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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H04M
管理番号 1325543
審判番号 不服2016-6381  
総通号数 208 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-04-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-04-28 
確定日 2017-03-17 
事件の表示 特願2014-519372「ボイスオーバインターネットプロトコルサービス」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 1月17日国際公開、WO2013/007022、平成26年10月 2日国内公表、特表2014-526176、請求項の数(13)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2011年7月13日(外国庁受理 中国)を国際出願日とする出願であって、平成27年1月13日付けで拒絶理由が通知され、同年7月14日付けで手続補正がされたが、平成28年1月8日付けで拒絶査定がされ、これに対し、同年4月28日に拒絶査定不服審判が請求され、同日付けで手続補正がされたものである。

第2 原査定の概要
原査定(平成28年1月8日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
1.本願請求項1-14に係る発明は、以下の引用文献1-5に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
1.特表2011-517883号公報
2.国際公開第2008/023649号
3.国際公開第2010/033857号
4.国際公開第2010/090565号
5.国際公開第2011/000231号

第3 審判請求時の手続について
審判請求時の補正は、特許法第17の2第3項から第6項までの要件に違反しているものとは認められない。そして、「第4 本願発明」から「第6 当審の判断」までに示すように、補正後の請求項1-14に係る発明は、独立特許要件を満たすものである。

第4 本願発明
本願請求項1-13に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明13」という。)は、平成28年4月28日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-13に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
端末においてボイスオーバインターネットプロトコルサービスを提供するための方法であって、
前記ボイスオーバインターネットプロトコルサービスのアイドル状態中に、前記端末の端末バッファにおいて検出されたサイレンスディスクリプタパケットに応答して、第1のスケジューリング要求を基地局に送信することと、
前記第1のスケジューリング要求に応答して、第1のスケジューリング信号を前記基地局から受信することであって、前記第1のスケジューリング信号が、前記サイレンスディスクリプタパケットを送信するのに十分な第1のリソース割り当てを含むことと、
前記受信したスケジューリング信号に応答して、前記サイレンスディスクリプタパケットを前記基地局に送信することと、
前記ボイスオーバインターネットプロトコルサービスの前記アイドル状態において音声データパケットを検出することにより、当該アイドル状態が前記ボイスオーバインターネットプロトコルサービスのアクティブ状態への遷移中であることを検出し、前記音声データパケットに応答して、第2のスケジューリング要求を前記基地局に送信することと、
前記第2のスケジューリング要求に応答して、第2のスケジューリング信号を前記基地局から受信することであって、前記第2のスケジューリング信号が、前記サイレンスディスクリプタパケットを割り当てるのに十分な第2のリソース割り当てを含むことと、
前記受信した第2のスケジューリング信号に応答して、バッファ状態レポートを含むパケットを前記基地局に送信することと、
半永続スケジューリング信号を前記基地局から受信することであって、前記受信した半永続スケジューリング信号が、アップリンクステータスがアクティブであることを示すことと、
を含み
前記アクティブ状態では、前記端末は、前記バッファ状態レポートを前記基地局に定期的にアップリンクし、当該基地局は、このアップリンクのためのリソースを定期的に端末に割り当て、
前記端末は、前記端末バッファにおいて前記サイレンスディスクリプタパケットを検出したときに、前記ボイスオーバインターネットプロトコルサービスが前記半永続スケジューリングの状態にある場合には、当該ボイスオーバインターネットプロトコルサービスはアイドル状態に遷移し、
前記第1のスケジューリング要求と前記第2のスケジューリング要求が同じ構成を有し、前記第1のリソース割り当てと前記第2のリソース割り当てが、同じリソース量の割り当てを含む、
前記方法。
【請求項2】?【請求項13】(略)」

第5 引用文献、引用発明等
(1)引用文献1の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1(特表2011-517883号公報)には、図面とともに以下の事項が記載されている。

