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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H04Q
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 H04Q
管理番号 1325576
審判番号 不服2016-4927  
総通号数 208 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-04-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-04-05 
確定日 2017-03-14 
事件の表示 特願2011-271744「携帯端末、音出力プログラム、及び音色調整方法」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 6月20日出願公開、特開2013-123199、請求項の数(10)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成23年12月12日の出願であって、平成27年8月28日付けで拒絶理由が通知され、同年11月9日付けで手続補正がされ、同年12月21日付けで拒絶査定がされ、これに対し、平成28年4月5日に拒絶査定不服審判の請求がされるとともに同日付けで手続補正がされたものであって、同年10月31日付けで当審より拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)が通知され、同年12月28日付けで意見書が提出されるとともに手続補正がされたものである。

2.本願発明
本願の特許請求の範囲の請求項1ないし請求項10に係る発明は、平成28年12月28日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1ないし請求項10に記載された以下のものである。(以下、「本願発明1」ないし「本願発明10」という。)

「【請求項1】
音色を示すパラメータに基づいて音を出力する音出力装置へ該パラメータを送信する携帯端末であって、
前記音色に対応付けられた前記パラメータを既定したテーブルを有し、
同じ音色を示すとともに音色の強さが異なる前記パラメータが既定された複数の指標で構成される一の指標群を表示手段に表示させ、
前記表示手段に表示された前記一の指標群のうち何れかの指標の選択を受付手段を介して受け付け、
前記選択された指標に対応するパラメータを前記テーブルから取得し、取得したパラメータを通信手段を介して前記音出力装置へ送信する、制御手段を備える携帯端末。
【請求項2】
前記制御手段は、前記一の指標群の音色とは異なった、同じ音色を示すとともに音色の強さが異なるパラメータが既定された複数の指標で構成される他の指標群を、前記表示手段に更に表示させ、前記表示手段へ表示された前記一の指標群または前記他の指標群のうち何れかの指標の選択を、前記受付手段を介して受け付ける、請求項1に記載の携帯端末。
【請求項3】
前記制御手段は、前記受付手段が、前記指標の選択を前記一の指標群と前記他の指標群との間の領域で受け付けると、前記間の領域に既定されたパラメータを特定し、又は前記間の領域に隣接する指標に既定されたパラメータに基づいて新たにパラメータを算出し、前記特定されたパラメータ、又は前記算出されたパラメータを前記通信手段を介して前記音出力装置へ送信する、請求項2に記載の携帯端末。
【請求項4】
前記指標は、異なる特性に応じて複数種類、かつ、当該種類毎に複数強度に区別され、
前記制御手段は、前記表示手段に、前記指標を種類毎に異なった複数の直線状に強度順に並べて表示させる、請求項2又は3に記載の携帯端末。
【請求項5】
前記制御手段は、前記表示手段が前記複数の指標を表示し、かつ、前記受付手段が指標の選択を受け付けている際、選択された指標を特定し、該特定された指標のパラメータに対応した画面であって、前記表示手段に表示される画面とは異なる、音の調整結果を確認する画面を前記表示手段に表示させる請求項1から4の何れか1項に記載の携帯端末。
【請求項6】
前記制御手段は、前記受付手段を介して音量調整の指示を受け付け、受け付けた音量調整の指示を前記通信手段を介して前記音出力装置に送信する請求項1から5の何れか1項に記載の携帯端末。
【請求項7】
音色を示すパラメータに基づいて音を出力させる音出力プログラムであって、
携帯端末のコンピュータに、
同じ音色を示すとともに音色の強さが異なるパラメータが既定された複数の指標で構成される一の指標群を表示手段に表示させるステップと、
前記表示手段に表示された前記一の指標群のうち何れかの指標の選択を受付手段を介して受け付けるステップと、
前記選択された指標に対応するパラメータを、前記音色に対応付けられた前記パラメータを既定した前記携帯端末が有するテーブルから取得し、取得したパラメータを通信手段を介して音を出力する音出力装置へ送信するステップと、を実行させる音出力プログラム

