はページ切り替え開始の時刻であり、ページ1およびページ2が開かれた状態である。T2は、2ページ目をめくり始めた途中の時刻であり、見開きの半分は1ページ目であり、残りの半分は2ページ目及び4ページ目がある比率で開かれた状態の時刻である。Tqは、さらにページをめくり、見開きの半分は1ページ、他方の半分は4ページが表示される時刻である。さらにページめくりを継続し、ページ見開きの半分が4ページ、他方が1ページ及び3ページがある比率で表示される時刻がTp+2である。Tqはページめくりが終了し、3ページ及び4ページが表示される状態の時刻である。
【0022】また、図2の横軸はページ切り替え期間中の時刻における表示用画像データ記憶部の列番号0?Nを表しており、縦軸と横軸の交差するセルには、現表示ページか次表示ページかをそれぞれA、Bで表した値と、表示用画像データ記憶部の列番号に対応する表示準備用画像データ記憶部の列番号が記載されている。例えば、図3において、時刻T2の3列目の値は(B,3)となっている。これは表示用画像データ記憶部の3列目のデータは次表示ページを記憶した表示準備用画像データメモリの3列目から読み出すという意味である。」(4頁5?6欄)

(d)「【0023】図3は図1の表示切り替え制御部の周辺をさらに細かく記載したブロック図である。14および15は表示準備用画像データ記憶部の中の2種類のメモリであり、本発明ではそれをaメモリ、bメモリとして区別する。図中で図1と同じ番号は図1で定義したものと同じである。21はページ切り替えのシーンを管理するカウンタであり、0から始まり時刻Tqにおけるカウンタの数はqとなる。22は表示用画像データ記憶部のアドレスを繰り返し生成するアドレス生成部であり、表示用画像データ記憶部の左上端から右下端までのアドレスを順に生成する。
【0024】23は列情報格納テーブルを参照し、表示準備用画像データ記憶部のメモリを選択するメモリセレクト部である。すなわちaメモリかbメモリのいずれかを選択する。」(4頁6欄)

(e)「【0025】以下、図4のフローに基づいて表示切替え制御部の制御方式を詳細に説明する。まず、入力装置より次表示ページの表示の要求があるとCPUに前記要求信号が渡され、CPUは前記要求信号を画像データ制御部に伝える。画像データ制御部は前記要求信号に基づいて画像データ記憶部に蓄積された次表示ページの画像データを表示準備用画像データ記憶部のaメモリあるいはbメモリのうち、現表示ページを格納していない方のメモリに読み込む(ステップS1)。これは仮に現表示ページがaメモリに格納されているならば、次表示ページのデータはbメモリに格納するということを意味する。
【0026】上記画像データが読み込まれる時刻はページ切り替えの開始時刻T0であるので、表示切り替え制御部はカウンタの値に0をセットする(ステップS2)。また、時刻がT0であるので、アドレス生成部は表示用画像データのアドレスに最上左端のアドレス(0,0)を設定し、初期化する(ステップS3)。
【0027】次に、表示切り替え制御部はカウンタの値0と、アドレス生成部のx座標の値0を列情報格納テーブルに送る(ステップS4)。次に、表示切り替え制御部は列情報格納テーブルから表示準備用画像データ記憶部の該当するメモリと、x座標を得る(ステップS5)。すなわち、列が0であり、時刻がT0であるので、表示準備用の画像データのメモリはAであり、そのx座標が0であることが導き出される。
【0028】メモリセレクト部は上記の値から表示準備用画像データ記憶部のメモリを選択し、表示切り替え制御部は表示用画像データ記憶部に上記で指定された表示準備用画像データを転送する(ステップS6)。ステップS7は、表示用画像データの表示を完了したか否かを判断するルーチンであり、アドレス生成部で生成されるアドレスが表示用画像データ記憶部のアドレスをすべて走査したらステップS9へ、それ以外はステップS8へ進む。ここで、アドレスの走査が終了するということは、各ページ切り替えの表示用画像データを表示部に表示したとき、画像の左上端から右下端まで全部のアドレスを走査し尽くすという意味であり、走査方向は通常の表示装置の走査方法のように画面の左上端から右下端に向かって進める。
【0029】表示用画像データ記憶部のアドレスの走査を完了しない場合、アドレス生成部はアドレスを進める(ステップS8)。
【0030】一方、アドレスが表示用画像データの走査を完了している場合すなわちカウンタの値cがc≧qを満足するなら、ページ切り替え表示の処理を終了し、次ページ切り替え要求を待つ(ステップS9)。
【0031】cがc<qの場合には、カウンタに定数Kを加える(ステップS10)。ここで、Kは画像表示データの列の飛ばし量を規定するもので、1の場合は間引き無しの全列を、2の場合は1列おきに表示することを表すものである。このKの値は、あらかじめ、表示切り替え制御部で固定しておいても良いし、図1における入力部から観測される情報に基づいて変更してもかまわない。ここで入力部から観測される情報とは例えば入力部に対するストロークの速度や強度、ジェスチャなどである。観測される情報によって、ページ切り替えの速度や程度を制御することが可能になる。」(4頁6欄?5頁7欄)