イ.「【0022】
第3の実施形態では、WTRUプロセッサ415は、ボイス無音期間中にDRXサイクルをボイスオーバーインターネットプロトコル(VoIP)の無音記述子(SID:Silence Descriptor)との整列を制御する。ダウンリンクについては、SIPパケットに関するリソース割り当てのダイナミックなスケジューリングは、DRXサイクルが短DRXサイクルまたは長DRXサイクルであるかに関わらず、DRXオン持続期間またはアクティブ時間期間と整列されてよく、SIDパケットのスケジューリングおよび送信がDRXオン持続期間またはアクティブ時間期間において発生する。
【0023】
WTRU310がDRXオン持続期間またはアクティブ時間期間中にダウンリンクSIDパケットを受信する、この実施形態の第1の例においては、短DRXサイクルをアクテ
ィブにする必要がなく、WTRUプロセッサ415は長DRXサイクルオペレーションをアクティブにする。DRXオン持続期間タイマー414またはDRXインアクティビティタイマー410はWTRU310がダウンリンクSIDパケットをDRXアクティブ時間期間中に受信した後に満了するという条件で、WTRUプロセッサ415が長DRXサイクルをアクティブにする。これは、次のDRXオン持続期間またはDRXアクティブ時間期間を次のSIDパケットと整列させ、前記次のSIDパケットが長DRXサイクルに等しい周期的送信を有する。従って、WTRU310が他の時刻でウェークアップしてSIDパケットを監視し、検出する必要はない。
【0024】
あるいは、第2の例として、WTRUはまず短DRXサイクルに入って、次に長DRXサイクルに入ることができる。DRXオン持続期間タイマー414またはDRXインアクティビティタイマー410はダウンリンクSIDパケットがこの期間中に受信された後に満了するという条件で、WTRUプロセッサ415が短DRXサイクルをトリガーする。短DRXサイクルタイマー412の満了に応じて、プロセッサ415は長DRXサイクルをスタートする。
【0025】
図8は、トークスパート(talk spurt)802と804との間のアップリンクのVoIP無音期間803における、アップリンクSIDパケットに関するスケジューリング要求を示す。WTRU310は、DRXインアクティビティタイマー410が作動中にある時にアップリンクSIDパケット810を送信することによって、アップリンクSIDパケットに関するスケジューリング要求およびバッファー状態レポートをDRXオン持続期間またはアクティブ時間期間805の間に送ることができる。SIDスケジューリング要求に応じて、eNB320は同じDRXオン持続期間またはアクティブ時間期間805内にアップリンクSIDに関するリソース割り当てをWTRU310に送る。WTRUは次に割り当てられたリソースからアップリンクSIDパケットを送信する。本例においてSIDパケットのアップリンク送信としてここに説明されるが、本手順は任意のアップリンク送信に適用することができる。
【0026】
アップリンクSIDパケット801がWTRU310によってDRXオン持続期間またはアクティブ時間期間805の間に送られる、第1の例において、短DRXサイクルをアクティブにする必要がなく、WTRUプロセッサ415は長DRXサイクルオペレーションを選択する。従って、DRXオン持続期間タイマー414またはDRXインアクティビティタイマー410が満了してかつWTRU310がアップリンク周期的パケット(例えば、SIDパケット)をこの期間中に送るという条件で、WTRUプロセッサ415は長DRXサイクルをアクティブにする。」(8?9頁)

引用文献1の記載及び図面並びにこの分野における技術常識を考慮すると、上記イ.の【0025】における「図8は、トークスパート(talk spurt)802と804との間のアップリンクのVoIP無音期間803における、アップリンクSIDパケットに関するスケジューリング要求を示す。WTRU310は、・・・アップリンクSIDパケットに関するスケジューリング要求およびバッファー状態レポートをDRXオン持続期間またはアクティブ時間期間805の間に送ることができる。」との記載、及び図8によれば、引用文献1のWTRUにおいてVoIPを提供するための方法は、VoIP無音期間におけるDRXオン持続期間またはアクティブ時間期間に、アップリンクSIDパケットに関するスケジューリング要求およびバッファ状態レポートをeNBに送信しているといえる。また、「トークスパート」についても記載されている。
また、上記イ.の【0025】における「SIDスケジューリング要求に応じて、eNB320は同じDRXオン持続期間またはアクティブ時間期間805内にアップリンクSIDに関するリソース割り当てをWTRU310に送る。」との記載、及び図8によれば、WTRUは、前述のアップリンクSIDパケットに関するスケジューリング要求に応答して、アップリンクSIDに関するリソース割り当てをeNBから受信している。
また、上記イ.の【0025】における「WTRUは次に割り当てられたリソースからアップリンクSIDパケットを送信する。」との記載、及び図8によれば、WTRUは、受信したアップリンクSIDに関するリソース割り当てに応答して、アップリンクSIDパケットをeNBに送信しているといえる。

