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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B65H
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B65H
管理番号 1326781
審判番号 不服2016-2958  
総通号数 209 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-05-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-02-29 
確定日 2017-04-05 
事件の表示 特願2012- 7544「重送の検出および制御システム」拒絶査定不服審判事件〔平成24年 8月23日出願公開、特開2012-158471〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、本願は、平成24年1月17日(パリ条約による優先権主張2011年1月31日、米国)の出願であって、平成27年1月15日付け、同年5月15日付け、及び同年8月27日付けで手続補正が提出され、同年10月27日付けで前記同年8月27日付け手続補正が却下されると同時に拒絶査定がなされ、これに対し、平成28年2月29日付けで拒絶査定に対する審判請求がなされると同時に手続補正書が提出されて特許請求の範囲を補正する手続補正がなされたものである。


第2 平成28年2月29日付け手続補正書による補正(以下「本件補正」という。)についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]
本件補正を却下する。

[理由]
1 補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲について、下記(1)に示す本件補正前の(すなわち、平成27年5月15日付けで提出された手続補正書により補正された)特許請求の範囲の請求項1を、下記(2)に示す特許請求の範囲の請求項1へと補正することを含むものである。

(1)本件補正前の特許請求の範囲の請求項1
「重送検出および分離システムを含みかつ複写シートに画像を印刷するように適合されたゼログラフィック装置であって、
前記複写シートに画像を処理および記録するための画像処理装置と、
前記画像を現像するための画像現像装置と、
前記複写シートに前記現像された画像を転写するための転写装置と、
前記複写シートに前記転写された画像を定着させるための定着器と、
前記重送検出および分離システムを含む複写シート送り装置であって、前記重送検出および分離システムは、前記複写シートの存在を検出するための紙検出センサ、前記複写シートを複写シート送り方向に動かすための少なくとも3つの駆動ニップ、前記少なくとも3つの駆動ニップのうちの第1駆動ニップの下流に位置付けられかつ前記第1駆動ニップの近くから外れた軸の回りに旋回しかつ前記軸に支持されるゲート、及び前記少なくとも3つの駆動ニップのうちの第2駆動ニップの下流に位置付けられた重送センサを含み、前記重送センサは、前記少なくとも3つの駆動ニップの前記第2駆動ニップ内における複数の複写シートの存在を検出するように適合され、前記少なくとも3つの駆動ニップの前記第2駆動ニップは、前記複写シート送り方向とは反対方向に前記複数の複写シートの一番上の複写シートを動かす反転可能圧力ロールと前記複写シート送り方向に前記複数の複写シートの一番下の複写シートを動かすように適合された駆動ロールとを含む、前記複写シート送り装置と、
を含み、
前記少なくとも3つの駆動ニップの前記第2駆動ニップ内における前記複数の複写シートの存在を検出すると、前記駆動ロールは前記複数の複写シートの一番下の複写シートを動かし続けかつ前記複写シート送り方向とは反対方向に前記複数の複写シートの前記一番上の複写シートを動かすために前記反転可能圧力ロールが作動される、
ゼログラフィック装置。」

(2)本件補正後の特許請求の範囲の請求項1
「重送検出および分離システムを含みかつジョブに従って複写シートに画像を印刷するように適合されたゼログラフィック装置であって、
前記複写シートに画像を処理および記録するための画像処理装置と、
前記画像を現像するための画像現像装置と、
前記複写シートに前記現像された画像を転写するための転写装置と、
前記複写シートに前記転写された画像を定着させるための定着器と、
前記重送検出および分離システムを含む複写シート送り装置であって、前記重送検出および分離システムは、前記複写シートの存在を検出するための紙検出センサ、前記複写シートを複写シート送り方向に動かすための少なくとも3つの駆動ニップ、前記少なくとも3つの駆動ニップのうちの第1駆動ニップの下流に位置付けられかつ前記第1駆動ニップの近くから外れた軸の回りに旋回しかつ前記軸に支持されるゲート、及び前記少なくとも3つの駆動ニップのうちの第2駆動ニップの下流に位置付けられた重送センサを含み、前記重送センサは、前記少なくとも3つの駆動ニップの前記第2駆動ニップ内における複数の複写シートの存在を検出するように適合され、前記少なくとも3つの駆動ニップの前記第2駆動ニップは、前記複写シート送り方向とは反対方向に前記複数の複写シートの一番上の複写シートを動かす反転可能圧力ロールと前記複写シート送り方向に前記複数の複写シートの一番下の複写シートを動かすように適合された駆動ロールとを含む、前記複写シート送り装置と、
を含み、
前記少なくとも3つの駆動ニップの前記第2駆動ニップ内における前記複数の複写シートの存在を検出すると、前記ジョブが終了するように、前記駆動ロールは前記複数の複写シートの一番下の複写シートを動かし続けかつ前記複写シート送り方向とは反対方向に前記複数の複写シートの前記一番上の複写シートを動かすために前記反転可能圧力ロールが作動される、
ゼログラフィック装置。」(下線は審決で付した。以下同じ。)

