ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F |
---|---|
管理番号 | 1326919 |
審判番号 | 不服2016-13048 |
総通号数 | 209 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2017-05-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2016-08-31 |
確定日 | 2017-04-25 |
事件の表示 | 特願2015- 59837「画像表示操作装置、画像形成装置、及び、表示方法」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 9月 3日出願公開、特開2015-158922、請求項の数(11)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成22年10月20日に出願した特願2010-235676号の一部を平成27年3月23日に新たな特許出願としたものであって、同年12月16日付けで拒絶理由が通知され、平成28年2月5日に手続補正がされ、同年5月12日付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、同年8月31日に拒絶査定不服審判が請求されたものである。 第2 原査定の概要 原査定(平成28年5月12日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。 2.(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 記 (引用文献等については引用文献等一覧参照) ●理由2(進歩性)について ・請求項 1 ・引用文献等 1 ・備考 引用文献1の図3には、画像を表示することが記載されているから、画像表示部を具備していると認められる。 引用文献1の段落49、図7,10には、印刷設定表示領域にアイコン及び文字を表示することが記載されているから、機能選択表示部を具備していると認められる。 引用文献1の段落37、図3には、シングル表示とマルチ表示とが記載されているから、複数の表示モードを具備していると認められる。 引用文献1の段落37には、WIDE釦208やTELE釦207を操作することにより、表示モードを選択することが記載されている。そして、引用文献1の段落51、図3には、シングル表示・印刷設定情報表示700とマルチ表示・印刷設定情報表示1000との間で表示モードが切り替わるとき、印刷設定表示領域の大きさを変更することが記載されている。そうすると、引用文献1記載のものは、表示制御部を具備していると認められる。 ●理由2(特許法第29条第2項)について ・請求項 1,11 ・引用文献等 1-2 出願人は意見書において、先の拒絶理由通知書で引用した引用文献1記載のものにおいて、シングル表示とマルチ表示を表示モードと認定している(特に意見書3.(B2)を参照されたい。)。 しかしながら、上記引用文献1には、表示モードとの文言は明記されておらず、段落40には、DISP釦は情報表示を切り替える釦であると記載されている。そして、上記引用文献1には、DISP釦を押すことで、情報表示無し表示500から画像情報表示600に、さらに、該画像情報表示600から印刷設定情報表示700に、さらに、該印刷設定情報表示700から該情報表示無し表示500に切り替わると記載されている(特に段落56-58等を参照されたい。)。また、TELE釦、WIDE釦を操作することによりシングル表示とマルチ表示を切り替えると記載されている(特に段落37等を参照されたい。)。 そうすると、上記引用文献1記載のものは、情報表示無し表示、並びに、画像情報表示、及び、印刷設定情報表示の3つの表示モードと、シングル表示とマルチ表示の2つの表示形態を有しており、印刷設定情報表示(複数の表示モードのいずれか一つの表示モード)が選択されている場合、TELE釦又はWIDE釦を押す操作に基づいて、印刷設定表示領域701,1201(機能選択表示領域)の表示形態を、印刷設定表示領域1201(アイコンのみを表示形態)と、印刷設定情報表示701(アイコン及びテキストを表示する表示形態)との間で切り替えているといえる。 先の拒絶理由通知書で引用した引用文献2に開示されているように、LCDとタッチパネルからなる入力部を用いフリック操作を受け付けるものは周知技術であるから、上記引用文献1記載の釦と該釦を押す操作を、タッチパネルとフリック操作とすることは、当業者が容易になし得ることと認められる。 