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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06Q
管理番号 1326351
審判番号 不服2016-7499  
総通号数 209 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-05-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-05-23 
確定日 2017-04-10 
事件の表示 特願2015-195192「給与計算システム、給与計算方法、給与計算プログラム」拒絶査定不服審判事件〔、請求項の数(9)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯

本願は,平成27年9月30日に特許出願したものであって,平成27年11月5日付けで拒絶理由が通知され,平成27年12月22日に意見書の提出とともに手続補正がされたが,平成28年2月19日付けで拒絶査定がされ,これに対して,平成28年5月23日に拒絶査定不服審判が請求され,同時に手続補正がされたものである。

第2 平成28年5月23日付けの手続補正(以下,「本件補正」という。)の適否

1.補正の内容

(1)本件補正により,特許請求の範囲は,次のとおり補正された(下線部は,補正箇所である。)。

「 【請求項1】
自宅勤務制度を有する場合がある会社に勤務する従業員である者を識別する情報である従業員識別情報を保持する従業員識別情報保持部と,
前記従業員が時間と関連付けて公共サービスを受けて消費した量である公共サービス消費量を取得する公共サービス消費量取得部と,
取得した公共サービス消費量を時間と関連付けて保持する公共サービス消費量保持部と,
命令取得部と,
命令取得部が取得した命令に基づいて保持されている公共サービス消費量を時間及び従業員識別情報と関連付けて送信する公共サービス消費量送信部と,
を有する公共サービス消費情報装置と,
公共サービス消費情報装置から送信される時間及び従業員識別情報と関連付けられた公共サービス消費量を受信する公共サービス消費量受信部と,
受信した公共サービス消費量に基づいて従業員である者に対して会社から公共サービス供給事業者に代わって請求すべき公共サービス消費に関連した対価を計算するためのルールであって変動する電力供給コストに応じて変更され得る対価計算ルールを保持する対価計算ルール保持部と,
受信した公共サービス消費量と保持されている対価計算ルールとに基づいて従業員である者に対して前記会社から公共サービス供給事業者に代わって請求する対価を計算する対価計算部と,
計算された対価を従業員識別情報と関連付けて出力する対価出力部と,
を有する対価計算装置と,
出力された対価を取得する対価取得部と,
取得した対価に基づいて従業員である者に対して公共サービス供給事業者に代わって請求するための会社の手数料を上乗せして従業員である者に請求すべき額である請求額を計算するためのルールである請求額計算ルールを保持する請求額計算ルール保持部と,
取得した対価と,保持されている請求額計算ルールに基づいて請求額を計算する請求額計算部と,
前記従業員の勤務時間に関する情報である勤務時間情報を従業員識別情報と関連付けて取得する勤務時間情報取得部と,
取得した勤務時間情報と取得した請求額とに基づいて会社から前記従業員である者に支払われるべき給与を計算するルールである給与計算ルールとして,
勤務時間情報に基づいて支払われるべき給与から計算した請求額を差し引いて給与を計算するルールである第一ルールか,
その従業員がその給与支払いに相当する勤務期間内に自宅勤務がある場合には自宅勤務時間に関する情報である自宅勤務時間情報に基づいて,給与から差し引かれるべき請求額のすくなくとも一部を会社負担して差し引き給与を計算する第二ルールか,のいずれかのルールを保持可能な給与計算ルール保持部と,
給与計算ルール保持部に保持されている給与計算ルールに基づいて給与を計算する給与計算部と,
を有する給与計算装置と,
からなる給与計算システム。
【請求項2】
公共サービス消費情報装置は,
公共サービス消費量上限目標値を時間と関連付けて保持する公共サービス消費量上限目標値保持部と,
時間と関連付けて公共サービス消費量の予測値である予測公共サービス消費量を取得する予測公共サービス消費量取得部と,
予測公共サービス消費量取得部で取得した予測公共サービス消費量が保持されている公共サービス消費量上限目標値を上回る場合に公共サービス消費量警告を出力する公共サービス消費量警告出力部と,
をさらに有する請求項1に記載の給与計算システム。
【請求項3】
給与計算装置は,
公共サービス消費情報装置が出力する公共サービス消費量警告を取得する公共サービス消費量警告取得部と,
請求額の上限値目標である請求額上限目標値を保持する請求額上限目標値保持部と,
公共サービス消費量警告取得部にて公共サービス消費量警告を取得した場合には,請求額計算部で計算される請求額が請求額上限目標値を超過するか判断する判断部と,
判断部での判断結果が超過するとの判断結果である場合には請求額が請求額上限目標値を超過する旨の警告である請求額上限目標値超過警告を出力する請求額上限目標値超過警告出力部と,
をさらに有する請求項2に記載の給与計算システム。
【請求項4】
自宅勤務制度を有する場合がある会社に勤務する従業員の従業員居住宅での公共サービス消費量を時間と関連付けて取得する公共サービス消費量取得ステップと,
取得した公共サービス消費量に基づいて従業員である者に対して会社から公共サービス供給事業者に代わって請求すべき公共サービス消費に関連した対価を計算するためのルールであって変動する電力供給コストに応じて変更され得る対価計算ルールと,取得した公共サービス消費量と,に基づいて従業員である者に対して前記会社から公共サービス供給事業者に代わって請求する対価を計算する対価計算ステップと,
計算された対価を従業員識別情報と関連付けて出力する対価出力ステップと,
取得した対価に基づいて従業員である者に対して公共サービス供給事業者に代わって請求するための会社の手数料を上乗せして従業員である者に請求すべき額である請求額を計算するためのルールである請求額計算ルールと,取得した対価とに基づいて請求額を計算する請求額計算ステップと,
前記従業員の勤務時間に関する情報である勤務時間情報を従業員識別情報と関連付けて取得する勤務時間情報取得ステップと,
取得した勤務時間情報と計算した請求額とに基づいて会社から前記従業員に支払われるべき給与を計算するルールである給与計算ルールとして,
勤務時間情報に基づいて支払われるべき給与から計算した請求額を差し引いて給与を計算するルールである第一ルールか,
勤務時間情報に基づいて支払われるべき給与から計算した請求額を差し引いて給与を計算し,その従業員がその給与支払いに相当する勤務時間内に自宅勤務がある場合には自宅勤務時間に関する情報に基づいて,給与から差し引かれるべき請求額のすくなくとも一部を会社負担して差し引き給与を計算する第二ルールか,のいずれかのルールに基づいて給与を計算する給与計算ステップと,
からなる各ステップを計算機に実行させる給与計算方法。
【請求項5】
自宅勤務制度を有する場合がある会社に勤務する従業員の従業員居住宅での公共サービス消費量を時間と関連付けて取得する公共サービス消費量取得ステップと,