【請求項8】
音色を示すパラメータに基づいて音の音色を調整する音色調整方法であって、
携帯端末のコンピュータが、
同じ音色を示すとともに音色の強さが異なるパラメータが既定された複数の指標で構成される一の指標群を表示手段に表示させるステップと、
前記表示手段に表示された前記一の指標群のうち何れかの指標の選択を受付手段を介して受け付けるステップと、
前記選択された指標に対応するパラメータを、前記音色に対応付けられた前記パラメータを既定した前記携帯端末が有するテーブルから取得し、取得したパラメータを音出力装置へ送信し、出力音の音色調整を行うステップと、を実行する音色調整方法。
【請求項9】
前記一の指標群の音色とは異なった、同じ音色を示すとともに音色の強さが異なるパラメータが既定された複数の指標で構成される他の指標群が前記表示手段に更に表示され、
前記表示手段に、前記一の指標群と前記他の指標群の夫々について、直線状に強度順に並べて表示させる、請求項8に記載の音色調整方法。
【請求項10】
音色を示すパラメータに基づいて音楽を出力する音楽再生装置へ該パラメータを送信する携帯端末であって、
前記音色に対応付けられた前記パラメータを既定したテーブルを有し、
同じ音色を示すとともに音色の強さが異なるパラメータが既定された複数の音調整ボックスで構成される一の音調整ボックス群をタッチパネルディスプレイに表示させ、
前記タッチパネルディスプレイへ表示された前記一の音調整ボックス群のうち何れかの音調整ボックスの選択を受付手段を介して受け付け、
前記選択された音調整ボックスに対応するパラメータを前記テーブルから取得し、取得したパラメータを通信手段を介して前記音楽再生装置へ送信する、制御手段を備える携帯端末。」

3.原審の拒絶理由
(1)原審の拒絶理由の概要
平成27年8月28日付けの原審の拒絶理由(以下、「原審拒絶理由」という。)の概要は、以下のとおりである。
ア.本願請求項1-11に係る発明は、以下の引用文献1-5に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

イ.本願請求項2-6,9に係る発明は不明確であり、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

<引用文献等一覧>
1.特表2007-529040号公報
2.特開2008-195142号公報
3. ・・・(省略)・・・
4. ・・・(省略)・・・
5. ・・・(省略)・・・

4.引用文献、引用発明等
(1)引用発明
原審拒絶理由に引用された引用文献1(特表2007-529040号公報)は、「制御パラ-メータの組み合わせを調整するシステム」(発明の名称)に関して、図面とともに以下の事項が記載されている。

ア.「【0011】
本発明の目的は、ディスプレイ画面上に座標系を表示し、そこで前述座標系の第1の座標は第1の制御パラメータの値の範囲を示し、前述座標系の第2の座標は第2の制御パラメータの値の範囲を示すよう、第1及び第2の制御パラメータの値のうち目下選択されている組合せに対応して前述の座標で位置を視覚的に表すよう、及び、ユーザが、前述座標系内で位置を示すことによって第1及び第2の制御パラメータの値の新しい組合せを選択できるよう、配置されることで、更に実現される。」(4頁)

イ.「【0013】
図1は、本発明を実施するシステムとしての音響セットの図である。該セットは、光ディスク・プレイヤ101、増幅器102、ラウドスピーカ103及び104、及びリモート・コントロール105を有する。リモート・コントロール105は、グラフィカル・ディスプレイ106を有する。光ディスク・プレイヤ101は、・・・(省略)・・・。」(4頁)

