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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 G06F
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F
管理番号 1326514
審判番号 不服2016-2645  
総通号数 209 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-05-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-02-22 
確定日 2017-04-11 
事件の表示 特願2013-120272「情報処理システム、情報処理装置、情報処理方法、プログラム及び情報記憶媒体」拒絶査定不服審判事件〔平成26年12月18日出願公開、特開2014-238679、請求項の数(8)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯

本願は,平成25年6月6日の出願であって,平成27年4月17日付けで拒絶理由通知がなされ,同年6月18日に手続補正がなされたが,同年12月9日付けで拒絶査定がなされ,これに対し,平成28年2月22日に拒絶査定不服審判が請求され,その後,当審において同年12月8日付けで拒絶理由通知がなされ,平成29年1月16日に手続補正がなされたものである。

第2 本願発明

本願の請求項1?8に係る発明は,平成29年1月16日の手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1?8に記載された事項により特定されるものである。
本願の請求項1に係る発明(以下,「本願発明」という。)は以下のとおりである。

<本願発明>
「送信装置と受信装置とを含む情報処理システムであって,
前記送信装置は,
前記送信装置の設定に基づいて複数の言語を決定する言語決定部と,
決定される前記複数の言語のうちのいずれかである互いに異なる言語でそれぞれが記述された同一内容を示す複数のデータを送信する送信部と,を含み,
前記受信装置は,
前記データを受信する受信部と,
前記複数の言語のうちの前記受信装置のユーザにより設定されたシステム言語に基づいて決定される言語で記述された前記データを表示させる表示制御部と,を含み,
前記表示制御部は,前記受信部が受信する前記データに前記設定されたシステム言語で記述された前記データが含まれていない場合は,当該設定されたシステム言語に基づいて決定される,当該システム言語とは異なる言語で記述された前記データを表示させる,
ことを特徴とする情報処理システム。」

第3 原査定の理由について

1.原査定の理由の概要

この出願の下記の請求項に係る発明は,その出願前に日本国内又は外国において,頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて,その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

<引用文献等一覧>
1.特開2009-49888号公報
2.特開平6-46179号公報

引用文献1には電子メールの送信部と受信部を備えたネットワークファクシミリ装置において,表示情報制御部によって設定された第1の言語と,文字情報の言語として設定可能な複数の言語に含まれる第2の言語とに基づいた内容の同じ二つのメッセージを含む電子メールを作成して送信する構成と,受信した電子メールの2つの言語のパートのうち処理可能なパート(表示言語情報に設定されている言語のパート)を処理し,表示画面に表示する構成が記載されている。(段落0013-0014,0033-0034,0041-0042等参照)
複数言語間で情報を送受しする場合に,全ての言語を網羅できないことは出願時における技術常識であり,受信装置においてシステム言語(表示言語)として設定された言語が受信情報に含まれない状況を想定した処理として,受信した何れかの言語の情報を表示する,または言語非対応であることを通知する等の処理を設定することは,当業者の通常の創作能力の発揮に過ぎない。
ファクシミリ等の電子機器において,機器の位置情報に基づいて使用言語を決定することは引用文献2にも開示されるように本願出願時において周知の技術である。

