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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H05K
管理番号 1326684
審判番号 不服2016-1152  
総通号数 209 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-05-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-01-27 
確定日 2017-03-30 
事件の表示 特願2013-543633「複数の熱を発生する部品が備えられた筐体を有する電子装置」拒絶査定不服審判事件〔平成24年 6月21日国際公開、WO2012/080011、平成26年 2月 3日国内公表、特表2014-502785〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯

本願は、2011年12月5日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理 2010年12月13日 ドイツ(DE))を国際出願日とする出願であって、手続の概要は以下のとおりである。

拒絶理由通知 :平成27年 1月30日(起案日)
意見書 :平成27年 4月28日
手続補正 :平成27年 4月28日
拒絶査定 :平成27年 9月15日(起案日)
拒絶査定不服審判請求 :平成28年 1月27日
手続補正 :平成28年 1月27日
拒絶理由通知(当審) :平成28年 9月30日(起案日)
意見書 :平成28年12月28日
手続補正 :平成28年12月28日

2.本願発明

本願の請求項1ないし4に係る発明は、平成28年12月28日付け手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。

「 【請求項1】
筐体を有する、特にコンピュータシステムである電子ユニットであって:
熱を発生する第1部品;
熱を発生する第2部品;及び
冷却システム;
を前記筐体内に備えた電子ユニットであり、
前記冷却システムは、冷却空気流を生成する少なくとも1つのファンを有し、
当該電子ユニットの動作中、前記第1部品及び前記第2部品は前記冷却システムにより冷却され、前記第1部品は、前記第1部品のより低い温度及び前記第2部品のより高い温度が収束するように、前記冷却システムの前記冷却空気流の方向において前記第1部品と前記第2部品との間の熱伝導接続部を介して前記第2部品に接続されており、
前記第1部品及び前記第2部品はそれぞれ、発生した熱を放熱するヒートシンクを有し、
前記熱伝導接続部は、前記冷却システムの前記冷却空気流の方向において前記第1部品と前記第2部品との間に配置されたヒートシンクを有し、
前記第1部品は、前記第1部品からの流出空気流の少なくとも一部が前記第2部品に入射するように、前記第2部品の前に、前記冷却空気流の方向に備えられ、
前記第1部品及び前記第2部品は、前記冷却空気流の方向において前記第2部品が部分的に前記第1部品の陰に位置するように、互いにオフセットして配置され、
前記熱伝導接続部は、前記冷却空気流の方向において前記第2部品が部分的に前記第1部品の陰に位置する領域内でのみ、前記第1部品と前記第2部品との間に配置され、
前記冷却システムは、冷却されるべき最大動作温度のための冷却電力を、より暖かい部品の低減された動作温度まで低減するよう構成される、
電子ユニット。」

3.引用例

当審の拒絶理由通知に引用した、本願の優先権主張の日前に頒布された刊行物である特開平10-256766号公報(平成10年9月25日公開、以下「引用例」という。)には、図面と共に、以下の記載がある。(なお、下線は当審で付与した。)

(1)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電子機器の強制空冷構造に関する。」

(2)「【0002】
【従来の技術】近年、コンピュータをはじめとする電子機器は、処理能力の向上,小型化及び低コスト化等の要求が強い。このため、電子機器に搭載される電子部品の発熱量、並びに搭載数は増加する。一方、筐体サイズが小型化傾向にあるため、筐体内部の発熱密度は著しく増加している。また、演算処理用の電子素子には、信号伝搬遅延時間を短縮するために、多数のチップをセラミック等の配線基板上に搭載し、一括して冷却するマルチチップモジュールという実装形態が多く用いられる。」

(3)「【0008】本発明の目的は、電子素子をはじめとする大小様々な発熱部材が混在して実装された電子機器の冷却構造について、発熱部材に設置された各々のヒートシンクの一部をそれぞれ熱的に接続し、下流側の熱を上流側に熱輸送して、流れ方向に設置された発熱部材の温度を所定内の温度に保つ一方、冷却構造の付加による圧力損失上昇の少ない強制空冷構造を提供することである。」

