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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F |
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管理番号 | 1326536 |
審判番号 | 不服2016-10230 |
総通号数 | 209 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2017-05-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2016-07-06 |
確定日 | 2017-04-12 |
事件の表示 | 特願2015-200778「人材検索サーバ」拒絶査定不服審判事件〔、請求項の数(1)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は,平成27年10月9日を出願日とする出願であって,平成28年5月10日付けで拒絶査定(以下,「原査定」という。)がされ,これに対し,平成28年7月6日に拒絶査定不服審判が請求され,同時に手続補正がされたものである。 第2 原査定の概要 本願請求項1に係る発明は、下記引用文献1-3に基づいて、当業者が容易に発明できたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 本願請求項2に係る発明は、下記引用文献1-2に基づいて、当業者が容易に発明できたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献等一覧 1.特開2011-39635号公報 2.特開2011-34523号公報 3.特開2013-25555号公報(新たに引用された文献;周知技術を示す文献) 第3 審判請求時の補正について 審判請求時の補正は,特許法第17条の2第3項から第6項までの要件に違反しているものとは認められない。 なお,「第4 本願発明」から「第6 当審の判断」までに示すように,補正後の請求項1に係る発明は,独立特許要件を満たすものである。 第4 本願発明 本願請求項1に係る発明(以下,それぞれ「本願発明」という。)は,平成28年7月6日の手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定された,以下のとおりの発明である。 「各人材の属性情報と、質問に対して前記各人材から得られた回答情報とを少なくとも記憶するデータベースと、 人材検索の基準となるモデル人材に関する検索条件の入力を受け付ける入力手段と、 前記検索条件を検索キーとして前記データベースを検索することにより、前記モデル人材の特性をあらわす多次元ベクトルを生成する生成手段と、 生成した前記多次元ベクトルに近い人材を、前記データベースから検索する検索手段と、 検索した前記人材の人材情報を出力する出力手段とを具備し、 前記入力手段は、複数の前記モデル人材に関する検索条件のほか、前記人材検索において重要視すべきパラメータである検索補助条件の入力を複数受け付け、 前記生成手段は、前記モデル人材のそれぞれについて多次元ベクトルを生成した後、前記検索補助条件を反映した形で所定の重み付けを行って合成ベクトルを生成し、 前記検索手段は、前記検索補助条件に示される各パラメータの観点で、重み付けされた合成ベクトルに近い人材を最適な人材としてそれぞれ特定する、人材検索サーバ。」 第5 引用文献の記載事項 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には,以下のことが記載されている。 1 【0001】から【0006】まで 「【技術分野】 【0001】 本発明は、人材検索装置及びプログラムに関する。 【背景技術】 【0002】 従来、人材情報を記憶したデータベースから検索条件に合致する人材を検索する人材検索システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。 【0003】 人材検索システムでは、例えば、人物毎に企画力、統率力、協調性等の人材要素の項目の評点をデータベースに記憶しておき、「企画力=70点以上」のような定量データを検索条件として指定することによって、所望の人材要素を備える人材を検索することが行われている。ここで、人材要素とは、企画力、統率力、協調性、やる気等の、希望する人材としての適性に関する評価要素を指す。 【先行技術文献】 【特許文献】 【0004】 【特許文献1】特開2005-327028号公報 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0005】 しかしながら、従来の人材検索システムでは、所望する人材の各人材要素項目の評点を具体的に検索条件として指定する必要があり、例えば、「Aさんのような人材」、「Aさんの10年前のような人材」、「AさんとBさんを足して2で割ったような人材」、「企画部のメンバーのような人材」等、ある人物や人物の集合体に属する人物と同等の人材要素を備える人材を容易に検索することができなかった。 