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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04N
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 H04N
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H04N
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 H04N
管理番号 1326767
審判番号 不服2015-8080  
総通号数 209 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-05-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-04-30 
確定日 2017-04-05 
事件の表示 特願2013-128473「時間領域境界とのデータアライメントに関する方法及び装置」拒絶査定不服審判事件〔平成25年11月14日出願公開、特開2013-232935〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯
本願は、2006年9月27日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理2005年9月27日 米国、2005年10月17日 米国、2005年10月17日 米国、2005年10月17日 米国、2005年10月24日 米国、2006年4月3日 米国、2006年4月4日 米国)を国際出願日とする出願である特願2008-533640号の一部を数次の分割を経て2013年6月19日に新たな出願としたものであって、手続の概要は以下のとおりである。

手続補正 : 平成25年10月31日
拒絶理由通知 : 平成26年 5月 1日(起案日)
手続補正 : 平成26年 8月 6日
拒絶理由通知(最後) : 平成26年 8月27日(起案日)
手続補正 : 平成26年12月 2日
補正却下の決定 : 平成26年12月24日(起案日)
拒絶査定 : 平成26年12月24日(起案日)
拒絶査定不服審判請求 : 平成27年 4月30日
手続補正 : 平成27年 4月30日
前置報告書 : 平成27年 7月17日
上申書 : 平成27年10月14日

第2.補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成27年4月30日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1.本願発明と補正後の発明
上記手続補正(以下、「本件補正」という。)は、本件補正前の平成26年8月6日付けの手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された、

「【請求項1】
マルチメディアデータを処理する方法であって、
マルチメディアデータのコンテンツ情報を入手することと、ここで、前記コンテンツ情報は、前記マルチメディアデータに関するコンテンツ分類を含む、
前記マルチメディアデータを符号化することと、
を備え、前記コンテンツ分類情報は、Iフレームが前記符号化されたマルチメディアデータ内において周期的に現れるように用いられる、方法。」

という発明(以下、「本願発明」という。)を、平成27年4月30日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された、

「【請求項1】
マルチメディアデータを処理する方法であって、
マルチメディアデータのコンテンツ情報を入手することと、ここで、前記コンテンツ情報は、前記マルチメディアデータに関するコンテンツ分類を含む、
前記マルチメディアデータを符号化することと、
を備え、前記コンテンツ分類は、Iフレームが前記符号化されたマルチメディアデータ内において周期的に現れるように用いられ、前記Iフレームは、イントラコーディングされたマクロブロックによって符号化され、前記コンテンツ分類は、前記マルチメディアデータの空間的複雑さに関連づけられたテクスチャ値と、前記マルチメディアデータの時間的複雑さに関連づけられた動き値とによって決定され、前記テクスチャ値と前記動き値が大きい場合、前記テクスチャ値と前記動き値が小さい場合に比べて、前記イントラコーディングされたマクロブロックは、前記Iフレームに後続するPまたはBフレーム内により多く導入されるように構成される、方法。」

という発明(以下、「補正後の発明」という。)に補正することを含むものである。(下線は、補正箇所を示すために当審が付したものである。)

2.補正の適合性について
(1)補正の範囲
本件補正は、願書に最初に添付した明細書の記載(段落【0234】、【0153】、および【0128】等の記載)に基づくものであり、特許法第17条の2第3項に規定される願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてなされたものである。

(2)補正の目的
本件補正は、以下のように3つの補正(説明のために、当審において「本件補正a」乃至「本件補正c」ということにする。)に大別できる。
(本件補正a) 補正前の「前記コンテンツ分類情報」を「前記コンテンツ分類」とする補正。
(本件補正b) 補正前の「Iフレーム」に関し、「前記Iフレームは、イントラコーディングされたマクロブロックによって符号化され」という記載を追加する補正。
(本件補正c) 補正前の「コンテンツ分類」に関し、「前記コンテンツ分類は、前記マルチメディアデータの空間的複雑さに関連づけられたテクスチャ値と、前記マルチメディアデータの時間的複雑さに関連づけられた動き値とによって決定され、前記テクスチャ値と前記動き値が大きい場合、前記テクスチャ値と前記動き値が小さい場合に比べて、前記イントラコーディングされたマクロブロックは、前記Iフレームに後続するPまたはBフレーム内により多く導入されるように構成される」という記載を追加する補正。

まず、本件補正aについて検討する。
補正前の「前記コンテンツ分類情報」の記載は、当該記載より前段に「コンテンツ分類情報」が存在しないため不明りょうな記載であった。本件補正aにより、「前記コンテンツ分類情報」は「前記コンテンツ分類」と補正され、当該記載より前段に記載される「コンテンツ分類」を示すことが明確となった。
したがって、本件補正aは、明りょうでない記載の釈明を目的とする補正に該当する。