(4)「【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明では、冷却空気の流れ方向に配置された電子素子に設置されたヒートシンクのフィン部を互いに熱伝導率の高い部材(例えばアルミ,銅あるいは、等価熱伝導率の高いヒートパイプや振動制御形熱輸送管)で熱的に接続した。
【0010】また、それらの熱輸送部材に、微細な二次フィンを設けた。」

(5)「【0016】
【発明の実施の形態】図1に本発明の強制空冷構造の第一の実施例の斜視図を示す。電子機器などに用いられる配線基板10上に電子素子3が冷却空気の流れ方向1,2に並んで実装され、それらの素子表面には、強制空冷用ヒートシンク30が設置されている。そのヒートシンクは、高熱伝導性の材質例えばアルミニウムや銅製で、一金属製平面板に複数の平行平面板が数mm程度以下の間隔で複数積層されている。その金属製平行平面板間には、熱輸送部材(例えば銅等の高熱伝導材やヒートパイプ)50が高熱伝導性の接着剤あるいは熱伝導性グリースを介して挿入され、両ヒートシンク間を熱的に接続する形状になっている。」

(6)「【0017】本実施例は、ファンあるいはブロアなどで送風する強制空冷構造であり、電子素子3が実装された基板10に対して、概略平行に送風する構造(平行流冷却構造)になっている。冷却空気1は、配線基板5に対して概略平行方向に流入し、流れの上流側にある電子素子及びヒートシンクに衝突する。そこでその空気は、ヒートシンクを迂回する流れと、フィン間に入る流れに分けられる。フィン間を流れる空気量は、フィン部の流路縮小抵抗によりフィン入口付近に比べて低下する。また、ヒートシンク後方の流速は、フィン部からの流路拡大抵抗によりフィン入口付近の流速に比べて非常に減少する。さらに、下流側に設置されたヒートシンクのフィン部は、その低速空気流の一部の空気が流入し、フィン間を通って排気2される。このため、流れ方向に並んだ電子素子は、下流に行くほどフィン間に流入する冷却空気量は減少することになる。」

(7)「【0018】次に熱の流れは、まず配線基板10に沿って流れる低温の冷却空気1が、上流側ヒートシンクのフィン間に入り、熱交換された暖かい空気がフィン間を出る。そして、その暖かい低流速の空気は、下流側のヒートシンクのフィン間に流入する。下流側のヒートシンクは、低流量高温空気がフィン間に入り、さらに高温な空気を下流側に送ることになる。このため、下流側ほど高温空気がフィン間に流れるため、電子素子を冷却するための十分な冷却性能を得ることができない。よって、上流側のヒートシンクと下流側のそれとは、大きな温度差が生じることとなる。ここで、本実施例に示すヒートパイプあるいは銅やアルミなどの高熱伝導金属により構成される熱輸送部材50は、下流側ヒートシンクより上流側ヒートシンクへと熱を吸い上げ、大きなヒートシンク間の温度差を解消する熱輸送経路を構成する。また、本熱輸送部材50では、空気の流れを遮る抵抗がほとんどないため、付加部材による圧力損失上昇があまり見られない。また、本構造では、ヒートシンク30を基板10上に実装した後に熱輸送部材50を装着することができるため、熱輸送部材50の数,等価熱伝導率を電子素子の熱量及び冷却風量によって最適に選ぶことができる。」

上記摘示事項及び図面の記載から以下のことがいえる。

(a)引用例には、「電子機器の強制空冷構造」が記載されている(摘示事項(1))。

(b)筐体を有する「電子機器」として「コンピュータ」が例示されている(摘示事項(2))。

(c)「電子機器の強制空冷構造」は、冷却空気の流れ方向に配置された電子素子に設置されたヒートシンクのフィン部を互いに熱伝導率の高い部材(例えばアルミ,銅あるいは、等価熱伝導率の高いヒートパイプや振動制御形熱輸送管)で熱的に接続し、それらの熱輸送部材に、微細な二次フィンを設けたものである(摘示事項(4))。

