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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04Q 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04Q |
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管理番号 | 1326890 |
審判番号 | 不服2015-2473 |
総通号数 | 209 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2017-05-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2015-02-09 |
確定日 | 2017-04-04 |
事件の表示 | 特願2012-537821「広帯域無線通信システムにおけるスイッチング方法及び装置」拒絶査定不服審判事件〔平成23年 5月12日国際公開、WO2011/056022、平成25年 3月21日国内公表、特表2013-510500〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続きの経緯と本願発明 本願は、2010年11月5日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2009年11月6日 大韓民国)を国際出願日とする出願であって、平成26年9月30日付けで拒絶査定され、これに対し、平成27年2月9日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに同日付けで手続補正がなされ、その後、当審において平成28年2月29日付けで拒絶理由が通知され、同年6月7日付けで手続補正がなされたものである。 その請求項1に係る発明は、平成28年6月7日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された以下のとおりのものと認める。(以下、「本願発明」という。) 「広帯域無線通信システムにおけるMBS(multicast broadcast service)のための基地局の方法において、 第1MBSゾーンで、第2MBSゾーンと関連する少なくとも1つのMBSパラメータを含むDSA(dynamic service addition)メッセージを端末に送信する過程と、 前記少なくとも1つのMBSパラメータに基づいて、前記第2MBSゾーンで前記端末とデータパス(data path)を設定する過程と、 前記データパスを介して前記端末にMBSデータを送信する過程と、を含むことを特徴とする方法。」 第2 引用例 1.引用発明 平成28年2月29日付けで当審が通知した拒絶理由に引用された、Nan Li et al.,“E-MBS Transmission for Multi-Carrier Delpoyment”,IEEE C802.16m-09/1777,IEEE 802.16 Task Group m (TGm),2009.08 (以下、「引用例」という。)には、「マルチキャリア配置におけるE-MBS送信」(タイトル)に関して、以下の事項が記載されている。 ア「 ![]() 」(2ページ1行?2ページ7行) ([当審仮訳] 1.イントロダクション 最新のSDD[1]によれば、マルチキャリアオペレーションをサポートするABSは、1つあるいはそれ以上の専用キャリアまたはユニキャスト/混合キャリアを介してE-MBSデータを送信できる。AMSがE-MBSサービスに加入するならば、それに割り当てられたキャリアでE-MBSサービスデータを受信することができる。このAMSにとって、好きなE-MBSサービスを伝えるキャリアを正確に知ることは、より効率的となるであろう。 この寄稿は、マルチキャリアのワイヤレスMAN-OFDMAアドバンスシステムに対するE-MBSサポートにおける修正テキストを提案する。提案されたテキストは、SDD[1]とIEEE P802.16m/D1[2]に基づいて生成されている。) イ「 ![]() 」(2ページ8行?2ページ25行) ([当審仮訳] 2.マルチキャリアを用いたE-MBS送信 AMSが、そのサービングABSにおけるE-MBSサービスに加入することを望むならば、マルチキャスト・ブロードキャストサービスを提供するためのサービスフローがABSとAMSとの間でDSAプロシージャを用いて設定されるであろう。AMSは、AAI DSA-REQ/RSPメッセージからMBSサービスフローパラメータを獲得できる。AAI DSA-REQ/RSPメッセージは、QoS要件を特定するサービスフローパラメータを伝える。マルチキャスト・ブロードキャストコネクションがセットアップされるにあたり、以下の情報が含まれるべきである。 ● MSTID ● MBSサービス ■E-MBS送信モード:シングルABSアクセス/マルチABSアクセス ■E-MBSゾーンID:関連するサービスフローのためのコネクションが有 効である、そのコネクションを介してのE-MBSゾーン ■物理キャリアインデックス:関連するサービスフローが送信されるキャ リア ひとたびAMSがMBSサービスフローパラメータを得ると、マルチキャスト・ブローキャストコネクションをあるキャリアインデックスに対応付けることができる。もし、AAI DSA-REQ/RSPメッセージで指示されたキャリアが、そのAMSに割当てられていなかったり、または有効化されていなかったら、ABSは最初にAMSのマルチキャリア性能に基づいてキャリアを割当てて有効化できる。E-MBSキャリアの割当てと有効化は、AAI DSA-REQ/RSPメッセージにおける物理キャリアインデックスを伝えることによって非明示的に為すことができる。ABSは、また、AAI MC-RSPメッセージを用いてキャリアを割当てたり、AAI MC-CMDメッセージでキャリアを有効化してもよい。AMSは、マッピングリレーションシップのアップデートがAAI DSC-REQ/RSPメッセージで知らされない限り、このキャリアで特有のE-MBSサービスを受信し続けるであろう。) ウ「 ![]() 」(3ページ3行?8行) ([当審仮訳] 加えて、E-MBS Lゾーン/Mゾーンインディケータが、AAI DSA-REQ/RSPメッセージに含まれてよい。このインディケータは、関連するサービスフローが、対応するキャリアのLゾーンまたはMゾーンで送信されるかどうかを示すためにABSによって使用される。E-MBS Lゾーン/Mゾーンインディケータのビットが1にセットされると、E-MBSサービスは、キャリアのMゾーンで送信され、そうでなければキャリアのLゾーンで送信される。この場合、AMSは、AAI DSA-REQ/RSPメッセージで示されるキャリアのE-MBSサービスを受信するためMゾーンからLゾーンに切り替える。) 摘記事項ア乃至ウの記載並びにこの分野における当業者の技術常識を考慮すると、 (ア)摘記事項アの「この寄稿は、マルチキャリアのワイヤレスMAN-OFDMAアドバンスシステムに対するE-MBSサポートにおける修正テキストを提案する。」及び摘記事項イの「AMSが、そのサービングABSにおけるE-MBSサービスに加入することを望むならば、マルチキャスト・ブロードキャストサービスを提供するためのサービスフローがABSとAMSとの間でDSAプロシージャを用いて設定されるであろう。」の各記載より、引用例は、「ワイヤレスMAN-OFDMAアドバンスシステムにおけるE-MBSサービスのためのABSの方法」が記載されているといえる。 (イ)摘記事項ウの「E-MBS Lゾーン/Mゾーンインディケータが、AAI DSA-REQ/RSPメッセージに含まれてよい。(中略)E-MBS Lゾーン/Mゾーンインディケータのビットが1にセットされると、E-MBSサービスは、キャリアのMゾーンで送信され、そうでなければキャリアのLゾーンで送信される。」の記載から、「そうでなければ」、即ち、E-MBS Lゾーン/Mゾーンインディケータのビットが0にセットされた場合、「E-MBS Lゾーン/Mゾーンインディケータ」は、「E-MBS がLゾーンで送信されることを示すE-MBS Lゾーン/Mゾーンインディケータ」といえるので、引用例は、「E-MBSサービスがLゾーンで送信されることを示すE-MBS Lゾーン/Mゾーンインディケータを含むAAI DSA-REQ/RSPメッセージをAMSに送信する」ことが記載されているといえる。 (ウ)摘記事項イの「マルチキャスト・ブロードキャストサービスを提供するためのサービスフローがABSとAMSとの間でDSAプロシージャを用いて設定されるであろう。」の記載及び上記(イ)を参酌すると、引用例は、「E-MBS Lゾーン/Mゾーンインディケータに基づいて、前記AMSとサービスフローを設定する」ことが記載されているといえる。 (エ)摘記事項アの「AMSがE-MBSサービスに加入するならば、それに割り当てられたキャリアでE-MBSサービスデータを受信することができる。」の記載と、上記(ウ)を参酌すると、「E-MBSサービスデータ」が、「サービスフロー」により前記AMSに送信されることは、当業者に自明の事項である。よって、引用例には、「前記サービスフローにより前記AMSにE-MBSサービスデータを送信する」ことが記載されているといえる。 以上を総合すると、引用例には以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認める。 「ワイヤレスMAN-OFDMAアドバンスシステムにおけるE-MBSサービスのためのABSの方法において、 前記E-MBSサービスがLゾーンで送信されることを示すE-MBS Lゾーン/Mゾーンインディケータを含むAAI DSA-REQ/RSPメッセージをAMSに送信する、 前記E-MBS Lゾーン/Mゾーンインディケータに基づいて、前記AMSとサービスフローを設定する、 前記サービスフローにより前記AMSにE-MBSサービスデータを送信する、 方法。」 