よって、上記主張は採用できず、請求項1,11に係る発明は、先の拒絶理由通知書で引用した引用文献1記載の発明及び引用文献2に記載された周知技術に基づいて、当業者であれば容易になし得たものであるから、依然として特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 <引用文献等一覧> 1.特開2009-78372号公報 2.国際公開第2010/113597号(周知技術を示す文献) 第3 本願発明 本願請求項1?11に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」?「本願発明11」という。)は、平成28年2月5日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1?11に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりの発明である。 「【請求項1】 画像を表示する画像表示領域と、機能設定用のアイコンと機能名称のテキストとを含む機能選択メニューを表示する機能選択表示領域と、を少なくとも含む表示部と、 複数の表示モードのうちの一つの表示モードが選択されたとき、前記選択された表示モードに基づいて、前記機能選択表示領域の表示形態を、前記アイコン及び前記テキストを表示する表示形態と、前記アイコンのみを表示する表示形態との間で変更することにより、前記機能選択表示領域の大きさを変更する表示制御部と、 を具備し、 前記複数の表示モードのいずれか一つの表示モードが選択されている場合、前記表示制御部は、フリックを含むジェスチャー操作に基づいて、前記機能選択表示領域の表示形態を、前記アイコンのみを表示する表示形態と、前記アイコン及び前記テキストを表示する表示形態との間で切り替えることを特徴とする画像表示操作装置。 【請求項2】 前記機能選択表示領域の表示形態が、前記アイコンのみを表示する表示形態から、前記アイコン及び前記テキストを表示する表示形態に変更されたとき、前記機能選択表示領域は半透明で表示されることを特徴とする請求項1に記載の画像表示操作装置。 【請求項3】 前記表示部は、操作についての提案を含む情報を表示する情報表示領域を更に含むことを特徴とする請求項1または2に記載の画像表示操作装置。 【請求項4】 前記情報表示領域は、前記情報表示領域を縮小表示させるときに、前記情報表示領域の大きさを減少させるために操作される縮小ボタンを表示することを特徴とする請求項3に記載の画像表示操作装置。 【請求項5】 前記縮小ボタンが押されたときに、前記情報表示領域の大きさは、縮小表示されて、ボタンが表示されることを特徴とする請求項4に記載の画像表示操作装置。 【請求項6】 前記情報表示領域に対する操作がされることなく所定時間が経過した場合、前記情報表示領域は、折りたたまれて、代わりに、ボタンが表示されることを特徴とする請求項3から5のいずれか一項に記載の画像表示操作装置。 【請求項7】 前記表示部は、前記画像に対する処理を開始させる項目を表示する処理開始項目表示領域を更に含むことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の画像表示操作装置。 【請求項8】 前記処理開始項目表示領域は、その領域の大きさを減少させた状態で表示されることを特徴とする請求項7に記載の画像表示操作装置。 【請求項9】 その領域の大きさを減少させた状態で表示された処理開始項目表示領域は、フリックを含むジェスチャー操作に基づいて、通常の大きさとして拡大されることを特徴とする請求項8に記載の画像表示操作装置。 【請求項10】 請求項1から9のいずれか一項に記載の画像表示操作装置と、 前記画像を記録媒体上に形成する画像形成部と、 を具備することを特徴とする画像形成装置。 【請求項11】 画像を表示する画像表示領域と、機能設定用のアイコンと機能名称のテキストとを含む機能選択メニューを表示する機能選択表示領域と、を少なくとも含む表示部を用いた表示方法であって、 表示部の画像表示領域に画像を表示するステップと、 前記表示部の機能選択表示領域に、機能設定用のアイコンと機能名称のテキストとを含む機能選択メニューを表示するステップと、 複数の表示モードのうちの一つの表示モードが選択されたとき、前記選択された表示モードに基づいて、前記機能選択表示領域の表示形態を、前記アイコン及び前記テキストを表示する表示形態と、前記アイコンのみを表示する表示形態との間で変更することにより、前記機能選択表示領域の大きさを変更するステップと、 前記複数の表示モードのいずれか一つの表示モードが選択されている場合、フリックを含むジェスチャー操作に基づいて、前記機能選択表示領域の表示形態を、前記アイコンのみを表示する表示形態と、前記アイコン及び前記テキストを表示する表示形態との間で切り替えるステップと、 を具備することを特徴とする表示方法。」 