次に、本件補正bについて検討する。
本件補正bは、補正前の「Iフレーム」の内容を限定する補正であるから、特許請求の範囲の減縮を目的とする補正に該当する。

次に、本件補正cについて検討する。
本件補正cは、補正前の「コンテンツ分類」に関する補正であり、その補正は、コンテンツ分類が、「前記マルチメディアデータの空間的複雑さに関連づけられたテクスチャ値と、前記マルチメディアデータの時間的複雑さに関連づけられた動き値とによって決定され」るとする前半部分の補正事項c-1と、コンテンツ分類が、「前記テクスチャ値と前記動き値が大きい場合、前記テクスチャ値と前記動き値が小さい場合に比べて、前記イントラコーディングされたマクロブロックは、前記Iフレームに後続するPまたはBフレーム内により多く導入されるように構成される」とする後半部分の補正事項c-2との2つの補正事項によっている。(「補正事項c-1」、「補正事項c-2」も、当審が説明のために付したものである。)
このうち、補正事項c-1は、コンテンツ分類を定義する補正事項であり、補正前の「コンテンツ分類」の内容を限定する補正であるから、特許請求の範囲の減縮を目的とする補正に該当する。
しかしながら、補正事項c-2は、コンテンツ分類が「前記テクスチャ値と前記動き値が大きい場合」に行われる符号化処理に係るものであって、その符号化処理を「前記テクスチャ値と前記動き値が小さい場合に比べて、前記イントラコーディングされたマクロブロックは、前記Iフレームに後続するPまたはBフレーム内により多く導入されるように構成される」としているから、その符号化処理は、補正前の請求項1においてなんら記載のなかった「PまたはBフレーム」との関係を表すものである。
したがって、補正事項c-2は、補正前の請求項1における発明特定事項を限定するものでないから、特許請求の範囲の限定的減縮といえない。
さらに、補正事項c-2は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第1号、第3号、及び第4号に掲げる事項を目的とするものでもない。

(3)むすび
したがって、補正事項c-2を含む本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

(4)予備的検討(独立特許要件について)
以上のとおり、本件補正は上記補正却下の決定のとおり結論すべきであるが、仮に、本件補正が特許請求の範囲の減縮を目的とする補正に適合するとして、補正後の発明が平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法126条第5項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について以下に予備的に検討する。

(4-1)補正後の発明
上記「1.本願発明と補正後の発明」の項で「補正後の発明」として認定したとおりである。
なお、下記のとおり説明のために(A)ないし(E)の記号を当審において付与した。以下、構成A、構成Bなどと称することにする。

(A)マルチメディアデータを処理する方法であって、
(B)マルチメディアデータのコンテンツ情報を入手することと、ここで、前記コンテンツ情報は、前記マルチメディアデータに関するコンテンツ分類を含む、
(C)前記マルチメディアデータを符号化することと、を備え、
(D-1)前記コンテンツ分類は、Iフレームが前記符号化されたマルチメディアデータ内において周期的に現れるように用いられ、
(D-2)前記Iフレームは、イントラコーディングされたマクロブロックによって符号化され、
(D-3)前記コンテンツ分類は、前記マルチメディアデータの空間的複雑さに関連づけられたテクスチャ値と、前記マルチメディアデータの時間的複雑さに関連づけられた動き値とによって決定され、
(D-4)前記テクスチャ値と前記動き値が大きい場合、前記テクスチャ値と前記動き値が小さい場合に比べて、前記イントラコーディングされたマクロブロックは、前記Iフレームに後続するPまたはBフレーム内により多く導入されるように構成される、
(E)方法。

(4-2)引用文献の記載事項および引用発明
(4-2-1)引用文献1
原審の平成26年8月27日付け拒絶理由通知において引用文献1として引用された、特開平5-344492号公報(以下、「引用文献1」という。)には「フレーム間予測符号化装置」として図面とともに以下の事項が記載されている。

ア.「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、動画像信号をより少ない符号量で効率的に符号化する高能率符号化方式に関し、特にフレーム間予測符号化方式に関する。」

イ.「【0002】
【従来の技術】動画像の符号化に関しては、MPEG1で標準方式が規定されているが、独立フレーム(Iピクチャ(Intra coded picture:イントラ符号化画像)という)をどのような間隔で設定するかについては特に規定されていない。
【0003】一般にIピクチャは、一定間隔おきに設定されていて、各フレーム間の相関、フレーム間の急激な変化や予測誤差の大小については考慮されていない。なお、この種の関連する先行技術としては、例えば特開平2-285816号公報、同2-192378号公報などが挙げられる。」

