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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 G03G
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G03G
管理番号 1326568
審判番号 不服2016-722  
総通号数 209 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-05-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-01-15 
確定日 2017-04-18 
事件の表示 特願2013-254283「電子機器」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 3月13日出願公開、特開2014- 44448、請求項の数(3)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成23年7月15日に出願された特願2011-156332号の一部を、平成25年12月9日に特許法第44条第1項の規定による新たな特許出願としたもので、原審において、平成26年10月23日付け、及び平成27年5月25日付けで手続補正書が提出され、同年11月10日付けで拒絶査定(以下「原査定」という。原査定の謄本の送達(発送)日 同月17日。)がされ、これに対して、平成28年1月15日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正書が提出されて、明細書、及び特許請求の範囲を補正する手続補正がなされ、その後、当審において平成28年10月27日付けで拒絶理由が通知され、指定期間内の同年12月8日付けで手続補正がされ、更に平成29年1月6日付けで拒絶理由が通知され、指定期間内の同年2月20日付けで手続補正がされたものである。

第2 原査定の概要について
原査定に係る拒絶理由の概要は、次のとおりである
この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された、下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

記(引用文献等については引用文献等一覧参照)
<引用文献等一覧>
A.特開2001-334725号公報(引用文献A)
B.特開平6-77668号公報(引用文献B)
C.特開2004-233545号公報(引用文献C)
D.特開2006-47774号公報(引用文献D)

本願の請求項1ないし4に係る発明は、引用文献1、2、および、周知技術(例えば、引用文献C、D参照。)をもとに、当業者が容易になし得たものである。

第3 当審で通知した1回目の拒絶理由の概要
当審において、平成28年10月27日付けで通知した1回目の拒絶理由の概要は、次のとおりである。
1.本願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

2.本願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

記(引用文献については引用文献一覧参照)
(引用文献一覧)
1.特開2001-334725号公報(拒絶査定時の引用文献Aであって、以下、「引用例1」という。」)
2.特開平6-77668号公報号公報(拒絶査定時の引用文献Bであって、以下、「引用例2」という。)
3.実願昭59-130163号(実開昭61-44653号)のマイクロフィルム(当審において新たに引用した文献であって、以下「引用例3」という。)
4.特開2004-233545号公報(拒絶査定時の引用文献Cであって、以下「引用例4」という。)
5.特開2006-47774号公報(拒絶査定時の引用文献Dであって、以下、「引用例5」という。)

[理由1について]
・請求項1ないし4
・引用文献等 引用例1、2、3、4、5
・備考
・請求項1に係る発明について
引用例1には、「内部に画像形成手段、給送ローラ2、搬送ローラ3、レジストローラ対4、搬送ベルト5などが設けられた画像形成装置であって、制御基板を含み、上下方向に開閉可能に支持される、鉛直方向の長さが水平方向の長さよりも短い矩形状の第1電装部9aを備えると共に、駆動部材101b、101cからのリード104′を、纏まった状態で回動軸(回動支持部)に直交する方向に前記回動軸を通過させ、通過した位置から前記回動軸に沿って配索した後、制御基板の対応する部分に向かって分岐させて、それらの背面を背面カバーで覆った画像形成装置」の発明が記載されている。
上記の「制御基板」は、本願請求項1に係る発明の「電気回路基板」に相当し、以下同様に「リード101b、101c」は「配線」に、「給送ローラ2、搬送ローラ3、レジストローラ対4、搬送ベルト5など、及び駆動部材」は「駆動部を有する機能ユニット」に、「第1電装部9a」は「回動支持部材」に、「背面カバー」は「外装カバー」に、「画像形成装置」は「電子機器」に、それぞれ相当しており、本願請求項1に係る発明と引用例1に記載されている発明とは、次の点で相違する。

(相違点1)
本願請求項1に係る発明では、回動支持部材が「(機能ユニットの)外面側」で電気回路基板を支持するのに対し、引用例1に記載されている発明では、制御基板(電気回路基板)が第1電装部9a(回動支持部材)のいずれの側で支持されているのか明確ではない点。
(相違点2)
本願請求項1に係る発明では、回動支持部材が「機能ユニットを覆う閉位置と前記機能ユニットを露出する開位置との間を回動可能」とされているのに対して、引用例1に記載されている発明では、第1電装部9a(回動支持部材)が、第2電装部9bを露出するにとどまり、機能ユニットを露出するとはいえない点。
(相違点3)
本願請求項1に係る発明では、機能ユニット及び電気回路基板は「コネクタ」を有し、配線はコネクタを介して接続されるのに対し、引用例1に記載されている発明では、コネクタについて言及していない点。