2 補正目的について
本件補正により、本件補正前の請求項1の「複写シートに画像を印刷する」ことに関して、「ジョブに従って複写シートに画像を印刷する」と補正する事項(以下「補正事項1」という。)、及び「前記駆動ロールは前記複数の複写シートの一番下の複写シートを動かし続けかつ前記複写シート送り方向とは反対方向に前記複数の複写シートの前記一番上の複写シートを動かすために前記反転可能圧力ロールが作動される」ことに関して、「前記ジョブが終了するように、前記駆動ロールは前記複数の複写シートの一番下の複写シートを動かし続けかつ前記複写シート送り方向とは反対方向に前記複数の複写シートの前記一番上の複写シートを動かすために前記反転可能圧力ロールが作動される」と補正する事項(以下「補正事項2」という。)が追加されたものである。
上記補正事項1は、本件補正前の請求項1の「ゼログラフィック装置」における「複写シートに画像を印刷する」ことに関して、「ジョブに従って複写シートに画像を印刷する」と具体的に特定したものであり、また、上記補正事項2は、本件補正前の請求項1の「ゼログラフィック装置」における「前記駆動ロールは前記複数の複写シートの一番下の複写シートを動かし続けかつ前記複写シート送り方向とは反対方向に前記複数の複写シートの前記一番上の複写シートを動かすために前記反転可能圧力ロールが作動される」ことに関して、「前記ジョブが終了するように、前記駆動ロールは前記複数の複写シートの一番下の複写シートを動かし続けかつ前記複写シート送り方向とは反対方向に前記複数の複写シートの前記一番上の複写シートを動かすために前記反転可能圧力ロールが作動される」と具体的に特定したものであるから、上記補正事項1及び2は、特許法第17条の2第5項第2号に係る「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。
また、上記補正事項1及び2は、特許法第17条の2第3項及び第4項に違反するところはない。

3 独立特許要件について
そこで,本件補正後の前記請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について、以下に検討する。

(1)本願補正発明
本願補正発明は、平成28年2月29日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、上記「1 (2)本件補正後の特許請求の範囲の請求項1」に記載したとおりのものと認める。

(2)引用刊行物
ア 本願の優先日前の平成12年4月25日に頒布された特開2000-118796号公報(以下「刊行物1」という。)には、以下の記載がある。
(ア)「【請求項6】所定の位置に検出孔が設けられ、積載された記録シートを給送する給送手段と、前記給送手段により給送された記録シートに画像を形成する画像形成手段と、前記給送手段により給送されている前記記録シートの検知孔の有無を検知して記録シートの重送を検出する記録シート重送検知手段とを有することを特徴とする画像記録装置。」
(イ)「【請求項9】前記画像形成手段は、前記給送手段により給送された記録シートを固定的に保持する実質的に円柱面形状の保持面を有する円筒と、前記円柱面の円柱軸を実質的に中心にして前記円筒を回す円筒回動手段と、インク滴を吐出する複数のノズルが並設されているオンデマンド方式のプリントヘッドと、を有し、前記プリントヘッドからインク滴を吐出させるとともに、前記円筒回動手段により前記円筒を回すことによって、前記円筒に固定的に保持された記録シートの画像記録面に画像を記録することを特徴とする請求項6乃至請求項8のいずれかに記載の画像記録装置。」
(ウ)「【請求項12】前記給送手段が、記録シートの給送路を排出路側へ切換可能な経路切換手段と、重なっている記録シートを前記排出路に沿って排出する手段とを有することを特徴とする請求項9記載の画像記録装置。」
(エ)「【0009】
【発明が解決しようとする課題】このように、カラープルーフを作成する画像記録装置として、円筒の外周面に記録シートを固定的に保持し、この記録シートにインク液を吐出する複数のノズルが配置されたオンデマンド方式のプリントヘッドにより画像を形成するものがあり、円筒に保持した記録シートを回転させながら、しかもプリントヘッドを円筒の円柱軸方向へ移動しながら画像を記録する。このカラープルーフの作成に用いられる記録シートには種々の厚さが異なるものがあり、しかも円筒に保持された記録シートに対してプリントヘッドが近接しているために、記録シートが2枚以上重なって給送されると(以下、重送と呼ぶ)、円筒に正しく保持されず、画像を記録できなかったり、プリントヘッドが記録シートに接触して傷付く等の問題がある。」
(オ)「【0076】この実施形態のカラープルーフ作成装置は、色分解網画像データに基づいて、記録シートの画像記録面にインク滴を吐出してカラープルーフ画像を記録できる画像記録装置である。以下、この実施形態のカラープルーフ作成装置について、その一部を破断した概略斜視図である図1と、その内部構造の概略正面図である図2と、プリントヘッドをその吐出方向から見た図である図3とに基づいて、説明する。

