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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  C02F
管理番号 1326997
異議申立番号 異議2017-700060  
総通号数 209 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2017-05-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2017-01-25 
確定日 2017-04-12 
異議申立件数
事件の表示 特許第5965164号発明「カドミウム含有排水の処理方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第5965164号の請求項1ないし6に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第5965164号の請求項1ないし6に係る特許についての出願は、平成24年3月9日に出願され、平成28年7月8日にその特許権の設定登録がされ、その後、その特許に対し、特許異議申立人 福田健児により特許異議の申立てがされたものである。

第2 本件発明
特許第5965164号の請求項1ないし6の特許に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」ないし「本件発明6」といい、それらをまとめて「本件発明」という。)は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1ないし6に記載された事項により特定される次のとおりのものである。

【請求項1】
カドミウムと亜鉛と鉄とアルミニウムとを含有し、前記鉄含有量が0.5ppm以下、前記アルミニウム含有量が2ppm以下であるカドミウム含有排水からのカドミウムの除去方法であって、
前記カドミウム含有排水のpH値を8.5以上に調整する工程と、
前記pH調整されたカドミウム含有排水から、水酸化亜鉛スラリーを生成させる工程と、
前記pH調整されたカドミウム含有排水から、前記水酸化亜鉛スラリーを採集し、カドミウム含有排水処理後の処理後液を得る工程と、
前記採集された水酸化亜鉛スラリーを、前記pH値を8.5以上に調整されたカドミウム含有排水へ加える工程とを有する、ことを特徴とするカドミウム含有排水の処理方法。
【請求項2】
前記カドミニウム含有排水のpH値を調整した後、撹拌を行い、その後静置して、水酸化亜鉛スラリーを生成させることを特徴とする、請求項1に記載のカドミウム含有排水の処理方法。
【請求項3】
前記撹拌されたカドミウム含有排水へ凝集剤を添加し、水酸化亜鉛スラリーを生成させることを特徴とする請求項2に記載のカドミウム含有排水の処理方法。
【請求項4】
前記採集された水酸化亜鉛スラリーを、前記pH値を8.5以上に調整されたカドミウム含有排水へ加える際、当該加える量を制御することで、前記カドミウム含有排水処理後の処理後液中のカドミウム濃度を0.03ppm以下とすることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のカドミウム含有排水の処理方法。
【請求項5】
前記カドミウム含有排水のカドミウム濃度が、0を超え3ppm以下であることを特徴とする、請求項1から4のいずれかに記載のカドミウム含有排水の処理方法。
【請求項6】
前記カドミニウム含有排水の亜鉛含有量が15ppm以上であることを特徴とする、請求項1から5のいずれかに記載のカドミウム含有排水の処理方法。

第3 特許異議申立の取消理由の概要
特許異議申立人は、後記する甲各号証を証拠として提出し、以下の概要の申立理由により、請求項1ないし6に係る特許は取り消されるべきである旨を主張している。

<申立理由>進歩性要件違反
本件発明1-2に係る特許は、同発明が、甲第1号証に記載された発明、甲第3号証に記載された技術的事項、及び、甲第2号証に記載された技術的事項に基いて、また、本件発明3-6に係る特許は、同発明が、甲第1号証に記載された発明、甲第3号証に記載された技術的事項、甲第2号証に記載された技術的事項、及び、甲第4、5号証に記載された周知技術に基いて、それぞれ当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものに対してされたものであるから、取り消されるべきものである。

<甲各号証>
○甲第1号証:特開平10-53821号公報
○甲第2号証:特開平1-99688号公報
○甲第3号証:特開2001-232374号公報
○甲第4号証:特開2007-275757号公報
○甲第5号証:特開2006-320862号公報
なお、以下で「甲第1号証」ないし「甲第5号証」を、それぞれ「甲1」ないし「甲5」ということがある。