ウ.「【0004】
【発明が解決しようとする課題】前述したように、Iピクチャの間隔をnフレームおきに一定とした場合(図9)、例えば、anフレームから(a+1)nフレームにかけては画像に大きな変化がないとき、またはフレーム間相関が高いときには、予測誤差も当然小さくなるので、復号器側においても良好な再生画像を得ることが可能である。
【0005】これに対して、(a+1)nフレームから(a+2)nフレームにかけて画像の変化が激しいときには、(a+1)n+1フレームから徐々に予測誤差が累積されていき、予測誤差が相当大きいフレームが出現することになる。
【0006】このように、独立フレームが等間隔に固定されていると、前述した画像に大きな変化がない区間と変化の激しい区間とでは、その再生画像の画質に大きな違いをもたらし、符号化効率の面からも非常にバランスの悪いものとなる。
【0007】また、例えば、an+2フレームとan+3フレームの間でシーンチェンジがある場合、当然anフレームと(a+1)nフレームとでは、フレーム相関がなくなり、その間の非独立フレームの予測誤差が大きくなり、これにより再生画像の画質に悪い影響を及ぼすことになる。
【0008】本発明の目的は、独立フレームと時間的に次に位置する独立フレームとのフレーム間差分が所定の閾値を越えたとき、それら2つのフレーム間に新たに独立フレームを設定することにより、変化の激しい区間、つまり予測誤差が大きくなりやすい区間においては、独立フレームの頻度を高くして、極端に予測誤差の大きい非独立フレームをなくし、全区間において安定した品質の再生画像を得ることができるフレーム間予測符号化方式を提供することにある。
【0009】本発明の他の目的は、フレーム間予測誤差に所定の閾値を設け、該閾値を越えた時点で当該フレームを独立フレームに設定し、かつ当該フレームの直前のフレームが独立フレームでなければ、直前フレームとのフレーム相関を調べ、フレーム相関がないとき直前フレームも独立フレームに設定し直すことにより、再生画像の画質劣化を少なくし、符号化効率を高くしたフレーム間予測符号化方式を提供することにある。」

エ.「【0013】
【作用】最初からn番目の独立フレームを差分器に取り込み、n番目の独立フレームとn+1番目の独立フレームとの差分を算出し、その値が所定の閾値よりも大きければ、比較した2つのフレームの中間に位置するフレームを新たに独立フレームに設定する。これによって、変化の激しい区間では独立フレームの頻度が高くなり、予測誤差の大きい非独立フレームがなくなるので、高品質の再生画像が得られる。」

上記のア.乃至上記エ.の記載及び関連する図面並びにこの分野における技術常識を考慮して引用文献1の記載を検討する。

(i)引用文献1には、上記ア.にあるように『動画像信号を符号化する』ことについて記載がある。

(ii)上記イ.には、一般に、動画像の符号化において独立フレーム(Iピクチャ)が、一定間隔おきに設定されることが記載されている。
そして、上記ウ.には、独立フレームと時間的に次に位置する独立フレームとのフレーム間差分が所定の閾値を越えたとき等の画像に大きな変化がある区間では、独立フレームの頻度を高くすることが記載されている。
さらに、上記エ.には、n番目の独立フレームとn+1番目の独立フレームとの差分を算出し、比較した2つのフレームの中間に位置するフレームを新たに独立フレームに設定し、変化の激しい区間において独立フレームの頻度を高くすることが記載されている。
ここで、一定間隔置きに設定された独立フレーム(Iピクチャ)の中間に位置するフレームを新たに独立フレームとして設定すれば、独立フレーム(Iピクチャ)の周期的な頻度を高くすることになることは自明である。
以上のとおり、上記イ.乃至エ.の記載によれば、引用文献1には、『独立フレーム(Iピクチャ)間の差分を算出する』こと、及び、『算出された差分が閾値を越えたとき、独立フレーム(Iピクチャ)の周期的な頻度を高くする』ことが記載されているといえる。

したがって、引用文献1には動画像符号化に関する以下の方法発明(以下、「引用発明」という。)が開示されている。なお、下記のとおり説明のために(a)ないし(d)の記号を当審において付与した。以下、構成a、構成bなどと称することにする。

<引用発明>
(a)動画像信号を符号化する方法であって、
(b)動画像信号の独立フレーム(Iピクチャ)間の差分を算出することと、
(c)前記算出された差分が閾値を越えたとき、独立フレーム(Iピクチャ)の周期的な頻度を高くすることとを備えた
(d)方法。」

(4-2-2)引用文献2
原審の平成26年8月27日付け拒絶理由通知において引用文献4として引用された、特開平6-22298号公報(以下、「引用文献2」という。)には「シーンチェンジ検出装置」として図面とともに以下の事項が記載されている。