上記の相違点について検討する。
(1)相違点1について
引用例2には、「上下方向に回動可能とした取り付け板4の、電力用半導体素子6などの機能部品の外面側に回路基板3を搭載した電源装置」の発明が記載されており、上記の「回路基板3」及び「取り付け板4」は、本願請求項1に係る発明の「電気回路基板」及び「回動支持部材」に相当するものといえる。
そして、上記の電源装置も「電力用半導体素子6」を備えるから、引用例1記載の発明と同様に「電子機器」とみることができ、引用例1記載の発明において、引用例2に記載されている発明を適用して、上記相違点1に係る本願請求項1に係る発明の発明特定事項とすることは、当業者であれば容易に想到しうる程度の事項といえる。
(2)相違点2について
引用例3には、「機体2に内蔵した感光体ドラムや給紙装置などに、回転力を伝達するためのスプロケット6及びチェン7を組み付け、機体の開放窓3を、上下方向に回動する側面蓋1により開閉可能とし、側面蓋1には制御用電子素子類を組付けるプリント基板を取り付けた電子写真複写機」の発明が記載されており、上記の「感光体ドラムや給紙装置と、これらに回転力を伝達するスプロケット6及びチェン7」は、本願請求項1に係る発明の「機能ユニット」に相当するものといえる。
そして、上記の開放窓3を開くことにより、機能ユニットが露出して、その保守管理作業が容易になるが、このような保守管理作業の容易性は、引用例1に記載されている発明においても望ましいことは明らかであるから、引用例1に記載されている発明において、引用例3に記載されている発明を適用して、上記相違点2に係る本願請求項1に係る発明の発明特定事項とすることは、当業者であれば容易になしうる程度の事項といえる。
(3)相違点3について
電気的接続にコネクタを用いることは、画像形成装置などの電子機器を含む各種の技術分野において周知慣用の事項であり(引用例4、5参照。)、引用例1に記載されている発明において、このような周知慣用の事項を適用して、上記相違点3に係る本願請求項1に係る発明の発明特定事項とするのは格別のことではない。

よって、本願請求項1に係る発明は、引用例1ないし3に記載されている発明、及び、上記の周知慣用の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

・本願請求項2ないし4の発明について
本願請求項2に係る発明は、「前記水平方向の一辺は、前記回動支持部材の上端部の一辺であり」、「前記回動支持部材が前記開位置に位置している状態において、前記回動支持部材を保持する第1保持部材をさらに備える」ことを発明特定事項とするものである。
この点について検討すると、引用例1にも、上記発明特定事項と同様の、第1電装部9aの開閉構成は、「上部の支軸12を中心にして」上下方向に回動するように構成されていること(段落【0020】)と、第1電装部9aを開状態で保持するための「保持部材14」(段落【0026】)を設けることが記載されている。
本願請求項3に係る発明は、「前記水平方向の一辺は、前記回動支持部材の下端部の一辺であり」、「前記回動支持部材が前記開位置に位置している状態において、前記回動支持部材を保持する第2保持部材をさらに備える」ことを発明特定事項とするものである。
この点について検討すると、引用例3にも、上記発明特定事項と同様の、機体2の外側面に「下縁をヒンジ8で取付けた側面蓋1」とすることと、側面蓋1を開状態に保持する保持部材が記載されている(第3頁第17、18行、図1参照。)。
また、本願請求項4に係る発明は、「前記機能ユニットは、画像形成ユニットを備え」、「前記電子機器本体は、画像形成動作を行う」ことを発明特定事項とするものであるが、この点は引用例1に記載されている発明と変わるところがない。
したがって、本願請求項2ないし4に係る発明も、引用例1ないし3に記載されている発明、及び、上記の周知慣用の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

[理由2について]
本願請求項1に係る発明(請求項1)では、「前記機能ユニットからの配線は、前記機能ユニットのコネクタから纏まった状態で前記回動軸に直交する直交方向に沿って前記回動軸側を通過し、通過した位置から前記回動軸に沿って配索された後、対応するコネクタに向けて分岐されて、前記対応するコネクタにそれぞれ接続されている」と記載されているが、上記の「回動軸側を通過し」という記載がどのような状態を意味するのかが明確ではない。
第4 当審で通知した2回目の拒絶理由について
1.当審で通知した2回目の拒絶理由の概要
当審では、平成29年1月6日付けで拒絶理由を通知したが、その概要は次のとおりである。
本願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。