第4 引用文献、引用発明等 1.引用文献について 原査定の拒絶の理由に引用された、特開2009-78372号公報(以下、「引用文献」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。 a)「【0001】 本発明は、画像を表示するための表示手段を備えるプリンタに関するものである。」(【0001】の記載。下線は当審で付与。以下、同様。) b)「【0009】 図1は、本発明に係る実施形態のプリンタの構成を示すブロック図である。本実施例のプリンタ1は、プリンタに装着されたメモリカード2、または、プリンタと接続されたホストコンピュータまたはデジタルカメラ3等から印刷対象の画像を取得して印刷することが可能である。 【0010】 2はプリンタ1に装着されるメモリカードで、画像データが記録されている。メモリカード等の記録媒体をプリンタのカードスロットに装着して、メモリカードに記録されている画像データを印刷することができる。 【0011】 11は、プリンタ1全体を制御し、各種データ演算や処理を行うCPUである。12は、CPU11が演算や処理を行う際に各種データを格納したり、ワークスペーストして用いるRAM、13はCPU11で実行されるプログラムや各種データを予め格納しておくROMである。また、CPU11はROM13から必要なプログラムを読み出し、読み出したプログラムに基づいて各部の制御及び演算処理を行う。 【0012】 14はユーザインターフェースモジュールで、電源ボタンや画像送りボタンなどの操作キー等から構成される。ユーザにより操作キーを介して指示が入力されたことに応じて、その指示を受け付けて、CPUに伝える。CPUは、ユーザからの操作内容に応じて、各部の動作を制御する。 【0013】 15は、デジタルカメラやPC等と有線若しくは無線の通信インターフェースを介して接続し、データの送受信を行うためのI/Oポート部である。 【0014】 16は、画像データを印刷するプリンタモジュールで、プリントヘッドや給排紙モータ、ヘッド、モータを制御するためのIC等を備えている。 【0015】 17は表示モジュールで、LCD、LCDドライバ、等から構成される。表示モジュール17は、LCDにメモリカード2に記録されている画像を表示させたり、起動待機画面、印刷設定変更画面を表示させたりする。また、表示モジュール17は、ユーザが不図示の操作キー等を操作したことに応じて、LCDの表示画面を変更したりする表示制御を行う。 【0016】 18は、メモリカード2にアクセスしてデータを取得するためのメモリカードインターフェースである。 【0017】 19は、プリンタ1に電源を供給する電源モジュールである。 【0018】 本実施形態のプリンタは、ユーザインターフェースのとして、図2のような複数の操作部材および、LCD表示部を有している。」(【0009】?【0018】の記載。) c)「【0034】 そこで、本実施形態のプリンタは、印刷対象の画像を選択している間に、画像と共に現在プリンタで設定されている印刷設定をLCDに表示することが可能である。 【0035】 メモリカードに記録されている画像をLCD表示部206に表示する際の表示形態について図5?図10を用いて説明する。 【0036】 図5はシングル表示・情報表示無しの表示形態の一例である。図6はシングル表示・画像情報表示の表示形態の一例である。図7はシングル表示・印刷設定情報表示の表示形態の一例である。図8はマルチ表示・情報表示無しの表示形態の一例である。図9はマルチ表示・画像情報表示の表示形態の一例である。図10はマルチ表示・印刷設定情報表示の表示形態の一例である。なお、図5?図10に表示されるもののうち、同じものについては同じ符号を付202して説明する。 【0037】 シングル表示は、LCD表示部206に1つの画像を表示させる表示形態で、マルチ表示は、複数枚の画像を同時に表示させる表示形態である。図5,6,7はシングル表示、図8,9,10はマルチ表示である。このシングル表示とマルチ表示は、TELE釦、WIDE釦を操作することにより切り替えることができる。シングル表示中にWIDE釦を押すとマルチ表示に、マルチ表示中にTELE釦を押すとシングル表示に切り替わる。 【0038】 また、プリンタ1は画像と共に、各種情報を表示することができる。この情報表示は、画像の属性に関する情報(画像情報)の表示、印刷条件設定に関する情報(印刷設定情報)の表示が可能であり、また、情報表示を行わないことも可能である。 