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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1326630
審判番号 不服2016-5274  
総通号数 209 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-05-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-04-08 
確定日 2017-03-29 
事件の表示 特願2014- 27230「静電容量式タッチ画面」拒絶査定不服審判事件〔平成26年12月18日出願公開、特開2014-238818〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続きの経緯・本願発明
本願は、平成26年2月17日(優先権主張2013年6月6日、中華人民共和国)の出願であって、平成27年12月1日付けで拒絶査定がなされ、それに対して、平成28年4月8日付けで拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに手続補正されたものである。

本願の請求項1?11に係る発明は、平成28年4月8日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1?11に記載された事項により特定されるものと認められるところ、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は以下のとおりである。
「【請求項1】
基板と、
前記基板の上に配置され、二次元アレイ状に配列された複数の感知電極と、
前記基板に固着され、対応する配線を介して前記複数の感知電極のそれぞれと接続されたタッチ制御チップと、を備える静電容量式タッチ画面であって
前記タッチ制御チップは、前記感知電極を駆動して検出するとともに残りの複数の感知電極を駆動するか、または、前記感知電極を駆動して検出するとともにその周辺の感知電極を駆動することによって前記複数の感知電極のそれぞれの自己静電容量を検出するように構成される
ことを特徴とする静電容量式タッチ画面。」

2.引用文献・引用発明
原査定において引用された特開2009-146419号公報(以下、「引用文献」という。)には、図とともに次の記載がある。
「【背景技術】
【0002】
タッチパネルは、画面に指やペンなどで直接触れることで機械を操作する装置であり、LCDなど表示装置、PDAなど携帯装置、銀行のATMやPOSなど多くの装置で用いられている。タッチパネルに対して、タッチした位置の検出を電気的に行うものとして、抵抗膜方式や静電容量方式などがある。一方、電気を用いないものとして、超音波方式や赤外遮光方式、画像認識方式などがある。
【0003】
静電容量方式は、指で触れることで表示パネルの表面電荷の変化を捕らえることによる位置検出方法である。現在、静電容量方式のタッチパネルに対して、マルチタッチ技術が注目されている。マルチタッチ技術は、同時に2カ所以上の接触点を検知(多点検知)できるため、2本以上の指を使った操作が可能なものである。従来の静電容量方式のマルチタッチ型タッチパネルは、ガラス基板と、複数の透明な導電層と、容量型検出回路と、複数の検出配線を含む。前記複数の透明な導電層及び前記検出配線は、それぞれ前記ガラス基板の一つの表面に設置されている。前記複数の透明な導電層は前記ガラス基板の一つ表面の異なる領域に設置され、それぞれ検出配線で前記容量型検出回路に接続されている。前記容量型検出回路は、少なくとも一つの集積回路を含む。該集積回路は、前記複数の透明な導電層の位置を記録するために利用されている。
・・・中略・・・
【0005】
前記タッチパネルを動作させる場合、一つ以上の器具又は一本以上の指を利用して前記タッチパネルに接触する。例えば、使用者は同時に二本の指で前記タッチパネルの表面に接触すると、使用者自身の電界が原因で、前記使用者の指及び前記透明な導電層の間に結合容量が形成される。高周波電流である場合、前記結合容量が導体として機能するので、使用者の指で接触した前記タッチパネルの領域において、電流が前記領域から前記使用者の指に流出する。この場合、容量型検出回路から流れた電流は、前記使用者の指に流出した電流を補償することができる。従って、使用者の指で接触した領域を前記容量型検出回路の集積回路で識別することができる。」