したがって、引用文献1には、以下の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されているものと認められる。

「WTRUにおいてVoIPを提供するための方法であって、
前記VoIPのVoIP無音期間におけるDRXオン持続期間またはアクティブ時間期間に、アップリンクSIDパケットに関するスケジューリング要求およびバッファ状態レポートをeNBに送信することと、
前記アップリンクSIDパケットに関するスケジューリング要求に応答して、アップリンクSIDに関するリソース割り当てをeNBから受信することと、
前記受信したアップリンクSIDに関するリソース割り当てに応答して、前記アップリンクSIDパケットを前記eNBに送信することと、
トークスパートと、
を含む、
前記方法。」

(2)引用文献2の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2(国際公開第2008/023649号)には、図面とともに以下の事項が記載されている。

イ.「[0045] 以下で、本発明の良好な実施形態について、図面を参照して説明する。説明の便宜上、上りリンク音声伝送における制御と、下りリンク音声伝送における制御とに分けて説明するが、基本的な考え方は同じである。
[0046] なお、本実施形態では、後述するように、パケットサイズに基づいて、MAC層において、無音状態か否かについて判定するように構成されている。
[0047] 本実施形態は、例えば、パケット長に基づいて音声パケットか、音声パケット以外のパケット(たとえばサイレント状態を記述するSID(silent descriptor)パケット)なのかを推定し、無音状態、有音状態を判断することができる。
[0048] また、本実施形態は、判定の信頼度を確保するために、特定のバッファ状態が一定時間継続したときに無音状態に移行した判定するのが望ましい。
[0049] 例えば、本実施形態は、音声以外のパケットが複数回連続して到着した場合に無音状態と判断する、或いは、長いサイズのパケット(音声パケットと推定される)の到着後、一定時間、次の音声パケットを受信しない場合に無音状態と判断してもよい。
[0050] <上りリンクでの無線リソース開放制御>
図1は、上りリンクでのリソース開放シーケンスの第1の例を示す図である。この実施例では、移動局(またはユーザ端末UE)で無音判定を行い、移動局からのリソース開放要求に基づいて、無線リソースが開放される。
[0051] すなわち、移動局UEは、ユーザの通話中に、無線基地局(eNB)へ送信されるべき音声データの無音区間を判定する(S1)。無音区間の判定方法については、後述する。
[0052] 無音区間が検出されたならば、移動局UEは、リソース開放要求を生成し(S2)、これを無線基地局eNBに送信する(S3)。
[0053] リソース開放要求を受信した無線基地局は、この移動局UEに対してパーシステントに割り当てられていた上りリンクの無線リソースを開放する(S4)。
[0054] 必要であれば、リソース開放応答を移動局UEに返してもよい(S5)。
[0055] 図2は、上述した動作を行う移動局(UE)10の概略構成を示すブロック図である。
[0056] 移動局10は、上位層から入力される送信パケットを一時的に格納するパケットバッファ11と、入力パケットについて有音・無音区間を判定する有音・無音判定部12を有する。
[0057] 有音・無音判定部12は、上りリンク用の有音・無音判定部12aと、下りリンク用の有音・無音判定部12bと、タイマ12cを含む。
[0058] 上りリンクの処理では、有音・無音判定部12aは、パケットサイズまたはバッファへの格納状態に基づき、有音区間・無音区間を判定する。
[0059] 有音区間であれば、送信部14は、そのままパケットバッファ11からパケットを順次読み出して、所定のタイミングで送信する。
[0060] なお、図2では、説明の便宜上、上りリンク用の有音・無音判定部12aと、下りリンク用の有音・無音判定部12bとを分けて描いているが、単一の判定部で判定処理を行ってもよい。
[0061] 有音・無音判定部12aが、無音区間を検出すると、開放・割当要求信号生成部13は、リソース開放要求を生成し、送信部14から無線基地局eNBへ送信する。
[0062] 一方、後述するように、ユーザが、発話を再開し、有音・無音判定部12aが、有音区間の再開を判定した場合は、開放・割当要求信号生成部13は、割当要求信号を生成して、送信部14から無線基地局eNBへ送信する。
[0063] なお、受信系の処理については、下りリンクでのリソース開放制御と関連して後述する。
[0064] なお、移動局10は、上述のリソース開放要求を無線基地局20に送信した後、かかるリソース開放要求に対応する無線リソースを開放する無線リソース管理部を備えていてもよい。
[0065] また、移動局10は、無線基地局20からリソース開放通知を受信した後、かかるリソース開放通知に対応する無線リソースを開放する無線リソース管理部を備えていてもよい。
[0066] 図3は、有音・無音判定部12aが行う無音判定処理の一例(フロー1)を示す。この判定例では、パケットサイズに基づいて有音・無音を判定する。
[0067] まず、送信パケットが入力されると(S31)、有音・無音判定部12aは、パケットサイズが所定のしきい値よりも小さいか否かを判断する(S32)。
[0068] AMRの場合、発語していない無音区間においても、一定間隔(例えば、160msおき)で背景雑音情報が、SID(silent descriptor)として送信される。
[0069] SIDは、音声パケットと比較してパケット長が短い。AMRの最低レート(4.75kbps)のペイロードサイズは、112ビットであるが、SIDのペイロードサイズは、56ビットである。
[0070] 有音・無音判定部12aは、AMRに限らず、音声パケットとノイズ情報を伝達するパケットとのパケットサイズの違いを利用して、パケットサイズから有音・無音状態を推定することができる。
[0071] ステップS32で、パケットサイズがしきい値よりも小さい場合は、有音・無音判定部12aは、SIDであると判断する(S33)。
[0072] そして、有音・無音判定部12aは、SIDが所定の回数(N回)以上連続して受信されたか否かについて判断する(S34)。
[0073] 所定回数に満たない場合は、有音・無音判定部12aは、ステップS31に戻って、次の入力パケットについて判定する。
[0074] SIDがN回以上続けて受信された場合は、無音状態になった可能性が高く、有音・無音判定部12aは、この時点で、無音状態へ移行したと判断して(S35)、開放・割当要求信号生成部13に、リソース開放要求を生成させる(S36)。」