取得した公共サービス消費量に基づいて従業員である者に対して会社から公共サービス供給事業者に代わって請求すべき公共サービス消費に関連した対価を計算するためのルールであって変動する電力供給コストに応じて変更され得る対価計算ルールと,取得した公共サービス消費量と,に基づいて従業員である者に対して前記会社から公共サービス供給事業者に代わって請求する対価を計算する対価計算ステップと,
計算された対価を従業員識別情報と関連付けて出力する対価出力ステップと,
取得した対価に基づいて従業員である者に対して公共サービス供給事業者に代わって請求するための会社の手数料を上乗せして従業員である者に請求すべき額である請求額を計算するためのルールである請求額計算ルールと,取得した対価とに基づいて請求額を計算する請求額計算ステップと,
前記従業員の勤務時間に関する情報である勤務時間情報を従業員識別情報と関連付けて取得する勤務時間情報取得ステップと,
取得した勤務時間情報と計算した請求額とに基づいて会社から前記従業員に支払われるべき給与を計算するルールである給与計算ルールとして,
勤務時間情報に基づいて支払われるべき給与から計算した請求額を差し引いて給与を計算するルールである第一ルールか,
勤務時間情報に基づいて支払われるべき給与から計算した請求額を差し引いて給与を計算し,その従業員がその給与支払いに相当する勤務時間内に自宅勤務がある場合には自宅勤務時間に関する情報に基づいて,給与から差し引かれるべき請求額のすくなくとも一部を会社負担して差し引き給与を計算する第二ルールか,のいずれかのルールに基づいて給与を計算する給与計算ステップと,
を計算機に読取り実行可能とさせる給与計算プログラム。
【請求項6】
自宅勤務制度を有する場合がある会社に勤務する従業員である者を識別する情報である従業員識別情報を保持する従業員識別情報保持部と,
時間と関連付けて公共サービス消費量を取得する公共サービス消費量取得部と,
取得した公共サービス消費量を時間と関連付けて保持する公共サービス消費量保持部と,
命令取得部と,
命令取得部が取得した命令に基づいて保持されている公共サービス消費量を時間及び従業員識別情報と関連付けて送信する公共サービス消費量送信部と,
を有する公共サービス消費情報装置と,
公共サービス消費情報装置から送信される時間及び従業員識別情報と関連付けられた公共サービス消費量を受信する公共サービス消費量受信部と,
受信した公共サービス消費量に基づいて従業員である者に対して会社から公共サービス供給事業者に代わって請求すべき公共サービス消費に関連した対価を計算するためのルールであって変動する電力供給コストに応じて変更され得る対価計算ルールを保持する対価計算ルール保持部と,
受信した公共サービス消費量と保持されている対価計算ルールとに基づいて従業員である者に対して前記会社から公共サービス供給事業者に代わって請求する対価を計算する対価計算部と,
計算された対価を従業員識別情報と関連付けて出力する対価出力部と,
を有する対価計算装置と,
出力された対価を取得する対価取得部と,
前記従業員の勤務時間に関する情報である勤務時間情報を従業員識別情報と関連付けて取得する勤務時間情報取得部と,
取得した勤務時間情報と取得した対価とに基づいて会社から前記従業員である者に支払われるべき給与を計算するルールである給与計算ルールとして,
勤務時間情報に基づいて支払われるべき給与から取得した対価とこの対価を公共サービス供給事業者に代わって請求するための会社の手数料を差し引いて給与を計算するルールである第三ルールか,
その従業員がその給与支払いに相当する勤務期間内に自宅勤務がある場合には自宅勤務時間に関する情報である自宅勤務時間情報に基づいて,給与から差し引かれるべき対価のすくなくとも一部を会社負担して差し引き給与を計算する第四ルールか,のいずれかのルールを保持可能な第二給与計算ルール保持部と,
第二給与計算ルール保持部に保持されている給与計算ルールに基づいて給与を計算する第二給与計算部と,
を有する給与計算装置と,
からなる給与計算システム。
【請求項7】
公共サービス消費情報装置は,
公共サービス消費量上限目標値を時間と関連付けて保持する公共サービス消費量上限目標値保持部と,
時間と関連付けて公共サービス消費量の予測値である予測公共サービス消費量を取得する予測公共サービス消費量取得部と,
予測公共サービス消費量取得部で取得した予測公共サービス消費量が保持されている公共サービス消費量上限目標値を上回る場合に公共サービス消費量警告を出力する公共サービス消費量警告出力部と,
をさらに有する請求項6に記載の給与計算システム。
【請求項8】
自宅勤務制度を有する場合がある会社に勤務する従業員の従業員居住宅での公共サービス消費量を時間と関連付けて取得する公共サービス消費量取得ステップと,
取得した公共サービス消費量に基づいて従業員である者に対して会社から公共サービス供給事業者に代わって請求すべき公共サービス消費に関連した対価を計算するためのルールであって変動する電力供給コストに応じて変更され得る対価計算ルールと,取得した公共サービス消費量と,に基づいて従業員である者に対して前記会社から公共サービス供給事業者に代わって請求する対価を計算する対価計算ステップと,
計算された対価を従業員識別情報と関連付けて出力する対価出力ステップと,
出力された対価を取得する対価取得ステップと,
前記従業員の勤務時間に関する情報である勤務時間情報を従業員識別情報と関連付けて取得する勤務時間情報取得ステップと,
取得した勤務時間情報と取得した対価とに基づいて会社から前記従業員である者に支払われるべき給与を計算するルールである給与計算ルールとして,
勤務時間情報に基づいて支払われるべき給与から取得した対価とこの対価を公共サービス供給事業者に代わって請求するための会社の手数料を差し引いて給与を計算するルールである第三ルールか,
その従業員がその給与支払いに相当する勤務期間内に自宅勤務がある場合には自宅勤務時間に関する情報である自宅勤務時間情報に基づいて,給与から差し引かれるべき対価のすくなくとも一部を会社負担して差し引き給与を計算する第四ルールか,のいずれかのルールに基づいて給与を計算する第二給与計算ステップと,
からなる各ステップを計算機に実行させる給与計算方法。
【請求項9】
自宅勤務制度を有する場合がある会社に勤務する従業員の従業員居住宅での公共サービス消費量を時間と関連付けて取得する公共サービス消費量取得ステップと,
取得した公共サービス消費量に基づいて従業員である者に対して会社から公共サービス供給事業者に代わって請求すべき公共サービス消費に関連した対価を計算するためのルールであって変動する電力供給コストに応じて変更され得る対価計算ルールと,取得した公共サービス消費量と,に基づいて従業員である者に対して前記会社から公共サービス供給事業者に代わって請求する対価を計算する対価計算ステップと,
計算された対価を従業員識別情報と関連付けて出力する対価出力ステップと,
出力された対価を取得する対価取得ステップと,
前記従業員の勤務時間に関する情報である勤務時間情報を従業員識別情報と関連付けて取得する勤務時間情報取得ステップと,
取得した勤務時間情報と取得した対価とに基づいて会社から前記従業員である者に支払われるべき給与を計算するルールである給与計算ルールとして,
勤務時間情報に基づいて支払われるべき給与から取得した対価とこの対価を公共サービス供給事業者に代わって請求するための会社の手数料を差し引いて給与を計算するルールである第三ルールか,
その従業員がその給与支払いに相当する勤務期間内に自宅勤務がある場合には自宅勤務時間に関する情報である自宅勤務時間情報に基づいて,給与から差し引かれるべき対価のすくなくとも一部を会社負担して差し引き給与を計算する第四ルールか,のいずれかのルールに基づいて給与を計算する第二給与計算ステップと,
を計算機に読取り実行可能とさせる給与計算プログラム。」

