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審決分類 審判 全部申し立て 特120条の4、2項訂正請求(平成8年1月1日以降)  F23L
審判 全部申し立て 2項進歩性  F23L
管理番号 1325838
異議申立番号 異議2016-700364  
総通号数 208 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2017-04-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2016-04-27 
確定日 2017-01-17 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第5800237号発明「廃棄物焼却炉及び廃棄物焼却方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第5800237号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1及び2について訂正することを認める。 特許第5800237号の請求項1及び2に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第5800237号の請求項1及び2に係る特許(以下、「本件特許」又は「請求項1及び2に係る特許」といい、それぞれを「請求項1に係る特許」などという。)についての出願(以下、「本件出願」という。)は、平成24年6月12日に特許出願され、平成27年9月4日にその特許権の設定登録がされ、その後、その特許について、平成28年4月27日に特許異議申立人 日高 賢治(以下、単に「申立人」という。)により特許異議の申立てがされ、平成28年7月12日付けで取消理由が通知され、その指定期間内である平成28年9月15日に特許権者JFEエンジニアリング株式会社(以下、「特許権者」という。)から意見書の提出及び訂正の請求(以下、「本件訂正請求」という。)がされ、平成28年10月4日付けで特許法第120条の5第5項に基づく訂正請求があった旨通知がされ、特許権者からの意見書及び本件訂正請求に対し、申立人から平成28年11月7日に意見書が提出されたものである。

第2 訂正の適否についての判断
1 訂正の内容
本件訂正請求による訂正(以下、「本件訂正」という。)の内容は、本件出願の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「特許明細書等」という。)における特許請求の範囲を、平成28年9月15日付けの訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1及び2について訂正することを求めるものであって、次の(1)及び(2)のとおりである。
(1)請求項1に係る訂正
ア 訂正事項1-A
特許請求の範囲の請求項1において、「後燃焼火格子は、廃棄物の移動方向長さが常温空気を供給する場合に比べて短く設定されており、」を追加する訂正をする(以下、「訂正事項1-A」という。)。
イ 訂正事項1-B
特許請求の範囲の請求項1において、「排ガス中酸素濃度の上記所定範囲の下限は、COスパイクが起きないような酸素濃度として定められ、上記所定範囲の上限は、焼却炉に供給される空気量が極力低空気比となるような酸素濃度として定められる、」を追加する訂正をする(以下、「訂正事項1-B」という。)。

(2)請求項2に係る訂正
ア 訂正事項2-A
特許請求の範囲の請求項2において、「高温空気供給手段により後燃焼火格子の下方から100?200℃の高温空気を供給し、」と記載されているのを、「廃棄物の移動方向長さが常温空気を供給する場合に比べて短く設定されている後燃焼火格子の下方から高温空気供給手段により100?200℃の高温空気を供給し、」に訂正する(以下、「訂正事項2-A」という。)。

イ 訂正事項2-B
特許請求の範囲の請求項2において、「排ガス中酸素濃度の上記所定範囲の下限は、COスパイクが起きないような酸素濃度として定められ、上記所定範囲の上限は、焼却炉に供給される空気量が極力低空気比となるような酸素濃度として定められる、」を追加する訂正をする(以下、「訂正事項2-B」という。)。

2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1)訂正事項1-Aについて
ア 訂正事項1-Aは、本件訂正前の請求項1に係る発明(特許明細書等における特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される発明)の発明特定事項である「後燃焼火格子」について、その構造を限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
イ また、訂正事項1-Aに関連する記載として、特許明細書等には、明細書の段落【0023】における「また、高温空気により、後燃焼火格子の廃棄物の未燃分が効率よく燃焼されるため、常温空気を供給する場合に比べて、後燃焼火格子上での未燃分の後燃焼に必要な時間を短くすることができ、後燃焼火格子の面積を縮小することができる。」という記載及び明細書の段落【0035】における「本実施形態では、後燃焼火格子11cの下から高温空気を吹き込むので、後燃焼火格子11c上の廃棄物の未燃分は、高温空気によって加熱され、燃焼が促進され、完全に燃焼が終了する。高温空気により、後燃焼火格子11c上の廃棄物の未燃分が効率よく燃焼されるため、常温空気を供給する場合に比べて、後燃焼火格子11c上での未燃分の後燃焼に必要な時間を短くすることができ、後燃焼火格子11cの長さを縮小することができる。」という記載があり、これら記載によると、訂正事項1-Aにより追加された「後燃焼火格子は、廃棄物の移動方向長さが常温空気を供給する場合に比べて短く設定されており、」という事項は、特許明細書等に記載されたものといえるから、訂正事項1-Aは、特許明細書等の記載の範囲内においてされたものである。
ウ さらに、訂正事項1-Aは、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないことは明らかである。

(2)訂正事項1-Bについて
ア 訂正事項1-Bは、本件訂正前の請求項1に係る発明の発明特定事項である、排ガス中酸素濃度測定値を納める「所定範囲」について、その上限及び下限を限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
イ また、訂正事項1-Bに関連する記載として、特許明細書等には、明細書の段落【0046】における「上記二次空気の供給量は、制御装置36によるダンパ34の開度を増減して調整されるが、これは、酸素濃度計35により検出された廃熱ボイラ17の排出口17aの排ガスの検出酸素濃度が、所定範囲内に収まるように行われる。排ガスの酸素濃度はCO濃度と相関しており、この酸素濃度の所定範囲の下限は、COスパイクが起きないような酸素濃度として定め、上限を極力低空気比となる値として定めることにより、上記所定範囲を決定する。」という記載があり、この記載によると、訂正事項1-Bにより追加された「排ガス中酸素濃度の上記所定範囲の下限は、COスパイクが起きないような酸素濃度として定められ、上記所定範囲の上限は、焼却炉に供給される空気量が極力低空気比となるような酸素濃度として定められる、」という事項は、特許明細書等に記載されたものといえるから、訂正事項1-Bは、特許明細書等の記載の範囲内においてされたものである。
ウ さらに、訂正事項1-Bは、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないことは明らかである。

(3)訂正事項2-Aについて
ア 訂正事項2-Aは、本件訂正前の請求項2に係る発明(特許明細書等における特許請求の範囲の請求項2に記載された事項により特定される発明)の発明特定事項である「後燃焼火格子」について、その構造を限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
イ また、訂正事項2-Aに関連する記載として、特許明細書等には、明細書の段落【0023】における「また、高温空気により、後燃焼火格子の廃棄物の未燃分が効率よく燃焼されるため、常温空気を供給する場合に比べて、後燃焼火格子上での未燃分の後燃焼に必要な時間を短くすることができ、後燃焼火格子の面積を縮小することができる。」という記載及び明細書の段落【0035】における「本実施形態では、後燃焼火格子11cの下から高温空気を吹き込むので、後燃焼火格子11c上の廃棄物の未燃分は、高温空気によって加熱され、燃焼が促進され、完全に燃焼が終了する。高温空気により、後燃焼火格子11c上の廃棄物の未燃分が効率よく燃焼されるため、常温空気を供給する場合に比べて、後燃焼火格子11c上での未燃分の後燃焼に必要な時間を短くすることができ、後燃焼火格子11cの長さを縮小することができる。」という記載があり、これら記載によると、訂正事項2-Aにより追加された「後燃焼火格子は、廃棄物の移動方向長さが常温空気を供給する場合に比べて短く設定されており、」という事項は、特許明細書等に記載されたものといえるから、訂正事項2-Aは、特許明細書等の記載の範囲内においてされたものである。
ウ さらに、訂正事項2-Aは、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないことは明らかである。

(4)訂正事項2-Bについて
ア 訂正事項2-Bは、本件訂正前の請求項2に係る発明の発明特定事項である、排ガス中酸素濃度測定値を納める「所定範囲」について、その上限及び下限を限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
イ また、訂正事項2-Bに関連する記載として、特許明細書等には、明細書の段落【0046】における「上記二次空気の供給量は、制御装置36によるダンパ34の開度を増減して調整されるが、これは、酸素濃度計35により検出された廃熱ボイラ17の排出口17aの排ガスの検出酸素濃度が、所定範囲内に収まるように行われる。排ガスの酸素濃度はCO濃度と相関しており、この酸素濃度の所定範囲の下限は、COスパイクが起きないような酸素濃度として定め、上限を極力低空気比となる値として定めることにより、上記所定範囲を決定する。」という記載があり、この記載によると、訂正事項2-Bにより追加された「排ガス中酸素濃度の上記所定範囲の下限は、COスパイクが起きないような酸素濃度として定められ、上記所定範囲の上限は、焼却炉に供給される空気量が極力低空気比となるような酸素濃度として定められる、」という事項は、特許明細書等に記載されたものといえるから、訂正事項2-Bは、特許明細書等の記載の範囲内においてされたものである。
ウ さらに、訂正事項2-Bは、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないことは明らかである。

3 小括
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものに該当し、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
よって、結論のとおり、本件訂正を認める。

第3 特許異議の申立てについて
1 本件訂正発明
本件訂正請求により訂正された特許請求の範囲の請求項1及び2に係る発明(以下、それぞれ「本件訂正発明1」及び「本件訂正発明2」という。)は、それぞれ特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
「【請求項1】
乾燥火格子、燃焼火格子そして後燃焼火格子が順に設けられ廃棄物を燃焼する主燃焼室と、主燃焼室での燃焼後の未燃ガスを燃焼する二次燃焼室と廃熱ボイラとを有する火格子式の廃棄物焼却炉において、
二次燃焼室が後燃焼火格子の上方に設けられた主燃焼室の出口に接続され、
乾燥火格子と燃焼火格子のそれぞれの下方から予熱しない一次空気を供給する一次空気供給手段と、後燃焼火格子の下方から100?200℃の高温空気を供給する高温空気供給手段と、二次燃焼室へ二次空気を供給する二次空気供給手段と、二次空気供給量を制御する制御装置と、廃熱ボイラから排出される排ガスの酸素濃度を測定する酸素濃度計とを有し、
後燃焼火格子は、廃棄物の移動方向長さが常温空気を供給する場合に比べて短く設定されており、
一次空気供給手段と高温空気供給手段と二次空気供給手段とが、一次空気、高温空気及び二次空気により供給する総空気量を廃棄物の燃焼に必要な理論空気量で除した空気比を1.3以下の低空気比とするように一次空気、高温空気及び二次空気を供給し、
高温空気供給手段は、高温空気を後燃焼火格子の下方から供給し上方へ上昇させ主燃焼室から二次燃焼室内に流入させ、後燃焼火格子上の廃棄物の未燃分を燃焼すること、そして二次燃焼室で二次空気とともに未燃ガスと混合して未燃ガスを燃焼することのための必要量以上の高温空気量を供給し、
制御装置は、酸素濃度計により測定された排ガス中酸素濃度測定値に基づき、排ガス中酸素濃度測定値が所定範囲より高いとき二次空気供給量を減少し、所定範囲より低いとき二次空気供給量を増加することで、測定値が所定範囲内に収まるように二次空気供給量を制御し、
排ガス中酸素濃度の上記所定範囲の下限は、COスパイクが起きないような酸素濃度として定められ、上記所定範囲の上限は、焼却炉に供給される空気量が極力低空気比となるような酸素濃度として定められる、
ことを特徴とする廃棄物焼却炉。
【請求項2】
乾燥火格子、燃焼火格子そして後燃焼火格子が順に設けられ廃棄物を燃焼する主燃焼室と、主燃焼室での燃焼後の未燃ガスを燃焼する二次燃焼室と廃熱ボイラとを有する火格子式の廃棄物焼却炉を用いる廃棄物焼却方法において、
乾燥火格子と燃焼火格子のそれぞれの下方から予熱しない一次空気を供給し、廃棄物の移動方向長さが常温空気を供給する場合に比べて短く設定されている後燃焼火格子の下方から高温空気供給手段により100?200℃の高温空気を供給し、二次空気供給手段により二次燃焼室の入口へ二次空気を供給し、一次空気、高温空気及び二次空気により供給する総空気量を廃棄物の燃焼に必要な理論空気量で除した空気比を1.3以下の低空気比とするように一次空気、高温空気及び二次空気を供給し、
高温空気供給手段により、高温空気を後燃焼火格子の下方から供給し上方へ上昇させ、後燃焼火格子の上方に設けられた主燃焼室出口に接続された二次燃焼室内に流入させ、後燃焼火格子上の廃棄物の未燃分を燃焼すること、そして主燃焼室から二次燃焼室内に流入し二次空気とともに未燃ガスと混合して未燃ガスを燃焼することのための必要量以上の高温空気量を供給し、
廃熱ボイラから排出される排ガスの酸素濃度を酸素濃度計により測定し、
酸素濃度計により測定された排ガス中酸素濃度測定値に基づき、排ガス中酸素濃度測定値が所定範囲より高いとき二次空気供給量を減少し、所定範囲より低いとき二次空気供給量を増加することで、測定値が所定範囲内に収まるように二次空気供給量を制御し、
排ガス中酸素濃度の上記所定範囲の下限は、COスパイクが起きないような酸素濃度として定められ、上記所定範囲の上限は、焼却炉に供給される空気量が極力低空気比となるような酸素濃度として定められる、
ことを特徴とする廃棄物焼却方法。」(なお、下線は訂正請求書に添付した訂正した特許請求の範囲において、特許権者が訂正箇所を示すために付したものである。)。