引用文献2の記載及び図面並びにこの分野における技術常識を考慮すると、上記イ.の[0067]における「送信パケットが入力されると(S31)、有音・無音判定部12aは、パケットサイズが所定のしきい値よりも小さいか否かを判断する(S32)。」との記載、同イ.の[0071]における「ステップS32で、パケットサイズがしきい値よりも小さい場合は、有音・無音判定部12aは、SIDであると判断する(S33)。」との記載、及び図3によれば、引用文献2の移動局(UE)は、パケットサイズから、SIDを判定しているといえる。

したがって、引用文献2には、以下の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されているものと認める。

「パケットサイズから、SIDを判定すること。」

(3)引用文献3の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3(国際公開第2010/033857号)には、図面とともに以下の事項が記載されている。

イ.「[0028] Figure 2 illustrates a series of events that can occur in the setup of a semi- persistently scheduled uplink resource. The events are represented by vertical lines that are regularly spaced in the drawing even though the events do not necessarily occur at regular intervals. A silence period 115 ends and a talk spurt 120 begins at event 130, when a new uplink voice packet is available at a UA. The arrival of the new uplink voice packet indicates that an uplink transmission from the UA to the access device needs to be established.
[0029] When the UA becomes aware that an uplink resource needs to be established, the UA sends a scheduling request to the access device at event 140 to indicate that the UA has data to send to the access device. The scheduling request is typically an indicator, such as a single information bit, that the UA sends to the access device over a scheduling request channel. The scheduling request channel is a dedicated channel between the UA and the access device that is traditionally established specifically for the purpose of providing the UA a channel for requesting resources from the access device. When the UA transmits the indicator on the scheduling request channel, the access device interprets this as a request for an uplink resource that the UA can use to send data to the access device.
[0030] At event 150, upon receiving the indicator from the UA, the access device grants the UA a minimal amount of resource capacity via a control message over the PDCCH. This control message contains an identifier for the UA. Upon receiving the control message over the PDCCH, the UA checks the identifier to determine whether the identifier was addressed to the UA.
[0031] At event 160, if the identifier in the control message is addressed to the UA, the UA uses the minimal radio resource provided via the control message to send the access device either a buffer status report or a voice packet. The buffer status report or voice packet can inform or imply to the access device the quantity of data and/or the periodicity of the data the UA wishes to send as well as other possible information such as quality of service information. The access device uses this information to determine the quantity of resource capacity the UA will need for the data the UA wishes to send and then periodically grants the appropriate resource. The UA receives the resource at event 170.
[0032] At event 180, the talk spurt 120 ends and another silence period 115 begins. The semi-persistently scheduled resource that had been granted to the UA is released at that point, either by the UA or by the access device with which the UA is communicating. In an embodiment, the UA stops attempting to detect and decode the SPS activation/reconfiguration signaling at that point. In some cases, the UA might have begun attempting to detect and decode the SPS activation/reconfiguration signaling after event 160 occurs, where the UA sends the access device a buffer status report or a voice packet. By limiting the length of time during which the UA attempts to detect and decode the SPS activation/reconfiguration signaling, the probability that the UA will falsely detect an identifier that was not addressed to it can be reduced.」

