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審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 F02D
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 F02D
管理番号 1326422
審判番号 不服2016-4253  
総通号数 209 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-05-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-03-22 
確定日 2017-03-23 
事件の表示 特願2011-143177「内燃機関の出力特性制御装置」拒絶査定不服審判事件〔平成24年 8月30日出願公開、特開2012-163092〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯
本願は、平成23年6月28日(優先権主張 平成23年1月20日)の出願であって、平成27年4月14日付けで拒絶理由が通知され、平成27年6月15日に意見書及び手続補正書が提出されたが、平成27年12月18日付けで拒絶査定がされ、平成28年3月22日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に明細書及び特許請求の範囲を補正する手続補正書が提出され、さらに、平成28年7月28日に上申書が提出されたものである。

第2.平成28年3月22日付けの手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成28年3月22日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1.本件補正
(1)本件補正の内容
平成28年3月22日提出の手続補正書による手続補正(以下、「本件補正」という。)は、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に関しては、本件補正前の(すなわち、平成27年6月15日提出の手続補正書によって補正された)特許請求の範囲の請求項1の下記(ア)の記載を、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の下記(イ)の記載へと補正するものである。

(ア)本件補正前の特許請求の範囲の請求項1
「【請求項1】
車両に搭載された内燃機関の出力特性を制御する出力特性制御装置であって、
自車が走行している道路交通環境を検出する道路交通環境検出手段と、
検出した道路交通環境における自車の推奨車速を算出する推奨車速算出手段と、
前記推奨車速と自車速との車速差が小さくになるにつれてアクセル操作量に対する前記内燃機関の出力が低下するように、前記内燃機関の目標出力特性を設定する目標出力特性設定手段と、
前記内燃機関の出力特性を前記目標出力特性へと変更する出力特性変更手段と、
を備え、
前記目標出力特性設定手段は、アクセル操作量に対し基準となるスロットル開度を基準開度とした場合に、アクセル操作量に対するスロットル開度が基準開度よりも小さくなるよう内燃機関の目標出力特性を設定することを特徴とする内燃機関の出力特性制御装置。」

(イ)本件補正後の特許請求の範囲の請求項1
「【請求項1】
車両に搭載された内燃機関の出力特性を制御する出力特性制御装置であって、
自車が走行している道路交通環境を検出する道路交通環境検出手段と、
自車の推奨車速を、検出した道路交通環境に基づいて算出する推奨車速算出手段と、
前記推奨車速と自車速との車速差が小さくになるにつれてアクセル操作量に対する前記内燃機関の出力が低下するように、前記内燃機関の目標出力特性を設定する目標出力特性設定手段と、
前記内燃機関の出力特性を前記目標出力特性へと変更する出力特性変更手段と、
を備え、
前記目標出力特性設定手段は、アクセル操作量に対し基準となるスロットル開度を基準開度とした場合に、前記推奨車速と自車速との車速差が小さくなるほどアクセル操作量に対するスロットル開度が前記基準開度に対して相対的に小さくなるように、内燃機関の目標出力特性を設定することを特徴とする内燃機関の出力特性制御装置。」(なお、下線は、補正箇所を示すために請求人が付したものである。)

(2)本件補正の目的
本件補正の目的について、審判請求人は、「自車の推奨車速を、…基づいて算出する」との補正が、補正前にあった「自車の推奨車速を算出する」との事項を限定的に減縮するものであり、「…前記推奨車速と自車速との車速差が小さくなるほどアクセル操作量に対するスロットル開度が前記基準開度に対して相対的に小さくなるように、内燃機関の目標出力特性を設定する」との補正が、補正前にあった「内燃機関の目標出力特性を設定する」との事項を限定的に減縮するものである旨を審判請求書において主張している。
そこで本件補正の目的について検討すれば、本件補正は、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1に記載された発明における発明特定事項である「推奨車速算出手段」及び「目標出力特性設定手段」について、それぞれ「検出した道路交通環境に基づいて算出する」ものである旨、及び「前記推奨車速と自車速との車速差が小さくなるほどアクセル操作量に対するスロットル開度が前記基準開度に対して相対的に小さくなるように、内燃機関の目標出力特性を設定する」ものである旨を限定するものであって、本件補正前の請求項1に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題は同一である。
したがって、本件補正は、特許請求の範囲の請求項1に関しては、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