「【0018】
図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
【0019】
図1及び図2を参照すると、本実施形態のタッチパネル100は、基板110と、複数の透明な導電構造体120と、複数の導電線130と、少なくとも一つの容量型検出回路140と、透明な保護層150と、充填部160と、を含む。ここで、前記基板110は第一表面112と、該第一表面112に対向する第二表面114と、を有する。前記透明な導電構造体120及び前記導電線130は、前記基板110の第一表面112に設置されている。前記複数の透明な導電構造体120は、絶縁の状態を保持するように、それぞれ所定距離で分離されて設置されている。即ち、隣接する前記透明な導電構造体120の間に隙間(図示せず)を形成し、前記複数の透明な導電構造体120をマトリクス形状に配列している。本実施形態において、前記基板110の第一表面112の対向する端部にそれぞれ一つの前記容量型検出回路140を設置している。前記透明な導電構造体120及び前記容量型検出回路140を電気的に接続させるために、前記透明な導電構造体120の間に形成された隙間に前記導電線130を設置する。前記透明な導電構造体120及び前記導電線130の間に、前記充填部160を形成する。前記透明な導電構造体120と、前記導電線130と、前記充填部160と、を被覆するように、前記保護層150を形成する。
【0020】
前記基板110はガラス、石英、ダイヤモンドなどの硬質材料、又はポリマー又は樹脂のようなフレキシブル材料からなる。・・・中略・・・
【0022】
前記透明な導電構造体120は、配向して又は配向せず前記基板110の第一表面112に設置されている。各々の透明な導電構造体120は、前記タッチパネル100の接触点に対応して設置されている。前記透明な導電構造体120が配向して設置される場合、前記透明な導電構造体120の設置位置は座標系に関係する。例えば、デカルト座標系である場合、前記透明な導電構造体120は列及び行の配列方式によって設置されている。また、極座標系である場合、前記透明な導電構造体120は同心又は放射状に配列されている。前記透明な導電構造体120は、矩形、円形、楕円形、正方形、三角形又は多角形に形成されている。それぞれの前記透明な導電構造体120の形状又は寸法は、同じでも異なっても設けられることができる。前記タッチパネル100の分解率を高めるために、前記透明な導電構造体120の寸法が小さい場合、前記透明な導電構造体120の数量が多くように設置されている。一般、前記透明な導電構造体120の寸法は使用者の指先より小さく設けられている。例えば、各々の前記透明な導電構造体120の寸法は、4?5mm^(2)に設けられている。接触領域を最大にし、隣接する前記透明な導電構造体120の間に形成された隙間の幅を最小にするように、前記透明な導電構造体120の形状を設けることができる。一般的に、隣接する前記透明な導電構造体120の間に形成された隙間の幅は1μm?5mmである。
【0023】
本実施形態において、前記透明な導電構造体120は正方形に形成され、列及び行の配列方式によって配列されている。前記透明な導電構造体120の各々の辺の長さが5mmである。隣接する列に配列した前記透明な導電構造体120の間の距離は1μm?5mmであり、隣接する行に配列した前記透明な導電構造体120の間の距離は、100μmである。」

「【0040】
前記導電線130は、隣接する前記透明な導電構造体120の間に設置されている。本実施形態において、前記導電線130は、前記透明な導電構造体120から、前記タッチパネル100の対向する両方の端部に設置され、前記透明な導電構造体120に対応する容量型検出回路140までの方向に沿って設置されている。一般、前記導電線130の間に形成された抵抗を低減させるために、前記透明な導電構造体120から容量型検出回路140までの距離が最短である路線に沿って、前記導電線130を設置することが好ましい。前記導電線130はITO、ATO、導電樹脂のいずれか一種である。パターニング方法(例えば、堆積、エッチング、印刷)を利用して、前記導電線130を前記基板110の第一表面112に設置することができる。前記導電線130の直径は100μm以下である。・・・中略・・・
【0041】
本実施形態において、前記基板110の第一表面112は第一端部(図示せず)、及び該第一端部に対向する第二端部(図示せず)を有する。前記第一端部及び第二端部にそれぞれ一つの容量型検出回路140を設置する。前記導電線130は、隣接する行に設置する透明な導電構造体120の間に形成された隙間に設置されている。前記第一端部の方に近い前記透明な導電構造体120は、前記第一端部に設置された前記容量型検出回路140に接続され、前記第二端部の方に近い前記透明な導電構造体120は、前記第二端部に設置された前記容量型検出回路140に接続される。なお、少なくとも一つの前記容量型検出回路140は、前記タッチパネル100の少なくとも一つの辺部又は隅に設置されることができる。例えば、前記透明な導電構造体120及び前記容量型検出回路140の間の距離を最短にさせるように、複数の前記容量型検出回路140を前記タッチパネル100の辺部又は隅に設置することができる。
【0042】
単一の容量型検出回路140は、少なくとも一つの集積回路(図示せず)を含む。該集積回路は前記透明な導電構造体120の位置座標を記憶し、前記透明な導電構造体120に生じた容量を検出することができる。さらに、前記集積回路は、前記容量変化及び位置座標の情報を他の電子装置へ伝送することができる。」

