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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04N
管理番号 1326421
審判番号 不服2016-2285  
総通号数 209 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-05-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-02-16 
確定日 2017-03-23 
事件の表示 特願2014-234733「画像表示装置及びこれを備えた画像形成装置」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 3月 5日出願公開、特開2015- 43629〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成22年5月11日を出願日とする特願2010-109394号の特許出願の一部を、平成26年11月19日に新たな特許出願とした特願2014-234733号であって、手続の概要は以下のとおりである。

拒絶理由通知 :平成27年 8月31日(起案日)
手続補正 :平成27年10月22日
拒絶査定 :平成27年11月13日(起案日)
拒絶査定不服審判請求 :平成28年 2月16日
手続補正 :平成28年 2月16日
拒絶理由(当審・最初) :平成28年10月 6日(起案日)
手続補正 :平成28年12月 5日

第2 本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成28年12月5日付けの手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。((A)ないし(F)は当審が付与した。以下、構成要件(A)、構成要件(B)・・などという。)

【請求項1】
(A)画像データをページ単位で表示する画像表示装置において、
(B)ページ単位で複数ページの画像データを入力する画像データ入力手段と、
(C)前記画像データ入力手段から入力される前記画像データをプレビュー表示する表示手段と、
(D)前記画像データ入力手段により前後して入力される2ページの画像データのうち、後に入力された、確認を求める確認画像データの入力要件と、該確認画像データの直前に入力された比較対象となる基準画像データの入力要件とを比較して変化があるか否かを判定する入力要件判定手段と、
(E)前記入力要件判定手段により前記確認画像データの入力要件と前記基準画像データの入力要件に変化があったと判定された場合に、その変化が視覚にて確認可能に前記基準画像データに基づくプレビュー画像と入力要件に変化があったと判定された前記確認画像データに基づくプレビュー画像とを並べて前記表示手段に表示する表示制御手段と、
(F)を備えることを特徴とする画像表示装置。

第3 刊行物の記載事項
(1)刊行物1の記載
当審における拒絶の理由の通知において引用された特開2008-210160号公報(以下、「刊行物1」という。)には、図面と共に以下の事項が記載されている。

【0001】
本発明は、画像を読み取る際、読み取った画像を表示する画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルカラー複写機の高画質化や高機能化が進み、出力画像の色合いや編集処理に関しては、ユーザの期待に答えられるようになってきた。こうした状況において、所望の出力画像を得るために、何度も記録シートに画像を出力するかわりに画像を表示して確認するプレビュー機能を有した複写機が製品化されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、プレビューキーと画像読取キーを押すと、プレビュー処理部によって出力画像が表示部に表示され、画像を出力する前に画像の出力状態をユーザが確認することができる画像処理装置が開示されている。
【特許文献1】特開平09-93378公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数の画像を読み取った後にその画像をプレビューすると、例えば、画像を傾いて読み取ってしまったような異なる状態の画像がある場合、スキャンに失敗した画像の存在を確認することができる。しかし、その画像を正しく読み取るためには、再度、複数の画像を読み取らなければならない。これでは、非常に処理効率が悪い。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題を鑑み、画像を正しく読み取ることができたか否かを確認し、正しく読み取ることができなかった画像を容易に補正できる画像処理装置を提供することを目的とする。

【0019】
本実施形態の画像処理装置は、図1に示すように、複数の原稿をセットする画像入力部104と、セットされた原稿の画像を1枚ずつ順次に読み取る読取部105と、読み取られた画像を表示する表示部108と、読み取られた画像の画像処理をする画像処理部110と、読み取られた画像の変換を行なう画像変換部103と、変換した画像を印刷する印刷部111と、読み取った画像の枚数をカウントするカウント部107と、ユーザの入力を受け付ける操作部109と、装置全体の制御を司るCPU100とを有する。ここでは、画像処理装置として、スキャナ機能、印刷機能、FAX機能等を備えた複合機を例に説明する。

【0021】
読取部105はスキャナとされる。読取部105は、画像入力部104にセットされた原稿の画像を読み取って、それら画像をデータとして入力する。あるいは、外部装置からのデータ送信により、画像データが入力される。入力された画像データは、画像処理部110に出力される。カウント部107は、読取部105から読み取った画像の枚数をカウントする。カウントした枚数は、CPU100からの指示に基づいて、表示部108に表示される。