(1)特許請求の範囲の請求項1に、「電子機器本体の内部に配置され、駆動部を有する機能ユニット」という記載がある。
しかし、「駆動部」といっても、例えば、何かを「駆動する駆動部」が考えられる一方、動力機器等によって「駆動される駆動部」も考えられるから、上記の機能ユニットが有する「駆動部(を有する機能ユニット)」とは、どのようなものを意味するのかが明確であるとはいえない。

(2)同じく請求項1に、「前記回動支持部材よりも外側に別体で配置される外装カバーであって、前記回動支持部材が前記閉位置にある状態で、前記回動支持部材を外部に露出させるための外装カバーと、」という記載がある。
この記載では、外装カバーを外したときに閉位置にある回動支持部材が外部に露出することをいうのか、外装カバーに回動支持部材を外部に露出させる開口窓のようなものが形成されているのか等、「外装カバー」と、「回動支持部材を外部に露出させる」こととの関係が不明であり、上記の記載は明確ではない。

(3)同じく請求項1に、「前記回動支持部材の回動軸側を通過して前記機能ユニットと前記電気回路基板とを接続する配線と、を備え、」という記載があるが、「回動支持部材の回動軸側を通過」するとは、どのようなことを意味するのかが明確ではない。

第5 本願の発明
本願の請求項1ないし3に係る発明(以下「本願発明1ないし3」という。)は、平成29年2月20日付けの手続補正書で補正された特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載された事項により特定される次のとおりのものである。(上記補正により、補正前の請求項4は削除された。)
「【請求項1】
電子機器本体の内部に配置され、感光体ドラム、帯電装置、露光装置、現像装置およびクリーニングユニットを備えた画像形成ユニットと、
前記画像形成ユニットを制御するための電気回路基板と、
前記画像形成ユニットよりも外側に配置され、前記画像形成ユニットを覆う閉位置にある状態で見たときに外面側で前記電気回路基板を支持する回動支持部材であって、鉛直方向の長さが水平方向の長さよりも短い矩形状に形成され、水平方向の一辺に形成された回動軸を中心に、前記画像形成ユニットを覆う閉位置と前記画像形成ユニットを露出する開位置との間を回動可能な回動支持部材と、
前記回動支持部材よりも外側に別体で配置される外装カバーと、
前記画像形成ユニットと前記電気回路基板とを接続する配線と、を備え、
前記電気回路基板は、前記配線が接続される複数のコネクタを有し、
前記画像形成ユニットからの配線は、前記画像形成ユニットのコネクタから纏まった状態で前記回動軸に直交する直交方向に沿って前記回動軸を越え、越えた位置から前記回動軸に沿って配索された後、対応するコネクタに向けて分岐されて、前記対応するコネクタにそれぞれ接続されていることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記水平方向の一辺は、前記回動支持部材の上端部の一辺であり、
前記回動支持部材が前記開位置に位置している状態において、前記回動支持部材を保持する第1保持部材をさらに備える請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記水平方向の一辺は、前記回動支持部材の下端部の一辺であり、
前記回動支持部材が前記開位置に位置している状態において、前記回動支持部材を保持する第2保持部材をさらに備える請求項1に記載の電子機器。」