2.独立特許要件についての判断
本件補正における特許請求の範囲の請求項1に関する補正は、前述したように、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するので、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される発明(以下、「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて、以下に検討する。

2.1 引用文献
(1)引用文献の記載
本願の優先日前に頒布され、原査定の拒絶の理由に引用された刊行物である特開2008-87562号公報(以下、「引用文献」という。)には、「車両用駆動力制御装置」に関し、図面とともに、例えば、次のような記載がある。

(ア)「【0001】
本発明は、車両用駆動力制御装置に関し、特に、前方車両との位置関係に基づいて運転者による駆動力を発生させるための駆動力操作に対する車両が発生する駆動力の特性を変更する制御を行なう車両用駆動力制御装置に関する。
…(後略)…」(段落【0001】)

(イ)「【0027】
以下、本発明の車両用駆動力制御装置の一実施形態につき図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0028】
(第1実施形態)
図1から図6を参照して、第1実施形態について説明する。
【0029】
本実施形態の構成としては、以下に詳述するように、車間距離センサや画像センサなどにより前方車両との車間距離や相対車速を計測する手段と、アクセルペダル開度センサと電子式スロットル弁、有段変速機、無段変速機、HV、MMT(自動変速モード付きマニュアルトランスミッション)等の自動変速機など車両の駆動力特性を変更可能な手段と、アクセル操作を検出する手段とが前提となる。
【0030】
図2において、符号10は自動変速機、40はエンジンである。自動変速機10は、電磁弁121a、121b、121cへの通電/非通電により油圧が制御されて6段変速が可能である。図2では、3つの電磁弁121a、121b、121cが図示されるが、電磁弁の数は3に限定されない。電磁弁121a、121b、121cは、制御回路130からの信号によって駆動される。
【0031】
アクセルペダル開度センサ114は、アクセルペダル112の開度を検出する。エンジン回転数センサ116は、エンジン40の回転数を検出する。車速センサ122は、車速に比例する自動変速機10の出力軸120cの回転数を検出する。シフトポジションセンサ123は、シフトポジションを検出する。パターンセレクトスイッチ117は、変速パターンを指示する際に使用される。加速度センサ90は、車両の減速度(減速加速度)を検出する。レーダー102は、車両前部に搭載されたレーザーレーダーセンサ又はミリ波レーダーセンサなどのセンサであり、前方の車両との車間距離を計測する。
【0032】
ナビゲーションシステム装置95は、自車両を所定の目的地に誘導することを基本的な機能としており、演算処理装置と、車両の走行に必要な情報(地図、直線路、カーブ、登降坂、高速道路など)が記憶された情報記憶媒体と、自立航法により自車両の現在位置や道路状況を検出し、地磁気センサやジャイロコンパス、ステアリングセンサを含む第1情報検出装置と、電波航法により自車両の現在位置、道路状況などを検出するためのもので、GPSアンテナやGPS受信機などを含む第2情報検出装置等を備えている。
【0033】
制御回路130は、アクセルペダル開度センサ114、エンジン回転数センサ116、車速センサ122、シフトポジションセンサ123、加速度センサ90、レーダー102の各検出結果を示す信号を入力し、また、パターンセレクトスイッチ117のスイッチング状態を示す信号を入力する。
【0034】
制御回路130は、周知のマイクロコンピュータによって構成され、CPU131、RAM132、ROM133、入力ポート134、出力ポート135、及びコモンバス136を備えている。入力ポート134には、上述の各センサ114、116、122、123、90からの信号、上述のスイッチ117からの信号、レーダー102からの信号、ナビゲーションシステム装置95からの信号が入力される。出力ポート135には、電磁弁駆動部138a、138b、138cが接続されている。
【0035】
ROM133には、予め図1のフローチャートに示す動作(制御ステップ)が格納されているとともに、自動変速機10のギヤ段を変速するための変速マップ及び変速制御の動作(図示せず)が格納されている。制御回路130は、入力した各種制御条件に基づいて、自動変速機10の変速を行う。」(段落【0027】ないし【0035】)

