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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G01C |
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管理番号 | 1325349 |
審判番号 | 不服2016-7174 |
総通号数 | 208 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2017-04-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2016-05-17 |
確定日 | 2017-03-08 |
事件の表示 | 特願2011-242659「ジャイロセンサーの製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成25年5月20日出願公開、特開2013-96952、請求項の数(1)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成23年11月4日の出願であって、平成27年7月17日付けの拒絶理由の通知に対し同年9月17日に意見書及び手続補正書が提出されたが、平成28年2月12日付けで拒絶査定(同年2月17日謄本送達)(以下、「原査定」という。)がなされ、これに対して、同年5月17日に拒絶査定不服審判が請求され同時に手続補正書(同手続補正書でした補正を、以下、「本件補正」という。)が提出され、その後、同年7月12日付けで前置報告がなされ、同年9月16日に上申書が提出されたものである。 第2 本件補正の適否 1 補正の内容 本件補正は、特許請求の範囲及び明細書を、それぞれ以下のとおり補正するものである。 (1)特許請求の範囲の補正 ア 本件補正前の特許請求の範囲の記載 本件補正前の、平成27年9月17日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の記載は、次のとおりである。 「 【請求項1】 駆動用バネ部に接続されている駆動用支持部を備えた駆動部と、 前記駆動用支持部に検出バネ部を介して接続されている検出用支持部を備えた検出部と、 を含み、 前記駆動用支持部は第1軸の方向に振動可能であり、前記検出用支持部は前記第1軸に直交する第2軸の方向に変位可能であり、 前記駆動部の共振周波数をf_(1)とし、前記検出部の共振周波数をf_(2)とし、前記駆動用バネ部の幅をw_(1)とし、前記検出用バネ部の幅をw_(2)とすると、下記式(2)を満たす、ジャイロセンサー。 (w_(2)/w_(1))=(f_(2)/f_(1)) ・・・ (2) (ただし、w_(1)≠w_(2)、かつf_(1)≠f_(2)) 【請求項2】 請求項1において、 前記駆動部の共振周波数f_(1)と前記検出部の共振周波数f_(2)との関係は、f_(1)<f_(2)である、ジャイロセンサー。 【請求項3】 請求項1または2において、 前記駆動用バネ部および前記検出用バネ部は、ドライエッチング法により形成された、 ジャイロセンサー。 【請求項4】 請求項1ないし3のいずれか1項において、 駆動用固定電極と、検出用固定電極と、をさらに含み、 前記駆動部は、前記駆動用支持部に接続されている駆動用可動電極を備え、 前記駆動用固定電極は、前記駆動用可動電極と対向して配置されており、 前記検出部は、前記検出用支持部に接続されている検出用可動電極を備え、 前記検出用固定電極は、前記検出用可動電極と対向して配置されており、 前記駆動用バネ部は、前記第2軸に沿って往復しながら前記第1軸に沿って延在する形状を有し、 前記検出用バネ部は、前記第1軸に沿って往復しながら前記第2軸に沿って延在する形状を有する、ジャイロセンサー。 【請求項5】 請求項1ないし4のいずれか1項において、 前記駆動用支持部は、開口部を備え、 前記検出部は、前記開口部内に配置されている、ジャイロセンサー。 【請求項6】 請求項1ないし5のいずれか1項において、 前記駆動部は、前記第1軸の方向に並んで配置された第1駆動部と第2駆動部とを含み、 前記検出部は、 前記第1駆動部に接続された第1検出部と、 前記第2駆動部に接続された第2検出部と、を含み、 前記第1駆動部および前記第2駆動部は、前記第1軸に沿って互いに逆位相で振動する、ジャイロセンサー。 【請求項7】 請求項1ないし6のいずれか1項に記載のジャイロセンサーを含む、電子機器。 【請求項8】 基板をドライエッチング法により加工して、駆動用バネ部および前記駆動用バネ部に接続されている駆動用支持部を備えた駆動部と、前記駆動用支持部に接続されている検出バネ部および前記検出用バネ部に接続されている検出用支持部を備えた検出部と、を形成する工程を含み、 前記駆動用支持部は第1軸の方向に振動可能であり、前記検出用支持部は前記第1軸に直交する第2軸の方向に変位可能であり、 前記駆動部の共振周波数をf_(1)とし、前記検出部の共振周波数をf_(2)とし、前記駆動用バネ部の幅をw_(1)とし、前記検出用バネ部の幅をw_(2)とすると、下記式(2)を満たす、ジャイロセンサーの製造方法。 (w_(2)/w_(1))=(f_(2)/f_(1)) ・・・ (2) (ただし、w_(1)≠w_(2)、かつf_(1)≠f_(2)) 【請求項9】 請求項8において、 前記ドライエッチング法は、フッ化炭素系ガスを用いた保護膜形成処理と、フッ化硫黄系のガスを用いたエッチング処理と、を交互に繰り返すボッシュ法であり、 前記駆動用バネ部を、前記第2軸に沿って往復しながら前記第1軸に沿って延在する形状を有するように形成し、 前記検出用バネ部を、前記第1軸に沿って往復しながら前記第2軸に沿って延在する形状を有するように形成する、ジャイロセンサーの製造方法。」 イ 本件補正後の特許請求の範囲の記載 本件補正後の特許請求の範囲の記載は、次のとおりである(下線は、補正箇所を示す。以下同じ。)。 「 【請求項1】 基板をドライエッチング法により加工して、駆動用バネ部、前記駆動用バネ部に接続されている駆動用支持部、および前記駆動用支持部に接続されている駆動用可動電極を備えた駆動部と、前記駆動用支持部に接続されている検出バネ部、前記検出用バネ部に接続されている検出用支持部、および前記検出用支持部に接続されている検出用可動電極を備えた検出部と、を形成する工程を含み、 前記駆動用支持部は第1軸の方向に振動可能であり、前記検出用支持部は前記第1軸に直交する第2軸の方向に、前記第1軸および前記第2軸に直交する第3軸回りの角速度に応じて変位可能であり、 前記ドライエッチング法は、フッ化炭素系ガスを用いた保護膜形成処理と、フッ化硫黄系のガスを用いたエッチング処理と、を交互に繰り返すボッシュ法であり、 前記駆動用バネ部を、前記第2軸に沿って往復しながら前記第1軸に沿って延在する形状を有するように形成し、 前記検出用バネ部を、前記第1軸に沿って往復しながら前記第2軸に沿って延在する形状を有するように形成し、 前記駆動用支持部は、前記第1軸に沿って延在する2つの延在部を有し、 前記検出部は、2つの前記延在部の間に設けられ、 前記駆動用可動電極は、前記延在部の、前記検出部が設けられている側とは反対側に設けられ、 前記駆動部の共振周波数をf_(1)とし、前記検出部の共振周波数をf_(2)とし、前記駆動用バネ部の幅をw_(1)とし、前記検出用バネ部の幅をw_(2)とすると、下記式(2)を満たす、ジャイロセンサーの製造方法。 (w_(2)/w_(1))=(f_(2)/f_(1)) ・・・ (2) (ただし、w_(1)≠w_(2)、かつf_(1)≠f_(2))」 (2)明細書の補正 明細書の補正は、【発明の名称】について、補正前に「ジャイロセンサー、電子機器、およびジャイロセンサーの製造方法」とあるのを、「ジャイロセンサーの製造方法」と補正するものである。 2 補正の目的等 本件補正による補正前後の特許請求の範囲の記載を対比して検討すると、補正前の請求項1ないし8が削除され、補正後の請求項1は補正前の請求項9に対応するものといえるから、補正前の請求項1ないし8についての補正は、特許法第17条の2第5項第1号の請求項の削除を目的とするものに該当する。 そして、補正後の請求項1についての補正は、補正前の請求項9を独立形式に書き下した上で、補正前の請求項9に記載した発明を特定するために必要な事項について、「駆動部」が「前記駆動用支持部に接続されている駆動用可動電極を備え」る点、「検出部」が「前記検出用支持部に接続されている検出用可動電極を備え」る点、「前記駆動用支持部」が「前記第1軸に沿って延在する2つの延在部を有」する点、「前記検出部」が「2つの前記延在部の間に設けられ」る点、及び、「前記駆動用可動電極」が「前記延在部の、前記検出部が設けられている側とは反対側に設けられ」る点を、それぞれ限定するものであって、補正前の請求項9に記載された発明と補正後の請求項1に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 また、本件補正は、特許法第17条の2第3項及び第4項に違反するところもない。 3 独立特許要件 そこで、本件補正による補正後の請求項1に記載されている事項により特定される発明(以下、「本件補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か、について、以下に検討する。 (1)本件補正発明 本件補正発明は、上記1(1)イに記載したとおりのものである。 (2)引用例 ア 引用例1 (ア)前置報告において引用された、本願の出願前に頒布された刊行物である特開2000-9470号公報(平成12年1月14日公開。