(2)本件補正前の,出願当初の特許請求の範囲の記載は次のとおりである。

「 【請求項1】
自宅勤務制度を有する場合がある会社に勤務する従業員である者を識別する情報である従業員識別情報を保持する従業員識別情報保持部と,
前記従業員が時間と関連付けて公共サービスを受けて消費した量である公共サービス消費量を取得する公共サービス消費量取得部と,
取得した公共サービス消費量を時間と関連付けて保持する公共サービス消費量保持部と,
命令取得部と,
命令取得部が取得した命令に基づいて保持されている公共サービス消費量を時間及び従業員識別情報と関連付けて送信する公共サービス消費量送信部と,
を有する公共サービス消費情報装置と,
公共サービス消費情報装置から送信される時間及び従業員識別情報と関連付けられた公共サービス消費量を受信する公共サービス消費量受信部と,
受信した公共サービス消費量に基づいて従業員である者に対して会社から公共サービス供給事業者に代わって請求すべき公共サービス消費に関連した対価を計算するためのルールである対価計算ルールを保持する対価計算ルール保持部と,
受信した公共サービス消費量と保持されている対価計算ルールとに基づいて従業員である者に対して前記会社から公共サービス供給事業者に代わって請求する対価を計算する対価計算部と,
計算された対価を従業員識別情報と関連付けて出力する対価出力部と,
を有する対価計算装置と,
出力された対価を取得する対価取得部と,
取得した対価に基づいて従業員である者に対して公共サービス供給事業者に代わって請求するための会社の手数料を上乗せして従業員である者に請求すべき額である請求額を計算するためのルールである請求額計算ルールを保持する請求額計算ルール保持部と,
取得した対価と,保持されている請求額計算ルールに基づいて請求額を計算する請求額計算部と,
前記従業員の勤務時間に関する情報である勤務時間情報を従業員識別情報と関連付けて取得する勤務時間情報取得部と,
取得した勤務時間情報と取得した請求額とに基づいて会社から前記従業員である者に支払われるべき給与を計算するルールである給与計算ルールとして,
勤務時間情報に基づいて支払われるべき給与から計算した請求額を差し引いて給与を計算するルールである第一ルールか,
その従業員がその給与支払いに相当する勤務期間内に自宅勤務がある場合には自宅勤務時間に関する情報である自宅勤務時間情報に基づいて,給与から差し引かれるべき請求額のすくなくとも一部を会社負担して差し引き給与を計算する第二ルールか,のいずれかのルールを保持可能な給与計算ルール保持部と,
給与計算ルール保持部に保持されている給与計算ルールに基づいて給与を計算する給与計算部と,
を有する給与計算装置と,
からなる給与計算システム。
【請求項2】
公共サービス消費情報装置は,
公共サービス消費量上限目標値を時間と関連付けて保持する公共サービス消費量上限目標値保持部と,
時間と関連付けて公共サービス消費量の予測値である予測公共サービス消費量を取得する予測公共サービス消費量取得部と,
予測公共サービス消費量取得部で取得した予測公共サービス消費量が保持されている公共サービス消費量上限目標値を上回る場合に公共サービス消費量警告を出力する公共サービス消費量警告出力部と,
をさらに有する請求項1に記載の給与計算システム。
【請求項3】
給与計算装置は,
公共サービス消費情報装置が出力する公共サービス消費量警告を取得する公共サービ
ス消費量警告取得部と,
請求額の上限値目標である請求額上限目標値を保持する請求額上限目標値保持部と,
公共サービス消費量警告取得部にて公共サービス消費量警告を取得した場合には,請
求額計算部で計算される請求額が請求額上限目標値を超過するか判断する判断部と,
判断部での判断結果が超過するとの判断結果である場合には請求額が請求額上限目標値を超過する旨の警告である請求額上限目標値超過警告を出力する請求額上限目標値超過警告出力部と,
をさらに有する請求項2に記載の給与計算システム。
【請求項4】
自宅勤務制度を有する場合がある会社に勤務する従業員の従業員居住宅での公共サービス消費量を時間と関連付けて取得する公共サービス消費量取得ステップと,
取得した公共サービス消費量に基づいて従業員である者に対して会社から公共サービス供給事業者に代わって請求すべき公共サービス消費に関連した対価を計算するためのルールである対価計算ルールと,取得した公共サービス消費量と,に基づいて従業員である者に対して前記会社から公共サービス供給事業者に代わって請求する対価を計算する対価計算ステップと,
計算された対価を従業員識別情報と関連付けて出力する対価出力ステップと,
取得した対価に基づいて従業員である者に対して公共サービス供給事業者に代わって請求するための会社の手数料を上乗せして従業員である者に請求すべき額である請求額を計算するためのルールである請求額計算ルールと,取得した対価とに基づいて請求額を計算する請求額計算ステップと,
前記従業員の勤務時間に関する情報である勤務時間情報を従業員識別情報と関連付けて取得する勤務時間情報取得ステップと,
取得した勤務時間情報と計算した請求額とに基づいて会社から前記従業員に支払われるべき給与を計算するルールである給与計算ルールとして,
勤務時間情報に基づいて支払われるべき給与から計算した請求額を差し引いて給与を計算するルールである第一ルールか,
勤務時間情報に基づいて支払われるべき給与から計算した請求額を差し引いて給与を計算し,その従業員がその給与支払いに相当する勤務時間内に自宅勤務がある場合には自宅勤務時間に関する情報に基づいて,給与から差し引かれるべき請求額のすくなくとも一部を会社負担して差し引き給与を計算する第二ルールか,のいずれかのルールに基づいて給与を計算する給与計算ステップと,
からなる各ステップを計算機に実行させる給与計算方法。
【請求項5】
自宅勤務制度を有する場合がある会社に勤務する従業員の従業員居住宅での公共サービス消費量を時間と関連付けて取得する公共サービス消費量取得ステップと,
取得した公共サービス消費量に基づいて従業員である者に対して会社から公共サービス供給事業者に代わって請求すべき公共サービス消費に関連した対価を計算するためのルールである対価計算ルールと,取得した公共サービス消費量と,に基づいて従業員である者に対して前記会社から公共サービス供給事業者に代わって請求する対価を計算する対価計算ステップと,
計算された対価を従業員識別情報と関連付けて出力する対価出力ステップと,
取得した対価に基づいて従業員である者に対して公共サービス供給事業者に代わって請求するための会社の手数料を上乗せして従業員である者に請求すべき額である請求額を計算するためのルールである請求額計算ルールと,取得した対価とに基づいて請求額を計算する請求額計算ステップと,
前記従業員の勤務時間に関する情報である勤務時間情報を従業員識別情報と関連付けて取得する勤務時間情報取得ステップと,