上記引用例1の記載及び図面並びにこの分野の技術常識を考慮すると、

上記(e)の段落【0028】の記載によれば、「表示部」にページ切り替えの各シーンの表示用画像データを表示する時は、画像の左上端から右下端まで全部のアドレスを走査するものであり、また、上記(b)の段落【0019】の記載、及び図1を参照すると、「表示制御部」が「表示部」の制御を行うものであり、「表示用画像データ記憶部」のデータを「表示部」に表示しているものと認められる。
したがって、引用例1には、表示部に各ページ切り替え表示用画像データを表示する時は、表示制御部が画像の左上端から右下端まで全部のアドレスを走査し表示することが記載されているといえる。
上記(e)の段落【0025】?【0031】、及び図4の記載によれば、入力装置より次表示ページの表示の要求があるとCPUに前記要求信号が渡され、前記CPUは前記要求信号を前記画像データ制御部に伝えるものである。そして、前記表示切り替え制御部は、各カウンタの値毎に、表示用画像データのアドレスが全て走査されるまで、前記ページ切り替えデータ記憶部の前記ページ切り替えデータを参照し、画像表示データの各列に、表示準備用画像データ記憶部の現表示ページA及び列番号と、次表示ページB及び列番号のいずれか、を選択する、「ステップS4」から「ステップS7」の行程が繰り返すことで、画像表示データを作成している。
また、段落【0023】の記載によれば、カウンタはページの切り替えシーンを管理するものである。
したがって、前記入力装置より次表示ページの表示の要求があると前記CPUに前記要求信号が渡され、前記CPUは前記要求信号を前記画像データ制御部に伝え、前記表示切り替え制御部は前記要求信号に基づいてページ切り替え期間中のシーン毎に、前記ページ切り替えデータ記憶部の前記ページ切り替えデータを参照することによって、各シーン毎の前記表示用画像データの列に応じて前記表示準備用画像データ記憶部の現表示ページA及び列番号と、次表示ページB及び列番号、を選択し、各シーン毎の前記表示用画像データを作成する、ことが記載されているといえる。

以上総合すると、引用例1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているといえる。

〈引用発明〉

「装置全体の制御を行うCPUと、書籍内容を画像データとして記憶した画像データ記憶部と、前記画像データを取り込み所望の制御を行う画像データ制御部と、現表示ページA及び次表示ページBの画像データを格納する表示準備用画像データ記憶部と、書籍内容の画像データ及び電子ブックの操作に関する情報を表示する表示部と、前記表示部を制御する表示制御部と、前記表示部に表示するデータを格納する表示用画像データ記憶部と、ユーザが電子ブックを操作するための入力部と、ページ切り替え期間中の特定の時刻に表示部に表示されるデータを記憶するページ切り替えデータ記憶部と、前記ページ切り替えデータの列情報を格納する列情報格納テーブルと、前記列情報から前記表示準備用画像データ記憶部の現表示ページAの列番号と、次表示ページBの列番号のいずれかを選択する選択手段を含む表示切り替え制御部と、を有する電子ブック表示制御装置であって、
前記ページ切り替えデータ記憶部のページ切り替えデータは、ページ切り替え期間中の各シーンが表示される時刻T0?Tq毎に前記表示用画像データ記憶部の列番号に応じて、表示準備用画像データ記憶部の現表示ページAの列番号と、次表示ページBの列番号のいずれかが記載されており、
前記表示切り替え制御部は、0から始まり時刻Tqにおけるカウンタの数はqとなる、ページ切り替えのシーンを管理するカウンタと、前記表示用画像データ記憶部の左上端から右下端までのアドレスを順に生成するアドレス生成部と、を有し、
前記入力装置より次表示ページの表示の要求があると前記CPUに前記要求信号が渡され、前記CPUは前記要求信号を前記画像データ制御部に伝え、前記表示切り替え制御部は前記要求信号に基づいてページ切り替え期間中のシーン毎に、前記ページ切り替えデータ記憶部の前記ページ切り替えデータを参照することによって、各シーン毎の前記表示用画像データの列に応じて前記表示準備用画像データ記憶部の現表示ページAの列番号と、次表示ページBの列番号のいずれか、を選択し、各シーン毎の前記表示用画像データを作成し、
前記表示部に各ページ切り替えの各シーンの表示用画像データを表示する時は、前記表示制御部が前記表示用画像データ記憶部の画像の左上端から右下端まで全部のアドレスを走査し表示する、
電子ブック表示制御装置。」