以下、「引用例1」という。)には、図面とともに次の記載がある(下線は当審で付与した。以下同じ。)。 a 「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、基板に対して浮動支持された振動体を備える角速度センサに関し、特に、これに限定する意図ではないが、半導体微細加工技術を用いて形成される浮動半導体薄膜を櫛歯電極にて電気的に吸引/解放してx方向に励振する角速度センサに関する。」 b 「【0007】 【課題を解決するための手段】(1)本発明の角速度センサは、基板(100)で浮動支持された、x方向に延びる平行な、対の連結梁(bb1,bb2);これらに連続するx方向の撓み性が高いばね梁(1?4/21?24)に連続し、対の連結梁(bb1,bb2)の間に位置する、x方向に並んだ第1駆動枠(5)および第2駆動枠(25);第1駆動枠(5)の内方にあって、それに連続するy方向に撓み性が高いばね梁(7?10)に連続する第1振動体(11);第2駆動枠(25)の内方にあって、それに連続するy方向に撓み性が高いばね梁(27?30)に連続する第2振動体(31);第1駆動枠(5)および第2駆動枠(25)の少くとも一方をx方向に振動駆動する励振手段(15,16/35,36);第1振動体(11)のy振動を検出する第1の変位検出手段(13,14);および、第2振動体(31)のy振動を検出する第2の変位検出手段(33,34);を備える。なお、理解を容易にするためにカッコ内には、図面に示し後述する実施例の対応要素の符号を参考までに付記した。 【0008】これによれば、励振手段(15,16/35,36)にて第1駆動枠(5)および第2駆動枠(25)をx方向に逆相で振動させると、それらの内側にある第1振動体(11)および第2振動体(31)も、第1駆動枠(5)および第2駆動枠(25)と同じく、x方向に逆相で振動する。z軸廻りの角速度が加わると、第1振動体(11)および第2振動体(31)は、y方向に撓み性が高いばね梁(7?10/27?30)にて支持されているので、第1振動体(11)および第2振動体(31)の振動が楕円振動となり、y方向にも振動する。第1振動体(11)および第2振動体(31)のx振動が相対的に逆相であるので、y振動も相対的には逆相となる。第1および第2変位検出手段(13,14/33,34)が、これらのy振動を検出する。」 c 「【0015】 【実施例】-第1実施例- 図1に、本発明の第1実施例の機構要素を示す。絶縁層を形成したシリコン基板100には、導電性とするための不純物を含むポリシリコン(以下導電性ポリシリコン)の、浮動体アンカーa11?a15,a21?a25,駆動電極15,16/35,36のアンカー,駆動検出電極17,18/37,38のアンカー,角速度検出電極13,14/33,34のアンカーおよび周波数調整電極19,20/39,40のアンカー、が接合しており、これらのアンカーは、シリコン基板100上の絶縁層の上に形成された配線により、図示しない接続電極に接続されている。 【0016】リソグラフによる半導体プロセスを用いて、シリコン基板100から浮きしかも浮動体アンカーa11?a15,a21?a25に連続した、導電性ポリシリコンの、x方向に延びるばね梁b11,b16/b21,b26,y方向に延びるばね梁b12?b15/b22?b25、ならびにこれらに連続し、x方向に延びる連結梁bb1,bb2が形成されている。これらの連結梁bb1,bb2は同一幅,長さであって互に平行であり、それらの中間点Oを通るx軸に関して対称である。 【0017】連結梁bb1およびbb2には、y方向に延びx方向の撓み性が高いばね梁1,2/21,22および3,4/23,24が連続し、これらのばね梁に第1駆動枠5および第2駆動枠25が連続し、これらの駆動枠5および25の内側に、x方向に延びy方向の撓み性が高いばね梁7?10および27?30を介して、第1振動体11および第2振動体31が連続している。これらの要素も、シリコン基板100から浮いており、導電性ポリシリコンである。 【0018】第1,第2の駆動枠5と25、第1,第2の振動体11と31、はセンサ中心Oを通るy軸に関して対称な形状であって対称な位置にあり、ばね梁1?4,7?10と21?24,27?30も、y軸に関して対称な形状であって対称な位置にある。 【0019】第1,第2駆動枠5/25には、y方向に等ピッチで分布しx方向に突出する櫛歯状の可動電極6/26があり、駆動電極アンカーに連続した、導電性ポリシリコンの駆動電極15,16/35,36にも、可動電極6/26のy方向分布の空間に突出する櫛歯状の固定電極がありy方向に分布している。 【0020】駆動電極15,16(35,36)に交互に、駆動枠5(25)の電位(略機器アースレベル)より高い電圧を印加することにより、駆動枠5(25)がx方向に振動する。この実施例では、同様に駆動枠25もx方向に駆動するが、そのx振動は、共振音叉振動とするために、駆動枠5とは逆相である。 【0021】振動体11(31)は、x方向に延びるばね梁7?10(27?30)で駆動枠5(25)に連結しているので、x振動する。駆動枠5および振動体11でなる第1振動系と、駆動枠25および振動体31でなる第2振動系とを共振音叉振動させることにより、エネルギ消費効率が高いx振動となる。 【0022】駆動枠5(25)がx方向に振動することにより、駆動枠5と駆動検出電極17,18との間の静電容量が振動し、かつその容量振動と逆位相で駆動枠25と駆動検出電極37,38との間の静電容量が振動する。 【0023】振動体11/31も大略で枠形状であるが、x方向に延びる複数の渡し梁がy方向に等ピッチで存在し、y方向で隣り合う渡し梁の間の空間に、各1対の導電体ポリシリコンの固定検出電極13,14/33,34があり、基板100上の検出電極用の各アンカーで支持されそれと電気的に連続である(電気接続関係にある)。 【0024】対の検出電極13,14(33,34)間は絶縁されているが、振動体11(31)のy振動(y変位)を検出するための各対電極13,14(33,34)の、各対間で対応位置にある検出電極は、電気リ-ドに共通接続され、チャ-ジアンプ46,47(56,57)に接続されている。 【0025】振動体11,31がx方向に共振音叉振動しているとき、中心Oを通るz軸廻りの角速度が加わると、振動体11,31が、y成分も有する相対的に逆相の楕円振動となり、これによって電極13,14/33,34にy振動対応の静電容量振動を生ずる。電極13,14の静電容量振動は相対的に逆相、同様に電極33,34の静電容量振動も相対的に逆相である。そして、振動体11,31のy振動が逆相であるので、電極13,33の静電容量振動は相対的に逆相、同様に電極14,34の静電容量振動は相対的に逆相である。 【0026】振動体11,31にも、y方向に等ピッチで分布しx方向に突出する櫛歯状の可動電極12,32があり、固定電極アンカーに連続した、導電性ポリシリコンの周波数調整電極19,20/39,40にも、可動電極12/32のy方向分布の空間に突出する櫛歯状の電極がありy方向に分布している。これらの可動電極および周波数調整電極は、振動体11,31のx振動の速度(ばね力)を調整し、振動体11,31の共振周波数(固有振動数)を、駆動枠5,25の共振周波数より、数100Hz高い程度にまで下げるものである。なお、駆動枠5,25は、駆動電圧の印加によって両者を、固有振動数相当の同一周波数でx励振する。角速度検出感度を高くするために、駆動枠5,25の共振周波数(固有振動数)より、振動体11,31の共振周波数(固有振動数)を数100Hz高く設計しており、上述の周波数調整電極19,20/39,40に直流電圧を印加してそのレベルを調整することにより、振動体11,31の共振周波数を設計値に近い値に微調整する。」 d 「【0034】図5に、本発明の第3実施例を示す。この第3実施例では、第2実施例と同様にコ型のばね梁61,62で第1駆動枠5と第2駆動枠25とを連結し、ばね梁1?4,21?24をx方向の撓み性が高くy方向には撓み性が低いz型のばね梁とし、振動体11,31を支持するばね梁7?10,27?30をy方向には撓み性が高くx方向には撓み性が低いz型のばね梁とした。第2実施例との違いは、ばね梁1?4,21?24を、y方向に振動しにくく、x方向に振動し易くし、ばね梁7?10,27?30をy方向に振動しやすくした点である。」 e 「【0035】図6に本発明の第4実施例を示す。この第4実施例は、下地の基板100との温度膨張率の差による、駆動枠5,25,振動体11,31の内部応力の増加とそれぞれに連結するばね梁の応力の増加を低減し、振動特性を非線形から線形とし、共振音叉振動を実現し、角速度信号のS/Nを高くする工夫をしたものである。ばね梁は、偏平ル-プ状のル-プ梁であり、ル-プの略直線辺と直交する方向の撓み性が高く、ル-プの略直線辺に平行な方向の撓み性は低い。振動体11,31をル-プ梁で駆動枠5,25に対して支持しているので、検出振動yの方向のみに振動し、他の方向に振動しにくい構成である。さらに、駆動枠5,25もル-プ梁で支持しているので、駆動枠5,25および振動体11,31共に、温度による内部応力の増加は少く、振動の線形性をたもつ。連結梁は、y平行辺bb3,bb4を有する略長方形状の保護枠であり、4個のル-プ梁b11,b16,b21,b26を介してアンカーa11,a16,a21,a26で支持されている。これにより、基板100又は保護枠(bb1?bb4)の熱膨張による寸法変化で、固定電極と可動電極との配置が相対的に対称にずれ、差動構成で温度変化による容量変化が相殺される構成になっている。以上に説明した本発明の角速度センサの特徴を次に列記する。 (1)駆動枠5,25のx加振を静電気力で行う,(2)駆動振動子である駆動枠5,25と、検出振動子である振動体11,31が枠状である,(3)駆動振動子5,25を共振音叉振動をさせるために、ばね梁(1?4,21?24,bb1,bb2/61,62)で連結した,(4)駆動振動子枠5,25が検出振動子枠11,31を囲むように外側に構成されている,(5)振動体11,31の角速度対応のy変位の検出を静電容量で行う,(6)駆動の周波数と検出の周波数を双共振で振動させるために、検出側の振動数が数100Hz高いか、または、低い,(7)2つの駆動する振動子5,25を振動させるばね形状が、π型(図1のb11,2,21),コ型(図4の61,62)あるいはル-プ(図6)のばね梁を用いて、駆動振動を逆相の音叉振動とした。ル-プは、長方形あるいは円形もしくは多角形でもよい,(8)複数の駆動振動子5,25は、連結梁(bb1?bb4)に、ばね梁により接続されている,(9)駆動振動子5,25と検出振動子11,31が、複数のばね梁7?10,27?30で接続されており、これらのばね梁は、偏平につぶれた円環型あるいは長方形のばね形状の、特定方向のみ撓み性が高い,(10)多くの構成要素が、それぞれの中心に関して対称構造であり、また、要素の組合せが、中心Oに関して対称である。(12)対称の点が重心と一致する,(13)駆動系の信号検出および検出系の信号検出のそれぞれが、差動構成になっており、検出信号の同相成分が除去される,(14)上記のすべての構成を含むことで、静電力による加振時の電気ノイズの漏れが著しく低減する,(15)上記(13)により、駆動の変位信号のS/Nが向上し、かつ検出振動変位信号のS/Nが向上し、角速度信号のS/Nが向上する,(16)構成体を多角形の枠(bb1?bb4)で外側に囲んでいる。この枠は円形でも楕円形でもよい,(16)上記の枠(bb1?bb4)あるいは連結梁bb1,bb2と振動子5,25との接続部には駆動振動時の応力緩和のために応力緩和梁1?4,21?24が設けられている。これにより、振動の線形性と単振動を実現できる,(17)上記の枠(bb1?bb4)を、下地のシリコン基板100にル-プ状のばね梁(図6のb11,b16,b21,b26)で振動子5,25の重心に対して対称に4個所以上で固定した。ル-プは、円形もしくは多角形でもよい。これにより枠状の部位と基板を固定しているバネ部で下の固定基板を振動体の熱膨張差による応力が低減し温度特性が改善する。ル-プ状のバネ部によりバネ部の線形性が高く、かつばね自身の温度特性が改善する。また、所定の振動モード以外が誘起されにくいばね構造である。(18)上記のばね梁のばね定数は、駆動振動および検出振動の共振周波数から十分に高く設定している,(19)以上の構成をすべて含む構成により、センサの角速度出力の零点と感度の温度特性においては再現性があり、ヒステリシスや不連続的の特性をもたないため、低コストでS/Nが高いセンサとなる。(20)リソグラフを用いる半導体プロセスにて、シリコンウェ-ハ上に構成でき従来の半導体プロセスにて製作可能なため、低コストで生産しうる。浮動体が1枚板から形成され、半導体プロセスにて簡単に造形でき、低コストで生産しうる。」 f「【図5】 」 (イ)ここで、引用例1の第3実施例(上記(ア)d、f)に着目すると、第3実施例における変更点以外は第1実施例(上記(ア)c)の構成と同様であり、また、第4実施例(上記(ア)e)に記載されているように、角速度センサを、リソグラフを用いる半導体プロセスにて、シリコンウェーハ上に造形して生産することは、常とう手段である。 したがって、上記(ア)aないしfの記載から、引用例1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる(括弧内は、特に関連する記載箇所を示す。以下同じ。)。 「角速度センサを、リソグラフを用いる半導体プロセスにて、シリコンウェーハ上に造形して生産する、角速度センサの生産方法であって、(【0001】、【0035】) 角速度センサは、x方向の撓み性が高いばね梁1?4/21?24に連続する、x方向に並んだ第1駆動枠5および第2駆動枠25と、第1駆動枠5の内方にあって、それに連続するy方向に撓み性が高いばね梁7?10に連続する第1振動体11と、第2駆動枠25の内方にあって、それに連続するy方向に撓み性が高いばね梁27?30に連続する第2振動体31と、を備え、(【0007】) 第1,第2駆動枠5/25には、y方向に等ピッチで分布しx方向に突出する櫛歯状の可動電極6/26があり、可動電極6/26のy方向分布の空間に突出する櫛歯状の固定電極がありy方向に分布している駆動電極15,16(35,36)に交互に、駆動枠5(25)の電位(略機器アースレベル)より高い電圧を印加することにより、駆動枠5(25)がx方向に振動し、(【0019】、【0020】) 振動体11/31も大略で枠形状であるが、x方向に延びる複数の渡し梁がy方向に等ピッチで存在し、y方向で隣り合う渡し梁の間の空間に、各1対の固定検出電極13,14/33,34があり、中心Oを通るz軸廻りの角速度が加わると、振動体11,31が、y成分も有する相対的に逆相の楕円振動となり、これによって電極13,14/33,34にy振動対応の静電容量振動を生じ、(【0023】、【0025】) ばね梁1?4,21?24をx方向の撓み性が高くy方向には撓み性が低いz型のばね梁とし、ばね梁7?10,27?30をy方向には撓み性が高くx方向には撓み性が低いz型のばね梁とし、(【0034】) 駆動枠5,25の共振周波数(固有振動数)より、振動体11,31の共振周波数(固有振動数)を数100Hz高く設計しており、周波数調整電極19,20/39,40に直流電圧を印加してそのレベルを調整することにより、振動体11,31の共振周波数を設計値に近い値に微調整する、(【0026】) 角速度センサの生産方法。」 イ 引用例2 (ア)原査定の拒絶の理由で引用され、前置報告においても引用された、本願の出願前に頒布された刊行物である特開2010-96538号公報(平成22年4月30日公開。以下、「引用例2」という。)には、次の記載がある。 a 「【技術分野】 【0001】 本発明は、例えば駆動質量部と検出質量部とを備え、これらの質量部のうちいずれか一方が基板の厚さ方向に変位する角速度センサに関する。 【背景技術】 【0002】 一般に、角速度センサとして、基板上に駆動梁を介して振動可能に設けられた駆動質量部と、該駆動質量部に検出梁を介して振動可能に設けられた検出質量部を備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。このとき、駆動質量部と検出質量部とは、互いに直交する方向に向けて振動する。そして、駆動質量部が振動した状態で所定方向の角速度が作用すると、検出質量部は、コリオリ力によって駆動質量部の振動方向と直交する方向に向けて変位する。このため、検出質量部の変位を検出することによって、角速度を検出することができる。 【0003】 【特許文献1】特開2001-194153号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0004】 ところで、駆動質量部が振動するときの駆動モードと検出質量部が振動するときの検出モードとは、互いの共振周波数が近い値になるに従って角速度に対する検出質量部の変位量が大きくなり、角速度の検出感度が高くなる。しかし、これらの共振周波数は駆動梁や検出梁の加工誤差によってばらつきが生じるから、駆動モードと検出モードの共振周波数を互いに近付けると、加工誤差の影響で角速度センサの感度ばらつきが増加する傾向がある。 【0005】 MEMS技術を用いてシリコン材料を微細加工して角速度センサを製造する場合、駆動梁と駆動質量部との組合わせや、検出梁と検出質量部との組合わせによって各モードの共振周波数が設定されている。ここで、基板の垂直方向周りの角速度を検出するために、検知軸が基板の垂直方向となった角速度センサでは、駆動質量部および検出質量部は、いずれも基板の面内方向に変位する。この場合、駆動梁および検出梁は、例えば基板の面内方向の撓み変形を利用して駆動質量部および検出質量部をそれぞれ支持する。このため、実質的に駆動梁や検出梁の幅寸法が各モードの共振周波数に影響する。シリコン基板を垂直にドライエッチングして角速度センサを製造する場合、一度のエッチングで全ての梁が加工されるため、このエッチング工程で共振周波数のばらつきが決まる。しかし、エッチング速度のばらつきで駆動梁および検出梁の幅寸法が変化しても、同じ素子内では駆動梁および検出梁の相対誤差は小さくなるから、駆動モードと検出モードの共振周波数差のばらつきは小さくすることができる。」 b 「【0058】 まず、図8に示す比較例のように、捩れ支持梁からなる検出梁27の両端を固定した場合には、検出モードの共振周波数ω1は、検出梁27のばね定数Kと検出質量部7の慣性モーメントIとの関係に基づいて、以下の数2の式のように表すことができる。このとき、検出質量部7は、Z軸方向の厚さ寸法をaとし、X軸方向の長さ寸法をdとし、Y軸方向の長さ寸法をcとした。また、検出梁27の幅寸法をbとし、固定端部分から検出質量部7の接続部分までの長さ寸法をLとし、厚さ寸法を検出質量部7と同じ値とした。 【0059】 【数2】 【0060】 ここで、駆動モードと検出モードの共振周波数差Δωに対して、駆動梁6および検出梁27の幅寸法b0,bの加工ばらつきが与える影響について検討する。 【0061】 まず、撓み支持梁からなる駆動梁6のばね定数は、その幅寸法b0の3乗に比例する。一方、捩れ支持梁からなる検出梁27のばね定数Kも、幅寸法bの3乗に比例する。このため、シリコン層24にエッチング処理を施す機能部形成工程で、駆動梁6の幅寸法b0や検出梁27の幅寸法bに加工ばらつきが生じても、これらの幅寸法b0,bは一緒に増加または減少するから、駆動モードの共振周波数ω0と検出モードの共振周波数ω1も一緒に増加または減少する。