取得した勤務時間情報と計算した請求額とに基づいて会社から前記従業員に支払われるべき給与を計算するルールである給与計算ルールとして,
勤務時間情報に基づいて支払われるべき給与から計算した請求額を差し引いて給与を計算するルールである第一ルールか,
勤務時間情報に基づいて支払われるべき給与から計算した請求額を差し引いて給与を計算し,その従業員がその給与支払いに相当する勤務時間内に自宅勤務がある場合には自宅勤務時間に関する情報に基づいて,給与から差し引かれるべき請求額のすくなくとも一部を会社負担して差し引き給与を計算する第二ルールか,のいずれかのルールに基づいて給与を計算する給与計算ステップと,
を計算機に読取り実行可能とさせる給与計算プログラム。
【請求項6】
自宅勤務制度を有する場合がある会社に勤務する従業員である者を識別する情報である従業員識別情報を保持する従業員識別情報保持部と,
時間と関連付けて公共サービス消費量を取得する公共サービス消費量取得部と,
取得した公共サービス消費量を時間と関連付けて保持する公共サービス消費量保持部と,
命令取得部と,
命令取得部が取得した命令に基づいて保持されている公共サービス消費量を時間及び従業員識別情報と関連付けて送信する公共サービス消費量送信部と,
を有する公共サービス消費情報装置と,
公共サービス消費情報装置から送信される時間及び従業員識別情報と関連付けられた公共サービス消費量を受信する公共サービス消費量受信部と,
受信した公共サービス消費量に基づいて従業員である者に対して会社から公共サービス供給事業者に代わって請求すべき公共サービス消費に関連した対価を計算するためのルールである対価計算ルールを保持する対価計算ルール保持部と,
受信した公共サービス消費量と保持されている対価計算ルールとに基づいて従業員である者に対して前記会社から公共サービス供給事業者に代わって請求する対価を計算する対価計算部と,
計算された対価を従業員識別情報と関連付けて出力する対価出力部と,
を有する対価計算装置と,
出力された対価を取得する対価取得部と,
前記従業員の勤務時間に関する情報である勤務時間情報を従業員識別情報と関連付けて取得する勤務時間情報取得部と,
取得した勤務時間情報と取得した対価とに基づいて会社から前記従業員である者に支払われるべき給与を計算するルールである給与計算ルールとして,
勤務時間情報に基づいて支払われるべき給与から取得した対価とこの対価を公共サービス供給事業者に代わって請求するための会社の手数料を差し引いて給与を計算するルールである第三ルールか,
その従業員がその給与支払いに相当する勤務期間内に自宅勤務がある場合には自宅勤務時間に関する情報である自宅勤務時間情報に基づいて,給与から差し引かれるべき対価のすくなくとも一部を会社負担して差し引き給与を計算する第四ルールか,のいずれかのルールを保持可能な第二給与計算ルール保持部と,
第二給与計算ルール保持部に保持されている給与計算ルールに基づいて給与を計算する第二給与計算部と,
を有する給与計算装置と,
からなる給与計算システム。
【請求項7】
公共サービス消費情報装置は,
公共サービス消費量上限目標値を時間と関連付けて保持する公共サービス消費量上限目標値保持部と,
時間と関連付けて公共サービス消費量の予測値である予測公共サービス消費量を取得する予測公共サービス消費量取得部と,
予測公共サービス消費量取得部で取得した予測公共サービス消費量が保持されている公共サービス消費量上限目標値を上回る場合に公共サービス消費量警告を出力する公共サービス消費量警告出力部と,
をさらに有する請求項6に記載の給与計算システム。
【請求項8】
自宅勤務制度を有する場合がある会社に勤務する従業員の従業員居住宅での公共サービス消費量を時間と関連付けて取得する公共サービス消費量取得ステップと,
取得した公共サービス消費量に基づいて従業員である者に対して会社から公共サービス供給事業者に代わって請求すべき公共サービス消費に関連した対価を計算するためのルールである対価計算ルールと,取得した公共サービス消費量と,に基づいて従業員である者に対して前記会社から公共サービス供給事業者に代わって請求する対価を計算する対価計算ステップと,
計算された対価を従業員識別情報と関連付けて出力する対価出力ステップと,
出力された対価を取得する対価取得ステップと,
前記従業員の勤務時間に関する情報である勤務時間情報を従業員識別情報と関連付けて取得する勤務時間情報取得ステップと,
取得した勤務時間情報と取得した対価とに基づいて会社から前記従業員である者に支払われるべき給与を計算するルールである給与計算ルールとして,
勤務時間情報に基づいて支払われるべき給与から取得した対価とこの対価を公共サービス供給事業者に代わって請求するための会社の手数料を差し引いて給与を計算するルールである第三ルールか,
その従業員がその給与支払いに相当する勤務期間内に自宅勤務がある場合には自宅勤務時間に関する情報である自宅勤務時間情報に基づいて,給与から差し引かれるべき対価のすくなくとも一部を会社負担して差し引き給与を計算する第四ルールか,のいずれかのルールに基づいて給与を計算する第二給与計算ステップと,
からなる各ステップを計算機に実行させる給与計算方法。
【請求項9】
自宅勤務制度を有する場合がある会社に勤務する従業員の従業員居住宅での公共サービス消費量を時間と関連付けて取得する公共サービス消費量取得ステップと,
取得した公共サービス消費量に基づいて従業員である者に対して会社から公共サービス供給事業者に代わって請求すべき公共サービス消費に関連した対価を計算するためのルールである対価計算ルールと,取得した公共サービス消費量と,に基づいて従業員である者に対して前記会社から公共サービス供給事業者に代わって請求する対価を計算する対価計算ステップと,
計算された対価を従業員識別情報と関連付けて出力する対価出力ステップと,
出力された対価を取得する対価取得ステップと,
前記従業員の勤務時間に関する情報である勤務時間情報を従業員識別情報と関連付けて取得する勤務時間情報取得ステップと,
取得した勤務時間情報と取得した対価とに基づいて会社から前記従業員である者に支払われるべき給与を計算するルールである給与計算ルールとして,
勤務時間情報に基づいて支払われるべき給与から取得した対価とこの対価を公共サービス供給事業者に代わって請求するための会社の手数料を差し引いて給与を計算するルールである第三ルールか,
その従業員がその給与支払いに相当する勤務期間内に自宅勤務がある場合には自宅勤務時間に関する情報である自宅勤務時間情報に基づいて,給与から差し引かれるべき対価のすくなくとも一部を会社負担して差し引き給与を計算する第四ルールか,のいずれかのルールに基づいて給与を計算する第二給与計算ステップと,
を計算機に読取り実行可能とさせる給与計算プログラム。」