(d)ヒートシンクの金属製平行平面板間には、熱輸送部材(例えば銅等の高熱伝導材やヒートパイプ)50が挿入されている(摘示事項(5))。

(e)「電子機器の強制空冷構造」は、ファンあるいはブロアなどで送風するものである(摘示事項(6))。

(f)まず配線基板10に沿って流れる低温の冷却空気1が、上流側ヒートシンクのフィン間に入り、熱交換された暖かい空気がフィン間を出る。そして、その暖かい低流速の空気は、下流側のヒートシンクのフィン間に流入する。ヒートパイプあるいは銅やアルミなどの高熱伝導金属により構成される熱輸送部材50は、下流側ヒートシンクより上流側ヒートシンクへと熱を吸い上げ、大きなヒートシンク間の温度差を解消する熱輸送経路を構成する(摘示事項(7))。

以上を総合勘案すると、引用例には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認める。

「筐体を有する、コンピュータである電子機器の強制空冷構造であって、
冷却空気の流れ方向に配置された電子素子に設置されたヒートシンクのフィン部を互いに熱伝導率の高い部材(例えばアルミ,銅あるいは、等価熱伝導率の高いヒートパイプや振動制御形熱輸送管)で熱的に接続し、それらの熱輸送部材に、微細な二次フィンを設けたものであり、
ヒートシンクの金属製平行平面板間には、熱輸送部材(例えば銅等の高熱伝導材やヒートパイプ)50が挿入されており、
ファンあるいはブロアなどで送風するものであり、
まず配線基板10に沿って流れる低温の冷却空気1が、上流側ヒートシンクのフィン間に入り、熱交換された暖かい空気がフィン間を出て、その暖かい低流速の空気は、下流側のヒートシンクのフィン間に流入するものであり、
ヒートパイプあるいは銅やアルミなどの高熱伝導金属により構成される熱輸送部材50は、下流側ヒートシンクより上流側ヒートシンクへと熱を吸い上げ、大きなヒートシンク間の温度差を解消する熱輸送経路を構成する、
電子機器の強制空冷構造。」

4.対比

そこで、本願発明と引用発明とを対比する。

(1)電子ユニット
引用発明は、「筐体を有する、コンピュータである電子機器の強制空冷構造」であるから、本願発明と引用発明とは、「筐体を有する、特にコンピュータシステムである電子ユニット」である点で一致する。

(2)第1部品、第2部品及び冷却システム
引用発明の「冷却空気の流れ方向に配置された電子素子」の上流側の電子素子及び下流側の電子素子は、発熱部材であるから、それぞれ、「熱を発生する第1部品」及び「熱を発生する第2部品」ともいえる。また、引用発明の「ファンあるいはブロアなど」は、「冷却システム」ともいえる。そして、引用発明の「冷却空気の流れ方向に配置された電子素子」及び「ファンあるいはブロアなど」が電子機器の筐体内に備えられることは明らかである。
したがって、本願発明と引用発明とは、「熱を発生する第1部品;熱を発生する第2部品;及び冷却システム;を前記筐体内に備えた電子ユニット」である点で一致する。

(3)ファン
引用発明は、「ファンあるいはブロアなどで送風する」「強制空冷構造」であるから、本願発明と引用発明とは、「前記冷却システムは、冷却空気流を生成する少なくとも1つのファンを有」する点で一致する。

