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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H02M 審判 査定不服 5項独立特許用件 取り消して特許、登録 H02M |
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管理番号 | 1326361 |
審判番号 | 不服2016-8902 |
総通号数 | 209 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2017-05-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2016-06-15 |
確定日 | 2017-04-04 |
事件の表示 | 特願2012-208505「サイリスタ変換器」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 4月10日出願公開、特開2014- 64405、請求項の数(1)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成24年9月21日の出願であって、平成27年8月25日付けで拒絶理由が通知され、同年10月19日に意見書が提出されたが、平成28年3月10日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成28年6月15日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。 第2 原査定の概要 原査定(平成28年3月10日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。 1.本願の請求項1、2に係る発明は、以下の引用文献1-2に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 <引用文献等一覧> 1.特開2006-74888号公報 2.特公昭53-33459号公報 第3 審判請求時の補正について 審判請求時の補正は、請求項1を削除し、補正前の請求項2を限定し請求項1としたものであり、特許法第17条の2第3項から第6項までの要件に違反しているものとは認められない。 そして、「第4 本願発明」から「第6 当審の判断」までに示すように、補正後の請求項1に係る発明は、独立特許要件を満たすものである。 第4 本願発明 本願請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成28年6月15日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりの発明である。 「【請求項1】 複数のサイリスタバルブモジュールのそれぞれは、複数のサイリスタが直列接続してなり、前記複数のサイリスタバルブモジュールが直列接続して構成されたサイリスタバルブを備えたサイリスタ変換器において、 少なくとも一部の前記各サイリスタバルブモジュールは、 前記サイリスタバルブモジュールを構成する前記複数のサイリスタのうち、一番目に大きい逆回復電荷の第1のサイリスタ及び二番目に大きい逆回復電荷の第2のサイリスタが物理的に隣接して配置され、 前記第1のサイリスタの逆電圧を検出する第1の逆電圧検出回路と、 前記第2のサイリスタの逆電圧を検出し、前記第1の逆電圧検出回路の予備となる第2の逆電圧検出回路とを含むこと を特徴とするサイリスタ変換器。」 第5 引用例、引用発明等 原査定の拒絶の理由に引用された特開2006-74888号公報(以下、「引用例」という。)には、次の記載がある。(下線は当審において付加した。) (a)「【技術分野】 【0001】 この発明は、複数のサイリスタを直列接続してなるサイリスタバルブに対して、特に系統事故などによりターンオフ後の余裕角が不足した場合に確実にサイリスタを保護するゲート信号を出力できるゲート制御装置に関する。」(3頁11-15行) (b)「【0003】 従来のゲート制御装置の課題について説明するため、図7に特許文献1の第4図の回路を論理回路で構成した例を示す。