【0006】 本発明の課題は、ユーザが指定した人物又は指定した人物の集合体に属する人物と同等の人材要素を備えた人材を容易に検索できるようにすることである。」 2 【0014】 「【発明の効果】 【0014】 本発明によれば、ユーザが指定した人物名又は指定した人物の集合体名に属する人物と同等の人材要素を備えた人材を容易に検索することが可能となる。」 3 【0025】 「【0025】 第1人材情報TBL151は、社員毎に直近の基準日における人材情報が格納されたテーブルである。人材情報は、その社員(人物)を特定する情報及びその社員(人物)の人材要素(「企画力」、「統率力」、「協調性」、「やる気」等」)の項目毎の評点を含む。図3に、第1人材情報TBL151のデータ格納例を示す。図3に示すように、第1人材情報TBL151には、「社員番号」、「氏名」、「データ基準日」、「年齢」、「所属」、「企画力」、「統率力」、「協調性」、「やる気」、「職種」、「婚姻日」の項目が設けられており、社員毎の人材情報が1レコードとして格納されている。「企画力」、「統率力」、「協調性」、「やる気」の各人材要素項目には、それぞれ0?100の評点の値が格納されている。なお、各社員の人材要素項目の評点については、毎年基準日に見直される。なお、本実施形態では、社員(人物)を特定する情報として「社員番号」、「氏名」の例で説明するが、その他の個人識別情報等であっても良く、これらを人材識別情報(人物名)と称する。」 4 【0038】?【0043】 「【0038】 まず、社員指定検索画面132が表示部13に表示される(ステップS100)。 図13に、図12AのステップS100で表示される社員指定検索画面132の一例を示す。社員指定検索画面132は、人材を検索する際の基準となる社員を指定するための指定手段である。図13に示すように、社員指定検索画面132には、複数(n行。nは任意の値)の社員情報入力欄132a及び基準日入力欄132bと、検索ボタン132cとが設けられている。 社員情報入力欄132aは、人材を検索する際の基準となる社員を特定するための社員情報、例えば、社員番号や、氏名+所属等を入力する欄である。例えば、「第一企画室の山田太郎さんのような人材」を検索したい場合、社員情報入力欄132aの社員番号欄に山田太郎さんの社員番号である「1000」を入力するか又は氏名欄に「山田太郎」及び所属欄に「第一企画室」を入力すると、山田太郎さんを人材検索の基準として指定することができる。 (略) 【0041】 ステップS106において、N行目の基準日入力欄132bがブランクであると判断されると(ステップS106;YES)、第1人材情報TBL151から、社員情報(「社員番号」又は「氏名」+「所属」)がN行目に入力された社員情報と一致するレコードが抽出される(ステップS109)。そして、抽出されたレコードがRAM14の第1作業ファイル領域141に書き込まれ(ステップS110)、処理はステップS111に移行する。 (略) 【0043】 ステップS112においては、第1作業ファイル領域141に書き込まれたレコードが「職種」によりソートされ、表示部13の人材検索画面133に表示される(ステップS112)。また、検索条件1、2を編集するための編集欄133Aが人材検索画面133に表示される(ステップS113)。」 5 【0046】?【0048】 「【0046】 編集欄133Aは、検索条件を編集するための欄であり、検索条件1選択欄133b、検索条件1表示欄133c、検索条件2選択欄133d、検索条件2入力欄133eにより構成される。 検索条件1選択欄133bは、図14Bに示すように、ドロップダウンリストとなっており、指定社員人材情報欄133aに表示されている社員の人材要素項目の「平均値」、「最高値」、「最小値」の何れか1つの項目を検索条件1(検索する際の基準値)として選択するための入力欄である。 検索条件1表示欄133cは、検索条件1入力欄133bで選択された基準値の算出結果を表示するための表示欄である。 【0047】 検索条件2選択欄133dは、図14Cに示すように、ドロップダウンリストとなっており、「許容度」、「範囲指定」、「候補数指定」の何れか1つの項目を検索条件2(検索する際の検索条件式又は件数)として選択するための入力欄である。「許容度」を選択すると、基準値からどの程度はなれた評点の人材までを検索対象として許容するかを示す許容度を指定することができる。「範囲指定」を選択すると、基準値以上、基準値以下等の、基準値を基点とした検索対象範囲を指定することができる。「候補数指定」を選択すると、検索件数を指定することができる。 【0048】 検索条件2入力欄133eは、検索条件2選択欄133dで選択された許容度や検索対象範囲の検索条件式、又は検索件数を入力するための欄である。