【0079】このカラープルーフ作成装置は、シートカセット500から記録シート1を1枚ずつ取り出し、円筒100に供給し、円筒100に巻き付け、円筒100により保持された記録シート1に、プリントヘッド200がインク滴を吐出することにより画像を記録し、画像を記録された記録シート1が排出トレイ310に排出するものである。そして、このカラープルーフ作成装置は、円筒100の保持面上に記録シート1を保持させながら、主走として円筒100を一定速度で回転させつつ、色分解網画像データを連続階調化変換して得られた連続階調の画像データに基づいてプリントヘッド200からインク滴を吐出させることにより、円筒100の保持面に固定的に保持された記録シート1の画像記録面に、色分解網画像データに対応するカラープルーフ画像を記録する。
【0080】また、このカラープルーフ作成装置は、円筒100及び排出トレイ310の下方に配置されたシートカセット500から記録シート1を円筒100に供給する。このカラープルーフ作成装置には、シートカセット500の最上方に堆積された記録シート1枚のみを摩擦力の差によりさばきながら給送する給送ローラ410と、記録シート1を挟んで搬送する第1搬送ローラ対420と、記録シート1の裏面を案内する第1供給ガイド430と、記録シート1を挟んで搬送する第2搬送ローラ対440と、記録シート1の裏面を案内する第2供給ガイド450と、記録シート1を円筒100に押圧する押圧ローラ460とが設けられており、シートカセット500から円筒100まで、記録シート1を上下反転させながら搬送して供給する。」
(カ)「【0093】このカラープルーフ作成装置は、給送路Aに記録シート1の所定の位置に形成された検知孔1aの有無を検知して記録シート1の重送を検出する記録シート重送検知センサSを有する。記録シート1の検知孔1aは、図4(a),(b)の実施の形態では、同じ位置に形成され、図4(c),(d)の実施の形態では異なる位置に形成されている。図4(a),(b)の実施の形態では、2枚重なって少しでも位置がずれて給送されると、検知孔1aが塞がれる。また、図4(c),(d)の実施の形態では、2枚全く同じ位置で重なっても検知孔1aが塞がれる。」
(キ)「【0097】経路切換手段C2は、切換レバー50で構成され、記録シート1の給送時には第1供給ガイド430から退去して記録シート1を円筒100へ給送可能にしているが、制御手段Bからの指令に基づき作動して第1供給ガイド430側に揺動して記録シート1の給送路Aを排出路側へ切り換えて記録シート1を排出トレイ51に排出する。
【0098】この記録シート1の供給を図5のフローチャートに基づいて説明する。ステップaでシートカセット500の複数枚の記録シート1が給送ローラ410により最上より1枚ずつ取り出され、給送路Aを給送して円筒100に供給され、円筒100に巻き付けられる。この給送路Aを給送する記録シート1は、ステップbで記録シート重送検知センサSが検知孔1aの有無を検知し、検知孔1aが有ることを検知すると、記録シート1が1枚で重なっていないと判断し、円筒100に給送して巻付けて画像を記録し(ステップc)、画像が記録された記録シート1を排出トレイ310に排出する(ステップd)。
【0099】ステップbで記録シート重送検知センサSが検知孔1aが無いと検知した場合には、記録シート1が重なっていると判断し、制御手段Bからの指令に基づき円筒100や第2搬送ローラ対440等を記録シート1の給送時とは逆方向に作動して重なっている記録シート1を戻し排出トレイ51に排出する(ステップe)。」
(ク)上記(ア)及び(イ)より、画像形成手段は、「給送手段により給送された記録シートに画像を形成」し、及び「給送手段により給送された記録シートを固定的に保持する実質的に円柱面形状の保持面を有する円筒と、前記円柱面の円柱軸を実質的に中心にして前記円筒を回す円筒回動手段と、インク滴を吐出する複数のノズルが並設されているオンデマンド方式のプリントヘッドと、を有し、前記プリントヘッドからインク滴を吐出させるとともに、前記円筒回動手段により前記円筒を回すことによって、前記円筒に固定的に保持された記録シートの画像記録面に画像を記録する」ものである。
(ケ)上記(キ)及び【図2】より、「第1搬送ローラ対の下流に位置づけられかつ、第1搬送ローラ対の近くから外れた軸の回りに旋回しかつ軸に支持される切換レバーで構成される経路切換手段」が看取できる。
(コ)上記(ア)、(ウ),(オ)及び(ケ)より、給送手段は、「所定の位置に検出孔が設けられ」、「シートカセットの最上方に堆積された記録シート1枚のみを摩擦力の差によりさばきながら給送する給送ローラと、記録シートを挟んで搬送する第1搬送ローラ対と、記録シートの裏面を案内する第1供給ガイドと、記録シートを挟んで搬送する第2搬送ローラ対と、記録シートの裏面を案内する第2供給ガイドと、記録シートを円筒に押圧する押圧ローラとが設けられており、シートカセットから円筒まで、記録シートを上下反転させながら搬送して供給」し、及び「第1搬送ローラ対の下流に位置づけられかつ、第1搬送ローラ対の近くから外れた軸の回りに旋回しかつ軸に支持される切換レバーで構成され、記録シートの給送路を排出路側へ切換可能な経路切換手段と、重なっている記録シートを前記排出路に沿って排出する手段とを有する」ものである。
(サ)上記(キ)及び【図2】より、「第2搬送ローラ対の下流に位置づけられた記録シート重送検知手段」が看取できる。
(シ)上記(オ)より、「画像記録装置は色分解網画像データに基づいて記録を行う」ものであり、上記(キ)及び【図5】より、フローチャートでは、「スタート」の後、重送記録シートをトレイに排出、もしくは、画像が記録された記録シートをトレイに排出すると「エンド」となることから、画像記録装置は、「ジョブに従って画像を印刷する装置であって、記録シートの画像記録面に画像を記録し、ジョブを終了し、もしくは、記録シートが重なっていると判断し、制御手段からの指令に基づき円筒や第2搬送ローラ対等を記録シートの給送時とは逆方向に作動して重なっている記録シートを戻し排出トレイに排出して、ジョブを終了するもの」といえる。