オ.「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、動画像信号の符号化装置或いは編集機器等で使用され、自動的にシーンチェンジを検出するシーンチェンジ検出装置に関する。」

カ.「【0002】
【従来の技術】動画像が時間軸上で変化し、離間した時刻に於ける画面のデータが大きく異なることをシーンチェンジと定義する。また、画像の複雑さを表す量をアクティビティ或いはアクティビティ値と定義する。但し以下の従来例の説明や本発明の実施例等の説明に於いては、デジタル画像信号の絶対値和、或いはデジタル画像信号を所定のフィルタリング処理をして得られる出力値の絶対値和をアクティビティ或いはアクティビティ値と記している。また例えば動画像信号の符号化装置に於いては、シーンチェンジ検出装置によってシーンチェンジが起こったか否かが判定され、この判定結果に基づいて動画像信号の符号化が行われる。」

キ.「【0006】
【作用】本発明のシーンチェンジ検出装置では、動画像信号からフレーム或いはフィ-ルド毎にアクティビティを算出し、離間した時刻に検出した2以上のアクティビティからシーンチェンジを検出するので、フレーム間差分算出回路とその出力用のメモリは不要であり、また、動画像信号から1フレーム或いは1フィ-ルドに対応する画面よりも小さい所定の小画面毎にアクティビティを算出し、離間した時刻に検出した前記所定の小画面毎のアクティビティを比較してシーンチェンジを検出するので、画面の部分的なシーンチェンジをも検出することが出来、さらに、フレーム間予測符号化をする際には、1方向フレーム間予測符号化(P符号化)を行う場合にのみ、アクティビティを算出するので、アクティビティの計算処理量を軽減することが出来る。」

ク.「【0014】そして、前記シーンチェンジ判定回路66からシーンチェンジフラグ(判定フラグ)が出力され、フレーム間予測符号化回路67に入力される。フレーム間予測符号化回路67では前記シーンチェンジフラグに応じてフレーム間予測符号化が行われる。ここでは前記シーンチェンジフラグは、例えばPフレームをIフレームとして符号化するなどの制御信号として使用される。
【0015】図1は、本発明のシーンチェンジ検出装置の第1実施例を示すブロック図である。図1に於いて、入力画像データはフレームメモリ21に入力され、スイッチSWを介してアクティビティ算出回路22に印加される。このアクティビティ算出回路22では、入力画像の絶対値和が計算される。この算出されたアクティビティはアクティビティ値メモリ23に記憶される。このアクティビティ値メモリ23の内容は遅延回路24に供給され、この遅延回路24では1フレーム期間、もしくはフレーム間予測符号化が行われる場合には一方向フレーム間予測符号化(P符号化)が行われる場合の参照フレームとの時間差分だけ遅延される。
【0016】前記遅延回路24での遅延が1フレーム以上の場合、アクティビティの計算は3フレームに1回行われれば良いので、必要な時にのみスイッチSWは閉じられる。前記アクティビティ値メモリ23と前記アクティビティ値メモリ25の出力は、シーンチェンジ判定回路26に供給される。そしてシーンチェンジ判定回路26では、前記遅延回路24による遅延時間だけ離間した2つのフレームの夫々のアクティビティを用いてシーンチェンジの判定が行われ、判定フラグが出力される。このシーンチェンジ判定は例えば次のように行われる。
【0017】まず離間した時刻に於ける2つのアクティビティを、ACT1、ACT2として次のRC値が算出される。
RC=|ACT1-ACT2|/(ACT1+ACT2)
そして前記RC値について、RC>TH の時 シーンチェンジ、RC<TH の時 シーンチェンジでない、と判定される。但しここにTHは予め決められたしきい値である。」

上記オ.乃至上記ク.の記載及び関連する図面並びにこの分野における技術常識を考慮して引用文献2の記載を検討する。

(i)引用文献2には、上記オ.にあるように、動画像の符号化におけるシーンチェンジ検出技術に関して記載されている。

(ii)上記カ.には、シーンチェンジおよびアクティビティの定義について記載があり、シーンチェンジは、動画像が時間軸上で変化し、離間した時刻に於ける画面のデータが大きく異なることと定義され、アクティビティは、画像の複雑さを表す量であると定義されている。
また、上記キ.および上記ク.には、2つのフレームのそれぞれのアクティビティを比較してシーンチェンジを検出することが記載されている。

したがって、引用文献2には以下の技術事項が開示されている。

「動画像の符号化において、2つのフレームのそれぞれの画像の複雑さを表す量を比較して、動画像が時間軸上で変化して離間した時刻に於ける画面のデータが大きく異なったことを検出する技術。」

