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審決分類 |
審判 全部申し立て ただし書き3号明りょうでない記載の釈明 A63B 審判 全部申し立て (特120条の4,3項)(平成8年1月1日以降) A63B 審判 全部申し立て ただし書き1号特許請求の範囲の減縮 A63B 審判 全部申し立て 3項(134条5項)特許請求の範囲の実質的拡張 A63B 審判 全部申し立て 2項進歩性 A63B |
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管理番号 | 1325826 |
異議申立番号 | 異議2016-700122 |
総通号数 | 208 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2017-04-28 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2016-02-12 |
確定日 | 2016-10-06 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第5764044号発明「ゴルフスイングの計測解析システム、計測解析装置、ゴルフクラブ及び計測解析方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第5764044号の明細書、及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書、及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔7?9〕について、訂正することを認める。 特許第5764044号の請求項7、及び8に係る特許を維持する。 特許第5764044号の請求項9に係る特許についての申立てを却下する。 |
理由 |
第1.手続の経緯 特許第5764044号の請求項7?9に係る特許についての出願は、平成23年11月10日に特許出願され、平成27年6月19日にその特許権の設定登録がされ、その後、その特許について、特許異議申立人ジュネスプロパティーズ株式会社により特許異議の申立てがされ、当審において平成28年4月18日付けで取消理由を通知し、その指定期間内である同年6月17日付けで意見書の提出及び訂正の請求がなされ、当審において同年6月22日付けで特許異議申立人に対して通知書を通知し、その指定期間内である同年7月25日付けで意見書の提出がなされたものである。 第2.訂正の適否についての判断 (1)訂正の内容 本件訂正請求による訂正の内容は以下のとおりである。 ア.訂正事項1 特許請求の範囲の請求項7の 「前記ゴルフクラブのシャフト軸上に少なくとも2つのシャフト用マーカーと」を、 「前記ゴルフクラブのシャフト軸上に少なくとも3つのシャフト用マーカーと」(下線は審決で付した。以下同じ。)と訂正する。 イ.訂正事項2 特許請求の範囲の請求項8の 「前記シャフト軸上に、少なくとも3つのシャフト用マーカーを有する、請求項7に記載のゴルフクラブ。」を、 「少なくとも3つの前記シャフト用マーカーのうち、前記ヘッドに最も近いシャフト用マーカーと、該シャフト用マーカーに最も近いシャフト用マーカーとの距離が、1200mm以内である、ことを特徴とする、請求項7に記載のゴルフクラブ。」と訂正する。 ウ.訂正事項3 特許請求の範囲の請求項9を削除する。 エ.訂正事項4 本件訂正前の明細書の段落【0015】の 「前記ゴルフクラブのシャフト軸上に少なくとも2つのシャフト用マーカーと」を、 「前記ゴルフクラブのシャフト軸上に少なくとも3つのシャフト用マーカーと」と訂正する。 (2)訂正の適否についての判断 ア.訂正事項1について 訂正事項1は、シャフト用マーカーに関して、その具体的に限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、訂正事項1は、願書に添付した明細書(段落【0043】)、特許請求の範囲(請求項7)又は図面に記載した事項の範囲において訂正をするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 イ.訂正事項2について 訂正事項2は、少なくとも3つのシャフト用マーカーに関して、ヘッドに最も近いシャフト用マーカーと、該シャフト用マーカーに最も近いシャフト用マーカーとの距離を具体的に限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、訂正事項1は、願書に添付した特許請求の範囲(請求項8)又は図面に記載した事項の範囲において訂正をするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 ウ.訂正事項3 上記訂正事項は、請求項9を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、また願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲において訂正をするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 エ.訂正事項4 訂正事項4は、訂正事項1により訂正する特許請求の範囲の記載と、明細書の記載とを整合させるためのものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 そして、訂正事項4は、願書に添付した明細書(段落【0043】)、特許請求の範囲(請求項7)又は図面に記載した事項の範囲において訂正をするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 オ.一群の請求項について これらの訂正は、一群の請求項ごとに請求されたものである。 また、訂正後の請求項7?9は、一群の請求項である。 (3)むすび 以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は特許法第120条の5第2項第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項、及び、同条第9項において準用する同法第126条第4項から第6項までの規定に適合するので、訂正後の請求項〔7-9〕について訂正を認める。 第3.特許異議の申立てについて (1)本件特許発明 本件訂正請求により訂正された訂正請求項7、及び8に係る発明は、その特許請求の範囲の請求項7、及び8に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。(以下、それぞれ「本件特許発明7」、「本件特許発明8」という。)。 なお、訂正前の請求項9に係る特許は、訂正により、削除された。 「【請求項7】 ゴルファがゴルフクラブによりゴルフボールを打撃するときのゴルフクラブの挙動を計測解析するゴルフスイングの計測解析に用いられるゴルフクラブであって、 前記ゴルフクラブのシャフト軸上に少なくとも3つのシャフト用マーカーと、前記ゴルフクラブのヘッド上に少なくとも1つのヘッド用マーカーと、前記シャフトから突出して設けられた治具上に少なくとも1つのシャフト回転用マーカーと、を有することを特徴とするゴルフクラブ。 【請求項8】 少なくとも3つの前記シャフト用マーカーのうち、前記ヘッドに最も近いシャフト用マーカーと、該シャフト用マーカーに最も近いシャフト用マーカーとの距離が、1200mm以内である、ことを特徴とする、請求項7に記載のゴルフクラブ。」 (2)取消理由の概要 当審において、訂正前の請求項7?9に係る特許に対して平成28年4月18日付けで特許権者に通知した取消理由は、要旨次のとおりである。 ア.請求項7に係る発明は、甲1、及び7号証に記載された発明、並びに周知技術(例えば、甲2?6号証参照。)に基づき、容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、同項に係る特許は、取り消されるべきものである。 イ.請求項8に係る発明は、甲1、6、及び7号証に記載された発明、並びに周知技術(例えば、甲2?6号証参照。)に基づき、容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、同項に係る特許は、取り消されるべきものである。 ウ.請求項9に係る発明は、甲1、及び6?8号証に記載された発明、並びに周知技術(例えば、甲2?6号証参照。)に基づき、容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、同項に係る特許は、取り消されるべきものである。 (3)甲各号証の記載 ア.甲1号証 甲1号証(特開2005-218783号公報)には、次の事項が記載されている。(下線は審決で付した。以下同じ。) (ア)「ゴルファーが把持するゴルフクラブのシャフト上に少なくとも2つのシャフト軸線用マークを取り付けていると共に、シャフトから直交方向に突設された突出軸にシャフト回転用マークを取り付け、かつ、上記ゴルファーには手首関節の位置を特定する手首用マークおよび肘関節の位置を特定する肘用マークを付しており、 上記ゴルファーが上記ゴルフクラブをスイングする際のスイング動画像を撮影する撮影手段と、該撮影手段で撮影されたスイング動画像を取り込むコンピュータとを備え、 上記コンピュータにより上記スイング動画像での上記シャフト軸線用マーク、上記シャフト回転用マーク、上記手首用マークおよび上記肘用マークのスイング中の位置座標を認識し、 上記シャフト軸線用マークおよび上記シャフト回転用マークを含む平面と、 上記手首用マークにより特定された手首関節、上記肘用マークにより特定された肘関節および上記シャフト軸線用マークを含む平面とのなす角度を算出して上記手首関節の一方向の回転角とみなし、 上記ゴルファーのスイング動作中の手首関節の動きを解析可能とすることを特徴とするゴルフスイング計測システム。」(【請求項1】) 「本発明は、ゴルフスイング計測システムおよびゴルフクラブに関し、詳しくは、ゴルファーのスイング動作を計測するためのものである。」(段落【0001】) (イ)「ゴルファー23が把持するゴルフクラブ24は、図1に示すように、シャフト25上に取り付けた2つのシャフト軸線用マークQ1、Q2と、シャフト25から直交方向に突設された突出軸27の先端に取り付けたシャフト回転用マークQ3と、シャフト25に対して直交方向で且つ突出軸27に対して直交する方向に突設された第2の突出軸28の先端に取り付けたシャフト回転用マークQ4とを備えている。」(段落【0020】) これらの記載を総合すると、甲1号証には、次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されているものと認められる。 「ゴルファーのスイング動作中の手首関節の動きを解析可能とするゴルフスイング計測システムに用いられるゴルファーのスイング動作を計測するためのゴルフクラブであって、 シャフト25上に取り付けた2つのシャフト軸線用マークQ1、Q2と、シャフト25から直交方向に突設された突出軸27の先端に取り付けたシャフト回転用マークQ3と、シャフト25に対して直交方向で且つ突出軸27に対して直交する方向に突設された第2の突出軸28の先端に取り付けたシャフト回転用マークQ4とを備えているゴルフクラブ。」 イ.甲6号証 甲6号証(特開2004-195240号公報)には、次の事項が記載されている。 (ア)「本発明は、所定の視野内で動くクラブとボールのデータを測定するためのモニターシステムにも着眼している。本システムは、少なくとも1つの、所定の視野に向けられたフィルタを備えたカメラを含んでいる。各カメラは、所定の視野内で少なくとも2つのクラブの画像を得、更に所定の視野内で少なくとも2つのボールの画像を得る。本システムは、クラブ画像からクラブの運動データを求め、ボール画像からボールの運動データを求めるコンピュータを更に含んでいる。」(段落【0013】) (イ)「限定するものではないが、図5に示すもう1つの例は、クラブヘッド74、ホーゼル76、及びシャフト78を備えたゴルフクラブ72を含んでいる。3つの反射マーカー72a-cがクラブ上の指定の箇所に配置されており、72aはクラブヘッド74のトウにあり、72bはホーゼル76の自由端にあり、72cはシャフト78にある。代わりに、2つのマーカーをトウに、1つをホーゼルに配置してもよいし、又は1つのマーカーをトウに、2つのマーカーをホーゼルに配置してもよい。ゴルフボール又はゴルフクラブのマーカー配置は、マーカーが光を反射してカメラシステムに返すことができるのであれば、どの様な配置でもよい。」(段落【0044】) (ウ)「ステップS107では、システムはステップS106でのマーカーの識別を使って、画像内の各マーカーの中心の位置を求める。各マーカーの中心位置が判明すると、システムは、ゴルフクラブの速度、ロフトアングル、アタックアングル、パスアングル、フェースアングル、ドループアングル、ロフトスピン、フェーススピン、ドループスピン、及びヒット位置を計算することができる。更に、本システムは、ボール速度、打ち出し角度、バックスピン、サイドアングル、サイドスピン、ライフルスピン、キャリー距離、方向、キャリー及びロール距離を計算することができる。画像分析に関する詳しい情報は、米国特許出願第09/782、278号に記載されている。」(段落【0080】) (エ)上記(ア)、及び(ウ)には、コンピュータにより、所定の視野内で動くクラブのクラブ画像からクラブの運動データを求めていることが示されているから、クラブは、ゴルファがクラブによりボールを打撃するときのクラブの挙動を計測解析するゴルフスイングの計測解析に用いられるものといえる。 上記の記載を総合すると、甲6号証には、次の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されているものと認められる。 「ゴルファがクラブによりボールを打撃するときのクラブの挙動を計測解析するゴルフスイングの計測解析に用いられるクラブであって、 3つの反射マーカー72a-cがクラブ上の指定の箇所に配置されており、72aはクラブヘッド74のトウにあり、72bはホーゼル76の自由端にあり、72cはシャフト78にあるクラブ。」 (4)判断 ア.本件特許発明7について (ア)対比 本件特許発明7と引用発明1とを対比すると、 後者における「ゴルファー」は、その構造、機能、作用等からみて、前者における「ゴルファ」に相当し、以下同様に、「シャフト25」は「シャフト」に、「シャフト軸線用マークQ1、Q2」は「シャフト用マーカー」に、「突出軸27、28」は「治具」に、「シャフト回転用マークQ3、Q4」は「シャフト回転用マーカー」に、それぞれ相当する。 