ウ.「【0015】
・・・(省略)・・・。図2は、音響内容の速度及び高さを同時に制御する本発明に従ったユーザ・インターフェースを図示する。ユーザ・インターフェースは、リモート・コントロール105のグラフィック・ディスプレイ106上に表示され得る。あるいは、増幅器102上の光ディスク・プレイヤ101上のグラフィック・ディスプレイ上、又は、音響システムに接続されたテレビジョン受像機等の別個のディスプレイ装置上に表され得る。グラフィック・ディスプレイ106は、望ましくはタッチ画面であるが、ディスプレイ内で位置を示すマウス又はトラックボール等の代替の手段を有してもよい。グラフィカル・ユーザ・インターフェースは、高さの値の範囲を表す垂直軸201、及び速度値の範囲を表す水平軸202を備えた座標系を有する。軸201と202との交点は、中立値、即ち録音された通りの通常の速度及び高さに対応する。ポインタ203は、高さ及び速さの値の目下選択された組合せを示す。ポインタ203は、ユーザによって自由に位置決めされ得る。しかしながら、グラフィカル・ユーザ・インターフェースは、任意で補助曲線204を有する。該曲線は、高さと速度値との間の全ての「中立」均衡、即ち、加速又は減速されて音響内容を再生する際に予想される値、を表す。ポインタ203を補助曲線204に近接させて位置決めすることは、この曲線にポインタを「スナッピング」させ得るゆえに、所望されそうな値の組合せの選択を促す。補助曲線の位置及び傾きは、所定のものであり得るが、システムによって、ユーザはこれらの特性を調整するこもできる。例えば、他の補助曲線204aは、ユーザによって各自の個人的な嗜好を繁栄させながら定義付けられ得る。補助曲線は、例えば速度軸と十分一致し得るため、再生された内容の速度を変える際、高さの変更は全く所望されないことが示される。所望の値の組合せの選択は、追加の制御構成要素205及び/又は206によって更に促され得る。これらの制御構成要素は、グラフィカル・ユーザ・インターフェースの一部であり得るか、又はハードウェアのボタンとして実施され得る。これらは、殆どの内容再生機器によって与えられる従来の早巻き戻し及び早送りに略対応する。しかしながら、本発明に従ったシステムでは、高さ及び速度の所望の組合せの選択を促す追加的機能を有する。例えば、ポインタ203は既に所望の値の組合せを表す補助曲線上にある場合、制御構成要素206を押すことによって、速度は所望の少量分上昇され、高さも結果もたらされる値の組み合わせが再度補助曲線状にある量分変更される。故に、制御構成要素206の反復された又は延長された操作によって、補助曲線に沿った容易で擬似連続のナビゲーションが可能になる。制御構成要素205の操作は、逆の効果を有する。補助曲線が速度軸と一致する場合、制御構成要素205及び206を操作することによって、再生された内容の速度は、高さを変えることなく徐々に変えられるべきである。
【0016】
ポインタ203が補助曲線状に内場合、制御構成要素205及び206のうちの1つを操作することによって、まず補助曲線にポインタをスナッピングさせ得る。あるいは、新しい補助曲線が、ポインタの現在位置を介するが、同一の傾きを有する等の現在の補助曲線に可能な限り類似して生成され得る。例えば、現在の補助曲線が速度軸と一致するが、現在の高さの設定がデフォルトの設定より僅かに高い場合、即ちポインタ203が速度軸より上にある場合、制御構成要素206を操作することによって、速度は上昇されるが、高さはその僅かに高い値を保持し、任意で速度軸に対して平行な新しい補助曲線を表示する。代替の実施例では、補助曲線の位置はポインタ203を再度位置付けるのに対応してすぐに変更され得、補助曲線は再度ポインタ203の新しい位置を有するようにされる。」(5?6頁)

エ.「【0019】
継続的な補助曲線の代わりに、システムは、ユーザが、特定の所望の値の組合せを反映して離れた位置を定義付けることを可能にし得る。ユーザは、更に、かかる位置又は曲線に「ジャズ」、「クラシック」等のラベルを与えることを可能にされ、位置又は曲線が、特定の音楽の範疇に特に関連することを示す。
【0020】
図4は、本発明に従った方法の一例を図示する。段階401では、座標系が、1つ又はそれ以上の座標軸、及び/又は選択された制御パラメータの望ましい値の組合せの指示を有して、表示される。段階402では、ユーザ入力が用意される。ユーザが、座標系内で新しい位置を示す場合、段階403で、新しい位置が選択された制御パラメータの値の望ましい組合せに対応する位置に近似するか否かが確認される。もしそうであれば、段階404で指示された位置は、前述の近似位置まで調整される。段階405では、第1の制御パラメータは、座標系の選択された位置の1つの座標に従って調整される。段階406では、第2の制御パラメータは、座標系の選択された位置の他の座標に従って調整される。」(4?7頁)