「許容度」としては、人材要素項目毎に「一致」、「+n%」、「-n%」、「±n%」(nは任意の数値)等の検索条件式を入力することができる。「範囲指定」としては、人材要素項目毎に「以上」、「以下」、「より大きい」、「未満」の単独又は組み合わせの検索条件式を入力することができる。「候補数指定」としては、図14Dに示すように、「以上」、「以下」、「未満」、「より大きい」の単独又は組み合わせの検索条件式と、人材候補として表示する件数を指定することができる。」 6 【0056】?【0057】 「【0056】 ステップS126において、入力部12により人材検索ボタン133fが押下されると、処理は図11のステップS12に移行する。 【0057】 図11のステップS12においては、人材候補検索処理が実行される(ステップS12)。 図15に、図11のステップS12で実行される人材候補検索処理のフローチャートを示す。人材候補検索処理は、CPU11と人材検索処理プログラム157との協働により実行される」 7 【0086】 「【0086】 図19に、表示部13の人材検索画面133における人材候補欄133gに人材検索結果が表示された例を示す。図19に示す例では、「人材要素項目の全ての評点の値が社員である「山田太郎」さん(2006年4月1日現在)と「佐藤次郎」さん(2009年4月1日現在)の平均値と一致する」という検索条件で人材検索を行った場合の検索結果を示している。図19では、「山田太郎」さん(2006年4月1日現在)と「佐藤次郎」さん(2009年4月1日現在)の人材要素をたして2で割った人材要素を備えた人材が2名検索されたことを示している。」 また,上記記載によれば,社員指定検索画面で入力した複数の社員ごとに人材要素項目の評価値を求め,人材検索画面の編集欄で特定した検索条件1により,複数の社員の評価値を合成した人材要素を作成し,作成した人材要素に対し,検索条件2を満たす人材を検索することが記載されているといえる。 8 【0141】 「【0141】 また、上記実施形態においては、人材検索装置1をスタンドアロンの装置として説明したが、人材検索装置はLAN、インターネットに接続された複数の装置により構成されることとしてもよい。例えば、人材検索装置は、指定手段や表示手段等のユーザインターフェースを備える端末と、人材情報データベース150を備える記憶装置と、制御手段を備えるサーバと、により構成されることとしてもよい。」 9 上記1?8から,引用文献1には,以下の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されている。 「人材検索装置であって, 「社員番号」,「氏名」,「データ基準日」,「年齢」,「所属」,「企画力」,「統率力」,「協調性」,「やる気」,「職種」,「婚姻日」の項目からなる社員毎の人材情報を格納している第1人材情報TBL151を記憶する記憶装置と, 制御手段を有し, 前記制御手段は,ユーザインターフェースを備える端末の表示手段に, 人材を検索する際の基準となる社員を指定するための指定手段であって,複数(n行。nは任意の値)の社員情報入力欄132aを有する社員指定検索画面と, 入力された社員情報と一致するレコードを,前記第1人材情報TBL151から抽出した結果を表示する人材検索画面133と, を表示させるものであって, 前記人材検索画面は, 編集欄133A,人材検索ボタン133f及び人材候補欄133gを有し, 編集欄133Aは,検索条件を編集するための欄であり,検索条件1選択欄133b,検索条件1表示欄133c,検索条件2選択欄133d,検索条件2入力欄133eにより構成され, 検索条件1選択欄133bは,表示されている社員の人材要素項目の「平均値」「最高値」「最小値」のいずれか1つを選択でき, 検索条件1表示欄133cは,前記検索条件1選択欄133bで選択された基準値の算出結果を表示し, 検索条件2選択欄133dは,「許容度」「検索対象範囲」「候補数指定」のいずれか1つを選択でき, 検索条件2入力欄133eは,許容度や検索対象範囲の検索条件式,又は検索件数を入力し, 人材候補検索欄133gは,人材検索ボタン133fが押下により人材候補検索処理が実行され,その結果を表示し, 前記人材候補検索処理は,社員指定検索画面で入力した複数の社員ごとに人材要素項目の評価値を求め,人材検索画面の編集欄で特定した検索条件1により,複数の社員の評価値を合成した人材要素を作成し,作成した人材要素に対し,検索条件2を満たす人材を検索することを特徴とする 人材検索装置。」 第6 当審の判断 1 本件発明と引用発明との対比 (1) 引用発明の「記憶装置」は,「第1人材情報TBL151」を記憶しており,「第1人材情報TBL151」は,「統率力」などの項目の情報であり,社員毎の人材情報を格納している。この人材情報は,どのように作成されているかは記載がない。