第3 対比・判断 1.対比 本願発明と引用発明とを対比すると、 (1)引用発明の「ワイヤレスMAN-OFDMAアドバンスシステム」は、本願発明の「広帯域無線通信システム」に含まれる。 (2)本願発明の「MBS(multicast broadcast service)」は、本願明細書【0070】に「前記MゾーンでのE-MBSサービス」等と記載されるように「E-MBSサービス」を含むものと解されることから、引用発明の「E-MBSサービス」は、本願発明の「MBS(multicast broadcast service)」に含まれる。 (3)本願発明の「基地局」に関し、本願明細書【0004】に「混合基地局(mixed BS、Advanced BS)」と記載されていることから、引用発明の「ABS」は、本願発明の「基地局」に相当する。 (4)本願発明の「端末」に関し、本願明細書【0004】に「端末(Advanced MS)」と記載されていることから、引用発明の「AMS」は、本願発明の「端末」に相当する。 (5)引用発明の「AAI DSA-REQ/RSPメッセージ」は、本願発明の「DSA(dynamic service addition)メッセージ」に相当する。 (6)本願発明の「第1MBSゾーンで、第2MBSゾーンと関連する少なくとも1つのMBSパラメータを含むDSA(dynamic service addition)メッセージを端末に送信する」に関し、本願明細書【0033】の「前記端末202はMBSのために現在接続中のMゾーン210でのデータ214の伝送とは別途に前記混合基地局204とDSA-REQメッセージ及びDSA-RSPメッセージを送受信することによって、MBS216の受信に必要な情報を獲得した後、前記Lゾーン212へスイッチングして連結パスを開設し、前記獲得した情報を用いてMBS216を受信する(ステップ208)。」の記載等から「第1MBSゾーン」、「第2MBSゾーン」が、それぞれ「Mゾーン」、「Lゾーン」の態様を含むものと解釈し得る。そのように解釈した上で、引用発明の「前記E-MBSサービスがLゾーンで送信されることを示すE-MBS Lゾーン/Mゾーンインディケータを含むAAI DSA-REQ/RSPメッセージをAMSに送信すること」と対比すると、引用発明の「Mゾーン」、「Lゾーン」は、本願発明の「第1MBSゾーン」、「第2MBSゾーン」に相当する。また、引用発明の「前記E-MBSサービスがLゾーンで送信されることを示すE-MBS Lゾーン/Mゾーンインディケータ」は、「Lゾーン」と関連する1つのE-MBSサービスのパラメータといえ、上記(2)を参酌すると、本願発明の「1つのMBSパラメータ」に相当する。その上で、上記(4)及び(5)を参酌すると、引用発明の「前記E-MBSサービスがLゾーンで送信されることを示すE-MBS Lゾーン/Mゾーンインディケータを含むAAI DSA-REQ/RSPメッセージをAMSに送信する」と本願発明の「第1MBSゾーンで、第2MBSゾーンと関連する少なくとも1つのMBSパラメータを含むDSA(dynamic service addition)メッセージを端末に送信する」は、下記の相違点1を除き、「第2MBSゾーンと関連する1つのMBSパラメータを含むDSA(dynamic service addition)メッセージを端末に送信する」で共通する。 (7)上記(2)を参酌すると、引用発明の「E-MBSサービスデータ」は、本願発明の「MBSデータ」に含まれる。 (8)本願発明の「データパス(data path)」は、本願明細書【0006】の「DSA-REQ及びDSA-RNGを送受信してMBSのためのデータパスを開設する。」の記載を参酌すると、「前記端末にMBSデータを送信する」ため、DSAメッセージの送受信により設定するものであり、他方、引用発明の「サービスフロー」は、摘記事項イの記載を参酌すると、「前記AMSにE-MBSサービスデータを送信する」ため、DSAプロシージャにより設定するものであり、上記(4)(5)及び(7)を参酌すると、引用発明の「サービスフロー」は、本願発明の「データパス(data path)」に相当する。更に、上記(6)を参酌すると、引用発明の「前記E-MBS Lゾーン/Mゾーンインディケータに基づいて、前記AMSとサービスフローを設定する」は、本願発明の「前記1つのMBSパラメータに基づいて、前記第2MBSゾーンで前記端末とデータパス(data path)を設定する」に相当する。 (9)上記(8)を参酌すると、引用発明の「前記サービスフローにより前記AMSにE-MBSサービスデータを送信する」は、本願発明の「前記データパスを介して前記端末にMBSデータを送信する」に含まれる。 (10)引用発明において、各工程の動作を「?