(4)第1部品及び第2部品の冷却及び接続
引用発明は、「ファンあるいはブロアなどで送風する」「強制空冷構造」であるから、本願発明と引用発明とは、「当該電子ユニットの動作中、前記第1部品及び前記第2部品は前記冷却システムにより冷却され」る点で一致する。
また、引用発明は、「冷却空気の流れ方向に配置された電子素子に設置されたヒートシンクのフィン部を互いに熱伝導率の高い部材(例えばアルミ,銅あるいは、等価熱伝導率の高いヒートパイプや振動制御形熱輸送管)で熱的に接続し」たものであり、引用発明において、「ヒートパイプあるいは銅やアルミなどの高熱伝導金属により構成される熱輸送部材50は、下流側ヒートシンクより上流側ヒートシンクへと熱を吸い上げ、大きなヒートシンク間の温度差を解消する熱輸送経路を構成する」から、本願発明と引用発明とは、「前記第1部品は、前記第1部品のより低い温度及び前記第2部品のより高い温度が収束するように、前記冷却システムの前記冷却空気流の方向において前記第1部品と前記第2部品との間の熱伝導接続部を介して前記第2部品に接続されて」いる点で一致する。

(5)第1部品及び第2部品が有するヒートシンク
引用発明の「冷却空気の流れ方向に配置された電子素子」にはヒートシンクが設置されているから、本願発明と引用発明とは、「前記第1部品及び前記第2部品はそれぞれ、発生した熱を放熱するヒートシンクを有」する点で一致する。

(6)熱伝導接続部が有するヒートシンク
引用発明は、「冷却空気の流れ方向に配置された電子素子に設置されたヒートシンクのフィン部を互いに熱伝導率の高い部材(例えばアルミ,銅あるいは、等価熱伝導率の高いヒートパイプや振動制御形熱輸送管)で熱的に接続し、それらの熱輸送部材に、微細な二次フィンを設けたもの」であるから、本願発明と引用発明とは、「前記熱伝導接続部は、前記冷却システムの前記冷却空気流の方向において前記第1部品と前記第2部品との間に配置されたヒートシンクを有」する点で一致する。

(7)第1部品からの流出空気流の第2部品への入射
引用発明は、「まず配線基板10に沿って流れる低温の冷却空気1が、上流側ヒートシンクのフィン間に入り、熱交換された暖かい空気がフィン間を出て、その暖かい低流速の空気は、下流側のヒートシンクのフィン間に流入するもの」であるから、本願発明と引用発明とは、「前記第1部品は、前記第1部品からの流出空気流の少なくとも一部が前記第2部品に入射するように、前記第2部品の前に、前記冷却空気流の方向に備えられ」る点で一致する。

(8)第1部品及び第2部品のオフセットした配置
「第1部品及び第2部品の配置」について、本願発明は、「前記第1部品及び前記第2部品は、前記冷却空気流の方向において前記第2部品が部分的に前記第1部品の陰に位置するように、互いにオフセットして配置され」るのに対し、引用発明は、そのような特定がない点で相違する。

(9)熱伝導接続部の配置
「熱伝導接続部の配置」について、本願発明は、「前記熱伝導接続部は、前記冷却空気流の方向において前記第2部品が部分的に前記第1部品の陰に位置する領域内でのみ、前記第1部品と前記第2部品との間に配置され」るのに対し、引用発明は、そのような特定がない点で相違する。

(10)冷却電力
「冷却電力」について、本願発明は、「前記冷却システムは、冷却されるべき最大動作温度のための冷却電力を、より暖かい部品の低減された動作温度まで低減するよう構成される」のに対し、引用発明は、そのような特定がない点で相違する。

そうすると、本願発明と引用発明とは、次の点で一致する。

<一致点>

「筐体を有する、特にコンピュータシステムである電子ユニットであって:
熱を発生する第1部品;
熱を発生する第2部品;及び
冷却システム;
を前記筐体内に備えた電子ユニットであり、
前記冷却システムは、冷却空気流を生成する少なくとも1つのファンを有し、
当該電子ユニットの動作中、前記第1部品及び前記第2部品は前記冷却システムにより冷却され、前記第1部品は、前記第1部品のより低い温度及び前記第2部品のより高い温度が収束するように、前記冷却システムの前記冷却空気流の方向において前記第1部品と前記第2部品との間の熱伝導接続部を介して前記第2部品に接続されており、
前記第1部品及び前記第2部品はそれぞれ、発生した熱を放熱するヒートシンクを有し、
前記熱伝導接続部は、前記冷却システムの前記冷却空気流の方向において前記第1部品と前記第2部品との間に配置されたヒートシンクを有し、
前記第1部品は、前記第1部品からの流出空気流の少なくとも一部が前記第2部品に入射するように、前記第2部品の前に、前記冷却空気流の方向に備えられる、
電子ユニット。」の点。