また、後者における「ゴルフクラブ」は、ゴルファーのスイング動作中の手首関節の動きを解析可能とするゴルフスイング計測システムに用いられるゴルファーのスイング動作を計測するためのものであるから、「ゴルファーがゴルフクラブによりゴルフボールを打撃するときのゴルフクラブの挙動を計測解析するゴルフスイングの計測解析に用いられる」ものといえる。 したがって、両者は、 「ゴルファがゴルフクラブによりゴルフボールを打撃するときのゴルフクラブの挙動を計測解析するゴルフスイングの計測解析に用いられるゴルフクラブであって、 前記ゴルフクラブのシャフト軸上にシャフト用マーカーと、前記シャフトから突出して設けられた治具上に少なくとも1つのシャフト回転用マーカーと、を有するゴルフクラブ。」 の点で一致し、以下の点で相違している。 [相違点1] 本件特許発明7においては、「少なくとも3つの」シャフト用マーカーを有するのに対し、引用発明1においては、2つのシャフト軸線用マークQ1、Q2しか備えていない点。 [相違点2] 本件特許発明7においては、「ゴルフクラブのヘッド上に少なくとも1つのヘッド用マーカー」を有するのに対し、引用発明1においては、その点を備えていない点。 (イ)判断 上記相違点2について以下検討する。 まず、上記相違点2に係る本件特許発明7の発明特定事項の技術的意義について検討する。 本件訂正後の明細書(以下「本件訂正明細書」という。)には、「また、本発明によるゴルフスイングの計測解析システムにおいて、前記ゴルフクラブは、前記シャフト又は前記グリップ上に、少なくとも3つのシャフト用マーカーを有し、前記ベクトル算出部は、少なくとも3つの前記シャフト用マーカーのうち前記ヘッドから遠い順に2つのシャフト用マーカーの位置情報と、前記シャフト回転用マーカーの位置情報とを用いて前記第1ベクトルを算出し、前記シャフト用マーカーのうち前記ヘッドに近い順に2つのシャフト用マーカーの位置情報と、前記ヘッド用マーカーの位置情報とを用いて前記第2ベクトルを算出することが好ましい。」(段落【0012】)、「ここで、シャフト15のしなりの影響を除去するためには、シャフト軸上に、少なくとも3つのシャフト用マーカーを有し、シャフト15の上部及び下部に対応する、少なくとも2つのシャフト軸ベクトルを算出することが可能であればよい。このような、少なくとも3つのシャフト用マーカーを有するゴルフクラブを用いた計測を行うことで、剛性が比較的低い、すなわち、しなりやすいゴルフクラブについても、ヘッド挙動とシャフト挙動の相対関係を計測解析することが可能となる。」(段落【0043】)と記載されているように、シャフト15のしなりの影響を除去するために、少なくとも3つのシャフト用マーカーのうちヘッドから遠い順に2つのシャフト用マーカーの位置情報、及び前記ヘッドに近い順に2つのシャフト用マーカーの位置情報により、少なくとも2つのシャフト軸ベクトルを算出して、シャフト15のしなりの影響を除去することが示されているから、ヘッドから遠い順に2つのシャフト用マーカー、及び前記ヘッドに近い順に2つのシャフト用マーカーは、それぞれ技術的に一体不可分の発明特定事項といえ、つまり上記相違点2に係る本件特許発明7の発明特定事項(シャフト用マーカーが、「少なくとも3つ」有する点。)は、技術的に一体不可分の発明特定事項といえる。 引用発明2は、上記「(3)イ.」のとおりであって、引用発明2における「クラブ」は、その構造、機能、作用等からみて、本件特許発明7における「ゴルフクラブ」に相当し、以下同様に、「ボール」は「ゴルフボール」に、「(シャフト78にある)反射マーカー72c」は「シャフト用マーカー」に、それぞれ相当する。 してみると、引用発明2のシャフト78に設けられた反射マーカー72c(シャフト用マーカー)は、1つであるから、上記相違点2に係る本件特許発明7の発明特定事項を備えるものではない。 また、引用発明1の2つのシャフト軸線用マークQ1、Q2(2つのシャフト用マーカー)に引用発明2の反射マーカー72c(1つのシャフト用マーカー)を付加すれば、3つのシャフト用マーカーを有することになるが、上記のとおり、上記相違点2に係る本件特許発明7の発明特定事項であるシャフト用マーカーが、「少なくとも3つ」有する点は、技術的に一体不可分の発明特定事項であるから、上記相違点2に係る本件特許発明7の発明特定事項を構成することにはならない。 また、引用発明1の2つのシャフト軸線用マークQ1、Q2は、ゴルファーのスイング動作中の手首関節の動きを解析するためのであり、引用発明2の反射マーカー72cは、ゴルフクラブの速度、ロフトアングル、フェースアングル等を解析するためのである。してみると、両者は、解析対象、及び課題が異なっているから、引用発明1に引用発明2を適用することは、当業者が容易に想到し得るものではない。 また、甲7号証には、「なお、グリップ部とヘッド部にそれぞれセンサを設置するのは、スイング時のシャフトの撓りや捩れに配慮したものである。撓りや捩れにより位置関係が変化するグリップ部とヘッド部にそれぞれセンサを配することで、スイング時のゴルフクラブの挙動をより精度よく検出することができる。」(段落【0024】)、「また、ゴルフのクラブは、シャフトの材質に応じて撓りや捩れが生じるため、グリップ部とヘッド部との位置関係が変化するが、本実施形態によれば、グリップ部とヘッド部とにセンサが設置されているので、撓りや捩れに関らず、より正確に、スイング挙動を検出し、評価することができる。」(段落【0054】)と記載されているように、ゴルフクラブのスイング時は、シャフトの材質に応じて撓りや捩れが生じて、グリップ部とヘッド部との位置関係が変化するが、グリップ部とヘッド部とにセンサを設置することにより、撓りや捩れに関らず、より正確に、スイング挙動を検出し、評価することができることが示されている(以下「甲7号証に記載の事項」という。)が、スイング時、グリップ部とヘッド部との位置関係が変化することが示されているのみであって、本件特許発明7の「ゴルフクラブのシャフトの挙動及びヘッドの挙動の相対関係を計測解析する」という課題が示されているとはいえない。 さらに、引用発明1は、本件特許発明7が有する「ヘッド用マーカー」を備えるものではないから、ゴルフクラブのシャフトの挙動及びヘッドの挙動の相対関係を計測解析することはできない。してみると、引用発明1において、本件特許発明7の上記課題が、自明の課題ということはできない。 したがって、甲7号証に記載の事項を踏まえても、引用発明1に引用発明2を適用することは、当業者が容易に想到し得るものではない。 そして、他の証拠である甲2?5、及び7?9号証にも、上記相違点2に係る本件特許発明7の発明特定事項を備えるものではない。 また、上記相違点2に係る本件特許発明7の発明特定事項が、当業者にとって設計事項とする根拠もない。 しかも、本件特許発明7は、上記相違点2に係る本件特許発明7の発明特定事項を具備することにより、本件訂正明細書に記載の「少なくとも3つのシャフト用マーカーを有するゴルフクラブを用いた計測を行うことで、剛性が比較的低い、すなわち、しなりやすいゴルフクラブについても、ヘッド挙動とシャフト挙動の相対関係を計測解析することが可能となる」(段落【0043】)という作用効果を奏するものである。 したがって、引用発明1において、上記相違点2に係る本件特許発明7の発明特定事項を備えるものとすることについて、当業者が容易に想到し得るものではない。 よって、上記相違点1を検討するまでもなく、本件特許発明7は、引用発明1、及び2、甲7号証に記載の事項、並びに周知技術(例えば、甲2?6号証参照。)に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。 イ.