2 取消理由の概要
訂正前の請求項1及び2に係る特許に対して平成28年7月12日付けで特許権者に通知した取消理由(以下、単に「取消理由」という。)の概要は以下のとおりである。
(1)本件特許の請求項1に係る発明は、甲第1号証に記載された発明、甲第2号証に記載された事項及び周知技術に基づき、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。

(2)本件特許の請求項2に係る発明は、甲第1号証に記載された発明、甲第2号証に記載された事項及び周知技術に基づき、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。

3 各甲号証
(1)甲第1号証
ア 甲第1号証の記載事項
本件出願の出願前に頒布され、取消理由に引用された刊行物である特開平9-49623号公報(以下、「甲第1号証」という。)には、「ごみ焼却炉の燃焼制御装置及びその方法」に関して、図面とともに次の事項が記載されている。
(ア)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ごみ焼却炉及びその燃焼制御方法に関し、詳しくは、火格子式焼却炉に二次燃焼空気供給系及びその制御系を設け、二次燃焼空気量を操作して炉内温度の安定と炉内の酸素(O_(2 ))濃度の変動を抑制し、燃焼排ガス中の一酸化炭素(CO)濃度及びNOx濃度を基準値以下に設定し得るごみ焼却炉の燃焼制御装置及びその方法に係るものである。
【0002】
【従来の技術】火格子式ごみ焼却炉は、都市清掃工場に多く用いられる焼却炉であり、ごみ焼却処理に伴って発生する膨大な熱エネルギを有効に回収して、省資源,省エネルギ化を図る観点から蒸気タービン発電設備が設置されたものが多い。このごみ焼却炉による発電では、安定した発電を行うために安定した燃焼、即ち、炉内発熱量を一定に維持する必要である。
【0003】この種の火格子式ごみ焼却炉では、一定時間に一定量のごみを投入して焼却する一定能率焼却を基本的な運転方法としている。炉内発熱量を一定に制御する方法は、一定時間にごみ焼却炉に投入されるごみ投入量とその投入されたごみの発熱量、即ち、燃焼負荷に応じた状態量(例えば、蒸気量)を検出して、それが安定するように、ごみ焼却炉の火格子に送り込まれる燃焼空気量を調節している。
【0004】図13は、従来の火格子式ごみ焼却炉とその燃焼制御系を示している。同図に於いて、ごみ焼却炉1は、火格子1a?1c、ごみ投入口2、灰落下口3、排ガスを放出する炉出口4、煙突6、二次空気(冷却空気)の吸入口7が設けられ、排ガスが放出される炉出口4には熱交換器5aを備えた蒸気発生用のボイラ5が設置されている。
【0005】ごみ焼却炉1には、火格子1a?1cに冷却空気を供給する燃焼空気供給系と炉内に冷却空気を供給する冷却空気供給系とがあり、燃焼空気供給系は、ファン8から燃焼空気がダンパー等の流量調節機構9を介して火格子1a?1cに送り込む供給系である。又、冷却空気供給系は、ファン10からダンパー等の流量調節機構11を介して直接吸入口7から炉内に送り込む供給系である。これら流量調節機構9,11の開閉制御はコンピュータ17によって制御されている。
【0006】流量調節機構9は、燃焼空気量制御手段16からの制御出力値(操作量)に基づいて制御されている。ボイラ5から発生する蒸気量を蒸気流量計12で計測し、その計測値を燃焼空気制御手段16に入力して演算処理し、その蒸気流量が目標値を越える場合は、流量調節機構9の燃焼空気流量を絞って炉内の発熱量を抑えようとし、これに伴い炉内温度も低下する。又、蒸気流量が目標値を下回る場合は、流量調節機構9の燃焼空気流量を増加させて炉内の発熱量を高めようとし、これに伴い炉内温度は上昇する。
【0007】又、流量調節機構11は冷却空気制御手段15からの制御出力値(操作量)に基づいて制御されている。燃焼空気供給系のみによる炉内温度を制御するのは不十分であり、炉内温度をより安定化させるためには、炉内温度計14で炉内温度を計測して、その計測値を冷却空気制御手段15に入力して演算処理し、その出力(冷却空気制御値)に基づいて流量調節機構11の開度調節をして炉内温度が一定になるようになされている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従来の火格子式ごみ焼却炉では、主に火格子下から供給される燃焼空気量を操作してボイラから発生する蒸発量を制御する制御手段と、炉内に直接冷却空気を供給して炉内温度を制御する制御手段とを備えている。しかしながら、ごみの発熱量の変動や火格子上のごみ層分布状態等の炉内状況変動で発生する炉内温度変化を一定に制御することは困難である。
【0009】更に、ごみ焼却炉から排出される有害物質、例えば一酸化炭素(CO)や窒素酸化物(NOx)の発生量を同じように低く抑えることが難しいという問題があった。
【0010】本発明は、上述のような課題に鑑みなされたものであり、ごみ焼却炉の炉内温度を安定にして炉内のO_(2 )濃度の変動幅を抑え、且つ、燃焼排ガスのCO濃度,NOx濃度を一定の値より低くなるように制御し得るごみ焼却炉の燃焼制御装置及びその方法を提供することを目的とするものである。」(段落【0001】ないし【0010】)

(イ)「【0016】次に、本発明の概要について説明すると、ごみ焼却炉の火格子に一次燃焼空気を供給する一次燃焼空気供給系と炉内に二次燃焼空気を供給する二次燃焼空気供給系と、それらの制御系とを備え、一次燃焼空気制御系は燃焼負荷に応じた状態量に基づいて燃焼による発熱量を制御し副次的に炉内温度を概ね安定にし、更に、二次燃焼空気を非線形制御手段で操作して、炉内温度と燃焼排ガスのO_(2 )濃度,CO濃度,NOx濃度を所定範囲内に収まるように制御するものである。
【0017】本発明は、二次燃焼空気量に対する炉内温度の関係は、図4に示すように、炉内温度が二次燃焼空気量と正の相関特性を持つ領域と、負の相関特性とに分けられ、2つの領域の間で最大値となる(例えば、二次燃焼空気量が4000?5000Nm^(3 )/h)特性を有する。正の相関特性をもつ領域では、一次燃焼により生じた排ガス中の未燃焼分が二次燃焼をし、二次燃焼空気量が多い程二次燃焼が活発化するために二次燃焼空気と炉内温度とは正の関係となる。一方、一次燃焼による排ガス中の未燃焼分が燃え尽くすとそれ以上の二次燃焼空気は冷却空気として機能するため負の関係となる。又、燃焼排ガス中のO_(2 )濃度とは、図5に示すように、二次燃焼空気量と正の相関特性がある。又、CO濃度は、図6に示すように、二次燃焼空気量を低減して行くに連れて炉内酸素が不足してCO濃度が増大する。又、燃焼排ガス中のNOx濃度は、図7に示すように、二次燃焼空気量と正の相関特性がある。
【0018】このような観点から、炉内温度及び排ガス中のO_(2 )濃度,CO濃度,NOx濃度を測定し、前述の二次燃焼空気量に対する炉内温度特性及び排ガス特性に応じて非線形制御(例えば、ファジィ制御)して、よりきめ細かく二次燃焼空気量を操作することによって炉内温度及び炉内のO_(2 )濃度をともに安定した状態に制御し、排ガス中のCO濃度,NO_(X )濃度をともに所定値より低い値に制御する。即ち、一次燃焼空気量をフィードバック制御やフィードフォワード制御によって炉内温度を所定の制御目標値に追従制御し、更に、O_(2 )濃度,CO濃度,NOx濃度が二次燃焼空気量との相関関係が顕著であることから二次燃焼空気量を非線型制御して応答特性を良好なものとし、O_(2 )濃度,CO濃度,NOx濃度を制御目標値によりきめ細かく制御し得るごみ焼却炉の燃焼制御方法である。又、この非線型制御は、炉内温度及び排ガス中のO_(2 )濃度,CO濃度,NOx濃度を計測値とし、二次燃焼空気量を操作量とした条件別増減制御やファジィ制御とすることによって実現したものであるが、二次燃焼空気量の制御にはファジィ制御が最も適している。」(段落【0016】ないし【0018】)

(ウ)「【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。図1は、本発明に係るごみ焼却炉及びその燃焼制御方法の一実施形態を示す図である。同図は、火格子式ごみ焼却炉1であり、火格子1a?1c、ごみ投入口2、灰落下口3、燃焼排ガスが放出される炉出口4、炉出口4近傍には蒸気発生用ボイラ5、燃焼排ガスを炉外に放出する煙突6、及び二次燃焼空気が供給される吸入口7が備えられている。
【0020】ごみ投入口2からごみ焼却炉1内に投入されたごみは、火格子1a?1cの下から吹き上げる一次燃焼空気により、乾燥、燃焼段階を経て焼却され、灰落下口3から灰として炉外へ排出される。又、吸入口7から炉内に二次燃焼空気が供給され、炉内温度及び排ガス中のO_(2 )濃度,CO_(2 )濃度,NOx濃度が制御されている。
【0021】燃焼によって生じた燃焼排ガスは炉出口4から煙突6に導かれて炉外へ放出される。その際に、その高温の燃焼排ガスは熱交換器5aを加熱してボイラ5内の水を沸騰させてその蒸気を熱供給,発電等に用いられている。
【0022】このごみ焼却炉1は、一次燃焼空気と二次燃焼空気の2系統の燃焼空気供給系を備え、一次燃焼空気供給系はファン8からダンパー等の流量調節機構9を介して火格子1a?1cに燃焼空気を送り込む系統であり、二次燃焼空気供給系はファン10からダンパー等の流量調節機構11を介して二次燃焼空気を直接吸入口7から炉内に吹き込む系統である。
【0023】一次及び二次燃焼空気は、コンピュータ21による一次燃焼空気制御手段16及び二次燃焼空気制御手段20からの制御値によって流量調節機構9,11を開閉制御してそれらの流量が設定されている。一次燃焼空気制御系は、ボイラ5の蒸気流量を蒸気流量計12で計測してその計測値を一次燃焼空気制御手段16で演算処理し、流量調節機構9を開閉制御する制御系である。又、二次燃焼空気制御系は、炉内温度センサ13によって炉内温度を検出し、且つ、炉出口4内に設けたO_(2 )濃度センサ18、NOx濃度センサ22,CO濃度センサ24によってそれぞれ排ガス中のO_(2 )濃度,NOx濃度,CO濃度をそれぞれ検知し、それらの出力をそれぞれ炉内温度計14,炉排出O_(2 )濃度計19,炉排出NOx濃度計23,炉排出CO濃度計25に入力し、これらの計測値を二次燃焼空気制御手段20に入力して演算処理し、これらの計測値に基づいて流量調節機構11を開閉制御する。」(段落【0019】ないし【0023】)