(ウ)「【0061】
(第2実施形態)
次に、図8を参照して、第2実施形態について説明する。
第2実施形態において、上記第1実施形態と共通する部分についての説明は省略する。
【0062】
運転者は、前方に車両がいる場合、車間距離や車間距離の変化率(=相対車速)を見て適度な車間距離を保持しながら走行する。適度な車間距離を保持するためには、車間距離や相対車速の正確な認知と、車両の応答特性の正確な把握と、微妙なアクセルペダル操作が必要である。
【0063】
しかし、これら全てを運転者に要求すると、運転負担が増加し、運転者は非常に疲れてしまう。そこで、第2実施形態では、適度な車間距離が保持し易いように、現在の相対車速と車間距離に応じて電子スロットル特性を常時変化させる。具体的には、車間距離小かつ相対車速≪0の場合には、駆動力が出難い側に電子スロットル特性に変更し、一方、車間距離大または相対車速≫0の場合には、駆動力が出易い側に電子スロットル特性を変更する。これにより、運転者は、適度な車間距離を保持し易くなり、運転負荷が大幅に軽減する。
【0064】
図9は、第2実施形態のタイムチャートである。図9において、符号321は従来技術におけるアクセルペダル開度、符号322は本実施形態におけるアクセルペダル開度、符号323は通常特性のスロットル開度、符号324は従来技術におけるスロットル開度、符号325は本実施形態におけるスロットル開度、符号326は従来技術における相対車速、符号327は本実施形態における相対車速、符号328は従来技術における車間距離、符号329は本実施形態における車間距離をそれぞれ示している。なお、本例では、自車速及び前車車速が概ね80km/h程度である状態を想定している。
【0065】
図9に示すように、従来技術においては、運転者は、相対車速326が0よりも大きくなってきたことや、車間距離328が大きくなってきたことを認識して、アクセルペダルを踏む。それでも前車が自車両に対して離れていくときには、アクセルペダルの踏み増しをする。この場合、運転者は、相対車速326や車間距離328を正確に見極めることは難しく、また、車両の応答遅れの影響を受けることもあることから、必要以上にアクセルペダルを踏み増ししてしまうことがあった。これにより、相対車速326は負の値になり、車間距離328も小さくなり、運転者はアクセルペダルを戻す。この場合、アクセルペダルの戻し量の見極めも難しいことから、アクセルペダルを戻し過ぎてしまい、再度アクセルペダルを踏む必要が出てしまっていた。
【0066】
これに対して、本実施形態では、車間距離329が大きい場合、又は相対車速327≫0の場合には、スロットル開度325及び通常特性のスロットル開度323に示されるように、電子スロットル特性が通常特性に比べて駆動力が出易い側(UP側)に変更される。これにより、運転者がアクセルを踏んだときにすぐに前車が自車両に対して離れるのを抑えることができる。これにより、車間距離329及び相対車速327がすぐに小さく抑えられる。
【0067】
この場合、電子スロットル特性が駆動力が出易い側に変更されているので、アクセルペダルを踏んだときにすぐに十分に加速し、前車が自車両に対して離れることが抑えられていることを認識することができる。このため、アクセルペダルを踏み増すことがあまり必要とされず、従来のような踏み増し量の見極めの難しさからアクセルを踏み過ぎるという問題が抑制される。
【0068】
車間距離329が小さくかつ相対車速327≪0の場合には、電子スロットル特性が通常特性に比べて駆動力が出難い側(DOWN側)に変更される。これにより、アクセルペダル開度322が同じであっても駆動力が低下するため、従来のようにアクセルペダルを大きく戻すことが不要となる。このように本実施形態によれば、現在の車間距離329と相対車速327に基づいて電子スロットル特性が変更されるため、運転者は適度な車間距離を保持し易くなり、運転負荷が大幅に低減される。
【0069】
図8を参照して、第2実施形態の動作について説明する。
【0070】
ステップS11では、上記図1のステップS1と同様に、自車両の前方に制御の対象となる車両があるか否かが判定される。ステップS11の判定の結果、肯定的に判定された場合には、ステップS12に進み、そうでない場合にはステップS15に進む。ステップS12では、同ステップS2と同様の方法で、車間距離329及び相対車速327が算出される。
【0071】
[ステップS13]
次に、ステップS13では、電子スロットル特性の補正量が算出される。電子スロットル特性は、例えば図10に示すように、現在の車間時間(車間距離/自車速)と予め設定された車間時間の目標値(目標車間時間)の偏差(現在車間時間/目標車間時間-1)と相対車速より算出することができる。目標車間距離は、予め設定された一定の値であることができる。…(中略)…
【0073】
[ステップS14]
次に、ステップS14では、上記ステップS13にて算出された電子スロットル特性の補正量に基づいて、例えば図13に示すように、電子スロットル特性が補正される。通常時(非補正時)の電子スロットル特性332に対して、上記ステップS13にて算出された電子スロットル特性の補正量330が上乗せされることにより、電子スロットル特性の補正が行なわれる。符号335は、補正後の電子スロットル特性を示している。」(段落【0061】ないし【0073】)