本件特許発明8について 本件特許発明8は、本件特許発明7の発明特定事項に加えてさらなる発明特定事項を追加して限定を付したものであるから、本件特許発明8は、上記「ア.」と同様の理由により、引用発明1、及び2、甲7号証に記載の事項、甲8号証に記載の発明、並びに周知技術(例えば、甲2?6号証参照。)に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。 (5)むすび 以上のとおりであるから、上記取消理由によっては、本件特許発明7、及び8に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件特許発明7、及び8に係る特許を取り消すべき理由をを発見しない。 また、請求項9に係る特許は、訂正により、削除されたため、本件特許の請求項9に対して、特許異議申立人がした特許異議の申立てについては、対象となる請求項が存在しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 ゴルフスイングの計測解析システム、計測解析装置、ゴルフクラブ及び計測解析方法 【技術分野】 【0001】 本発明は、ゴルフスイング時のゴルフクラブヘッドの挙動の計測解析システム、計測解析装置、ゴルフクラブ及び計測解析方法に関するものである。 【背景技術】 【0002】 一般的に、ゴルファがボールを真直ぐに飛ばすことを意図して、ゴルフクラブをスイングして、ゴルフボールを打撃した(ショットした)場合に、ゴルフボールの飛行方向が比較的真直ぐであり、曲がらない(曲がりにくい)ことが望ましい。特に、各ゴルファが、適切なゴルフクラブを用いることで、そのような望ましいショットが比較的容易に可能となりうる。ショットによるゴルフボールの飛行方向は、ゴルフスイングにおけるバックスピン量や打ち出し角その他の様々な要因に影響される。 【0003】 そこで、従来、ゴルファのゴルフスイング動作を計測するための様々な方法が研究されてきた(例えば、特許文献1参照)。特許文献1によれば、少なくとも2つのシャフト軸線用マーク(以下、マーカー)が取り付けられると共に、シャフトから直交方向に突設された治具にシャフト回転用マーカーが取り付けられたシャフトを有するゴルフクラブを用いてゴルファのゴルフスイングが計測される。 【0004】 さらに、従来、ゴルファのゴルフスイング動作時にゴルフクラブのシャフトの動的挙動を評価する評価方法が研究されてきた(例えば、特許文献2参照)。特許文献2によれば、歪ゲージ等を用いてゴルフスイング中のシャフト上の2点に生じるひずみの時刻歴データを用いて相互相関関数を導出し、当該相互相関関数により実際のゴルフスインク時のシャフトのしなり、ねじれ等のシャフトの動的な挙動の評価を行うことが可能となる。 【先行技術文献】 【特許文献】 【0005】 【特許文献1】特開2005-218783号公報 【特許文献2】特開2003-102886号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0006】 しかしながら、ゴルフボールの飛行方向は、シャフトのしなりやねじれだけではなく、ゴルフクラブのヘッド(以下、単にヘッドと称する)がゴルフボールを打撃する際(インパクト)の、ヘッドの挙動に大きく影響を受けることが知られている。そして、ゴルフスイング中のヘッドの挙動には、ヘッドの重さや重心位置、ゴルフスイングの加速度、及びシャフトのしなりやねじれ等の様々な要因が複合的に影響する。さらに、ヘッドの回転などのヘッドの挙動に起因して、シャフトにしなりやねじれが生じることもある。このような、ヘッドの回転などのヘッドの挙動と、シャフトのしなりやねじれなどのシャフトの挙動との相対関係については、これまで考慮されてこなかった。 【0007】 つまり、特許文献1に示されているような、シャフト軸上及びシャフトから突出した治具上にマーカーを有するゴルフクラブを用いたとしても、シャフトのしなりやねじれ自体は計測できるが、シャフトの挙動及びヘッドの挙動の相対関係を解析評価することはできなかった。さらには、特許文献2に示されているようなゴルフクラブのシャフトの動的挙動を評価する評価方法によっても、ゴルフスイング時のシャフト自体の動的挙動の計測解析が実現されるに過ぎず、シャフトの挙動及びヘッドの挙動の相対関係を解析評価することはできなかった。また、特許文献2にかかる評価方法では、ゴルフクラブに接続される計測用のケーブル等が必要で、被験者本来のゴルフスイングができなかった。 【0008】 そこで、かかる点に鑑みてなされた本発明の目的は、被験者本来ゴルフスイングを計測し、シャフトの挙動及びヘッドの挙動の相対関係を計測解析することができる、ゴルフスイングの計測解析システム、計測解析装置、ゴルフクラブ及び計測解析方法を提供することである。 【課題を解決するための手段】 【0009】 上記目的を達成するため、本発明による計測解析システムは、ゴルファがゴルフクラブによりゴルフボールを打撃するときのゴルフクラブの挙動を計測解析するゴルフスイングの計測解析システムであって、ゴルフクラブのシャフト軸上に少なくとも2つのシャフト用マーカーと、前記ゴルフクラブのヘッド上に少なくとも1つのヘッド用マーカーと、前記シャフトから突出して設けられた治具上に少なくとも1つのシャフト回転用マーカーと、を有するゴルフクラブと、前記ゴルフクラブを用いたゴルフスイングを撮像する、少なくとも2台のカメラと、前記各マーカーを認識し、認識された各マーカーの位置情報を取得するマーカー認識位置情報取得部、取得された前記位置情報から前記シャフトの回転を表す第1ベクトル、及び前記ヘッドの回転を表す第2ベクトルを算出するベクトル算出部、並びに前記第1ベクトルと前記第2ベクトルとがなすベクトル角を算出するヘッド挙動取得部を有する計測解析装置と、を備えることを特徴とするものである。 【0010】 また、本発明によるゴルフスイングの計測解析システムにおいて、前記ヘッド挙動取得部は、前記第1ベクトルと前記第2ベクトルとがなすベクトル角の経時変化を取得することが好ましい。 【0011】 また、本発明によるゴルフスイングの計測解析システムにおいて、前記ベクトル算出部は、前記シャフト用マーカー及び前記シャフト回転用マーカーの位置情報から前記第1ベクトルを算出し、前記シャフト用マーカー及び前記ヘッド用マーカーの位置情報から前記第2ベクトルを算出することが好ましい。 【0012】 また、本発明によるゴルフスイングの計測解析システムにおいて、前記ゴルフクラブは、前記シャフト又は前記グリップ上に、少なくとも3つのシャフト用マーカーを有し、前記ベクトル算出部は、少なくとも3つの前記シャフト用マーカーのうち前記ヘッドから遠い順に2つのシャフト用マーカーの位置情報と、前記シャフト回転用マーカーの位置情報とを用いて前記第1ベクトルを算出し、前記シャフト用マーカーのうち前記ヘッドに近い順に2つのシャフト用マーカーの位置情報と、前記ヘッド用マーカーの位置情報とを用いて前記第2ベクトルを算出することが好ましい。 【0013】 また、本発明によるゴルフスイングの計測解析システムにおいて、少なくとも3つの前記シャフト用マーカーのうち、前記ヘッドに最も近いシャフト用マーカーと、該シャフト用マーカーに最も近い前記シャフト用マーカーとの距離が、1200mm以内であることが好ましい。 