「【0046】
図5及び図6を参照すると、本実施形態のディスプレイ200は、前記タッチパネル100と、表示素子210と、第一制御素子250と、中央処理装置(CPU)270と、第二制御素子260と、を含む。前記タッチパネル100は前記表示素子210に近接して設置され、また、外部回路(図示せず)で前記第一制御素子250に電気的に接続されている。前記タッチパネル100は、所定の空間で分離されて前記表示素子210に接続され、又は、直接前記表示素子210に密接に接続されていてもよい。本実施形態において、前記タッチパネル100は、空間106で分離されて前記表示素子210に電気的に接続されている。前記第一制御素子250及び前記中央処理装置270は、それぞれ前記第二制御素子260に電気的に接続されている。前記中央処理装置270は、前記表示素子210を制御することができる。」

「【0049】
前記タッチパネル100を利用したディスプレイ200の作動方式について説明する。一つ以上の接触手段300(例えば、使用者の指)を利用して同時に前記タッチパネル100の一つの表面を押す場合、前記接触手段300及び前記透明な導電構造体120の間に一定の結合容量が形成される。高周波電流が形成されると、前記結合容量が導体として機能するので、前記接触手段300で接触した前記タッチパネル100の領域において、電流が前記領域から前記接触手段300に流出する。この場合、前記容量型検出回路140から流れた電流は、前記接触手段300に流出した電流を補償することができる。従って、前記接触手段300で接触した領域を前記容量型検出回路140の集積回路で識別することができる。前記識別情報がアナログデータとして前記第一制御素子250に送信されると、前記第一制御素子250が前記アナログデータとしての識別情報及び位置座標をデジタルデータに変換する。前記中央処理装置270は前記デジタルデータを受信して前記第二制御素子260に送信して、前記表示素子210を制御する。」

上記記載から、次のことがいえる。
(a)【0019】の記載によれば、タッチパネル100は、基板110と、前記基板110の第一表面112に設置されている複数の透明な導電構造体120と、前記基板110の第一表面112の対向する端部にそれぞれ設置されている容量型検出回路140を備えている。
(b)【0019】、【0022】の記載によれば、複数の透明な導電構造体120は、絶縁の状態を保持するように、それぞれ所定距離で分離されて設置され、隣接する前記透明な導電構造体120の間に隙間を形成し、列及び行の配列方式によってマトリクス形状に配列されており、透明な導電構造体120の形状は矩形に形成され、タッチパネル100の分解能を高めるために、数量が多く設置され、寸法は使用者の指先より小さいものである。
(c)【0041】の記載によれば、前記基板110の第一表面112の第一端部の方に近い前記透明な導電構造体120は、隣接する行に設置する透明な導電構造体120の間に形成された隙間に設置されている導電線130により前記第一端部に設置された前記容量型検出回路140に接続され、前記基板110の第一表面112の第二端部の方に近い前記透明な導電構造体120は、隣接する行に設置する透明な導電構造体120の間に形成された隙間に設置されている導電線130により前記第二端部に設置された前記容量型検出回路140に接続されている。
(d)【0042】の記載によれば、容量型検出回路140は、少なくとも一つの集積回路を含み、該集積回路は前記透明な導電構造体120の位置座標を記憶し、前記透明な導電構造体120に生じた容量を検出することができ、前記容量変化及び位置座標の情報を他の電子装置へ伝送することができるものである。
(e)【0049】の記載によれば、一つ以上の接触手段300(例えば、使用者の指)を利用して同時に前記タッチパネル100の一つの表面を押す場合、前記接触手段300及び前記透明な導電構造体120の間に一定の結合容量が形成され、高周波電流が形成されると、前記結合容量が導体として機能するので、前記接触手段300で接触した前記タッチパネル100の領域において、電流が前記領域から前記接触手段300に流出し、前記容量型検出回路140から流れた電流は、前記接触手段300に流出した電流を補償することができ、前記接触手段300で接触した領域を前記容量型検出回路140の集積回路で識別することができる。
(f)【0046】の記載及び図5,6によれば、前記タッチパネル100を利用したディスプレイ200は、前記タッチパネル100の基板110の第二表面114側に表示素子210が設置されている。