(4-2-3)引用文献3
特開2003-37844号公報(以下、「引用文献3」という。)には「動画像符号化装置」として図面とともに以下の事項が記載されている。

ケ.「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、動画像符号化装置に関し、特に、フレーム内符号化モードとフレーム間符号化モードを適応的に切り替える動画像符号化装置に関する。」

コ.「【0002】
【従来の技術】近年、動画像の符号化方式としてMPEG2(MPEG:Moving Picture Experts Group)が用いられている。MPEG2のフレーム予測における各フレームの間の関係の一例を図10に示す。同図において複数の平行四辺形400、401、402、403、404、405、406、407、408は動画を構成する各フレームを表す。フレームは、Iフレーム、Pフレーム、Bフレームの3種類に分類される。Iフレームはフレーム内符号化、PフレームはIフレームまたはPフレームからの前方向の予測符号化、BフレームはIフレームとPフレームの間もしくはPフレーム間にあり、IフレームやPフレームから予測符号化される。図10の矢印は予測の方向を表す。一般的に、Iフレーム、Pフレームで大きな予測誤差が発生すると、そのIフレーム、Pフレームを参照するフレームに誤差が伝搬してしまう。

【0003】、【0004】省略

【0005】Pフレーム、Bフレームの符号化マクロブロックは、フレーム内符号化モード、フレーム間符号化モードのどちらを用いるかを切り替えることができる。図12は、適応的にモードを切り替える方式のフローチャートを示したものである。図12に示すように、まず、ステップ(以下「S」と略記する)300において、符号化フレームがフレーム間予測符号化(Pフレーム、Bフレーム)か否かを判定し、フレーム間予測符号化であれば、S301に進んで、フレーム内符号化モード、あるいはフレーム間符号化モードのどちらを用いるかを判定する。一般的には、物体が平行移動している場合など予測が当たる場合はフレーム間符号化モードを選択すると生成符号量が少なくて済み、画面端や物陰から物体が出てくる場合やシーンチェンジの場合はフレーム内符号化モードの方が生成符号量が少なくなる傾向があり、前記の性質を利用したモード判定方式が知られている。
【0006】具体的には、ISO-IEC/JTCl/SC29/WG11MPEG 92Test Model2(以下、TM2)において、図13に示すモード判定が示されている。」

サ.「【0030】S101は、フレーム間符号化フレームのときに実行され、フレーム内乱雑量が計算される。このフレーム内乱雑量は、動きベクトル検出における予測誤差演算と同種の演算を符号化マクロブロックを構成する輝度値とその平均値に対して行なうことにより計算したものである。例えば、フレーム内乱雑量は、次式のように、符号化マクロブロックを構成する輝度値から符号化マクロブロックの全画素の輝度の平均値を減算したものの2乗和や絶対値和を用いることができる。
【0031】
【数1】

【0032】
【数2】

また、TM2におけるVARORをフレーム内乱雑量に用いても構わない。」

シ.「【0038】次に、本発明の実施形態2について述べる。実施形態2における動画像符号化装置の構成は実施形態1と同じである。
【0039】実施形態2では、符号化誤差が後ろに続くフレームに伝搬しないBフレームの符号化フレームに対しモード判定の基準を実施形態1から変更し、スキップトマクロブロックが生成できるようにする。具体的には、Bフレームの符号化フレームに対し、図5に示すような符号化モード判定を行なう。そして、このときの制御部200のフローチャートを図6に示す。このフローチャートにおいては、前記図3と同様部分に同じ符号を付している。
【0040】S1300は、フレーム内乱雑量が閾値よりも小さいときに実行され(S1022:No)、符号化フレームがPフレームのときはフレーム内符号化モード(S105)、Bフレームのときはフレーム間予測符号化モード(S106)が選択される。
【0041】本発明の実施形態1では、図4のモード判定を用いることにより、動き予測が当たっていると想定されるフレーム内乱雑量が閾値より小さい場合に対してフレーム内符号化モードを選択している。これに対して、本実施形態2では、図5のモード判定を用いて、Bフレームの符号化に対し、フレーム内乱雑量が閾値より小さい場合にフレーム間符号化モードを選択することによりスキップトマクロブロックの使用による発生符号量の低減が可能になる。」