2.補正の適否

本件補正は,特許請求の範囲の請求項1,4?6,8,9については,これら請求項に記載された発明を特定するために必要な事項である「取得した公共サービス消費量に基づいて従業員である者に対して会社から公共サービス供給事業者に代わって請求すべき公共サービス消費に関連した対価を計算するためのルールである対価計算ルール」について,「変動する電力供給コストに応じて変更され得る」との限定を付加するものであって,本件補正前の特許請求の範囲に記載された発明と本件補正後の特許請求の範囲に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから,特許法第17条の2第5項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また,特許法第17条の2第3項,第4項に違反するところはない。
そこで,本件補正後の前記請求項4に記載された発明(以下,「補正発明」という。)が,特許法第17条の2第6項で準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について以下に検討する。

(1)引用文献の記載事項

ア.引用文献1(特開平11-232360号公報)

原査定の拒絶の理由において,請求項4に対して引用された特開平11-232360号公報(以下,「引用文献1」という。)には,次の事項が記載されている(下線は,当審において付与した。)。

(ア)「【0006】
【発明の実施の形態】以下,図に示す実施の形態により本発明をさらに詳細に説明する。なお,これにより本発明が限定されるものではない。図1は,本発明の一実施の形態の公共料金支払システムのブロック図である。この公共料金支払システム100は,顧客の自宅に設置されている個人用端末10と,公共会社21に設置されている業務用端末20と,顧客の勤務会社31に設置されている給与計算用端末30とをインターネットなどのネットワーク40を介して接続した構成である。」

(イ)「【0007】上記公共会社21とは,例えば電気会社,水道会社,ガス会社または電話会社である。前記業務用端末20は,例えば通常のパーソナルコンピュータまたはワークステーションであり,顧客の公共料金を管理する。なお,公共料金を管理するときは,各顧客に識別番号を付加し,その識別番号に基いて顧客の公共料金を管理する。また,各識別番号には,顧客の電子メールアドレスと顧客の勤務先会社の電子メールアドレスが対応付けられている。
【0008】上記勤務会社31は,顧客が勤務している会社であり,各社員に対して,図3に示すように,給与天引用カードCを発行する。この給与天引用カードCを例えば社員食堂での支払いに用いることができ,支払った金額は社員の給与から天引するようになっている。この給与天引用カードCはICカードであり,会社名「OO株式会社」,社員の氏名「特許太郎」や社員番号「2847」などを記憶する。給与計算用端末30は,社員の給与計算を管理する。
【0009】図2に,上記個人用端末10の詳細構成図を示す。この個人用端末10は,後述するいろいろな画面を画像表示する表示部2と,上記ネットワーク40を介してデータの送受信を行う送受信部3と,データや命令などを入力するための入力部4と,上記給与天引用カードCを読み取るためのカード読取部5と,オペレーティングシステムやアプリケーションプログラムや後述する水道料金支払いユーティリティなどのプログラムやそれらのプログラムに必要なデータやパラメータなどを記憶するための記憶部6と,前記各部の動作を制御するための制御部1とを具備して構成される。」

(ウ)「【0011】次に,水道料金を例として,公共料金の支払いにかかる動作について説明する。水道料金の支払期日になると,前記公共会社21の業務用端末20は,予め記憶している顧客の電子メールアドレスに,水道料金の請求願いをオープンメールを通じて送信する。
・・・(中略)・・・
【0015】そこで,顧客は,自分の給与天引用カードCを個人用端末10のカード読取部5に読み取らせ,前記料金表示画面G上の「次へ」ボタンb2を押下する。前記カード読取部5は,給与天引用カードCから顧客固有のデータ,すなわち会社名「OO株式会社」,氏名「特許太郎」や社員番号「2847」,を読み取り,顧客が前記料金表示画面G上の「次へ」ボタンb2を押下したときに前記顧客固有のデータを業務用端末20に送信する。
【0016】顧客固有のデータを受信すると,前記業務用端末20は,前記顧客固有のデータに基いて,個人用端末10に,図7に示す支払完了画面Gを生成するためのデータを送信する。個人用端末10の表示部2は,受信したデータに基づいて支払完了画面Gを表示する。この支払完了画面Gには“これからお客様の勤務先「OO株式会社」様にご報告致しますので水道料金はお客様の給与から天引されます。”のメッセージが表示される。これにより,個人用端末10での操作が完了する。」

(エ)「【0017】次に,前記業務用端末20は,予め記憶している顧客の勤務会社の電子メールアドレスに,図8に示すように,水道料金の請求願いをオープンメールを通じて送信する。水道料金の請求願いを受け取った顧客の勤務会社31側では,給与計算用端末30により,氏名「特許太郎」,社員番号「2847」の社員の給与から水道料金を天引する。」

(オ)「【0020】上記では水道料金の支払について説明したが,電気料金やガス料金や電話料金なども同様に支払うことができるため,その説明を省略する。また,上記では水道料金を個別に支払うように説明したが,電気会社,水道会社,ガス会社および電話会社がネットワーク上で1つのホームページを開設してそのホームページからそれぞれの料金を支払うようにしてもよい。」

(カ)図8には,「請求願いのオープンメールのフォーマットの例示図」において,「請求願い(水道料金) ○○株式会社様, 御社の特許太郎( 社員番号?2847)様が,給与天引カードを用いてお支払いになった水道料金「2,750]円をご請求致します。」が記載されている。

上記(ア)?(ケ)によれば,引用文献1には,次の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されている。

<引用発明>
「 公共料金の支払いにかかる動作方法であって,
顧客は,自分の給与天引用カードCを個人用端末10のカード読取部5に読み取らせ,料金表示画面G上の「次へ」ボタンb2を押下し,
前記カード読取部5は,給与天引用カードCから顧客固有のデータ,すなわち会社名「OO株式会社」,氏名「特許太郎」や社員番号「2847」,を読み取り,顧客が前記料金表示画面G上の「次へ」ボタンb2を押下したときに前記顧客固有のデータを業務用端末20に送信し,
業務用端末20は,前記顧客固有のデータに基いて,個人用端末10に,支払完了画面Gを生成するためのデータを送信し,
個人用端末10の表示部2は,受信したデータに基づいて支払完了画面Gを表示し,
前記業務用端末20は,予め記憶している顧客の勤務会社31の電子メールアドレスに,公共料金の請求願いをオープンメールを通じて送信し,
公共料金の請求願いを受け取った顧客の勤務会社31側では,給与計算用端末30により,前記顧客の氏名,社員番号の社員の給与から公共料金を天引する,
方法。」

イ.引用文献2(特開2001-318995号公報)

原査定の拒絶の理由において,請求項4に対して引用された特開2001-318995号公報(以下,「引用文献2」という。)には,次の事項が記載されている。

(ア)「【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は,顧客である企業や団体などの所定業務の代行サービスを行なうシステム及び方法に関する。」