【0023】
表示部108は液晶ディスプレイからなり、入力内容や画像処理装置全体の動作状況を表示する。表示部108はタッチパネルとされる。表示部108に表示される操作画面内にタッチキーが形成され、これらも操作部109として機能する。
【0024】
画像処理部110は、画像データの編集、加工といった画像処理を行なう。また、画像データを外部装置に送信することによっても、画像データは出力される。
【0025】
CPU100は、画像データに対して指示された処理を実行する。すなわち、操作部109からの入力や外部装置からのデータ入力に応じて、記憶部に記憶されているプログラムに基づいて各部を制御し、画像データを処理する。CPU100は、画像データに対して、コピーモード、プリントモード、スキャナモード、ファクシミリモードのいずれかを実行し、画像を所望の形態で出力させる。
【0026】
画像処理部110は、図2に示すように、読み取った画像が正しく読み取られているか否かを確認するために、読み取られた画像を表示部108に表示するプレビュー機能を有している。画像処理部110は、図3および図4に示すように、表示された画像が正しく読み取られていないと確認されたとき、その画像を補正する補正機能を有している。すなわち、画像処理部110は、読み取った画像から異なる状態の画像を検出する検出部101と、異なった状態の画像を検出すると読取部105を一時停止させ、異なった状態の画像を表示部108に表示させる確認部102と、表示した画像が正しく読み取られていないときにその画像を補正する補正部106とを有している。
【0027】
検出部101は、読み取られた画像からその画像のサイズや向きを検出する。そして、先に読み取られた画像と比較したり、設定されたサイズや向きを参照してサイズや向きが変わったことを検出すると、異なる状態の画像と判断する。そして、判断結果をCPU100に出力する。
【0028】
例えば、B4やA4といったサイズが異なる複数の画像を読み取る場合、検出部101は、B4の画像の次にA4の画像を検出すると、検出部101は、異なる状態の画像を読み取ったことをCPU100に出力する。縦向きや横向きといった向きが異なる複数の画像を読み取る場合、検出部101は、縦向きの画像の次に横向きの画像を検出すると、異なる状態の画像を読み取ったことをCPU100に出力する。
【0029】
確認部102は、検出部101が異なる状態の画像を検出すると、CPU100の指示に基づいて、読取部105で読み取られた画像をそのままの状態で表示部108に表示させる。そして、確認部102は、正しく読み取られているか否か、すなわち、異状な画像であるか否かを確認する。ここで、異状な画像とは、例えば、読み取った画像が傾いている、読み取った画像がかすれているといった画像である。

【0039】
次に、本実施形態の画像読取機能の手順を、図6?図11にしたがって説明する。ここでは、複数の異なるサイズの画像を読み取り、読み取った画像を記録シートに印刷する場合を例に説明する。
【0040】
画像入力部104に複数の異なるサイズの画像をセットされ(S201)、ユーザから操作部109を介して画像読取機能を実行する操作入力がされると、CPU100は画像読取機能を開始する。

【0042】
諸設定が終了したら、画像処理装置は、ユーザからの操作入力を待って画像の読み取りを開始する。画像処理部110は、読取部105から原稿の画像が入力される。そのとき、カウント部107は、読取部105が読み取った画像の枚数をカウントする(S204)。画像処理部110は、読み取った画像を記憶部に記憶させる(S205)。
【0043】
検出部101は、画像が読み取られる度に、画像のサイズあるいは向きが切り替わったかを検出する(S206)。画像のサイズあるいは向きが切り替わらない場合は、画像のサイズあるいは向きが切り替わるまで、あるいは、読み取りが終了するまで、そのまま読み取りを続行する(S211)。
【0044】
検出部101が画像のサイズあるいは向きが切り替わったことを検出すると、確認部102は、読み取りを一時停止させる。そして、確認部102は、設定情報に基づいて、画像のサイズあるいは向きが切り替わった画像と、その画像を読み取った時のカウント数を表示部108に表示する。さらに、確認部102は、設定情報に基づいて画像の傾きを確認する。手動で傾いているかを確認する場合は、ユーザが表示部に表示された入力部から傾いているか否かを判断し、その判断結果を入力する。自動で傾いているかを確認する場合は、確認部102が判断する。
【0045】
傾いていないと判断した場合は、ユーザから画像読取機能を再開する操作入力、具体的には、図2中に示す再開ボタンが押下されると、読み取りを再開する。傾いていると判断した場合、確認部102は、画像が傾いて読み取られていることをユーザが認識できるように表示された画像の色合いを変更する(S207)。