【0039】 画像情報の表示においては、現在LCD表示部206に表示されている画像、マルチ表示の場合は表示されている画像のうち選択されている画像の属性情報が表示される。印刷設定情報の表示においては、印刷設定画面でユーザにより設定された印刷設定を表示することが可能である。 【0040】 これらの、情報表示(情報表示無し、画像情報表示、印刷設定情報表示)は、DISP釦203を操作することにより切り替えることができる。 【0041】 それぞれの情報表示画面について詳しく説明する。 【0042】 図5のシングル表示・情報表示なしの表示画面では、操作ガイダンスのためのアイコン(501、502)と印刷枚数に関する情報が表示される。 【0043】 501、502は操作ガイダンスアイコンで、501は、EDIT釦を押すことによりトリミング設定に移ることが可能であることを示している。また、502はPRINT釦を押すことにより、印刷が実行されることを示している。503には現在表示されている画像(マルチ表示の場合は選択されている画像)の印刷枚数が表示される。この印刷枚数は、上下釦(212,214)を操作することにより変更できる。504は、印刷設定された画像の枚数を示す印刷総画像枚数が表示される。これは、印刷レイアウトに関係せず、画像に対して設定された印刷枚数の合計が表示される。 【0044】 これらの501?504はシングル表示画面においては常に表示されている。 【0045】 図8のマルチ表示・情報表示無しの表示画面においても、501?504は表示される。しかし、印刷枚数の表示については、表示される複数の画像それぞれに対して印刷枚数が802のように表示される(印刷枚数が設定されていない、または、印刷枚数が0の画像に対しては、図8のように印刷枚数を表示させなくても良い)。表示される複数の画像のうち、現在選択されている画像については図5の503と同様の印刷枚数表示を行い、上下釦による印刷枚数の変更は、この画像の印刷枚数に対して行われる。また、801はトリミング設定がされているものを示すトリミングアイコンであり、トリミング設定がされている画像に重ねて表示される。これらの501?504、801、802は、情報表示に関係なく、マルチ表示においても常に表示される(802はトリミング設定が有る場合のみ表示される)。 【0046】 図6、図9は画像情報表示の表示画面であり、シングル表示・マルチ表示に関係なく同じ情報が表示される。 601は画像情報表示領域で、この領域内に602?607の各種情報が表示される。 602は、メモリカードの種類を示すアイコンで、現在プリンタ1に装着されているメモリカードに対応したアイコンが表示される。603は現在プリンタ1に装着されているメモリカードに記録されている画像の総数と、現在表示(選択)されている画像の位置が、<現在の画像位置/総画像枚数>の形式で表示される。604は、表示(または、選択)されている画像の画像番号である。605は、表示(または、選択)されている画像の撮影日時情報である。606は、表示(または、選択)されている画像の画像サイズである。表示(または、選択)されている画像が静止画である場合は画像サイズ、動画の場合は撮影時間が表示される。607は用紙サイズを示すアイコンで、プリンタに装着されている用紙またはインクシートのサイズを検出し、印刷サイズに対応したアイコンが表示される。 【0047】 図7、図10は印刷設定表示の表示画面である。 印刷設定表示では、印刷設定画面でユーザが設定した印刷条件を表示する。設定された印刷条件はROMに記録されており、ROMから設定されている印刷条件を読み出し、印刷条件設定合致したアイコンを表示させる。 701は印刷設定表示領域で、印刷条件のアイコンはこの表示領域内に表示される。 プリンタ1では、印刷条件として、日付印刷のON/OFF、画像番号印刷のON/OFF、フチありフチなし印刷の設定、印刷レイアウトの設定、赤目補正のON/OFF、色補正の設定が可能である。図7、10は、日付印刷OFF、画像番号印刷OFF、フチ有り印刷、一面配置レイアウト(1up)、赤目補正ON、くっきりカラーの色補正が印刷条件として設定されている場合の表示である。 702は、日付印刷OFFの印刷条件アイコンである。 703は、画像番号印刷OFFの印刷条件アイコンである。 704は、フチありの印刷条件アイコンである。 705は、一面配置の印刷条件アイコンである。 706は、赤目補正ONの印刷条件アイコンである。 707は、くっきりカラー色補正の印刷条件アイコンである。 設定されている印刷条件に対応したこれら702?707のアイコンが印刷設定表示領域701に表示される。 