引用文献1の摘記事項ア.?エ.の記載及び図面ならびにこの分野における技術常識を考慮すると、

(ア)摘記事項イ.の【0013】の「音響セットの図である。該セットは、・・(略)・・リモート・コントロール105を有する。」と、摘記事項ウ.の【0015】の「音響内容の速度及び高さを同時に制御する本発明に従ったユーザ・インターフェース」と、摘記事項エ.の【0020】の「ユーザが、座標系内で新しい位置を示す場合、段階403で、新しい位置が選択された制御パラメータの値の望ましい組合せに対応する位置に近似するか否かが確認される。もしそうであれば、段階404で指示された位置は、前述の近似位置まで調整される。段階405では、第1の制御パラメータは、座標系の選択された位置の1つの座標に従って調整される。段階406では、第2の制御パラメータは、座標系の選択された位置の他の座標に従って調整される。」との各記載と図1とより、「音響内容の速度及び高さを示す第1及び第2の制御パラメータに基づいて音を出力する音響セットへ該制御パラメータを送信するリモート・コントロールであって、」といえる。

(イ)摘記事項ウ.の【0015】の「グラフィカル・ユーザ・インターフェースは、高さの値の範囲を表す垂直軸201、及び速度値の範囲を表す水平軸202を備えた座標系を有する。軸201と202との交点は、中立値、即ち録音された通りの通常の速度及び高さに対応する。ポインタ203は、高さ及び速さの値の目下選択された組合せを示す。」の記載より、「前記音響内容の速度及び高さに対応する前記第1及び第2の制御パラメータの組み合わせを補助曲線上の位置と対応させる座標系を有し、」といえる。

(ウ)摘記事項ウ.の【0015】の「グラフィカル・ユーザ・インターフェースは、任意で補助曲線204を有する。該曲線は、高さと速度値との間の全ての「中立」均衡、即ち、加速又は減速されて音響内容を再生する際に予想される値、を表す。」の記載より、「前記音響内容の速度及び高さが異なる前記第1及び第2の制御パラメータの組み合わせを補助曲線としてグラフィカル・ディスプレイ上に表示させ、」といえる。

(エ)摘記事項ウ.の【0015】の「グラフィック・ディスプレイ106は、望ましくはタッチ画面である・・(略)・・ポインタ203は、高さ及び速さの値の目下選択された組合せを示す。ポインタ203は、ユーザによって自由に位置決めされ得る。」と、摘記事項エ.の【0020】の「座標系が、1つ又はそれ以上の座標軸、及び/又は選択された制御パラメータの望ましい値の組合せの指示を有して、表示される。」との各記載より、「前記グラフィカル・ディスプレイ上に表示された前記補助曲線上の位置を、タッチ画面を介して位置決めし、」といえる。

(オ)(ア)の検討に加えて、摘記事項ア.の【0011】の「ディスプレイ画面上に座標系を表示し、そこで前述座標系の第1の座標は第1の制御パラメータの値の範囲を示し、前述座標系の第2の座標は第2の制御パラメータの値の範囲を示すよう、第1及び第2の制御パラメータの値のうち目下選択されている組合せに対応して前述の座標で位置を視覚的に表すよう、及び、ユーザが、前述座標系内で位置を示すことによって第1及び第2の制御パラメータの値の新しい組合せを選択できるよう、配置される」の記載より「前記位置決めされた位置に対応する第1及び第2の制御パラメータを前記座標系から取得し、音響セットに無線により送信する」といえる。

以上、(ア)?(オ)を総合すると、引用文献1には、以下の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されていると認める。

(引用発明1)
「音響内容の速度及び高さを示す第1及び第2の制御パラメータに基づいて音を出力する音響セットへ該制御パラメータを送信するリモート・コントロールであって、
前記音響内容の速度及び高さに対応する前記第1及び第2の制御パラメータの組み合わせを補助曲線上の位置と対応させる座標系を有し、
前記音響内容の速度及び高さが異なる前記第1及び第2の制御パラメータの組み合わせを補助曲線としてグラフィカル・ディスプレイ上に表示させ、
前記グラフィカル・ディスプレイ上に表示された前記補助曲線上の位置を、タッチ画面を介して位置決めし、
前記位置決めされた位置に対応する第1及び第2の制御パラメータを前記座標系から取得し、音響セットに無線により送信する、リモート・コントロール。」

また、原審拒絶理由で引用された引用文献2(特開2008-195142号公報)(段落【0039】?【0041】、図6)には、「タッチパネルディスプレイ上に表示されるアイコンを選択してオーディオシステムの音量を調整すること。」(以下、「引用発明2」という。)が記載されていると認める。