訳文(イ.)「[0028] 図2は、半永続的にスケジューリングされたアップリンクリソースの設定の際に生じ得る、一連のイベントを図示する。イベントは、必ずしも、定期的間隔で生じない場合でも、図面中に定期的に離間される垂直線によって表される。新しいアップリンク音声パケットが、UAで利用可能となるイベント130で、無音期間115が終了し、トークスパート120が開始する。新しいアップリンク音声パケットの到着は、UAからアクセスデバイスへのアップリンク伝送が確立される必要があることを示す。
[0029] UAが、アップリンクリソースが確立される必要があることを認識すると、UAは、スケジューリング要求をアクセスデバイスにイベント140で送信し、UAがアクセスデバイスに送信するためのデータを有することを示す。スケジューリング要求は、典型的には、UAがスケジューリング要求チャネル上でアクセスデバイスに送信する、単一情報ビット等のインジケータである。スケジューリング要求チャネルは、特に、アクセスデバイスからリソースを要求するためのチャネルをUAに提供する目的のために従来から確立されている、UAとアクセスデバイスとの間の専用チャネルである。UAが、インジケータをスケジューリング要求チャネル上で伝送すると、アクセスデバイスは、UAがデータをアクセスデバイスに送信するために使用可能なアップリンクリソースの要求としてこれを解釈する。
[0030] イベント150では、UAからのインジケータの受信に応じて、アクセスデバイスは、PDCCH上の制御メッセージを介して、最小のリソース容量をUAに許可する。この制御メッセージは、UAのための識別子を含有する。PDCCH上での制御メッセージの受信に応じて、UAは識別子を検証し、識別子がUAにアドレスされたものであるかどうかを判定する。
[0031] イベント160では、制御メッセージ内の識別子が、UAにアドレスされている場合、UAは、制御メッセージを介して提供される最小の無線リソースを使用して、バッファ状態報告または音声パケットのいずれかをアクセスデバイスに送信する。バッファ状態報告または音声パケットは、データの量、および/またはUAがサービス情報の量等の他の可能性のある情報と同じ様に送信したいデータの周期性をアクセスデバイスに通知あるいは暗示可能である。アクセスデバイスは、UAが送信したいデータのためにUAが必要とするリソース容量を決定するために、この情報を使用し、次いで、適切なリソースを周期的に許可する。UAは、リソースをイベント170で受信する。
[0032] イベント180では、トークスパート120が終了し、別の無音期間115が開始する。UAに許可された半永続的にスケジューリングされたリソースは、その時点で、UAによって、またはUAが通信しているアクセスデバイスによって、解放される。ある実施形態では、UAは、その時点で、SPS作動/再構成シグナリングを検出および復号する試みをやめる。UAがアクセスデバイスにバッファ状態報告または音声パケットを送信する場合に、イベント160が発生後、UAは、SPS作動/再構成シグナリングを検出および復号する試みを開始する場合があったかもしれない。UAが、SPS作動/再構成シグナリングを検出および復号する試みる時間の長さを限定することによって、UAが、誤って、それにアドレスされていない識別子を検出する確率が、低減され得る。」

