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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F
管理番号 1325445
審判番号 不服2016-5851  
総通号数 208 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-04-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-04-19 
確定日 2017-03-14 
事件の表示 特願2014-530471「エネルギー管理装置、及びエネルギー管理装置の制御方法」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 2月20日国際公開、WO2014/027462、請求項の数(16)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2013年(平成25年)8月12日(優先権主張2012年(平成24年)8月13日、日本国)を国際出願日とする出願であって、平成27年7月10日付けで拒絶理由が通知され、平成27年9月24日付けで手続補正がされ、平成28年1月13日付けで拒絶査定(以下、「原査定」という)がされ、これに対し、平成28年4月19日に拒絶査定不服審判が請求され、その後、当審において平成28年11月21日付けで拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という)が通知され、平成29年1月23日付けで手続補正がされたものである。


第2 原査定の概要
原査定(平成28年1月13日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

本願請求項1-16に係る発明は、以下の引用文献A-Fに基いて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
A.特開2011-155710号公報
B.特開平07-271481号公報
C.国際公開第2012/025972号
D.特開2002-108515号公報(周知技術を示す文献)
E.特開2009-237881号公報(周知技術を示す文献)
F.特開平09-171421号公報(周知技術を示す文献)


第3 当審拒絶理由通知の概要
当審拒絶理由通知の概要は次のとおりである。

本願請求項1-16に係る発明は、以下の引用文献1-6に基いて、当業者が容易に発明できたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
1.特開2012-115003号公報(当審において新たに引用した文献)
2.特開平07-271481号公報(拒絶査定時の引用文献B)(周知技術を示す文献)
3.特開2002-108515号公報(拒絶査定時の引用文献D)(周知技術を示す文献)
4.特開2009-237881号公報(拒絶査定時の引用文献E)(周知技術を示す文献)
5.特開平09-171421号公報(拒絶査定時の引用文献F)(周知技術を示す文献)
6.国際公開第2012/025972号(拒絶査定時の引用文献C)


第4 本願発明
本願請求項1-16に係る発明は、平成29年1月23日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-16に記載された事項により特定されるものと認められる。
本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は以下のとおりである。
「【請求項1】
需要家に設けられ、需要家内の負荷機器あるいは分散電源の少なくとも電力状態を管理するエネルギー管理装置であって、
記憶媒体と、
商用電源及び前記分散電源からの電力供給を受ける電源入力部と、
前記電源入力部における商用電源からの電力供給が無い場合に電力を供給するバックアップ電源と、
前記電源入力部における前記商用電源からの電力供給が無い期間が所定時間以上である場合、前記記憶媒体の停止処理をし、前記電源入力部における前記商用電源からの電力供給が無い期間が所定時間未満である場合、前記記憶媒体の停止処理を行わない制御部と、
を備えることを特徴とするエネルギー管理装置。」(下線は補正事項を示している。)


第5 引用文献、引用発明等
1.引用文献1について
平成28年11月21日付けの拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0024】
[第1実施形態]
次に、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。具体的には、(1)電力システムの構成、(2)スマートコントローラの構成、(3)スマートコントローラの動作、(4)作用・効果について説明する。以下の実施形態における図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。
【0025】
(1)電力システムの構成
図1は、本発明の実施形態に係る電力システム1の構成図である。図1に示す電力システム1は、所謂スマートグリッドを採用したシステムである。
【0026】
図1に示すように、電力システム1は、電力の需要家であるスマートハウス10と、電力の供給者である電力系統60と、電力システム1の全体の電力制御を行うエネルギーマネジメントシステム(EMS)70と、スマートハウス10とEMS70との間の通信経路であるインターネット80とを含む。なお、電力系統60の配下には、複数のスマートハウス10が存在し、これら複数のスマートハウス10は、電力の需要家群を形成している。
【0027】
電力システム1では、電力系統60からスマートハウス10への送電が行われ、当該スマートハウス10において電力が使用される。また、適宜、スマートハウス10から電力系統60への逆潮流が行われてもよい。