この結果、駆動梁6および検出梁27の幅寸法b0,bに加工ばらつきが生じても、この加工ばらつきが駆動モードと検出モードの共振周波数差Δωに与える影響は小さくなっている。」 (イ)したがって、上記(ア)a及びbの記載から、引用例2は、次の技術が記載されていると認められる。 「基板上に駆動梁を介して振動可能に設けられた駆動質量部と、該駆動質量部に検出梁を介して振動可能に設けられた検出質量部を備えた角速度センサにおいて、(【0002】) 駆動質量部が振動するときの駆動モードと検出質量部が振動するときの検出モードとは、互いの共振周波数が近い値になるに従って角速度に対する検出質量部の変位量が大きくなり、角速度の検出感度が高くなるが、これらの共振周波数は駆動梁や検出梁の加工誤差によってばらつきが生じるから、駆動モードと検出モードの共振周波数を互いに近付けると、加工誤差の影響で角速度センサの感度ばらつきが増加する傾向があり、(【0004】) 基板の面内方向の撓み変形を利用して駆動質量部および検出質量部をそれぞれ支持する駆動梁および検出梁では、ばね定数がその幅寸法の3乗に比例し、実質的に駆動梁や検出梁の幅寸法が各モードの共振周波数に影響するところ、シリコン基板を垂直にドライエッチングして角速度センサを製造する場合には、シリコン層にエッチング処理を施す機能部形成工程で、駆動梁の幅寸法や検出梁の幅寸法に加工ばらつきが生じても、これらの幅寸法は一緒に増加または減少するから、駆動モードの共振周波数と検出モードの共振周波数も一緒に増加または減少し、この結果、駆動梁および検出梁の幅寸法に加工ばらつきが生じても、この加工ばらつきが駆動モードと検出モードの共振周波数差に与える影響は小さくなっている(【0005】、【0060】)」技術。 ウ 引用例3 (ア)原査定の拒絶の理由で引用され、前置報告においても引用された、本願の出願前に頒布された刊行物である特表2003-531359号公報(平成15年10月21日公表。以下、「引用例3」という。)には、図面とともに次の記載がある。 a 「【0001】 発明の背景 (a)発明の分野 本発明は、振動型ジャイロスコープに係るもので、詳しくは、平面ジンバル構造の振動型マイクロジャイロスコープに関するものである。」 b 「【0010】 図1は、本発明の実施例に係るマイクロジャイロスコープを示した斜視図で、図2は、その平面図である。 【0011】 本発明に係るマイクロジャイロスコープは、外部検出ジンバル1と、内部駆動ジンバル2と、ジンバルの固定軸11と、前記内部駆動ジンバル2を前記固定軸11に連結する駆動板スプリング3と、前記内部駆動ジンバル2と外部検出ジンバル1とを連結する検出板スプリング4と、ジンバルの振動を誘発する駆動電極5と、前記外部検出ジンバル1の角速度による変位を検出する正の検出電極7及び負の検出電極8と、角速度による前記外部検出ジンバル1の第2方向変位量を調節するチューニング(tuning)電極6と、前記外部検出ジンバル1の振動を抑制するリバランス(rebalancing)電極9と、により構成されている。」 c 「【0021】 高い感度と共に帯域幅を改善するために、駆動部と検出部との共振周波数はほぼ2%ほど離隔された。 【0022】 以下、このような構造を有するマイクロジャイロスコープの駆動原理について説明する。 【0023】 図3は、本発明に係るマイクロジャイロスコープの駆動原理を示した概念図である。 【0024】 駆動電極5に特定周波数の電圧を加えることで各ジンバル1、2をx軸方向に振動させる(駆動モード)。ここで、前記駆動電極5は、内部駆動ジンバル2の駆動櫛の歯部に力を加えるが、検出板スプリング4がx軸方向の揺動性を有しないため、外部検出ジンバル1も一緒に振動する。 【0025】 前記各ジンバル1、2が振動する状態で回転運動による角速度(Ω)が加えられると、コリオリの力(Coriolis force)によって前記外部検出ジンバル1がy軸方向に変位を発生する。それを数式で示すと、次のようにベクトルの乗算で表示することができる。」 d 「【0029】 本発明に係るマイクロジャイロスコープは、駆動電極5、各検出電極7、8、内部駆動ジンバル2及び外部検出ジンバル1と、駆動及び検出板スプリング3、4と、を同一材料及び厚さの1つの層に形成して同一平面上に配置する。 【0030】 このような平面振動型ジャイロスコープの長所は、共振周波数が厚さに依存しないので、設計により共振周波数を正確に決定することが可能で、前記各板スプリング3、4の幅誤差に対して、駆動板スプリング3(以下、“駆動部”と略称す)と検出板スプリング4(以下、“検出部”と略称す)との共振周波数の比が一定であることである。 【0031】 このような長所を数学的に証明する。 【0032】 図4は、図1のマイクロジャイロスコープの板スプリング3、4を示した斜視図である。 【0033】 板スプリング3、4は直六面体で、その厚さをh、長さをl、幅をtと示す。その他の設計変数は表1に示されている。 【0034】 【表1】 【0035】 前記駆動板スプリング3のスプリング常数は次のように決定される。ここで、k_(XO)は前記駆動板スプリング3の片方部分のスプリング常数で、k_(X)は前記駆動板スプリング3全体のスプリング常数である。 【0036】 【数2】 【0037】 また、前記検出板スプリング4のスプリング常数は次のように決定される。ここで、k_(yO)は前記検出板スプリング4の片方部分のスプリング常数で、k_(y)は前記検出板スプリング4全体のスプリング常数である。 【0038】 【数3】 【0039】 以下、共振周波数を計算する。共振周波数を計算するための設計変数は表2に示されている。 【0040】 【表2】 【0041】 本発明に係るマイクロジャイロスコープの駆動において、駆動質量は、内部駆動ジンバル2と外部検出ジンバル1の質量を全て合算したものであるので、次のように表わされる。 【0042】 【数4】 【0043】 検出質量は前記外部検出ジンバル1だけの質量であるので、次のように表わすことができる。 【0044】 【数5】 【0045】 駆動部及び検出部の共振周波数は次のように表わされる。 【0046】 【数6】 【0047】 マイクロジャイロスコープの製作においては、様々な工程誤差により構造物の形状変化が発生する。様々な工程誤差中、厚さhの誤差が設計されたジャイロスコープの共振周波数に及ぼす影響を次のように考慮する。厚さに対する共振周波数の敏感度は、共振周波数を厚さにより偏微分することで次のように得ることができる。 【0048】 【数7】 【0049】 即ち、平面振動型ジャイロスコープは、共振周波数が厚さhに関係ない。 【0050】 工程誤差中、厚さhの偏差と共にスプリングの幅tが共振周波数に主導的に影響を与える。これは、スプリングの幅tがスプリング常数に3乗の項として包まれるからである。スプリングの幅tの変化による共振周波数の変動は次のように誘導される。 【0051】 【数8】 【0052】 マイクロジャイロスコープの設計時、考慮しなければならない重要な事項として、共振周波数値及び、駆動部と検出部の共振周波数の比がある。これは、それら二つの要素がジャイロスコープの感度及び帯域幅を決定する因子となるからである。上式から分かるように、実際の工程で発生する工程誤差により共振周波数が変化するが、厚さhの工程誤差によっては平面振動型に設計された本発明に係るジャイロスコープは共振周波数が変化しない。 【0053】 本発明に係るジャイロスコープの弾性要素は、長さlに比べて幅tが非常に薄く、工程誤差がそれに及ぼす影響は深刻である。然し、上述したようなフレーム構造を有する平面振動型ジャイロスコープは、駆動部及び検出部のスプリングの幅tは同一に設計し、長さlだけを調整することで共振周波数を所望値に配置することが可能で、そのように設計する場合、二つの共振周波数の比は工程誤差に対して常に一定比率を維持するようになる。即ち、次の数式のように示すことができる。 【0054】 【数9】 【0055】 即ち、幅tの誤差に対する二つの共振周波数の変化比は、二つの共振周波数に対して同一であるので、幅tの誤差が発生しても、変化した二つの共振周波数の比は常に一定に維持される。」 (イ)したがって、上記(ア)aないしdの記載及び図面の図1ないし図4から、引用例3には、次の技術が記載されていると認められる。 「平面ジンバル構造の振動型マイクロジャイロスコープにおいて、(【0001】) 外部検出ジンバルと、内部駆動ジンバルと、前記内部駆動ジンバルをジンバルの固定軸に連結する駆動板スプリングと、前記内部駆動ジンバルと外部検出ジンバルとを連結する検出板スプリングと、を同一材料及び厚さの1つの層に形成して同一平面上に配置してなり、(【0011】、【0029】) 各ジンバルをx軸方向に振動させる状態で回転運動による角速度が加えられると、コリオリの力によって前記外部検出ジンバルがy軸方向に変位を発生し、(【0025】) 共振周波数値及び、駆動部と検出部の共振周波数の比が、ジャイロスコープの感度及び帯域幅を決定する因子となるところ、マイクロジャイロスコープの製作においては、様々な工程誤差により構造物の形状変化が発生するが、厚さhの工程誤差によっては共振周波数が変化しないので、駆動部及び検出部のスプリングの幅tは同一に設計し、長さlだけを調整することで共振周波数を所望値に配置することが可能で、そのように設計する場合、幅tの誤差が発生しても、変化した二つの共振周波数の比は常に一定に維持され、(【0047】、【0052】、【0053】、【0055】) 高い感度と共に帯域幅を改善するために、駆動部と検出部との共振周波数はほぼ2%ほど離隔されている(【0021】)」技術。 