(3)対比・判断
本願発明1と引用発明1とを対比する。

ア.引用発明1の「音響内容の速度及び高さを示す第1及び第2の制御パラメータ」と、本願発明1の「音色を示すパラメータ」とは、「音の質を示す制御因子」という点で共通する。

イ.引用発明1の「音を出力する音響セット」は、本願発明1の「音を出力する音出力装置」に相当する。

ウ.引用発明1の「該制御パラメータを送信するリモート・コントロール」と、本願発明1の「該パラメータを送信する携帯端末」とは、「該制御因子を送信する携帯端末」という点で共通する。

エ.引用発明1の「前記音響内容の速度及び高さに対応する前記第1及び第2の制御パラメータの組み合わせを補助曲線上の位置と対応させる座標系」と本願発明1の「前記音色に対応付けられた前記パラメータを既定したテーブル」とは、「前記音の質に対応付けられた前記制御因子を既定した変換手段」という点で共通する。

オ.引用発明1の「前記音響内容の速度及び高さが異なる前記第1及び第2の制御パラメータの組み合わせを補助曲線としてグラフィカル・ディスプレイ上に表示させ、」と、本願発明1の「同じ音色を示すとともに音色の強さが異なる前記パラメータが既定された複数の指標で構成される一の指標群を表示手段に表示させ、」とは、「前記音の質が異なる前記制御因子が既定された一の指標群を表示手段に表示させ、」という点で共通する。

カ.引用発明1の「前記グラフィカル・ディスプレイ上に表示された前記補助曲線上の位置を、タッチ画面を介して位置決めし、」と、本願発明1の「前記表示手段に表示された前記一の指標群のうち何れかの指標の選択を受付手段を介して受け付け、」とは、「前記表示手段に表示された前記一の指標群のうち何れかの指標の選択を、受け付け手段を介して受け付け、」という点で共通する。

キ.引用発明1の「前記位置決めされた位置に対応する第1及び第2の制御パラメータを前記対応させる座標系から取得し、音響セットに無線により送信する、」と、本願発明1の「前記選択された指標に対応するパラメータを前記テーブルから取得し、取得したパラメータを通信手段を介して前記音出力装置へ送信する、制御手段を備える」とは、「前記選択された指標に対応する制御因子を前記変換手段から取得し、取得した制御因子を通信手段を介して前記音出力装置へ送信する、」という点で共通する。

以上をまとめると、本願発明1と引用発明1とは、以下の点で一致し、相違する。

(一致点)
「音の質を示す制御因子に基づいて音を出力する音出力装置へ該制御因子を送信する携帯端末であって、
前記音の質に対応付けられた前記制御因子を既定した変換手段を有し、
前記音の質が異なる前記制御因子が既定された一の指標群を表示手段に表示させ、
前記表示手段に表示された前記一の指標群のうち何れかの指標の選択を受け付け手段を介して受け付け、
前記選択された指標に対応する制御因子を前記変換手段から取得し、取得した制御因子を通信手段を介して前記音出力装置へ送信する、携帯端末。」

(相違点1)一致点の「音の質」が、本願発明1では、「音色」であるのに対して、引用発明1では、「音響内容」である点。

(相違点2)一致点の「制御因子」が、本願発明1では「パラメータ」であるのに対して、引用発明1では、「第1及び第2の制御パラメータ」である点。

(相違点3)一致点の「既定された一の指標群」が、本願発明1は、「既定された複数の指標で構成される一の指標群」であるのに対して、引用発明1が「補助曲線」である点。

(相違点4)一致点の「前記制御因子を既定した変換手段」が、本願発明1では、「前記パラメータを既定したテーブル」であるのに対し、引用発明1は、「前記第1及び第2の制御パラメータの組み合わせを補助曲線上の位置と対応させる座標系」である点。
それに伴い、一致点の「制御因子を前記変換手段から取得」が、本願発明1では、「パラメータを前記テーブルから取得」であるのに対し、引用発明1は、「第1及び第2の制御パラメータを前記座標系から取得」する点。

(相違点5)一致点の「前記音の質が異なる」について、本願発明1は、「同じ音色を示すとともに音色の強さが異なる」であるのに対して、引用発明1は、「前記音響内容の速度及び高さが異なる」である点。