【0048】 これらの印刷条件アイコンはシングル表示(図7)からマルチ表示(図10)に切替えても同様に表示される。 【0049】 アイコンのみでは印刷条件が分かりにくいため、シングル表示画面では、印刷条件アイコンとともに、アイコンが示す印刷条件を文字で表示している。 【0050】 画像と共に印刷条件の表示を行うことにより、印刷設定画面を表示させなくでも、印刷対象の画像の選択中に、画像の選択を行いながら現在プリンタに設定されている印刷条件を確認することができる。 【0051】 しかし、シングル表示の場合は、印刷条件のアイコンと文字を画像に重ねて表示したとしても、表示されている画像を確認することが可能である。しかし、マルチ表示の場合は、印刷条件のアイコンと文字を画像に重ねて表示してしまうと、複数の画像のうち幾つかの画像は、完全に印刷設定表示領域に覆われてしまい、画像の確認ができなくなってしまう。そのため、プリンタ1では、印刷設定表示画面において、シングル表示の場合は印刷条件のアイコンと文字を表示させ、マルチ表示の場合は図10のように、印刷設定の文字を表示せずに印刷設定のアイコンのみを表示させている。こうすることにより、文字を表示させる場合に比べて印刷設定表示領域を大幅に小さくすることが可能となるので、印刷設定表示領域により画像が隠れてしまい、画像の確認ができなくなってしまうようなことがおこらない。」(【0034】?【0051】の記載。) d)「【0055】 図3は、プリンタ1の画像表示画面の遷移を示す図である。 【0056】 プリンタ1起動後は図5ように、シングル表示・情報表示無し表示500で表示される。シングル表示・情報表示無し表示500の状態で、DISP釦203が押されると、ユーザインターフェースモジュール14が操作釦への操作を検出し、図6のようにシングル表示・画像情報表示600の表示形態になる。シングル表示・情報表示無し表示500の表示形態の間に、DISPではなくWIDE釦208が操作されたら、マルチ表示・情報表示無し表示800に切り替わる。 【0057】 シングル表示・画像情報表示600の状態で、DISP釦203が押されると、図7のようにシングル表示・印刷設定情報表示700に切り替わる。シングル表示・画像情報表示600の表示形態の間に、DISP釦203ではなくWIDE釦208が操作されたら、マルチ表示・画像情報表示900に切り替わる。 【0058】 シングル表示・印刷設定情報表示700の状態で、DISP釦203が押されると、シングル表示・情報表示無し表示500に切り替わる。シングル表示・印刷設定情報表示700の表示形態の間に、DISP釦203ではなくWIDE釦208が操作されたら、マルチ表示・印刷設定情報表示1000に切り替わる。シングル表示・印刷設定情報表示700からマルチ表示・印刷設定情報表示1000に切り替わることにより、印刷条件の文字表示は消去される。 【0059】 マルチ表示・情報表示無し表示800の状態で、DISP釦203が押されると、マルチ表示・画像情報表示900に切り替わる。マルチ表示・情報表示無し表示800の表示形態の間に、DISP釦203ではなくTELE釦207が操作されたら、シングル表示・情報表示無し表示500に切り替わる。 【0060】 マルチ表示・画像情報表示900の状態で、DISP釦203が押されると、マルチ表示・印刷設定情報表示1000に切り替わる。マルチ表示・画像情報表示900の表示形態の間に、DISP釦203ではなくTELE釦207が操作されたら、シングル表示・画像情報表示600に切り替わる。 【0061】 マルチ表示・印刷設定情報表示1000の状態で、DISP釦203が押されると、マルチ表示・情報表示無し表示800に切り替わる。マルチ表示・印刷設定情報表示1000の表示形態の間に、DISP釦203ではなくTELE釦207が操作されたら、シングル表示・印刷設定情報表示700に切り替わる。マルチ表示・印刷設定情報表示1000からシングル表示・印刷設定情報表示700に切り替わることにより、印刷条件の文字表示が追加表示される。 【0062】 このように画像表示中に、各操作釦への操作を検出する。操作された釦と現在の表示形態に応じて、表示形態を切替える。」(【0055】?【0062】の記載。) 上記下線部及び関連箇所の記載によれば、引用文献には、画像を表示するための表示手段を備えるプリンタとして、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。 