(イ)「【0060】さらに,この業務代行の大きな特徴として,業務代行業者Bが,給料や経費などの計算は勿論のこと,それらの費用をA社名義で立替払いすることである。このため,A社は日毎に発生する様々な経費を計算し,支払う手間が不要になり,立替請求分として,例えば月々,請求される分を業務代行業者Bに支払えば済む。つまり,A社は,多くの場合,日々,細かい出入金作業となる,販管費管理の手間や費用の支払いから解放される。
・・・(中略)・・・
【0062】一方,上述したニュービジネスとしての業務代行サービスを提供するために,業務代行業者Bが行なう作業は,図5のように表される。すなわち,大きな作業の流れとしては,顧客の販管費管理業務にカスタマイズさせたシステムの開発(ステップ1),利用権の付与による顧客へのシステムの提供(システムの所有権は業務代行業者が有する)(ステップ2),さらに顧客のアクセスを伴うシステムの運用(顧客は自社の初期データや発生データを入力し,必要に応じて情報検索可能)(ステップ3)がある。この運用の作業は,具体的には,顧客からのデータ入力や情報検索に対するオンライン処理(ステップ3a),仕分作業や計算作業などの定期作業の実行・監視(ステップ3b),従業員や取引先等への立替支払い(ステップ3c),顧客への立替費用の請求(サービス手数料も含まれる)(ステップ3d),及びシステムの保守管理(ステップ3e)が含まれる。このような仕組みのシステム提供によって,上述した業務代行サービスを提供でき,新規の情報処理市場を創生することができる。」

上記(ア)及び(イ)によれば,引用文献2には,次の事項が記載されている。

<引用文献2の記載事項>
「業務代行サービスを提供するために,業務代行業者Bが行う作業として,顧客への立替費用の請求(サービス手数料も含まれる)(ステップ3d)が含まれること」

ウ.引用文献3(特開2000-214186号公報)

原査定の拒絶の理由において,請求項4に対して引用された特開2000-214186号公報(以下,「引用文献3」という。)には,次の事項が記載されている。

(ア)「【要約】
【課題】 ホームオフィスにおける消費電力を測定して,一定期間の消費電力の積算値を,ホームオフィス勤務者の雇用者などに通知できるようにする。
【解決手段】 消費電力管理装置21において,電源コンセント22が,自己に接続された電気機器に電力を供給し,電子式電力測定機能部31が,当該電気機器の消費する積算消費電力量を測定し,装置制御部32が得られた積算消費電力量を記憶する。そして,装置制御部32により記憶された積算消費電力量を,NCU部35及びDTMF信号送受信部36が通信回線を介して外部に通知する。」

(イ)「【0009】
【発明が解決しようとする課題】前記の各種機器は当然その動作に伴い電力を消費し,その消費電力に見合う利用料金は電力事業者から,ホームオフィスとして運用されている部屋が属する住居などの電気料金として請求される。しかしながら,在宅勤務を行なう勤務者が企業などの組織に所属している雇用労働者である場合,前記の各種機器の使用に関わる電力消費に対する課金は,勤務者が所属する企業等がその業務経費として負担すべきであるとも考えられる。」

(ウ)「【0022】(第1の実施の形態)第1の実施の形態は,消費電力管理装置の一例として,ホームオフイスに電源タップ内蔵型の消費電力管理装置を設置し,これに複数の情報通信機器および家庭電化製品および一般電話加入回線を接続して使用することにより,ホームオフィスにおける消費電力の積算値を,予め登録されているホームオフィス勤務者の所属する企業等のメインオフィス(事業所)に設置された管理用コンピュータに定期的に送信し,企業等がホームオフィスにおける消費電力量を把握できるようにするものである。
・・・(中略)・・・
【0033】以上のようにして,ホームオフィスにおける消費電力が測定され,一定期間の消費電力の積算値が,ホームオフィス勤務者の雇用者などに通信回線網を介して通知される。」

(エ)「【0038】第2の実施形態では,切替スイッチ29及び切替状態表示部30が新たに設けられる。切替スイッチ29は2つの状態を有し,そのいずれかが操作者の手動操作によって選択される。まず第1の状態は,切替スイッチ29のノブを図8の手前側(「集計外(私用)」表示側)に倒した状態であり,切替スイッチ29がこの状態にある場合には,本消費電力管理装置21Aに接続される各種の情報通信機器や家庭電化製品の使用に伴う消費電力は,外部からの消費電力管理の対象にはならない。ただし,各種の情報通信機器や家庭電化製品に対する電力供給は行われる。
【0039】つぎに第2の状態は,切替スイッチ29のノブを図8の向こう側(「集計中(公用)」表示側)へ倒した状態であり,切替スイッチ29がこの状態にある場合には,本消費電力管理装置21Aに接続される各種の情報通信機器や家庭電化製品の使用に伴う消費電力は,外部からの消費電力管理の対象になる。この場合の消費電力管理装置21Aの動作は,第1の実施形態の消費電力管理装置21における動作とまったく同じである。
・・・(中略)・・・
【0045】このようにして,第2の実施形態においては,切替スイッチ29に対する操作者による手動操作によって,消費電力管理装置21Aに接続される各種の情報通信機器や家庭電化製品の使用に伴う消費電力を,消費電力管理の対象とするか否かを区別することだできる。すなわち,在宅勤務者などが雇用先の企業などの業務に関わる作業を行う期間(在宅勤務中)に切替スイッチ29を第2の状態に設定することによって,その積算消費電力を雇用先の企業などに通知して経費の支給などを期待することができ,また休憩時間中,始業前,終業後,または休日などに私用において情報通信機器や家庭電化製品を使用する場合には,その使用に関わる消費電力を,企業などに通知せず自らの家計の費用として支払うことができる。」

上記(ア)?(エ)によれば,引用文献3には,次の事項が記載されている。

<引用文献3の記載事項>
「ホームオフイスに電源タップ内蔵型の消費電力管理装置を設置し,これに複数の情報通信機器および家庭電化製品および一般電話加入回線を接続して使用することにより,ホームオフィスにおける消費電力の積算値を,予め登録されているホームオフィス勤務者の所属する企業等のメインオフィス(事業所)に設置された管理用コンピュータに定期的に送信し,企業等がホームオフィスにおける消費電力量を把握できるようにするものであって,
在宅勤務者などが雇用先の企業などの業務に関わる作業を行う期間(在宅勤務中)に切替スイッチ29を第2の状態に設定することによって,その積算消費電力を雇用先の企業などに通知して経費の支給などを期待することができる,
消費電力管理装置。」