上記ケ.乃至上記シ.の記載及び関連する図面並びにこの分野における技術常識を考慮して引用文献3の記載を検討する。

(i)引用文献3には、上記ケ.にあるように、動画像符号化において、フレーム内符号化モードとフレーム間符号化モードを適応的に切り替える技術について記載されている。

(ii)上記コ.には、Pフレーム、Bフレームのマクロブロックの符号化において、物体が平行移動している場合など予測が当たる場合や、画面端や物陰から物体が出てくる場合やシーンチェンジの場合に応じて、フレーム間符号化モードとフレーム内符号化モードとを選択して用いることについて記載されている。
そして、上記シ.及び図5、図6に記載されるように、Bフレームにおけるマクロブロックを符号化するにあたり、フレーム内乱雑量が閾値以下で、予測誤差量が一定値以下の領域では、フレーム間符号化モードを用いて符号化し、フレーム内乱雑量が閾値以上で、予測誤差量が一定値以上の領域では、フレーム間符号化モードとフレーム内符号化モードを、フレーム内乱雑量と予測誤差量に応じて選択的に用いて符号化することが記載されている。
ここで、フレーム内乱雑量については、実施形態2がベースとする実施形態1に係る上記サ.に記載されている。

したがって、引用文献3には以下の技術事項が開示されている。

「動画像符号化において、Bフレームにおけるマクロブロックを符号化するにあたり、フレーム内乱雑量が閾値以下で、予測誤差量が一定値以下の領域では、フレーム間符号化モードを用いて符号化し、フレーム内乱雑量が閾値以上で、予測誤差量が一定値以上の領域では、フレーム間符号化モードとフレーム内符号化モードを、フレーム内乱雑量と予測誤差量に応じて選択的に用いて符号化する技術。」

(4-3)対比
補正後の発明と引用発明とを対比する。
(i)補正後の発明の構成A、C、Eと引用発明の構成a、dの対比
引用発明の構成aにおける「動画像信号」は、明らかに補正後の発明の「マルチメディアデータ」に相当する。また、「符号化」は、動画像信号に対する「処理」である。
したがって、引用発明の構成a「動画像信号を符号化する方法であって、」は、補正後の発明の構成A「マルチメディアデータを処理する方法であって、」に相当する。このことから、明らかに引用発明の構成dと補正後の発明の構成Eの「方法」は一致する。
また、当然ながら引用発明の「動画像信号を符号化する方法」は、「動画像信号を符号化する」ことを含むから、引用発明は、補正後の発明の構成C「前記マルチメディアデータを符号化すること」を備えている。

(ii)補正後の発明の構成B、D-2と引用発明の構成bの対比
引用発明の構成bにおける「動画像信号」は上記(i)において記載したとおり補正後の発明の「マルチメディアデータ」に相当する。そして、引用発明の「独立フレーム(Iピクチャ)間の差分」は、動画像信号を構成するフレームの画像間から得られるものであり、動画像信号の内容に係る情報であるから、補正後の発明の「コンテンツ情報」に相当する。ここで、独立フレーム(Iピクチャ)間の差分は、「算出」することにより得られているから、コンテンツに係る情報を符号化に当たり「入手」しているといえる。
したがって、引用発明の構成bと補正後の発明の構成Bとは、「マルチメディアデータのコンテンツ情報を入手することと、」という点で共通する。しかしながら、補正後の発明の「コンテンツ情報」に相当する引用発明の「独立フレーム(Iピクチャ)間の差分」が、「コンテンツ分類」と言えるものであるのか一義的に不明であるため、引用発明は「前記コンテンツ情報は、前記マルチメディアデータに関するコンテンツ分類を含む」ものであるか否か不明な点で補正後の発明と相違する。

なお、引用発明の構成bにおける「独立フレーム(Iピクチャ)」は、上記「(4-2-1)引用文献1」のイ.の段落【0002】に記載されるように、「Intra coded picture:イントラ符号化画像」であり、さらに、画像フレームの符号化はマクロブロック単位で行われることは技術常識であることから、本願発明の「イントラコーディングされたマクロブロックによって符号化」される「Iフレーム」に相当するものである。したがって、引用発明においても、補正後発明の構成D-2に相当する構成を備えている。

(iii)補正後の発明の構成D-1と引用発明の構成cの対比
引用発明の構成cでは、「前記算出された差分」が閾値を越えたとき、「独立フレーム(Iピクチャ)の周期的な頻度を高く」している。ここで、Iピクチャは、技術常識から、動画像信号の各フレームを符号化してI,P,Bピクチャとした際に周期的に設定されるピクチャである。したがって、引用発明の「前記算出された差分」は、Iピクチャを、符号化された動画像信号(I,P,Bピクチャ)内に、閾値を越えるか否かによって頻度を変えて、周期的に現れるように用いられているということができる。
一方、引用発明の構成cの「前記算出された差分」は、引用発明の構成bにおける「独立フレーム(Iピクチャ)間の差分」であるから、上記(ii)において検討したとおり、補正後の発明の「コンテンツ分類」と「特定のコンテンツ情報」である点で共通する。
以上のことより、引用発明の構成cは、補正後の発明の構成D-1と、「前記特定のコンテンツ情報は、Iフレームが前記符号化されたマルチメディアデータ内において周期的に現れるように用いられ」る点で共通しており、上記(ii)と同様に、引用発明の「前記算出された差分」、すなわち「独立フレーム(Iピクチャ)間の差分」が、「コンテンツ分類」と言えるものであるのか一義的に不明な点で相違している。