「画像を表示するための表示手段を備えるプリンタであり、 プリンタ1全体を制御し、各種データ演算や処理を行うCPU11、 電源ボタンや画像送りボタンなどの操作キー等から構成され、ユーザにより操作キーを介して指示が入力されたことに応じて、その指示を受け付けて、CPUに伝えるユーザインターフェースモジュール14、 LCD、LCDドライバ、等から構成され、ユーザが不図示の操作キー等を操作したことに応じて、LCDの表示画面を変更したりする表示制御を行う表示モジュール17を備え、 プリンタは、ユーザインターフェースのとして複数の操作部材および、LCD表示部を有し、 画像をLCD表示部206に表示する際の表示形態として、 LCD表示部206に1つの画像を表示させる表示形態であるシングル表示、複数枚の画像を同時に表示させる表示形態であるマルチ表示を有し、 シングル表示とマルチ表示は、TELE釦、WIDE釦を操作することにより切り替えることができ、 また、プリンタ1は画像と共に、画像の属性に関する情報(画像情報)の表示、印刷条件設定に関する情報(印刷設定情報)の表示が可能であり、また、情報表示を行わないことも可能であり、 情報表示(情報表示無し、画像情報表示、印刷設定情報表示)は、DISP釦203を操作することにより切り替えることができるものであり、 画像情報表示の表示画面では、シングル表示・マルチ表示に関係なく同じ情報が表示され、 印刷設定表示では、印刷設定画面でユーザが設定した印刷条件を表示するものであり、印刷条件設定合致したアイコンを表示させ、印刷条件アイコンはシングル表示からマルチ表示に切替えても同様に表示され、アイコンのみでは印刷条件が分かりにくいため、シングル表示画面では、印刷条件アイコンとともに、アイコンが示す印刷条件を文字で表示し、マルチ表示の場合は、印刷条件のアイコンと文字を画像に重ねて表示してしまうと、複数の画像のうち幾つかの画像は、完全に印刷設定表示領域に覆われてしまい、画像の確認ができなくなってしまうため、印刷設定の文字を表示せずに印刷設定のアイコンのみを表示させるものであり、 プリンタ1起動後は、シングル表示・情報表示無し表示500で表示され、DISP釦203が押されると、シングル表示・画像情報表示600の表示形態になり、シングル表示・情報表示無し表示500の表示形態の間に、DISPではなくWIDE釦208が操作されたら、マルチ表示・情報表示無し表示800に切り替わり、 シングル表示・画像情報表示600の状態で、DISP釦203が押されると、シングル表示・印刷設定情報表示700に切り替わり、シングル表示・画像情報表示600の表示形態の間に、DISP釦203ではなくWIDE釦208が操作されたら、マルチ表示・画像情報表示900に切り替わり、 シングル表示・印刷設定情報表示700の状態で、DISP釦203が押されると、シングル表示・情報表示無し表示500に切り替わり、シングル表示・印刷設定情報表示700の表示形態の間に、DISP釦203ではなくWIDE釦208が操作されたら、マルチ表示・印刷設定情報表示1000に切り替わり、シングル表示・印刷設定情報表示700からマルチ表示・印刷設定情報表示1000に切り替わることにより、印刷条件の文字表示は消去され、 マルチ表示・印刷設定情報表示1000の表示形態の間に、DISP釦203ではなくTELE釦207が操作されたら、シングル表示・印刷設定情報表示700に切り替わり、マルチ表示・印刷設定情報表示1000からシングル表示・印刷設定情報表示700に切り替わることにより、印刷条件の文字表示が追加表示される。 プリンタ。」 第5 当審の判断 1.本願発明1について (1)対比 本願発明1と引用発明とを対比する。 ア.引用発明の「LCD表示部206」は、「画像をLCD表示部206に表示する際の表示形態として、LCD表示部206に1つの画像を表示させる表示形態であるシングル表示、複数枚の画像を同時に表示させる表示形態であるマルチ表示を有」しているから、本願発明1の「画像を表示する画像表示領域」に相当する構成を有することは明らかである。 また、引用発明の「LCD表示部206」は、「画像と共に、画像の属性に関する情報(画像情報)の表示、印刷条件設定に関する情報(印刷設定情報)の表示が可能であり」、「印刷設定表示では、印刷設定画面でユーザが設定した印刷条件を表示するものであり、印刷条件設定合致したアイコンを表示させ、」「印刷条件アイコンとともに、アイコンが示す印刷条件を文字で表示」する「印刷設定表示領域」を有するものであるから、引用発明の「LCD表示部206」の「印刷設定表示領域」は、本願発明1の「機能設定用のアイコンと機能名称のテキストとを含む機能選択メニューを表示する機能選択表示領域」に相当する。 したがって、引用発明の「LCD表示部206」は、本願発明1の「画像を表示する画像表示領域と、機能設定用のアイコンと機能名称のテキストとを含む機能選択メニューを表示する機能選択表示領域と、を少なくとも含む表示部」に相当する。 