第6 引用例の記載事項(以下の下線は、いずれも審決で付した。)
1.引用例1
引用例1には、図面と共に次の事項が記載されている。
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複写機やプリンタ等の画像形成装置において、電装部のメンテナンスが容易な画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、複写機やプリンタ等はデジタル・フルカラー化がすすみ、これに伴って装置の実装密度も高まる一方で、装置の小型化が求められている。
【0003】このような画像形成装置はローラ等を駆動するモータを電装部からの信号によって駆動制御するが、電装部はメンテナンスが可能なように装置本体に対して開閉可能となっているのが一般的である。
【0004】ここでプリンタ装置を背面から見た模式図を図7に示す。画像形成手段等を電気的に制御する制御基板、または電源などの電装部100は給紙駆動部、作像部、作像駆動部、排紙駆動部などの駆動部101の下方に配置される。これは装置の小型化やメンテナンス性の向上を期待するためである。
【0005】つまり、駆動部101を覆うように電装部100を配置すると、奥行き方向の寸法が広がってしまい、また、駆動部101のメンテナンスを行う場合に作業性が低下してしまうという問題を解決するためである。」
「【0006】そこで図8に示すように電装部100を積層配置する方法が多く用いられている。筐体103の表面に第1の電装部100a(図中斜線部)を配置し、さらに第1の電装部100aを覆うように第2の電装部100bを積層配置する。場合によってはさらに第3、第4の電装部(不図示)を積層配置する。ここで筐体103の表面に近い第1の電装部100aのメンテナンスを行うために、第2の電装部100bを、図7(b)に示すように、背面から見て左側で水平方向に実線の状態から二点鎖線で示す状態に開閉可能なように支持している。これによって電装部100のメンテナンスを容易にしている。」
「【0017】{画像形成装置の全体構成}まず、図6を参照して画像形成装置の全体構成について概略説明する。この画像形成装置は、電子写真方式を採用したカラー画像形成装置であり、画像形成装置の内部には第1、第2、第3および第4の4つの画像形成手段Pa,Pb,PcおよびPdが並設されている。この各画像形成手段は同一構成であり、その構成自体は公知のものである。すなわち、回転可能な像担持体の表面を帯電手段で一様に帯電し、その像担持体に選択的な露光を行って静電潜像を形成し、該潜像をトナー現像して可視像化し、そのトナー像を搬送される記録媒体に順次転写するものである。そして、各画像形成手段は図6の左側から右側に順にイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色トナー像を形成し、これを記録媒体に重畳転写することでカラー画像を形成するものである。」
「【0019】{電装部の開閉構成}本実施形態に係る画像形成装置にあっては、図1に示すように、前記画像形成手段等を電気的に制御する制御基板、または電源などの電装部9は給紙駆動部、作像部、作像駆動部、排紙駆動部などの駆動部10の下方に配置し、装置の小型化やメンテナンス性の向上を図っている。
【0020】そして、前記電装部9は図2に示すように、第1電装部9aと第2電装部9bとが積層配置されており、第1電装部9aが装置本体11に対して開閉可能に構成されている。ここで、第1電装部9aの開閉構成は、図2に示すように、上部の支軸12を中心にして矢印aに示す上下方向に回動して開閉するように構成されている。
【0021】そして、回動可能な第1電装部9aの側面にはネットワークへの通信ケーブルやパソコンへの接続ケーブル13を接続するための接続コネクタ(図示せず)が設けられている。本実施形態のように、第1電装部9aを上下に開閉する構成にあっては、前記のように側面にケーブルを接続した状態で第1電装部9aを開いても接続ケーブル13は、図1の二点鎖線に示すように状態変化するだけであり、電装部9aの回動動作に支障をきたさない。このため、接続ケーブル13を脱着することなく電装部9aを開閉することができ、メンテナンス性が向上する。
【0022】また、前述したように従来の画像形成装置にあっては、図9に示すように、電装部100aが水平方向に開閉する場合は、リード線ガイド部105を回動支持部近傍に設ける必要があり、さらにリード線ガイド部106を設けてリード線104′を設けた場合にはメンテナンス時にはリード線104′を脱着するか、作業に支障がないようにリード線104′の線長を長くするしかなかった。
【0023】しかし、本実施形態にあっては、図9に示すように、リード線ガイド部105,106を設けてリード線104,104′を設けたとしても、リード線ガイド部105,106を設けた側を中心に上下方向に回動するために、メンテナンスに際して従来のようにリード線104′を脱着する必要はない。そして、各リード線104,104′の長さが最短になるように、適正な配置が可能となるために、結果として、放射ノイズを低減することができる。さらにはリード線ガイド部材を設ける位置が広がるために電装部を設計する際の自由度が広がるようになる。」
「【0031】{保持部材の収容構成}本実施形態に係る画像形成装置の背面は電装部9を含めて、不図示の背面カバーで覆われている。そして、電装部9のメンテナンス時には、その背面カバーを取り外してから作業を行う。そのため、本実施形態では前記保持部材14を背面カバーに保持収納するように構成している。次にその収容部の構成について説明する。」
図1、9から、「電装部9a、100bは、鉛直方向の長さが水平方向の長さよりも短い矩形状である」ことが看取できる。
また、段落【0004】、【0005】、及び図1、9の記載から、「電装部9a、100bは、作像部、作像駆動部などの駆動部10、101の下方に配置することにより、奥行き方向の寸法の広がりと、駆動部10、101のメンテナンスを行う場合の作業性の低下を回避している」といえる。
また、図9、及び「図9に示すように、リード線ガイド部105,106を設けてリード線104,104′を設けたとしても、リード線ガイド部105,106を設けた側を中心に上下方向に回動する」(段落【0023】)との記載から、「駆動部101内の駆動部材101b、101cからのリード104′を纏まった状態で支軸12に直交する方向に前記支軸12を通過させ、通過した位置から前記支軸12に沿って配索した後、制御基板の対応する部分に向かって分岐させて電気接続している」ことが看取できる。