(2)引用文献記載の事項
上記(1)(ア)ないし(ウ)並びに図1、2、8、10及び13の記載から、以下の事項が分かる。

(カ)上記(1)(ア)ないし(ウ)並びに図1及び2の記載から、引用文献には、車両のエンジンの駆動力の特性を変更する制御を行う車両用駆動力制御装置が記載されていることが分かる。

(キ)上記(1)(ウ)及び図8の記載から、引用文献に第2実施例として記載された車両用駆動力制御装置は、車間距離及び相対車速を算出する手段を備えるものであることが分かる。

(ク)上記(1)(ウ)及び図10の記載から、引用文献に第2実施例として記載された車両用駆動力制御装置は、電子スロットル特性の補正量を算出する手段を備え、該電子スロットル特性の補正量は、現在の車間時間(車間距離/自車速)と予め設定された車間時間の目標値(目標車間時間)の偏差(現在車間時間/目標車間時間-1)と相対車速より算出することができ、偏差が-80%で相対車速が0m/s、5m/s、10m/sのときに、電子スロットル補正量はそれぞれ-4deg、-2deg、0degであり、偏差が-40%で相対車速が0m/s、5m/sのときに、電子スロットル補正量はそれぞれ-2deg、0degであることが分かる。

(ケ)上記(1)(ウ)及び図13の記載から、引用文献に第2実施例として記載された車両用駆動力制御装置は、電子スロットル特性を変更する手段を備えることが分かる。

(3)引用発明
上記(1)及び(2)並びに図1、2、8、10及び13の記載から、引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認める。

「車両のエンジンの駆動力の特性を変更する制御を行う車両用駆動力制御装置であって、
車間距離及び相対車速を算出する手段と、
電子スロットル特性の補正量を算出する手段と、
電子スロットル特性を変更する手段と、
を備え、
電子スロットル特性の補正量を算出する手段は、該電子スロットル特性の補正量を、現在の車間時間(車間距離/自車速)と予め設定された車間時間の目標値(目標車間時間)の偏差(現在車間時間/目標車間時間-1)と相対車速より算出することができ、偏差が-80%で相対車速が0m/s、5m/s、10m/sのときに、電子スロットル補正量はそれぞれ-4deg、-2deg、0degであり、偏差が-40%で相対車速が0m/s、5m/sのときに、電子スロットル補正量はそれぞれ-2deg、0degである車両用駆動力制御装置。」

2.2 対比・判断
本願補正発明と引用発明とを対比すると、引用発明における「車両のエンジン」は、その構成、機能又は技術的意義からみて、本願補正発明における「車両に搭載された内燃機関」に相当し、引用発明において「車両のエンジンの駆動力の特性を変更する制御を行う」ことは、エンジンの出力特性を制御することであるといえるから、本願補正発明において「出力特性を制御する」に相当し、引用発明における「車両用駆動力制御装置」は、その機能からみて、本願補正発明における「出力特性制御装置」に相当する。
また、本願の明細書の段落【0040】に「ステップS11において、コントローラ5は、現在走行している道路の形状や制限速度、周辺車両との相対関係、渋滞度合い、信号の有無、などの自車が走行している道路の環境(以下「道路交通環境」という。)を、ナビゲーション情報及び車間距離に基づいて検出する。」と記載されているところ、引用発明における「車間距離及び相対車速」は、自車の走行における「周辺車両との相対関係」であるといえるから、本願補正発明における「自車が走行している道路交通環境」に相当し、引用発明における「算出する」は、その技術的意義からみて、本願補正発明おける「検出する」に相当し、同様に「車間距離及び相対車速を算出する手段」は「道路交通環境検出手段」に相当する。