【0014】 上記目的を達成するため、本発明による計測解析装置は、ゴルファがゴルフクラブによりゴルフボールを打撃するときのゴルフクラブの挙動を計測解析するゴルフスイングの計測解析装置であって、ゴルフクラブのシャフト軸上に少なくとも2つのシャフト用マーカーと、前記ゴルフクラブのヘッド上に少なくとも1つのヘッド用マーカーと、前記シャフトから突出して設けられた治具上に少なくとも1つのシャフト回転用マーカーと、を有するゴルフクラブのゴルフスイングを撮像した画像を、少なくとも2台のカメラから取得する画像取得部と、前記各マーカーを認識し、認識された各マーカーの位置情報を取得するマーカー認識位置情報取得部と、取得された前記位置情報から前記シャフトの回転を表す第1ベクトル、及び前記ヘッドの回転を表す第2ベクトルを算出するベクトル算出部と、 前記第1ベクトルと前記第2ベクトルとがなすベクトル角を算出するヘッド挙動取得部と、を含むことを特徴とするものである。 【0015】 上記目的を達成するため、本発明によるゴルフクラブは、ゴルファがゴルフクラブによりゴルフボールを打撃するときのゴルフクラブの挙動を計測解析するゴルフスイングの計測解析に用いられるゴルフクラブであって、前記ゴルフクラブのシャフト軸上に少なくとも3つのシャフト用マーカーと、前記ゴルフクラブのヘッド上に少なくとも1つのヘッド用マーカーと、前記シャフトから突出して設けられた治具上に少なくとも1つのシャフト回転用マーカーと、を有することを特徴とするものである。 【0016】 上記目的を達成するため、ゴルファがゴルフクラブによりゴルフボールを打撃するときのゴルフクラブの挙動を計測解析するゴルフスイングの計測解析方法であって、ゴルフクラブのシャフト軸上に少なくとも2つのシャフト用マーカーと、前記ゴルフクラブのヘッド上に少なくとも1つのヘッド用マーカーと、前記シャフトから突出して設けられた治具上に少なくとも1つのシャフト回転用マーカーと、を有するゴルフクラブのゴルフスイングを撮像した画像を、少なくとも2台のカメラから取得するステップと、前記各マーカーを認識し、認識された各マーカーの位置情報を取得するステップと、取得された前記位置情報から前記シャフトの回転を表す第1ベクトル、及び前記ヘッドの回転を表す第2ベクトルを算出するステップと、前記第1ベクトルと前記第2ベクトルとがなすベクトル角を算出するステップとを含むことを特徴とするものである。 【発明の効果】 【0017】 本発明によれば、ゴルファ本来のゴルフスイングを計測し、ゴルフクラブのシャフトの挙動及びヘッドの挙動の相対関係を計測解析することができる。 【図面の簡単な説明】 【0018】 【図1】 本発明の一実施の形態に係るゴルフスイング時のゴルフクラブの挙動の計測解析システムの概略図である。 【図2】 図1に示すシステムにおけるゴルフクラブの挙動の計測解析装置の概略構成を示す機能ブロック図である。 【図3】 本実施形態によるゴルフスイング時のゴルフクラブの挙動の計測解析方法を説明するためのフローチャートである。 【図4】 本実施形態に係るゴルフスイングの計測解析システムで使用する、マーカーを有するゴルフクラブの一例を示す図である。 【図5】 図2に示すベクトル算出部の機能を説明するための図である。 【図6】 図2に示すヘッド挙動取得部の機能を説明するための図である。 【図7】 本実施形態によるゴルフスイングの計測解析システムで使用する、ゴルフクラブの他の一例を示す図である。 【図8】 図2に示すベクトル算出部の機能を説明するための図である。 【図9】 ヘッド及びシャフトの回転の相対関係の経時変化を説明する図である。 【発明を実施するための形態】 【0019】 以下、本発明による一実施形態のゴルフスイング時のゴルフクラブの挙動の計測解析システム及び計測解析方法について図面を参照して説明する。図1は、本発明による一実施形態のゴルフスイング時のゴルフクラブの挙動の計測解析システムの概略図である。図1に示す計測解析システム1は、被験者(ゴルファ)4がゴルフクラブ5によりゴルフボールを打撃するときのゴルフスイングの画像(映像)を取得するための撮像装置である第1カメラ2A及び第2カメラ2Bと、取得した画像から、ゴルフスイング時のゴルフクラブの挙動を計測解析するための計測解析装置3と、被験者4により使用されるゴルフクラブ5と、を備える。 【0020】 計測解析システム1は、図4を参照して後述するゴルフクラブ5に付されたマーカーM1?M4の3次元座標を取得するために、少なくとも2台のカメラである第1カメラ2A及び第2カメラ2Bを備える。第1カメラ2Aおよび第2カメラ2Bは、例えば、モーションキャプチャカメラやハイスピードカメラである。計測解析システム1が備えるカメラの台数は2台に限られず、3台以上のカメラを用いることももちろん可能である。第1カメラ2A及び第2カメラ2Bは、ゴルフスイング軌跡を3次元計測するための映像を取得できるように、所定間隔相互に離間して配置する。また、第1カメラ2A及び第2カメラ2Bは、被験者4によるゴルフスイング中のゴルフクラブ5のヘッドを撮像できるように、被験者4から適宜離間して配置する。 【0021】 図2は、計測解析装置3の概略構成を示す機能ブロック図である。計測解析装置3は、第1カメラ2A及び第2カメラ2Bから、インタフェース(I/F)6A及び6Bを介してゴルフスイングの映像を取得し、演算を行う演算部7と、計測解析装置3全体を制御する制御部8とを備える。計測解析装置3は、演算部7による演算結果等を表示する表示部9、及び演算部7による演算結果を格納するデータベース10に接続される。計測解析装置3の演算部7は、マーカー認識位置情報取得部11、ベクトル算出部12、及び、ヘッド挙動取得部13を備える。計測解析装置3は例えば、CPU(Central Processing Unit)を有するパーソナルコンピュータ等によって構成される。 【0022】 マーカー認識位置情報取得部11は、各マーカーM1?M4を認識し、認識された各マーカーM1?M4の位置情報を取得する。具体的には、マーカー認識位置情報取得部11は、第1カメラ2A及び第2カメラ2Bから取得された映像データから抽出した任意の数のフレームについて、ゴルフクラブ5に付されたマーカーM1?M4を、例えばサークルフィッティング法によって認識し、マーカーM1?M4の各中心位置について、例えば三角測量法により3次元座標を取得する。以下、マーカーM1?M4の各中心位置の3次元座標を、位置情報と称する。 【0023】 ベクトル算出部12は、マーカー認識位置情報取得部11によって取得されたマーカーM1?M4の位置情報に基づいて、シャフト軸の回転を示す第1ベクトルと、ヘッドの回転を示す第2ベクトルとを算出する。第1ベクトル及び第2ベクトルの算出方法については図5を参照して後述する。 【0024】 ヘッド挙動取得部13は、第1ベクトルと第2ベクトルとがなすベクトル角を算出する。このベクトル角は、シャフトの回転とヘッドの回転との相対関係を示す値である。さらに、ヘッド挙動取得部13は、所定の角度値からの変化量を取得することができる。ここで、所定の角度値とは、例えばゴルフスイングを行っていない状態、すなわち初期状態で第1ベクトルと第2ベクトルとがなすベクトル角の値である。さらに、ヘッド挙動取得部13は、ゴルフスイング中の第1ベクトルと第2ベクトルとがなすベクトル角を経時的に算出して、シャフトの回転とヘッドの回転の相互関係を考慮した経時的なヘッド挙動を取得することもできる。第1ベクトル及び第2ベクトルの関係については図6を参照して後述する。 【0025】 図3は、本実施の形態によるゴルフスイング時のゴルフクラブの挙動の計測解析方法を説明するためのフローチャートである。