よって,本願発明の「データベース」と引用発明の「記憶装置」とは,「各人材の属性情報を少なくとも記憶する」点で一致し,本願発明が,「質問に対して前記各人材から得られた回答情報」も記憶するのに対し,引用発明は,そのような情報を含むかが不明な点で相違する。 (2) 引用発明の「社員指定検索画面」は,「人材を検索する際の基準となる社員を指定するための指定手段」であり,上記第5.4にて摘記したように,「社員情報入力欄132aは、人材を検索する際の基準となる社員を特定するための社員情報、例えば、社員番号や、氏名+所属等を入力する欄である。例えば、「第一企画室の山田太郎さんのような人材」を検索したい場合、社員情報入力欄132aの社員番号欄に山田太郎さんの社員番号である「1000」を入力するか又は氏名欄に「山田太郎」及び所属欄に「第一企画室」を入力すると、山田太郎さんを人材検索の基準として指定することができる。」のであり,前記「第一企画室の山田太郎さんのような人材」は,本願発明の「人材検索の基準となるモデル人材に関する検索条件」に対応するものである。よって,引用発明は,本願発明の「人材検索の基準となるモデル人材に関する検索条件の入力を受け付ける入力手段」を備えているといえる。 (3) 引用発明の「人材検索画面」は,「入力された社員情報と一致するレコードを,前記第1人材情報TBL151から抽出した結果を表示する」から,この表示内容は,本願発明の「前記検索条件を検索キーとして前記データベースを検索することにより、前記モデル人材の特性をあらわす多次元ベクトルを生成する生成手段」の「多次元ベクトル」と同じである。よって,引用発明は,本願発明の「前記検索条件を検索キーとして前記データベースを検索することにより、前記モデル人材の特性をあらわす多次元ベクトルを生成する生成手段」に相当する手段を有する。 (4) 引用発明の「人材候補検索処理」は,「作成した人材要素に対し,検索条件2を満たす人材を検索」するものであるから,本願発明の「生成した前記多次元ベクトルに近い人材を、前記データベースから検索する検索手段」に相当する。 (5) 引用発明の「人材候補検索欄」は,「人材候補検索処理が実行され,その結果を表示」しているのであるから,引用発明は,本願発明の「検索した前記人材の人材情報を出力する出力手段」に対応する構成を有しているといえる。 (6) 引用発明の「編集欄」は,「検索条件を編集するための欄」であり,検索条件1,2など複数の人材の検索条件を受け付けることから,本願発明の入力手段が「複数の前記モデル人材に関する検索条件のほか、前記人材検索において重要視すべきパラメータである検索補助条件の入力を受け付け」ることに対し,「複数の前記モデル人材に関する検索条件を複数受け付け」る点で一致するが,「人材検索において重要視すべきパラメータである検索補助条件を複数受け付け」ていない点で相違する。 (7) 引用発明の「人材候補検索処理」は,「社員指定検索画面で入力した複数の社員ごとに人材要素項目の評価値を求め,人材検索画面の編集欄で特定した検索条件1により,複数の社員の評価値を合成した人材要素を作成」しているから,本願発明の生成手段が「前記モデル人材のそれぞれについて多次元ベクトルを生成した後、前記検索補助条件を反映した形で所定の重み付けを行って合成ベクトルを生成」することに対し,「前記モデル人材のそれぞれについて多次元ベクトルを生成した後、合成ベクトルを生成」している点で一致するが,その合成ベクトルの生成に際し「検索補助条件を反映した形で所定の重み付け」を行わない点で相違する。 (8) 引用発明の「人材候補検索処理」は,「作成した人材要素に対し,検索条件2を満たす人材を検索する」から,本願発明の検索手段が「前記検索補助条件に示される各パラメータの観点で、重み付けされた合成ベクトルに近い人材を最適な人材としてそれぞれ特定する」ことに対し,「合成ベクトルに近い人材を最適な人材」を特定する点では一致する。しかしながら,上記6.で示したとおり,引用発明は,「人材検索において重要視すべきパラメータである検索補助条件を複数受け付け」ていないため,「前記検索補助条件に示される各パラメータの観点で、重み付けされた合成ベクトルに近い人材を最適な人材としてそれぞれ特定する」ものではない点で相違する。 (9) 引用発明は「人材検索装置」であって,本願発明が「人材検索サーバ」である点で一応の相違が見られる。しかしながら,上記第5.8にて摘記したように,「人材検索装置は、指定手段や表示手段等のユーザインターフェースを備える端末と、人材情報データベース150を備える記憶装置と、制御手段を備えるサーバと、により構成されることとしてもよい」とされているから,人材検索装置をサーバとして提供することは実質的に開示されている。よって,この点も一致する。 2 一致点 上記1.