b.対比

補正発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。

(a)引用発明の「電子ブック表示制御装置」は、補正発明1の「電子書籍リーダデバイス」に相当する。

(b)引用発明の「書籍内容」は、補正発明1の「コンテンツ」に相当し、引用発明の「表示部」は、「書籍内容の画像データ」を「表示する」ものであり、「表示部」が「画素」を有していることは明らかであるから、引用発明の「表示部」と、補正発明の1「コンテンツをレンダリングするように構成され、複数の画素を含む、電子ペーパー画面」は、「コンテンツをレンダリングするように構成され、複数の画素を含む、表示手段」である点で共通する。

(c)引用発明の「表示制御部」は、「前記表示部にページ切り替えの各シーンの表示用画像データを表示する時は、前記表示制御部が画像の左上端から右下端まで全部のアドレスを走査し表示するものであ」るから、補正発明1の「前記電子ペーパー画面上にレンダリングされたコンテンツを更新するように構成される、画面制御器」と、「前記表示手段上にレンダリングされたコンテンツを更新するように構成される、画面制御器」である点で共通する。

(d)引用発明の「表示用画像データ記憶部」は、「前記表示部に表示するデータを格納する」ものであって、「表示用画像データ記憶部」の「データ」を「表示制御部」が「表示部」に表示するものであるから、引用発明1の「表示用画像データ記憶部」と、補正発明1の「フレームバッファであって、前記画面制御器が当該フレームバッファから前記電子ペーパー画面上の前記コンテンツを更新する、フレームバッファ」とは、「フレームバッファであって、前記画面制御器が当該フレームバッファから前記表示手段上の前記コンテンツを更新する、フレームバッファ」である点で共通する。

(e)引用発明の「CPU」は、補正発明1の「1つ以上のプロセッサ」に相当する。

(f)引用発明の「CPU」は、「装置全体の制御」を行うものであるから、引用発明の「前記入力装置より次表示ページの表示の要求があると前記CPUに前記要求信号が渡され、前記CPUは前記要求信号を前記画像データ制御部に伝え、前記表示切り替え制御部は前記要求信号に基づいてページ切り替え期間中のシーン毎に、前記ページ切り替えデータ記憶部の前記ページ切り替えデータを参照することによって、各シーン毎の前記表示用画像データの列に応じて前記表示準備用画像データ記憶部の現表示ページAの列番号と、次表示ページBの列番号のいずれか、を選択し、各シーン毎の前記表示用画像データを作成し、前記表示部に各ページ切り替えの各シーンの表示用画像データを表示する時は、前記表示制御部が前記表示用画像データ記憶部の画像の左上端から右下端まで全部のアドレスを走査し表示する」する制御(以下、「表示する制御」という。)は、「CPU」が行っているものと認められる。
そして、引用発明の「現表示ページA」、及び「次表示ページB」は、補正発明1の「第1のページ」、及び「第2のページ」に相当し、上記「表示する制御」は、「第1のページ」から「第2のページ」への「ページ切り替え期間中のシーン毎」に「表示用画像データを作成し」、「表示部」に「表示用画像データ」を表示するものでるから、「第1のページ」から「第2のページ」への遷移を表示するものと認められ、さらに、引用発明においては、遷移期間中の各シーン毎に「表示用画像データ」を表示することから、シーン毎に「表示切り替え制御部」及び「画面制御器」に、「表示用画像データを作成」し「表示部」に「表示用画像データ」を表示するための逐次的な命令が出されているものと認められる。
また、通常、制御はコンピュータ(「CPU」)で実行可能な命令で行い、装置は該制御のための命令を格納するためにコンピュータ可読媒体を有するものであるから、引用発明においても、上記「表示する制御」はコンピュータで実行可能な命令で行い、電子ブック表示制御装置は該制御のための命令を格納するためにコンピュータ可読媒体を有し、CPUで該命令が実行されたとき、上記「表示する制御」が行われるものと認められる。
してみれば、引用発明の上記「表示する制御」のための命令を格納したコンピュータ可読媒体と、補正発明1の「コンピュータ可読媒体」とは、「コンピュータで実行可能な命令を格納する1つ以上のコンピュータ可読媒体であって、前記命令は、1つ以上のプロセッサ上で実行されたとき、前記1つ以上のプロセッサに、電子書籍の第1のページから前記電子書籍の第2のページへと操縦することを求める要求を受け取るステップと、前記要求を受け取ることに少なくとも部分的に応答して、前記画面制御器に逐次的な命令を発行することによって、前記電子書籍の前記第1のページから前記電子書籍の前記第2のページへと遷移するステップと、を含む動作を実行させる、コンピュータ可読媒体」である点で共通する。

