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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 取り消して特許、登録 G09G
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 取り消して特許、登録 G09G
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G09G
管理番号 1326807
審判番号 不服2016-14388  
総通号数 209 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-05-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-09-27 
確定日 2017-04-25 
事件の表示 特願2012-258580「表示制御装置および記録媒体」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 6月 9日出願公開、特開2014-106335、請求項の数(14)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成24年11月27日の出願であって、平成28年7月5日付けで拒絶査定がされ、これに対し、平成28年9月27日付けで拒絶査定不服審判が請求され、同時に手続補正がされたものである。


第2 平成28年9月27日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)の適否
1 補正の内容
(1)請求項1について
本件補正は、特許請求の範囲の請求項1を、
「通知情報の種類を判別する判別部と、
前記判別部による判別結果に応じて、表示部のモードを鏡面モードまたは表示モードに切り替える表示制御部と、
を備え、
前記表示制御部は、前記判別部により前記通知情報がビデオ通話着信であると判別された際、前記表示部のモードを一時的に鏡面モードに制御し、その後表示モードに切り替える、表示制御装置。」
とする補正(以下、「補正事項1」という。下線は補正箇所。)を含んでいる。

(2)請求項2について
本件補正は、特許請求の範囲の請求項2を、
「前記表示制御部は、前記判別部により前記通知情報がメール着信と判別された際は鏡面モードに制御し、音声通話着信と判別された際は表示モードに制御する、請求項1に記載の表示制御装置。」
とする補正(以下、「補正事項2」という。下線は補正箇所。)を含んでいる。

(3)請求項14について
本件補正は、特許請求の範囲の請求項14を、
「コンピュータを、
通知情報の種類を判別する判別部と、
前記判別部による判別結果に応じて、表示部のモードを鏡面モードまたは表示モードに切り替える表示制御部と、
として機能させるためのプログラムが記録され、
前記表示制御部は、前記判別部により前記通知情報がビデオ通話着信であると判別された際、前記表示部のモードを一時的に鏡面モードに制御し、その後表示モードに切り替える、記録媒体。」
とする補正(以下、「補正事項3」という。下線は補正箇所。)を含んでいる。

2 補正の適否
(1)補正事項1ないし3のいずれも、特許法第17条の2第3項、第4項に規定する要件に違反するところはない。

(2)目的
ア 補正事項1は、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「表示制御部」について、「前記表示制御部は、前記判別部により前記通知情報がビデオ通話着信であると判別された際、前記表示部のモードを一時的に鏡面モードに制御し、その後表示モードに切り替える」との限定を付加するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
イ 補正事項2は、補正事項1のように補正される請求項1を引用する請求項2を補正するものであるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当し、また、メール着信の際のモード制御についての誤記を訂正するから、特許法第17条の2第5項第3号の誤記の訂正を目的とするものに該当する。
ウ 補正事項3は、請求項14に記載した発明を特定するために必要な事項である「表示制御部」について、「前記表示制御部は、前記判別部により前記通知情報がビデオ通話着信であると判別された際、前記表示部のモードを一時的に鏡面モードに制御し、その後表示モードに切り替える」との限定を付加するものであって、補正前の請求項14に記載された発明と補正後の請求項14に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

(3)独立特許要件
上記(2)のとおり、補正事項1ないし3は特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものを含むから、本件補正後の請求項1ないし14に記載された発明が特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について以下に検討する。

ア 本件補正後の請求項1に記載された発明(上記1(1)参照。以下、「補正発明1」という。)について
(ア)引用例
a 引用例1
(a)記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された特表2007-537475号公報(以下、「引用例1」という。)には、図面とともに、次の記載がある(下線は当審で付与した。以下同じ。)。

「【0010】
上記目的を達成するため、本発明の一態様は、1の状態において表示すべき情報を表示し他の状態において外光を反射して鏡を形成する像形成手段と、鏡機能実行指令を入力する入力手段と、前記鏡機能実行指令に応答して前記像形成手段を前記他の状態に切り換える制御手段とを有する表示装置であって、前記他の状態において当該鏡に映すべきオブジェクトに光を照射するための照明ユニットをさらに有する、表示装置としている。」