上記(a)?(f)によれば、引用文献には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「タッチパネル100の基板110の第一表面112に複数の透明な導電構造体120が設置され、前記基板110の第一表面112の対向する端部にそれぞれ設置されている容量型検出回路140を備え、前記基板110の第二表面114側に表示素子210が設置されているディスプレイ200であって、
前記複数の透明な導電構造体120は、絶縁の状態を保持するように、それぞれ所定距離で分離されて設置され、隣接する前記透明な導電構造体120の間に隙間を形成し、列及び行の配列方式によってマトリクス形状に配列されており、透明な導電構造体120の形状は矩形に形成され、タッチパネル100の分解能を高めるために、数量が多く設置され、寸法は使用者の指先より小さいものであり、
前記基板110の第一表面112の第一端部の方に近い前記透明な導電構造体120は、隣接する行に設置する透明な導電構造体120の間に形成された隙間に設置されている導電線130により前記第一端部に設置された前記容量型検出回路140に接続され、前記基板110の第一表面112の第二端部の方に近い前記透明な導電構造体120は、隣接する行に設置する透明な導電構造体120の間に形成された隙間に設置されている導電線130により前記第二端部に設置された前記容量型検出回路140に接続され、
前記容量型検出回路140は、少なくとも一つの集積回路を含み、該集積回路は前記透明な導電構造体120の位置座標を記憶し、前記透明な導電構造体120に生じた容量を検出することができ、前記容量変化及び位置座標の情報を他の電子装置へ伝送することができるものであり、一つ以上の接触手段300(例えば、使用者の指)を利用して同時に前記タッチパネル100の一つの表面を押す場合、前記接触手段300及び前記透明な導電構造体120の間に一定の結合容量が形成され、高周波電流が形成されると、前記結合容量が導体として機能するので、前記接触手段300で接触した前記タッチパネル100の領域において、電流が前記領域から前記接触手段300に流出し、前記容量型検出回路140から流れた電流は、前記接触手段300に流出した電流を補償することができ、前記接触手段300で接触した領域を前記容量型検出回路140の集積回路で識別することができる、ディスプレイ200。」

3.対比
本願発明と引用発明とを対比する。
(ア)引用発明の「タッチパネル100の基板110」は、本願発明の「基板」に相当する。
(イ)引用発明の「複数の透明な導電構造体120」は、「基板110の第一表面112に設置されて」おり、「絶縁の状態を保持するように、それぞれ所定距離で分離されて設置され、隣接する前記透明な導電構造体120の間に隙間を形成し、列及び行の配列方式によってマトリクス形状に配列されて」いるから、本願発明の「前記基板の上に配置され、二次元アレイ状に配列された複数の感知電極」に相当する。
(ウ)引用発明の「前記基板110の第一表面112の対向する端部にそれぞれ設置され」た「容量型検出回路140」は、「少なくとも一つの集積回路を含み、該集積回路は前記透明な導電構造体120の位置座標を記憶し、前記透明な導電構造体120に生じた容量を検出することができ、前記容量変化及び位置座標の情報を他の電子装置へ伝送することができるもの」であるから、本願発明の「基板に固着され」た「タッチ制御チップ」と「基板に設置されたタッチ制御回路」である点では共通するといえる。
そして、引用発明は、「前記基板110の第一表面112の第一端部の方に近い前記透明な導電構造体120は、隣接する行に設置する透明な導電構造体120の間に形成された隙間に設置されている導電線130により前記第一端部に設置された前記容量型検出回路140に接続され、前記基板110の第一表面112の第二端部の方に近い前記透明な導電構造体120は、隣接する行に設置する透明な導電構造体120の間に形成された隙間に設置されている導電線130により前記第二端部に設置された前記容量型検出回路140に接続され」ているから、引用発明の「容量型検出回路140」と「透明な導電構造体120」が「導電線130により」接続されている構成は、本願発明の「タッチ制御チップ」が「対応する配線を介して前記複数の感知電極のそれぞれと接続された」構成と「タッチ制御回路」が「対応する配線を介して前記複数の感知電極のそれぞれと接続された」構成である点では共通するといえる。
(エ)引用発明の「タッチパネル100の基板110の第二表面114側に表示素子210が設置されているディスプレイ200」は、本願発明と同様に「静電容量式タッチ画面」といい得るものである。