(2)刊行物2の記載
当審における拒絶の理由の通知において引用された特開2006-140709号公報(以下、「刊行物2」という。)には、図面と共に以下の事項が記載されている。

【0001】
本発明は、ホスト装置及びホスト装置に格納される画像読取転送ドライバプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、パーソナルコンピュータ等のホスト装置に接続される画像読取装置で読取った画像データを、ホスト装置に転送させ取り込ませる技術を実現するために、ホスト装置には画像読取転送ドライバプログラムが格納されており、アプリケーションプログラムにより起動操作される。
このような画像読取転送ドライバプログラムは、画像データをホスト装置に取り込む(以下、本読み取りという。)前に、所望する画像を得るために、本読み取りしたい画像原稿を仮読み取りし、画像イメージをホスト装置の画面上に表示させ、読取画像の向きや解像度調節、画像読取エリア指定等を操作可能とするプレビュー表示機能を備えている。
次の特許文献には、上述のような画像読取ドライバプログラムが格納された画像読取システムにおけるプレビュー表示機能に関する技術が記載されている。
【特許文献1】特開2002-330249号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記及び従来の技術では、複数の画像を仮読み取りし、プレビュー表示で事前に確認及び設定したい場合には、以下の問題があった。
例えば、自動送り装置に複数の画像原稿をセットしても、仮読み取りの際は、画像読取装置は一原稿しか読み取らず、一原稿毎にプレビュー表示させてから本読み取りするという作業が生じていた。
また上記のタイプとは違って、自動送り装置に複数の画像原稿をセットすれば、セットされたすべての原稿を仮読み取りするタイプのものでも、プレビュー表示させたいイメージを確認するには1画像毎に順に表示操作することを要し、いずれにしてもユーザにとっては手間な作業であった。
さらに、従来よりサムネール表示機能を備えたアプリケーションプログラムは知られているが、画像読取転送ドライバプログラムにサムネール表示機能を備えたものなかった。
【0004】
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであり、画像読取装置で読み取った画像をプレビュー表示する場合に、ユーザの操作性の向上を図ったホスト装置及び画像読取転送ドライバプログラムを提供することを課題としている。