「【0022】
この図において、携帯電話機1は、情報表示及び鏡形成を行うための領域を画定する画面10と、鏡機能実行指令の入力手段として、この画面を情報表示モードから鏡作用モードに(及びこの逆に)切り換えるための押圧キー又はボタン30とを有する。また、ユーザ100に光を照射するための照明ユニット91が設けられており、鏡作用モードの間、後述する種々の条件の下で、かかる照射が可能なように制御される。さらに、この携帯電話機1の周囲環境の暗さ又は明るさを検出するための光検出器92が、例えば当該電話機本体の頂部に設けられる。照明ユニット91の点灯及び/又は発光強度は、光検出器92の検出出力に応じて制御される。光検出器92は、ユーザがこの電話機を使用するときにその光検出面が隠れないような位置に設けられるのが好ましい。本例においては、本発明が適用される装置が携帯電話機であり、ユーザは通常片手でその電話機を把持するので、当該電話機の頂部又は底部が好ましい。また、以下ではこのような光検出器を単一のものとして説明するが、複数用いて構成してもよいことは勿論である。
【0023】
このような構成において、ユーザ100が携帯電話機1を鏡として使う場合には、鏡機能実行指令としてボタン30が押圧される。これに応答して、画面10が鏡作用モードとなり、例えばユーザ100の顔が画面10の領域に形成された鏡に映ることになる。このとき、照明ユニット91に対して当該ボタン30の押圧に連動して発光可能となる制御がなされ、その発光態様が光検出器92の検出出力及びその他の設定によって決定される。照明ユニット91から発せられた光は、ユーザ100の顔を照らす。これにより、ユーザ100の顔は暗闇でも明るく鏡に映すことができることになる。」

(b)引用発明1
一般に、携帯電話機にはメールや音声通話などが着信するから、これらを区別して処理するために通知情報の種類を判別する手段が備えられていることを踏まえると、上記記載から、引用例1には次の発明が記載されていると認められる。

「通知情報の種類を判別する手段と、
1の状態において表示すべき情報を表示し他の状態において外光を反射して鏡を形成する像形成手段と、鏡機能実行指令を入力する入力手段と、鏡機能実行指令に応答して像形成手段を他の状態に切り換える制御手段とを有する表示装置、を備える携帯電話機。」(以下、「引用発明1」という。)

b 引用例2
原査定の備考欄で新たに引用され、前置審査で周知技術を示す文献として引用された特開2002-374339号公報(以下、「引用例2」という。)には、図面とともに、次の記載がある。

「【0022】光反射素子である光反射パネル12は、印加される電圧の値の大きさに応じて反射率が変化するものであり、板状又はフィルム状に形成されて表示部10上に配置されている。この光反射パネル12の詳細については後述する。制御信号発生部13は、中央制御部15から入力されるコマンドに従って、制御信号として例えば2値の電圧を光反射パネル12に印加する。すなわち、光反射パネル12を鏡として使用する場合は、鏡として使用可能な反射率が得られる(透過率が最小となる)電圧(オン電圧)を光反射パネル12に印加し、光反射パネル12を鏡として使用せずに単なる透明パネルとして使用する場合は、表示部10上の表示が明確に見えるように反射率が略ゼロとなる(透過率が最大となる)電圧(オフ電圧=略0V)を光反射パネル12に印加するようになっている。」

「【0027】(2)アラーム時
<1> アラーム設定時刻になると、音又は振動と共に鏡化状態に設定する。 <2> 鏡化状態で着呼、メール着信、各種サービスの受信があったときは透過状態に設定する。」

「【0044】また、鏡として使いたい所定の機能又は動作を行っているときは、鏡化状態に設定して必要なときに鏡を設けるようにすることが可能である。例えば上述のように、シークレット電話帳に登録した非表示登録者からの着信であった場合は、鏡化状態にすることによって発信元の電話番号なども完全に見えないようにすることができる。また、アラーム動作時に鏡化状態にすることにより、朝目覚めたときなど所定時刻に自分の顔のチェックなどを行うことが可能である。折畳み型の携帯電話機などでは、折り畳んだ状態で内側に位置する表示部などの部分に光反射素子を設け、筐体の開閉動作に連動させて鏡化状態とするように構成すれば、電子機器を携帯用鏡としても使用可能である。」

c 引用例3
(a)記載事項
前置審査で新たに引用された特開2007-81592号公報(以下、「引用例3」という。)には、図面とともに、次の記載がある。

「【請求項2】
撮影手段と該撮影手段が撮影した映像を表示する表示手段とを備え、テレビ電話を行うことが可能な携帯電話機であって、
前記表示手段を鏡化可能な鏡化手段と、
前記テレビ電話の接続が完了するまでの所定時間中に前記表示手段を鏡化するように前記鏡化手段を制御する制御手段と、
を備えたことを特徴とする携帯電話機。」