(エ)「【0030】又、二次燃焼空気制御手段20では、ごみ焼却炉の燃焼プロセスA2からの炉内温度と炉内温度目標値との炉内温度偏差値、炉排出O_(2 )濃度と炉排出O_(2 )濃度に関する設定値との比較、炉排出NOx濃度と炉排出NOx濃度設定値との比較、及びCO濃度値とCO濃度設定値との比較によって、二次燃焼空気量制御部A3で条件別に増減制御され、その二次燃焼空気制御出力値によってごみ焼却炉の燃焼プロセスA2の炉内温度及び炉排出O_(2 )濃度,NOx濃度,CO濃度が制御されている。
【0031】次に、二次燃焼空気量制御部A3の制御方法についてより詳細に説明する。図2の実施形態は、条件別増減制御である。その説明の前に、炉内温度,O_(2 )濃度,CO濃度,NOx濃度と二次燃焼空気量との関係について、図4乃至図7を参照して詳細に説明する。
【0032】二次燃焼空気は、図4から明らかなように、二次燃焼空気として機能する二次燃焼領域と、冷却空気として作用する冷却領域とがある。二次燃焼領域は、4000Nm^(3 )/h未満の領域であり、この燃焼領域は二次燃焼が活発化して炉内温度が上昇する領域である。更に、二次燃焼空気量の増加に伴って、概ね4000?5000Nm^(3 )/hの領域では二次燃焼空気量による炉内温度上昇が最大領域に達する領域である。更に、二次燃焼空気量が増加して、例えば5000Nm^(3)/h以上になると、炉内温度が低下する冷却領域がある。
【0033】又、排ガス中のO_(2 )濃度と二次燃焼空気量との関係は、図5に示すように、二次燃焼空気量が増加するにつれて排ガス中のO_(2 )濃度が上昇し、二次燃焼空気量とO_(2 )濃度との間に正の相関関係が存在する。
【0034】又、排ガス中のCO濃度と二次燃焼空気量との関係は、図6に示すように、二次燃焼空気量が増加するにつれて排ガス中のCO濃度は低下し、二次燃焼空気量とCO濃度には負の相関関係が存在する。
【0035】又、排ガス中のNOx濃度と二次燃焼空気量との関係は、図7に示すように、二次燃焼空気量が増加するにつれて排ガス中のNOx濃度は増加し、二次燃焼空気量とNOx濃度には正の相関関係が存在する。
【0036】このような現象を利用して二次燃焼空気量制御部A3で二次燃焼空気量を制御する。二次燃焼空気量制御部A3では、炉内温度偏差が負又と正であるかを、所定の偏差値で判定し、二次燃焼空気量が燃焼領域(例えば、閾値を4000Nm^(3 )/h未満と設定)、境界領域(例えば、4000?5000Nm^(3 )/hと設定)又は冷却領域(例えば、閾値を5000Nm^(3 )/h以上と設定)にあるかを判断してそれら2つの条件判断の結果から二次燃焼空気量を増すか減ずるかという条件別増減制御を実施する。
【0037】又、NOx濃度及びCO濃度が上限値を越えているか否かが判定され、NOx濃度が上限値を越えている場合は二次燃焼空気量を一定量減じCO濃度が上限値を越えている場合は二次燃焼空気量を一定量増加させるように調節してNOx濃度及びCO濃度の上昇を抑制するように制御する。
【0038】以下に、表1に基づいて、二次燃焼空気量制御部A3の二次燃焼空気量の制御方法について詳細に説明する。二次燃焼空気量は、(1) から(10)の条件で順次演算及び検出して、(8) から(10)の条件を満たす場合は、矢印(─>)で示した制御を順次実行する。
【0039】
【表1】
・・・略・・・
【0040】なお、表1に示した制御方法は、(1) ?(6) は炉内温度偏差に対するものであり、二次燃焼空気量を増減させる制御であり、二次燃焼空気量の一定値を1周期毎の増分量あるいは減分量を調整する制御工程である。(7) は二次燃焼空気量を現状維持する制御工程を示している。(8) は酸素濃度の制御に対するものであり、(9) はNOx濃度上限設定値に対するもの、(10)のCO濃度上限設定値に対する制御工程を示している。これらの制御が個別に設定できるものとする。」(段落【0030】ないし【0040】)

イ 上記ア及び図面の記載から分かること
甲第1号証における上記ア及び図面の記載から、次のことが分かる。
(ア)上記ア(ア)ないし(エ)並びに図1、2及び4ないし7の記載によれば、甲第1号証には、火格子式のごみ焼却炉1又は火格子式のごみ焼却炉1を用いるごみ焼却方法が記載されていることが分かる。

(イ)上記ア(ウ)(特に、段落【0019】ないし【0021】)及び図1の記載によれば、火格子式のごみ焼却炉1において、乾燥段の火格子1a、燃焼段の火格子1bそして後燃焼段の火格子1cが順に設けられごみを燃焼する一次燃焼室と、一次燃焼室での燃焼後の未燃ガスを燃焼する二次燃焼室と蒸気発生用ボイラ5とを有することが分かる。

(ウ)上記ア(ウ)(特に、段落【0019】ないし【0022】)及び図1の記載によれば、火格子式のごみ焼却炉1において、二次燃焼室が後燃焼段の火格子1cの上方に設けられた一次燃焼室の出口に接続され、乾燥段の火格子1aと燃焼段の火格子1bのそれぞれの下方から予熱しない一次燃焼空気を供給する一次燃焼空気供給系と、後燃焼段の火格子1cの下方から予熱しない一次燃焼空気を供給する、一次燃焼空気供給系の一部である後燃焼段の火格子1c下の空気供給手段と、二次燃焼室へ二次燃焼空気を供給する二次燃焼空気供給系とを有し、後燃焼段の火格子1c下の空気供給手段は、一次燃焼空気を後燃焼段の火格子1cの下方から供給し上方へ上昇させ一次燃焼室から二次燃焼室内に流入させることが分かる。

(エ)上記ア(ア)ないし(エ)(特に、段落【0010】、【0016】ないし【0018】、【0023】及び【0030】ないし【0040】並びに表1における(5)及び(8)の記載)並びに図1、2及び4ないし7の記載によれば、火格子式のごみ焼却炉1において、二次燃焼空気供給量を制御する二次燃焼空気制御手段20と、蒸気発生用ボイラ5から排出される排ガスの酸素濃度を測定するO_(2)濃度センサ18とを有し、二次燃焼空気制御手段20は、O_(2)濃度センサ18により測定された排ガス中酸素濃度測定値に基づき、排ガス中酸素濃度測定値が一定値以上のとき二次燃焼空気供給量を減少し、下限設定値より低いとき二次燃焼空気供給量を増加することで、測定値が下限設定値から一定値未満までの所定範囲内に収まるように二次燃焼空気供給量を制御することが分かる。

(オ)上記ア(ウ)(特に、段落【0019】ないし【0022】)及び図1の記載によれば、火格子式のごみ焼却炉1を用いるごみ焼却方法において、乾燥段の火格子1aと乾燥段の火格子1aのそれぞれの下方から予熱しない一次空気を供給し、後燃焼段の火格子1c下の空気供給手段により後燃焼段の火格子1cの下方から予熱しない一次燃焼空気を供給し、二次燃焼空気供給系により二次燃焼室の入口へ二次燃焼空気を供給し、後燃焼段の火格子1c下の空気供給手段により、一次燃焼空気を後燃焼段の火格子1cの下方から供給し上方へ上昇させ、後燃焼段の火格子1cの上方に設けられた一次燃焼室出口に接続された二次燃焼室内に流入させることが分かる。

(カ)上記ア(ア)ないし(エ)(特に、段落【0010】、【0016】ないし【0018】、【0023】及び【0030】ないし【0040】並びに表1における(5)及び(8)の記載)並びに図1、2及び4ないし7の記載によれば、火格子式のごみ焼却炉1を用いるごみ焼却方法において、蒸気発生用ボイラ5から排出される排ガスの酸素濃度をO_(2)濃度センサ18により測定し、O_(2)濃度センサ18により測定された排ガス中酸素濃度測定値に基づき、排ガス中酸素濃度測定値が一定値以上のとき二次燃焼空気供給量を減少し、下限設定値より低いとき二次燃焼空気供給量を増加することで、測定値が下限設定値から一定値未満までの所定範囲内に収まるように二次燃焼空気供給量を制御することが分かる。

ウ 甲1発明1
上記ア及びイ(ア)ないし(エ)を総合して、本件訂正発明1の表現にならって整理すると、甲第1号証には、次の事項からなる発明(以下「甲1発明1」という。)が記載されていると認める。
「乾燥段の火格子1a、燃焼段の火格子1bそして後燃焼段の火格子1cが順に設けられごみを燃焼する一次燃焼室と、一次燃焼室での燃焼後の未燃ガスを燃焼する二次燃焼室と蒸気発生用ボイラ5とを有する火格子式のごみ焼却炉1において
二次燃焼室が後燃焼段の火格子1cの上方に設けられた一次燃焼室の出口に接続され、
乾燥段の火格子1aと燃焼段の火格子1bのそれぞれの下方から予熱しない一次燃焼空気を供給する一次燃焼空気供給系と、
後燃焼段の火格子1cの下方から予熱しない一次燃焼空気を供給する、一次燃焼空気供給系の一部である後燃焼段の火格子1c下の空気供給手段と、
二次燃焼室へ二次燃焼空気を供給する二次燃焼空気供給系と、
二次燃焼空気供給量を制御する二次燃焼空気制御手段20と、
蒸気発生用ボイラ5から排出される排ガスの酸素濃度を測定するO_(2)濃度センサ18とを有し、
後燃焼段の火格子1c下の空気供給手段は、一次燃焼空気を後燃焼段の火格子1cの下方から供給し上方へ上昇させ一次燃焼室から二次燃焼室内に流入させ、
二次燃焼空気制御手段20は、O_(2)濃度センサ18により測定された排ガス中酸素濃度測定値に基づき、排ガス中酸素濃度測定値が一定値以上のとき二次燃焼空気供給量を減少し、下限設定値より低いとき二次燃焼空気供給量を増加することで、測定値が下限設定値から一定値未満までの所定範囲内に収まるように二次燃焼空気供給量を制御する、
ごみ焼却炉1。」