2. 原査定の理由の判断

(1)刊行物の記載事項

(1-1) 特開2009-49888号公報

原査定の理由において引用された特開2009-49888号公報(以下,「引用文献1」という。)には,次の事項が記載されている。

「【0030】
以下,図1に示す構成を有するネットワーク複合機1における,電子メールの送信時の動作について,図2を用いて説明する。図2は,I-FAXメール送信時のネットワーク複合機1の動作を示すフローチャートである。
【0031】
まず,ユーザがネットワーク複合機1の本体操作部を介して認証情報を入力して,ネットワーク複合機1にログインする。ユーザは,原稿を送信するためにI-FAX通信の設定を行う(ステップS11)。具体的には,ユーザは,スキャナ部14に原稿をセットし,I-FAXメールの送信先情報および送信証メールの送信先情報を設定する。たとえば,I-FAXメールの送信先情報は,制御部11が保持する電話帳(図示省略)などに記録されたメールアドレスに基づいて設定される。送信証メールの送信先情報は,ユーザ情報管理部111が保持するユーザ管理情報に記録されたメールアドレスに基づいて設定される。
【0032】
I-FAX通信の設定後,ユーザが送信開始の操作を行うことにより,スキャナ部14が原稿を読み取り,原稿の画像データ(原稿データ)を作成する(ステップS12)。
【0033】
電子メール処理部17は,I-FAXメールのテキストメッセージを,英語および表示言語情報に設定された日本語でそれぞれ作成する(ステップS13)。具体的には,電子メール処理部17は,I-FAXメールに対応した英語の定型文を英語データ記憶部162から取得し,設定された送信先情報などに応じて取得した定型文を変更することによって英語のテキストメッセージを作成する。
【0034】
また,電子メール処理部17は,表示情報制御部112から取得した表示言語情報に基づいて,表示言語情報で記述されたテキストメッセージを作成する。表示言語情報として日本語が設定されているため,電子メール処理部17は,日本語データ記憶部161からI-FAXメールに対応した日本語の定型文を取得する。電子メール処理部17は,英語のテキストメッセージと同一内容の日本語のテキストメッセージを作成する。
【0035】
次に,電子メール処理部17は,図3に示すようなI-FAXメール20を作成する。すなわち,電子メール処理部17は,I-FAXメールとして,本文パートを“multipart/alternative”形式としたマルチパートメールを作成する(ステップS14)。本文パートは,英語のテキストメッセージと日本語のテキストメッセージとで構成される。
【0036】
図3は,電子メール処理部17が作成するI-FAXメールの本文パートの一例を示す図である。図3に示すI-FAXメール20は,ヘッダ部21と,本文パート22と,原稿データパート23とで構成される。ヘッダ部21には,I-FAXメールの送信先のメールアドレス,送信元であるネットワーク複合機1のメールアドレスなどが記述される。原稿データパート23には,原稿データが添付ファイルの形式として記述される。
【0037】
また,本文パート22は,ステップS13で作成したテキストメッセージが記述されており,マルチパート設定情報221と,英語パート222と,日本語パート223とで構成される。マルチパート設定情報221において,“Content-Type:multipart/alternative”と記載されている。これより,本文パートが,同一の内容の複数のパートで構成された“multipart/alternative”形式で記述されていることがわかる。
【0038】
英語パート222は,英語のテキストメッセージが記述されたパートである。英語パート222における“charset=US-ASCII”の記載から,I-FAXメール20を受信する受信側の通信装置は,英語パート222に文字セットとしてUS-ASCIIを用いたテキストメッセージが記述されていることを確認する。
【0039】
日本語パート223は,日本語のテキストメッセージが記述されたパートである。日本語パート223における“charset=ISO-2022-JP”の記載から,受信側の通信装置は,日本語パート223に文字セットとしてISO-2022-JPを用いたテキストメッセージが記述されていることを確認する。
【0040】
ステップS14に示す処理の後で,電子メール処理部17は,Message Disposition Notification(MDN)に基づく開封確認要求を設定して,I-FAXメール20を送信する(ステップS15)。」
・・・(中略)・・・
【0041】
受信側の通信装置は,受信したI-FAXメール20の本文パート22が“multipart/alternative”形式あることを確認し,英語パート222および日本語パート223のうち,処理可能なパートを処理する。たとえば,受信側の通信装置は,日本語の文字コードに対応していない場合,英語パート222を処理する。一方,受信側の通信装置は,表示言語情報が日本語に設定されている場合,日本語パート223を処理する。」

上記記載によれば,引用文献1には,次の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されているといえる。