イ.引用発明は、「シングル表示・印刷設定情報表示700」の「表示形態」では、「印刷条件アイコンとともに、アイコンが示す印刷条件を文字で表示し」、「マルチ表示・印刷設定情報表示1000の表示形態」では、「印刷条件のアイコンと文字を画像に重ねて表示してしまうと、複数の画像のうち幾つかの画像は、完全に印刷設定表示領域に覆われてしまい、画像の確認ができなくなってしまうため、印刷設定の文字を表示せずに印刷設定のアイコンのみを表示させる」ものである。 したがって、引用発明は「表示形態」に基づいて「印刷設定情報表示」を「アイコンと文字を表示する」形態と、「アイコンのみを表示する」形態との間で変更するといい得るものであり、引用発明の「表示形態」は本願発明1の「表示モード」に相当する。 また、引用発明において、「印刷設定情報表示」を「アイコンと文字を表示する」形態と「アイコンのみを表示する」形態との間で変更することは、「印刷設定表示領域」の大きさを変更するといい得ることである。 したがって、引用発明が「表示形態」に基づいて「印刷設定情報表示」を「アイコンと文字を表示する」形態と、「アイコンのみを表示する」形態との間で変更することは、本願発明1の「複数の表示モードのうちの一つの表示モードが選択されたとき、前記選択された表示モードに基づいて、前記機能選択表示領域の表示形態を、前記アイコン及び前記テキストを表示する表示形態と、前記アイコンのみを表示する表示形態との間で変更することにより、前記機能選択表示領域の大きさを変更する」ことに相当する。 そして、引用発明において、「LCDの表示画面を変更したりする表示制御」は「表示モジュール17」が行っているから、引用発明の「表示モジュール17」は、本願発明1の「複数の表示モードのうちの一つの表示モードが選択されたとき、前記選択された表示モードに基づいて、前記機能選択表示領域の表示形態を、前記アイコン及び前記テキストを表示する表示形態と、前記アイコンのみを表示する表示形態との間で変更することにより、前記機能選択表示領域の大きさを変更する表示制御部」に相当する。 ウ.引用発明の「プリンタ」は、「画像を表示するための表示手段を備える」ものであるから、本願発明1の「画像表示操作装置」に相当する。 したがって、両者は以下の一致点と相違点とを有する。 〈一致点〉 「画像を表示する画像表示領域と、機能設定用のアイコンと機能名称のテキストとを含む機能選択メニューを表示する機能選択表示領域と、を少なくとも含む表示部と、 複数の表示モードのうちの一つの表示モードが選択されたとき、前記選択された表示モードに基づいて、前記機能選択表示領域の表示形態を、前記アイコン及び前記テキストを表示する表示形態と、前記アイコンのみを表示する表示形態との間で変更することにより、前記機能選択表示領域の大きさを変更する表示制御部と、 を具備する画像表示操作装置。」 〈相違点〉 本願発明1は、「前記複数の表示モードのいずれか一つの表示モードが選択されている場合、前記表示制御部は、フリックを含むジェスチャー操作に基づいて、前記機能選択表示領域の表示形態を、前記アイコンのみを表示する表示形態と、前記アイコン及び前記テキストを表示する表示形態との間で切り替える」ものであるのに対し、引用発明は、そのような構成を有するものではない点。 (2)相違点についての判断 上記相違点について検討する。 引用発明は、「シングル表示・印刷設定情報表示700の表示形態の間に、」「WIDE釦208が操作されたら、マルチ表示・印刷設定情報表示1000に切り替わり、シングル表示・印刷設定情報表示700からマルチ表示・印刷設定情報表示1000に切り替わることにより、印刷条件の文字表示は消去され」、「マルチ表示・印刷設定情報表示1000の表示形態の間に、」「TELE釦207が操作されたら、シングル表示・印刷設定情報表示700に切り替わり、マルチ表示・印刷設定情報表示1000からシングル表示・印刷設定情報表示700に切り替わることにより、印刷条件の文字表示が追加表示される」ものであるから、ユーザによるWIDE釦208又はTELE釦207の操作により、印刷条件の文字表示の消去又は追加表示が行われる構成、すなわち、ユーザによる釦操作に基づいて、アイコンのみを表示する表示形態と、アイコン及びテキストを表示する表示形態との間で切り替える構成を有するものといえる。 しかしながら、引用発明の上記ユーザによる釦操作は、「シングル表示・印刷設定情報表示700」と「マルチ表示・印刷設定情報表示1000」とを切り替えるものであるから、本願発明1の「表示モード」に相当する引用発明の「表示形態」を切り替える操作であり、本願発明1の「複数の表示モードのいずれか一つの表示モードが選択されている場合」に「表示形態」を切り替える操作に相当するものとはいえない。 