図7の各部符号は特許文献1の第4図の符号に合わせて図示している。順電圧検出手段FVは、直列接続されたn個のサイリスタS1?Snに順電圧が印加されたことを示すサイリスタ順電圧信号FV1?FVnを入力し、これらの全信号のOR条件で順電圧信号(以下FV信号)を出力するOR回路で構成されている。即ち、どれか1つでもサイリスタに順電圧が掛かっていると順電圧検出する。また、逆電圧検出手段IVは直列接続されたn個のサイリスタのうち、逆回復電荷量の多いサイリスタから順に4個(ここでは仮に4個で説明する)のサイリスタを選びそれらのサイリスタに逆電圧が印加されたことを示すサイリスタ逆電圧信号RV1?RV4を入力し、これらのいずれかが立ち上がった時点でセットし、これらのいずれかが立ち下がった時点でリセットする第1フリップフロップ回路100で構成し、第1フリップフロップ100の状態を逆電圧信号(以下RV信号)として出力する。 第1フリップフロップ100は特許文献1の第4図のフリップフロップFFとは別のものである。 【0004】 ・・・中略・・・・ 【0005】 ・・・中略・・・・ 【0006】 この保護ロジックは、図7の点弧余裕角検出タイマーTの設定時間をサイリスタがターンオフできる時間(T0)より長く設定し、逆電圧時間がT0より短い素子があって、RV信号がT0より早い時点で変化しても、フリップフロップFFのリセットを遅らせ、FV信号が入力されればゲート信号を出せるようにしておくことで実現している。なお、逆電圧を検出するサイリスタとしてはS1?Snの中で逆回復電荷量の最も大きい素子(逆電圧印加時間がアーム内で最も短い素子)を代表素子として選択するなどの回路構成が用いられることが多い。代表素子の数は1個以上n個までの任意の数が用いられる。 【0007】 以下、実施の形態の説明を含めて、理解を助けるため、サイリスタはS1?Snまで逆回復電荷量の多い順に(逆電圧印加時間がアーム内で短い素子の順に)並んでいるものとし、S1?S4を代表として選択したと仮定した説明をおこなう。 図8は系統電圧に大きな歪みがある場合の従来装置の動作を説明する波形説明図である。図中、IV1はアーム中で逆回復電荷量(以下Qrrとも言う)が最大の素子(S1)の逆電圧検出信号(IV検出信号)を示し、IV2は2番目にQrrの大きい素子(S2)のIV検出信号を示す。 FV1はS1素子の順電圧検出信号(FV検出信号)。FV2はS2素子のFV検出信号を示す。 たとえば、図8に示すようにターンオフ直後(図中(2)で示すタイミング)のバルブPN間に図示(3)と(5)のタイミングで高周波の電圧変動が重畳したとする。このような場合、図中の(1)?(9)の時点で、以下のような動作となる。」(3頁36-4頁39行) (c)「【0014】 実施の形態1. 以下、この発明の実施の形態1を図1?図3に基づいて説明する。 図1はサイリスタバルブとゲート制御装置の接続関係、及びゲート制御装置の構成を示すブロック図である。 図1においてS1?Snは直列接続されサイリスタバルブを構成する複数個のサイリスタ、P、Nは直列接続された複数のサイリスタバルブの両端の端子、R1?RnとCl?Cnはサイリスタの分担電圧を均等化するため各サイリスタに並列に接続された抵抗とコンデンサ、RVはサイリスタに逆電圧が印加されたことを検出する逆電圧検出手段(特許文献1ではIVと呼ばれている)である。FVはサイリスタに順電圧が印加されたことを検出する順電圧検出手段、Tは逆電圧検出手段の出力である逆電圧信号(RV信号)が入力され入力が「H」状態である期間だけ計時動作しリセット信号により計時をゼロにリセットするリセット付き点弧余裕角検出タイマ(以下、点弧余裕角検出タイマという)である。 CCはサイリスタバルブの導通指令を出力する導通制御回路、FFは前記導通指令によりセットされ前記タイマーの出力信号でリセットされるフリップフロップ、ANDは前記フリップフロップの状態信号と順電圧検出手段の出力信号とのANDをとるAND回路、 OSはAND回路の立上りで所定時間(以下、TGとする)のゲート信号を出力するワンショット回路、EOは前記ゲート信号を光信号に変換し光ファイバーLG1?LGnを介してサイリスタS1?Snのゲートに与える変換回路である。 