そして、引用発明において、現在の車間時間と目標車間時間の偏差が-80%で相対車速が10m/sのときに、電子スロットル補正量が0degであることからみて、このときに現在の自車の車速+10m/sを自車の推奨車速としていることは明らかであり、また、現在の車間時間と目標車間時間の偏差が-40%で相対車速が5m/sのときに、電子スロットル補正量が0degであることからみて、このときに現在の自車の車速+5m/sを自車の推奨車速としていることは明らかであるから、引用発明は「車間距離及び相対車速」という「検出した道路交通環境に基づいて」「自車の推奨車速」を算出するものであるということができる。
したがって、引用発明において、「電子スロットル特性の補正量を算出する手段」を備え、「電子スロットル特性の補正量を算出する手段は、該電子スロットル特性の補正量を、現在の車間時間(車間距離/自車速)と予め設定された車間時間の目標値(目標車間時間)の偏差(現在車間時間/目標車間時間-1)と相対車速より算出することができ、偏差が-80%で相対車速が0m/s、5m/s、10m/sのときに、電子スロットル補正量はそれぞれ-4deg、-2deg、0degであり、偏差が-40%で相対車速が0m/s、5m/sのときに、電子スロットル補正量はそれぞれ-2deg、0degである」ことは、本願補正発明において、「自車の推奨車速を、検出した道路交通環境に基づいて算出する推奨車速算出手段」を備えることを包含する。

さらに、引用発明において、偏差が-80%で相対車速が10m/s、5m/s、0m/sのときに、電子スロットル補正量はそれぞれ0deg、-2deg、-4degであるということは、自車の推奨車速と自車速との車速差が小さくなるにつれて、アクセル操作量に対するエンジンの駆動力が低下するように、電子スロットル特性を変更し、それによってエンジンの目標出力特性を設定するものであるといえる。また、偏差が-40%の場合においても、相対車速が5m/s、0m/sのときに、電子スロットル補正量はそれぞれ0deg、-2degと、自車の推奨車速と自車速との車速差が小さくなるにつれて、アクセル操作量に対するエンジンの駆動力が低下するように、電子スロットル特性を変更するものである。
また、引用発明において、電子スロットル補正量が0degであることは、アクセルペダル開度に対し基準となる電子スロットル開度、すなわち、基準開度であるということができる。
そして、引用発明は、偏差が-80%で相対車速が10m/s、5m/s、0m/sのときに、電子スロットル補正量はそれぞれ0deg、-2deg、-4degとするものであるから、アクセルペダル開度に対し基準となる電子スロットル開度を基準開度とした場合に、推奨車速と自車速との車速差が小さくなるほどアクセルペダル開度に対する電子スロットル開度が前記基準開度に対して相対的に小さくなるように、エンジンの駆動力の特性を変更するものである。引用発明において偏差が-40%の場合に、相対車速が5m/s、0m/sのときに、電子スロットル補正量はそれぞれ0deg、-2degであることについても、同様のことがいえる。
したがって、引用発明における「電子スロットル特性を変更する手段」は、本願補正発明における「推奨車速算出手段」のほかに「目標出力特性設定手段」の機能を兼ねるものであるということができ、引用発明において、「電子スロットル特性の補正量を算出する手段」を備え、「電子スロットル特性の補正量を算出する手段は、該電子スロットル特性の補正量を、現在の車間時間(車間距離/自車速)と予め設定された車間時間の目標値(目標車間時間)の偏差(現在車間時間/目標車間時間-1)と相対車速より算出することができ、偏差が-80%で相対車速が0m/s、5m/s、10m/sのときに、電子スロットル補正量はそれぞれ-4deg、-2deg、0degであり、偏差が-40%で相対車速が0m/s、5m/sのときに、電子スロットル補正量はそれぞれ-2deg、0degである」ことは、本願補正発明において、「推奨車速と自車速との車速差が小さくになるにつれてアクセル操作量に対する内燃機関の出力が低下するように、前記内燃機関の目標出力特性を設定する目標出力特性設定手段」を備え、「前記目標出力特性設定手段は、アクセル操作量に対し基準となるスロットル開度を基準開度とした場合に、推奨車速と自車速との車速差が小さくなるほどアクセル操作量に対するスロットル開度が前記基準開度に対して相対的に小さくなるように、内燃機関の目標出力特性を設定すること」に相当する。
そして、引用発明における「電子スロットル特性を変更する手段」は、その技術的意義からみて、本願補正発明における「内燃機関の出力特性を目標出力特性へと変更する出力特性変更手段」に相当する。