よって、補正発明1と引用発明は、以下の点で一致、ないし相違している。

(一致点)

「コンテンツをレンダリングするように構成され、複数の画素を含む、表示手段と、
前記表示手段上にレンダリングされたコンテンツを更新するように構成される、画面制御器と、
フレームバッファであって、前記画面制御器が当該フレームバッファから前記表示手段上の前記コンテンツを更新する、フレームバッファと、
1つ以上のプロセッサと、
コンピュータで実行可能な命令を格納する1つ以上のコンピュータ可読媒体であって、前記命令は、1つ以上のプロセッサ上で実行されたとき、前記1つ以上のプロセッサに、
電子書籍の第1のページから前記電子書籍の第2のページへと操縦することを求める要求を受け取るステップと、
前記要求を受け取ることに少なくとも部分的に応答して、前記画面制御器に逐次的な命令を発行することによって、前記電子書籍の前記第1のページから前記電子書籍の前記第2のページへと遷移するステップと、
を含む動作を実行させる、コンピュータ可読媒体と
を備えた電子書籍リーダデバイス。」

(相違点1)
上記「表示手段」が、補正発明1では、「電子ペーパー画面」であるのに対して、引用発明では、そのような特定のない点。

(相違点2)
上記「コンピュータ可読媒体」の「前記電子書籍の前記第1のページから前記電子書籍の前記第2のページへと遷移するステップ」が、補正発明1では、「前記フレームバッファを前記第2のページに対応する画素値で満た」し、「逐次的な命令ごとに、前記第1のページを表示している画素のセットを、前記フレームバッファ中の、前記電子書籍の前記第2のページに対応する前記画素値のサブセットにより更新し、前記第2のページをレンダリング中のある時点において利用可能な前記更新の数に少なくとも部分的に基づいて、前記画素値のサブセットのサイズが変更される、ステップ」であるのに対して、引用発明では、「前記表示切り替え制御部は前記要求信号に基づいてページ切り替え期間中のシーン毎に、前記ページ切り替えデータ記憶部の前記ページ切り替えデータを参照することによって、各シーン毎の前記表示用画像データの列に応じて前記表示準備用画像データ記憶部の現表示ページA及び列番号と、次表示ページB及び列番号、を選択し、各シーン毎の前記表示用画像データを作成し、前記表示部に各ページ切り替えの各シーンの表示用画像データを表示する時は、前記表示制御部が前記表示用画像データ記憶部の画像の左上端から右下端まで全部のアドレスを走査し表示する」点。