図1の回路構成要素は前述の特許文献1の第4図の構成要素と同種の要素を用いている(図1のワンショット回路OSは特許文献1のDFと、RVはIVと、EOはPAと同じである。)が、接続はOSの出力(ゲート信号)をタイマーTに接続して、ゲート信号によりタイマーをリセットする構成としている点が異なっている。なお、導通制御回路CCは本発明のゲート制御装置には含まれず、外部に設置されていても良い。 【0015】 フリップフロップFFはセット優先であり、セット信号が入力されている期間はセット状態を継続し、前記セット信号が無い条件でリセット信号が入力された時にリセット状態に移行する。 図2は図1の順電圧検出手段FVおよび逆電圧検出手段RVを含むゲート制御装置の構成をより具体的に示したものである。図2に示す回路から導通制御回路CCを除いた部分は本発明に言うゲート信号出力回路である。 順電圧検出手段FVは直列接続されたn個のサイリスタS1?Snに順電圧が印加されたことを示すサイリスタ順電圧信号FV1?FVnを入力し、これらの全信号のOR条件で順電圧信号(以下FV信号)を出力するOR回路で構成されている。また、逆電圧検出手段RVは直列接続されたn個のサイリスタのうち、逆回復電荷量の多いサイリスタから順に4個(後述するが4個に限定はしない)のサイリスタを選び、それらのサイリスタに逆電圧が印加されたことを示すサイリスタ逆電圧信号RV1?RV4を入力し、これらのいずれかが立ち上がった時点でセットし、これらのいずれかが立ち下がった時点でリセットするリセット優先の第1フリップフロップ100で構成し、第1フリップフロップ100の状態信号を逆電圧信号(以下RV信号)として出力する。」(6頁20行-7頁10行) 上記(b)の段落【0003】の記載によれば、図7は、特許文献1の第4図ものであって、「逆電圧検出手段」には、直列接続されたn個のサイリスタのうち、逆回復電荷量の多いサイリスタから順に4個(ここでは仮に4個で説明する)のサイリスタが選ばれ、さらに、【0007】に記載によれば、実施の形態の説明を含めて、サイリスタはS1?Snまで逆回復電荷量の多い順に(逆電圧印加時間がアーム内で短い素子の順に)並んでいるので、「逆電圧検出手段」に接続される4個のサイリスタは、逆回復電荷量の多い順に並んでいるといえる。 そして、上記(c)の段落【0014】には、図1の回路構成要素は前述の特許文献1の第4図の構成要素と同種の要素を用いているものであると記載されていることから、図1?図3に示される「実施の形態1.」においても、サイリスタS1?Snまで逆回復電荷量の多い順に(逆電圧印加時間がアーム内で短い素子の順に)並んでおり、「逆電圧検出手段」に接続される4個のサイリスタは、逆回復電荷量の多い順に並んだ4個が選ばれると、認められる。 以上総合すると、引用例には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているといえる。 〈引用発明〉 「逆回復電荷量の多い順に(逆電圧印加時間がアーム内で短い素子の順に)並んだ複数個のサイリスタS1?Snが直列接続されて構成されるサイリスタバルブと、 前記サイリスタバルブの両端の端子P、Nと、 前記サイリスタの分担電圧を均等化するため各サイリスタに並列に接続された抵抗R1?RnとコンデンサCl?Cnと、 前記サイリスタに逆電圧が印加されたことを検出する逆電圧検出手段RVと、 前記サイリスタに順電圧が印加されたことを検出する順電圧検出手段FVと、 前記逆電圧検出手段の出力である逆電圧信号が入力され入力が「H」状態である期間だけ計時動作しリセット信号により計時をゼロにリセットするリセット付き点弧余裕角検出タイマTと、 前記サイリスタバルブの導通指令を出力する導通制御回路CCと 前記導通指令によりセットされ前記タイマーの出力信号でリセットされるフリップフロップFFと、 前記フリップフロップの状態信号と順電圧検出手段の順電圧信号とのANDをとるAND回路ANDと、 前記AND回路の立上りで所定時間(以下、TGとする)のゲート信号を出力し、さらに、該出力(ゲート信号)をタイマーTに接続して、ゲート信号によりタイマーをリセットするするワンショット回路OSと、 前記ゲート信号を光信号に変換し光ファイバーLG1?LGnを介してサイリスタS1?Snのゲートに与える変換回路EOと、 