<引用発明>
「ネットワーク複合機1における,電子メールの送信時に(【0030】),
ユーザが送信開始の操作を行うことにより,スキャナ部14が原稿を読み取り,原稿の画像データを作成し(【0032】),
電子メール処理部17は,I-FAXメールに対応した英語の定型文を英語データ記憶部162から取得し,設定された送信先情報などに応じて取得した定型文を変更することによって英語のテキストメッセージを作成し(【0033】),
電子メール処理部17は,表示情報制御部112から取得した表示言語情報に基づいて,表示言語情報で記述されたテキストメッセージを作成し,表示言語情報として日本語が設定されていると,日本語データ記憶部161からI-FAXメールに対応した日本語の定型文を取得し,英語のテキストメッセージと同一内容の日本語のテキストメッセージを作成し(【0034】),
電子メール処理部17は,I-FAXメール20を作成し(【0035】),当該I-FAXメール20は,ヘッダ部21と,本文パート22と,原稿データパート23とで構成され,本文パートは,英語のテキストメッセージが記述された英語パートと日本語のテキストメッセージが記述された日本語パートとで構成され,原稿データパート23は,原稿データが添付ファイルの形式として記述され(【0035】?【0039】),
電子メール処理部17は,作成されたI-FAXメール20を送信し(【0040】),
受信側の通信装置は,
受信したI-FAXメール20の英語パート222および日本語パート223のうち,処理可能なパートを処理し,たとえば,日本語の文字コードに対応していない場合,英語パート222を処理し,一方,表示言語情報が日本語に設定されている場合,日本語パート223を処理する(【0041】),
システム。」

(1-2) 特開平6-46179号公報

原査定の理由において引用された特開平6-46179号公報(以下,「引用文献2」という。)には,次の事項が記載されている。

ア.「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は,外国へ輸出するファクシミリ装置の表示パネル等に,その国の自国語で表示させるファクシミリ装置に関するものである。」

イ.「【0007】本実施例では,自動的に国別に変化できる機能として,操作パネル2とNCU3,4と音声メッセ-ジ用メモリ16であり,さらにNCUの変化によるソフトウェアの変化に対応してシステムROM可変部6も変更される。図1に示すファクシミリ装置が外国に搬送された後,その国で使用される段階となり,電源が投入される。これにより,先ずナビゲ-ションシステムCの通信用アンテナ10が衛星からの電波を受信し,これを低雑音増幅装置11で増幅する。次に,周波数変換装置12では,受信した無線周波数を中間周波数に変換した後,復調装置13に出力すると,復調装置13では中間周波数を元の信号に復調して,位置認識装置14に出力する。位置認識装置14としては,前述のGPS(Global Positioning System)が用いられる。GPSは,通信衛星からの信号をパラボラアンテナで受信して位置情報を算出するもので,GPSにより現在位置を認知し,これを国エリア指定ROM15に照合して,CPU1によりどの国であるかを判定する。
【0008】CPU1は,特定された国を可変操作パネル2,NCU可変部4,および可変音声メッセ-ジ用メモリ16に送出する。これにより,可変操作パネル2では,自動的にその国の言語により操作パネルの表示面を表示する。可変操作パネル2内のメモリには,予め数箇国の言語による操作名称群が登録されており,CPU1からの指示により,その中の1つの群が選択されて表示される。」

前記ア.イ.の記載によれば,引用文献2は次の事項が記載されているといえる。

<引用文献2の記載事項>
「外国へ輸出するファクシミリ装置の表示パネル等に,その国の自国語で表示させるファクシミリ装置において,
GPSは,通信衛星からの信号をパラボラアンテナで受信して位置情報を算出し,これを国エリア指定ROM15に照合して,CPU1によりどの国であるかを判定し,
CPU1は,特定された国を可変操作パネル2に送出し,これにより,可変操作パネル2では,自動的にその国の言語により操作パネルの表示面を表示し,
可変操作パネル2内のメモリには,予め数箇国の言語による操作名称群が登録されており,CPU1からの指示により,その中の1つの群が選択されて表示される,
ファクシミリ装置。」

(2)対比

次に,本願発明と引用発明とを対比する。

・引用発明の「ネットワーク複合機1」は,I-FAXメールを送信するから,本願発明の「送信装置」に相当する。

・引用発明の「受信側の通信装置」は,本願発明の「受信装置」に相当する。

・引用発明の「ネットワーク複合機1」と「受信側の通信装置」とからなるシステムは,本願発明の「送信装置と受信装置とを含む情報処理システム」に相当する。

・引用発明のネットワーク複合機1は,「表示情報制御部112から取得した表示言語情報に基づいて,表示言語情報で記述されたテキストメッセージを作成し,表示言語情報として日本語が設定されていると,日本語データ記憶部161からI-FAXメールに対応した日本語の定型文を取得し,英語のテキストメッセージと同一内容の日本語のテキストメッセージを作成」することから,表示言語情報の設定に基づいて,英語と日本語という複数の言語を決定する手段を有するといえる。
この手段は,本願発明の「前記送信装置の設定に基づいて複数の言語を決定する言語決定部」に相当する。