引用文献3の記載及び図面並びにこの分野における技術常識を考慮すると、上記イ.の[0028]の「新しいアップリンク音声パケットが、UAで利用可能となるイベント130で、無音期間115が終了し、トークスパート120が開始する。」、[0029]の「UAは、スケジューリング要求をアクセスデバイスにイベント140で送信し」、[0030]の「アクセスデバイスは、PDCCH上の制御メッセージを介して、最小のリソース容量をUAに許可する。」との記載によれば、UAで新たなアップリンク音声パケットがあるとトークスパートが開始されて、UAからアクセスデバイスに、スケジューリング要求し、アクセスデバイスから最小の容量の無線リソースを許可する制御メッセージをUAが受信するといえる。また、[0031]の「UAは、制御メッセージを介して提供される最小の無線リソースを使用して、バッファ状態報告または音声パケットのいずれかをアクセスデバイスに送信する。」、[0032]の「UAに許可された半永続的にスケジューリングされたリソースは、その時点で、UAによって、またはUAが通信しているアクセスデバイスによって、解放される。」との記載によれば、無線リソースを使用して、バッファ状態報告をアクセスデバイスに送信し、アクセスデバイスは、該バッファ報告に基づいて、UAに、半永続的にスケジューリングされたリソースをUAに許可するといえる。

したがって、引用文献3には、以下の発明(以下、「引用発明3」という。)が記載されているものと認める。

「UAで新たなアップリンク音声パケットがあるとトークスパートが開始されて、前記UAからアクセスデバイスに、スケジューリング要求し、前記アクセスデバイスから最小の容量の無線リソースを許可する制御メッセージを前記UAが受信すると、該無線リソースを使用して、バッファ状態報告をアクセスデバイスに送信し、前記アクセスデバイスは、該バッファ報告に基づいて、前記UAに、半永続的にスケジューリングされたリソースを前記UAに許可すること。」

(4)引用文献4の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献4(国際公開第2010/090565号)には、図面とともに以下の事項が記載されている。

イ.「For uplink scheduling, the eNodeB needs information about the current state of the buffers in the terminal, i.e. if and how much data the terminal has in its priority queues. This information is sent from the terminal to the eNodeB either as a 1-bit Scheduling Request (SR) or by a Buffer Status Report (BSR). The Scheduling Requests are transmitted on a control channel such as e.g. Physical Uplink Control CHannel (PUCCH) or Radio Access CHannel (RACH) while the BSR are transmitted on the data channel such as e.g. Physical Uplink Shared CHannel (PUSCH), mostly together with user data.」(1頁21?27行)

訳文(イ.)「アップリンクのスケジューリングのために、eNodeBは、端末の中のバッファの現在の状態についての情報、すなわち端末が優先順位付き待ち行列の中にどのくらいのデータを有しているかについての情報を必要とする。この情報は、1ビットのスケジューリング要求(SR)としてまたはバッファ状態報告(BSR)により、端末からeNodeBに送信される。スケジューリング要求は、物理アップリンク制御チャネル(PUCCH)または無線アクセスチャネル(RACH)等の制御チャネル上で送信される。一方で、BSRは、ほとんどの場合にユーザデータと共に、物理アップリンク共有チャネル(PUSCH)等のデータチャネル上で送信される。」

引用文献4の記載及び図面並びにこの分野における技術常識を考慮すると、上記イ.における「eNodeBは、端末の中のバッファの現在の状態についての情報、すなわち端末が優先順位付待ち行列の中にどのくらいのデータを有しているかについての情報を必要とする。この情報は、1ビットのスケジューリング要求(SR)としてまたはバッファ状態報告(BSR)により、端末からeNodeBに送信される。」との記載によれば、引用文献4の端末は、端末の中のバッファの現在の状態についての情報を、スケジューリング要求(SR)により、eNodeBに送信しているといえる。

したがって、引用文献4には、以下の発明(以下、「引用発明4」という。)が記載されているものと認める。

「端末が、アップリンクのスケジューリングのために、端末の中のバッファの現在の状態についての情報を、スケジューリング要求(SR)により、eNodeBに送信すること。」