・・・(中略)・・・

【0031】
スマートハウス10は、制御装置としてのスマートコントローラ102と、スマートメータ103と、ハイブリッドパワーコンディショナ(ハイブリッドPCS)104と、直流電源としての太陽電池106と、電力を蓄電する第1の蓄電池108及び第2の蓄電池109と、負荷機器としての照明110及び空調装置112と、蓄熱器としての蓄熱機器114とを有する。ここで、第1の蓄電池108は、需要家の屋内外に設置する常設型の蓄電池である。第2の蓄電池109は、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHV)などに搭載される蓄電池である。なお、本実施形態では、スマートハウス10に第1の蓄電池108(以下、単に蓄電池108とする)が設けられている場合を主に説明するが、これを第2の蓄電池109としてもよいことに留意すべきである。また、蓄熱機器114は、例えば熱によって水を沸かし、これを温水として蓄熱する温水器などである。また、負荷機器には、図示しないテレビ等の家電機器も含まれていてもよい。
【0032】
スマートコントローラ102は、有線回線又は無線回線である広域通信回線90を介して、インターネット80に接続される。また、スマートコントローラ102は、有線回線又は無線回線である家庭内通信回線160を介して、スマートメータ103、ハイブリッドPCS104、照明110、空調装置112、蓄熱機器114に接続する。スマートコントローラ102は、これらの機器を制御することができる。例えば、スマートコントローラ102は、ハイブリッドPCS104を制御することによって、電力を蓄電する蓄電池108を制御することができる。また、スマートコントローラ102は、蓄熱機器114に蓄えられている温水量を適宜監視し、その温水量に応じて蓄熱機器114を制御することもできる。つまり、スマートコントローラ102は、需要家に設けられ、蓄電池108と蓄熱機器114とを制御する制御装置を構成する。なお、スマートコントローラ102の構成及び動作については後述する。
【0033】
スマートメータ103は、電力系統60に接続されるとともに、家庭内配電線150に接続される。このスマートメータ103は、電力系統60から供給され、照明110、空調装置112、蓄熱機器114などに使用される電力量を検知し、計測データとして、インターネット80を介してEMS70へ送信する。
【0034】
ハイブリッドPCS104は、家庭内配電線150に接続されるとともに、太陽電池106と蓄電池108とに接続される。ハイブリッドPCS104は、スマートコントローラ102の制御に応じて、太陽電池106と蓄電池108とを運転させる。また、ハイブリッドPCS104は、太陽電池106によって発電された直流電力が予め定められた発電閾値以上である場合、発電閾値以上の直流電力を蓄電池108に蓄電させることができる。
【0035】
また、ハイブリッドPCS104は、スマートコントローラ102の制御に応じて、蓄電池108の放電による直流電力や、太陽電池106によって発電された直流電力を交流電力に変換して家庭内配電線150へ送り出すことができる。家庭内配電線150へ送り出された交流電力は、適宜、照明110、空調装置112、蓄熱機器114において使用され、あるいは、電力系統60への逆潮流の電力となる。
【0036】
また、ハイブリッドPCS104は、電力系統60からの交流電力を直流電力に変換し、この直流電力を蓄電池108に蓄電させることができる。また、ハイブリッドPCS104は、蓄電池108の蓄電量を適宜監視し、スマートメータ103やスマートコントローラ102に送信することができる。
【0037】
照明110、空調装置112、蓄熱機器114は、家庭内配電線150に接続されるとともに、家庭内通信回線160に接続される。照明110及び空調装置112は、スマートコントローラ102の制御に応じて、家庭内配電線150からの交流電力によって動作する。蓄熱機器114は、スマートコントローラ102の制御に応じて、家庭内配電線150からの交流電力を熱に変換して、この熱を温水に蓄熱する。
【0038】
(2)スマートコントローラの構成
次に、スマートコントローラ102の構成について説明する。図2は、スマートコントローラ102の構成図である。図2に示すように、スマートコントローラ102は、制御部152と、記憶部153と、通信部154とを有する。
【0039】
通信部154は、広域通信回線90及びインターネット80を介してEMS70から、電力料金情報や各種制御情報を受信する。また、通信部154は、家庭内通信回線160を介して、スマートメータ103、ハイブリッドPCS104、蓄熱機器114などの機器との間で通信を行う。
【0040】
記憶部153は、例えばメモリによって構成され、スマートハウス10内の各部の制御などに用いられる各種情報を記憶する。具体的に、記憶部153は、予測発電情報を記憶する。
【0041】
ここで、予測発電情報は、太陽電池106が発電する電力量の未来(例えば、翌一日)の予測値を示す情報であり、かかる予測値が、時間帯(時刻)に対応づけられている。また、太陽電池106が発電する電力量は、日照条件による影響を受けるため、記憶部153には、季節(例えば、秋、10月など)や天候(例えば、晴れ、曇り、雨など)などの条件に応じて、複数種類の予測発電情報が記憶されている。また、予測発電情報は、太陽電池106が過去に発電した電力量の実績値を示す情報であってもよい。
【0042】
制御部152は、例えばCPUであり、スマートハウス10内の各部を制御する。制御部152は、取得部162とスケジュール決定部164とを含む。
【0043】
取得部162は、通信部154によって受信された電力料金情報(TOU)を取得する。また、取得部162は、記憶部153から、季節や天候などの条件がその日の状況に最も近い予測発電情報を取得する。取得部162は、取得した電力料金情報、予測発電情報をスケジュール決定部164に送信する。
【0044】
スケジュール決定部164は、需要家によって取得可能な参照情報に基づいて、所定期間において、蓄電池108及び蓄熱機器114を運転する運転スケジュールを決定する。
ここで、本実施形態において、上述した参照情報には、電力料金情報と予測発電情報とが含まれている場合を例に挙げて説明する。なお、参照情報には、電力料金情報と予測発電情報との内、少なくとも一つが含まれていればよい。また、本実施形態において、上述した所定期間は、1日として説明する。なお、所定期間は、2日間以上としてもよい。また、運転スケジュールには、蓄電池108に蓄熱するスケジュールと、蓄熱機器114に蓄熱するスケジュールとが含まれている。
【0045】
具体的に、スケジュール決定部164は、取得部162から、電力料金情報を取得する。スケジュール決定部164は、取得された電力料金情報によって示される電力料金と、予め定められている電力料金の料金閾値とを比較し、蓄電池108に蓄電することが可能な候補期間又は蓄熱機器114に蓄熱することが可能な候補期間を特定する。」(段落【0024】-【0045】)(下線は当審で付した。以下同様。)