したがって、原査定で引用された国際公開第2010/113597号の明細書第1頁第4-5行に「この発明は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)等の表示デバイスと、当該表示素子の表示画面に設けられるタッチパネルなどの入力検知デバイス」、第2頁第9-11行に「ところで、表示素子とタッチパネルとからなる入力部の場合、単にタッチ操作(タップ操作)を受け付けることができるだけでなく、ドラッグ操作やフリック操作などのタッチパネルの操作面上をなぞる操作をも受け付けることができる。」と記載されるように、LCDとタッチパネルからなる入力部を用いフリック操作を受け付けることは周知技術であり、ユーザによる釦操作による入力に代え、LCDとタッチパネルからなる入力部を用いユーザによるフリック操作による入力とすること自体は、当業者が容易になし得ることと認められるものの、引用発明に上記周知技術を適用したものは、「前記複数の表示モードのいずれか一つの表示モードが選択されている場合、前記表示制御部は、フリックを含むジェスチャー操作に基づいて、前記機能選択表示領域の表示形態を、前記アイコンのみを表示する表示形態と、前記アイコン及び前記テキストを表示する表示形態との間で切り替える」ものとはならない。 なお、原査定では、「引用文献1記載のものは、情報表示無し表示、並びに、画像情報表示、及び、印刷設定情報表示の3つの表示モードと、シングル表示とマルチ表示の2つの表示形態を有しており、印刷設定情報表示(複数の表示モードのいずれか一つの表示モード)が選択されている場合、TELE釦又はWIDE釦を押す操作に基づいて、印刷設定表示領域701,1201(機能選択表示領域)の表示形態を、印刷設定表示領域1201(アイコンのみを表示形態)と、印刷設定情報表示701(アイコン及びテキストを表示する表示形態)との間で切り替えているといえる」としている。しかしながら、本願発明1は、「選択された表示モードに基づいて、前記機能選択表示領域の表示形態を、前記アイコン及び前記テキストを表示する表示形態と、前記アイコンのみを表示する表示形態との間で変更する」ものであるから、「表示モード」は、「表示モード」に基づいて「アイコン及びテキストを表示する表示形態」と「アイコンのみを表示する表示形態」との間で表示形態が変更されるものでなければならず、引用文献1に記載された「情報表示無し表示、並びに、画像情報表示、及び、印刷設定情報表示」が本願発明1の「表示モード」に相当する、とすることはできない。 したがって、本願発明1は、当業者であっても、引用発明及び上記周知技術に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。 2.請求項2-10について 請求項2-10は請求項1を直接あるいは間接的に引用する請求項であり、本願発明2-10も、本願発明1の「前記複数の表示モードのいずれか一つの表示モードが選択されている場合、前記表示制御部は、フリックを含むジェスチャー操作に基づいて、前記機能選択表示領域の表示形態を、前記アイコンのみを表示する表示形態と、前記アイコン及び前記テキストを表示する表示形態との間で切り替える」構成と同一の構成を備えるものである。 したがって、本願発明1と同様の理由により、引用発明及び上記周知技術に基づいて容易に発明できたものとは認められない。 3.請求項11について 本願発明11は、本願発明1を表示方法として記載したものであるから、上記「1.請求項1について」にて述べたのと同様の理由により、引用発明及び上記周知技術に基づいて容易に発明できたものとは認められない。 第6 むすび 以上のとおり、本願発明1-11は、当業者が引用発明に基づいて容易に発明することができたものではない。したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2017-04-10 |
出願番号 | 特願2015-59837(P2015-59837) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(G06F)
|
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 宮下 誠 |
特許庁審判長 |
新川 圭二 |
特許庁審判官 |
千葉 輝久 山田 正文 |
発明の名称 | 画像表示操作装置、画像形成装置、及び、表示方法 |
代理人 | 藤本 英介 |
代理人 | 宮尾 明茂 |
代理人 | 神田 正義 |
代理人 | 馬場 信幸 |