(iv)補正後の発明の構成D-3、D-4について
引用発明は、補正後の発明の構成D-3、D-4に相当する構成を有していない。

したがって、補正後の発明と引用発明は、以下の点で一致ないし相違している。

<一致点>
マルチメディアデータを処理する方法であって、
マルチメディアデータのコンテンツ情報を入手することと、ここで、前記コンテンツ情報は、前記マルチメディアデータに関する特定のコンテンツ情報を含む、
前記マルチメディアデータを符号化することと、
を備え、前記特定のコンテンツ情報は、Iフレームが前記符号化されたマルチメディアデータ内において周期的に現れるように用いられ、前記Iフレームは、イントラコーディングされたマクロブロックによって符号化される、方法。

<相違点>
(相違点1)「特定のコンテンツ情報」に関し、補正後の発明では、「コンテンツ分類」であるのに対し、引用発明では、「動画像信号の独立フレーム(Iピクチャ)間の差分情報」であって「コンテンツ分類」と言えるものであるのか一義的に不明な点。
(相違点2)「特定のコンテンツ情報」に関し、補正後の発明では、「前記マルチメディアデータの空間的複雑さに関連づけられたテクスチャ値と、前記マルチメディアデータの時間的複雑さに関連づけられた動き値とによって決定され」るものであるのに対し、引用発明では、「前記マルチメディアデータの空間的複雑さに関連づけられたテクスチャ値と、前記マルチメディアデータの時間的複雑さに関連づけられた動き値とによって決定され」るものでない点。
(相違点3)補正後の発明では、「前記テクスチャ値と前記動き値が大きい場合、前記テクスチャ値と前記動き値が小さい場合に比べて、前記イントラコーディングされたマクロブロックは、前記Iフレームに後続するPまたはBフレーム内により多く導入されるように構成される」とされているのに対し、引用発明では、そのような構成を備えていない点。

(4-4)当審の判断
上記各相違点について検討する。
まず、上記(相違点1)について検討する。
引用発明の構成bにおける「動画像信号の独立フレーム(Iピクチャ)間の差分情報」は、後段の構成cにおいて閾値と比較され、閾値より越えた場合に、独立フレーム(Iピクチャ)の周期的な頻度を高くしており、逆に閾値を越えない場合には、独立フレーム(Iピクチャ)の周期的な頻度を閾値を越えた場合に比して低くしておくために用いられている。すなわち、「動画像信号の独立フレーム(Iピクチャ)間の差分情報」は、閾値を境に独立フレーム(Iピクチャ)の周期的な頻度を『分類』するために用いられているといえる。
一方、上記(4-3)の(ii)において検討したとおり、引用発明の「動画像信号の独立フレーム(Iピクチャ)間の差分」は、動画像信号を構成するフレームの画像間から得られるものであり、動画像信号の内容に係る情報であるから、補正後の発明の「コンテンツ情報」に相当するものである。
したがって、引用発明の構成bにおける「動画像信号の独立フレーム(Iピクチャ)間の差分情報」は、分類のために用いられるコンテンツ情報、すなわち「コンテンツ分類」といえるものであるから、相違点1は実質的に相違するものでない。

ついで、上記(相違点2)について検討する。
上記「(4-2-3)引用文献2」に記載したように、引用文献2には、
「動画像の符号化において、2つのフレームのそれぞれの画像の複雑さを表す量を比較して、動画像が時間軸上で変化して離間した時刻に於ける画面のデータが大きく異なったことを検出する技術。」
という技術事項が記載されている。
ここで、動画像のフレームの「画像の複雑さ」は、補正後の発明の「マルチメディアデータの空間的複雑さ」に相当し、「動画像が時間軸上で変化」することは、補正後の発明の「マルチメディアデータの時間的複雑さ」に相当している。そして、「画像の複雑さ」は、どのような質感の画像であるか、すなわちどのようなテクスチャ値であるのかに関連づけられることは自明であり、また、「動画像が時間軸上で変化」することが、画像の動きに関連づけられることも自明である。
このように、引用文献2の技術事項は、画面のデータが大きく異なったことを、マルチメディアデータの空間的複雑さに関連づけられたテクスチャ値と、マルチメディアデータの時間的複雑さに関連づけられた動き値とによって検出する技術に関するものであるといえる。
したがって、この引用文献2記載の、画面のデータが大きく異なったこと検出する技術事項を、引用発明の独立フレーム間の差分を検出する手段として適用して、特定のコンテンツ情報を、「前記マルチメディアデータの空間的複雑さに関連づけられたテクスチャ値と、前記マルチメディアデータの時間的複雑さに関連づけられた動き値とによって決定され」るようにすることは当業者が容易に想到し得ることである。