エ 甲1発明2
上記ア並びにイ(ア)、(イ)、(オ)及び(カ)を総合して、本件訂正発明2の表現にならって整理すると、甲第1号証には、次の事項からなる発明(以下「甲1発明2」という。)が記載されていると認める。
「乾燥段の火格子1a、乾燥段の火格子1aそして後燃焼段の火格子1cが順に設けられごみを燃焼する一次燃焼室と、一次燃焼室での燃焼後の未燃ガスを燃焼する二次燃焼室と蒸気発生用ボイラ5とを有する火格子式のごみ焼却炉1を用いるごみ焼却方法において、
乾燥段の火格子1aと乾燥段の火格子1aのそれぞれの下方から予熱しない一次空気を供給し、後燃焼段の火格子1cの下方から後燃焼段の火格子1c下の空気供給手段により予熱しない一次燃焼空気を供給し、二次燃焼空気供給系により二次燃焼室の入口へ二次燃焼空気を供給し、
後燃焼段の火格子1c下の空気供給手段により、一次燃焼空気を後燃焼段の火格子1cの下方から供給し上方へ上昇させ、後燃焼段の火格子1cの上方に設けられた一次燃焼室出口に接続された二次燃焼室内に流入させ、
蒸気発生用ボイラ5から排出される排ガスの酸素濃度をO_(2)濃度センサ18により測定し、
O_(2)濃度センサ18により測定された排ガス中酸素濃度測定値に基づき、排ガス中酸素濃度測定値が一定値以上のとき二次燃焼空気供給量を減少し、下限設定値より低いとき二次燃焼空気供給量を増加することで、測定値が下限設定値から一定値未満までの所定範囲内に収まるように二次燃焼空気供給量を制御する、
ごみ焼却方法。」

(2)甲第2号証
ア 甲第2号証の記載事項
本件出願の出願前に頒布され、取消理由に引用された刊行物である特開2001-263631号公報(以下、「甲第2号証」という。)には、「ストーカ式焼却炉の燃焼方法及びストーカ式焼却炉」に関して、図面とともに次の事項が記載されている。
(ア)「【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、ストーカ式焼却炉30に於いては、廃棄物Wはその焼却過程に於いて発生するガスの組成や温度が異なり、焼却過程に沿ってCO等の未燃ガスが多い領域、激しく燃焼してNOxが発生する領域、過剰空気により残存酸素が15%以上含まれる500?700℃の低温領域ができ、炉内は不均一な状態となっている。そこで、従来のストーカ式焼却炉30に於いては、この不均一な炉内を攪拌・混合するために、酸性ガス処理を行った後の排ガスを再循環して炉内に吹き込む方法、二次燃焼空気A2(温度調整用空気)を吹き込む方法、又はこれらを組み合わせた方法等が用いられることがあるが、何れも排ガスや二次燃焼空気A2を大量に吹き込まなければならず、炉から排出される排ガス量が増え、ストーカ式焼却炉30の下流側に設置する排ガス処理装置等の機器が大型化してしまうと云う問題があった。又、燃焼空気の供給量を多くしてCO等の未燃ガスの発生を抑制すると、NOxを抑制することができず、反対に燃焼空気の供給量を少なくしてNOxの発生を抑制すると、CO等の未燃ガスが多く排出されると云う問題があった。
【0006】このような問題を解決するため、特公平7-52002号公報に開示されているように、燃焼ストーカの上方に燃焼ガスが煙道に直通するのを防止する中間天井を設け、中間天井の前方から乾燥ストーカからの未燃ガスを、又、中間天井の後方から燃焼ストーカからの燃焼ガスを夫々煙道に導くようにし、中間天井の上方で両者を衝突させて混合することにより、未燃ガスの完全燃焼を図ると共に、NOxの発生を抑制する方法が実用化されている。しかし、このような方法の場合、中間天井の前方と後方に流れるガス量は成り行きとなって制御できないため、ガスの組成や温度等が大きく変動する廃棄物の焼却に対しては常に最適な状態で安定した運転を行うことが困難であるうえ、炉の形状が複雑になると云う問題があった。
【0007】本発明は、このような問題点に鑑みて為されたものであり、その目的は焼却炉からの排ガスの排出量を低減することができ、又、燃焼室内を廃棄物の種類や性状に拘わらず常に最適な状態で攪拌・混合し、未燃ガスや未燃物を完全燃焼できると共にCOやNOx等を抑制できるようにしたストーカ式焼却炉の焼却方法及びストーカ式焼却炉を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する為に、本発明の請求項1に記載の発明は、ストーカ下からストーカ上方の一次燃焼室に一次燃焼空気を供給してストーカ上の廃棄物を一次燃焼させると共に、一次燃焼室上方の二次燃焼室に二次燃焼空気を供給して一次燃焼室で発生した未燃ガスや未燃物を二次燃焼させるようにしたストーカ式焼却炉に於いて、ストーカ下から供給する一次燃焼空気の供給量を一次空気比で1.2以下とすると共に、ストーカの下流側でストーカよりも上方の燃焼ガスがストーカの上流側上方へ流れないように前記燃焼ガスを炉外へ引き抜いて一次燃焼室を高温の還元性雰囲気にし、この引き抜いた燃焼ガスを二次燃焼空気の吹き込み位置より上流側の燃焼室内に吹き込んで燃焼室内を攪拌・混合し、二次燃焼空気の吹き込み位置より上流側の燃焼室内を燃焼ガスの組成分布や温度が均一な雰囲気にし、その後二次燃焼室に二次燃焼空気を吹き込んで全空気比を1.3程度として未燃ガスや未燃物を完全燃焼させるようにしたことに特徴がある。」(段落【0005】ないし【0008】)

(イ)「【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明の方法を実施するストーカ式焼却炉1の一例を示し、当該ストーカ式焼却炉1は、炉壁から成る炉本体2と、廃棄物Wが投入される廃棄物ホッパ3と、廃棄物Wを燃焼させるストーカ4と、ストーカ4上へ廃棄物Wを供給する給じん装置5と、ストーカ4の下方に配設されたストーカ下ホッパ6と、ストーカ4の上方に形成された一次燃焼室7及び一次燃焼室7の上方に形成された二次燃焼室8から成る燃焼室(図番号省略)と、焼却灰を排出する灰出し口9と、排ガスを排出する排ガス出口10と、ストーカ4下から一次燃焼室7内へ一次燃焼空気A1を供給する一次燃焼空気供給装置11と、ストーカ4の下流側で且つストーカ4よりも上方の燃焼ガスG′を炉外へ引き抜いて二次燃焼空気A2の吹き込み位置より上流側の燃焼室内へ導く燃焼ガス循環路12と、燃焼ガス循環路12に介設された送風機13と、送風機13よりも上流側の燃焼ガス循環路12内に配置された熱交換器14(空気予熱器)と、熱交換器14に接続され、熱交換器14により予熱された燃焼空気Aを二次燃焼空気A2及び一次燃焼空気A3として二次燃焼室8内及び下流側のストーカ4下へ夫々供給する二次燃焼空気供給装置15とから構成されている。
【0016】前記ストーカ4は、乾燥ストーカ4a、燃焼ストーカ4b及び後燃焼ストーカ4cから成り、各ストーカ4a,4b,4cの下方にはストーカ下ホッパ6が夫々配設されている。これら各ストーカ4a,4b,4cは、従来公知のものと同様に可動火格子(図示省略)と固定火格子(図示省略)とを交互に配列して成り、各可動火格子を流体圧シリンダ等の駆動装置(図示省略)で前後方向へ一定のピッチで往復動させることによって、ストーカ4上の廃棄物Wを攪拌しながら上流側から下流側へ前進させるようになっている。又、ストーカ4の上方には、ストーカ4下から供給された一次燃焼空気A1,A3によりストーカ4上を順次前進する廃棄物Wを燃焼させる一次燃焼室7と、一次燃焼室7で燃焼して生成されたCO等の未燃ガスや未燃物を二次燃焼空気A2により燃焼させる二次燃焼室8とから成る燃焼室(図番号省略)が設けられている。
【0017】前記一次燃焼空気供給装置11は、ストーカ4下の各ストーカ下ホッパ6に分岐状に接続され、各ストーカ4a,4b,4cの下方へ一次燃焼空気A1を夫々供給する一次燃焼空気供給管16と、一次燃焼空気供給管16に接続された押込み送風機17と、一次燃焼空気供給管16に介設され、各ストーカ4a,4b,4cの下方へ供給される一次燃焼空気A1の供給量を調整する複数の風量調整ダンパ18と、各風量調整ダンパ18を開閉制御するダンパ駆動装置19(モータ若しくは流体圧シリンダ)等から構成されており、ダンパ駆動装置19により風量調整ダンパ18の開度を変えることによって、各ストーカ4a,4b,4cの下方へ供給される一次燃焼空気A1の供給量を調整できるようになっている。この実施の形態に於いては、ストーカ4下から供給する一次燃焼空気A1,A3の供給量を一次空気比(一次燃焼空気量/理論燃焼空気量)で0.9?1.1となるようにしている。又、従来のストーカ式焼却炉ではNOxが高濃度で発生していた燃焼ストーカ4b上部に一次燃焼空気A1全体の約70%?80%を供給し、燃焼ストーカ4bの上部に不完全燃焼域(CO、HC等の未燃ガスを含んだ還元域)を形成することでNOxの発生しない雰囲気としている。更に、廃棄物W中の窒素成分が揮発してしまっている後燃焼ストーカ4c上部には約20%の一次燃焼空気A1,A3を供給することでNOxを発生させずに完全燃焼を図るようにしている。又、後燃焼ストーカ4cに供給する一次燃焼空気A1,A3量は最小とし、発生する燃焼ガスG中の残存酸素が約1%以下となるようにしていると共に、後燃焼ストーカ4c上の温度が600℃以上(炭素が容易に酸化する温度)となるように各ストーカ4a,4b,4c下へ供給する一次燃焼空気A1,A3の分配量を制御している。
【0018】前記燃焼ガス循環路12は、ストーカ4の下流側上方(後燃焼ストーカ4c上方)の燃焼ガスG′を炉外へ引き抜いて二次燃焼空気A2の吹き込み位置より上流側の燃焼室内へ導くものであり、後燃焼ストーカ4c上方の炉壁に一次燃焼室7に連通するように形成され、後燃焼ストーカ4c上方の燃焼ガスG′を引き抜く吸引室12aと、二次燃焼空気A2の吹き込み位置より上流側の燃焼室の炉壁に形成した複数の燃焼ガス吹込み口12bと、吸引室12a及び燃焼ガス吹込み口12bを連通状に接続する燃焼ガス供給管12cとから成り、燃焼ガス供給管12cに介設した送風機13により後燃焼ストーカ4c上方の燃焼ガスG′を吸引室12aへ吸い込み、この吸い込んだ燃焼ガスG′を燃焼ガス供給管12cを通して燃焼ガス吹込み口12bから二次燃焼空気A2の吹き込み位置より上流側の燃焼室内へ高速で吹き込めるようになっている。尚、後燃焼ストーカ4c上方の燃焼ガスG′を炉外へ引き抜くのは、燃焼ガスG′が燃焼ストーカ4b上方へ流れると、NOxの発生につながるからである。又、引き抜いた燃焼ガスG′を二次燃焼空気A2の吹き込み位置より上流側の燃焼室内に吹き込むのは、一次燃焼室7内で発生した燃焼ガスGを攪拌・混合し、二次燃焼空気A2の吹き込み位置より上流側の燃焼室内を燃焼ガスGの組成分布や温度が均一な弱還元性雰囲気にするためである。」(段落【0015】ないし【0018】)

