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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01L
管理番号 1325610
審判番号 不服2016-2749  
総通号数 208 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-04-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-02-24 
確定日 2017-03-02 
事件の表示 特願2013-167838「半導体装置及び半導体装置の製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 2月23日出願公開、特開2015- 37103〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成25年8月12日の出願であって、平成27年9月7日付け拒絶理由通知に対して、同年10月26日付けで手続補正がなされたが、同年12月11日付けで拒絶査定がなされた。これに対し、平成28年2月24日付けで拒絶査定不服審判が請求されると共に手続補正がなされ、同年5月16日付けで上申書が提出された。


2.本願発明
本願の請求項1ないし3に係る発明は、平成28年2月24日付け手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載された事項により特定されるところ、そのうち請求項3に係る発明(以下「本願発明」という。)は次のとおりのものである。

「【請求項3】
基板と、前記基板の上面側に固定された固定部を含むリードと、前記リードに電気接続された半導体素子と、前記基板の下面が露出するように、前記基板、前記リード及び前記半導体素子を封止する封止樹脂と、を備え、
前記基板が、前記基板の上面から突出して前記固定部の側面の少なくとも一部を覆う部位を有することを特徴とする半導体装置。」

なお、当該請求項3は、補正前の請求項4を拒絶査定で指摘のあった明りょうでない記載を釈明しようと補正したもの(「製造方法を引用した半導体装置」であったものを、製造方法を引用しない「半導体装置」に補正したもの。)である。


3.引用例
(1)原査定の拒絶の理由に引用された特開2011-181651号公報(以下「引用例1」という。)には、「放熱基板」に関して図面とともに以下の記載がある。なお、下線は当審で付与した。

ア.「【0024】
上記の課題を解決するため、本発明は、金属板と、この金属板上に設けられたシート状の、結晶性エポキシ樹脂を含む硬化済の熱硬化性樹脂と、無機フィラとからなる伝熱層と、この伝熱層に固定された、配線基板と、リードフレームと、を有する放熱基板であって、前記伝熱層における前記無機フィラの含有率が、66Vol%以上、90Vol%以下であって、前記配線基板の側面の一部以上と、前記リードフレームの側面の一部以上とは、半田部もしくは機械的接続部の一つ以上を介して接続されている放熱基板とする。」

イ.「【0029】
(実施例1)
図1は、本発明の実施例1における放熱基板を斜めから見た様子を示す断面図である。
【0030】
図1において、101は放熱基板、102は伝熱層、103はリードフレーム、104は配線基板、105は配線部、106は絶縁部、107は金属板、108は半田部、109は接続部である。
・・・(中略)・・・
【0033】
放熱基板101は、少なくとも、シート状の伝熱層102と、この伝熱層102に埋め込まれ、固定された配線基板104と、リードフレーム103と、を有している。」

ウ.「【0036】
例えば、図1における放熱基板101のリードフレーム103は、100Aを超える大電流に対応でき、更にヒートスプレッダーとしての効果を有しているので、パワー半導体等(図示していない)の実装や放熱に好適である。
【0037】
図1における、放熱基板101の伝熱層102に埋め込んだ配線基板104は、微細配線に対応できるため、パワー半導体(図示していない)の制御用の半導体や各種チップ部品等の高密度実装に好適である。例えば配線基板104にガラエポ基板を用いることで、制御回路の高密度実装に対応できる。また配線基板104に、アルミナ基板等のセラミック基板を用いることで、更に優れた放熱性が得られる。」

エ.「【0049】
図2において、110はボンディングワイヤ、112はスルーホールである。図2(A)に示すように、配線基板104の表面に設けた配線部105と、リードフレーム103の間に、ボンディング装置(図示していない)を用いて、ボンディングワイヤ110による配線を行なうことができる。なおボンディングワイヤ110には、アルミニウム線や金線、銅線等を用いる。これらは熱伝導性が高く、電気抵抗が低い。なお配線部105や、リードフレーム103の表面には、ボンディング性を高めるために、予め金メッキ等を行なっておくことは有用である。」

オ.「【0196】
またリードフレーム103の一部分以上を伝熱層102に埋め込むことで、リードフレーム103と伝熱層102との接続強度が高まる。そしてリードフレーム103の引張り強度を高めることができる。引張り強度の測定方法については、プリント配線基板104における銅箔の引張り強度評価方法等を参考にすればよい。」

上記アないしオ、図1および図2から、引用例1の「放熱基板」には以下の事項が記載されている。

・上記アおよびイによれば、放熱基板は、金属板と、この金属板上に設けられた伝熱層と、伝熱層に固定された、配線基板と、リードフレームとを有するものである。
・上記イによれば、配線基板とリードフレームは、伝熱層に埋め込まれて固定されているものである。
・上記ウによれば、リードフレームはパワー半導体の実装に好適であるから、パワー半導体はリードフレームに実装されているといえる。また、配線基板は制御用の半導体の実装に好適であるから、制御用の半導体は配線基板に実装されているといえる。
・上記オによれば、リードフレームの一部以上が伝熱層に埋め込まれているものである。

そうすると、上記摘示事項および図面の記載を総合勘案すると、引用例1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。

「金属板とこの金属板上に設けられた伝熱層と、
前記伝熱層に固定された配線基板およびリードフレームと、
前記配線基板およびリードフレームに実装された半導体と、
を備え、
前記リードフレームの一部が前記伝熱層に埋め込まれている放熱基板。」