上記の記載事項を総合すると、引用例1には、次の発明(以下、「引用発明」1という。)が記載されていると認定できる。
「回転可能な像担持体の表面を帯電手段で一様に帯電し、その像担持体に選択的な露光を行って静電潜像を形成し、該潜像をトナー現像して可視像化し、そのトナー像を搬送される記録媒体に順次転写する画像形成手段Pa,Pb,PcおよびPdが設けられた画像形成装置であって、
画像形成手段等を電気的に制御する制御基板が設けられた電装部9a、100bは、鉛直方向の長さが水平方向の長さよりも短い矩形状であって、上部の支軸12を中心にして上下方向に回動し、作像部、作像駆動部などの駆動部10、101の下方に配置することにより、奥行き方向の寸法の広がりと、駆動部10、101のメンテナンスを行う場合の作業性の低下を回避すると共に、駆動部101内の駆動部材101b、101cからのリード104′を纏まった状態で支軸12に直交する方向に前記支軸12を通過させ、通過した位置から前記支軸12に沿って配索した後、上記制御基板の対応する部分に向かって分岐させて電気接続し、更に、それらの背面を背面カバーで覆った画像形成装置。」

2.引用例2
引用例2には、図面と共に次の事項が記載されている。
「【請求項1】 前面パネルの直後に回路基板を備え、筐体内部に電力用半導体装置を備えた電力用半導体装置において、前記前面パネルを一方の側辺を支点にして開閉可能に構成するとともに、その裏面に突出部を設け、前記回路基板の上辺を支点にして開閉可能にしたことを特徴とする電源装置。」
「【0007】
【実施例】図面を参照してこの発明の実施例を説明する。図1及び図2は、この発明の実施例である電源装置本体1の側面図である。図1は、前面パネル2及び前面パネル直後の回路基板3が閉の状態を示している。また図2は、前面パネル2及び前面パネル直後の回路基板3が開の状態を示している。図3は、前面パネル2を示している。図4は、前面パネル直後の回路基板3を搭載する取り付け板4を示している。電源装置本体1は、前面パネル2、前面パネル直後の回路基板3、前記回路基板3を搭載する取り付け板4、内部を保護するケース5、電力用半導体装置で構成されている。また電力用半導体装置は、電力用半導体素子6、電力用半導体素子6を冷却する冷却フィン7、入力または出力用端子8、電力用半導体素子6の制御装置で構成されている。電力用半導体素子6の制御装置は、抵抗9、コンデンサ10、ヒュウズ11、回路基板12により構成されている。」
「【0008】図2において前面パネル2の裏面には、ボス2aが設けられている。このボス2aは、先端の内部にネジが切られボスの径よりも広いビス2bが取り付けられている。また前面パネル2には、表示部または、制御装置の指令部が取り付けられる開口部2c、2d、ケース5に固定する為のビス用穴2e、この前面パネル2を開閉するときの支点AA’となるネジ穴2fが設けられている。ケース5には、ネジ穴2fに取り付けられるビスより若干大きい穴がある。前面パネル2のネジ穴2fに取り付けられたビスをこの穴に通すことにより2eに取り付けられたビスを外したとき前面パネル2は、AA’を支点として開閉自在となる。図4において、取り付け板4の縁端部は、折り曲げられている。その上部にネジ切りしたバーリング4aが設けられている。ケース5より前記バーリング4aに取り付けるビスより若干大きい穴のあいた板をケース5よりのばす。この穴にバーリング4aに取り付けられたネジを通す。これにより取り付け板4は、BB’を支点として開閉自在となる。また前面パネル2の裏面のボス2aに係合できる切り欠き4bを設けている。前面パネル2とケース5を固定しているビス用穴2eに取り付けられているビスを外す。図2に示すように前面パネル2をAA’を支点として開する。前面パネル直後の回路基板3を搭載する取り付け板4をBB’を支点として上部に開する。前面パネル2の裏面のボス2aおよびボスに取り付けられたビス2bと前面パネル直後の回路基板3を搭載する取り付け板4に設けられたきりかき部7bを係止させる。これにより作業者が支持しなくても電源装置本体1内部の電力用半導体装置の保守点検または修理を前面パネル直後の回路基板3を取り外すことなく行うことができる。」
また、段落【0008】、及び図1、2の記載から、「取り付け板4は、上下方向に回動可能な開閉自在としたものであり、取り付け板4の電力用半導体装置の外面側に回路基板3が搭載されている」ことが看取できる。