そうすると、引用文献1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。

「需要家に設けられ、直流電源としての太陽電池106と、電力を蓄電する第1の蓄電池108及び第2の蓄電池109と、負荷機器としての照明110及び空調装置112を制御するスマートコントローラ102であって、
太陽電池106が過去に発電した電力量の実績値を示す情報を記憶する記憶部153と、
制御部152と、
を備えることを特徴とするスマートコントローラ102。」

2.引用文献2?5について
平成28年11月21日付けの拒絶の理由に引用された引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0002】
【従来の技術】計算機システムでは、瞬断・停電などの電源障害から、ファイル保護、データ保護及びシステムの保護のために無停電電源装置(UPS;Uninterruptible PowerSupply、以下、無停電電源装置をUPS と略称する) を適用している。これらの計算機システムにおいては、AC入力電源の瞬断・停電の発生によって、UPS は停電予告信号を計算機に通知し、計算機はデータファイルの退避などや、終了処理を実行する。このとき、AC入力電源の電源障害発生から停電予告通知までの時間や、通知を受けてから終了処理完了までの時間は、一般的に、UPS の出力容量と計算機の定格電力から一義的に定められ、システムの柔軟性に欠けるきらいがある。一般的に、計算機を使用した技術分野では、AC入力電源の電源障害から停電予告通知までの時間をできる限り長く延ばし、この間に、AC入力電源が復帰すれば、停電処理としての終了処理を行わずに、計算機システムとしての動作を正常に継続させたい、という要望が強くある。
【0003】また、一般的に、UPS の停電予告通知の発信タイミングは、AC入力電源の停止などの異常が発生してから0.2 秒から1分程度で行われており、UPS の製品仕様として固定定数となっている。さらにまた、停電予告通知からファイルの退避処理などの終了処理までの時間は、計算機システムの消費電力とUPS のバックアップ時間との関係で定められる。この場合、UPS のバックアップ時間と計算機システムの消費電力はカタログ定格値が使用されている。
【0004】図7にUPS と計算機システムとの従来構成図を示し、図8に従来例における電源異常から計算機システムの動作終了処理までのタイムチャートを示し、図9にUPS の負荷電流(Io)とバックアップ時間(Tb)との関係を示す。図7において、1は一次側電源、2は無停電電源装置UPS 、3は計算機および計算機周辺装置からなる計算機システムである。UPS 2は、バックアップ電源20と、電源電圧異常を検出する異常検出手段21と、この異常検出手段21で検出された電源異常により作動するディレイタイマ22と、から構成され、UPS 入力端子23から一次側電源1よりの電力供給を受け、UPS AC出力端子24に電力を供給する。計算機システム3は、計算機AC入力端子31より安定した電力供給を受け、所定の計算制御動作を行う。
【0005】図8において、今、一次側電源1に瞬断とか停電が発生し、AC入力電源の電源障害が起こると、異常検出手段21がこれを検知し、ディレイタイマ22を作動させ、UPS で定められたディレイタイマ22の設定時間(一定時間(t1))経過後、停電予告通知信号Poffを端子25より出力し、計算機は、計算機システムの計算機インタフェース32よりこの停電予告通知信号Poffを受取り、計算機としての通常の処理を停止し、ファイル退避などの終了処理をt2時間で実行する。ここでは、停電予告通知をだす時間t1と終了処理時間t2との和は、バックアップ時間tbより短かく設定されている。」(段落【0002】-【0005】)