【0010】
図1は、ホスト装置と画像読取装置とを組み合わせた画像読取システムの概略構成を示したブロック図である。
ホスト装置2は、例えばパソコン等であり、制御部20、CRT、液晶ディスプレイ等で構成される表示操作部21、RAM22、各種プログラムが格納されるハードディスク24、通信インタフェース25を少なくとも備えている。
【0011】
一方の画像読取装置1は、例えばスキャナ、ファクシミリ装置、ファクシミリ複合機等、少なくとも画像読取機能を有した周辺機器であり、図では、ファクシミリ複合機を想定して、制御部10、電話回線Lを接続付加したNCU11、モデム12、画像読取部13、ROM14、種々の処理のためにデータを一時的に記憶するRAM15、プリンタ16、表示操作部17、通信インタフェース18を備えた例を示している。
ホスト装置2は、LAN等のケーブルCを通じて、画像読取装置1に接続されており、この例では、ケーブルCによって有線接続されているが、通信インターフェース18、25をワイヤレスインターフェースで構成し、ワイヤレス接続されていてもよい。
【0012】
ホスト装置2には、画像読取転送、解像度調節、画像読取エリア指定等の指示を受付ける画像読取転送ドライバプログラム(不図示)が格納されており、上位アプリケーションプログラム(不図示)によって起動されると、操作入力インターフェースが起動され、この機能によってホスト装置2の表示操作部21には操作入力画面が表示されるので、ユーザは、この操作入力画面に対して選択操作をすることにより、画像読取装置2による画像読取処理と、画像転送を指示することが出来、ホスト装置2が画像読取装置1に対して画像読取指令を行うと、画像読取装置1は、画像読取部13を作動させて画像を読み取り、読取った画像は、ホスト装置2に転送され、ホスト装置2に取り込まれることになる。
【0013】
本発明のホスト装置2は、読取画像を本読み取りする前に、所望する画像を得るために、読取画像を仮読み取りし、低解像度のイメージ画像をホスト装置2の画面上に表示させ、読取画像の向きや解像度調節、画像読取エリア指定等を行なうプレビュー表示機能を備えており、サムネール表示モード若しくは一画像表示モードのいずれかの選択操作を受付け、受付けたいずれかの表示モードを実行する制御手段(制御部20)を有していることを特徴とし、ホスト装置2のハードディスク24には、サムネール表示モード若しくは一画像表示モードのいずれかの選択操作を受付け、受付けたいずれかの表示モードを実行する画像読取転送ドライバプログラムが格納されていることを特徴とする。
【0014】
ここでサムネール表示モードとは、画像読取装置1に読み取らせた複数の読取画像を一画面に一緒に表示させるモードをいい、一画像表示モードとは、画像読取装置1に読み取らせた読取画像を一画面に単一で個別に表示させるモードをいう。
【0015】
図2は、本発明の画像読取転送ドライバプログラムを起動させた時に、ホスト装置の表示操作部に表示される操作入力画面の一例である。
上位アプリケーションプログラムによって、画像読取転送ドライバプログラムが起動すると、図2に示すような操作入力画面Aが表示される。ユーザは、この操作入力画面Aに対して選択操作でき、画像を本読み取りする前にプレビュー表示させたい場合は、図2に示されるプレビューモードA1の内、「サムネール表示A21」若しくは「一画像表示A22」のいずれかのチェックボックスA2をクリックし、読取ボタンS1を操作すれば、仮読み取りが開始され所望するプレビューモードで読取画像のイメージを表示させることができる。

第4 刊行物に記載された発明
以上の記載によれば、刊行物1には次の発明(以下、刊行物1発明という。)が記載されている。

(4-1)刊行物1の【0001】の記載によれば、刊行物1には、画像を読み取る際、読み取った画像を表示する画像処理装置が開示されている。
上記画像処理装置は、【0019】の記載によれば、複数の原稿をセットする画像入力部104と、セットされた原稿の画像を1枚ずつ順次に読み取る読取部105と、読み取られた画像を表示する表示部108とを有している。
したがって、刊行物1に記載された発明は、「セットされた原稿の画像を1枚ずつ順次に読み取り、読み取られた画像を表示する画像処理装置」に関する発明であるといえる。

(4-2)刊行物1の【0019】の記載によれば、刊行物1の画像処理装置は、「複数の原稿をセットする画像入力部104と、セットされた原稿の画像を1枚ずつ順次に読み取る読取部105」を備えている。

(4-3)刊行物1の【0019】の記載によれば、刊行物1の画像処理装置は、読み取られた画像を表示する表示部108を有している。
また、同【0026】には「画像処理部110は、図2に示すように、読み取った画像が正しく読み取られているか否かを確認するために、読み取られた画像を表示部108に表示するプレビュー機能を有している。」の記載があるから、上記表示部108の表示は、プレビュー表示機能による表示である。
以上まとめると、刊行物1の画像処理装置は、「読み取られた画像をプレビュー表示機能により表示する表示部108」を備えている。

(4-4)刊行物1の【0027】、【0028】の記載によれば、刊行物1の画像処理装置は、「読み取られた画像からその画像のサイズを検出し、先に読み取られた画像と比較し、サイズが変わったことを検出すると、異なる状態の画像と判断する検出部」を有している。
上記判断の例として、「B4やA4といったサイズが異なる複数の画像を読み取る場合、検出部101は、B4の画像の次にA4の画像を検出すると、検出部101は、異なる状態の画像を読み取ったことをCPU100に出力する。」とあるから、上記判断の例を上記検出部の構成に当てはめると、刊行物1の画像処理装置は、「読み取られた画像からその画像のサイズ(A4又はB4)を検出し、先に読み取られた画像と比較し、サイズが変わったことを検出する(B4の画像の次にA4の画像を検出する)と、異なる状態の画像と判断する検出部」を備えているといえる。