第6 当審の判断
本願発明1と引用発明1とを対比する。
a.引用発明1の「WTRU」、「VoIP」、「SIDパケット」、「アップリンクSIDパケットに関するスケジューリング要求」、「アップリンクSIDに関するリソース割り当て」及び「eNB」は、本願発明1の「端末」、「ボイスオーバインターネットプロトコルサービス」、「サイレンスディスクリプタパケット」、「第1のスケジューリング要求」、「第1のスケジューリング信号」及び「基地局」にそれぞれ相当する。
b.引用発明1の「VoIP無音期間におけるDRXオン持続期間またはアクティブ時間期間」と、本願発明1の「アイドル状態中」とは、後述する相違点を除いて、「所定の状態」という点で共通する。
c.引用発明1の「トークスパート」と、本願発明1の「前記受信したスケジューリング信号に応答して、前記サイレンスディスクリプタパケットを前記基地局に送信することと、前記ボイスオーバインターネットプロトコルサービスの前記アイドル状態において音声データパケットを検出することにより、当該アイドル状態が前記ボイスオーバインターネットプロトコルサービスのアクティブ状態への遷移中であることを検出し、前記音声データパケットに応答して、第2のスケジューリング要求を前記基地局に送信することと、前記第2のスケジューリング要求に応答して、第2のスケジューリング信号を前記基地局から受信することであって、前記第2のスケジューリング信号が、前記サイレンスディスクリプタパケットを割り当てるのに十分な第2のリソース割り当てを含むことと、前記受信した第2のスケジューリング信号に応答して、バッファ状態レポートを含むパケットを前記基地局に送信することと、半永続スケジューリング信号を前記基地局から受信することであって、前記受信した半永続スケジューリング信号が、アップリンクステータスがアクティブであることを示すことと、を含み、前記アクティブ状態では、前記端末は、前記バッファ状態レポートを前記基地局に定期的にアップリンクし、当該基地局は、このアップリンクのためのリソースを定期的に端末に割り当て」とは、後述する相違点を除いて、「音声データパケットに関する手順」である点で共通する。

したがって、本願発明1と引用発明1は、以下の点で一致ないし相違している。

<一致点>
「端末においてボイスオーバインターネットプロトコルサービスを提供するための方法であって、
前記ボイスオーバインターネットプロトコルサービスの所定の状態で、第1のスケジューリング要求を基地局に送信することと、
前記第1のスケジューリング要求に応答して、第1のスケジューリング信号を前記基地局から受信することであって、前記第1のスケジューリング信号が、サイレンスディスクリプタパケットを送信するための第1のリソース割り当てを含むことと、
前記受信した第1のスケジューリング信号に応答して、前記サイレンスディスクリプタパケットを前記基地局に送信することと、
音声データパケットに関する手順、
を含む、
前記方法。」

<相違点1>
一致点の「所定の状態」が、本願発明1では「アイドル状態中」であるのに対し、引用発明1では、「VoIP無音期間におけるDRXオン持続期間またはアクティブ時間期間」である点。
それに関連して、本願発明1では「前記端末は、前記端末バッファにおいて前記サイレンスディスクリプタパケットを検出したときに、前記ボイスオーバインターネットプロトコルサービスが前記半永続スケジューリングの状態にある場合には、当該ボイスオーバインターネットプロトコルサービスはアイドル状態に遷移し」とされているのに対し、引用発明1では、そのような特定がない点。

<相違点2>
一致点の「第1のスケジューリング要求を基地局に送信」の前提として、本願発明1では「前記端末の端末バッファにおいて検出されたサイレンスディスクリプタパケットに応答して」の条件が付されているのに対し、引用発明1では、そのような条件が特定されない点。

<相違点3>
一致点の「第1のスケジューリング要求を基地局に送信」の「送信」の対象が、
本願発明1は、「第1のスケジューリング要求」だけであるのに対し、引用発明1は、「スケジューリング要求」に加えて「バッファ状態レポート」である点。

<相違点4>
一致点の「第1のリソース割り当て」について、本願発明1は、「十分な」という量的要件が付されるのに対し、引用発明1は、その点について明記されていない点。

<相違点5>
一致点の「音声データパケットに関する手順」について、本願発明1は、「前記ボイスオーバインターネットプロトコルサービスの前記アイドル状態において音声データパケットを検出することにより、当該アイドル状態が前記ボイスオーバインターネットプロトコルサービスのアクティブ状態への遷移中であることを検出し、前記音声データパケットに応答して、第2のスケジューリング要求を前記基地局に送信することと、前記第2のスケジューリング要求に応答して、第2のスケジューリング信号を前記基地局から受信することであって、前記第2のスケジューリング信号が、前記サイレンスディスクリプタパケットを割り当てるのに十分な第2のリソース割り当てを含むことと、前記受信した第2のスケジューリング信号に応答して、バッファ状態レポートを含むパケットを前記基地局に送信することと、半永続スケジューリング信号を前記基地局から受信することであって、前記受信した半永続スケジューリング信号が、アップリンクステータスがアクティブであることを示すことと、を含み、前記アクティブ状態では、前記端末は、前記バッファ状態レポートを前記基地局に定期的にアップリンクし、当該基地局は、このアップリンクのためのリソースを定期的に端末に割り当て」るのに対し、引用発明1は、「トークスパート」の手順について具体的に記載されていない点。