図2に示した制御部8は、インタフェース(I/F)6A及び6Bを介して、第1カメラ2A及び第2カメラ2Bから取得した映像を、記憶部(図示しない)等に格納するように制御する(ステップS01)。 【0026】 次に、制御部8は、演算部7のマーカー認識位置情報取得部11を制御して、マーカーM1?M4を認識し、認識したマーカーM1?M4の位置情報を算出する(ステップS02)。制御部8は、ステップS01にて記憶部(図示しない)に格納された映像(動画像)に含まれる各画像(フレーム)を任意で抽出して、抽出した各画像についてマーカーM1?M4を認識し、位置情報の算出を繰り返すように、演算部7のマーカー認識位置情報取得部11を制御する。 【0027】 そして、制御部8は、演算部7のベクトル算出部12を制御して、ステップS02にてマーカー認識位置情報取得部12によって取得された、マーカーM1?M4の各位置情報に基づいて、第1ベクトル及び第2ベクトルを算出する(ステップS03)。さらに、制御部8は、演算部7のヘッド挙動取得部13を制御して、第1ベクトルと第2ベクトルとがなすベクトル角を算出し、その値をシャフトの回転とヘッドの回転との相対関係を考慮したヘッド挙動のデータとして取得する(ステップS04)。ここで、ヘッド挙動取得部13は、第1ベクトルと第2ベクトルとがなすベクトル角の経時変化を、シャフトの回転とヘッドの回転との相対関係を考慮したヘッド挙動のデータとして取得することもできる。そして、制御部8は、データベース10にヘッド挙動取得部13が取得したヘッド挙動のデータを格納する。 【0028】 図4は、図1に示す計測解析システムでゴルファが使用するマーカーを有するゴルフクラブの一例を示す図である。ゴルフクラブ5は、シャフト軸上、すなわちシャフト15及びグリップ14の中心軸上に、少なくとも2つのシャフト用マーカーである、シャフト用マーカーM1及びM3と、ヘッド16上の少なくとも1つのヘッド用マーカーであるヘッド用マーカーM4と、シャフト15から突出して設けられた治具17上の少なくとも1つのシャフト回転用マーカーであるシャフト回転用マーカーM2と、を有する。マーカーM1?M4は、回転楕円体形、好ましくは球形である。マーカーM1?M4は、例えば、反射テープで表面を覆われている。反射テープ以外であっても、第1カメラ2A及び第2カメラ2Bによって撮影された画像上で周囲の画素とのコントラストが所定値以上となるような素材によって、マーカーM1?M4を被覆することもできる。 【0029】 図4に示すように、シャフト用マーカーM1はゴルフクラブ5のグリップ14の先端に取り付けられている。シャフト用マーカーM1の位置は、被験者によるゴルフスイングを阻害しない位置であって、ゴルフクラブ5全体から見て上部に配置されていれば良く、必ずしもグリップ端に限られない。シャフト回転用マーカーM2はシャフト15に突設された治具17の先端に取り付けられている。シャフト用マーカーM3はシャフト15のヘッド側、すなわちシャフト15の下部に取り付けられており、ヘッド用マーカーM4はヘッド16の上面に取り付けられている。治具の先端に取り付けられたシャフト回転用マーカーM2の中心からシャフト軸までの長さは、例えば、50mm未満であるが、この限りではない。ただし、治具の長さが長すぎると、ゴルフスイング中に治具自体にしなりが生じてしまい、計測精度に悪影響を及ぼす場合もある。また、治具は例えばスチールなどの剛性が十分に高い素材で構成される。 【0030】 さらに、シャフト用マーカーM3の位置は、シャフト15の剛性、長さ、トルク値などに応じて様々に異ならせることができるが、例えば、シャフト15の下部(ヘッド16の付け根)から20mmの位置である。シャフト回転用マーカーM2はシャフト軸に対して、ヘッド用マーカーM4と所定値以上の角度をなすように設けられていればよく、例えば90度となるように設けられる。さらに、ヘッド用マーカーM4はヘッド16の上面であって、シャフト15から遠い端部付近に付されているが、この限りではない。次に、図5を参照して、ベクトル算出部12による第1ベクトル及び第2ベクトルの算出方法を詳述する。 【0031】 図5は、図2に示すベクトル算出部12の機能を説明するための図である。ベクトル算出部12は、シャフト用マーカーM1及びシャフト用マーカーM3の中心の3次元座標を通るベクトル(以下、「シャフト軸ベクトル」と称する)に対して垂直であり、且つ、シャフト回転用マーカーM2の中心の3次元座標を通るベクトルを、シャフトの回転(すなわち、シャフトのねじれ)を表す第1ベクトルV1として算出する。さらに、ベクトル算出部12は、上述のシャフト軸ベクトルに垂直であり、且つ、ヘッド用マーカーM4の中心3次元座標を通るベクトルをヘッドの回転を示す第2ベクトルV2として算出する。次に、図6を参照して、ヘッド挙動取得部13によるヘッド挙動取得方法を説明する。 【0032】 図6は、図2に示すヘッド挙動取得部13の機能を説明するための図である。図6は、ゴルフクラブ5を上から見た図であり、図中、右側がヘッド16のフェース面である。明確のためにグリップ14、第1シャフト用マーカーM1、第2シャフト用マーカーM3は図示しない。図6(A)は、ゴルフスイングを行っていない状態(すなわち、何らの力も加えられていない状態)のゴルフクラブ5に対応する図である。 【0033】 このとき、ヘッド16に付されたヘッド用マーカーM4及びシャフト回転用マーカーM2はシャフト15のシャフト軸を基準として、例えば、相互に90度となる位置関係にある。つまり、何らの力も加えられていない状態(初期状態)での第1ベクトルV1と、第2ベクトルV2との間のベクトル角は90度である。なお、初期状態でのベクトル角は90度に限られず、あらゆる任意の角度に設定可能である。ヘッド挙動取得部13は、ゴルフスイング中の第1ベクトルV1と第2ベクトルV2とのベクトル角を取得する。 【0034】 ゴルフスイング中、ヘッドは、ダウンスイングによって生じる力などに起因するスイング方向とは逆向きの慣性力の作用を受ける。これにより、ヘッド16は、図6(B)に示すようにスイング方向とは逆側に回転する。この回転により、シャフト15に図上時計回りの方向(すなわち、スイング方向とは逆方向)のねじれが生じるため、第1ベクトルV1と第2ベクトルV2とのベクトル角は狭まる。そして、ヘッド挙動取得部13は、第1ベクトルV1と第2ベクトルV2とのベクトル角を算出して、シャフトの回転とヘッドの回転との相対関係を考慮したヘッド挙動のデータとして取得する。さらに、ヘッド挙動取得部13は、初期状態での第1ベクトルV1と第2ベクトルV2とのベクトル角に対する、狭まったベクトル角の差分を初期状態に対するヘッドの変化量として算出することができる。具体的には、ヘッド挙動取得部13は、初期状態でのベクトル角が90度の場合には、ゴルフスイング中の第1ベクトルV1と第2ベクトルV2とのベクトル角と、90度との差分を初期状態に対するヘッドの変化量として算出することができる。 【0035】 他方、ヘッド16にはゴルフスイングにより生じる遠心力も作用し、ヘッド16の重心位置がゴルフスイングのスイング半径とスイング軌道とが交差する位置に移動するように力が作用し、この力により、図6(C)に示すようにヘッド16がスイング方向に回転する。この回転により、シャフト15に図上反時計回りの方向(すなわち、スイング方向)のねじれが生じるため、第1ベクトルV1と第2ベクトルV2とのベクトル角は広がる。この場合、ヘッド挙動取得部13は、広がったベクトル角と、初期状態でのベクトル角との差分を初期状態に対するヘッドの変化量として算出することができる。 