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審決分類 |
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 H03G |
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管理番号 | 1326831 |
審判番号 | 不服2014-26709 |
総通号数 | 209 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2017-05-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2014-12-26 |
確定日 | 2017-03-09 |
事件の表示 | 特願2013- 26401「薄膜処理におけるパルスモードスキームのための高周波電力供給システム中の複数電源のフィードバック制御およびコヒーレンス性」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 9月 5日出願公開、特開2013-176040〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、平成25年2月14日(パリ条約による優先権主張 2012年2月23日 米国(US))に出願したものであって、手続の概要は以下のとおりである。 手続補正 :平成25年 7月30日 上申書 :平成25年12月17日 拒絶理由通知 :平成26年 5月 8日(起案日) 意見書 :平成26年 8月11日 拒絶査定 :平成26年 8月26日(起案日) 拒絶査定不服審判請求 :平成26年12月26日 手続補正 :平成26年12月26日 上申書 :平成27年 5月21日 上申書 :平成27年 6月22日 2.本願発明 本願の請求項1ないし40に係る発明は、平成26年12月26日付け手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし40に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。 「 【請求項1】 高周波(RF)制御システムにおいて、 RF信号を負荷に出力する電力増幅器と、 前記RF信号を監視し、前記RF信号に基づいて、センサ信号を発生させるセンサと、 前記センサ信号にしたがって、前記RF信号のエネルギーを決定するエネルギー検出回路と、 前記エネルギー検出回路により決定されたエネルギーにしたがって、前記RF信号を変化させるための制御信号を発生させる電力増幅器エネルギー調整回路とを具備するRF制御システム。」 なお、平成26年12月26日付け手続補正により請求項1については補正されていない。 3.引用例 原査定の拒絶の理由に引用された国際公開第2011/016266号(2011年2月10日国際公開、以下「引用例」という。)には、図面と共に、以下の記載がある。(なお、下線は当審で付与した。) (1)「【0013】 そこで、本発明は前記した従来の問題点を解決し、パルス電力制御において電力変動に対して、出力電力の電力振幅(ピーク電力)を一定に制御することによって、出力電力の電力振幅の変動による負荷に対する影響を回避することを目的とする。」 (2)「【0017】 本発明は、電力制御において、出力電力の電力振幅が設定値となるように定電力制御を行う出力振幅制御と、出力電力の電力量に相当する量が設定値となるように、パルス電力のデューティー比を制御するデューティー制御とを行うことによって、出力電力の電力振幅を安定制御すると共に、反射波電力の増加に対して電源装置を保護する。」 (3)「【0082】 パルス変調高周波電源装置1は、パルス出力の振幅を制御する出力振幅制御部2と、パルス出力のデューティー比を制御するデューティー制御部3とパルス出力の高周波出力を出力する高周波出力部4とを備え、高周波出力部4は負荷6に高周波出力を出力する。負荷6は、例えば、チャンバー内で生成されるプラズマ負荷とすることができる。」 (4)「【0114】 また、高周波出力部4は、出力振幅制御部2およびデューティー制御部3にフィードバックするフィードバック値を検出する検出回路を備えることができる。なお、この検出回路は高周波出力部4の外部に設けることもできる。 【0115】 図5では、検出器としてピーク進行波電力を検出する電力検出器4dを示している。電力検出器4dは、図示していない方向性結合器によってピーク進行波電力を選択して検出することができる。検出されたピーク進行波電力を、出力振幅制御部2にフィードバックすると共に、平均処理回路7で平均処理した平均進行波電力をデューティー制御部3にフィードバックする。」 (5)「【0119】 デューティー制御部3は、例えば、誤差検出器3a、発振器3b、およびデューティー比変更回路3cで構成することができる。 【0120】 誤差検出器3aは、設定電力値を指令値として入力すると共に、高周波出力部4からフィードバックされ、平均処理回路7で平均処理された平均進行波電力をフィードバック値の電力値として入力し、フィードバックされた電力値と設定電力値との差分値を検出する。 【0121】 デューティー比変更回路3cは、誤差検出器3aで検出した差分値を制御信号として、発振器3bからのパルス信号のデューティー比を変更する。デューティー比の変更によって、デューティー比変更回路3cからは、電力値が設定電力値となるように制御する制御信号が形成される。 【0122】 高周波出力部4のスイッチング回路4cは、このデューティー比変更回路3cの制御信号に基づいてパルス出力のデューティー比を制御する。」 上記摘示事項及び図面の記載から以下のことがいえる。 (a)引用例には、「パルス変調高周波電源装置1」が記載されている(摘示事項(3))。 (b)「パルス変調高周波電源装置1」は、パルス出力の振幅を制御する出力振幅制御部2と、パルス出力のデューティー比を制御するデューティー制御部3とパルス出力の高周波出力を出力する高周波出力部4とを備え、高周波出力部4は負荷6に高周波出力を出力する(摘示事項(3))。 (c)高周波出力部4は、デューティー制御部3にフィードバックするフィードバック値を検出する検出回路を備える(摘示事項(4))。 (d)電力検出器4dで検出された進行波電力を平均処理回路7で平均処理した平均進行波電力を、デューティー制御部3にフィードバックする(摘示事項(4))。 (e)デューティー制御部3は、平均処理回路7で平均処理された平均進行波電力をフィードバック値の電力値として入力し、電力値が設定電力値となるように制御する制御信号を形成する。高周波出力部4は、制御信号に基づいてパルス出力のデューティー比を制御する(摘示事項(5))。 以上を総合勘案すると、引用例には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認める。 「パルス変調高周波電源装置1であって、 パルス出力の振幅を制御する出力振幅制御部2と、パルス出力のデューティー比を制御するデューティー制御部3とパルス出力の高周波出力を出力する高周波出力部4とを備え、 高周波出力部4は、負荷6に高周波出力を出力し、デューティー制御部3にフィードバックするフィードバック値を検出する電力検出器4dを備え、 電力検出器4dで検出された進行波電力を平均処理回路7で平均処理した平均進行波電力を、デューティー制御部3にフィードバックし、 デューティー制御部3は、平均処理回路7で平均処理された平均進行波電力をフィードバック値の電力値として入力し、電力値が設定電力値となるように制御する制御信号を形成し、 高周波出力部4は、制御信号に基づいてパルス出力のデューティー比を制御するパルス変調高周波電源装置1。」 4.対比・判断 そこで、本願発明と引用発明とを対比する。 (1)高周波(RF)制御システム 引用発明の「パルス変調高周波電源装置1」は、パルス出力の振幅及びデューティー比を制御する。 したがって、本願発明と引用発明とは、「高周波(RF)制御システム」である点で一致する。 (2)電力増幅器 引用発明の「高周波出力部4」は、負荷6にパルス出力の高周波出力を出力するから、「電力増幅器」を備えることは明らかである。 したがって、本願発明と引用発明とは、「RF信号を負荷に出力する電力増幅器」を具備する点で一致する。 (3)センサ 引用発明の「電力検出器4d」は、進行波電力を検出する。 したがって、本願発明と引用発明とは、「前記RF信号を監視し、前記RF信号に基づいて、センサ信号を発生させるセンサ」を具備する点で一致する。 (4)エネルギー検出回路 引用発明の「平均処理回路7」は、電力検出器4dで検出された進行波電力を平均処理する。平均処理では、パルス出力の一周期内における進行波電力が積算されることが明らかであるから、進行波のエネルギーが検出されるといえる。 したがって、本願発明と引用発明とは、「前記センサ信号にしたがって、前記RF信号のエネルギーを決定するエネルギー検出回路」を具備する点で一致する。 (5)電力増幅器エネルギー調整回路 引用発明の「デューティー制御部3」は、平均処理回路7で平均処理された平均進行波電力をフィードバック値の電力値として入力し、電力値が設定電力値となるように制御する制御信号を形成し、「高周波出力部4」は、制御信号に基づいてパルス出力のデューティー比を制御する。平均進行波電力は、パルス出力の一周期内における進行波のエネルギーを一周期で除したものであり、デューティー制御部3が形成する制御信号に基づいてパルス出力のデューティー比を制御することは、パルス出力の一周期内における進行波のエネルギーを調整することにほかならない。 したがって、本願発明と引用発明とは、「前記エネルギー検出回路により決定されたエネルギーにしたがって、前記RF信号を変化させるための制御信号を発生させる電力増幅器エネルギー調整回路」を具備する点で一致する。 そうすると、本願発明と引用発明とは、すべての点で一致する。 したがって、本願発明は、引用例に記載された発明である。 なお、請求人は、平成27年5月21日付けの上申書及び平成27年6月22日付けの上申書において、前置報告書を検討の結果、特許請求の範囲の補正を希望する旨述べているが、該前置報告書の内容は、平成26年5月8日付けの拒絶理由通知の抜粋であって、当審において、改めて拒絶理由を通知すべき事情は認められない。 5.むすび 以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、引用例に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に掲げる発明に該当し、特許を受けることができない。 したがって、本願は、その余の請求項について論及するまでもなく拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2015-11-11 |
結審通知日 | 2015-11-17 |
審決日 | 2015-11-30 |
出願番号 | 特願2013-26401(P2013-26401) |
審決分類 |
P
1
8・
113-
Z
(H03G)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 柳下 勝幸 |
特許庁審判長 |
酒井 朋広 |
特許庁審判官 |
関谷 隆一 ゆずりは 広行 |
発明の名称 | 薄膜処理におけるパルスモードスキームのための高周波電力供給システム中の複数電源のフィードバック制御およびコヒーレンス性 |
代理人 | 蔵田 昌俊 |
代理人 | 野河 信久 |
代理人 | 峰 隆司 |