(2)原査定の拒絶の理由に引用された、特開2012-59885号公報(以下「引用例2」という。)には、「半導体装置」に関して図面とともに以下の記載がある。なお、下線は当審で付与した。
「【0043】
図1および図2に示すように、半導体装置10は、2つのパワー素子11,12および制御IC13と、パワー素子11が実装されるアイランド21が形成される第1リードフレーム20と、パワー素子12が実装されるアイランド31が形成される第2リードフレーム30と、制御IC13が実装されるアイランド41が形成される第3リードフレーム40と、アイランド21およびアイランド31が固定される固定部材50とを備えており、各リードフレーム20,30,40の外側端部22,32,42と固定部材50の露出面50aとが露出するようにモールド樹脂60により封止されて構成されている。なお、半導体装置10は、他の素子やリードフレームが電気的に接続されてモールド樹脂60により封止されて構成されてもよい。」

上記の記載および図1によれば、引用例2には「リードフレームを固定する固定部材の下面がモールド樹脂から露出している」技術事項が記載されている。


4.対比
そこで、本願発明と引用発明とを対比する。

a.引用発明の「リードフレーム」は、本願発明の「リード」に相当する。
また、引用発明の「金属板とこの金属板上に設けられた伝熱層」は、リードフレームが固定されるもので、本願発明の「基板」に相当する。
よって、引用発明の「金属板とこの金属板上に設けられた伝熱層と、前記伝熱層に固定された・・・リードフレーム」は、本願発明の「基板と、前記基板の上面側に固定された固定部を含むリード」に相当する。

b.引用発明の「リードフレーム」は、実装される半導体のリード(端子)になることは明らかであり、また、上記エによれば、半導体が実装された配線基板とリードフレームとがボンディングワイヤにより接続されており、これらを勘案すると、引用発明の「前記配線基板およびリードフレームに実装された半導体」は、本願発明の「リードに電気接続された半導体素子」に相当する。

c.本願発明は「前記基板の下面が露出するように、前記基板、前記リード及び前記半導体素子を封止する封止樹脂」を備えているのに対し、引用発明にはその旨の特定はない。

d.引用発明の「前記リードフレームの一部が前記伝熱層に埋め込まれている」ことは、結局のところ、リードフレームの側面を伝熱層(本願発明の「基板」の一部に相当。)が覆っていることだから、本願発明の「基板が、基板の上面から突出して固定部の側面の少なくとも一部を覆う部位を有する」ことに相当する。

e.引用発明の「放熱基板」は、実質的に半導体を該基板の上部に有したものといえるから、本願発明の「半導体装置」に相当する。

上記aないしeから、本願発明と引用発明とは、次の点で一致ないし相違する。

<一致点>
「基板と、前記基板の上面側に固定された固定部を含むリードと、前記リードに電気接続された半導体素子と、を備え、
前記基板が、前記基板の上面から突出して前記固定部の側面の少なくとも一部を覆う部位を有する半導体装置。」

<相違点>
本願発明は「前記基板の下面が露出するように、前記基板、前記リード及び前記半導体素子を封止する封止樹脂」を備えているのに対し、引用発明にはその旨の特定はない。


5.判断
上記相違点について判断する。
引用発明は、上記ウおよびエの記載によれば、伝熱層(本願発明の「基板」の一部に相当。)に埋め込んだリードフレームや配線基板上に半導体や各種チップ部品を実装したり、ボンディングワイヤによる配線を行ったりするものであり、当然に半導体やボンディングワイヤを封止する樹脂は備えられていると認められるから、該リードフレームや該配線基板の上部、すなわち伝熱層の上部に実質的に封止樹脂を備えているといえる。
そして、基板の下面が露出するように樹脂封止を行うことは、引用例2(上記「3.(2)」を参照。)のみならず、例えば特開2005-150595号公報(段落【0013】、図2を参照。)、特開2013-30670号公報(段落【0027】、図3を参照。)に記載されているように、周知の技術事項である。
よって、引用発明に実質的に備えられた封止樹脂に、周知の技術事項を採用して相違点の構成とすることは、当業者が容易になし得た事項である。

そして、上記相違点を総合的に判断しても、本願発明が奏する効果は、引用発明と周知の技術事項から当業者が十分に予測できたものであって格別なものとはいえない。
したがって、本願発明は、引用発明と周知の技術事項により当業者が容易になし得たものである。

なお、審判請求人は、平成28年5月16日の上申書において、特許請求の範囲の請求項3を補正する補正案を提示している。
しかしながら、本願発明は、以上のとおり、原査定の拒絶の理由に引用された文献(引用例1および引用例2)で拒絶すべきものであるから、再度拒絶理由を通知する合理的な根拠はない。


6.むすび
以上のとおり、本願の請求項3に係る発明は、引用例1および周知の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、その余の請求項に論及するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2016-12-27 
結審通知日 2017-01-04 
審決日 2017-01-17 
出願番号 特願2013-167838(P2013-167838)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小山 和俊  
特許庁審判長 國分 直樹
特許庁審判官 関谷 隆一
酒井 朋広
発明の名称 半導体装置及び半導体装置の製造方法  
代理人 棚井 澄雄  
代理人 小室 敏雄  
代理人 松沼 泰史  
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