そうすると、上記(ア)乃至(シ)の記載事項から、刊行物1には、次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されているものと認められる。
「所定の位置に検出孔が設けられ、シートカセットの最上方に堆積された記録シート1枚のみを摩擦力の差によりさばきながら給送する給送ローラと、記録シートを挟んで搬送する第1搬送ローラ対と、記録シートの裏面を案内する第1供給ガイドと、記録シートを挟んで搬送する第2搬送ローラ対と、記録シートの裏面を案内する第2供給ガイドと、記録シートを円筒に押圧する押圧ローラとが設けられており、シートカセットから円筒まで、記録シートを上下反転させながら搬送して供給し、及び第1搬送ローラ対の下流に位置づけられかつ、第1搬送ローラ対の近くから外れた軸の回りに旋回しかつ軸に支持される切換レバーで構成され、記録シートの給送路を排出路側へ切換可能な経路切換手段と、重なっている記録シートを前記排出路に沿って排出する手段とを有する給送手段と、
前記給送手段により給送された記録シートに画像を形成し、及び前記給送手段により給送された記録シートを固定的に保持する実質的に円柱面形状の保持面を有する円筒と、前記円柱面の円柱軸を実質的に中心にして前記円筒を回す円筒回動手段と、インク滴を吐出する複数のノズルが並設されているオンデマンド方式のプリントヘッドと、を有し、前記プリントヘッドからインク滴を吐出させるとともに、前記円筒回動手段により前記円筒を回すことによって、前記円筒に固定的に保持された記録シートの画像記録面に画像を記録する画像形成手段と、
第2搬送ローラ対の下流に位置づけられ、前記給送手段により給送されている前記記録シートの検知孔の有無を検知して記録シートの重送を検出する記録シート重送検知手段とを有し、
ジョブに従って画像を印刷する装置であって、記録シートの画像記録面に画像を記録し、ジョブを終了し、もしくは、記録シートが重なっていると判断し、制御手段からの指令に基づき円筒や第2搬送ローラ対等を記録シートの給送時とは逆方向に作動して重なっている記録シートを戻し排出トレイに排出して、ジョブを終了するものである、画像記録装置。」

イ 本願の優先日前の平成19年3月29日に頒布された特開2007-76815号公報(以下「刊行物2」という。)には、以下の記載がある。
(ア)「【請求項1】
記録媒体を複数枚積載可能な記録媒体積載部と、前記記録媒体積載部から供給される記録媒体を画像形成部に搬送する記録媒体搬送手段とを備え、前記記録媒体積載部から記録媒体が重送されたか否かを検出する重送検出手段と、重送された記録媒体を吸引する記録媒体吸引手段とを備えて、前記記録媒体積載部から記録媒体を自動的に供給可能な画像形成装置において、
前記記録媒体吸引手段は、前記重送検出手段によって重送された記録媒体が検出された時に、重送された記録媒体を吸引して該記録媒体の搬送を停止することを特徴とする画像形成装置。」
(イ)「【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、重送した記録紙を検出して記録紙の搬送を停止させると、搬送を停止された記録紙が装置の内部に滞留することでジャムとなり利用者に無駄な作業を強いるばかりでなく、記録紙の停止場所によっては、感光体などの構成要素を破損させてしまう恐れがある。
【0004】
また、重送を検知した場合にエアーナイフを用いて記録紙を分離させる方式では、重送した記録紙は搬送ローラで保持されていない場合、エアーが吹き付けられることで、記録紙の位置が不安定になるばかりでなく記録紙に斜行が発生し、斜行が大きくなると搬送路内で分離した記録紙にジャムが発生するなどの問題点が生じる。
【0005】
本発明は、上記従来の問題点を鑑みてなされたものであって、記録媒体が重送されたことに起因して、供給された記録媒体が装置の内部に滞留することによるジャムを無くし、安定した記録媒体の供給を実現できる画像形成装置を提供することを目的とするものである。」
(ウ)「【0025】
画像形成装置1Aは、図1,2に示すように、主に、露光ユニット1、現像器2、感光体ドラム3、帯電器4、除電装置41、クリーナユニット5、定着ユニット6、用紙搬送路7、給紙トレイ8、排紙トレイ9及び転写機構(転写手段)10等より構成される装置本体1A1と、自動原稿処理装置1A2とにより構成されている。」

そうすると、上記(ア)乃至(ウ)の記載事項から、刊行物2には、次の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されているものと認められる。
「露光ユニット、現像器、感光体ドラム、帯電器、除電装置、クリーナユニット、定着ユニット、用紙搬送路、給紙トレイ、排紙トレイ及び転写機構(転写手段)等より構成される装置本体と、
記録媒体を複数枚積載可能な記録媒体積載部と、前記記録媒体積載部から供給される記録媒体を画像形成部に搬送する記録媒体搬送手段とを備え、前記記録媒体積載部から記録媒体が重送されたか否かを検出する重送検出手段と、重送された記録媒体を吸引する記録媒体吸引手段とを備えて、前記記録媒体積載部から記録媒体を自動的に供給可能な画像形成装置において、
前記記録媒体吸引手段は、前記重送検出手段によって重送された記録媒体が検出された時に、重送された記録媒体を吸引して該記録媒体の搬送を停止することを特徴とする画像形成装置。」