(ウ)「【0020】前記二次燃焼空気供給装置15は、熱交換器14に接続された上流側二次燃焼空気供給管20aと、上流側二次燃焼空気供給管20aに接続された押込み送風機21と、二次燃焼室8の炉壁に形成した複数の二次燃焼空気供給口20bと、熱交換器14及び二次燃焼空気供給口20bに接続された下流側二次燃焼空気供給管20cと、二次燃焼空気供給管20c及び後燃焼ストーカ4c下のストーカ下ホッパ6に接続された分岐管20d等から構成されており、燃焼空気Aを熱交換器14により予熱し、この予熱された燃焼空気Aを二次燃焼空気A2及び一次燃焼空気A3として二次燃焼室8内及び後燃焼ストーカ4c下へ夫々供給できるようになっている。尚、二次燃焼室8内に吹き込まれる二次燃焼空気A2の量は、押込み送風機21により調整されている。又、後燃焼ストーカ4c下へ供給される一次燃焼空気A3の量は、分岐管20dに介設した風量調整ダンパ18及び風量調整ダンパ18を制御するダンパ駆動装置19により調整されている。この実施の形態に於いては、二次燃焼室8に供給する二次燃焼空気A2の供給量を二次空気比(二次燃焼空気量/理論燃焼空気量)で0.2?0.4となるようにしている。又、一次燃焼空気A1,A3と二次燃焼空気A2の合計空気量を空気比で約1.3となるようしている。更に、後燃焼ストーカ4c下に供給する一次燃焼空気A1,A3の量は、後燃焼ストーカ4c上の温度が600℃以上になるように調整されており、後燃焼ストーカ4c上の温度が600℃以下の場合には一次燃焼空気A3の比率を増やすようにしている。」(段落【0020】)

(エ)「【0021】このように構成されたストーカ式焼却炉1に於いては、廃棄物ホッパ3から炉内に投入された廃棄物Wは、乾燥ストーカ4a、燃焼ストーカ4b及び後燃焼ストーカ4c上を順次前進しながら、押込み送風機17から一次燃焼空気供給管16及び各ストーカ4a,4b,4cを通して一次燃焼室7に供給される一次燃焼空気A1や分岐管20dから後燃焼ストーカ4c下に供給される一次燃焼空気A3によって一次燃焼される。
【0022】即ち、廃棄物ホッパ3から炉内に投入された廃棄物Wは、給じん装置5により乾燥ストーカ4a上へ連続的に供給され、ここで乾燥ストーカ4a下から供給される一次燃焼空気A1と後段の燃焼ストーカ4b及び後燃焼ストーカ4c上での燃焼により生じる高温の燃焼ガスGとによって乾燥されると共に廃棄物Wの一部に燃焼が始まる。これにより、廃棄物W中の水分が蒸発すると共に、COやHC等の未燃ガスが放出される。次に、乾燥された廃棄物Wは、引き続き乾燥ストーカ4aから燃焼ストーカ4b上へ送られ、ここで燃焼ストーカ4b下から供給される一次燃焼空気A1によって火炎を上げて燃焼をすると共に、燃焼ストーカ4bの下流側端部に於いて丁度燃え切り点に達する。そして、燃焼ストーカ4bの下流側端部に於いて燃え切った廃棄物Wは、引き続き後燃焼ストーカ4c上へ送られ、ここで後燃焼ストーカ4c下から供給される一次燃焼空気A1,A3により所謂おき燃焼をして未燃分が殆どない焼却灰となった後、灰出し口9から冷却水槽(図示省略)内へ落下排出される。
【0023】このストーカ式焼却炉1に於いては、ストーカ4下から供給する一次燃焼空気A1,A3の供給量を一次空気比で0.9?1.1とし、そのうち燃焼ストーカ4b上部に一次燃焼空気A1全体の約70%?80%を供給して不完全燃焼域(CO、HC等の未燃ガスを含んだ還元域)を形成すると共に、廃棄物W中の窒素成分がほぼ揮発してしまっている後燃焼ストーカ4c上部に約20%の一次燃焼空気A1,A3を供給するようにしている。又、後燃焼ストーカ4c上の温度が600℃以上となるように各ストーカ4a,4b,4c下へ供給する一次燃焼空気A1,A3の分配量を制御していると共に、後燃焼ストーカ4cに供給する一次燃焼空気A1,A3の量は最小とし、発生する燃焼ガスG中の残存酸素が約1%以下となるようにしている。従って、ストーカ4上方の一次燃焼室7は、強い還元性雰囲気に保たれることになり、NOxの発生を大幅に抑制することができると共に、廃棄物Wを完全燃焼させることができる。
【0024】又、このストーカ式焼却炉1に於いては、後燃焼ストーカ4c上方の燃焼ガスG′(温度:600℃?700℃)を送風機13により吸引室12a内に吸引してここで熱交換器14により燃焼ガスG′から熱回収し、減温した燃焼ガスG′(温度:300℃?350℃)を燃焼ガス供給管12cを通して燃焼ガス吹込み口12bから二次燃焼空気A2の吹き込み位置より上流側の燃焼室内(二次燃焼空気供給口20bより下方側の燃焼室内)に高速(50m/s)で吹き込んで一次燃焼室7で発生した燃焼ガスGを攪拌・混合し、二次燃焼空気A2の吹き込み位置より上流側の燃焼室内を燃焼ガスGの組成分布や温度が均一な弱還元性雰囲気にした後、押込み送風機21から上流側二次燃焼空気供給管20aを通って熱交換器14により予熱された二次燃焼空気A2を下流側二次燃焼空気供給管20cを通して二次燃焼空気供給口20bから二次燃焼室8内に吹き込むようにしている。このとき、二次燃焼室8に供給する二次燃焼空気A2の供給量を二次空気比で0.2?0.4となるようにしていると共に、一次燃焼空気A1,A3と二次燃焼空気A2の合計空気量を空気比で約1.3となるようしている。従って、一次燃焼室7で発生した未燃ガスや未燃物を含む燃焼ガスGは、燃焼ガス吹込み口12bから二次燃焼空気A2の吹き込み位置より上流側の燃焼室内に吹き込まれる燃焼ガスG′と、二次燃焼室8に吹き込まれる二次燃焼空気A2とにより二回に亘って攪拌・混合されることになる。即ち、各ストーカ4a,4b,4cから発生する成分の異なる燃焼ガスGは、炉内へ吹き込まれる燃焼ガスG′と二次燃焼空気A2とにより二回に亘って良好且つ確実に攪拌・混合され、その組成分布や温度が均一になると共に、二次燃焼空気A2と十分に混合されることになる。その結果、大量の燃焼空気を炉内へ吹き込むことなく、燃焼ガスG中の未燃ガスや未燃物を完全燃焼させることができると共に、COやダイオキシン類、NOx等の発生を十分に抑制することができる(CO<10ppm、DXN<0.5ngTEQ/m^(3 )N、NOx<60ppm)。又、後燃焼ストーカ4cの上方から引き抜かれる燃焼ガスG′は、腐蝕性ガスであるHCl等を殆ど含んでいないため、吸引室12aに配置した熱交換器14は腐食の問題を生じることもなく、寿命が大幅に延びることになる。更に、送風機13に流入する燃焼ガスG′を熱交換器14により減温しているため、送風機13が燃焼ガスG′の熱の影響を受けると云うこともなく、送風機13の寿命も延びることになる。
【0025】そして、未燃ガスや未燃物を含む燃焼ガスGは、二次燃焼空気A2の吹き込み位置より上流側の燃焼室内に吹き込まれる燃焼ガスG′と二次燃焼室8に吹き込まれる二次燃焼空気A2により完全燃焼した後、排ガスとなって排ガス出口10から排出され、ボイラ(図示省略)及び排ガス処理装置(図示省略)等を経て大気中へ放出される。」(段落【0021】ないし【0025】)

(オ)「【0028】
【発明の効果】以上の説明からも明らかなように、本発明は、ストーカ下から供給する一次燃焼空気の供給量を一次空気比で0.9?1.0とすると共に、ストーカの下流側上方の燃焼ガスを炉外へ引き抜いて一次燃焼室を強い還元性雰囲気にし、この引き抜いた燃焼ガスを二次燃焼空気の吹き込み位置より上流側の燃焼室内に吹き込んで燃焼室内を攪拌・混合し、二次燃焼空気の吹き込み位置より上流側の燃焼室内を燃焼ガスの組成分布や温度が均一な弱還元性雰囲気にし、その後二次燃焼室に二次燃焼空気を吹き込んで全空気比を1.3程度として未燃ガスや未燃物を燃焼させる三段燃焼方式としている。即ち、本発明は、炉内に燃焼ガスと二次燃焼空気を二回に亘って吹き込んで炉内を確実且つ良好に攪拌・混合し、炉内を燃焼ガスの組成分布や温度が均一な状態にするため、未燃ガスや未燃物等を全空気比約1.3で完全燃焼させることができる。その結果、燃焼室での攪拌・混合を十分に行うために空気比1.7?1.8で燃焼させていた従来のストーカ式焼却炉のように炉から排出される排ガス量が増加すると云うことがなく、排ガス量を大幅に低減できて焼却炉下流側に配置される排ガス処理装置等の機器を小型化することができる。又、燃焼ガスと二次燃焼空気の積極的な吹き込みにより、燃焼室内を廃棄物の種類や性状に拘わらず常に最適な状態で攪拌・混合することができ、未燃ガスや未燃物を完全燃焼できると共に、COやNOx、ダイオキシン類を大幅に抑制することができる。更に、HClやSOx等の腐食性ガス濃度が低く且つダスト量の少ない後燃焼ストーカ上方の燃焼ガスを引き抜き、この燃焼ガス中に熱交換器を配置するようにしているため、熱交換器に腐食の問題を生じることがなく、熱交換器の延命を図れる。又、熱交換器を空気予熱器とし、空気予熱器により予熱された高温の燃焼空気を下流側のストーカ下(後燃焼ストーカ下)へ供給するようにしているため、後燃焼ストーカ上の灰中の未燃分も効率良く燃焼させることができる。そのうえ、燃焼ガスを熱交換器により減温するようにしているため、燃焼ガスを吸引してこれを二次燃焼空気の吹き込み位置より上流側の燃焼室内に吹き込む送風機も燃焼ガスの熱の影響を受けることがなく、送風機も延命を図れることになる。」(段落【0028】)

イ 甲2技術1
上記ア(特に、段落【0008】、【0015】、【0020】、【0024】及び【0028】)及び図1の記載の記載によれば、甲第2号証には、次の技術(以下、「甲2技術1」という。)が記載されていると認める。
「ストーカ式焼却炉において、排ガス量を低減し、焼却炉下流側に配置される排ガス処理装置等の機器を小型化するために、後燃焼ストーカ4cの下方から予熱しない一次燃焼空気A1と熱交換器14により予熱された一次燃焼空気A3を供給する高温空気供給手段(一次燃焼空気供給装置11の一部分及び二次燃焼空気供給装置15のうちの分岐管20dに係る部分からなる手段)を備え、乾燥ストーカ4a及び燃焼ストーカ4bの下方から一次燃焼空気A1を供給する一次燃焼空気供給装置11と高温空気供給手段と二次燃焼室8に二次燃焼空気A2を供給する二次燃焼空気供給装置15とが、乾燥ストーカ4a及び燃焼ストーカ4bの下方から供給する一次燃焼空気A1、後燃焼ストーカ4cの下方から供給する高温の一次燃焼空気A1、A3及び二次燃焼室8に供給する二次燃焼空気A2により供給する合計空気量を理論燃焼空気量で除した空気比を約1.3の低空気比とするように一次燃焼空気A1、高温の一次燃焼空気A1、A3及び二次燃焼空気A2を供給する」技術。

