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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H04W |
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管理番号 | 1325481 |
審判番号 | 不服2015-22493 |
総通号数 | 208 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2017-04-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2015-12-22 |
確定日 | 2017-03-14 |
事件の表示 | 特願2014-176714「移動局装置、基地局装置および通信方法」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 1月22日出願公開、特開2015- 15742、請求項の数(8)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成22年6月10日に出願した特願2010-132630号の一部を平成26年9月1日に新たな出願としたものであって、平成27年4月9日付けで拒絶理由が通知され、同年6月12日付けで手続補正がされたが、同年9月15日付けで拒絶査定(以下、「原査定」という。)がされ、これに対し、平成27年12月22日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正がされ、その後、当審において平成28年7月1日付けで拒絶理由が通知され、同年9月5日付けで意見書が提出され、同年11月17日付けで拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)が通知され、平成29年1月10日付けで手続補正がされたものである。 第2 本願発明 本願の請求項1-8に係る発明は、平成29年1月10日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1-8に記載された事項により特定されるものと認められる。 本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は以下のとおりである。 「【請求項1】 上位層の信号を介して、サウンディング参照信号に関する、アンテナポートに関するパラメータおよびサイクリックシフトに関するパラメータをそれぞれ含む複数のパラメータセットを受信し、 物理下りリンク制御チャネルを介して、サウンディング参照信号リクエストフィールドを含む下りリンク制御情報フォーマットを受信する受信部と、 前記サウンディング参照信号リクエストフィールドの値に基づくサウンディング参照信号を送信する送信部と、 を備え、 前記送信部は、 前記サウンディング参照信号リクエストフィールドの値に基づいて、前記複数のパラメータセットのうちの1つを選択し、選択した前記複数のパラメータセットのうちの1つを用いて前記サウンディング参照信号を生成して送信する 移動局装置。」 第3 原査定の理由について 1.原査定の理由の概要 原査定の理由の概要は、 (1)本願発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された国際公開第2010/036053号(以下、「刊行物」という。)に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができない。 (2)本願発明は、刊行物に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。 2.原査定の理由の判断 (1)刊行物の記載事項 刊行物には、以下の事項が記載されている。 ア.「[7] PUSCH transmission or PDSCH reception by a UE may be initiated by the reception of a corresponding Scheduling Assignment (SA) at the UE, which was transmitted by the Node B through a Downlink Control Information (DCI) format in the PDCCH. The DCI format may inform a UE about a data packet transmission by the Node B in the PDSCH (DL SA), or about a data packet transmission to the Node B (UL SA) in the PUSCH. The Node B is assumed to separately code and transmit each DCI format conveying a SA.」 (当審訳: [7]UEによるPUSCH送信又はPDSCH受信は、UEでの対応するスケジューリング割当て(SA)を受信することにより開始されることができ、これは、ノードBによりPDCCHでダウンリンク制御情報(DCI)フォーマットを通して送信されたのである。DCIフォーマットは、PDSCH(ダウンリンクSA)でノードBによるデータパケット送信に関して又はPUSCHでノードB(アップリンクSA)へのデータパケット送信に関してUEに通知することができる。ノードBは、SAを伝達する各DCIフォーマットを個別的に符号化し送信するものと仮定する。)(当審訳は、刊行物の日本語の公報である特表2012-503406号公報の記載によった。以下同様。)(日本語の公報の【0008】を参照。) イ.