・引用発明のネットワーク複合機1は,英語のテキストメッセージと同一内容の日本語のテキストメッセージを作成し,I-FAXメール20の本文パートを英語のテキストメッセージが記述された英語パートと日本語のテキストメッセージが記述された日本語パートとで構成して,当該I-FAXメール20を送信する。
この送信のための手段は,本願発明の「決定される前記複数の言語のうちのいずれかである互いに異なる言語でそれぞれが記述された同一内容を示す複数のデータを送信する送信部」に相当する。

・引用発明の「受信側の通信装置」は,I-FAXメール20を受信する手段を有するといえる。この受信手段は,本願発明の「前記データを受信する受信部」に相当する。

・引用発明は,「受信したI-FAXメール20の英語パート222および日本語パート223のうち,処理可能なパートを処理し,たとえば,日本語の文字コードに対応していない場合,英語パート222を処理し,一方,表示言語情報が日本語に設定されている場合,日本語パート223を処理する」から,複数の言語のうち,受信装置のユーザにより設定されたシステム言語に基づいて決定される言語で記述されたテキストメッセージを処理するといえる。
この処理をするための手段と,本願発明の「前記複数の言語のうちの前記受信装置のユーザにより設定されたシステム言語に基づいて決定される言語で記述された前記データを表示させる表示制御部」は,「前記複数の言語のうちの前記受信装置のユーザにより設定されたシステム言語に基づいて決定される言語で記述された前記データを処理させる処理制御部」の点で共通する。

したがって,本願発明と引用発明の一致点・相違点は次のとおりである。

<一致点>
「送信装置と受信装置とを含む情報処理システムであって,
前記送信装置は,
前記送信装置の設定に基づいて複数の言語を決定する言語決定部と,
決定される前記複数の言語のうちのいずれかである互いに異なる言語でそれぞれが記述された同一内容を示す複数のデータを送信する送信部と,を含み,
前記受信装置は,
前記データを受信する受信部と,
前記複数の言語のうちの前記受信装置のユーザにより設定されたシステム言語に基づいて決定される言語で記述された前記データを処理させる処理制御部と,を含む,
情報処理システム。」

<相違点>
「前記データを処理させる処理制御部」が,本願発明では「前記データを表示させる表示制御部」であって,「前記受信部が受信する前記データに前記設定されたシステム言語で記述された前記データが含まれていない場合は,当該設定されたシステム言語に基づいて決定される,当該システム言語とは異なる言語で記述された前記データを表示させる」のに対し,引用発明では,データをどのように処理するのか不明な点。

(3)判断

上記相違点について検討する。
引用発明の受信側の通信装置は,「受信したI-FAXメール20の英語パート222および日本語パート223のうち,処理可能なパートを処理」するものであるから,仮に,I-FAXメールのテキストメッセージの中に,表示言語情報として設定されている言語が含まれていない場合,処理可能な他の言語を選択して表示することが想到されるだけで,本願発明のように,「システム言語とは異なる言語」を「設定されたシステム言語に基づいて決定」することが,容易に想到できたとはいえない。
また,上記構成は,引用文献2にも記載も示唆もされていない。