<相違点6>
一致点の「第1のスケジューリング要求」に関連して、本願発明1は、「前記第1のスケジューリング要求と前記第2のスケジューリング要求が同じ構成を有し、前記第1のリソース割り当てと前記第2のリソース割り当てが、同じリソース量の割り当てを含む」のに対し、引用発明1は、そもそも「トークスパート」期間のスケジューリング要求やリソース割り当てについて記載されていない点。

(3)判断
そこで、上記相違点6について検討する。
引用発明3として、「UAで新たなアップリンク音声パケットがあるとトークスパートが開始されて、前記UAからアクセスデバイスに、スケジューリング要求し、前記アクセスデバイスから最小の容量の無線リソースを許可する制御メッセージを前記UAが受信すると、該無線リソースを使用して、バッファ状態報告を前記アクセスデバイスに送信し、前記アクセスデバイスは、該バッファ報告に基づいて、前記UAに、半永続的にスケジューリングされたリソースを前記UAに許可すること。」が記載されている。
そして、引用発明1の「トークスパート」の期間における、端末からeNBへの音声パケットの送信のために、引用発明3を適用してアップリンク音声パケットに関するスケジューリング要求をeNBに送信し、前記アップリンク音声パケットに関するスケジューリング要求に応答して、アップリンク音声パケットに関するスケジューリング信号が、前記アップリンク音声パケットに関するリソース割り当てをeNBから受信するよう構成することが、当業者が容易になし得たとしても、SIDパケット、音声パケットそれぞれのスケジューリング要求の構成、リソース割り当て量を同じとすることについては、引用発明1ないし引用発明4のいずれにも記載も示唆もされておらず、当業者に自明な事項でもない。
したがって、引用発明1に、引用発明2ないし引用発明4を適用したとしても、本願発明1の相違点6に係る構成を導き出すことはできない。
そして、本願発明1の相違点6に係る構成により、本願明細書段落【0032】の「したがって、アイドル状態中は、受信した割り当ては、サイレンスディスクリプタパケットを送信するのに十分であり得、アクティブ状態への遷移中は、受信した割り当ては、バッファステータスレポートを送信するのに十分であり得る。いくつかの例では、アクティブ状態への遷移中は、バッファステータスレポートがサイレンスディスクリプタパケットに「取って代わる」ことができると見なすことができる。」という作用効果を奏するものであるから、当業者が適宜なし得る設計的事項ということはできない。

以上のとおり、本願発明1は、他の相違点について検討するまでもなく、引用発明1ないし4に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

2.本願発明2について
本願発明1の主体が「端末」の方法の発明を、主体が「基地局」の方法の発明としたものであり、同様の技術的特徴を有するものであるから、上記(3)と同じ理由により、引用発明1ないし4に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

3.本願発明3ないし7について
本願発明2を引用する発明であるから、上記(3)と同じ理由により、引用発明1ないし4に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

4.本願発明8について
本願発明8は、本願発明1の「方法」のカテゴリーを「機械可読媒体」としたものであり、同様の技術的特徴を有するものであるから、上記(3)と同じ理由により、引用発明1ないし4に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

5.本願発明9について
本願発明9は、本願発明2の「方法」のカテゴリーを「機械可読媒体」としたものであり、同様の技術的特徴を有するものであるから、上記(3)と同じ理由により、引用発明1ないし4に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

6.本願発明10について
本願発明10は、本願発明1の「方法」のカテゴリーを「システム」としたものであり、同様の技術的特徴を有するものであるから、上記(3)と同じ理由により、引用発明1ないし4に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

7.本願発明11ないし13について
本願発明11ないし13は、本願発明10を引用する発明であるから、上記(3)と同じ理由により、引用発明1ないし4に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。


第7 むすび
以上のとおり、原査定の拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2017-03-07 
出願番号 特願2014-519372(P2014-519372)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (H04M)
最終処分 成立  
前審関与審査官 永田 義仁  
特許庁審判長 大塚 良平
特許庁審判官 萩原 義則
中野 浩昌
発明の名称 ボイスオーバインターネットプロトコルサービス  
代理人 内藤 和彦  
代理人 大貫 敏史  
代理人 稲葉 良幸  
代理人 土屋 徹雄  
代理人 江口 昭彦  

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