平成28年11月21日付けの拒絶の理由に引用された引用文献3には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0002】
【従来の技術】従来、POS端末等の電子機器においては、電池による電源バックアップ機能を有するRAM(Random Access Memory)を用いることにより、停電が発生した場合のデータ揮発を防止するようにしていた。したがって、電断処理(停電が発生した時の処理)や復電処理(停電が発生した後の電源ON処理)は、簡潔な手段で構成されていた。
【0003】一方、近年のPOS端末においては、データ容量の増大化に伴ない、データの記憶場所はRAMからHDD(Hard Disk Drive)に移行している。すなわち、停電が発生した場合には、RAM上のデータをHDDに退避したり、オペレーティングシステム(OS:Operating System)やアプリケーションのシャットダウン処理を行なったりしなければならない。そこで、近年においては、停電発生時の電断処理を時間的に保障するために、UPSを搭載したPOS端末が開発されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来においては、停電発生時におけるUPSからの電力供給による電断処理は停電発生の直後から実行されている。しかしながら、停電は短時間で復旧することがあり、このような短時間の停電であってもその直後から電断処理を実行したのでは時間を無駄に消費し、稼働率の低下を招くという問題がある。特に、近年においては、OSの高機能化に伴なってシステムの起動時間やシャットダウン時間は増大化していることから、このような問題はより顕著になってきている。
【0005】本発明の目的は、短時間の停電では電断処理の実行を回避し、稼働率を向上させることができる電子機器および記憶媒体を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明の電子機器は、停電発生時に電力供給可能な無停電電源装置を備え、停電発生時の電断処理を時間的に保障するようにした電子機器において、停電発生からの経過時間を計測する経過時間計測手段と、計測された前記経過時間が予め設定されている遅延可能時間を超えたか否かを判断する時間超過判断手段と、この時間超過判断手段により前記経過時間が前記遅延可能時間を超えたと判断した場合、電断処理を開始する電断処理開始遅延手段と、を備える。
【0007】したがって、遅延可能時間を停電発生からの経過時間が超えた場合にのみ、電断処理が開始されることになる。これにより、遅延可能時間内においては停電復旧に待機することが可能になるので、短時間の停電では電断処理の実行を回避することが可能になり、稼働率を向上させることが可能になる。」(段落【0002】-【0007】)

平成28年11月21日付けの拒絶の理由に引用された引用文献4には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0002】
従来のディスクアレイ装置(以下、単に装置(システム)とも称する)のコントローラにおける揮発性のメモリ(メインメモリ)のデータのバックアップの方式として、以下のような第1の方式(図1(a))、第2の方式(図1(b))がある。
【0003】
(1)第1の方式(「メモリバックアップ方式」)では、停電時、バッテリを用いて、バッテリからメモリへ給電し、リフレッシュ動作等によりメモリのデータを保持する。第1の方式では、上記メモリへの給電の動作(メモリバックアップ動作)によりデータが保全される時間(バックアップ時間)は、バッテリの容量(残量)に応じて決定される。バックアップ電力(バッテリ消費量)は、バックアップ時間、装置構成(メモリ容量等)などに応じて増加する。
【0004】
(2)第2の方式(「不揮発性メモリ退避方式」)では、停電時、メモリ(メインメモリ)のデータを不揮発性メモリ(バックアップ用メモリ)へ退避する。