の対比により,本願発明と引用発明とは, 「各人材の属性情報を少なくとも記憶するデータベースと, 人材検索の基準となるモデル人材に関する検索条件の入力を受け付ける入力手段と, 前記検索条件を検索キーとして前記データベースを検索することにより,前記モデル人材の特性をあらわす多次元ベクトルを生成する生成手段と, 生成した前記多次元ベクトルに近い人材を,前記データベースから検索する検索手段と, 検索した前記人材の人材情報を出力する出力手段とを具備し, 前記入力手段は,複数の前記モデル人材に関する検索条件を受け付け, 前記生成手段は,前記モデル人材のそれぞれについて多次元ベクトルを生成した後,合成ベクトルを生成し, 前記検索手段は,合成ベクトルに近い人材を最適な人材として特定する, 人材検索サーバ。」 の点で一致する。 3 相違点 他方,以下の点で相違する。 (1) 相違点1 本願発明のデータベースが,「質問に対して前記各人材から得られた回答情報」も記憶するのに対し,引用発明は,そのような情報を記憶するかが不明な点。 (2) 相違点2 本願発明の入力手段が「人材検索において重要視すべきパラメータである検索補助条件を複数受け付け」ているのに対し,引用発明では,検索補助条件にあたる情報を受け付けていない点で相違する。また,本願発明は,複数の「検索補助条件」により,生成手段では,「検索補助条件を反映した形で所定の重み付け」を行って合成ベクトルを生成し,検索手段では,「前記検索補助条件に示される各パラメータの観点で、重み付けされた合成ベクトルに近い人材を最適な人材としてそれぞれ特定する」のに対し,引用発明では,「検索補助条件」にあたる条件を考慮していない点でも相違する。 4 相違点についての判断 上記相違点について検討する。 (1) 相違点1について 引用発明が「第1人材情報TBL151」は,「社員番号」,「氏名」,「データ基準日」,「年齢」,「所属」,「企画力」,「統率力」,「協調性」,「やる気」,「職種」,「婚姻日」の項目からなる社員毎の人材情報を格納しているが,これらの情報についてどのように作成されるかは記載がないものの,例えば,「婚姻日」は,「企画力」などのように評価値ではなく,該当社員に問い合わせた結果として得られる情報であるから,「質問に対して前記各人材から得られた回答情報」といえる。また,本願発明において,「質問に対して前記各人材から得られた回答情報」固有の処理を有しておらず,人材情報として,このような情報を単に含むとすることは,当業者が適宜なし得ることである。 (2) 相違点2について 上記1.(6)?(8)及び上記相違点2で述べたとおり,引用発明は, 人材検索における検索条件を受け付けることや,複数の人材評価値を合成して,合成ベクトルを生成することなどは行うものの,本願発明のように,「人材検索において重要視すべきパラメータである検索補助条件を複数受け付け」,「前記検索補助条件に示される各パラメータの観点で、重み付けされた合成ベクトルに近い人材を最適な人材としてそれぞれ特定する」ことは行っていない。 そして,拒絶査定で引用された引用文献3においては,2人のアーティストを指定した場合の推薦比率を設定できること(【0145】,図19)は開示されているものの,これは,人材を合成したモデルの作成にあたり,どちらの人材の特徴を優先するかを設定するものである。 また,拒絶査定で引用された引用文献2は,【0025】において「各特徴情報は,・・・アンケート回答等の結果に基づいて数値化されている」と記載し,「アンケート回答等の結果に基づいて数値化された,人材の能力を示す特徴情報を有する人材情報テーブルを備えた人材検索装置」を開示しているにすぎない。 よって,いずれの文献も,本願発明のように「検索補助条件に示される各パラメータの観点で,重み付けされた合成ベクトルに近い人材を最適な人材としてそれぞれ特定」するものではない。この点は,拒絶理由中に示された他の文献にも記載されているとはいえない。 したがって,本願発明は,引用発明に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。 第7 原査定について 第6で述べたとおり,審判請求時の補正により,補正後の請求項1は,「検索補助条件」に関する事項を有するものとなっており,当業者であっても,拒絶査定において引用された引用文献1-3に基づいて容易に発明できたものとは認められない。したがって,原査定の理由を維持することはできない。 第8 むすび 以上のとおり,原査定の理由によっては,本願を拒絶することはできない。 また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2017-03-31 |
出願番号 | 特願2015-200778(P2015-200778) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(G06F)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 吉田 誠、後藤 昂彦、野崎 大進 |
特許庁審判長 |
佐藤 智康 |
特許庁審判官 |
相崎 裕恒 星野 昌幸 |
発明の名称 | 人材検索サーバ |
代理人 | 伊藤 健太郎 |
代理人 | 稲葉 良幸 |
代理人 | 内藤 和彦 |
代理人 | 江口 昭彦 |
代理人 | 大貫 敏史 |