エ 引用例4 原査定の拒絶の理由で引用された、本願の出願前に頒布された刊行物である特開2000-105124号公報(平成12年4月11日公開。以下、「引用例4」という。)には、次の記載がある。 a 「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、基板に対して浮動支持された振動部材を静電駆動により励振し、該振動部材の、角速度が加わることによる励振方向と直交する方向の変位を、静電検出により検出する角速度センサに関し、特に、これに限定する意図ではないが、半導体微細加工技術を用いて形成される浮動半導体薄膜を櫛歯電極にて電気的に吸引/解放してx方向に励振する角速度センサに関する。」 b 「【0015】 【実施例】-第1実施例- 図1に、本発明の第1実施例の機構要素を示す。絶縁層を形成したシリコン基板100には、導電性とするための不純物を含むポリシリコン(以下導電性ポリシリコン)の、浮動体アンカーa11?a15,a21?a25,駆動電極15,16/35,36のアンカー,駆動検出電極17,18/37,38のアンカー,角速度検出電極13,14/33,34のアンカーおよび周波数調整電極19,20/39,40のアンカー、が接合しており、これらのアンカーは、シリコン基板100の絶縁基体にn型不純物をド-ピングすることによって導電性とした配線用の導電層により、図示しない接続電極に接続されている。 【0016】リソグラフによる半導体プロセスを用いて、シリコン基板100から浮きしかも浮動体アンカーa11?a15,a21?a25に連続した、導電性ポリシリコンの、x方向に延びるばね梁b11,b16/b21,b26,y方向に延びるばね梁b12?b15/b22?b25、ならびにこれらに連続し、x方向に延びる連結梁bb1,bb2が形成されている。これらの連結梁bb1,bb2は同一幅,長さであって互に平行であり、それらの中間点Oを通るx軸に関して対称である。 【0017】連結梁bb1およびbb2には、y方向に延びx方向の撓み性が高いばね梁1,2/21,22および3,4/23,24が連続し、これらのばね梁に第1駆動枠5および第2駆動枠25が連続し、これらの駆動枠5および25の内側に、x方向に延びy方向の撓み性が高いばね梁7?10および27?30を介して、第1振動体11および第2振動体31が連続している。これらの要素も、シリコン基板100から浮いており、導電性ポリシリコンである。 【0018】第1,第2の駆動枠5と25、第1,第2の振動体11と31、はセンサ中心Oを通るy軸に関して対称な形状であって対称な位置にあり、ばね梁1?4,7?10と21?24,27?30も、y軸に関して対称な形状であって対称な位置にある。 【0019】第1,第2駆動枠5/25には、y方向に等ピッチで分布しx方向に突出する櫛歯状の可動電極6/26があり、駆動電極アンカーに連続した、導電性ポリシリコンの駆動電極15,16/35,36にも、可動電極6/26のy方向分布の空間に突出する櫛歯状の固定電極がありy方向に分布している。 【0020】駆動電極15,16(35,36)に交互に、駆動枠5(25)の電位(略機器ア-スレベル)より高い電圧を印加することにより、駆動枠5(25)がx方向に振動する。この実施例では、同様に駆動枠25もx方向に駆動するが、そのx振動は、共振音叉振動とするために、駆動枠5とは逆相である。 【0021】振動体11(31)は、x方向に延びるばね梁7?10(27?30)で駆動枠5(25)に連結しているので、x振動する。駆動枠5および振動体11でなる第1振動系と、駆動枠25および振動体31でなる第2振動系とを共振音叉振動させることにより、エネルギ消費効率が高いx振動となる。 【0022】駆動枠5(25)がx方向に振動することにより、駆動枠5と駆動検出電極17,18との間の静電容量が振動し、かつその容量振動と逆位相で駆動枠25と駆動検出電極37,38との間の静電容量が振動する。 【0023】振動体11/31も大略で枠形状であるが、x方向に延びる複数の渡し梁がy方向に等ピッチで存在し、y方向で隣り合う渡し梁の間の空間に、各1対の導電体ポリシリコンの固定検出電極13,14/33,34があり、基板100上の検出電極用の各アンカーで支持されそれと電気的に連続である(電気接続関係にある)。 【0024】対の検出電極13,14(33,34)間は絶縁されているが、振動体11(31)のy振動(y変位)を検出するための各対電極13,14(33,34)の、各対間で対応位置にある検出電極は、電気リ-ドに共通接続され、チャ-ジアンプ46,47(56,57)に接続されている。 【0025】振動体11,31がx方向に共振音叉振動しているとき、中心Oを通るz軸廻りの角速度が加わると、振動体11,31が、y成分も有する相対的に逆相の楕円振動となり、これによって電極13,14/33,34にy振動対応の静電容量振動を生ずる。電極13,14の静電容量振動は相対的に逆相、同様に電極33,34の静電容量振動も相対的に逆相である。そして、振動体11,31のy振動が逆相であるので、電極13,33の静電容量振動は相対的に逆相、同様に電極14,34の静電容量振動は相対的に逆相である。 【0026】振動体11,31にも、y方向に等ピッチで分布しx方向に突出する櫛歯状の可動電極12,32があり、固定電極アンカーに連続した、導電性ポリシリコンの周波数調整電極19,20/39,40にも、可動電極12/32のy方向分布の空間に突出する櫛歯状の電極がありy方向に分布している。これらの可動電極および周波数調整電極は、振動体11,31のx振動の速度(ばね力)を調整し、振動体11,31の共振周波数(固有振動数)を、駆動枠5,25の共振周波数より、数100Hz高い程度にまで下げるものである。なお、駆動枠5,25は、駆動電圧の印加によって両者を、固有振動数相当の同一周波数でx励振する。角速度検出感度を高くするために、駆動枠5,25の共振周波数(固有振動数)より、振動体11,31の共振周波数(固有振動数)を数100Hz高く設計しており、上述の周波数調整電極19,20/39,40に直流電圧を印加してそのレベルを調整することにより、振動体11,31の共振周波数を設計値に近い値に微調整する。」 オ 引用例5 前置報告において引用された、本願の出願前に頒布された刊行物である特開2008-155314号公報(平成20年7月10日公開。以下、「引用例5」という。)には、次の記載がある。 a 「【技術分野】 【0001】 本発明は、複数のMEMSデバイスを同時に製造可能なMEMSデバイスの製造方法に関する。」 b 「【発明を実施するための最良の形態】 【0012】 以下、添付図面を参照しつつ、本発明の一実施形態に係るMEMSデバイスの製造方法について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るMEMSデバイスの製造方法により製造されたMEMSデバイス1の概略構成を示す分解斜視図である。かかるMEMSデバイス1は、レーザ光走査装置として使用することができるものである。 【0013】 図1に示すように、MEMSデバイス1は、1枚のシリコンウエハを加工して形成された上層基板2と、絶縁ウエハ(例えばガラスウエハ)を加工して形成された下層基板3とが上下に積層された構造を有している(図1は、上層基板2と下層基板3とを分離した状態を示すが、実際には両者は積層されている)。」 c 「【0021】 次に、以上に説明した構成のMEMSデバイス1の製造方法について説明する。図2及び図3は、MEMSデバイス1の製造手順を示す製造フロー図である。なお、図3においては、説明を容易とするため、シリコンウエハの厚みを図2に比べて厚く描いている。」 d 「【0026】 次に、図2(h)に示すように、シリコンウエハ4に対してエッチングを行い、シリコンウエハ4に複数の上層基板2を形成する。このエッチングは、ICP(Inductively Coupled Plasma)プラズマエッチング装置を用いて行うことができる。具体的には、このエッチングは、例えば、DeepRIE(Reactive Ion Etching)処理を用いて行うことができる。かかるDeepRIE処理の一例として、SF6(六フッ化硫黄)ガス中でシリコンウエハ4を掘り下げるようにエッチングする工程と、掘り下げることによって形成されるシリコンウエハ4の側壁部にC4F8(オクタフルオロシクロブタン)ガスで保護膜を形成する工程とを数秒?数十秒毎に繰り返すボッシュ法を挙げることができる。このボッシュ法でのエッチング速度は、2?10um/minとすることができる。このエッチングは、シリコンウエハ4の他方の面に形成された酸化膜41に対しては進行せず、シリコンウエハ4に対してのみ行われる。前述のように、上層基板2は、可動部2A及び該可動部2Aと切り離された固定部2Bとを備えるため、このエッチングによって、シリコンウエハ4は、上層基板2の可動部2Aに対応する部分と固定部2Bに対応する部分とに切り離される。しかし、シリコンウエハ4の他方の面に形成された酸化膜41は、エッチングが進行せず、1枚物の状態を保つため、シリコンウエハ4の上層基板2の可動部2Aに対応する部分と固定部2Bに対応する部分とは、酸化膜41に固定されて、酸化膜41を介して連結されている。」 カ 引用例6 前置報告において引用された、本願の出願前に頒布された刊行物である特開2000-337884号公報(平成12年12月8日公開。以下、「引用例6」という。)には、次の記載がある。 a 「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、自動車のナビゲーションシステム、カメラの手振れ防止装置、ロボットの姿勢制御装置などに使用される角速度センサに関する。」 