・・・(中略)・・・

【0017】
本形態は、前記第1と第2の方式を用いてそれらの両方が合わせて制御されるバックアップ方式であり、停復電の際、時間やバッテリ量などの条件に応じてそれらの方式(モード)の切り替え(移行)を制御するものである。
【0018】
本方式の制御では、停電時、まず第1の方式(モード)で動作(第1のメモリへの給電によるバックアップ)させ、それに伴い、停電継続時間あるいはバッテリ放電電流量などを積算し、その積算値の条件判定に応じて、第2の方式(モード)の動作(バッテリからの給電に基づく第2のメモリへのデータ退避動作)へ移行させる。
【0019】
本制御では、前記各方式の利点・不利点(a?cなどの観点)を考慮して、モードの移行を制御及び設定可能とすることにより、両方式の効果のバランスがとれるようにする。具体的に、停電の初期段階(短時間停電に対応)に対して、復電時の再起動性に優れる第1のモードを適用し、その後の段階(長時間停電に対応)に対して、バッテリ容量低減及びデータ保全性確保に優れる第2のモードを適用する。これにより、総合的な効果が高くなる。即ち、短時間停電の場合に対しては第1のモードの適用により再起動時間短縮でき、かつ、長時間停電の場合に対しては第2のモードの適用によりバッテリ容量低減及びデータ保全性確保できる。」(段落【0002】-【0019】)

平成28年11月21日付けの拒絶の理由に引用された引用文献5には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0002】
【発明が解決しようとする課題】従来は、バックアップ用バッテリに切り替わった直後にデータのファイル保存及びファイルクローズ処理を行っていた。しかし、電源が、短時間(例えば30秒、1分)で復旧することがあり、この場合、わざわざファイルクローズしなくても復旧までにバックアップ用バッテリで十分にデータが保存されているにもかかわらず、バックアップ用バッテリに切り替わった時点でデータ保存のためにファイル保存処理が行われていた。したがって、短時間の電源異常で復旧するにもかかわらず、いちいちデータファイル処理されていたのでは処理の無駄であり、電源復旧後にファイルクローズされていたデータをオープンにする時間が必要なことから、時間の無駄である。
【0003】本発明の目的は、電源がバックアップ用バッテリに切り替わってもすぐにデータをファイルしクローズする処理をせずに、復旧できるようにしたデータ処理装置を提供することにある。
【0004】本発明の他の目的は、電源かバックアップ用バッテリに切り替わってからの時間の経過をオペレータに知らせて、異常の経過を容易に把握できるようにしたデータ処理装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明のデータ処理装置では、停電時あるいは不用意な電源瞬断時に切り替え部により電源がバックアップ用のバッテリ部に切り替わる。切り替え後、一定時間t’が経過すると、制御回路が第1の制御信号としてロー(Low)バッテリ信号を発生し、これに応答して処理データをファイルに保存し、ファイルクローズする。したがって、時間t’が経過するまでは、ファイル保存、クローズ処理が実行されず、電源復旧により直ちに基の状態に戻ることができる。
【0006】具体的には、ローバッテリ信号により制御回路のオペレーティングシステム(OS)がアプリケーションプログラムを制御しメモリ上に展開されているデータをアプリケーションプログラムの制御の基にデータファイルにファイルデータとして転送して保存し、そのデータファイルをOSからクローズする。クローズ終了後、制御回路からバッテリ部を切り離し、電源OFFの状態にする。」(段落【0002】-【0006】)

したがって、上記引用文献2-5の上記記載(特に、下線部)から、「バックアップ電源を備え、外部電源の供給が途絶えた時間が所定時間以上である場合に、記憶装置あるいは情報処理装置の終了処理を実施するとともに、外部電源の供給が途絶えた時間が所定時間未満である場合には、終了処理を実施しないこと」は、周知の技術(以下、「周知技術」という。)ということができる。


第6 当審の判断
1.対比
本願発明と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。

(1)引用発明の「直流電源としての太陽電池106」、「電力を蓄電する第1の蓄電池108」及び「第2の蓄電池109」は、本願発明の「需要家内の」「分散電源」に相当する。

(2)引用発明の「負荷機器としての照明110及び空調装置112」は、本願発明の「需要家内の負荷機器」に相当する。

(3)引用発明の「スマートコントローラ102」は、「直流電源としての太陽電池106と、電力を蓄電する第1の蓄電池108及び第2の蓄電池109と、負荷機器としての照明110及び空調装置112を制御」、すなわち電力状態を管理しているから、後述する相違点を除き、本願発明の「エネルギー管理装置」に相当する。

(4)したがって、引用発明の「需要家に設けられ、直流電源としての太陽電池106と、電力を蓄電する第1の蓄電池108及び第2の蓄電池109と、負荷機器としての照明110及び空調装置112を制御するスマートコントローラ102」は、本願発明の「需要家に設けられ、需要家内の負荷機器あるいは分散電源の少なくとも電力状態を管理するエネルギー管理装置」に相当する。