ウ 本願の優先日前の平成16年10月14日に頒布された特開2004-284796号公報(以下「刊行物3」という。)には、以下の記載がある。
(ア)「【0006】
本発明は、前述の事情に鑑み、画像形成装置において下記(O01)の記載内容を課題とする。
(O01)分離部材を回転させる分離部材駆動モータの駆動電流の簡単な制御により、シートの異常搬送を防止すること。
(O02)回転する給紙部材および分離部材の圧接する部分であるニップ部に搬送されたシートの重送状態を簡単な方法で判別できるようにすること。」
(イ)「【0034】
図2は前記実施の形態1の給紙部材の説明図である。
図2において、給紙部材Rsは給紙ロールRs1および分離ロールRs2を有している。前記給紙ロールRs1および分離ロールRs2の圧接する部分によりニップ部Nが形成される。
給紙ロールRs1の軸1には、回動レバー2が回動可能に支持されており、回動レバー2の左端部には取出ロールRpが回転可能に支持されている。前記回動レバー2は引張バネ3により常時下方に引っ張られており、前記軸1周りに反時計方向の回転力を受けている。前記回動レバー2の下面には偏心カム4の上面に当接しており、前記偏心カム4を回転させることにより取出ロールRpのシート押圧力(給紙トレイTR1に収容されたシートS上面を押圧する力)を調節可能である。なお、前記偏心カム4は偏心カムを回転させ押圧力調整モータM3(図3参照)により回転される。
【0035】
分離ロールRS2の軸は回動アーム6に回転可能に支持されており、回動アーム6は軸6a周りに回動可能であり、回動アーム6の右端部は引張バネ7により下方に引っ張られている。引張バネ7の下端は上下に移動可能なラック8の上端に接続されている。ラック8は、ニップ圧調節モータM1により回転駆動されるピニオン10の回転により、スライダ9に沿って上下にスライド移動可能である。前記ニップ圧調整モータM1はコントローラCにより制御されるニップ圧調節モータ駆動回路D1(図3参照)により駆動される。
前記ピニオン10の位置を調節することによりニップ部の圧力(ニップ圧)を調節可能である。
【0036】
前記ニップ部Nの下流側にはシートセンサSN1が配置されており、シートセンサSN1がシート先端を検出したときに、前記ニップ部Nをシートが搬送されていることを検出することができる。
また、前記分離ロールRs2の回転はエンコーダにより構成された分離ロール回転速度センサSN2により検出される。前記分離ロール回転速度センサSN2は、前記分離ロール駆動電流を増加させたときに前記分離ロールが連れ回り方向の回転から逆回転を開始したことを検出するために使用するセンサである。このセンサとして、本実施の形態1では分離ロールRs2の回転軸に装着したエンコーダを使用しているが、そのような構成のセンサ以外に、分離ロールRs2の回転方向を検出可能な種々のセンサを使用可能である。例えば、前記分離ロールが連れ回り方向の回転から逆回転を開始したことを検出するセンサとしては、ニップNを搬送されるシートのシート下面の移動速度を検出するセンサを使用することも可能である。」
(ウ)「【0044】
(実施の形態1のタイムチャートの説明)
図4は後述の図5に示す分離ロール駆動電流制御処理のフローチャートを実行した場合に、ニップ部に2枚のシートが重送された場合のタイムチャートの説明図で、図4Aは2枚のシートの先端がニップ部に搬送されたときの状態を示す図、図4Bは搬送されたシートがシートセンサSN1により検出された状態を示す図、図4Cは重送されたシートの中の分離ロール側のシートが分離ロールの逆回転により逆送されている状態を示す図、図4Dはシートの逆送が終了して分離ロールが1枚のシートを挟んで給紙ロールに押圧される状態を示す図、図4Eは前記図4A?図4Dの動作を行うときの分離ロール駆動電流Iのタイムチャートである。
図4Aにおいて、給紙開始時に給紙トレイTR1から給紙されたシートは順次図4A、図4Bの位置に搬送されて、図4Bの位置に搬送されたときにシートセンサSN1により検出される。給紙されたシートが給紙開始から図4Bの位置に搬送されるまでの間は分離ロール駆動電流IはI=Ia(図4E参照)に保持される。前記Iaは分離ロール初期駆動電流値である。
【0045】
図4Bの位置に搬送されたシートがシートセンサSN1に検出されると、分離ロールRs2をシート搬送方向に対して逆回転させる分離ロール駆動電流Iは、I=IaからI=Ibに向かって徐々に増加される。Ibは駆動電流上限値である。
ニップNに搬送されたシートが2枚の重送シートである場合、Iが増加すると、重送されたシートの給紙ロールRs1側のシート(1枚目シート)はシート搬送方向下流側に搬送されるが、分離ロール側のシート(2枚目シート)は逆送し始める。この時の分離ロール駆動電流Iの値(分離ロール逆回転開始電流値)Icを検出し、その後の分離ロール駆動電流IはI=Icに保持される。この状態では前記分離ロール側のシート(2枚目シート)は図4Cに示すように逆送されて、ニップ部Nの上流側に押し戻される。前記分離ロール側のシートがニップ部Nの上流側に押し戻された状態が図4Dに示されている。図4Dの状態になって、分離ロールRs2が1枚のシートを挟んで給紙ロールRs1に押圧される状態になると、分離ロールRs2が、給紙ロールRs1により搬送されるシートに連れ回りするようになる。」
(エ)「【0051】
ST11において、シート後端がニップ部を通過したか否かを判断する。ノー(N)の場合は前記ST11を繰り返し、イエス(Y)の場合はST12に移る。
ST12において、次の処理(1)、(2)を行う。
(1)給紙モータの回転を停止して給紙ロールRs1の回転を停止させる。
(2)分離ロールの回転を停止して分離ロールRs2の回転を停止させる。
次に、ST13に移る。
ST13において、ジョブが終了したか否かを判断する。ノー(N)の場合は前記ST2に戻り、イエス(Y)の場合は前記ST1に戻る。」
(オ)上記(ウ)【0044】及び【0045】並びに【図4】より、搬送されたシートがシートセンサにより2枚の重送シートであることが検出された場合、重送されたシートの中の分離ロール側(下側)のシートが分離ロールの逆回転により逆送され、ニップ部の上流側に押し戻され、重送されたシートの給紙ロール側(上側)のシートはシート搬送方向下流側に搬送され、分離ロールが1枚のシートを挟んで給紙ロールに押圧される状態になると、分離ロールが、給紙ロールにより搬送されるシートに連れ回りするようになるといえる。