「【0029】
光反射パネル12は、液晶パネル40に印加する電圧の値の大きさに応じて、液晶パネル40内に封入された液晶の配向が変化し、偏光板41及び反射型偏光板42との関係で開口が変化する。液晶パネル40に電圧を印加しないときには、最大の開口となって、外部光及びメイン液晶パネル10側から放出される表示用の光が略完全に透過する(透過状態)。この場合は通常通りにメイン液晶パネル10上の表示を視認可能である。なお、液晶パネル40に液晶の配向が変化しない程度の電圧(閾値以下の電圧)が印加されていてもよい。」

「【0035】
(携帯電話機100の動作:呼び出し時鏡化ルーチン)
また、制御部15のCPUにおいては、図5に示す呼び出し時鏡化ルーチンが並行して実行されている。上述した鏡化限定モードにおいて、呼び出し時鏡化ルーチンが実行されると、まず、テレビ電話の呼び出し中であるか否かが判定される(B1)。テレビ電話の呼び出し中でなければ(B1,NO)、B1から再実行される。一方、テレビ電話の呼び出し中であれば(B1,YES)、光反射パネル12が鏡化状態に設定される(B2)。これにより、使用者はテレビ電話を行う前に鏡化された表示部50を用いて自分の顔の状態や自分の身だしなみ等を確認することができる。
【0036】
その後、テレビ電話の接続が完了したか否かが判定され(B3)、テレビ電話の接続が完了していなければ(B3,NO)、所定時間(本実施の形態では5秒)が経過したか否かが判定される(B4)。所定時間が経過していなければ(B4,NO)、B2から再実行されて、光反射パネル12の鏡化状態が継続される。一方、所定時間が経過するか(B4,YES)、B3の処理においてテレビ電話の接続が完了すると(B3,YES)、光反射パネル12が透過状態に設定され(B5)、B1から再実行される。」

(b)引用発明2
引用例3において、「メイン液晶パネル10」、「光反射パネル12」は、それぞれ「表示手段」、「鏡化手段」であり、また、「光反射パネル12」の「透過状態」では「メイン液晶パネル10上の表示を視認可能である」(段落【0029】)から、「光反射パネル12が透過状態に設定され」ると、「表示手段」である「メイン液晶パネル10」が視認可能状態になるといえる。さらに、一般に、携帯電話機にはメールや音声通話などが着信するから、これらを区別して処理するために通知情報の種類を判別する手段が備えられている。これらを踏えると、上記記載から、引用例3には次の発明が記載されていると認められる。

「撮影手段と該撮影手段が撮影した映像を表示する表示手段とを備え、テレビ電話を行うことが可能な携帯電話機であって、
通知情報の種類を判別する手段と、
前記表示手段を鏡化可能な鏡化手段と、
前記テレビ電話の呼び出し時で前記テレビ電話の接続が完了するまでの所定時間中に前記表示手段を鏡化し、テレビ電話の接続が完了すると前記表示手段が視認可能状態になるように前記鏡化手段を制御する制御手段と、
を備えた携帯電話機。」(以下、「引用発明2」という。)

d 引用例4
前置審査で周知技術を示す文献として新たに引用された特開2004-258400号公報(以下、「引用例4」という。)には、図面とともに、次の記載がある。

「【0010】
本実施形態の表示装置1は、図2に示したように、例えば、携帯電話、PHS、PDA等の携帯端末機に組み込まれて使用される。例えば、これらの携帯端末機のアンテナにより、電波を受信したならば、調光ミラー層20へ所定方向に電圧が印加されるように設定する。この際、図2(a)に示したように、例えば、待ち受け状態において、調光ミラー層20が鏡面状態となっているように設定し、アンテナにより電波を受信した際には、図2(b)に示したように、調光ミラー層20を、鏡面状態から透明状態に変換するように電圧が印加されるように制御する。これにより、使用者は、待ち受け状態においては、携帯端末機に組み込まれた表示装置1を鏡として使用することができる一方、携帯電話などでは、着信すると発信者の情報が表示されるが、その際には、調光ミラー層20が透明状態となっているため、液晶パネル部11に表示される発信者情報を視認することが可能となる。」

e 引用例5
前置審査で周知技術を示す文献として新たに引用された特開2003-134206号公報(以下、「引用例5」という。)には、図面とともに、次の記載がある。