b 「【0035】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態による角速度センサを図1ないし図8を参照しつつ詳細に説明する。 【0036】図1および図2は本発明の第1の実施の形態による角速度センサ10を示し、1はパイレックスガラス基板を加工して形成した矩形状の支持基板で、この支持基板1の上面部には、面内に設けた例えば2個の凸部1a,1aと周辺部を取り囲んで突出した枠部1bとを除いて、後述の第1振動体(外側振動体)、第2振動体(内側振動体)などの可動部分の自由振動空間を与える凹部1cが設けられる。 【0037】ここで、凸部1aは、枠部1b内に位置してY軸方向に離間して配設され、その上部には後述の固定検出電極11,12が形成されている。また、枠部1bの上部には、後述する支持枠体2が形成されている。 【0038】2はシリコン基板を加工して形成した矩形状の支持枠体で、該支持枠体2には、X軸方向に離間した枠桟の内側面にそれぞれ凸形状の支持固定部2a,2bが形成されている。また、支持固定部2a,2bは、支持枠体2のうちY軸方向に延びる枠桟の長さ方向中間部に配設されている。 【0039】3は矩形枠状の第1振動体で、該第1振動体には、X軸方向に離間した枠桟3a,3bの外側に第1支持梁4,5がそれぞれ設けられている。また、第1支持梁4,5は、枠桟3a,3bに対しそれぞれ平行となってY軸方向に延びている。そして、第1支持梁4,5の長さ方向(Y軸方向)中間部は、支持固定部2a,2bの先端部にそれぞれ結合している。また、第1支持梁4,5の両端は、枠桟3a,3bの端部にそれぞれ結合している。 【0040】第1振動体3のY軸方向の枠桟3c,3dの外側面には、F字形のそれぞれ対をなす櫛歯電極3e,3hが形成されている。これらの櫛歯電極3e,3hは、それらの櫛歯側を互いに対向させている。これらの櫛歯電極3e,3hとそれぞれ間隙を介して噛み合う櫛歯状の電極3f,3iを有する固定駆動電極3g,3jが凹部1c内にそれぞれ形成されている。そして、電極3e,3f、電極3h,3iが、それぞれ一対となって静電駆動電極を形成する。これらの電極3e?3g、3h?3jは、駆動手段を構成している。また、第1振動体3を駆動させる場合には、固定駆動電極3gと3jには、逆位相の電圧が印加される。 【0041】6は矩形枠状の第2振動体で、該第2振動体6は、第1振動体3の内側にY軸方向に変位可能に支持されている。そして、第2振動体6には、Y軸方向に離間した枠桟6a,6bの外側に第2支持梁7,8が設けられている。また、第2支持梁7,8は、枠桟6a,6bと平行となってX軸方向の延びている。さらに、第1振動体3には、Y軸方向に離間した枠桟3c,3dの長さ方向(X軸方向)中間部の内側面に支持部3k,3mが設けられている。 【0042】そして、第2支持梁7,8の長さ方向(X軸方向)中間部は、枠桟3c,3dの支持部3k,3mにそれぞれに結合している。また、第2支持梁7,8の両端は、枠桟6a,6bの端部にそれぞれ結合している。 【0043】また、第2振動体6には、X軸方向に離間した枠桟6c,6dの長さ方向(Y軸方向)中間部の内側面に、第2振動体6に質量を付加する矩形状の負荷振動体9の両端部がそれぞれ結合されている。そして、この負荷振動体9の一方の側面側には、「干」字形状の2個の櫛歯電極9aが形成され、また他方の側面側には、「干」字形状の2個の櫛歯電極9bが形成されている。 【0044】11,12は固定検出電極で、負荷振動体9の両側にそれぞれ配置され、凹部1c内の各凸部1a上にそれぞれ形成されている。そして、固定検出電極11,12は、櫛歯電極9a,9bとそれぞれ間隙を介して噛み合う櫛歯電極11a,12aを有している。 【0045】なお、第1振動体3、第2振動体6などの可動部分(点集合塗り潰し部分)と、支持枠体2などの固定部分(斜線塗り潰し部分)とは、センサ素子を形成し、同一のシリコン基板を加工して一体に形成される。そして、前記可動部分は一対の第1支持梁4,5を介して一対の支持固定部2a,2bに振動可能に支持される。 【0046】前述のように、シリコン基板を加工して形成した一対の支持固定部2a,2bは、パイレックスガラス基板よりなる支持基板1に一定の間隔をおいて対向して接合されている。そして、熱膨張係数がシリコン基板よりパイレックスガラス基板の方が大きい場合には、一対の支持固定部2a,2bは、矢印a方向に引張り応力を受ける。この引張り応力のために、第1支持梁4,5の長さ方向中間の結合部も同方向に引張り応力を受けることになる。しかしながら、この引張り応力は、第1支持梁4,5の変形ないし撓みにより吸収されて、第1支持梁に引張り応力を生じさせない。このため、第1支持梁4,5および第2支持梁7,8の張力が変化しないので、第1支持梁4,5および第2支持梁7,8の引張り応力による機械的な共振周波数変化を生じず、それらの周波数の差も変化しない。従って、駆動と検出の共振周波数の差が最適の値になるように設計することができ、検出感度を向上させることができる。 【0047】本実施の形態による角速度センサ10は上述の如き構成を有するもので、次にその動作について説明する。 【0048】まず、電極3e,3f間と、電極3h,3i間に、直流電圧を重畳した180°位相の異なる交流電圧をそれぞれ印加する。すると、負荷振動体9(第1振動体3、第2振動体6なども含む)は、一対の第1支持梁4,5の撓みにより、X軸方向に振動するようになる。このように、負荷振動体9が振動して慣性状態にあるときに、負荷振動体9の中心を通るZ軸回りに角速度Ωが作用して、該負荷振動体9が回転すると、負荷振動体9(第2振動体6を含む)はコリオリ力によりY軸方向にも振動するようになる。このY軸方向への振動は、一対の第2支持梁7,8の撓みにより可能となる。 【0049】そして、櫛歯電極9aと櫛歯電極11aとの間に形成される静電容量と、櫛歯電極9bと櫛歯電極12aとの間に形成される静電容量とが、一方は増加し、他方は減少するように変化する。このため、これらの変化する静電容量を電圧変換して差動増幅することにより回転角速度を求めることができる。」 c 「【0053】次に、図4ないし図8を参照して第3の実施の形態による角速度センサ30について説明する。本実施の形態は、図1に示す角速度センサ10の第1支持梁4,5を図4に示す第1支持梁21,22のように折返した形状に形成したもので、その他の部分については図1と同様なので同一番号を付してその説明を援用する。 【0054】21,22は第1振動体3をY軸方向に振動可能に支持する第1支持梁で、該第1支持梁21,22は、第1振動体3のX軸方向の枠桟3a,3bの外側に配設されている。そして、第1支持梁21,22のうち枠桟3a側の第1支持梁21は、その長さ方向(Y軸方向)中間部が支持固定部2aに結合されると共に、支持固定部2aを挟んで略対称形状をなす支持梁部21a,21bによって構成されている。また、支持梁部21aは、枠桟3aと平行にY軸方向に延びる3本の腕部21a1 と、各腕部21a1 を接続する2つの折返し部21a2 とによって構成され、全体として略Z字状に折返した形状をなしている。 【0055】一方、支持梁部21bも、支持梁部21aと同様にY軸方向に延びる3本の腕部21b1 と、これらの腕部21b1 を接続する2つの折返し部21b2 とによって構成され、全体として略Z字状に折返した形状をなしている。そして、支持梁部21a,21bは、基端側が支持固定部2aに接続されると共に、先端側が第1振動体3の枠桟3aの両端側に接続されている。 【0056】また、枠桟3b側の第1支持梁22は、その長さ方向(Y軸方向)中間部が支持固定部2bに結合されると共に、支持固定部2bを挟んで略対称形状をなす支持梁部22a,22bによって構成されている。そして、支持梁部22aは、枠桟3bと平行にY軸方向に延びる3本の腕部22a1 と、各腕部22a1 を接続する2つの折返し部22a2 とによって構成され、全体として略Z字状に折返した形状をなしている。 【0057】一方、支持梁部22bも、Y軸方向に延びる3本の腕部22b1 と、これらの腕部22b1 を接続する2つの折返し部22b2 とによって構成され、全体として略Z字状に折返した形状をなしている。また、支持梁部22a,22bは、基端側が支持固定部2bに接続されると共に、先端側が第1振動体3の枠桟3bの両端側に接続されている。 【0058】そして、Y軸方向に延びる各腕部21a1 ,21b1 ,22a1 ,22b1 の長さ寸法L1 は、図5に示すようにX軸方向に延びる各折返し部21a2 ,21b2 ,22a2 ,22b2 の長さ寸法L2 に比べて例えば2?5倍程度長くなっている。 【0059】かくして、このように構成された本実施の形態による角速度センサ30でも前述した第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を有するものである。 【0060】しかし、本実施の形態では、第1支持梁21を腕部21a1 ,21b1 と折返し部21a2 ,21b2 とによって折返した形状に形成し、第1支持梁22を腕部22a1 ,22b1 と折返し部22a2 ,22b2 とによって折返した形状に形成している。このため、電極3e,3f間と、電極3h,3i間に、直流電圧を重畳した180°位相の異なる交流電圧を印加し、第1振動体3が振動するときには、折返し状態に接続された複数の腕部21a1 ,21b1 ,22a1 ,22b1 が拡開、縮小を繰り返す。これにより、第1振動体3は振動方向に振動し易くなるから、その振幅を大きくすることができる。」 (3)対比・判断 ア 対比 (ア)本件補正発明と引用発明とを対比する。 a 引用発明の「x方向の撓み性が高いばね梁1?4/21?24」は、本件補正発明の「駆動用バネ部」に相当する。