ウ 甲2技術2
上記ア(特に、段落【0008】、【0022】、【0024】及び【0028】)及び図1の記載の記載によれば、甲第2号証には、次の技術(以下、「甲2技術2」という。)が記載されていると認める。
「ストーカ式焼却炉において、高温空気供給手段は、後燃焼ストーカ4c上の廃棄物Wの未燃分を燃焼すること、そして二次燃焼室で二次燃焼空気A2とともに未燃ガスと混合して未燃ガスを燃焼することのための必要な高温空気量を供給する」技術。

(3)甲第3号証
ア 甲第3号証の記載事項
本件出願の出願前に頒布され、取消理由に引用された刊行物である特開2004-85093号公報(以下、「甲第3号証」という。)には、「焼却炉の燃焼空気温度制御方法」に関して、図面とともに次の事項が記載されている。
(ア)「【0004】
炉内の燃焼状態を維持するために、50?200℃程度に過熱された空気(燃焼空気という)が搬送方向に分割された火格子下の空気吹き込み口から、乾燥段、燃焼段、後燃焼段の各々に吹き込まれる。燃焼空気は総流量が制御され、さらに火格子の各段下部に設置された火格子下ダンパ開度により各段への燃焼空気量が調整される。このダンパ開度は各段火格子上のごみ厚さ、炉内燃焼状態等に基づいて制御される。各吹き込み口へ配管が分岐する前に空気予熱器が設けてあり、燃焼空気はこの空気予熱器によって温度を調整されてから各々火格子下へ送られる。」(段落【0004】)

(イ)「【0007】
【発明が解決しようとする課題】
このように従来のごみ焼却炉では、炉内の燃焼状態に応じて搬送方向に分割された領域毎に燃焼空気量を調整するものであった。しかしながら、ごみを乾燥・燃焼させるために火格子上のごみ厚さやごみ質に応じて燃焼空気量のみを増減させるだけでは、炉内の燃焼バランス、特に炉内の空気バランスが変化し、CO、ダイオキシン等の有害物質を発生させる原因となる。例えば、質の悪いごみ、即ちカロリーが低い(水分含有率が高い)ごみが火格子上の特定の分割領域に存在した場合、そのごみを乾燥・燃焼させるには、その領域の空気流量を増加させることがある。
【0008】
しかしながら、この対処方法では、ごみが乾燥し、燃焼に転じるまでは空気は燃焼に寄与せず、そのまま炉内に過剰供給されて炉内温度を低下させる。また乾燥を促進させるために急速に流量を増加させると、局所的に空気の吹き抜けが発生して燃焼悪化の原因となる。
【0009】
また、特定の分割領域に存在する質の悪いごみに対応するために、燃焼空気温度を上げて乾燥を促進させることも可能である。しかしながら、従来の機構・制御方式ではすべての分割領域の燃焼空気温度が高くなるので、質の悪い(カロリーが低い)ごみと質の良い(カロリーが高い)ごみが同時に火格子上に存在する場合には、質の良いごみが存在する領域では燃焼が活発になりすぎ、その部分ではごみが薄くなるため吹き抜けが発生するなどにより燃焼のバランスが崩れてしまう。
【0010】
大型化した焼却炉においては、上述したごみの偏在による燃焼の不均一を解消するために、炉幅方向に分割された燃焼空気吹き込み口への燃焼空気量の配分量および燃焼空気総量の調整をする手法が提案されている。しかし、分割された領域ごとに燃焼空気流量を変化させることだけでごみの偏在を解消させようとすると、搬送方向のみに分割された場合と同様な現象が炉幅方向にも発生し、ごみの搬送および炉幅方向における燃焼の不均一、不安定を招く恐れがある。
【0011】
本発明は係る事情に鑑みてなされたものであって、焼却炉、特に炉内の広い大型の焼却炉において安定した燃焼を維持することのできる燃焼空気温度制御方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解消するための本発明は、燃焼空気配管を分割し、分割された配管毎に温度調節が可能な機構をもつごみ焼却炉に適用され、火格子に埋め込まれている温度計値に基き、各火格子下の燃焼空気温度を制御する焼却炉の燃焼空気温度制御方法である。
【0013】
火格子温度と火格子上のごみ質との間には、ごみの質が悪い(カロリーが低い)と燃焼が不活発になり火格子温度が低下し、逆にごみの質が良い(カロリーが高い)と燃焼が活発になり火格子温度が上昇するという関係がある。燃焼空気温度が高いと乾燥は促進、燃焼は活発され、逆に燃焼空気温度が低いと燃焼は不活発になるため、燃焼空気温度を変化させることで乾燥・燃焼速度を変化させることが可能になる。よって火格子上のごみ質に応じて燃焼空気温度を制御することで、火格子上のごみ性状、特に水分含有量を均一化することが可能となる。
【0014】
焼却炉においては、ごみ質の不均一などにより炉内火格子上のごみの偏在が発生し、燃焼の不均一が生じることがある。その質の異なるごみ偏在を火格子温度で検知し、それに応じて分割した配管毎で空気温度を調節し、各火格子下へ吹き込み、燃焼速度を変化させることで、偏在を解消し、燃焼の不均一を抑制することが可能となる。
【0015】
また本発明は、燃焼空気配管を分割し、分割された配管毎に温度調節が可能な機構をもつごみ焼却炉に適用され、乾燥段燃焼空気吹き込み口の炉幅方向に対して垂直上部に設置された温度計値に基き、乾燥段の燃焼空気温度を制御する焼却炉の燃焼空気温度制御方法である。」(段落【0007】ないし【0015】)

イ 甲3技術
上記ア(特に、段落【0004】)及び図1の記載によれば、甲第3号証には、次の事項(以下、(以下、「甲3技術」という。)が記載されていると認める。
「火格子式のごみ焼却炉において、火格子の下方から供給される空気の温度を50ないし200℃程度とする」技術。

4 判断
(1)取消理由通知に記載した取消理由について
ア 本件訂正発明1について
(ア)対比
本件訂正発明1と甲1発明1とを、その機能、構造又は技術的意義を考慮して対比する。
・甲1発明1における「乾燥段の火格子1a」は、本件訂正発明1における「乾燥火格子」に相当し、以下同様に、「燃焼段の火格子1b」は「燃焼火格子」に、「後燃焼段の火格子1c」は「後燃焼火格子」に、「ごみ」は「廃棄物」に、「一次燃焼室」は「主燃焼室」に、「未燃ガス」は「未燃ガス」に、「二次燃焼室」は「二次燃焼室」に、「蒸気発生用ボイラ5」は「廃熱ボイラ」に、「火格子式のごみ焼却炉1」は「火格子式の廃棄物焼却炉」に、「一次燃焼空気」は「一次空気」に、「一次燃焼空気供給系」は「一次空気供給手段」に、「二次燃焼空気」は「二次空気」に、「二次燃焼空気供給系」は「二次空気供給手段」に、「二次燃焼空気供給量」は「二次空気供給量」に、「二次燃焼空気制御手段20」は「制御装置」に、「O_(2)濃度センサ18」は「酸素濃度計」に、それぞれ相当する。

・甲1発明1における「後燃焼段の火格子1cの下方から予熱しない一次燃焼空気を供給する、一次燃焼空気供給系の一部である後燃焼段の火格子1c下の空気供給手段」は、本件訂正発明1における「後燃焼火格子の下方から100?200℃の高温空気を供給する高温空気供給手段」に、「後燃焼火格子の下方から一次空気を供給する後燃焼火格子下の空気供給手段」という限りにおいて一致する。

・甲1発明1における「後燃焼段の火格子1c下の空気供給手段は、一次燃焼空気を後燃焼段の火格子1cの下方から供給し上方へ上昇させ一次燃焼室から二次燃焼室内に流入させ」るは、本件訂正発明1における「高温空気供給手段は、高温空気を後燃焼火格子の下方から供給し上方へ上昇させ主燃焼室から二次燃焼室内に流入させ、後燃焼火格子上の廃棄物の未燃分を燃焼すること、そして二次燃焼室で二次空気とともに未燃ガスと混合して未燃ガスを燃焼することのための必要量以上の高温空気量を供給」するに、「後燃焼火格子下の空気供給手段は、一次空気を後燃焼火格子の下方から供給し上方へ上昇させ主燃焼室から二次燃焼室内に流入させ」るという限りにおいて一致する。

・甲1発明1における「排ガス中酸素濃度測定値」が「一定値以上のとき」及び「下限設定値より低いとき」は、それぞれ、本件訂正発明1における「排ガス中酸素濃度測定値」が「所定範囲より高いとき」及び「所定範囲より低いとき」に相当する。
そして、甲1発明1における「二次燃焼空気制御手段20は、O_(2)濃度センサ18により測定された排ガス中酸素濃度測定値に基づき、排ガス中酸素濃度測定値が一定値以上のとき二次燃焼空気供給量を減少し、下限設定値より低いとき二次燃焼空気供給量を増加することで、測定値が下限設定値から一定値未満までの所定範囲内に収まるように二次燃焼空気供給量を制御する」は、本件訂正発明1における「制御装置は、酸素濃度計により測定された排ガス中酸素濃度測定値に基づき、排ガス中酸素濃度測定値が所定範囲より高いとき二次空気供給量を減少し、所定範囲より低いとき二次空気供給量を増加することで、測定値が所定範囲内に収まるように二次空気供給量を制御する」に相当する。

したがって、両者は
「乾燥火格子、燃焼火格子そして後燃焼火格子が順に設けられ廃棄物を燃焼する主燃焼室と、主燃焼室での燃焼後の未燃ガスを燃焼する二次燃焼室と廃熱ボイラとを有する火格子式の廃棄物焼却炉において、
二次燃焼室が後燃焼火格子の上方に設けられた主燃焼室の出口に接続され、
乾燥火格子と燃焼火格子のそれぞれの下方から予熱しない一次空気を供給する一次空気供給手段と、
後燃焼火格子の下方から一次空気を供給する後燃焼火格子下の空気供給手段と、二次燃焼室へ二次空気を供給する二次空気供給手段と、二次空気供給量を制御する制御装置と、廃熱ボイラから排出される排ガスの酸素濃度を測定する酸素濃度計とを有し、
後燃焼火格子下の空気供給手段は、一次空気を後燃焼火格子の下方から供給し上方へ上昇させ主燃焼室から二次燃焼室内に流入させ、
制御装置は、酸素濃度計により測定された排ガス中酸素濃度測定値に基づき、排ガス中酸素濃度測定値が所定範囲より高いとき二次空気供給量を減少し、所定範囲より低いとき二次空気供給量を増加することで、測定値が所定範囲内に収まるように二次空気供給量を制御する、
廃棄物焼却炉。」という点で一致し、次の点で相違する。