(2)対比

次に,補正発明と引用発明とを対比する。

(ア) 引用発明の「業務用端末20」は,「予め記憶している顧客の勤務会社31の電子メールアドレスに,公共料金の請求願いをオープンメールを通じて送信」するものであり,(1)ア.(カ)によれば,当該「請求願い」には,「社員番号」を含む「特許太郎( 社員番号?2847)」と,「公共料金」である「水道料金「2,750]円」とが「関連付け」られているといえる。そうすると,引用発明の「業務用端末20」は,「公共料金を社員番号と関連付けて送信する」ものであるといえる。
ここで,(1)ア.(イ)及び同(オ)によれば,引用発明の「公共料金」は,顧客が公共会社21に支払うべき水道料金,電気料金,ガス料金,電話料金などであり,本願明細書の段落【0027】の記載によれば,補正発明の「対価」は,「公共サービス供給事業者と公共サービス供給契約を締結している者が支払うべきもの」であるから,引用発明の「公共料金」は,補正発明の「対価」に相当する。また,引用発明の「社員番号」は,社員である顧客を識別する情報であるから,補正発明の「従業員識別情報」に相当する。また,引用発明の「関連付けて送信する」は,補正発明の「関連付けて出力する」に対応する。また,引用発明の「業務用端末20」は,公共料金等の送信を実行する「計算機」であるといえる。
これによれば,引用発明と補正発明とは,「対価」をどのように計算するのか(後記相違点2)については相違しているものの,いずれも,「対価を従業員識別情報と関連付けて出力する対価出力ステップを計算機に実行させる」点で共通している。

(イ) 引用発明は,「公共料金の請求願いを受け取った顧客の勤務会社31側では,給与計算用端末30により,前記顧客の氏名,社員番号の社員の給与から公共料金を天引する」のであるから,引用発明の「給与計算用端末30」は,受け取った請求願いに含まれる公共料金の額を天引額として「計算」しているものといえる。そうすると,引用発明の「給与計算用端末30」は,「受け取った請求願いに含まれる公共料金に基づいて天引額を計算する」ものであるといえる。
ここで,引用発明の「顧客」及び「受け取った請求願いに含まれる公共料金」は,それぞれ,補正発明の「従業員である者」及び「取得した対価」に相当する。また,引用発明の「天引額」は,勤務会社31が顧客に請求すべき額であるから,補正発明の「請求額」に相当する。また,引用発明の「給与計算用端末30」は,天引額の計算を実行する「計算機」であるといえる。
これによれば,引用発明と補正発明とは,(ア)で上記したところに加えて「請求額」をどのように計算するのか(後記相違点3)についても相違しているものの,いずれも,「取得した対価に基づいて請求額を計算する請求額計算ステップを計算機に実行させる」点で共通している。

(ウ) 補正発明の「給与計算ステップ」は,「取得した勤務時間情報と計算した請求額とに基づいて会社から前記従業員に支払われるべき給与を計算するルールである給与計算ルール」として,「第一ルールか,・・・(中略)・・・第二ルールか,のいずれかのルールに基づいて給与を計算する」と記載されており,「第一ルール」である「勤務時間情報に基づいて支払われるべき給与から計算した請求額を差し引いて給与を計算するルール」のみに基づいて給与を計算するものを含むものであるから,補正発明の「給与計算ステップ」は,「取得した勤務時間情報と計算した請求額とに基づいて会社から前記従業員に支払われるべき給与を計算するルールである給与計算ルールとして,勤務時間情報に基づいて支払われるべき給与から計算した請求額を差し引いて給与を計算するルールに基づいて給与を計算する給与計算ステップ」であるとして対比する。
引用発明は,「公共料金の請求願いを受け取った顧客の勤務会社31側では,給与計算用端末30により,前記顧客の氏名,社員番号の社員の給与から公共料金を天引する」のであるから,引用発明の「給与計算用端末30」は,「顧客の給与から公共料金を天引するルール」に基づいて給与を計算しているといえる。そして,上記「ルール」は,「天引額に基づいて給与を計算するルールである給与計算ルール」であり,「天引前の給与から天引額を差し引いて給与を計算するルール」であるといえる。そうすると,引用発明の「給与計算用端末30」は,「天引額に基づいて給与を計算するルールである給与計算ルールとして,天引前の給与から天引額を差し引いて給与を計算するルールに基づいて給与を計算する」ものである。
ここで,引用発明の「天引額」は,上記(イ)での対比を踏まえれば,公共料金に基づいて「計算した」ものであって,補正発明の「請求額」に相当するものである。また,引用発明の「給与」は,勤務会社31から顧客に支払われるべきものであるから,補正発明の「会社から前記従業員に支払われるべき給与」に相当する。また,引用発明の「勤務会社31」は,補正発明の「会社」に相当する。さらに,引用発明の「給与計算用端末30」は,給与の計算を実行する「計算機」であるといえる。
これによれば,引用発明と補正発明とは,「計算した請求額に基づいて会社から前記従業員に支払われるべき給与を計算するルールである給与計算ルールとして,給与から計算した請求額を差し引いて給与を計算するルールに基づいて給与を計算する給与計算ステップを計算機に実行させる」点で共通している。

(エ) 上記(ア)?(ウ)で上記したように,引用発明は,顧客の給与を計算するための処理を含むものであるから,引用発明の「公共料金の支払いにかかる動作方法」は,補正発明の「給与計算方法」に対応する。

したがって,補正発明と引用発明とは,次の点で一致する。

<一致点>
「 対価を従業員識別情報と関連付けて出力する対価出力ステップと,
取得した対価に基づいて請求額を計算する請求額計算ステップと,
計算した請求額に基づいて会社から前記従業員に支払われるべき給与を計算するルールである給与計算ルールとして,給与から計算した請求額を差し引いて給与を計算するルールに基づいて給与を計算する給与計算ステップと,
からなる各ステップを計算機に実行させる給与計算方法。」

他方,補正発明と引用発明とは,次の点で相違する。

<相違点1>
補正発明では,対価を計算するために,「自宅勤務制度を有する場合がある会社に勤務する従業員の従業員居住宅での公共サービス消費量を時間と関連付けて取得する公共サービス消費量取得ステップを計算機に実行させる」のに対して,引用発明では,公共料金を計算するための情報を取得することについて,明示されていない点。

<相違点2>
補正発明では,「取得した公共サービス消費量に基づいて従業員である者に対して会社から公共サービス供給事業者に代わって請求すべき公共サービス消費に関連した対価を計算するためのルールであって変動する電力供給コストに応じて変更され得る対価計算ルールと,取得した公共サービス消費量と,に基づいて従業員である者に対して前記会社から公共サービス供給事業者に代わって請求する対価を計算する」のに対して,引用発明では,公共料金をどのように計算するのかについて,明示されていない点。

<相違点3>
補正発明では,「取得した対価に基づいて従業員である者に対して公共サービス供給事業者に代わって請求するための会社の手数料を上乗せして従業員である者に請求すべき額である請求額を計算するためのルールである請求額計算ルールと,取得した対価とに基づいて請求額を計算する」のに対して,引用発明では,顧客の給与から公共料金を天引するものの,天引として請求する額を勤務会社31の手数料を上乗せして計算するルールに基づいて計算していない点。