そうすると、上記(ア)乃至(オ)の記載事項から、刊行物3には、次の発明(以下「引用発明3」という。)が記載されているものと認められる。
「給紙部材は給紙ロールおよび分離ロールを有し、前記給紙ロールおよび分離ロールの圧接する部分によりニップ部が形成され、
前記ニップ部の下流側にはシートセンサが配置されており、シートセンサがシート先端を検出したときに、前記ニップ部をシートが搬送されていることを検出することができ、
搬送されたシートがシートセンサにより2枚の重送シートであることが検出された場合、重送されたシートの中の分離ロール側(下側)のシートが分離ロールの逆回転により逆送され、ニップ部の上流側に押し戻され、重送されたシートの給紙ロール側(上側)のシートはシート搬送方向下流側に搬送され、分離ロールが1枚のシートを挟んで給紙ロールに押圧される状態になると、分離ロールが、給紙ロールにより搬送されるシートに連れ回りするようになる、給紙部材。」

(3)対比
そこで、本願補正発明と引用発明1とを対比すると、
ア 後者の「記録シート」と、前者の「複写シート」とは、「シート」と概念で共通する。
イ 後者の「記録シート重送検知手段」は、前者の「重送センサ」に相当し、重送検出を含むといえる。
ウ 後者の「画像記録装置」は、「ジョブに従って画像を印刷する装置であって、記録シートの画像記録面に画像を記録」するものであるから、「ジョブに従ってシートに画像を印刷するように適合された装置であって、シートに画像を処理および記録するための画像処理装置を含む」といえる。
エ 後者の給送手段は、シートカセットから下流方向に、「記録シートを挟んで搬送する第1搬送ローラ対」、「経路切換手段」、「記録シートを挟んで搬送する第2搬送ローラ対」、及び「記録シートを円筒に押圧する押圧ローラ」を有するものであるから、その機能及び配置位置から、後者の「記録シートを挟んで搬送する第1搬送ローラ対」、「経路切換手段」、及び「記録シートを挟んで搬送する第2搬送ローラ対」は、それぞれ、前者の「第1駆動ニップ」、「第1駆動ニップの下流に位置付けられかつ第1駆動ニップの近くから外れた軸の回りに旋回しかつ前記軸に支持されるゲート」、及び「第2駆動ニップ」に相当する。そして、後者の「記録シートを円筒に押圧する押圧ローラ」から、「円筒」と「押圧ローラ」とが「駆動ニップ」を形成することは明らかであるから、後者の「記録シートを挟んで搬送する第1搬送ローラ対」、「記録シートを挟んで搬送する第2搬送ローラ対」、及び「記録シートを円筒に押圧する押圧ローラ」から、「3つの駆動ニップ」を有するといえる。
オ 後者の「経路切換手段」は、第1搬送ローラ対の下流に位置づけられかつ、第1搬送ローラ対の近くから外れた軸の回りに旋回しかつ軸に支持される切換レバーで構成され、記録シートの給送路を排出路側へ切換可能なものであるから、前者の「ゲート」とは、「第1駆動ニップの下流に位置付けられかつ前記第1駆動ニップの近くから外れた軸の回りに旋回しかつ前記軸に支持される」ものである点で共通する。
カ 後者の「記録シート重送検知手段」は、「第2搬送ローラ対の下流に位置づけられ、前記給送手段により給送されている前記記録シートの検知孔の有無を検知して記録シートの重送を検出する」ものであるから、前者の「第2駆動ニップの下流に位置付けられた重送センサ」に相当する。
キ 後者の「給紙手段」は、「記録シートを挟んで搬送する第1搬送ローラ対」、「記録シートを挟んで搬送する第2搬送ローラ対」、「記録シートを円筒に押圧する押圧ローラ」、及び「経路切換手段」を有するものであるから、後者の「給紙手段」及び「記録シート重送検知手段」と、前者の「複写シート送り装置」とは、「重送検出を含むシート送り装置であって、前記シートをシート送り方向に動かすための少なくとも3つの駆動ニップ、前記少なくとも3つの駆動ニップのうちの第1駆動ニップの下流に位置付けられかつ前記第1駆動ニップの近くから外れた軸の回りに旋回しかつ前記軸に支持されるゲート、及び前記少なくとも3つの駆動ニップのうちの第2駆動ニップの下流に位置付けられた重送センサを含む、シート送り装置」である点で共通する。
ク 後者は、記録シートが重なっていると判断し、制御手段からの指令に基づき円筒や第2搬送ローラ対等を記録シートの給送時とは逆方向に作動して重なっている記録シートを戻し排出トレイに排出して、ジョブを終了するものであるから、「第2駆動ニップ内における前記複数の複写シートの存在を検出すると、ジョブが終了するようにシート送り装置が作動される」といえる。

したがって、両者は、
「重送検出を含みかつジョブに従ってシートに画像を印刷するように適合された装置であって、
前記シートに画像を処理および記録するための画像処理装置と、
前記重送検出を含むシート送り装置であって、前記シートをシート送り方向に動かすための少なくとも3つの駆動ニップ、前記少なくとも3つの駆動ニップのうちの第1駆動ニップの下流に位置付けられかつ前記第1駆動ニップの近くから外れた軸の回りに旋回しかつ前記軸に支持されるゲート、及び前記少なくとも3つの駆動ニップのうちの第2駆動ニップの下流に位置付けられた重送センサを含み、前記重送センサは、前記少なくとも3つの駆動ニップの前記第2駆動ニップ内における複数のシートの存在を検出するように適合される、前記シート送り装置と、
を含み、
前記少なくとも3つの駆動ニップの前記第2駆動ニップ内における前記複数のシートの存在を検出すると、前記ジョブが終了するように、作動される、
装置。」
の点で一致し、以下の点で相違する。