また、引用発明の「x方向に並んだ第1駆動枠5および第2駆動枠25」は、「ばね梁1?4/21?24に連続する」ものであるから、本件補正発明の「前記駆動用バネ部に接続されている駆動用支持部」に相当する。そして、引用発明において、「y方向に等ピッチで分布しx方向に突出する櫛歯状の可動電極6/26」が「第1,第2駆動枠5/25」に接続されていることは、明らかである(引用例1の図面の図5(上記(2)ア(ア)f)も参照。)ので、引用発明の「y方向に等ピッチで分布しx方向に突出する櫛歯状の可動電極6/26」は、本件補正発明の「前記駆動用支持部に接続されている駆動用可動電極」に相当する。 したがって、引用発明における、「x方向の撓み性が高いばね梁1?4/21?24」、「x方向に並んだ第1駆動枠5および第2駆動枠25」及び「y方向に等ピッチで分布しx方向に突出する櫛歯状の可動電極6/26」からなる構成は、本件補正発明の「駆動用バネ部、前記駆動用バネ部に接続されている駆動用支持部、および前記駆動用支持部に接続されている駆動用可動電極を備えた駆動部」に相当する。 b 引用発明の「y方向に撓み性が高いばね梁7?10」及び「y方向に撓み性が高いばね梁27?30」は、それぞれ「第1駆動枠5」及び「第2駆動枠25」「に連続する」ものであるから、本件補正発明の「前記駆動用支持部に接続されている検出バネ部」に相当する。また、引用発明の「第1振動体11」及び「第2振動体31」は、それぞれ「y方向に撓み性が高いばね梁7?10」及び「y方向に撓み性が高いばね梁27?30」「に連続する」ものであるから、本件補正発明の「前記検出用バネ部に接続されている検出用支持部」に相当する。そして、引用発明において、「y方向に等ピッチで存在」する「x方向に延びる複数の渡し梁」が、「大略で枠形状である」「振動体11/31」に接続されていることは、明らかであり(引用例1の図面の図5(上記(2)ア(ア)f)も参照。)、また、当該「複数の渡し梁」が電極として機能することも、「中心Oを通るz軸廻りの角速度が加わる」ことによって「y方向で隣り合う渡し梁の間の空間に」設けられた「各1対の固定検出電極13,14/33,34」「にy振動対応の静電容量振動を生じ」ることから明らかであるので、引用発明の「y方向に等ピッチで存在」する「x方向に延びる複数の渡し梁」は、本件補正発明の「前記検出用支持部に接続されている検出用可動電極」に相当する。 したがって、引用発明における、「y方向に撓み性が高いばね梁7?10」及び「y方向に撓み性が高いばね梁27?30」、「第1振動体11」及び「第2振動体31」並びに「y方向に等ピッチで存在」する「x方向に延びる複数の渡し梁」からなる構成は、本件補正発明の「前記駆動用支持部に接続されている検出バネ部、前記検出用バネ部に接続されている検出用支持部、および前記検出用支持部に接続されている検出用可動電極を備えた検出部」に相当する。 c 引用発明において、「シリコンウェーハ上に造形」することは、本件補正発明において、「基板を」「加工して」「形成する」ことに相当するから、上記a及びbも踏まえると、引用発明において、「x方向の撓み性が高いばね梁1?4/21?24に連続する、x方向に並んだ第1駆動枠5および第2駆動枠25と、第1駆動枠5の内方にあって、それに連続するy方向に撓み性が高いばね梁7?10に連続する第1振動体11と、第2駆動枠25の内方にあって、それに連続するy方向に撓み性が高いばね梁27?30に連続する第2振動体31と、を備え」た「角速度センサ」「を、リソグラフを用いる半導体プロセスにて、シリコンウェーハ上に造形して生産する」ことと、本件補正発明において、「基板をドライエッチング法により加工して、駆動用バネ部、前記駆動用バネ部に接続されている駆動用支持部、および前記駆動用支持部に接続されている駆動用可動電極を備えた駆動部と、前記駆動用支持部に接続されている検出バネ部、前記検出用バネ部に接続されている検出用支持部、および前記検出用支持部に接続されている検出用可動電極を備えた検出部と、を形成する工程を含み、」「前記ドライエッチング法は、フッ化炭素系ガスを用いた保護膜形成処理と、フッ化硫黄系のガスを用いたエッチング処理と、を交互に繰り返すボッシュ法であ」ることとは、「基板を加工して、駆動用バネ部、前記駆動用バネ部に接続されている駆動用支持部、および前記駆動用支持部に接続されている駆動用可動電極を備えた駆動部と、前記駆動用支持部に接続されている検出バネ部、前記検出用バネ部に接続されている検出用支持部、および前記検出用支持部に接続されている検出用可動電極を備えた検出部と、を形成する工程を含」む点で共通する。 d 引用発明の「x方向」、「y方向」及び「中心Oを通るz軸廻りの角速度」は、それぞれ、本件補正発明の「第1軸の方向」、「前記第1軸に直交する第2軸の方向」及び「前記第1軸および前記第2軸に直交する第3軸回りの角速度」に相当するので、引用発明において、「可動電極6/26のy方向分布の空間に突出する櫛歯状の固定電極がありy方向に分布している駆動電極15,16(35,36)に交互に、駆動枠5(25)の電位(略機器アースレベル)より高い電圧を印加することにより、駆動枠5(25)がx方向に振動」することは、本件補正発明において、「前記駆動用支持部は第1軸の方向に振動可能であ」ることに相当し、また、引用発明において、「中心Oを通るz軸廻りの角速度が加わると、振動体11,31が、y成分も有する相対的に逆相の楕円振動となり、これによって電極13,14/33,34にy振動対応の静電容量振動を生じ」ることは、本件補正発明において、「前記検出用支持部は前記第1軸に直交する第2軸の方向に、前記第1軸および前記第2軸に直交する第3軸回りの角速度に応じて変位可能であ」ることに相当する。 e 引用発明において、「x方向の撓み性が高いばね梁1?4/21?24」を、「x方向の撓み性が高くy方向には撓み性が低いz型のばね梁とし」て形成すると、当該「z型のばね梁」である「ばね梁1?4,21?24」が「y方向」に往復しながら「x方向」に延在する形状となることは、明らかである(引用例1の図面の図5(上記(2)ア(ア)f)も参照。)ので、引用発明において、「ばね梁1?4,21?24をx方向の撓み性が高くy方向には撓み性が低いz型のばね梁と」することは、本件補正発明において、「前記駆動用バネ部を、前記第2軸に沿って往復しながら前記第1軸に沿って延在する形状を有するように形成」することに相当する。 f 引用発明において、「y方向に撓み性が高いばね梁7?10」及び「y方向に撓み性が高いばね梁27?30」を、「y方向には撓み性が高くx方向には撓み性が低いz型のばね梁とし」て形成すると、当該「z型のばね梁」である「ばね梁7?10,27?30」が「x方向」に往復しながら「y方向」に延在する形状となることは、明らかである(引用例1の図面の図5(上記(2)ア(ア)f)も参照。)ので、引用発明において、「ばね梁7?10,27?30をy方向には撓み性が高くx方向には撓み性が低いz型のばね梁と」することは、本件補正発明において、「前記検出用バネ部を、前記第1軸に沿って往復しながら前記第2軸に沿って延在する形状を有するように形成」することに相当する。 g 引用発明の「x方向に並んだ第1駆動枠5および第2駆動枠25」のそれぞれが、「枠」を構成している以上、「x方向」に延在する2つの延在部を有することは、明らかである(引用例1の図面の図5(上記(2)ア(ア)f)も参照。)ところ、引用発明において、「第1駆動枠5の内方に」すなわち「第1駆動枠5」の2つの前記延在部の間に、「y方向に撓み性が高いばね梁7?10」、「第1振動体11」及び「y方向に等ピッチで存在」する「x方向に延びる複数の渡し梁」からなる構成が設けられ、「第2駆動枠25の内方に」すなわち「第2駆動枠25」の2つの前記延在部の間に、「y方向に撓み性が高いばね梁27?30」、「第2振動体31」及び「y方向に等ピッチで存在」する「x方向に延びる複数の渡し梁」からなる構成が設けられていることも、同様に明らかである。 したがって、上記bも踏まえると、引用発明において、「角速度センサは、」「x方向に並んだ第1駆動枠5および第2駆動枠25と、第1駆動枠5の内方にあって、それに連続するy方向に撓み性が高いばね梁7?10に連続する第1振動体11と、第2駆動枠25の内方にあって、それに連続するy方向に撓み性が高いばね梁27?30に連続する第2振動体31と、を備え、」「振動体11/31も大略で枠形状であるが、x方向に延びる複数の渡し梁がy方向に等ピッチで存在」することは、本件補正発明において、「前記駆動用支持部は、前記第1軸に沿って延在する2つの延在部を有し、前記検出部は、2つの前記延在部の間に設けられ」ていることに相当する。 h 上記gを踏まえ、さらに、引用発明の「x方向に並んだ第1駆動枠5および第2駆動枠25」のそれぞれが、「x方向」に延在する2つの延在部に加えて、「y方向」に延在する2つの延在部も有していることは、明らかであり、また、引用発明の「y方向に等ピッチで分布しx方向に突出する櫛歯状の可動電極6/26」が、当該「y方向」に延在する延在部にあることも、明らかである(引用例1の図面の図5(上記(2)ア(ア)f)も参照。)ので、引用発明において、「第1,第2駆動枠5/25には、y方向に等ピッチで分布しx方向に突出する櫛歯状の可動電極6/26があ」ることと、本件補正発明において、「前記駆動用可動電極は、前記延在部の、前記検出部が設けられている側とは反対側に設けられ」ていることとは、「前記駆動用可動電極は、前記駆動用支持部の延在部に設けられ」ている点で共通する。 