する過程」と称することは任意である。 以上を総合すると、本願発明と引用発明とは、以下の点で一致し、また一応相違している。 (一致点) 「広帯域無線通信システムにおけるMBS(multicast broadcast service)のための基地局の方法において、 第2MBSゾーンと関連する1つのMBSパラメータを含むDSA(dynamic service addition)メッセージを端末に送信する過程と、 前記1つのMBSパラメータに基づいて、前記第2MBSゾーンで前記端末とデータパス(data path)を設定する過程と、 前記データパスを介して前記端末にMBSデータを送信する過程と、を含むことを特徴とする方法。」 (相違点1) 一致点の「第2MBSゾーンと関連する1つのMBSパラメータを含むDSA(dynamic service addition)メッセージを端末に送信する過程」の「送信」が、本願発明では、「第1MBSゾーンで、」なされるのに対して、引用発明では、そのような構成が明記されていない点 2.相違点についての判断 (相違点1)について検討する。 引用発明の「前記E-MBSサービスがLゾーンで送信されることを示すE-MBS Lゾーン/Mゾーンインディケータを含むAAI DSA-REQ/RSPメッセージをAMSに送信する」に関し、摘記事項ウの「E MBS Lゾーン/Mゾーンインディケータのビットが1にセットされると、E-MBSサービスは、キャリアのMゾーンで送信され、そうでなければキャリアのLゾーンで送信される。AMSは、AAI DSA-REQ/RSPメッセージで示されるキャリアのE-MBSサービスを受信するためMゾーンからLゾーンに切り替える。」の「そうでなければ」、即ち、E-MBS Lゾーン/Mゾーンインディケータのビットが0にセットされた場合について検討すると、「AMSは、 AAI DSA-REQ/RSPメッセージで示されるキャリアのE-MBSサービスを受信するためMゾーンからLゾーンに切り替える。」の記載から、「AMS」は、「Lゾーンと関連するE-MBS Lゾーン/Mゾーンインディケータを含むAAI DSA-REQ/RSPメッセージ」を「Mゾーン」で受信し(言い換えると、「ABS」は、「Lゾーンと関連するE-MBS Lゾーン/Mゾーンインディケータを含むAAI DSA-REQ/RSPメッセージ」を、「Mゾーン」で送信し)、受信した「Lゾーンと関連するE-MBS Lゾーン/Mゾーンインディケータを含むAAI DSA-REQ/RSPメッセージ」によって、「Lゾーン」に切り替えることは、当業者が当然に理解し得る事項である。 してみると、引用発明の「Lゾーンと関連するE-MBS Lゾーン/Mゾーンインディケータを含むAAI DSA-REQ/RSPメッセージを前記AMSに送信する」が、「Mゾーンで、」なされることは引用例に記載されているに等しい事項といえる。 そうすると、(相違点1)は、相違点ということはできない。 仮に、相違点であるとしても、「AMS」が「Lゾーン」に切り替える前、即ち、「Mゾーン」で受信している場合に、「Lゾーンと関連するE-MBS Lゾーン/Mゾーンインディケータを含むAAI DSA-REQ/RSPメッセージ」を「Mゾーン」で送信する必要があることは明らかであるから、上記相違点1に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得ることといえる。 そして、本願発明の奏する作用効果は、引用発明から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。 3.まとめ 以上のとおり、(相違点1)は相違点ではないので、本願発明は、引用例に記載された発明である。 仮に、相違点であるとした場合でも、引用例に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 第4 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し、又は特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2016-11-04 |
結審通知日 | 2016-11-07 |
審決日 | 2016-11-21 |
出願番号 | 特願2012-537821(P2012-537821) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WZ
(H04Q)
P 1 8・ 113- WZ (H04Q) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 松野 吉宏 |
特許庁審判長 |
萩原 義則 |
特許庁審判官 |
大塚 良平 中野 浩昌 |
発明の名称 | 広帯域無線通信システムにおけるスイッチング方法及び装置 |
代理人 | 阿部 達彦 |
代理人 | 実広 信哉 |
代理人 | 木内 敬二 |
代理人 | 崔 允辰 |