上記の記載事項を総合すると、引用例2には、次の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されていると認定できる。
「前面パネル2、前面パネル直後の回路基板3、前記回路基板3を搭載する取り付け板4、内部を保護するケース5、電力用半導体素子6の制御装置等で構成されている電力用半導体装置を備えた電源装置であって、上下方向に回動可能な開閉自在とした取り付け板4の電力用半導体装置の外面側に前記回路基板3を搭載した電源装置。」

3.引用例3
引用例3には、図面と共に次の事項が記載されている。
「第1図は側面蓋を開放して示す本考案による複写機の斜視図であって、側面蓋1に臨む機体2の開放窓3中に位置した機体フレーム4には、感光体ドラム5、給紙装置、現像装置、定着装置等に回転力を伝達するための複数のスプロケット6及びチェン7が組付けてある。
また、第2図に示すように機体2の外側面に下縁をヒンジ8で取付けた側面蓋1はその内面に2枚のプリント基板9A、9Bを支持し、同プリント基板9A、9Bの表面に、メモリ素子、クロック信号発生素子、中央演算素子等から構成する多数の制御用素子類10A、10Bが配列してある。」(第3頁第10行?第4頁第3行)
また、上記の記載、及び第1、2図の記載から、「感光体ドラム5、給紙装置、現像装置、定着装置等に回転力を伝達するための複数のスプロケット6及びチェン7は、機体2に内蔵され、機体の開放窓3を上下方向に回動する側面蓋1により開閉可能としている」ことが看取できる。

上記の記載事項を総合すると、引用例3には、次の発明(以下、「引用発明3」という。)が記載されていると認定できる。
「機体2に内蔵した感光体ドラムや給紙装置などに、回転力を伝達するためのスプロケット6及びチェン7を組み付け、機体の開放窓3を上下方向に回動する側面蓋1により開閉可能とし、側面蓋1には制御用電子素子類10A、10Bが配列してあるプリント基板9A、9Bを支持した複写機。」

4.引用例4
引用例4には、図面と共に次の事項が記載されている。
「【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置における配線構造及び画像形成装置に係り、詳しくは、各機能ユニットと回路基板とを電気的に接続するためのハーネスにおける誤接続防止の技術に関する。」
「【0050】
《配線構造》
図4は、図1?図3等の画像形成装置におけるLED書込みヘッド制御基板232まわりの配線構造を示す。図示のように、LED書込みヘッド制御基板232は、保持具233を介して基板支持部材231の直上に平行に支持され、その基板支持部材231は、薄板鋼板のプレス成形により形成される。この基板支持部材231には、ハーネス(本発明の配線束)300の位置をそれぞれ規制するための規制孔(本発明の規制手段)240(240a?240d)が設けられている。なお、この規制孔240は、本例では切欠きのない長孔になっているが、受側コネクタ311,312から離れた側縁部分に、図示は省略するが、切欠き等を設けてハーネス300の基板支持板231への組付けが容易となるようにしてもよい。
【0051】
上述のハーネス300は、それぞれ2本のハーネス300a,300a′?300d,300d′を結束バンドなどの結束部材322で結束して、その先端に受側コネクタ311(311a?311d),312(312a?312d)に接続するコネクタ301,302を取り付ける一方、基部側には、機能ユニット227(227a?227d)の受側コネクタ313(313a?313d),314(314a?314d)に接続するためのコネクタ303(303a?303d),304(304a?304d)を取り付け、それぞれ最短距離で、各機能ユニット227とLED書込みヘッド制御基板232とを電気的に各独立に接続できるようにしている。そして、各ハーネス300は、全て共通として互換性を高めることで、量産性を向上させ、かつ、コストの低減を可能とし、メンテナンスパーツの種類を減じてパーツ管理も容易としている。」
また、段落【0050】、及び【0051】の記載から、「ハーネスの接続にコネクタが用いられている」といえる。

上記の記載事項を総合すると、引用例4には、次の発明(以下、「引用発明4」という。)が記載されていると認定できる。
「ハーネスの接続にコネクタを用いる、複写機等の画像形成装置。」