(4-5)刊行物1の【0029】には「確認部102は、検出部101が異なる状態の画像を検出すると、CPU100の指示に基づいて、読取部105で読み取られた画像をそのままの状態で表示部108に表示させる。」の記載があるから、刊行物1の画像処理装置は、「検出部101が異なる状態の画像を検出すると、CPU100の指示に基づいて、読取部105で読み取られた画像をそのままの状態で表示部108に表示させる確認部」を備えている。

(4-6)まとめ
以上まとめると、刊行物1発明として、以下のとおりのものを認定することができる。((a)ないし(f)は当審において付与し、以下「構成要件(a)」等として引用する。)

(a)セットされた原稿の画像を1枚ずつ順次に読み取り、読み取られた画像を表示する画像処理装置において、
(b)複数の原稿をセットする画像入力部104と、セットされた原稿の画像を1枚ずつ順次に読み取る読取部105と、
(c)読み取られた画像をプレビュー表示機能により表示する表示部108と、
(d)読み取られた画像からその画像のサイズ(A4又はB4)を検出し、先に読み取られた画像と比較し、サイズが変わったことを検出する(B4の画像の次にA4の画像を検出する)と、異なる状態の画像と判断する検出部と、
(e)検出部101が異なる状態の画像を検出すると、CPU100の指示に基づいて、読取部105で読み取られた画像をそのままの状態で表示部108に表示させる確認部と、
(f)を備えることを特徴とする画像処理装置。

第5 対比
本願発明と刊行物1発明とを対比する。

(5-1)本願発明の構成要件(A)と刊行物1発明の構成要件(a)とを対比する。
刊行物1発明の画像処理装置は、セットされた原稿の画像を1枚ずつ順次に読み取り、読み取られた画像を表示しているが、1枚ずつ順次に読み取った画像を表示するから、上記読み取った画像のデータを1枚ずつ(ページ単位で)表示している。
また、刊行物1発明の画像処理装置は、上記表示を行っているから、「画像表示装置」と称することもできる。
以上まとめると、刊行物1発明の構成要件(a)は「画像データをページ単位で表示する画像表示装置」ということができるから、構成要件(A)と相違がない。

(5-2)本願発明の構成要件(B)と刊行物1発明の構成要件(b)とを対比する。
刊行物1発明の画像処理装置は、「複数の原稿をセットする画像入力部104と、セットされた原稿の画像を1枚ずつ順次に読み取る読取部105」を備えている。
「原稿の画像を1枚ずつ順次に読み取る読取部105」は、上記原稿の画像を1枚ずつ(ページ単位で)読み取ることで、以下の(表示部、検出部、確認部による)各処理を行うことができるように、1ページ単位で原稿を画像データとして入力しているといえる。
上記1枚ずつの原稿は複数の原稿がセットされるのであるから、複数ページの原稿が画像データとして入力されている。
以上のことからみて、刊行物1発明の画像処理装置の構成要件(b)は、「ページ単位で複数ページの画像データを入力する画像データ入力手段」ということができ、本願発明の構成要件(B)を備えている。

(5-3)本願発明の構成要件(C)と刊行物1発明の構成要件(c)とを対比する。
刊行物1発明の画像処理装置は、「読み取られた画像をプレビュー表示機能により表示する表示部108」を備えている。
上記読み取られた画像は、構成要件(b)にて読み取られた画像であるから、上記(5-2)も踏まえれば、前記画像データ入力手段から入力される前記画像データである。
刊行物1発明の表示部は、「プレビュー表示機能により表示する表示部」であるから、プレビュー表示する表示手段である。
以上のことからみて、刊行物1発明の画像処理装置の構成要件(c)は、「前記画像データ入力手段から入力される前記画像データをプレビュー表示する表示手段」ということができ、本願発明の構成要件(C)を備えている。