[相違点1]
「後燃焼火格子の下方から一次空気を供給する後燃焼火格子下の空気供給手段」に関し、本件訂正発明1においては、「後燃焼火格子の下方から100?200℃の高温空気を供給する高温空気供給手段」であるのに対して、甲1発明1においては、「後燃焼段の火格子1cの下方から予熱しない一次燃焼空気を供給する、一次燃焼空気供給系の一部である後燃焼段の火格子1c下の空気供給手段」である点(以下、「相違点1」という。)。

[相違点2]
本件訂正発明1においては、「後燃焼火格子は、廃棄物の移動方向長さが常温空気を供給する場合に比べて短く設定されて」いるのに対して、甲1発明1においては、「後燃焼段の火格子1c」における「ごみ」の移動方向長さが、そのように設定されていない点(以下、「相違点2」という。)。

[相違点3]
本件訂正発明1においては、「一次空気供給手段と高温空気供給手段と二次空気供給手段とが、一次空気、高温空気及び二次空気により供給する総空気量を廃棄物の燃焼に必要な理論空気量で除した空気比を1.3以下の低空気比とするように一次空気、高温空気及び二次空気を供給」するのに対して、甲1発明1においては、高温空気供給手段を備えておらず、「一次空気、高温空気及び二次空気により供給する総空気量を廃棄物の燃焼に必要な理論空気量で除した空気比を1.3以下の低空気比とするように一次空気、高温空気及び二次空気を供給」するものではない点(以下、「相違点3」という。)。

[相違点4]
「後燃焼火格子下の空気供給手段は、一次空気を後燃焼火格子の下方から供給し上方へ上昇させ主燃焼室から二次燃焼室内に流入させ」ることに関し、本件訂正発明1においては、「高温空気供給手段は、高温空気を後燃焼火格子の下方から供給し上方へ上昇させ主燃焼室から二次燃焼室内に流入させ、後燃焼火格子上の廃棄物の未燃分を燃焼すること、そして二次燃焼室で二次空気とともに未燃ガスと混合して未燃ガスを燃焼することのための必要量以上の高温空気量を供給」するのに対して、甲1発明1においては、「後燃焼段の火格子1c下の空気供給手段は、一次燃焼空気を後燃焼段の火格子1cの下方から供給し上方へ上昇させ一次燃焼室から二次燃焼室内に流入させ」る点(以下、「相違点4」という。)。

[相違点5]
本件訂正発明1においては、「排ガス中酸素濃度の上記所定範囲の下限は、COスパイクが起きないような酸素濃度として定められ、上記所定範囲の上限は、焼却炉に供給される空気量が極力低空気比となるような酸素濃度として定められる」のに対して、甲1発明1においては、「排ガス中酸素濃度測定値」の「所定範囲」の上限値及び下限値がどのように定められるのか明らかでない点(以下、「相違点5」という。)。

(イ)判断
a 上記相違点1ないし5の検討に先立ち、甲2技術1及び甲2技術2を本件訂正発明1の用語で表現するために対応関係を検討すると、「ストーカ式焼却炉」は「火格子式の廃棄物焼却炉」に、「後燃焼ストーカ4c」は「後燃焼火格子」に、「予熱しない一次燃焼空気A1と熱交換器14により予熱された一次燃焼空気A3」は「高温空気」に、「高温空気供給手段」は「高温空気供給手段」に、「乾燥ストーカ4a及び燃焼ストーカ4bの下方から一次燃焼空気A1を供給する一次燃焼空気供給装置11」は「一次空気供給手段」に、「二次燃焼室8に二次燃焼空気A2を供給する二次燃焼空気供給装置15」は「二次空気供給手段」に、「乾燥ストーカ4a及び燃焼ストーカ4bの下方から供給する一次燃焼空気A1」は「一次空気」に、「後燃焼ストーカ4cの下方から供給する高温の一次燃焼空気A1、A3」は「高温空気」に、「二次燃焼室8に供給する二次燃焼空気A2」は「二次空気」に、「合計空気量」は「総空気量」に、「理論燃焼空気量」は「廃棄物の燃焼に必要な理論空気量」に、「廃棄物W」は「廃棄物」に、「必要な高温空気量」は「必要量以上の高温空気量」に、それぞれ相当する。
そうすると、甲2技術1及び甲2技術2は、次のとおり表現することができる。

(a)甲2技術1
「火格子式の廃棄物焼却炉において、排ガス量を低減し、焼却炉下流側に配置される排ガス処理装置等の機器を小型化するために、後燃焼火格子の下方から高温空気を供給する高温空気供給手段を備え、一次空気供給手段と高温空気供給手段と二次空気供給手段とが、一次空気、高温空気及び二次空気により供給する総空気量を廃棄物の燃焼に必要な理論空気量で除した空気比を約1.3の低空気比とするように一次空気、高温空気及び二次空気を供給する」技術。

(b)甲2技術2
「火格子式の廃棄物焼却炉において、高温空気供給手段は、後燃焼火格子上の廃棄物の未燃分を燃焼すること、そして二次燃焼室で二次空気とともに未燃ガスと混合して未燃ガスを燃焼することのための必要量以上の高温空気量を供給する」技術。

b そこで、事案に鑑み、相違点2について検討する。
上記bで検討した甲2技術1及び甲2技術2は、上記相違点2に係る本件訂正発明1の発明特定事項を備えたものではない。
また、甲3技術に示されているように、火格子式の廃棄物焼却炉において、炉内の安定した燃焼を維持するために、火格子の下方から供給される空気の温度を50ないし200℃程度とすることは、本件出願の出願前に周知の技術(以下、「周知技術」という。)であるが、周知技術は、上記相違点2に係る本件訂正発明1の発明特定事項を備えたものではない。
さらに、廃棄物焼却炉において、設備の小型化を図ることは普遍的な課題であり、甲1発明1においても内在する課題であって、しかも、甲2技術1は、甲第2号証の段落【0005】ないし【0008】の記載を参酌すると、排ガス量を低減し、焼却炉下流側に配置される排ガス処理装置等の機器を小型化するための技術であると認められるところ、甲1発明1において、甲2技術1を適用することにより、排ガス処理装置の小型化を図ることは当業者が容易に想到できるものの、後燃焼火格子における廃棄物の移動方向長さが常温空気を供給する場合に比べて短く設定されるようにすることまでは、当業者が容易に想到できたものとはいえない。
そうすると、甲1発明1において、甲2技術1、甲2技術2及び周知技術を適用することができたとしても、上記相違点2に係る本件訂正発明1の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到できたことではない。
そして、本件訂正発明1は、上記相違点2に係る本件訂正発明1の発明特定事項を備えることにより、特許明細書等における明細書の段落【0023】及び【0035】に記載されているように、後燃焼火格子の長さ、すなわち面積を縮小することができるという顕著な効果を奏するものである。

c したがって、相違点1及び3ないし5について検討するまでもなく、本件訂正発明1は、甲1発明1、甲2技術1、甲2技術2及び周知技術に基づき、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(ウ)まとめ
上記(イ)のとおり、本件訂正発明1は、甲1発明1、甲2技術1、甲2技術2及び周知技術に基づき、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
よって、請求項1に係る特許は、取消理由により特許法第29条第2項の規定に違反してされたものとすることはできず、同法第113条第2号に該当するものではないから、取り消すことはできない。

イ 本件訂正発明2について
(ア)対比
本件訂正発明2と甲1発明2とを、上記ア(ア)の本件訂正発明1と甲1発明1との対比の検討を踏まえて対比すると、
「乾燥火格子、燃焼火格子そして後燃焼火格子が順に設けられ廃棄物を燃焼する主燃焼室と、主燃焼室での燃焼後の未燃ガスを燃焼する二次燃焼室と廃熱ボイラとを有する火格子式の廃棄物焼却炉を用いる廃棄物焼却方法において、
乾燥火格子と燃焼火格子のそれぞれの下方から予熱しない一次空気を供給し、後燃焼火格子の下方から後燃焼火格子下の空気供給手段により一次空気を供給し、二次空気供給手段により二次燃焼室の入口へ二次空気を供給し、
後燃焼火格子下の空気供給手段により、一次空気を後燃焼火格子の下方から供給し上方へ上昇させ、後燃焼火格子の上方に設けられた主燃焼室出口に接続された二次燃焼室内に流入させ、
廃熱ボイラから排出される排ガスの酸素濃度を酸素濃度計により測定し、
酸素濃度計により測定された排ガス中酸素濃度測定値に基づき、排ガス中酸素濃度測定値が所定範囲より高いとき二次空気供給量を減少し、所定範囲より低いとき二次空気供給量を増加することで、測定値が所定範囲内に収まるように二次空気供給量を制御する、
廃棄物焼却方法。」という点で一致し、次の点で相違する。

[相違点1’]
本件訂正発明2においては、「後燃焼火格子」が、「廃棄物の移動方向長さが常温空気を供給する場合に比べて短く設定されている」のに対して、甲1発明2においては、「後燃焼段の火格子1c」における「ごみ」の移動方向長さが、そのように設定されていない点(以下、「相違点1’」という。)。

[相違点2’]
「後燃焼火格子の下方から後燃焼火格子下の空気供給手段により一次空気を供給」することに関し、本件訂正発明2においては、「後燃焼火格子の下方から高温空気供給手段により100?200℃の高温空気を供給」するのに対して、甲1発明2においては、「後燃焼段の火格子1cの下方から後燃焼段の火格子1c下の空気供給手段により予熱しない一次燃焼空気を供給」する点(以下、「相違点2’」という。)。

[相違点3’]
本件訂正発明2においては、「一次空気、高温空気及び二次空気により供給する総空気量を廃棄物の燃焼に必要な理論空気量で除した空気比を1.3以下の低空気比とするように一次空気、高温空気及び二次空気を供給」するのに対して、甲1発明2においては、高温空気供給手段を備えておらず、「一次空気、高温空気及び二次空気により供給する総空気量を廃棄物の燃焼に必要な理論空気量で除した空気比を1.3以下の低空気比とするように一次空気、高温空気及び二次空気を供給」するものではない点(以下、「相違点3’」という。)。

[相違点4’]
「後燃焼火格子下の空気供給手段により、一次空気を後燃焼火格子の下方から供給し上方へ上昇させ、後燃焼火格子の上方に設けられた主燃焼室出口に接続された二次燃焼室内に流入させ」ることに関し、本件訂正発明2においては、「高温空気供給手段により、高温空気を後燃焼火格子の下方から供給し上方へ上昇させ、後燃焼火格子の上方に設けられた主燃焼室出口に接続された二次燃焼室内に流入させ、後燃焼火格子上の廃棄物の未燃分を燃焼すること、そして主燃焼室から二次燃焼室内に流入し二次空気とともに未燃ガスと混合して未燃ガスを燃焼することのための必要量以上の高温空気量を供給」するのに対して、甲1発明2においては、「後燃焼段の火格子1c下の空気供給手段により、一次燃焼空気を後燃焼段の火格子1cの下方から供給し上方へ上昇させ、後燃焼段の火格子1cの上方に設けられた一次燃焼室出口に接続された二次燃焼室内に流入させ」る点(以下、「相違点4’」という。)。

[相違点5’]
本件訂正発明2においては、「排ガス中酸素濃度の上記所定範囲の下限は、COスパイクが起きないような酸素濃度として定められ、上記所定範囲の上限は、焼却炉に供給される空気量が極力低空気比となるような酸素濃度として定められる」のに対して、甲1発明2においては、「排ガス中酸素濃度測定値」の「所定範囲」の上限値及び下限値がどのように定められるのか明らかでない点(以下、「相違点5’」という。)。