そして、次の点で相違する。

<相違点>

(1)「第1部品及び第2部品の配置」について、本願発明は、「前記第1部品及び前記第2部品は、前記冷却空気流の方向において前記第2部品が部分的に前記第1部品の陰に位置するように、互いにオフセットして配置され」るのに対し、引用発明は、そのような特定がない点。

(2)「熱伝導接続部の配置」について、本願発明は、「前記熱伝導接続部は、前記冷却空気流の方向において前記第2部品が部分的に前記第1部品の陰に位置する領域内でのみ、前記第1部品と前記第2部品との間に配置され」るのに対し、引用発明は、そのような特定がない点。

(3)「冷却電力」について、本願発明は、「前記冷却システムは、冷却されるべき最大動作温度のための冷却電力を、より暖かい部品の低減された動作温度まで低減するよう構成される」のに対し、引用発明は、そのような特定がない点。

5.判断

そこで、上記相違点について検討する。

相違点(1)について
引用例の図11に示されるような、冷却空気の流れ方向に対してオフセットした上流側の電子素子と下流側の電子素子との配置は、電子機器の回路を構成する部品の形状や寸法に応じて採用することが必要になることがあるものであるから、引用発明において、冷却空気の流れ方向に対してオフセットした上流側の電子素子と下流側の電子素子との配置を採用することは、当業者が適宜なし得る。

相違点(2)について
冷却空気の流れ方向に対してオフセットした上流側の電子素子と下流側の電子素子との配置を採用する際に、通常、ヒートシンクのフィン部は冷却空気の流れ方向に設置されるから、引用発明の「ヒートシンクの金属製平行平面板間には、熱輸送部材(例えば銅等の高熱伝導材やヒートパイプ)50が挿入されて」いる構成の場合、冷却空気の流れ方向において、下流側の電子素子が上流側の電子素子の陰に位置する領域に熱輸送部材を配置することは、ごく自然な選択であって、当業者が容易に想到し得る。

相違点(3)について
引用発明の目的は、「下流側の熱を上流側に熱輸送して、流れ方向に設置された発熱部材の温度を所定内の温度に保つ強制空冷構造」を提供することである(摘示事項(3))から、引用発明において、冷却されるべき最大動作温度のための冷却電力を、下流側の発熱部材の低減された動作温度である「所定内の温度」に対応させて設計することは、当業者が容易に想到し得る。

また、明細書に記載された本願発明が奏する効果についてみても、本願発明の構成のものとして当業者であれば予測し得る程度のものに過ぎず、格別顕著なものがあるとは認められない。

なお、請求人は、意見書及び審判請求書において、引用例の図11は、熱輸送手段63が電子素子の外側を通る構成を有する旨主張している。
しかしながら、同図の構成は、基板の積層間隔が狭い場合に、側面から熱輸送部材63を挿入するものであって(【0022】)、電子素子をオフセットして配置した場合に必ず採用しなければならない構成ではないから、上述した判断を左右するものではない。

6.むすび

以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、引用例に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、その余の請求項について論及するまでもなく拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2017-01-25 
結審通知日 2017-01-31 
審決日 2017-02-15 
出願番号 特願2013-543633(P2013-543633)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (H05K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 佐久 聖子飯星 潤耶  
特許庁審判長 酒井 朋広
特許庁審判官 関谷 隆一
國分 直樹
発明の名称 複数の熱を発生する部品が備えられた筐体を有する電子装置  
代理人 伊東 忠重  
代理人 伊東 忠彦  

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