(5)引用発明の「太陽電池106が過去に発電した電力量の実績値を示す情報を記憶する記憶部153」は、本願発明の「記憶媒体」に相当する。

(6)引用発明の「制御部152」と、本願発明の「前記電源入力部における前記商用電源からの電力供給が無い期間が所定時間以上である場合、前記記憶媒体の停止処理をし、前記電源入力部における前記商用電源からの電力供給が無い期間が所定時間未満である場合、前記記憶媒体の停止処理を行わない制御部」とは、いずれも「制御部」である点で共通する。

したがって、本願発明と引用発明とは、次の一致点、相違点を有する。

(一致点)
「需要家に設けられ、需要家内の負荷機器あるいは分散電源の少なくとも電力状態を管理するエネルギー管理装置であって、
記憶媒体と、
制御部と、
を備えることを特徴とするエネルギー管理装置。」

(相違点1)
本願発明のエネルギー管理装置は、「商用電源及び前記分散電源からの電力供給を受ける電源入力部」を備えるのに対して、引用発明のスマートコントローラ102においては、対応する構成が特定されていない点。

(相違点2)
本願発明のエネルギー管理装置は、「前記電源入力部における商用電源からの電力供給が無い場合に電力を供給するバックアップ電源」を備えるのに対して、引用発明のスマートコントローラ102においては、対応する構成が特定されていない点。

(相違点3)
本願発明のエネルギー管理装置は、「前記電源入力部における前記商用電源からの電力供給が無い期間が所定時間以上である場合、前記記憶媒体の停止処理をし、前記電源入力部における前記商用電源からの電力供給が無い期間が所定時間未満である場合、前記記憶媒体の停止処理を行わない制御部」を備えるのに対して、引用発明のスマートコントローラ102の制御部が、このような動作を実施することについて特定されていない点。

2.相違点についての判断
まず、上記相違点2及び3についてまとめて検討する。
上記第5の2.で述べたとおり、引用文献2-5には、周知技術として、「バックアップ電源を備え、外部電源の供給が途絶えた時間が所定時間以上である場合に、記憶装置あるいは情報処理装置の終了処理を実施するとともに、外部電源の供給が途絶えた時間が所定時間未満である場合には、終了処理を実施しないこと」が記載されている。
しかしながら、引用発明のような商用電源と分散電源の両方を利用可能なシステムにおいては、商用電源が停電したときには分散電源を使用することが通例であって、停電時のために商用電源、分散電源に加えて、さらにバックアップ電源を用意し、商用電源が停電し、所定時間が経過すると分散電源に切り替えることなく記憶媒体の停止処理を実施することは、当業者といえど、容易に想到し得たものとはいえない。

よって、本願発明は、上記相違点1について検討するまでもなく、引用発明に基づいて引用文献2-5に記載の周知技術を参酌することにより、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

本願の請求項9に係る発明は、本願発明のカテゴリーを物の発明から方法の発明に変更したものであり、本願の請求項2-8、10-16に係る発明は、それぞれ本願発明、本願の請求項9に係る発明をさらに限定したものであるので、本願発明と同様に、当業者が引用発明に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。


第7 原査定についての判断
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献Aに記載された発明は、引用発明と同様、商用電源と分散電源の両方を利用可能なシステムに関するものである。
そして、原査定の拒絶の理由に引用された引用文献B、D、E、F(当審拒絶理由における引用文献2-5)には、周知技術として、「バックアップ電源を備え、外部電源の供給が途絶えた時間が所定時間以上である場合に、記憶装置あるいは情報処理装置の終了処理を実施するとともに、外部電源の供給が途絶えた時間が所定時間未満である場合には、終了処理を実施しないこと」が記載されている。
上記第6の2.でも述べたとおり、商用電源と分散電源の両方を利用可能なシステムにおいては、商用電源が停電したときには分散電源を使用することが通例であって、停電時のために商用電源、分散電源に加えて、さらにバックアップ電源を用意し、商用電源が停電し、所定時間が経過すると分散電源に切り替えることなく記憶媒体の停止処理を実施することは、当業者といえど、容易に想到し得たものとはいえない。


第8 むすび
以上のとおり、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。
他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2017-02-27 
出願番号 特願2014-530471(P2014-530471)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G06F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 田川 泰宏佐賀野 秀一  
特許庁審判長 新川 圭二
特許庁審判官 稲葉 和生
土谷 慎吾
発明の名称 エネルギー管理装置、及びエネルギー管理装置の制御方法  
代理人 杉村 憲司  
代理人 太田 昌宏  
代理人 塩川 未久  

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