したがって、本願発明と引用発明は、
「基板と、
前記基板の上に配置され、二次元アレイ状に配列された複数の感知電極と、
前記基板に設置され、対応する配線を介して前記複数の感知電極のそれぞれと接続されたタッチ制御回路と、を備えることを特徴とする静電容量式タッチ画面。」
で一致するものであり、次の点で相違している。

<相違点1>
本願発明では、タッチ制御回路は、「基板に固着され」た「タッチ制御チップ」であって、対応する配線を介して前記複数の感知電極のそれぞれと接続されるのに対し、引用発明では、「容量型検出回路140」は「前記基板110」に設置され、対応する配線を介して複数の透明な導電構造体120のそれぞれと接続されているが、「容量型検出回路140」が基板に固着されたチップであることが特定されていない点。

<相違点2>
本願発明では、「タッチ制御チップ」は、「前記感知電極を駆動して検出するとともに残りの複数の感知電極を駆動するか、または、前記感知電極を駆動して検出するとともにその周辺の感知電極を駆動することによって前記複数の感知電極のそれぞれの自己静電容量を検出する」のに対し、引用発明では、「容量型検出回路140」は、複数の透明な導電構造体120を上記のように駆動することによって複数の透明な導電構造体120のそれぞれの自己静電容量を検出することが特定されていない点。

4.判断
・相違点1について
タッチパネルやタッチスクリーンにおいて、制御回路を構成する半導体チップを、電極が形成された基板上に直接実装(COG、COF実装)することは、文献を示すまでもなく、本願優先日前に周知技術である。
引用発明の「容量型検出回路140」は、「少なくとも一つの集積回路を含み、該集積回路は前記透明な導電構造体120の位置座標を記憶」しているものであり、「基板110の第一表面112の対向する端部にそれぞれ設置」されるものであるから、引用発明において、上記周知技術を採用し、容量型検出回路140を半導体チップで構成して基板110上に固着し、対応する配線を介して複数の透明な導電構造体120のそれぞれと接続されるようにすることは当業者が容易に想到し得ることである。

・相違点2について
引用発明の「容量型検出回路140」は、容量型検出回路140から流れた高周波電流によって、透明な導電構造体120を駆動して透明な導電構造体120の自己静電容量を検出するといい得るものであり、「一つ以上の接触手段300(例えば、使用者の指)を利用して同時に前記タッチパネル100の一つの表面を押す場合」にも「前記接触手段300で接触した領域を前記容量型検出回路140の集積回路で識別することができる」ようにしている、すなわち、静電容量方式でマルチタッチ検知(多点検知)できるものであり、そのような、マルチタッチ検知(多点検知)の技術において、タッチパネル表面の全ての電極の静電容量を検出する走査時間を短縮することは当業者において広く知られている課題である。
引用発明は、「容量型検出回路140」が導電線130を介して複数の透明な導電構造体120のそれぞれと接続されており、「容量型検出回路140」は、「集積回路を含み、該集積回路は前記透明な導電構造体120の位置座標を記憶」し、「接触手段300で接触した領域を前記容量型検出回路140の集積回路で識別することができる」ものであるから、全ての透明な導電構造体120を同時に駆動しても、同時に接触した複数の領域を検出することできる構成であることは当業者にとって明らかであり、全ての透明な導電構造体120を同時に駆動することにより、上記走査時間を短縮するという課題を解決できることも当業者にとって明らかである。
したがって、引用発明において、「容量型検出回路140」が、透明な導電構造体120(本願発明の「感知電極」に相当する。)を駆動して検出するとともに残りの複数の透明な導電構造体120を駆動するように構成されるようにすることは、当業者が容易になし得ることである。

そして、本願発明の作用効果も、引用発明及び周知技術から、当業者であれば予想できる範囲内のものである。

したがって、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである

5.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
したがって、本願は、その余の請求項について論及するまでもなく拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2016-10-25 
結審通知日 2016-11-01 
審決日 2016-11-15 
出願番号 特願2014-27230(P2014-27230)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 加内 慎也  
特許庁審判長 新川 圭二
特許庁審判官 和田 志郎
土谷 慎吾
発明の名称 静電容量式タッチ画面  
代理人 特許業務法人磯野国際特許商標事務所  

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