(4)小括

したがって,本願発明は,当業者が引用発明及び引用文献2の記載事項に基づいて,容易に発明をすることができたとはいえない。
本願の請求項2?4に係る発明についても,本願発明をさらに限定したものであるので,本願発明と同様に,当業者が引用発明及び引用文献2の記載事項に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。
本願の請求項5に係る発明は,本願発明の受信装置に相当するものであり,前記相違点に係る構成を備えたものであるから,本願発明と同様に,当業者が引用発明及び引用文献2の記載事項に基づいて,容易に発明をすることができたとはいえない。
本願の請求項6に係る発明は,本願発明を方法発明に変更したものであり,前記相違点に係る構成を備えたものであるから,本願発明と同様に,当業者が引用発明及び引用文献2の記載事項に基づいて,容易に発明をすることができたとはいえない。
本願の請求項7に係る発明は,本願の請求項5に係る情報処理装置をプログラムとしたものであり,前記相違点に係る構成を備えたものであるから,本願発明と同様に,当業者が引用発明及び引用文献2の記載事項に基づいて,容易に発明をすることができたとはいえない。
本願の請求項8に係る発明は,本願の請求項7に係るプログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な情報記録媒体であり,前記相違点に係る構成を備えたものであるから,本願発明と同様に,当業者が引用発明及び引用文献2の記載事項に基づいて,容易に発明をすることができたとはいえない。

第4 当審拒絶理由について

1.当審拒絶理由の概要

[理由1]この出願の下記の請求項に係る発明は,その出願前日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて,その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
1.特開2009-49888号公報

・請求項5
・引用文献1
「受信装置」での受信データの処理に関する上記記載は,請求項5に係る発明を特定するための意味を有しておらず,請求項5に係る発明は,実質,
「受信装置で表示されるデータを送信する情報処理装置であって,
前記情報処理装置の設定に基づいて複数の言語を決定する言語決定部と,
決定される前記複数の言語のうちのいずれかである互いに異なる言語でそれぞれが記述された複数のデータを送信する送信部と,を含む,
ことを特徴とする情報処理装置。」である。
請求項5に係る発明は,引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

・請求項8,10
・引用文献1
請求項8に係る発明は,請求項5に係る情報処理装置の各部での手順を,コンピュータで実現するためのプログラムに相当する。よって,請求項5と同様の理由により,請求項8,10に係る発明は,引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

[理由2]この出願は,特許請求の範囲の記載が下記の点で,特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。


・請求項1?10
出願時の技術常識に照らしても,異なる言語で記述されていさえすれば良く,内容の一致不一致は問わない「複数のデータ」も含むような,請求項に係る発明の範囲まで,発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できるとはいえない。

[理由3]この出願は,特許請求の範囲の記載が下記の点で,特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

・請求項8
請求項8の「そのうちの前記受信装置のユーザにより設定されたシステム言語に基づいて決定される言語で記述された前記データが」の記載において,「データ」は前記されていない。
請求項8の「前記受信装置は,前記送信部が送信する前記データに前記設定されたシステム言語で記述された前記データが含まれていない場合は」の記載において,「送信部」は前記されていない。

・請求項9
請求項9の「前記表示させる手順では,前記受信部が受信する前記データに前記設定されたシステム言語で記述された前記データが含まれていない場合は」の記載において,「受信部」は前記されていない。

2.当審拒絶理由の判断

平成29年1月16日の手続補正により,当審拒絶理由の[理由1]の対象となった補正前の請求項5,8は削除された。また,当審拒絶理由の[理由1]の対象となった補正前の請求項10において,引用請求項から請求項8が削除された。これにより,当審拒絶理由の[理由1]は解消した。
また,上記手続補正によって,補正前の請求項1,6,7,9に記載された「複数のデータ」が「同一の内容を示す複数のデータ」に限定されたので,当審拒絶理由の[理由2]は解消した。
また,上記手続補正によって補正前の請求項8が削除され,また,補正前の請求項9に記載された「前記受信部」が「前記受信する手順」に補正されたので,当審拒絶理由の[理由3]は解消した。

第5 むすび

以上のとおり,原査定に理由によっては,本願を拒絶することはできない。また,他に,本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
 
審決日 2017-03-28 
出願番号 特願2013-120272(P2013-120272)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G06F)
P 1 8・ 537- WY (G06F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 長 由紀子  
特許庁審判長 金子 幸一
特許庁審判官 貝塚 涼
手島 聖治
発明の名称 情報処理システム、情報処理装置、情報処理方法、プログラム及び情報記憶媒体  
代理人 特許業務法人はるか国際特許事務所  

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