c.判断

当審は次のとおり判断する。

下の(a)?(c)に示す理由で、引用発明において上記相違点2に係る補正発明1の構成を採用することは、当業者といえども容易に推考し得たこととはいえない。

(a)引用発明を開示する引用例1には、引用発明において上記相違点2に係る補正発明の構成を採用することについての記載も、それを示唆する記載もない。

(b)原査定のの拒絶の理由に引用された特開2010-204418号公報(以下、「引用例2」という。)には(特に、段落【0002】、【0037】?【0044】、【0047】、【0070】?【0075】、図1、図4?6、図9等参照)、電子ブックの表示装置として、不揮発表示部(「電子ペーパー」に相当。)を用い、CPUによって実行される処理プログラムが、ページめくりを行う際に、表示画像データが記憶される一時記憶領域から、不揮発性表示部の右半分領域に対応するデータのみを読み出し、不揮発表示部の右半分のドライバのみを起動することで、不揮発性表示部の右半分の表示を切り替えたものが記載されている。
ここで、引用発明の「電子ブック表示制御装置」の「表示部」として引用例2の電子ペーパーを適用することは、当業者が容易に想到し得たことと認められるが、引用発明に引用例2を適用しても、電子ペーパーの右半分部分が表示用画像データ記憶部の各シーン毎の表示用画像データの対応するデータで更新されるのものであり、表示用画像データはページ切り替え中の各シーンで異なるものであって、第2のページの画素値のみで満たされたものではなく、さらに、1つの表示用画像データを逐次的な命令でサブセット毎に書き換えるものでもない。
また、原査定の拒絶の理由に引用された特開2009-282433号公報(以下、「引用例3」という。)には(特に、段落【0001】、【0002】、【0024】?【0036】、【0045】?【0048】、図3、図4、図6?図8等参照)、電子ブックの表示装置として、「電子ペーパー」を用い、ページの書き換えを行う際に、電子ペーパーの列電極を順次走査するすることで、右から左に連続的に書き換えていくものが記載されている。
そして、引用発明の「電子ブック表示制御装置」の表示部として引用例3の電子ペーパー適用するすることは、当業者が容易に想到し得たことと認められるが、引用発明に引用例3を適用しても、各シーン毎の表示用画像データによって電子ペーパを右から左に連続的に書き換えていくものであり、表示用画像データは第2のページの画素値のみで満たされたものではなく、さらに、表示用画像データを逐次的な命令でサブセット毎に逐次的に書き換えるものでもない。
したがって、引用発明に引用例2、または引用例3の技術を適用しても、上記相違点2に係る補正発明1の構成は導出されない。

したがって、引用発明において上記相違点2に係る補正発明1の構成を採用することが当業者にとって容易であったとはいえない。

(c)ほかに引用発明において上記相違点2に係る補正発明1の構成を採用することが当業者にとって容易であったといえる根拠は見当たらない。

したがって、補正発明1は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明することができたものとはいえない。

イ.請求項2-10について
補正後の請求項2-10に係る発明は、補正発明1をさらに限定したものであるので、補正発明1と同様に、当業者が引用発明に基づいて容易に発明をすることができたものではない。

よって、補正事項1は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合する。

(2)補正事項2について
ア.請求項11について
本件補正後の前記請求項11に記載された発明は(以下「補正発明11」という。)は、補正後の請求項1に係る補正事項1と同様な点を、及び、補正前の請求項11に記載された「画素値」を、「前記第2の部分に対応する画素値」とする特許請求の範囲を限定的な減縮を目的とする補正事項2を含むものである。
そして、補正発明11は、補正発明1の「電子書籍リーダデバイス」を方法の観点から記載したものであり、補正発明1と同様に、当業者が引用発明に基づいて容易に発明することができたものではない。

イ.請求項12-15について
補正後の請求項12-15に係る発明は、補正発明11をさらに限定したものであるので、補正発明11と同様に、当業者が引用発明に基づいて容易に発明をすることができたものではない。

よって、補正事項2は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合する

(3)むすび

本件補正は、特許法第17条の2第3項ないし第6項の規定に適合する。


第3 本願発明

本件補正は上記のとおり、特許法第17条の2第3項ないし第6項の規定に適合するから、本願の請求項1-15に係る発明は、本件補正により補正された特許請求の範囲の請求項1-15に記載された事項により特定されるとおりのものである。

そして、本願の請求項1-15に係る発明は上記第2の2.のとおり、当業者が引用発明に基づいて容易に発明をすることができたものではない。

したがって、本願については、原査定の拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。

また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2017-02-20 
出願番号 特願2014-543620(P2014-543620)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G06F)
P 1 8・ 575- WY (G06F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 加内 慎也  
特許庁審判長 高瀬 勤
特許庁審判官 山澤 宏
千葉 輝久
発明の名称 電子ペーパー画面上の増分ページ遷移  
代理人 特許業務法人 谷・阿部特許事務所  

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