5.引用例5
引用例5には、図面と共に次の事項が記載されている。
「【0001】
本発明は、シート等の記録媒体上に画像を形成する・・・複写機、プリンタ・・・などの画像形成装置に関するものである。」
「【0020】
次に、図1,2,8を用いて、本実施例の特徴的な構成である、AC電源供給経路分岐手段(以下、ACライン分岐手段という)について詳しく説明する。」
「【0025】
ACライン分岐手段18aは画像形成装置1本体の右側板の後方下部に設けられている。まず、側板に分岐基板保持部材20aを取り付け、分岐基板保持部材20aに分岐基板19aを締結する。
【0026】
分岐基板19aにはスイッチ21a、第1コネクタ22a、第2コネクタ23a、第3コネクタ24aが設けられている。インレットと接続された第1電源ケーブル25aを第1コネクタ22aへ接続することにより、AC電源をACライン分岐手段18aへ供給する。」
また、段落【0026】の記載から、「AC電源供給経路分岐手段(ACライン分岐手段)18aにAC電源をへ供給するのための電気接続に、コネクタ22aを用いている」といえる。

上記の記載事項を総合すると、引用例5には、次の発明(以下、「引用発明5」という。)が記載されていると認定できる。
「AC電源供給経路分岐手段(ACライン分岐手段)18aにAC電源をへ供給するのための電気接続に、コネクタ22aを用いる複写機などの画像形成装置。」

第7 当審で通知した1回目の拒絶理由についての当審の判断
[理由1について]
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明1とを対比する。
後者の「回転可能な像担持体」は、その機能等からみて、前者の「感光体ドラム」に相当し、以下同様に、「帯電手段」は「帯電装置」に、「像担持体に選択的な露光を行って静電潜像を形成し、該潜像をトナー現像して可視像化(するもの)」は「露光装置、現像装置」に、「画像形成手段等を電気的に制御する制御基板」は「前記画像形成ユニットを制御するための電気回路基板」に、「電装部9a、100b」は「回動支持部材」に、「背面カバー」は「外装カバー」に、「リード」は「配線」に、「支軸12」は「回動軸」に、それぞれ相当する。
また、後者で「上部の支軸12を中心にして上下方向に回動する」としているのは、「水平方向の一辺に形成された支軸12(回動軸)を中心に、回動可能にする」ことを意味している。
また、後者は、「像担持体に選択的な露光を行って静電潜像を形成し、該潜像をトナー現像して可視像化」しているから、「露光装置」、及び「現像装置」を備えていることは明らかである。
また、後者において、「潜像をトナー現像して可視像化」することを繰り返す画像形成装置において、「クリーニングユニット」を備えていることは明らかである。
また、後者の「画像形成手段Pa,Pb,PcおよびPd」は、「(作像部、作像駆動部などの)駆動部10、101」と共に、前者の「画像形成ユニット」に相当するものといえる。
また、後者における「電気接続」には、前者のコネクタと同様に、なんらかの電気接続具が用いられることも明らかであって、両者は、「電気接続具」との概念で共通する。

したがって、両者は、
「電子機器本体の内部に配置され、感光体ドラム、帯電装置、露光装置、現像装置およびクリーニングユニットを備えた画像形成ユニットと、
前記画像形成ユニットを制御するための電気回路基板と、
前記電気回路基板を支持する回動支持部材であって、鉛直方向の長さが水平方向の長さよりも短い矩形状に形成され、水平方向の一辺に形成された回動軸を中心に、回動可能な回動支持部材と、
前記回動支持部材よりも外側に別体で配置される外装カバーと、
前記画像形成ユニットと前記電気回路基板とを接続する配線と、を備え、
前記画像形成ユニットからの配線は、前記画像形成ユニットの電気接続具から纏まった状態で前記回動軸に直交する直交方向に沿って前記回動軸を越え、越えた位置から前記回動軸に沿って配索された後、対応する電気接続具に向けて分岐されて、前記対応する電気接続具にそれぞれ接続されている電子機器。」
の点で一致し、以下の点で相違している。