(5-4)本願発明の構成要件(D)と刊行物1発明の構成要件(d)とを対比する。
刊行物1発明の画像処理装置は、「読み取られた画像からその画像のサイズ(A4又はB4)を検出し、先に読み取られた画像と比較し」ている。(上記において、以下では、下線部の「読み取られた画像」を「今回読み取られた画像」といい「先に読み取られた画像」と区別する。)
「先に読み取られた画像」と「今回読み取られた画像」は、共に、構成要件(b)の読み取り部により読み取られた1ページの画像であることは明白であるから、前記画像データ入力手段により入力される各1ページの画像データである。
また、上記比較により、サイズが変わったことを検出しているが、これは「B4の画像の次にA4の画像を検出する」ことであるから、「先に読み取られた画像」と「今回読み取られた画像」は、「前後して入力される2ページの画像データ」である。
そして、今回読み取られた画像は、先に読み取られた画像に対して、後に入力された画像であるから、「後に入力された、確認を求める確認画像データ」であり、先に読み取られた画像は、「該確認画像データの直前に入力された比較対象となる基準画像データ」である。
さらに、A4、B5の画像のサイズは、上記各画像データの「入力要件」といえ、これらを比較して「異なる状態の画像と判断」することは、「入力要件とを比較して変化があるか否かを判定する」ことといえる。
以上のことからみて、刊行物1発明の画像処理装置の構成要件(d)は、「前記画像データ入力手段により前後して入力される2ページの画像データのうち、後に入力された、確認を求める確認画像データの入力要件と、該確認画像データの直前に入力された比較対象となる基準画像データの入力要件とを比較して変化があるか否かを判定する入力要件判定手段」ということができ、本願発明の構成要件(D)を備えている。

(5-5)本願発明の構成要件(E)と刊行物1発明の構成要件(e)とを対比する。
刊行物1発明において、「検出部101が異なる状態の画像を検出する」ことは、上記(5-4)の対比も踏まえれば「前記入力要件判定手段により前記確認画像データの入力要件と前記基準画像データの入力要件に変化があったと判定された場合」といえる。
このとき、刊行物1発明の確認部は、「読取部105で読み取られた画像をそのままの状態で表示部108に表示させる」構成を有しており、上記「読み取られた画像」は、今回読み取られた画像(の画像データに基づく画像)であって、表示部108に対する表示は、構成要件(c)によれば、プレビュー表示であるから、「入力要件に変化があったと判定された前記確認画像データに基づくプレビュー画像」である。
したがって、刊行物1発明の構成要件(d)は、「前記入力要件判定手段により前記確認画像データの入力要件と前記基準画像データの入力要件に変化があったと判定された場合に、入力要件に変化があったと判定された前記確認画像データに基づくプレビュー画像を前記表示手段に表示する表示制御手段」ということができる。
もっとも、上記表示制御手段が、本願発明では、「その変化が視覚にて確認可能に前記基準画像データに基づくプレビュー画像と入力要件に変化があったと判定された前記確認画像データに基づくプレビュー画像とを並べて前記表示手段に表示する」のに対して、刊行物1発明では、「入力要件に変化があったと判定された前記確認画像データに基づくプレビュー画像を前記表示手段に表示する」のみであって、「その変化が視覚にて確認可能に前記基準画像データに基づくプレビュー画像」を「並べて」表示する構成を有していない点で相違する。

(5-6)本願発明の構成要件(F)と刊行物1発明の構成要件(f)とを対比する。
刊行物1発明は、構成要件(b)ないし(e)を有する画像処理装置であり、上記画像処理装置は、上記(5-1)で検討したように、画像表示装置ともいえるから、刊行物1発明の構成要件(f)は本願発明の構成要件(F)と相違がない。