よって、本願補正発明と引用発明とは、
「 車両に搭載された内燃機関の出力特性を制御する出力特性制御装置であって、
自車が走行している道路交通環境を検出する道路交通環境検出手段と、
自車の推奨車速を、検出した道路交通環境に基づいて算出する推奨車速算出手段と、
前記推奨車速と自車速との車速差が小さくになるにつれてアクセル操作量に対する前記内燃機関の出力が低下するように、前記内燃機関の目標出力特性を設定する目標出力特性設定手段と、
前記内燃機関の出力特性を前記目標出力特性へと変更する出力特性変更手段と、
を備え、
前記目標出力特性設定手段は、アクセル操作量に対し基準となるスロットル開度を基準開度とした場合に、前記推奨車速と自車速との車速差が小さくなるほどアクセル操作量に対するスロットル開度が前記基準開度に対して相対的に小さくなるように、内燃機関の目標出力特性を設定する内燃機関の出力特性制御装置。」
である点で一致し、引用発明は本願補正発明の発明特定事項を全て備えている。

したがって、本願補正発明は、刊行物に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に掲げる発明に該当するから、特許を受けることができないものである。

3 むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記[補正の却下の決定の結論]のとおり決定する。

第3.本願発明について
1.本願発明
上記のとおり、平成28年3月22日付けの手続補正は却下されたため、本願の請求項1ないし12に係る発明は、平成27年6月15日提出の手続補正書によって補正された明細書及び特許請求の範囲、並びに願書に最初に添付された図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし12に記載された事項により特定されるものであり、そのうち、請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、上記第2.の[理由]1.(1)(ア)に記載したとおりのものである。

2.引用発明
本願の優先日前に頒布され、原査定の拒絶の理由に引用された引用文献(特開2008-87562号公報)記載の発明(引用発明)は、前記第2.の[理由]2.1の(3)に記載したとおりである。

3.対比・判断
前記第2.の[理由]1.(2)で検討したとおり、本件補正は、該補正前の特許請求の範囲の請求項1に係る発明、すなわち本願発明の発明特定事項をさらに限定するものであるから、本願発明は、実質的に本願補正発明における発明特定事項の一部を省いたものに相当する。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含む本願補正発明が、前記第2.の[理由]2.2に記載したとおり、刊行物に記載された発明であるから、本願発明も刊行物に記載された発明である。

4.まとめ
以上のとおり、本願発明は、刊行物に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に掲げる発明に該当するから、特許を受けることができない。

第4.むすび
上記第3.のとおり、本願発明は、特許法第29条第1項第3号に掲げる発明に該当し、特許を受けることができないので、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2017-01-17 
結審通知日 2017-01-24 
審決日 2017-02-06 
出願番号 特願2011-143177(P2011-143177)
審決分類 P 1 8・ 113- Z (F02D)
P 1 8・ 575- Z (F02D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山村 和人  
特許庁審判長 伊藤 元人
特許庁審判官 三島木 英宏
中村 達之
発明の名称 内燃機関の出力特性制御装置  
代理人 後藤 政喜  
代理人 特許業務法人後藤特許事務所  
代理人 村瀬 謙治  
代理人 飯田 雅昭  

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