[相違点1]
本願発明1では、回動支持部材が「画像形成ユニットを覆う閉位置にある状態で見たときに外面側で」電気回路基板を支持するのに対し、引用発明1では、電装部9a、100b(回動支持部材)のいずれの側で制御基板(電気回路基板)を支持しているのかが明確ではない点。
[相違点2]
本願発明1では、回動支持部材が「画像形成ユニットよりも外側に配置され」、「前記画像形成ユニットを覆う閉位置と前記画像形成ユニットを露出する開位置との間を回動可能」であるのに対し、引用発明1では、上部の支軸12を中心にして上下方向に回動し、作像部、作像駆動部などの駆動部10、101の下方に配置する点。
[相違点3]
本願発明1では、電気回路基板は、配線が接続される「複数のコネクタ」を有し、画像形成ユニットからの配線は、前記画像形成ユニットの「コネクタ」から纏まった状態で回動軸に直交する直交方向に沿って前記回動軸を越え、越えた位置から前記回動軸に沿って配索された後、対応する「コネクタ」に向けて分岐されて、前記対応する「コネクタ」にそれぞれ接続されているのに対し、引用発明1では、駆動部101と、制御基板との間の電気接続に、コネクタを用いることに言及していない点。

(2)判断
まず、相違点2について検討する。
上記相違点2に係る本願発明1の発明特定事項は、回動支持部材が「画像形成ユニットよりも外側に配置され」、「前記画像形成ユニットを覆う閉位置と前記画像形成ユニットを露出する開位置との間を回動可能」であるとするものである。
この点について引用発明3をみると、引用発明3の「上下方向に回動する側面蓋1」は本願発明1の「回動支持部材」に相当し、同様に、「感光体ドラムや給紙装置などに、回転力を伝達するためのスプロケット6及びチェン7」は「画像形成ユニット」に相当する。
してみると、引用発明3には、上記相違点2に係る本願発明1における回動支持部材が「画像形成ユニットよりも外側に配置され」るとの発明特定事項が示されている。
しかしながら、引用発明1は、「電装部9a、100bは、作像部、作像駆動部などの駆動部10、101の下方に配置することにより、奥行き方向の寸法の広がりと、駆動部10、101のメンテナンスを行う場合の作業性の低下を回避する」というものであるから、仮に、引用発明1に引用発明3を適用すると、電装部9a、100bは、作像部、作像駆動部などの駆動部10、101の外側に配置されて、奥行き方向の寸法の広がってしまって、駆動部10、101のメンテナンスを行う場合の作業性の低下することになるから、引用発明1において、引用発明3を適用することは、当業者が容易に想到し得るものではない。
また、引用発明3は、上記相違点2に係る本願発明1における「前記画像形成ユニットからの配線は、前記画像形成ユニットのコネクタから纏まった状態で前記回動軸に直交する直交方向に沿って前記回動軸を越え」るとの発明特定事項を備えるものではない。
また、上記相違点2に係る本願発明1の発明特定事項が、当業者にとって設計事項であるとする根拠もない。
そして、引用発明2、4、及び5にも、上記相違点2に係る本願発明1の発明特定事項を備えるものではない。
したがって、他の相違点を判断するまでもなく、本願発明1は、引用発明1ないし5に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

2.本願発明2、3について
本願発明2、3は、本願発明1を引用する発明であり、本願発明1と同様の理由により、本願発明2、3も、引用発明1ないし5に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

[理由2について]
平成29年2月20日に提出された手続補正書において、上記第5のとおり、請求項1の記載は補正されたことにより、請求項1に係る発明は明確となった。
したがって、当審で通知した1回目の拒絶理由2は解消した。

第8 原査定についての判断
上記「第7 1.」のとおりであるから、本願発明1は、上記引用文献AないしD(当審からの1回目の拒絶理由における引用文献1、2、5、6)に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
また、本願発明2、3は、本願発明1を引用する発明であるから、本願発明1と同様の理由により、上記引用文献AないしDに記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
したがって、原査定を維持することはできない。

第9 当審で通知した2回目の拒絶理由について当審の判断
平成29年2月20日に提出された手続補正書において、上記第5のとおり、請求項1の記載は補正されたことにより、請求項1に係る発明は明確となった。
したがって、当審で通知した2回目の拒絶理由は解消した。

第9 むすび
以上のとおり、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2017-04-03 
出願番号 特願2013-254283(P2013-254283)
審決分類 P 1 8・ 537- WY (G03G)
P 1 8・ 121- WY (G03G)
最終処分 成立  
前審関与審査官 神田 泰貴三橋 健二  
特許庁審判長 吉村 尚
特許庁審判官 畑井 順一
黒瀬 雅一
発明の名称 電子機器  
代理人 特許業務法人 楓国際特許事務所  
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