(5-7)まとめ(一致点・相違点)
以上まとめると、本願発明と刊行物1発明とは以下の一致点で一致し相違点で相違する。

(一致点)
画像データをページ単位で表示する画像表示装置において、
ページ単位で複数ページの画像データを入力する画像データ入力手段と、
前記画像データ入力手段から入力される前記画像データをプレビュー表示する表示手段と、
前記画像データ入力手段により前後して入力される2ページの画像データのうち、後に入力された、確認を求める確認画像データの入力要件と、該確認画像データの直前に入力された比較対象となる基準画像データの入力要件とを比較して変化があるか否かを判定する入力要件判定手段と、
前記入力要件判定手段により前記確認画像データの入力要件と前記基準画像データの入力要件に変化があったと判定された場合に、入力要件に変化があったと判定された前記確認画像データに基づくプレビュー画像を前記表示手段に表示する表示制御手段と、
を備えることを特徴とする画像表示装置。

(相違点)
上記表示制御手段が、本願発明では、「その変化が視覚にて確認可能に前記基準画像データに基づくプレビュー画像と入力要件に変化があったと判定された前記確認画像データに基づくプレビュー画像とを並べて前記表示手段に表示する」のに対して、刊行物1発明では、「入力要件に変化があったと判定された前記確認画像データに基づくプレビュー画像を前記表示手段に表示する」のみであって、「その変化が視覚にて確認可能に前記基準画像データに基づくプレビュー画像」を「並べて」表示する構成を有していない点。

第6 判断
上記相違点について検討する。
上記「第3(2)」に記載したとおり、当審における拒絶の理由の通知において引用された刊行物2の記載(主に【0012】、【0013】等)をみると、画像読取装置1に接続されたホスト装置では、上記画像読取装置1から入力された仮読み取りした画像をホスト装置2の画面上にプレビュー表示するものであって、上記プレビュー表示の形態として、サムネール表示モード若しくは一画像表示モードのいずれかを選択可能とする技術思想が開示されている。
そして、【0014】の記載によれば、上記サムネール表示モードとは、画像読取装置1に読み取らせた複数の読取画像を一画面に一緒に表示させるモードをいい、一画像表示モードとは、画像読取装置1に読み取らせた読取画像を一画面に単一で個別に表示させるモードであるから、画像読取装置1に読み取らせた読取画像を、「一画面に一緒に表示させるモード」と「一画面に単一で個別に表示させるモード」とが選択可能である技術思想が開示されているといえる。
ここで、刊行物1発明の構成を見ると、画像を読み取り、プレビュー表示機能により、プレビュー表示を行う画像表示装置において、(今回)読み取った画像1ページのみを表示することが開示されているといえるが、上記刊行物2にあるように、画像を読み取り、プレビュー表示を行う際に、一画面に単一(すなわち、一画面に1ページ)の画像を表示することと、一画面に一緒に(すなわち、一画面に複数ページの画像を)表示させることは、互いに選択可能な構成であるから、刊行物1発明に、上記刊行物2に記載された技術思想を転用し、一画面に1ページの画像を表示することに代えて、一画面に複数ページの画像を表示する構成とすれば、「前記基準画像データに基づくプレビュー画像と入力要件に変化があったと判定された前記確認画像データに基づくプレビュー画像とを並べて前記表示手段に表示する」構成となることは明白であり、当該構成を採用すれば、前記基準画像データに基づくプレビュー画像と入力要件に変化があったと判定された前記確認画像データに基づくプレビュー画像とが共に表示されることで、その変化が視覚にて確認可能であることは、当業者であれば、普通に想定しうることであり、刊行物1発明において、上記相違点の構成を採用することは、当業者が容易に為し得たことである。

したがって、上記各相違点は、当業者が容易に想到し得たものと認められ、本願発明全体としてみても格別のものはなく、その作用効果も、上記各相違点に係る構成の採用に伴って当然に予測される程度のものにすぎず、格別顕著なものがあるとは認められない。

第8 むすび
以上のとおり、本願発明は、刊行物1、刊行物2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、残る請求項2ないし請求項6に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2017-01-23 
結審通知日 2017-01-24 
審決日 2017-02-09 
出願番号 特願2014-234733(P2014-234733)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (H04N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 石田 信行  
特許庁審判長 藤井 浩
特許庁審判官 冨田 高史
渡邊 聡
発明の名称 画像表示装置及びこれを備えた画像形成装置  
代理人 馬場 信幸  
代理人 宮尾 明茂  
代理人 神田 正義  
代理人 藤本 英介  

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