<相違点4>
補正発明では,給与を計算するために,「従業員の勤務時間に関する情報である勤務時間情報を従業員識別情報と関連付けて取得する勤務時間情報取得ステップを計算機に実行させる」と共に,給与計算ルールを「取得した勤務時間情報」に基づいたルールとして,給与を「勤務時間情報に基づいて支払われるべき給与」としたのに対して,引用発明では,給与を計算するための情報を取得することについて,明示されていない点。

(3)判断

上記相違点について検討する。

<相違点1>について
(1)ア.(ア)によれば,引用文献1には,「顧客の自宅に設置されている個人用端末10」が記載されているものの,当該「個人用端末10」は,公共会社21に設置されている業務用端末20と通信して公共料金の支払いを行うためのものであり,顧客の自宅での電気,水道,ガスおよび電話などの公共サービスの消費量を時間と関連付けて取得するものではない。また,引用文献1のその余の記載を参照しても,公共料金を計算するための情報を取得することは記載されていない。さらに,顧客が勤務する「勤務会社31」が,「自宅勤務制度を有する場合がある」のかも不明である。
したがって,引用文献1には,相違点1に係る「自宅勤務制度を有する場合がある会社に勤務する従業員の従業員居住宅での公共サービス消費量を時間と関連付けて取得する公共サービス消費量取得ステップを計算機に実行させる」ことは記載されておらず,示唆もされていない。また,原査定の拒絶の理由において引用された引用文献2には,「業務代行サービスを提供するために,業務代行業者Bが行う作業として,顧客への立替費用の請求(サービス手数料も含まれる)(ステップ3d)が含まれること」が記載されているものの,公共サービスの消費量を時間と関連付けて取得することについては記載されておらず,示唆もされていない。また,原査定の拒絶の理由において引用された引用文献3には,「ホームオフィスにおける消費電力の積算値を,予め登録されているホームオフィス勤務者の所属する企業等のメインオフィス(事業所)に設置された管理用コンピュータに定期的に送信し,企業等がホームオフィスにおける消費電力量を把握できる」ことが記載されているものの,当該「ホームオフィスにおける消費電力の積算値」を時間と関連付けて取得することについては記載されておらず,示唆もされていない。
よって,相違点1に係る構成は,引用文献1-3に記載も示唆もされておらず,補正発明は,この構成により本願明細書記載の作用効果を奏するものであるから,引用発明及び引用文献2,3の記載事項に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

<相違点2>について
引用文献1には,公共料金をどのように計算するのかについて,記載されておらず,示唆もされていない。
したがって,引用文献1には,相違点2に係る「取得した公共サービス消費量に基づいて従業員である者に対して会社から公共サービス供給事業者に代わって請求すべき公共サービス消費に関連した対価を計算するためのルールであって変動する電力供給コストに応じて変更され得る対価計算ルールと,取得した公共サービス消費量と,に基づいて従業員である者に対して前記会社から公共サービス供給事業者に代わって請求する対価を計算する」ことは記載されておらず,示唆もされていない。また,原査定の拒絶の理由において引用された引用文献2,3にも記載されておらず,示唆もされていない。
よって,相違点2に係る構成は,引用文献1-3に記載も示唆もされておらず,補正発明は,この構成により本願明細書記載の作用効果を奏するものであるから,引用発明及び引用文献2,3の記載事項に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

<相違点3>について
引用文献1には,顧客の給与から公共料金を天引するものの,天引として請求する額を勤務会社31の手数料を上乗せして計算するルールに基づいて計算することは記載されておらず,示唆もされていない。
したがって,引用文献1には,相違点3に係る「取得した対価に基づいて従業員である者に対して公共サービス供給事業者に代わって請求するための会社の手数料を上乗せして従業員である者に請求すべき額である請求額を計算するためのルールである請求額計算ルールと,取得した対価とに基づいて請求額を計算する」ことは記載されておらず,示唆もされていない。また,原査定の拒絶の理由において引用された引用文献2,3にも記載されておらず,示唆もされていない。
よって,相違点3に係る構成は,引用文献1-3に記載も示唆もされておらず,補正発明は,この構成により本願明細書記載の作用効果を奏するものであるから,引用発明及び引用文献2,3の記載事項に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

<相違点4>について
引用文献1には,給与を計算するための情報を取得することは,記載されておらず,示唆もされていない。
したがって,引用文献1には,相違点4に係る,「従業員の勤務時間に関する情報である勤務時間情報を従業員識別情報と関連付けて取得する勤務時間情報取得ステップを計算機に実行させる」と共に,給与計算ルールを「取得した勤務時間情報」に基づいたルールとして,給与を「勤務時間情報に基づいて支払われるべき給与」としたことは記載されておらず,示唆もされていない。また,原査定の拒絶の理由において引用された引用文献2,3にも記載されておらず,示唆もされていない。
よって,相違点4に係る構成は,引用文献1-3に記載も示唆もされておらず,補正発明は,この構成により本願明細書記載の作用効果を奏するものであるから,引用発明及び引用文献2,3の記載事項に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。
したがって,補正発明は,引用発明及び引用文献2,3の記載事項に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたとはいえず,また,他に補正発明が特許を受けることができない理由もないから,本件補正のうち特許請求の範囲の請求項4についての補正事項は,特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合する。

また,他の請求項に係る発明(請求項1?3,5?9)についても,発明のカテゴリーの違いはあるものの,上記(2)で認定した相違点1?4に係る構成を有しているので,請求項4に係る発明と同様に,引用発明及び引用文献2,3の記載事項に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。
よって,本件補正のその余の補正事項についても,特許法第17条の2第3項ないし第6項に違反するところはない。

3.むすび
本件補正は,特許法第17条の2第3項から第6項の規定に適合する。

第3 本願発明
本件補正は上記のとおり,特許法第17条の2第3項ないし第6項の規定に適合するから,本願の請求項1?9に係る発明は,本件補正により補正された特許請求の範囲の請求項1?9に記載された事項により特定されるとおりのものである。

そして,本件補正後の特許請求の範囲の請求項1,4?6,8,9に係る発明は,上記第2の2.のとおり,当業者が引用発明及び引用文献2,3の記載事項に基づいて容易に発明をすることができたものではない。
また,本件補正後の特許請求の範囲の請求項1又は6を直接又は間接的に引用する請求項2,3,7に係る発明は,同請求項1又は6に係る発明をさらに限定した発明であるから,当業者が引用発明及び引用文献2,3の記載事項に基づいて容易に発明をすることができたものではない。

したがって,本願については,原査定の拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。

また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
 
審決日 2017-03-29 
出願番号 特願2015-195192(P2015-195192)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G06Q)
最終処分 成立  
前審関与審査官 山本 雅士谷川 智秀山下 剛史  
特許庁審判長 手島 聖治
特許庁審判官 相崎 裕恒
貝塚 涼
発明の名称 給与計算システム、給与計算方法、給与計算プログラム  
代理人 工藤 一郎  
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