からなるゲート制御装置において、 前記順電圧検出手段FVは、直列接続されたn個のサイリスタS1?Snに順電圧が印加されたことを示すサイリスタ順電圧信号FV1?FVnを入力し、これらの全信号のOR条件で前記順電圧信号を出力するOR回路で構成され、 前記逆電圧検出手段RVは、直列接続されたn個のサイリスタのうち、逆回復電荷量の多いサイリスタから順に4個のサイリスタを選び、それらのサイリスタに逆電圧が印加されたことを示すサイリスタ逆電圧信号RV1?RV4を入力し、これらのいずれかが立ち上がった時点でセットし、これらのいずれかが立ち下がった時点でリセットするリセット優先の第1フリップフロップ100で構成し、第1フリップフロップ100の状態信号を前記逆電圧信号として出力するものである、 ゲート制御装置。」 第6 当審の判断 1対比 本願発明と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。 (a)引用発明の「サイリスタバルブ」は、「複数個のサイリスタS1?Snが直列接続されて構成される」ものであるから、引用発明の「サイリスタバルブ」と、本願発明の「複数のサイリスタバルブモジュールのそれぞれは、複数のサイリスタが直列接続してなり、前記複数のサイリスタバルブモジュールが直列接続して構成されたサイリスタバルブ」とは、「複数のサイリスタが直列接続して構成されたサイリスタバルブ」の点で共通する。 (b)引用発明の「サイリスタS1?Sn」は、「逆回復電荷量の多い順に(逆電圧印加時間がアーム内で短い素子の順に)並」んでいるので、引用発明の「サイリスタS1」、及び「サイリスタS2」は、本願発明の「一番目に大きい逆回復電荷の第1のサイリスタ」、及び「二番目に大きい逆回復電荷の第2のサイリスタ」に相当し、さらに、引用発明の「サイリスタS1」、及び「サイリスタS2」は、物理的に隣接して配置されているものと認められる。 (c)引用発明の「逆電圧検出手段RV」は、「前記サイリスタに逆電圧が印加されたことを検出する」ものであって、「直列接続されたn個のサイリスタのうち、逆回復電荷量の多いサイリスタから順に4個のサイリスタを選び、それらのサイリスタに逆電圧が印加されたことを示すサイリスタ逆電圧信号RV1?RV4を入力し、これらのいずれかが立ち上がった時点でセットし、これらのいずれかが立ち下がった時点でリセットするリセット優先の第1フリップフロップ100で構成し、第1フリップフロップ100の状態信号を前記逆電圧信号として出力するものであ」り、引用発明の「逆電圧検出手段RV」は、「サイリスタS1」?「サイリスタS4」の逆電圧を検出していると認められるから、引用発明の「逆電圧検出手段RV」と、補正発明の「前記第1のサイリスタの逆電圧を検出する第1の逆電圧検出回路と、前記第2のサイリスタの逆電圧を検出し、前記第1の逆電圧検出回路の予備となる第2の逆電圧検出回路」とは、「前記第1のサイリスタ、及び前記第2のサイリスタのの逆電圧を検出する逆電圧検出回路」の点で共通する。 (d)引用発明の「ゲート制御装置」は、本願発明の「サイリスタ変換器」に相当する。 よって、本願発明と引用発明は、以下の点で一致、ないし相違している。 (一致点) 「複数のサイリスタが直列接続して構成されたサイリスタバルブを備えたサイリスタ変換器において、 前記サイリスタバルブを構成する前記複数のサイリスタのうち、一番目に大きい逆回復電荷の第1のサイリスタ及び二番目に大きい逆回復電荷の第2のサイリスタが物理的に隣接して配置され、 前記第1のサイリスタ、及び前記第2のサイリスタの逆電圧を検出する逆電圧検出回路とを含む サイリスタ変換器。」 (相違点1) 上記「サイリスタバルブ」が、本願発明では、「複数のサイリスタが直列接続してな」るそれぞれの「サイリスタバルブモジュール」を「複数」直列接続して構成されたものであり、「少なくとも一部のサイリスタバルブモジュール」に、「第1のサイリスタ」、「第2のサイリスタ」が配置され、「逆電圧検出回路」を含むのに対して、引用発明では、複数直列接続した「サイリスタバルブモジュール」で構成されておらず、「サイリスタS1」、「サイリスタS2」が配置され、「逆電圧検出手段RV」を含むのが、少なくとも一部の「サイリスタバルブモジュール」ではない点。 (相違点2) 上記「逆電圧検出回路」が、本願発明では、「第1のサイリスタの逆電圧を検出する第1の逆電圧検出回路」と、「前記第2のサイリスタの逆電圧を検出し、前記第1の逆電圧検出回路の予備となる第2の逆電圧検出回路」からなるのに対して、引用発明では、逆回復電荷量の多いサイリスタ4個の少なくとも1つに逆電圧が印可されていることを検出する1つの「逆電圧検出手段RV」であって、予備となる逆電圧検出手段はない点。 2.相違点についての判断 下の(a)?(c)に示す理由で、引用発明において相違点2に係る本願発明の構成を採用することは、当業者といえども容易に推考し得たこととはいえない。 (a)引用発明を開示する引用例には、引用発明において上記相違点2に係る本願発明の構成を採用することについての記載も、それを示唆する記載もない。 (b)一般に、電力装置において、故障等に備えて本回路と同様の予備の回路を設けることは常套手段である。 しかしながら、引用発明において「逆電圧検出手段RV」は、逆回復電荷が多い順に選択された「サイリスタS1」?「サイリスタS4」の少なくとも1つの逆電圧の立ち上がり、及び、立ち下がりを検出するものであるから、「サイリスタS1」が故障した際に、代わりのサイリスタとして逆回復電荷が任意のものが選択されたとしても、「逆電圧検出手段RV」が検出を行う「サイリスタS1」?「サイリスタS4」には、少なくとも逆回復電荷が1番目から3番目のものが含まれることになり、それらの少なくとも1つの逆電圧を検出できるのであるから、引用発明においては、「サイリスタS1」の故障のために、予備の電圧検出手段を設ける必要性は認められない。 また、仮に、引用発明において、「逆電圧検出手段RV」の予備のために逆電圧検出手段を設けたとしても、該予備のための逆電圧検出手段としては、「逆電圧検出手段RV」と同様のものを設けることから、4つのサイリスタのいずれかの立ち上がり、及び、立ち下がりを検出するものとなり、結局、4つのサイリスタのいずれかの立ち上がり、及び、立ち下がりを検出する2つの逆電圧検出手段を有するものとなるから、サイリスタS1の逆電圧を検出する第1の逆電圧検出回路と、サイリスタS2の逆電圧を検出し、前記第1の逆電圧検出回路の予備となる第2の逆電圧検出回路を有するものでもない。 したがって、引用発明において上記相違点2に係る本願発明の構成を採用することが当業者にとって容易であったとはいえない。 (c)ほかに引用発明において上記相違点2に係る本願発明の構成を採用することが当業者にとって容易であったといえる根拠は見当たらない。 したがって、その他の点について検討するまでもなく、本願発明は引用発明に基づいて、当業者にとって容易であったとはいえない。 第7 原査定について 審判請求時の補正により、補正後の本願発明は「サイリスタバルブ」が、「複数のサイリスタが直列接続してな」る「複数のサイリスタバルブモジュール」を「直列接続して構成された」ものとしてさらに、「一番目に大きい逆回復電荷」の「サイリスタ」、及び、該「サイリスタ」に接続される「逆電圧回路」、「二番目に大きい逆回復電荷」の「サイリスタ」、及び、該「サイリスタ」に接続される「逆電圧回路」が、「少なくとも一部の前記サイリスタバルブモジュール」に含まれるものとなっており、当業者であっても、拒絶査定において引用された引用例に基づいて、容易に発明できたものとは認められない。したがって、原査定の理由1を維持することはできない。 第8 むすび 以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2017-03-22 |
出願番号 | 特願2012-208505(P2012-208505) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(H02M)
P 1 8・ 575- WY (H02M) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 田村 耕作、宮地 将斗 |
特許庁審判長 |
和田 志郎 |
特許庁審判官 |
山澤 宏 千葉 輝久 |
発明の名称 | サイリスタ変換器 |
代理人 | 特許業務法人スズエ国際特許事務所 |