【0036】 このように、ゴルフクラブ5には、ゴルフスイングによる慣性力や遠心力のほかに、これらに起因する回転方向の力や、被験者4の手首から入力される回転方向の力が作用する。このような回転方向(すなわち、ねじれ方向)の力をトルクという。トルクの大きさや、発生時点は、被験者4のゴルフスイングのタイプに応じて多様に異なる。このため、複数の被験者のゴルフスイングの傾向やタイプを把握するためには、これらの力のパターンを計測解析することは重要である。 【0037】 本発明の一実施形態によるゴルフスイングの計測解析システム及び計測解析方法によれば、上述のように、ゴルフクラブ5に少なくとも2つのシャフト用マーカーM1及びM3と、ヘッド用マーカーM4と、シャフト回転用マーカーM2を付して、ゴルフスイングを計測解析する。これにより、ゴルファによる実際のゴルフスイングにおける、シャフトのねじれのようなシャフトの挙動と、ヘッドの回転挙動との相対関係を計測解析することができる。 【0038】 図7は本実施形態によるゴルフスイングの計測解析システムで使用する、ゴルフクラブ5の他の一例を示す図である。ゴルフクラブ5は、図4を参照して説明したゴルフクラブ5と同様のマーカーM1?M4に加えて、更に2つのシャフト用マーカーである、シャフト用マーカーM5及びシャフト用マーカーM6を有する。各シャフト用マーカーの配置は、例えば、以下のようである。グリップ端にシャフト用マーカーM1が配置され、シャフト回転用マーカーの付された治具17から所定間隔(例えば、10?100mm程度)のシャフト上部にシャフト用マーカーM5が配置され、シャフト下部にシャフト用マーカーM3が配置され、シャフト用マーカーM3から所定間隔(例えば、1?550mm程度)離間してシャフト用マーカーM6が配置される。シャフト用マーカーM6とM3との距離が550mmよりも大きくなると、キックポイント(シャフトが大きく曲がる地点)の位置を含むこととなり、ヘッド用マーカーM4付近でのシャフト軸のベクトルに計測することができなくなり、計測精度が落ちてしまう。シャフト用マーカーM6とM3の間隔が1mmよりも小さくなると、光学計測の精度不足によりマーカーの識別が困難となり、計測精度が落ちてしまう。なお、ここでいう間隔(距離)とは、治具17の中心線やマーカーM1?M6の中心の間の距離ではなく、治具17やマーカーM1?M6の表面を基準とした距離を云う。 【0039】 なお、シャフト用マーカーM1の位置は、被験者によるゴルフスイングを阻害しない位置であって、ゴルフクラブ5全体から見て上部に配置されていれば良く、必ずしもグリップ端に限られない。さらに、シャフト用マーカーM5及びM6の位置は、例えば、ゴルフスイングにより印加される力と、シャフト15の長さや剛性に基づく片持ち梁モデルなどにより最適値を算出することも可能である。次に、図8を参照して、ゴルフクラブ5を用いる場合におけるベクトル算出部12による第1ベクトル及び第2ベクトルの算出方法を詳述する。 【0040】 図8は、図2に示すベクトル算出部12の機能を説明するための図である。ベクトル算出部12は、全てのシャフト用マーカーのうちヘッド16から遠い順に2つのシャフト用マーカーを選択して、第1シャフト軸ベクトルVS1を算出する。ここでは、ベクトル算出部12は、ヘッド16から最も遠いシャフト用マーカーM1の位置情報と、2番目に遠いシャフト用マーカーM5の位置情報とを用いて、第1シャフト軸ベクトルVS1を算出する。そして、ベクトル算出部12は、第1シャフト軸ベクトルVS1に垂直であり、且つ、シャフト回転用マーカーM2の中心3次元座標を通るベクトルを、シャフトの回転(すなわち、シャフトのねじれ)を表す第1ベクトルV1として算出する。 【0041】 さらに、ベクトル算出部12は、全てのシャフト用マーカーのうちヘッド16から近い順に2つのシャフト用マーカーを選択して、第2シャフト軸ベクトルVS2を算出する。ここでは、ベクトル算出部12は、シャフト用マーカーM6の位置情報とシャフト用マーカーM3の位置情報を用いて、第2シャフト軸ベクトルVS2を算出し、当該第2シャフト軸ベクトルVS2に垂直であり、且つ、ヘッド用マーカーM4の中心3次元座標を通るベクトルをヘッドの回転を示す第2ベクトルV2として算出する。そして、ヘッド挙動取得部13は、図6を参照して説明した方法によって、ヘッド挙動を取得する。 【0042】 図8に示すように、ゴルフクラブ5は、ゴルフスイング中、ダウンスイングからインパクトを経て、フォロースルーへと続く過程で、異なる方向にしなる。ゴルフクラブ5を用いて、第1シャフト軸ベクトルVS1及び第2シャフト軸ベクトルVS2を求めて、これらを用いて第1及び第2ベクトルV1及びV2を算出することで、ゴルフスイング時のシャフト15のしなりによる計測誤差を除去することが可能となる。すなわち、シャフト回転用マーカーM2とその付近におけるシャフト軸との位置関係と、ヘッド用マーカーM4とその付近におけるシャフト軸との位置関係をそれぞれ算出して、その結果同士を比較することでシャフト15のしなりの影響を除去することができる。 【0043】 ここで、シャフト15のしなりの影響を除去するためには、シャフト軸上に、少なくとも3つのシャフト用マーカーを有し、シャフト15の上部及び下部に対応する、少なくとも2つのシャフト軸ベクトルを算出することが可能であればよい。このような、少なくとも3つのシャフト用マーカーを有するゴルフクラブを用いた計測を行うことで、剛性が比較的低い、すなわち、しなりやすいゴルフクラブについても、ヘッド挙動とシャフト挙動の相対関係を計測解析することが可能となる。 【0044】 図9は、ヘッド及びシャフトの回転の相対関係の経時変化を説明する図である。ここでは、図1?3を参照して説明した本発明の一実施形態に係る計測解析装置及び計測解析方法を使用するにあたって、図7を参照して説明したようなシャフト軸上に4つのシャフト用マーカーM1、M3、M5、M6を有するゴルフクラブを利用して計測解析を行った。図9は、計測解析システム1により、被験者1及び被験者2のゴルフスイングを計測解析した結果を示す。図中、0時間の時点は、ゴルフクラブがゴルフボールを打撃した時点、すなわちインパクト時点である。角度は、ゴルフスイングのスイング方向に向かって回転する場合をプラスとし、スイング方向とは逆向きの回転をマイナスとしてプロットした。被験者1及び被験者2は、共に、ヘッド385ccの同一のゴルフクラブを用いてスイングを行った。図示のように、同一のゴルフクラブを用いたにもかかわらず、被験者1及び被験者2はかなり傾向の異なるヘッド挙動を示した。 【0045】 このことから、ゴルファによるゴルフスイングタイプの分類に当たって、本発明の一実施形態による計測解析装置及び計測解析方法を使用して計測解析可能な、ゴルフスイング時のヘッド挙動とシャフト挙動の相対関係に関するデータは、有益な指標となることが示された。さらに、このようなデータは、ゴルファによるゴルフスイングタイプを分類の指標としてのみならず、ゴルフクラブの開発にあたって、ヘッドのゴルフスイング時の性能を定量的に評価するための指標ともなりうる。このように、本発明の一実施形態による計測解析装置及び計測解析方法を使用して取得したデータは、ゴルファのゴルフスイングタイプの分類の精度を高めることで、ゴルファが適したゴルフクラブを選定することを支援することができる。同時に、そのようなデータは、ゴルファのゴルフスイングタイプに応じたゴルフクラブの開発を促進することができる。 