「[35] The SRS transmission parameters are assumed to be configured for each UE by the Node B through higher layer signaling, for example, through the MAC layer or the Radio Resource Control (RRC) layer, and remain valid until re-configured again through higher layer signaling. These SRS transmission parameters may include: [36] the SRS transmission BW [37] the SRS starting BW position [38] the SRS transmission comb (if the SRS has a comb spectrum) [39] the SRS CS [40] the SRS transmission period (for example, one SRS transmission every 5 sub-frames) [41] the starting sub-frame of SRS transmission (for example, the first sub-frame in a set of 1000 sub-frames) [42] whether SRS hopping is enabled (SRS transmission hops in the operating BW or not).」 (当審訳: [35]SRS送信パラメータは、上位レイヤーシグナリング、例えば、MACレイヤー又は無線リソース制御(RRC)レイヤーを通してノードBにより各UEに対して構成され、上位レイヤーシグナリングを通して再構成されるまで有効なものに保持されると仮定する。これらのSRS送信パラメータは、 [36]SRS送信帯域幅、 [37]SRS開始帯域幅位置、 [38]SRS送信コム(SRSがコムスペクトルを有する場合)、 [39]SRS CS、 [40]SRS送信期間(例えば、5個のサブフレームごとの1つのSRS送信)、 [41]SRS送信の開始サブフレーム(例えば、1000個のサブフレームのセットでの第1のサブフレーム)、 [42]及びSRSホッピングがイネーブルされるか否か(SRS送信は、動作帯域幅でホッピングするか否か)を含む。)(日本語の公報の【0034】を参照。) ウ.「[72] A first method to activate or deactivate SRS transmissions using a UL SA DCI format includes a 1-bit SRS Activation IE. The UE, upon reception of the UL SA DCI format, examines the value of the SRS Activation IE. For example, SRS Activation = 0 may indicate deactivation of an existing SRS transmission or to maintain the absence of SRS transmissions. SRS Activation = 1 may indicate activation of SRS transmissions or maintain an existing SRS transmission using previously assigned parameters through higher layer signaling. Activated SRS transmissions may occur once or indefinitely until disabled. Activated SRS transmissions occurring once can be in a UL CC without configured SRS transmissions. [73] If the UE has more than one transmitter antenna, SRS activation may apply to only a subset of these antennas. A first method for indicating activation of multiple antenna subsets is through explicit signaling. The number of bits in the SRS Activation IE should be such that they can address all possible antenna subsets. For example, for a UE with two or four transmitter antennas, a 2-bit SRS Activation IE can be interpreted by the UE as in Table 3. The same principle can be extended to a larger number of UE transmitter antennas. [74] Table 3: Explicit SRS Activation. [75] [76] The UE action is illustrated in FIG. 9, assuming that there are 4 UE transmitter antennas. The UE, upon the signal reception 910, decodes the UL SA DCI format in block 920, and examines the value of the SRS Activation IE in block 930. If the value is 00, the SRS is not activated (or an active SRS is deactivated) as shown in block 940. If the value is 01, the UE begins SRS transmission, using previously configured parameters, from antenna 1 and antenna 2, as shown in block 950. If the value is 10, the UE begins SRS transmission, using previously configured parameters, from antenna 3 and antenna 4, as shown in block 960. If the value is 11, the UE begins SRS transmission, using previously configured parameters, from all four antennas, as shown in block 970.」 (当審訳: [72]アップリンクSA DCIフォーマットを用いてSRS送信の活性化又は非活性化を行う第1の方法は、1ビットの“SRS活性化”IEを含む。UEは、アップリンクSA DCIフォーマットを受信する時、“SRS活性化”IEの値を検査する。例えば、“SRS活性化”=0は、現存するSRS送信の非活性化を示すか、又はSRS送信の不在を保持することを示すことができる。“SRS活性化”=1は、SRS送信の活性化を示すか、又は上位レイヤーシグナリングを通して前に割り当てられたパラメータを用いて現存するSRS送信を保持することを示すことができる。活性化されたSRS送信は、ディスエーブルされるまで1回又は継続して発生し得る。1回発生する活性化されたSRS送信は、SRS送信が構成されていないアップリンクCCに存在し得る。 [73]UEが1つ以上の送信器アンテナを有している場合に、SRS活性化は、これらのアンテナのサブセットだけに適用され得る。多重アンテナサブセットの活性化を示すための第1の方法は、明示的なシグナリングを通して行われる。“SRS活性化”IEでのビットの個数は、可能なすべてのアンテナサブセットをアドレッシングすることができなければならない。例えば、2個又は4個の送信器アンテナを有するUEにおいて、表3に示すように、2ビット“SRS活性化”IEは、UEにより解釈されることができる。同一の原理は、UE送信器アンテナの個数がさらに大きい場合に拡張されることができる。 [74]表3:SRS活性化の明示 [75] [76]UE動作を図9に示し、ここでは、4個のUE送信器アンテナが存在すると仮定する。信号受信910を行うと、UEは、ブロック920でアップリンクSA DCIフォーマットをデコーディングし、ブロック930で“SRS活性化”IEの値を検査する。この値が00である場合に、SRSは、ブロック940に示すように活性化されない(又は活性化SRSは非活性化される)。この値が01である場合に、ブロック950に示すように、UEは、前に構成されたパラメータを用いてアンテナ1及びアンテナ2からSRS送信を開始する。この値が10である場合に、ブロック960に示すように、UEは、前に構成されたパラメータを用いてアンテナ3及びアンテナ4からSRS送信を開始する。この値が11である場合に、ブロック970に示すように、UEは、前に構成されたパラメータを用いて4個のすべてのアンテナからSRS送信を開始する。)(日本語の公報の【0056】?【0059】を参照。) エ.「[94] The SRS Activation IE and the CRC field do not depend on the number of UE transmitter antennas. The remaining IEs may apply per UE transmitter antenna to provide full flexibility. However, for more than one UE transmitter antenna, the total size of the UL SA DCI format configuring SRS transmissions may become larger than the one for scheduling data packet transmissions. Additionally, flexibility to configure independent SRS transmission parameters for each antenna is usually not needed. To avoid increasing the UL SA DCI format size for configuring SRS transmissions as the number of UE transmitter antennas increases, embodiments of the present invention consider several restrictions and simplifications. [95] For SRS transmission from multiple UE antennas, the same BW for all antennas can be used. Therefore, embodiments of the present invention consider that the SRS transmission BW, the SRS starting BW location, the SRS hopping activation, and the UL CC of SRS transmission are specified for one UE transmitter antenna and are the same for the remaining UE transmitter antennas. [96] Alternatively, these SRS transmission parameters may be derived according to a predetermined rule relative to those specified through the UL SA DCI format for the reference transmitter antenna. For example, to support transmission antenna diversity when the transmissions from two UE antennas are correlated, the starting SRS transmission BW for the second antenna may be that which is furthest from the starting SRS transmission BW for the first antenna. Regardless of the exact relationship between the previous SRS parameters for the UE transmitter antennas, embodiments of the present invention consider that they are only signaled for one UE transmitter antenna.」 (当審訳: [94]“SRS活性化”IE及びCRCフィールドは、UE送信器アンテナの個数に基づいていない。残りのIEは、全体の柔軟性(flexibility)を提供するためにUE送信器アンテナごとに適用され得る。しかしながら、1つ以上のUE送信器アンテナにおいて、SRS送信を構成するアップリンクSA DCIフォーマットの全サイズは、データパケット送信をスケジューリングするためのものよりさらに大きくなり得る。付加的に、各アンテナに対するSRS送信パラメータを独立して構成するための柔軟性は、通常必要としない。UE送信器アンテナの個数が増加するほどSRS送信を構成するためのアップリンクSA DCIフォーマットサイズの増加を防止するために、本発明の実施形態は、幾つかの制限及び簡素化を考慮する。 [95]多重UEアンテナからのSRS送信において、同一の帯域幅がすべてのアンテナに対して使用されることができる。したがって、本発明の実施形態は、SRS送信帯域幅、SRS開始帯域幅位置、SRSホッピング活性化、及びSRS送信のアップリンクCCは、1つのUE送信器アンテナに対して特定され、残りのUE送信器アンテナに対して同一である。 [96]他の形態において、これらのSRS送信パラメータは、基準送信器アンテナに対してアップリンクSA DCIフォーマットを通して特定されたものに関連した所定のルールに従って誘導され得る。例えば、2つのUEアンテナからの送信が相関される場合に送信アンテナダイバーシティを支援するために、第2のアンテナに対する開始SRS送信帯域幅は、第1のアンテナに対する開始SRS送信帯域幅から最も遠く離れているものとなり得る。UE送信器アンテナに対する前のSRSパラメータ間の正確な関係にかかわらず、本発明の実施形態は、これらが1つのUE送信器アンテナに対してただシグナリングされるものと見なす。)(日本語の公報の【0072】?【0074】を参照。) オ.「[98] The previous restrictions in the SRS transmission parameters from multiple UE transmitter antennas may also apply if higher layer (MAC or RRC) signaling is used to configure these parameters and SRS activation is either immediate upon configuration or is enabled subsequently through a UL SA DCI format. Higher layer (MAC or RRC) signaling may only specify the SRS transmission parameters for one reference UE transmitter antenna and the SRS transmission parameters for the remaining UE transmitter antennas may be the same or derived in a predetermined manner from those for the reference UE transmitter antenna.」 (当審訳: [98]上位レイヤー(MAC又はRRC)シグナリングがこれらのパラメータを構成するのに使用され、構成の時にSRS活性化が即座に又はアップリンクSA DCIフォーマットを通してその次にイネーブルされる場合に、多重UE送信器アンテナからSRS送信パラメータでの前の制限が適用され得る。上位レイヤー(MAC又はRRC)シグナリングは、1つの基準UE送信器アンテナに対するSRS送信パラメータだけを特定することができ、残りのUE送信器アンテナに対するSRS送信パラメータは、基準UE送信器アンテナに対するものと同一であるかこれらから所定の方式で誘導されることができる。)(日本語の公報の【0076】を参照。) 上記摘記事項イ.ウ.オ.によればSRS送信パラメータは上位レイヤーシグナリングを通して送られるもので、上記摘記事項ウ.の特に[72][76]の記載によれば、事前にUEが受信したものと考えるのが自然である。また、上記摘記事項エ.オ.には、各アンテナに対応するSRS送信パラメータが共通する場合と、独立して構成される場合とが記載されている。しかしながら、SRS送信パラメータがアンテナ毎に異なる場合が示唆されているとしても、SRS送信パラメータにパラメータとしてアンテナに関するパラメータが含まれているかどうかは明らかではない。また上記摘記事項イ.には、SRS送信パラメータにSRS CS(循環シフト)が含まれることが示唆されている。 上記摘記事項ウ.によれば、UEにはアップリンクSA DCIフォーマットを用いて2ビットの“SRS活性化”IEを受信する構成があるといえる。 上記摘記事項ウ.の特に表3および[76]によれば、”SRS活性化”IEの値に応じて、SRS送信が行われると言える。 そして、上記摘記事項ウ.によれば、“SRS活性化”IEの値が00である場合に、SRSは活性化されない。01である場合に、UEは、事前に構成されたパラメータを用いてアンテナ1及びアンテナ2からSRS送信を開始する。値が10である場合は、事前に構成されたパラメータを用いてアンテナ3及びアンテナ4からSRS送信を開始する。11である場合は、UEは、事前に構成されたパラメータを用いて4個のすべてのアンテナからSRS送信を開始する。 そうすると、刊行物には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認める。 (引用発明) 「 上位レイヤーシグナリングを通して、SRS CSが含まれるSRS送信パラメータを事前に受信し、 アップリンクSA DCIフォーマットを用いて2ビットの“SRS活性化”IEを受信する構成と、 前記”SRS活性化”IEの値に応じて、SRS送信する構成と、を備えており、 前記SRS送信する構成は、 前記“SRS活性化”IEの値が00である場合に、SRSは活性化されず、01である場合、事前に構成されたパラメータを用いてアンテナ1及びアンテナ2からSRS送信を開始し、10である場合、事前に構成されたパラメータを用いてアンテナ3及びアンテナ4からSRS送信を開始し、11である場合は、事前に構成されたパラメータを用いて4個のすべてのアンテナからSRS送信を開始する、 UE。」 (2)対比 本願発明を引用発明と対比すると、 引用発明の「上位レイヤーシグナリング」「アンテナ」「SRS CS」は、本願発明の「上位層の信号」「アンテナポート」「サイクリックシフトに関するパラメータ」にそれぞれ対応する。 引用発明の「SRS送信パラメータ」は、本願発明の「サウンディング参照信号」に関するパラメータに対応するものの、本願発明のように「複数のパラメータセット」を形成しているのかどうかは明らかでない。 引用発明における「アップリンクSA DCIフォーマット」は、本願発明の「下りリンク制御情報フォーマット」に対応する。そして、引用発明において「アップリンクSA DCIフォーマット」は、本願発明と同様に「物理下りリンク制御チャネル」を介して通信されると考えるのが自然である。また、引用発明において「アップリンクSA DCIフォーマット」を用いて伝送される「2ビットの“SRS活性化”IEの値」は、本願発明の「サウンディング参照信号リクエストフィールドの値」に対応する。 引用発明では「前記“SRS活性化”IEの値が00である場合に、SRSは活性化されず、01である場合、事前に構成されたパラメータを用いてアンテナ1及びアンテナ2からSRS送信を開始し、10である場合、事前に構成されたパラメータを用いてアンテナ3及びアンテナ4からSRS送信を開始し、11である場合は、事前に構成されたパラメータを用いて4個のすべてのアンテナからSRS送信を開始する」ように、「“SRS活性化”IEの値」に基づいて「SRS」を送信しているといえ、ここで引用発明の「SRS」は本願発明の「サウンディング参照信号」に相当する。 また、引用発明の「UE」は本願発明の「移動局装置」に対応する。 したがって、本願発明を引用発明と対比すると、以下の点で一致ないし相違するものと認められる。 (一致点) 「 上位層の信号を介して、サウンディング参照信号に関する、サイクリックシフトに関するパラメータを含むパラメータを受信し、 物理下りリンク制御チャネルを介して、サウンディング参照信号リクエストフィールドを含む下りリンク制御情報フォーマットを受信する受信部と、 前記サウンディング参照信号リクエストフィールドの値に基づくサウンディング参照信号を送信する送信部と、 を備える、移動局装置。」 (相違点1) 本願発明においては、移動局装置はサウンディング参照信号に関する、アンテナポートに関するパラメータを含む複数のパラメータセットを受信するのに対して、引用発明ではこのような複数のパラメータセットを受信しているか明示されていない点。 (相違点2) 本願発明においては、「送信部は、前記サウンディング参照信号リクエストフィールドの値に基づいて、前記複数のパラメータセットのうちの1つを選択し、選択した前記複数のパラメータセットのうちの1つを用いて前記サウンディング参照信号を生成し」ているのに対して、引用発明ではサウンディング参照信号リクエストフィールドの値に対応する「パラメータセット」について明示されておらず、したがって「複数のパラメータセットのうちの1つを選択」する構成が記載されていない点。 (3)判断 上記相違点1および2について合わせて検討する。 引用発明には「SRS送信パラメータ」が、アンテナポートに関するパラメータを含む複数のパラメータセットとして構成されることについては明示されておらず、また複数のパラメータセットとして構成すべき動機づけは見いだせない。 また、本願発明では「前記サウンディング参照信号リクエストフィールドの値に基づいて、前記複数のパラメータセットのうちの1つを選択」することから、本願発明におけるパラメータセットは、サウンディング参照信号リクエストフィールドの値に一対一に対応するものと解されるが、そのようなパラメータセットについて刊行物に何ら示唆もなく、このようなパラメータセットを構成すべき動機づけがあるということもできない。 (4)小括 したがって、本願発明は、引用発明と同一ではなく、また当業者が引用発明に基づいて容易に発明をすることができたとはいえない。 また、本願の請求項4,7,8に係る発明は、本願発明同様の技術的特徴を有するものであるので、本願発明と同様に引用発明と同一ではなく、また当業者が引用発明に基づいて容易に発明をすることができたとはいえない。また本願の請求項2,3,5,6に係る発明は、本願の請求項1,4に係る発明の構成を更に特定した発明であるから、本願発明と同様の理由により、引用発明と同一ではなく、また当業者が引用発明に基づいて容易に発明をすることができたとはいえない。 よって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 第4 当審拒絶理由について 平成28年11月17日付け当審拒絶理由の概要は、本願は、特許請求の範囲の記載が不備であり、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないというものであるが、平成29年1月10日付け手続補正書によって、発明は明確となり、拒絶の理由は解消した。 第5 むすび 以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2017-02-28 |
出願番号 | 特願2014-176714(P2014-176714) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(H04W)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 石田 紀之 |
特許庁審判長 |
水野 恵雄 |
特許庁審判官 |
吉田 隆之 山本 章裕 |
発明の名称 | 移動局装置、基地局装置および通信方法 |
代理人 | 野村 進 |
代理人 | 覚田 功二 |
代理人 | 三木 雅夫 |
代理人 | 西澤 和純 |