(相違点6)本願発明1では、「制御手段」を備えるのに対し、引用発明1では、制御するための構成について明記されていない点。

(4)判断
事案に鑑み、(相違点4)について検討する。
まず、本願発明1の「前記パラメータを既定したテーブル」について検討する。本願発明1の「パラメータ」に関して、本願明細書段落【0079】の「ステップS03では、携帯端末のCPU12は、選択されたサウンドボックスの音の調整のパラメータ(係数)、サウンドボールの大きさに対応する音量のパラメータを取得する。ここで、図16Aは、音の調整に用いるパラメータテーブルの一例を示す。図16Bは、音量テーブルの一例を示す。パラメータテーブルは、予め設定された係数によって構成される既存設定領域と、ユーザによって設定された係数によって構成されるユーザ設定領域とによって構成されている。また、パラメータテーブルは、パターン、音色表現語、係数1、係数2、係数3(各々、DSPに設定する複数の係数からなる係数群を示している)の項目を含み、各項目にデータが割り当てられている。係数1、係数2、係数3は、パターン(軸)1の段階数に対応している。各係数は、上述した音色表現語に基づいて設定され、イコライザの周波数、Q値、ゲイン、ディレイの遅延量、出力レベル、ボリューム値などによって構成することができる。例えば、パターン(軸)1の係数1は、サウンドボックス1-1に対応する。従って、図5に示すようにサウンドボールがサウンドボックス2-3に位置する場合、携帯端末のCPU12は、係数としてB3を取得する。」と、同段落【0081】に「例えば、パラメータとして係数B3が取得され、音量パラメータとしてQ3が取得されると、携帯端末のCPU12は、この取得した係数B3、音量パラメータQ3を携帯端末の通信装置16を介して車載器2へ送信する。」と記載されていることから、「係数B3」のような「既定された係数群を示すもの」が上記「パラメータ」に、相当すると解され、これは平成28年12月28日付け意見書の「(2)パラメータ」についての主張とも一致する。
そして、「前記選択された指標に対応するパラメータを前記テーブルから取得し、」との記載から、本願発明1の「前記パラメータを既定したテーブル」は、「既定された複数の指標」と「既定された複数の係数群を示すもの」を対応させていると解される。他方、引用発明1の「座標系」は、「補助曲線上の位置」すなわち、連続的に変化する指標を「第1及び第2のパラメータの組み合わせ」すなわち、2つのパラメータと対応させている。してみると、引用発明1は、本願発明1のように、「テーブル」を用いていないのみならず、「既定された複数の指標」と、複数の「パラメータ」、すなわち、「複数の係数群を示すもの」とを対応させるものでない点でも構成が異なっている。そして、上記相違する点について、引用発明2には記載されておらず、当業者に自明の事項でもない。

よって、本願発明1は、引用発明1および引用発明2に基づいて、当業者が容易に想到し得たものとはいえない。
本願発明1と発明特定事項を同じくし発明のカテゴリーの異なる本願発明7ないし本願発明10についても同様に、引用発明1および引用発明2に基づいて、当業者が容易に想到し得たものとはいえない。
本願発明1の発明特定事項を含む本願発明2ないし本願発明6についても、同様に、引用発明1および引用発明2に基づいて、当業者が容易に想到し得たものとはいえない。

(4)小括
よって、本願発明1ないし本願発明10は、引用発明1および引用発明2に基づいて、当業者が容易に想到し得たものとはいえない。

6.当審拒絶理由
当審拒絶理由の概要は、
「 1.(サポート要件及び明確性)本件出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第1号及び第2号規定する要件を満たしていない。 」というものである。

7.当審拒絶理由についての当審の判断
平成28年12月28日付けの手続補正によって、当審拒絶理由(サポート要件及び明確性)は解消した。

8.まとめ
本願発明1ないし本願発明10は、原査定の拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきとすることはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2017-02-28 
出願番号 特願2011-271744(P2011-271744)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (H04Q)
P 1 8・ 537- WY (H04Q)
最終処分 成立  
前審関与審査官 西巻 正臣中木 努圓道 浩史  
特許庁審判長 大塚 良平
特許庁審判官 林 毅
山中 実
発明の名称 携帯端末、音出力プログラム、及び音色調整方法  
代理人 和久田 純一  
代理人 平川 明  
代理人 川口 嘉之  
代理人 世良 和信  
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