最後に、上記(相違点3)について検討する。
上記「(4-2-4)引用文献3」に記載したように、引用文献3には、
「動画像符号化において、Bフレームにおけるマクロブロックを符号化するにあたり、フレーム内乱雑量が閾値以下で、予測誤差量が一定値以下の領域では、フレーム間符号化モードを用いて符号化し、フレーム内乱雑量が閾値以上で、予測誤差量が一定値以上の領域では、フレーム間符号化モードとフレーム内符号化モードを、フレーム内乱雑量と予測誤差量に応じて選択的に用いて符号化する技術。」
という技術事項が記載されている。
ここで、「フレーム内乱雑量」は、補正後の発明の「マルチメディアデータの空間的複雑さ」に相当し、「予測誤差量」は、補正後の発明の「マルチメディアデータの時間的複雑さ」に相当している。そして、「フレーム内乱雑量」は、どのような質感の画像であるか、すなわちどのようなテクスチャ値であるのかに関連づけられることは自明であり、また、「予測誤差量」が、画像の動きに関連づけられることも自明である。
そして、「フレーム内乱雑量が閾値以下で、予測誤差量が一定値以下の領域」、すなわち、テクスチャ値と動き値が小さい場合、フレーム間符号化モードを用いて符号化しているのであるから、イントラコーディングされたマクロブロックは存在しない。一方、「フレーム内乱雑量が閾値以上で、予測誤差量が一定値以上の領域」、すなわち、テクスチャ値と動き値が大きい場合、フレーム間符号化モードとフレーム内符号化モードを、フレーム内乱雑量と予測誤差量に応じて選択的に用いて符号化しているのであるから、テクスチャ値と動き値が小さい場合に比べて、イントラコーディングされたマクロブロックは多くなる。
したがって、引用文献3記載の技術事項は、テクスチャ値と動き値が大きい場合、前記テクスチャ値と前記動き値が小さい場合に比べて、イントラコーディングされたマクロブロックは、Bフレーム内(補正後の発明の択一的な「PまたはBフレーム」の一方に相当する。)により多く導入される技術であるといえる。そして、BフレームはIフレームに後続するものである。
このような、引用文献3に記載の技術事項を、動画像の符号化として共通する引用発明と組み合わせることは当業者が容易に実施し得ることである。

そして、補正後の発明に関する作用・効果も、引用発明及び引用文献2の記載事項、引用文献3の記載事項から当業者が予測できる範囲のものである。

以上のとおりであるから、補正後の発明は、引用発明、引用文献2記載の技術事項、および、引用文献3記載の技術事項に基いて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(4-5)まとめ
以上のとおり、本件補正は、仮に、本件補正が特許請求の範囲の減縮を目的とする補正に適合するとしても、補正後の発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する特許法第126条第5項の規定に適合していない。
したがって、本件補正は、特許法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3.本願発明について
1.本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願発明は、上記「第2.補正却下の決定」の「1.本願発明と補正後の発明」の項で「本願発明」として認定したとおりである。

2.引用発明及び周知技術
引用発明の技術事項は、上記「第2.補正却下の決定」の項中の「2.補正の適合性について」の「(4)予備的検討(独立特許要件について)」の「(4-2-1)引用文献1」の項で認定したとおりである。

3.対比・判断
本願発明は補正後の発明から、本件補正に係る構成を省いたものである。
そこで、本願発明と引用発明を対比すれば、「(4)予備的検討(独立特許要件について)」の「(4-3)対比」における一致点と同じ一致点で一致し、相違点1と同じ相違点で相違することになる。そして、相違点1に係る当審の判断は、「(4-4)当審の判断」のとおり実質的に相違しないとするものであるから、本願発明は引用発明である。

4.むすび
以上のとおり、本願発明は引用発明であるから、特許法第29条第1項第3項の規定により特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2016-11-02 
結審通知日 2016-11-08 
審決日 2016-11-22 
出願番号 特願2013-128473(P2013-128473)
審決分類 P 1 8・ 572- Z (H04N)
P 1 8・ 121- Z (H04N)
P 1 8・ 113- Z (H04N)
P 1 8・ 575- Z (H04N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 坂東 大五郎  
特許庁審判長 渡邊 聡
特許庁審判官 清水 正一
藤井 浩
発明の名称 時間領域境界とのデータアライメントに関する方法及び装置  
代理人 井関 守三  
代理人 奥村 元宏  
代理人 福原 淑弘  
代理人 蔵田 昌俊  

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