「【0012】
【発明の効果】本発明は以上の通りであり、携帯通信機器本体1に備えられ各種機能を操作する操作部5並びにその操作状態を文字、数字、画像にて表示する液晶表示部6とより成り、而も液晶表示部6が非表示状態時において鏡面状態を維持するようにしたから、携帯通信機の非使用時、鏡の機能を持たせることができ、従って身の回り品としての鏡を不要とし、特に女性のコンパクトを兼用させるものであり、利便性に富むこととなる。また混雑する通勤電車内において、さりげない携帯通信機の鏡使用によって後部の状況を描写し、最近特に問題となっている痴漢行為などへの不審者に対し牽制作用を働かせ、また人物の特定にもつながることができる。更に、使用者の所望の操作により、液晶表示部6が鏡面状態にあっても優先して本来の携帯通信機の機能表示状態に切換えるようにすれば、その都度切り替える必要がなく、不要なトラブルを回避できる。また、相手方からの受信により液晶表示部6が鏡面状態にあっても優先して自動的に機能表示状態に切換えるようにすれば、上記同様に切り替えの手間が省け、また切り替えに慌てることもない。また、相手方からの受信により液晶表示部が鏡面状態に維持しつつ、而も受信音を発生させると共に相手方に対し些少の保留時間をメッセージするようにすれば、鏡として使用を中断することもなく、相手方の通信も切られることもない。なお、液晶表示部6は、所望の操作に伴う表示が可能な表示用液晶パネル50と、この表示用液晶パネル50の背面側に配設され、且つこの表示用液晶パネル50の表示状態時、全面が散乱により白濁する状態となり、而も非表示状態時、透過状態に切換え可能な背景用液晶パネル60とより成したので、携帯通信機の機能表示状態と、鏡として使用する場合の非表示状態との切り替えが容易に具現化できる。」

f 引用例6
前置審査で周知技術を示す文献として新たに引用された特開2003-122260号公報(以下、「引用例6」という。)には、図面とともに、次の記載がある。

「【0057】また、今までの形態は、表示画面部によって本来の表示を行わないとき(非使用時)にマジックミラーを制御して実質的な鏡面としているが、本来の表示を行っている最中に、マジックミラーを実質的な鏡面とするように制御してもよく、例えば携帯電話機の表示を着信に応じて間欠的にミラー化したり、平生のパソコン画面の表示に対して何らかのエラー表示を行うときに間欠的にミラー化する等の応用が考えられ、本発明における「ミラー化」するタイミングは全くの任意に設定することができることは勿論である。」

(イ)引用例1を主引用例とする場合
a 対比
補正発明1と引用発明1とを対比する。
(a)引用発明1における「通知情報の種類を判別する手段」は、補正発明1における「通知情報の種類を判別する判別部」に相当する。

(b)引用発明1における「像形成手段」の「表示すべき情報を表示」する「1の状態」、「外光を反射して鏡を形成する」「他の状態」は、それぞれ補正発明1における「表示部」の「表示モード」、「鏡面モード」に相当することを踏まえると、引用発明1における「鏡機能実行指令に応答して像形成手段を他の状態に切り換える制御手段」と、補正発明1における「前記判別部による判別結果に応じて、表示部のモードを鏡面モードまたは表示モードに切り替える表示制御部」とは、共に、「表示部のモードを鏡面モードまたは表示モードに切り替える表示制御部」である点で共通する。

(c)引用発明1における「携帯電話機」は、「鏡機能実行指令に応答して像形成手段を他の状態に切り換える制御手段」を備え、表示を制御できるから、下記相違点1及び2を除いて、補正発明1における「表示制御装置」を含むものである。

以上の関係を整理すると、両者の一致点及び相違点は、以下のとおりである。

(一致点)
「通知情報の種類を判別する判別部と、
表示部のモードを鏡面モードまたは表示モードに切り替える表示制御部と、
を備える、表示制御装置。」

(相違点1)
補正発明1においては、「表示制御部」が「判別部による判別結果に応じて、表示部のモードを鏡面モードまたは表示モードに切り替える」のに対し、引用発明1においては、「制御手段」が「鏡機能実行指令に応答して像形成手段を他の状態に切り換える」点。