[相違点1]
本願補正発明は、ジョブに従って「複写」シートに画像を印刷するように適合された「ゼログラフィック」装置であって、「前記画像を現像するための画像現像装置と、前記複写シートに前記現像された画像を転写するための転写装置と、前記複写シートに前記転写された画像を定着させるための定着器」と、「複写」シート送り装置を含むものであるのに対し、引用発明1では、その点が明らかでない点。

[相違点2]
本願補正発明は、「複写シートの存在を検出するための紙検出センサ」を有するのに対し、引用発明1は、その点明らかでない点。

[相違点3]
本願補正発明は、「分離システム」を含むゼログラフィック装置であって、「分離システム」を含む複写シート送り装置であって、少なくとも3つの駆動ニップの「第2駆動ニップは、複写シート送り方向とは反対方向に複数の複写シートの一番上の複写シートを動かす反転可能圧力ロールと複写シート送り方向に複数の複写シートの一番下の複写シートを動かすように適合された駆動ロールとを含む」、複写シート送り装置と、を含み、少なくとも3つの駆動ニップの第2駆動ニップ内における複数の複写シートの存在を検出すると、ジョブが終了するように、「駆動ロールは複数の複写シートの一番下の複写シートを動かし続けかつ複写シート送り方向とは反対方向に複数の複写シートの一番上の複写シートを動かすために反転可能圧力ロールが作動される」のに対し、引用発明1では、記録シートが重なっていると判断し、制御手段からの指令に基づき円筒や第2搬送ローラ対等を記録シートの給送時とは逆方向に作動して重なっている記録シートを戻し排出トレイに排出するものである点。

(4)判断
上記相違点1乃至相違点3について以下検討する。
ア [相違点1]について
引用発明2の「現像器」、「転写機構(転写手段)」、「定着ユニット」、及び「記録媒体搬送手段」は、それぞれ、本願補正発明の「画像を現像するための画像現像装置」、「複写シートに現像された画像を転写するための転写装置」、「複写シートに転写された画像を定着させるための定着器」、「複写シート送り装置」に相当する。
そして、引用発明2の「画像形成装置」は、露光ユニット、現像器、感光体ドラム、帯電器、除電装置、クリーナユニット、定着ユニット、用紙搬送路、給紙トレイ、排紙トレイ及び転写機構(転写手段)等より構成されるものであるから、ゼログラフィック装置といえ、引用発明2の[記録媒体」は、「複写シート」といえる。
そうすると、相違点1に係る本願補正発明の発明特定事項は、引用発明2に記載されている。
そして、引用発明1も引用発明2も、画像記録装置である点で技術分野が共通する。
また、引用発明1も引用発明2も、記録シートの重送を検知する画像記録装置を提供するという点で課題が共通する。
そうすると、引用発明1において、引用発明2を適用することは、当業者が容易に想到し得るものである。
したがって、引用発明1において、引用発明2を適用することにより、上記相違点1に係る本願発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得るものである。

イ [相違点2]について
複写機のシート搬送装置において、複写シートの存在を検出するための紙検出センサを設けることは、周知の技術手段である(例えば、特開2008-56487号公報(【0001】、【0101】?【0103】等参照。)、特開昭63-97546号公報(1頁右欄8行、4頁右下欄最下行?5頁左上欄9行等参照。)。以下「周知技術」という。)。
そして、引用発明1も上記周知技術も、複写機を含めた画像記録装置である点で技術分野が共通する。
また、一般に画像記録装置に関連する技術分野において、シートを確実に搬送することは、周知の課題であるから、引用発明1及び上記周知技術においても、内在する自明の課題である。
してみれば、引用発明1と上記周知技術とは、その技術分野及びシートを確実に搬送するという課題の点で共通するものであるから、引用発明1において、上記周知技術を適用することは、当業者が容易に想到し得るものである。
したがって、引用発明1において、上記周知技術を適用することにより、上記相違点2に係る本願補正発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得るものである。