i 引用発明において、「駆動枠5,25の共振周波数(固有振動数)より、振動体11,31の共振周波数(固有振動数)を数100Hz高く設計しており、周波数調整電極19,20/39,40に直流電圧を印加してそのレベルを調整することにより、振動体11,31の共振周波数を設計値に近い値に微調整する」ことと、本件補正発明において、「前記駆動部の共振周波数をf_(1)とし、前記検出部の共振周波数をf_(2)とし、前記駆動用バネ部の幅をw_(1)とし、前記検出用バネ部の幅をw_(2)とすると、下記式(2)」すなわち「(w_(2)/w_(1))=(f_(2)/f_(1))」「(ただし、w_(1)≠w_(2)、かつf_(1)≠f_(2))」「を満たす」こととは、「前記駆動部の共振周波数をf_(1)とし、前記検出部の共振周波数をf_(2)としたときに、f_(1)≠f_(2)を満たす」点で共通する。 j 引用発明の「角速度センサ」は、本件補正発明の「ジャイロセンサー」に相当するから、引用発明の「角速度センサの生産方法」は、次の相違点は除いて、本件補正発明の「ジャイロセンサーの製造方法」に相当するといえる。 (イ)よって、上記(ア)aないしjから、本件補正発明と引用発明とは、 「基板を加工して、駆動用バネ部、前記駆動用バネ部に接続されている駆動用支持部、および前記駆動用支持部に接続されている駆動用可動電極を備えた駆動部と、前記駆動用支持部に接続されている検出バネ部、前記検出用バネ部に接続されている検出用支持部、および前記検出用支持部に接続されている検出用可動電極を備えた検出部と、を形成する工程を含み、 前記駆動用支持部は第1軸の方向に振動可能であり、前記検出用支持部は前記第1軸に直交する第2軸の方向に、前記第1軸および前記第2軸に直交する第3軸回りの角速度に応じて変位可能であり、 前記駆動用バネ部を、前記第2軸に沿って往復しながら前記第1軸に沿って延在する形状を有するように形成し、 前記検出用バネ部を、前記第1軸に沿って往復しながら前記第2軸に沿って延在する形状を有するように形成し、 前記駆動用支持部は、前記第1軸に沿って延在する2つの延在部を有し、 前記検出部は、2つの前記延在部の間に設けられ、 前記駆動用可動電極は、前記駆動用支持部の延在部に設けられ、 前記駆動部の共振周波数をf_(1)とし、前記検出部の共振周波数をf_(2)としたときに、f_(1)≠f_(2)を満たす、ジャイロセンサーの製造方法。」 である点で一致し、次の点で相違する。 (相違点1) 基板を加工して駆動部と検出部とを形成する工程が、本件補正発明では、「ドライエッチング法によ」るものであって、「前記ドライエッチング法は、フッ化炭素系ガスを用いた保護膜形成処理と、フッ化硫黄系のガスを用いたエッチング処理と、を交互に繰り返すボッシュ法であ」るのに対し、引用発明では、「リソグラフを用いる半導体プロセス」であるものの、そのような「ドライエッチング法」については特定がない点。 (相違点2) 前記駆動用可動電極が、本件補正発明では、「前記駆動用支持部」の「前記第1軸に沿って延在する」「前記延在部の、前記検出部が設けられている側とは反対側に設けられ」ているのに対し、引用発明では、「第1,第2駆動枠5/25」の「x方向」に延在する延在部ではなく、「y方向」に延在する延在部に設けられている点。 (相違点3) 本件補正発明では、「前記駆動部の共振周波数をf_(1)とし、前記検出部の共振周波数をf_(2)とし、前記駆動用バネ部の幅をw_(1)とし、前記検出用バネ部の幅をw_(2)とすると、下記式(2)」すなわち「(w_(2)/w_(1))=(f_(2)/f_(1))」「(ただし、w_(1)≠w_(2)、かつf_(1)≠f_(2))」「を満たす」のに対し、引用発明では、「駆動枠5,25の共振周波数(固有振動数)より、振動体11,31の共振周波数(固有振動数)を数100Hz高く設計しており、周波数調整電極19,20/39,40に直流電圧を印加してそのレベルを調整することにより、振動体11,31の共振周波数を設計値に近い値に微調整する」点。 イ 判断 事案に鑑み、最初に上記相違点3について検討する。 引用例2及び3に記載された技術は、それぞれ上記(2)イ(イ)及び上記(2)ウ(イ)に記載したとおりのものであるところ、本件補正発明は、「離調周波数」すなわち駆動部と検出部の共振周波数の差に着目し、「駆動用バネ部114の幅w_(1)と検出用バネ部124の幅w_(2)を同じ幅で設計すると、製造プロセスの寸法ずれにより、離調周波数の変動が出やすくなる」(本願の明細書の段落【0074】)との問題があったことから、「製造プロセスによるサイドエッチ量Δwが変化しても離調周波数がずれないような条件」(本願の明細書の段落【0075】)を定式化して求めることにより、上記相違点3に係る「前記駆動部の共振周波数をf_(1)とし、前記検出部の共振周波数をf_(2)とし、前記駆動用バネ部の幅をw_(1)とし、前記検出用バネ部の幅をw_(2)と」したときに「(w_(2)/w_(1))=(f_(2)/f_(1))」「(ただし、w_(1)≠w_(2)、かつf_(1)≠f_(2))」「を満たす」との構成を見いだしたものといえる。 しかしながら、引用例2に記載された技術は、「駆動梁および検出梁」の「ばね定数がその幅寸法の3乗に比例」することから、「駆動梁および検出梁の幅寸法に加工ばらつきが生じ」た場合にあっても「駆動モードと検出モードの共振周波数差に与える影響は小さくなっている」こと示すにとどまるものであって、更に進んで、「駆動梁および検出梁の幅寸法に加工ばらつきが生じ」た場合にあっても「駆動モードと検出モードの共振周波数差に与える影響」がゼロになるような条件(すなわち、幅寸法に加工ばらつきが生じても離調周波数がずれないような条件)を定式化して求めることについて、示唆するものとはいえず、一方で、引用例3に記載された技術は、「ジャイロスコープの感度及び帯域幅を決定する因子」として、「離調周波数」(駆動部と検出部の共振周波数の差)ではなく、「駆動部と検出部の共振周波数の比」に着目した上で、「駆動部及び検出部のスプリングの幅tは同一に設計」することによって、「マイクロジャイロスコープの製作」の「様々な工程誤差により」「幅tの誤差が発生し」た場合にあっても「駆動部と検出部の共振周波数の比」を「常に一定に維持」するようにしたものである。 してみると、引用発明において、引用例2及び3に記載された技術を考慮したとしても、「製造プロセスによるサイドエッチ量Δwが変化しても離調周波数がずれないような条件」を定式化し本件補正発明の上記相違点3に係る構成とすることは、当業者が容易になし得たことであるとはいえない。 そして、引用例4ないし6のいずれにも、「前記駆動部の共振周波数をf_(1)とし、前記検出部の共振周波数をf_(2)とし、前記駆動用バネ部の幅をw_(1)とし、前記検出用バネ部の幅をw_(2)と」したときに「(w_(2)/w_(1))=(f_(2)/f_(1))」「(ただし、w_(1)≠w_(2)、かつf_(1)≠f_(2))」「を満たす」との構成はおろか、「製造プロセスによるサイドエッチ量Δwが変化しても離調周波数がずれないような条件」を定式化することについても記載されていないから、引用発明において、本件補正発明の上記相違点3に係る構成とすることが、当業者が容易になし得たことであるということはできない。 したがって、上記相違点1及び2については検討するまでもなく、本件補正発明は、引用発明及び引用例2ないし6に記載された技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (4)小括 以上のとおりであるから、本件補正発明は、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものとはいえない。 また、本件補正発明について、他に特許出願の際独立して特許を受けることができないものというべき理由を発見しない。 したがって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合する。 4 まとめ 以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第3項ないし第6項の規定に適合する。 第3 本願発明について 1 本願発明 本件補正は、上記「第2」のとおり特許法第17条の2第3項ないし第6項の規定に適合するので、本願の請求項1に係る発明は、本件補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されたとおりのものである。 2 原査定の理由について (1)原査定の理由の概要 原査定の拒絶理由は、概略、本願の請求項1ないし3及び5ないし8に係る発明は、引用例3に記載された発明並びに引用例2及び4に記載された技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。 (2)原査定の理由についての判断 原査定の拒絶理由の対象とされた、本件補正による補正前の請求項1ないし3及び5ないし8は、上記「第2」2のとおり本件補正によって全て削除されたので、原査定の拒絶理由は、理由のないものとなった。 3 むすび 以上のとおり、本願については、原査定の拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2017-02-22 |
出願番号 | 特願2011-242659(P2011-242659) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(G01C)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 梶田 真也 |
特許庁審判長 |
酒井 伸芳 |
特許庁審判官 |
清水 稔 大和田 有軌 |
発明の名称 | ジャイロセンサーの製造方法 |
代理人 | 布施 行夫 |
代理人 | 大渕 美千栄 |