【0046】 本発明の一実施形態について説明したが、特許請求の範囲において種々の変更を加えることができる。例えば、ここでは、計測解析装置3が表示部9及びデータベース10を備えるものとして示したが、これらの機能部は、計測解析装置3に対して外付けユニットとして構成することももちろん可能である。 【符号の説明】 【0047】 1 計測解析システム 2A、2B カメラ 3 計測解析装置 4 被験者 5 ゴルフクラブ M1、M3、M5、M6 シャフト用マーカー M2 シャフト回転用マーカー M4 ヘッド用マーカー 6A、6B インタフェース(I/F) 7 演算部 8 制御部 9 表示部 10 データベース 11 マーカー認識位置情報取得部 12 ベクトル算出部 13 ヘッド挙動取得部 15 シャフト 16 ヘッド 17 治具 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 ゴルファがゴルフクラブによりゴルフボールを打撃するときのゴルフクラブの挙動を計測解析するゴルフスイングの計測解析システムであって、 ゴルフクラブのシャフト軸上に少なくとも2つのシャフト用マーカーと、前記ゴルフクラブのヘッド上に少なくとも1つのヘッド用マーカーと、前記シャフトから突出して設けられた治具上に少なくとも1つのシャフト回転用マーカーと、を有するゴルフクラブと、 前記ゴルフクラブを用いたゴルフスイングを撮像する、少なくとも2台のカメラと、 前記各マーカーを認識し、認識された各マーカーの位置情報を取得するマーカー認識位置情報取得部、取得された前記位置情報から前記シャフトの回転を表す第1ベクトル、及び前記ヘッドの回転を表す第2ベクトルを算出するベクトル算出部、並びに前記第1ベクトルと前記第2ベクトルとがなすベクトル角を算出するヘッド挙動取得部を有する計測解析装置と、 を備えることを特徴とする、ゴルフスイングの計測解析システム。 【請求項2】 前記ヘッド挙動取得部は、前記第1ベクトルと前記第2ベクトルとがなすベクトル角の経時変化を取得することを特徴とする、請求項1に記載のゴルフスイングの計測解析システム。 【請求項3】 前記ベクトル算出部は、 前記シャフト用マーカー及び前記シャフト回転用マーカーの位置情報から前記第1ベクトルを算出し、 前記シャフト用マーカー及び前記ヘッド用マーカーの位置情報から前記第2ベクトルを算出することを特徴とする、 請求項1又は2に記載のゴルフスイングの計測解析システム。 【請求項4】 前記ゴルフクラブは、前記シャフト又は前記グリップ上に、少なくとも3つのシャフト用マーカーを有し、 前記ベクトル算出部は、 少なくとも3つの前記シャフト用マーカーのうち前記ヘッドから遠い順に2つのシャフト用マーカーの位置情報と、前記シャフト回転用マーカーの位置情報とを用いて前記第1ベクトルを算出し、 前記シャフト用マーカーのうち前記ヘッドに近い順に2つのシャフト用マーカーの位置情報と、前記ヘッド用マーカーの位置情報とを用いて前記第2ベクトルを算出する、 ことを特徴とする、請求項1?3のいずれか一項に記載のゴルフスイングの計測解析システム。 【請求項5】 少なくとも3つの前記シャフト用マーカーのうち、前記ヘッドに最も近いシャフト用マーカーと、該シャフト用マーカーに最も近い前記シャフト用マーカーとの距離が、1200mm以内であることを特徴とする、請求項4に記載のゴルフスイングの計測解析システム。 【請求項6】 ゴルファがゴルフクラブによりゴルフボールを打撃するときのゴルフクラブの挙動を計測解析するゴルフスイングの計測解析装置であって、 ゴルフクラブのシャフト軸上に少なくとも2つのシャフト用マーカーと、前記ゴルフクラブのヘッド上に少なくとも1つのヘッド用マーカーと、前記シャフトから突出して設けられた治具上に少なくとも1つのシャフト回転用マーカーと、を有するゴルフクラブのゴルフスイングを撮像した画像を、少なくとも2台のカメラから取得する画像取得部と、 前記各マーカーを認識し、認識された前記各マーカーの位置情報を取得するマーカー認識位置情報取得部と、 取得された前記位置情報から前記シャフトの回転を表す第1ベクトル、及び前記ヘッドの回転を表す第2ベクトルを算出するベクトル算出部と、 前記第1ベクトルと前記第2ベクトルとがなすベクトル角を算出するヘッド挙動取得部と、 を含むことを特徴とする、ゴルフスイングの計測解析装置。 【請求項7】 ゴルファがゴルフクラブによりゴルフボールを打撃するときのゴルフクラブの挙動を計測解析するゴルフスイングの計測解析に用いられるゴルフクラブであって、 前記ゴルフクラブのシャフト軸上に少なくとも3つのシャフト用マーカーと、前記ゴルフクラブのヘッド上に少なくとも1つのヘッド用マーカーと、前記シャフトから突出して設けられた治具上に少なくとも1つのシャフト回転用マーカーと、を有することを特徴とするゴルフクラブ。 【請求項8】 少なくとも3つの前記シャフト用マーカーのうち、前記ヘッドに最も近いシャフト用マーカーと、該シャフト用マーカーに最も近いシャフト用マーカーとの距離が、1200mm以内である、ことを特徴とする、請求項7に記載のゴルフクラブ。 【請求項9】 (削除) 【請求項10】 ゴルファがゴルフクラブによりゴルフボールを打撃するときのゴルフクラブの挙動を計測解析するゴルフスイングの計測解析方法であって、 ゴルフクラブのシャフト軸上に少なくとも2つのシャフト用マーカーと、前記ゴルフクラブのヘッド上に少なくとも1つのヘッド用マーカーと、前記シャフトから突出して設けられた治具上に少なくとも1つのシャフト回転用マーカーと、を有するゴルフクラブのゴルフスイングを撮像した画像を、少なくとも2台のカメラから取得するステップと、 前記各マーカーを認識し、認識された各マーカーの位置情報を取得するステップと、 取得された前記位置情報から前記シャフトの回転を表す第1ベクトル、及び前記ヘッドの回転を表す第2ベクトルを算出するステップと、 前記第1ベクトルと前記第2ベクトルとがなすベクトル角を算出するステップと、 を含むことを特徴とする、ゴルフスイングの計測解析方法。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
異議決定日 | 2016-09-27 |
出願番号 | 特願2011-246814(P2011-246814) |
審決分類 |
P
1
651・
841-
YAA
(A63B)
P 1 651・ 121- YAA (A63B) P 1 651・ 854- YAA (A63B) P 1 651・ 851- YAA (A63B) P 1 651・ 853- YAA (A63B) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 砂川 充 |
特許庁審判長 |
吉村 尚 |
特許庁審判官 |
藤本 義仁 黒瀬 雅一 |
登録日 | 2015-06-19 |
登録番号 | 特許第5764044号(P5764044) |
権利者 | 株式会社ブリヂストン ブリヂストンスポーツ株式会社 |
発明の名称 | ゴルフスイングの計測解析システム、計測解析装置、ゴルフクラブ及び計測解析方法 |
代理人 | 杉村 憲司 |
代理人 | 齋藤 恭一 |
代理人 | 冨田 和幸 |
代理人 | 吉田 憲悟 |
代理人 | 吉田 憲悟 |
代理人 | 吉田 憲悟 |
代理人 | 杉村 憲司 |
代理人 | 齋藤 恭一 |
代理人 | 杉村 憲司 |
代理人 | 杉村 憲司 |
代理人 | 富田 和幸 |
代理人 | 齋藤 恭一 |
代理人 | 吉田 憲悟 |
代理人 | 齋藤 恭一 |