ウ [相違点3]について
引用発明3の「給紙ロール」と「分離ロール」とは、圧接する部分によりニップ部が形成され、「分離ロール」は逆回転するものであるから、それぞれ、本願補正発明の「複写シート送り方向に複数の複写シートの一番外側の複写シートを動かすように適合された駆動ロール」、「複写シート送り方向とは反対方向に複数の複写シートの前記一番外側と反対側の一番外側の複写シートを動かす反転可能圧力ロール」に相当する。
また、引用発明3の給紙ロールおよび分離ロールの圧接する部分により形成される「ニップ部」は、本願補正発明の「第2駆動ニップ」に相当する。
また、引用発明3の「給紙部材」は、搬送されたシートがシートセンサにより2枚の重送シートであることが検出された場合、重送されたシートの中の分離ロール側のシートが分離ロールの逆回転により逆送され、ニップ部の上流側に押し戻され、重送されたシートの給紙ロール側のシートはシート搬送方向下流側に搬送され、分離ロールが1枚のシートを挟んで給紙ロールに押圧される状態になると、分離ロールが、給紙ロールにより搬送されるシートに連れ回りするようになるものであるから、分離システムを含み、第2駆動ニップ内における複数の複写シートの存在を検出すると、駆動ロールは複数の複写シートの一番外側の複写シートを動かし続けかつ複写シート送り方向とは反対方向に複数の複写シートの前記一番外側と反対側の一番外側の複写シートを動かすために反転可能圧力ロールが作動されるといえる。
そうすると、本願補正発明と引用発明3とは、「分離システム」を含むゼログラフィック装置であって、「分離システム」を含む複写シート送り装置であって、「第2駆動ニップは、複写シート送り方向とは反対方向に複数の複写シートの前記一番外側と反対側の一番外側の複写シートを動かす反転可能圧力ロールと複写シート送り方向に複数の複写シートの一番外側の複写シートを動かすように適合された駆動ロールとを含む」、複写シート送り装置と、を含み、第2駆動ニップ内における複数の複写シートの存在を検出すると、ジョブが終了するように、「駆動ロールは複数の複写シートの一番外側の複写シートを動かし続けかつ複写シート送り方向とは反対方向に複数の複写シートの前記一番外側と反対側の一番外側の複写シートを動かすために反転可能圧力ロールが作動される」点で共通する。
そして、引用発明1も引用発明3も、画像記録装置である点で技術分野が共通する。
また、引用発明1も引用発明3も、記録シートの重送を検知する画像記録装置を提供するという点で課題が共通する。
ここで、複数の複写シートのいずれの側(一番上か一番下か)の複写シートを、複写シートの送り方向と反対方向に動かすかについては、本願明細書をみても、設計的事項の域を超えるほどの格別な技術的意義は認められないから、引用発明1に、引用発明3を適用する際に、分離ロール側(下側)のシートをシートの送り方向に動かし、給紙ロール側(上側)のシートを反対方向に動かすよう設定し、上記相違点3に係る本願発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得るものである。

そして、本願補正発明の発明特定事項によって奏される効果も、引用発明1乃至引用発明3、及び上記周知技術から、当業者が予測しうる範囲内のものである。

よって、本願補正発明は、引用発明1乃至引用発明3、及び上記周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、第29条第2項の規定により特許出願の際、独立して特許を受けることが出来ない。

(5)むすび
以上のとおりであって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。


第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、平成27年5月15日付けの特許請求の範囲の請求項1に記載された事項によって特定される次のとおりのものである。
「重送検出および分離システムを含みかつ複写シートに画像を印刷するように適合されたゼログラフィック装置であって、
前記複写シートに画像を処理および記録するための画像処理装置と、
前記画像を現像するための画像現像装置と、
前記複写シートに前記現像された画像を転写するための転写装置と、
前記複写シートに前記転写された画像を定着させるための定着器と、
前記重送検出および分離システムを含む複写シート送り装置であって、前記重送検出および分離システムは、前記複写シートの存在を検出するための紙検出センサ、前記複写シートを複写シート送り方向に動かすための少なくとも3つの駆動ニップ、前記少なくとも3つの駆動ニップのうちの第1駆動ニップの下流に位置付けられかつ前記第1駆動ニップの近くから外れた軸の回りに旋回しかつ前記軸に支持されるゲート、及び前記少なくとも3つの駆動ニップのうちの第2駆動ニップの下流に位置付けられた重送センサを含み、前記重送センサは、前記少なくとも3つの駆動ニップの前記第2駆動ニップ内における複数の複写シートの存在を検出するように適合され、前記少なくとも3つの駆動ニップの前記第2駆動ニップは、前記複写シート送り方向とは反対方向に前記複数の複写シートの一番上の複写シートを動かす反転可能圧力ロールと前記複写シート送り方向に前記複数の複写シートの一番下の複写シートを動かすように適合された駆動ロールとを含む、前記複写シート送り装置と、
を含み、
前記少なくとも3つの駆動ニップの前記第2駆動ニップ内における前記複数の複写シートの存在を検出すると、前記駆動ロールは前記複数の複写シートの一番下の複写シートを動かし続けかつ前記複写シート送り方向とは反対方向に前記複数の複写シートの前記一番上の複写シートを動かすために前記反転可能圧力ロールが作動される、
ゼログラフィック装置。」(以下「本願発明」という。)

2 引用刊行物
平成27年6月1日付けの拒絶の理由に引用された刊行物、及び、その記載内容は上記「第2 3 (2)引用刊行物」に記載したとおりである。

3 対比・判断
本願発明は、実質的に、上記「第2 3 (1)本願補正発明」で検討した本願補正発明の「ジョブに従って」、及び「前記ジョブが終了するように」との限定を省くものである。
そうすると、本願発明と引用発明1とを対比した場合の相違点は、実質的に、上記「第2 3 (3)対比」で挙げた相違点1乃至相違点3となる。
そして、上記「第2 3 (4)判断」における検討内容を踏まえれば、本願発明は、引用発明1乃至引用発明3、及び上記周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

4 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、引用発明1乃至引用発明3、及び上記周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。


よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2016-11-07 
結審通知日 2016-11-08 
審決日 2016-11-21 
出願番号 特願2012-7544(P2012-7544)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (B65H)
P 1 8・ 575- WZ (B65H)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 田中 尋藤井 眞吾▲高▼辻 将人  
特許庁審判長 黒瀬 雅一
特許庁審判官 藤本 義仁
吉村 尚
発明の名称 重送の検出および制御システム  
代理人 中島 淳  
代理人 加藤 和詳  
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