(相違点2)
補正発明1においては、「表示制御部は、前記判別部により前記通知情報がビデオ通話着信であると判別された際、前記表示部のモードを一時的に鏡面モードに制御し、その後表示モードに切り替える」のに対し、引用発明1においては、「通知情報の種類」がビデオ通話着信であると「判別」された際、「制御手段」が行う制御について特定されていない点。

b 判断
事案に鑑み、まず、上記相違点2について検討する。
判別部により通知情報がビデオ通話着信であると判別された際、表示制御部が表示部のモードを一時的に鏡面モードに制御し、その後表示モードに切り替えることは、引用例2ないし6のいずれにも記載されていない。
そうすると、引用発明1に引用例2ないし6に記載された発明を適用し、補正発明1の上記相違点2に係る構成とすることは、当業者が容易になし得たことであるとはいえない。
そして、補正発明1は上記相違点2に係る構成を有することにより、ビデオ通話着信の際にも「鏡面モードが優先され」(本願明細書段落【0026】)、「入力情報の種別に応じて鏡面モードが優先されることで、鏡面を利用している場合に表示部12に表示される入力情報があっても強制的に表示モードに切り替わることがなく、通信端末1の利便性が向上する」(同【0027】)という効果を奏すると認められる。

c したがって、上記相違点1を検討するまでもなく、補正発明1は、引用発明1及び引用例2ないし6に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

(ウ)引用例3を主引用例とする場合
a 対比
補正発明1と引用発明2とを対比する。
(a)引用発明2における「通知情報の種類を判別する手段」は、補正発明1における「通知情報の種類を判別する判別部」に相当する。

(b)引用発明2における「表示手段」の「鏡化」状態、「視認可能状態」は、それぞれ補正発明1における「表示部」の「鏡面モード」、「表示モード」に相当することを踏まえると、引用発明2における「前記テレビ電話の呼び出し時で前記テレビ電話の接続が完了するまでの所定時間中に前記表示手段を鏡化し、テレビ電話の接続が完了すると前記表示手段が視認可能状態になるように前記鏡化手段を制御する制御手段」と、補正発明1における「前記判別部による判別結果に応じて、表示部のモードを鏡面モードまたは表示モードに切り替える表示制御部」とは、共に、「表示部のモードを鏡面モードまたは表示モードに切り替える表示制御部」である点で共通する。

(c)引用発明2における「制御手段」が「前記テレビ電話の呼び出し時で前記テレビ電話の接続が完了するまでの所定時間中に前記表示手段を鏡化し、テレビ電話の接続が完了すると前記表示手段が視認可能状態になるように前記鏡化手段を制御する」ことと、補正発明1における「前記表示制御部は、前記判別部により前記通知情報がビデオ通話着信であると判別された際、前記表示部のモードを一時的に鏡面モードに制御し、その後表示モードに切り替える」こととは、共に、「前記表示制御部は、ビデオ通話の際、前記表示部のモードを一時的に鏡面モードに制御し、その後表示モードに切り替える」点で共通する。

(d)引用発明2における「携帯電話機」は、「表示手段を鏡化可能な鏡化手段」及び「テレビ電話の呼び出し時で前記テレビ電話の接続が完了するまでの所定時間中に前記表示手段を鏡化し、テレビ電話の接続が完了すると前記表示手段が視認可能状態になるように前記鏡化手段を制御する制御手段」を備え、表示を制御できるから、下記相違点3及び4を除いて、補正発明1における「表示制御装置」を含むものである。

以上の関係を整理すると、両者の一致点及び相違点は、以下のとおりである。

(一致点)
「通知情報の種類を判別する判別部と、
表示部のモードを鏡面モードまたは表示モードに切り替える表示制御部と、
を備え、
前記表示制御部は、ビデオ通話の際、前記表示部のモードを一時的に鏡面モードに制御し、その後表示モードに切り替える、表示制御装置。」

(相違点3)
補正発明1においては、「表示制御部」が「判別部による判別結果に応じて、表示部のモードを鏡面モードまたは表示モードに切り替える」のに対し、引用発明2においては、「制御手段」が「テレビ電話の呼び出し時」に「テレビ電話の接続」状況により「表示手段」の状態を制御する点。