(イ)判断
a 本件訂正発明2は、火格子式の廃棄物焼却炉を用いる廃棄物焼却方法に係る発明であって、火格子式の廃棄物焼却炉に係る本件訂正発明1を方法として表したものであり、相違点1’は、上記ア(ア)における相違点2と実質的に同じである。
そこで、上記ア(イ)の判断を踏まえると、甲1発明2において、甲2技術1、甲2技術2及び周知技術を適用できたとしても、上記相違点1’に係る本件訂正発明2の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到できたことではない。
そして、本件訂正発明2は、上記相違点1’に係る本件訂正発明2の発明特定事項を備えることにより、特許明細書等における明細書の段落【0023】及び【0035】に記載されているように、後燃焼火格子の長さ、すなわち面積を縮小することができるという顕著な効果を奏するものである。
c したがって、相違点2’ないし5’について検討するまでもなく、本件訂正発明2は、甲1発明2、甲2技術1、甲2技術2及び周知技術に基づき、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(ウ)まとめ
上記(イ)のとおり、本件訂正発明2は、甲1発明2、甲2技術1、甲2技術2及び周知技術に基づき、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
よって、請求項2に係る特許は、取消理由により特許法第29条第2項の規定に違反してされたものとすることはできず、同法第113条第2号に該当するものではないから、取り消すことはできない。

(2)申立人の意見について
ア 意見の内容
申立人は平成28年11月7日に提出した意見書において、概ね以下の主張をする。
(ア)本件訂正発明1では、「後燃焼火格子は、廃棄物の移動方向長さが常温空気を供給する場合に比べて短く設定されており」という発明特定事項が追加されている。
しかしながら、常温空気を供給する場合の後燃焼火格子の廃棄物移動方向の長さは任意に設計可能である。つまり、比較対象となる長さが定まらず、後燃焼火格子の長さをどの程度とすればよいかが不明瞭である。従って、本件訂正発明1は明確ではない。

(イ)本件訂正発明1では、「排ガス中酸素濃度の所定範囲の下限は、COスパイクが起きないような酸素濃度として定められ」という発明特定事項が追加されている。
しかしながら、排ガス中酸素濃度の所定範囲の下限をどの程度とすればCOスパイクを防止できるかは不明瞭である。従って、本件訂正発明1は明確ではない。
また、そのような排ガス中酸素濃度の所定範囲の下限については明細書中に具体的な数値が記載されておらず、その下限を決定するには当業者に過度の試行錯誤を要するため、特許法第36条第4項第1号にも違反する。

(ウ)本件訂正発明1では、「焼却炉に供給される空気量が極力低空気比となる」という発明特定事項が追加されている。
しかしながら、「極力低空気比となる」とは、どの程度の空気比であればよいかが不明瞭である。従って、訂正発明1は明確ではない。

(エ)相違点2に関し、後燃焼火格子に高温空気を供給する場合に、後燃焼火格子の廃棄物移動方向の長さを常温空気を供給する場合よりも短く設定することは、当業者の通常の知識をもってすれば当然行う設計事項である。
相違点5のうち、「排ガス中酸素濃度の所定範囲の下限」に関し、CO濃度計に代えて酸素濃度計を用いて排ガス中の酸素濃度の上下によりCO濃度を推測すると共にCO濃度が高くなりすぎないように(例えばCOスパイクが発生しないように)酸素濃度の下限を定めるように構成することは、当業者であれば容易に考え出すことができる設計事項である。
「排ガス中酸素濃度の所定範囲の上限」に関し、燃焼炉に供給される空気量を1.3以下の低空気比とすることについては、甲2号証に基づいて当業者であれば容易に想到できる。燃焼炉に供給される空気量が“極力”低空気比となるような範囲で排ガス中酸素濃度の上限を定めるように構成することは当業者であれば容易に考え出すことができる設計事項である。
よって、本件訂正発明1は、依然として、甲第1号証及び甲第2号証並びに周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(オ)本件訂正発明2で追加された発明特定事項は、本件訂正発明1と同じである。従って、本件訂正発明1と同様に、本件訂正発明2は、明確ではなく、かつ、進歩性を有しない。

イ 意見に対する検討
そこで、申立人の意見について以下に検討する。
(ア)上記ア(ア)の主張について
本件訂正発明1における「後燃焼火格子は、廃棄物の移動方向長さが常温空気を供給する場合に比べて短く設定されており」という発明特定事項については、本件訂正発明1を適用する前提となる所定の仕様の火格子式の廃棄物焼却炉における、常温空気を供給するようにされた後燃焼火格子の廃棄物の移動方向長さが比較対象とされるものと認められるから、本件訂正発明1が不明確であるとはいえない。

(イ)上記ア(イ)の主張について
本件訂正発明1における「排ガス中酸素濃度の所定範囲の下限は、COスパイクが起きないような酸素濃度として定められ」という発明特定事項については、当業者が本件訂正発明を実施する際に、実際に現場に設置される火格子式の廃棄物焼却炉に応じて設定される事項であるから、不明確であるとはいえない。
また、排ガス中酸素濃度の所定範囲の下限については明細書中に具体的な数値が記載されておらず、その設定を試行錯誤する必要があるとしても、CO濃度や酸素濃度を測定しながらCO濃度が設定値を超えないようにすることは通常行われることであるから、当業者にとって過度のものとはいえず、明細書における発明の詳細な説明の記載が特許法第36条第4項第1号の規定に違反するものともいえない。

(ウ)上記ア(ウ)の主張について
本件訂正発明1における「焼却炉に供給される空気量が極力低空気比となる」という発明特定事項については、本件訂正発明1において、「一次空気、高温空気及び二次空気により供給する総空気量を廃棄物の燃焼に必要な理論空気量で除した空気比を1.3以下の低空気比とするように一次空気、高温空気及び二次空気を供給」することが特定されているのであるから、どの程度の空気比であればよいかが不明瞭であるとはいえず、本件訂正発明1が不明確であるとはいえない。

(エ)上記ア(エ)の主張について
上記(1)アで検討したしたとおり、相違点2に係る本件訂正発明1の発明特定事項は、当業者が容易に想到することができないから、相違点5について検討するまでもなく、本件訂正発明1は、甲1発明1、甲2技術1、甲2技術2及び周知技術に基づき、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(オ)上記ア(オ)の主張について
上記(ア)ないし(エ)の検討を踏まえると、本件訂正発明2は、明確であり、かつ、進歩性を有するものである。

したがって、申立人の意見は採用しない。

第4 むすび
以上のとおりであるから、取消理由によっては、請求項1及び2に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1及び2に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾燥火格子、燃焼火格子そして後燃焼火格子が順に設けられ廃棄物を燃焼する主燃焼室と、主燃焼室での燃焼後の未燃ガスを燃焼する二次燃焼室と廃熱ボイラとを有する火格子式の廃棄物焼却炉において、
二次燃焼室が後燃焼火格子の上方に設けられた主燃焼室の出口に接続され、
乾燥火格子と燃焼火格子のそれぞれの下方から予熱しない一次空気を供給する一次空気供給手段と、後燃焼火格子の下方から100?200℃の高温空気を供給する高温空気供給手段と、二次燃焼室へ二次空気を供給する二次空気供給手段と、二次空気供給量を制御する制御装置と、廃熱ボイラから排出される排ガスの酸素濃度を測定する酸素濃度計とを有し、
後燃焼火格子は、廃棄物の移動方向長さが常温空気を供給する場合に比べて短く設定されており、
一次空気供給手段と高温空気供給手段と二次空気供給手段とが、一次空気、高温空気及び二次空気により供給する総空気量を廃棄物の燃焼に必要な理論空気量で除した空気比を1.3以下の低空気比とするように一次空気、高温空気及び二次空気を供給し、
高温空気供給手段は、高温空気を後燃焼火格子の下方から供給し上方へ上昇させ主燃焼室から二次燃焼室内に流入させ、後燃焼火格子上の廃棄物の未燃分を燃焼すること、そして二次燃焼室で二次空気とともに未燃ガスと混合して未燃ガスを燃焼することのための必要量以上の高温空気量を供給し、
制御装置は、酸素濃度計により測定された排ガス中酸素濃度測定値に基づき、排ガス中酸素濃度測定値が所定範囲より高いとき二次空気供給量を減少し、所定範囲より低いとき二次空気供給量を増加することで、測定値が所定範囲内に収まるように二次空気供給量を制御し、
排ガス中酸素濃度の上記所定範囲の下限は、COスパイクが起きないような酸素濃度として定められ、上記所定範囲の上限は、焼却炉に供給される空気量が極力低空気比となるような酸素濃度として定められる、
ことを特徴とする廃棄物焼却炉。
【請求項2】
乾燥火格子、燃焼火格子そして後燃焼火格子が順に設けられ廃棄物を燃焼する主燃焼室と、主燃焼室での燃焼後の未燃ガスを燃焼する二次燃焼室と廃熱ボイラとを有する火格子式の廃棄物焼却炉を用いる廃棄物焼却方法において、
乾燥火格子と燃焼火格子のそれぞれの下方から予熱しない一次空気を供給し、廃棄物の移動方向長さが常温空気を供給する場合に比べて短く設定されている後燃焼火格子の下方から高温空気供給手段により100?200℃の高温空気を供給し、二次空気供給手段により二次燃焼室の入口へ二次空気を供給し、一次空気、高温空気及び二次空気により供給する総空気量を廃棄物の燃焼に必要な理論空気量で除した空気比を1.3以下の低空気比とするように一次空気、高温空気及び二次空気を供給し、
高温空気供給手段により、高温空気を後燃焼火格子の下方から供給し上方へ上昇させ、後燃焼火格子の上方に設けられた主燃焼室出口に接続された二次燃焼室内に流入させ、後燃焼火格子上の廃棄物の未燃分を燃焼すること、そして主燃焼室から二次燃焼室内に流入し二次空気とともに未燃ガスと混合して未燃ガスを燃焼することのための必要量以上の高温空気量を供給し、
廃熱ボイラから排出される排ガスの酸素濃度を酸素濃度計により測定し、
酸素濃度計により測定された排ガス中酸素濃度測定値に基づき、排ガス中酸素濃度測定値が所定範囲より高いとき二次空気供給量を減少し、所定範囲より低いとき二次空気供給量を増加することで、測定値が所定範囲内に収まるように二次空気供給量を制御し、
排ガス中酸素濃度の上記所定範囲の下限は、COスパイクが起きないような酸素濃度として定められ、上記所定範囲の上限は、焼却炉に供給される空気量が極力低空気比となるような酸素濃度として定められる、
ことを特徴とする廃棄物焼却方法。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2017-01-05 
出願番号 特願2012-132784(P2012-132784)
審決分類 P 1 651・ 121- YAA (F23L)
P 1 651・ 832- YAA (F23L)
最終処分 維持  
前審関与審査官 渡邉 洋  
特許庁審判長 中村 達之
特許庁審判官 金澤 俊郎
槙原 進
登録日 2015-09-04 
登録番号 特許第5800237号(P5800237)
権利者 JFEエンジニアリング株式会社
発明の名称 廃棄物焼却炉及び廃棄物焼却方法  
代理人 藤岡 努  
代理人 藤岡 徹  
代理人 藤岡 努  
代理人 藤岡 徹  
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