(相違点4)
補正発明1においては、「表示制御部は、前記判別部により前記通知情報がビデオ通話着信であると判別された際、前記表示部のモードを一時的に鏡面モードに制御し、その後表示モードに切り替える」のに対し、引用発明2においては、「通知情報の種類」がビデオ通話着信であると「判別」された際、「制御手段」が行う制御について特定されていない点。

b 判断
事案に鑑み、まず、上記相違点4について検討する。
判別部により通知情報がビデオ通話着信であると判別された際、表示制御部が表示部のモードを一時的に鏡面モードに制御し、その後表示モードに切り替えることは、引用例1、2、及び4ないし6のいずれにも記載されていない。
そうすると、引用発明2に引用例1、2、及び4ないし6に記載された発明を適用し、補正発明1の上記相違点4に係る構成とすることは、当業者が容易になし得たことであるとはいえない。
そして、補正発明1は上記相違点4に係る構成を有することにより、ビデオ通話着信の際にも「鏡面モードが優先され」(本願明細書段落【0026】)、「入力情報の種別に応じて鏡面モードが優先されることで、鏡面を利用している場合に表示部12に表示される入力情報があっても強制的に表示モードに切り替わることがなく、通信端末1の利便性が向上する」(同【0027】)という効果を奏すると認められる。

c したがって、上記相違点3を検討するまでもなく、補正発明1は、引用発明2、並びに、引用例1、2、及び4ないし6に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

イ 本件補正後の請求項2に記載された発明(上記1(2)参照。以下、「補正発明2」という。)について
本件補正後の請求項2は請求項1を引用するところ、補正発明1が、引用発明1及び引用例2ないし6に記載された発明、又は、引用発明2、並びに、引用例1、2、及び4ないし6に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない(上記ア)以上、補正発明2も、引用発明1及び引用例2ないし6に記載された発明、又は、引用発明2、並びに、引用例1、2、及び4ないし6に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

ウ 本件補正後の請求項3ないし13に記載された発明(以下、「補正発明3ないし13」という。)について
本件補正後の請求項3ないし13は直接又は間接的に請求項1を引用するところ、補正発明1が、引用発明1及び引用例2ないし6に記載された発明、又は、引用発明2、並びに、引用例1、2、及び4ないし6に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない(上記ア)以上、補正発明3ないし13も、引用発明1及び引用例2ないし6に記載された発明、又は、引用発明2、並びに、引用例1、2、及び4ないし6に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

エ 本件補正後の請求項14に記載された発明(上記1(3)参照。以下、「補正発明14」という。)について
補正発明14は、コンピュータを補正発明1の表示制御装置として機能させるためのプログラムが記録された記録媒体であるところ、補正発明1が、引用発明1及び引用例2ないし6に記載された発明、又は、引用発明2、並びに、引用例1、2、及び4ないし6に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない(上記ア)以上、補正発明14も、引用発明1及び引用例2ないし6に記載された発明、又は、引用発明2、並びに、引用例1、2、及び4ないし6に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

オ まとめ
よって、補正発明1ないし14は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであり、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合する。

(4)むすび
上記のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第3項ないし第6項の規定に適合する。


第3 本願発明
1 上記第2のとおり、本件補正は特許法第17条の2第3項ないし第6項の規定に適合するから、本願の請求項1ないし14に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」などという。)は、本件補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし14に記載された事項により特定されるとおりのものであり、本願発明1ないし14は、補正発明1ないし14である。

2 上記「第2」「2」「(3)」「ア」「(イ)」「a」のとおり、補正発明1は引用発明1であるとはいえないから、本願発明1は引用発明1であるとはいえないし、また、本願発明1が引用発明1であるとはいえない以上、本願発明2ないし14も引用発明1であるとはいえない。

3 上記「第2」「2」「(3)」「ア」ないし「エ」のとおり、補正発明1ないし14が、引用発明1及び引用例2ないし6に記載された発明、又は、引用発明2、並びに、引用例1、2、及び4ないし6に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない以上、本願発明1ないし14は、引用発明1に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

4 したがって、本願については、原査定の拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2017-04-11 
出願番号 特願2012-258580(P2012-258580)
審決分類 P 1 8・ 113- WY (G09G)
P 1 8・ 121- WY (G09G)
P 1 8・ 575- WY (G09G)
最終処分 成立  
前審関与審査官 武田 悟  
特許庁審判長 酒井 伸芳
特許庁審判官 中塚 直樹
関根 洋之
発明の名称 表示制御装置および記録媒体  
代理人 亀谷 美明  
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