第4 当審の判断
特許異議申立の取消理由について以下で検討する。
A.本件発明1について
1.甲第1号証の記載
(ア)「【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、銅の乾式製錬で排出されたダストからのCd及びZnの回収方法に関する。より詳細には、本発明は、銅マットの酸化脱鉄工程で排出されたダストからのCd及びZnの回収方法に関する。」
(イ)「【0010】即ち、本発明は、ダストからのCd及びZnの回収方法であって、銅マットの酸化脱鉄工程で排出された排ガスからダストを回収し、ダストを酸浸出工程に供し、得られた浸出後液をpH=5?6まで第1段中和処理に供した後、濾過により中和泥と濾液とに分離し、そして、濾液を水酸化アルカリ、例えば、水酸化ナトリウムや水酸化カルシウムを用いてpH=9?11まで第2段中和処理に供して、殿物中にCd及びZnを含ませることで、Cd及びZnを回収する、各工程を含むことを特徴とするものである。」
(ウ)「【0018】第1段中和処理工程:得られた浸出後液(予備中和処理を実施した場合には、中和処理後液)をpH=5?6まで第1段中和処理に供する。中和液として、好ましくは、濃度が100?200g/Lの水酸化カルシウムを用いる。この工程において、中和泥が産出される。この中和泥には、主に、Cu、As及びZnが濃縮される。濾過により中和泥と濾液とに分離する。」
(エ)「【0019】第2段中和処理工程:濾液を水酸化アルカリを用いてpH=9?11まで第2段中和処理に供する。好ましくは、水酸化ナトリウムを用いる。この工程により水酸化亜鉛が産出される。この水酸化亜鉛には、Cd及びZnが濃縮されて含まれている。この工程は、殿物の水分を低減するため、好ましくは、反応槽を約80℃まで蒸気加温した上で実施する。」
(オ)「【0026】4)第2段中和処理工程:濾液を濃度が48%の水酸化ナトリウムを合計で198m^(3)用いてpH=9.5まで第2段中和処理に供した。このとき、産出される殿物の水分を低減するため、反応槽を約80℃まで蒸気加温した上で実施した。この工程により水酸化亜鉛を含む殿物が産出された。この殿物をフィルターを用いて分離・回収したところ、76.4Dt(水分として58.8Dt含有)であった。」
(カ)「【0028】産出物であるダスト出鉛サイ、中和泥及び殿物中に含まれる元素の種類及び含有量は、表1の下段に示す通りであった。」と記載され、【0029】の【表1】には、それらの元素として、「As」、「Cu」、「Cd」、「Zn」、「Sb」、「Pb」、「Bi」が記載されている。

2.甲第1号証に記載された発明
i)甲1の記載事項(ア)から、甲1には「銅の乾式製錬」の工程である「銅マットの酸化脱鉄工程で排出されたダストからのCd及びZnの回収方法」について記載されている。
ii)同(イ)から、上記「方法」においては、「銅マットの酸化脱鉄工程で排出された排ガスからダストを回収し、ダストを酸浸出工程に供し、得られた浸出後液をpH=5?6まで第1段中和処理に供した後、濾過により中和泥と濾液とに分離し、そして、濾液を水酸化アルカリ、例えば、水酸化ナトリウムや水酸化カルシウムを用いてpH=9?11まで第2段中和処理に供して、殿物中にCd及びZnを含ませることで、Cd及びZnを回収する」ものであり、「第1段中和処理に供した後、濾過により中和泥と濾液とに分離」した後の「濾液」(以下、「濾液A」という。)に着目すると、同「濾液A」は、「第2段中和処理」により「Cd及びZn」を含有する「殿物」を生成させるものであるから、「Cd及びZn」を含むものといえる。
iii)同(ウ)(エ)から、「濾液A」は、「第2段中和処理」で「水酸化ナトリウムや水酸化カルシウムを用いてpH=9?11」にされて「Cd及びZn」を含有する「水酸化亜鉛を含む殿物」を生成させるものである。
iv)同(オ)から、同「殿物」は「フィルターを用いて分離・回収」されるので、「分離・回収」されるのは、「殿物」と「濾液」(以下、「濾液B」という。)といえる。
v)以上から、「濾液A」の処理に着目し、本件発明1の記載に則して整理すれば、甲1には次の発明が記載されていると認められる。
「Cd及びZnを含む濾液AからCd及びZnを回収する方法であって、
濾液Aを、水酸化ナトリウムや水酸化カルシウムを用いてpH=9?11にする工程と、
pH=9?11にされた濾液Aから、Cd及びZnを含有する水酸化亜鉛を含む殿物を生成する工程と、
pH=9?11にされた濾液Aから、Cd及びZnを含有する水酸化亜鉛を含む殿物を分離・回収し、濾液Bを得る工程、
でなる濾液AのCd及びZnの回収方法。」(以下、「引用発明」という。)

3.本件発明1と引用発明との対比
i)引用発明の「濾液A」は「Cd及びZn」を含むから、本件発明1の「カドミウム含有排水」と引用発明の「濾液A」とは、「カドミウム含有排水」である点で一致する。
ii)引用発明の「濾液AのCd及びZnの回収方法」は、本件発明1の「カドミウム含有排水からのカドミウムの除去方法」に相当する。
iii)引用発明の「濾液Aを、水酸化ナトリウムや水酸化カルシウムを用いてpH=9?11にする工程」は、本件発明1の「カドミウム含有排水のpH値を8.5以上に調整する工程」に相当する。
iv)引用発明の「pH=9?11にされた濾液Aから、Cd及びZnを含有する水酸化亜鉛を含む殿物を生成する工程」は、本件発明1の「pH調整されたカドミウム含有排水から、水酸化亜鉛スラリーを生成させる工程」に相当する。
v)引用発明の「濾液B」は、「濾液A」のpH調整により生成した「水酸化亜鉛を含む殿物を分離・回収」した残りの液だから、本件発明1の「カドミウム含有排水処理後の処理後液」に相当する。
よって、引用発明の「pH=9?11にされた濾液Aから、Cd及びZnを含有する水酸化亜鉛を含む殿物を分離・回収し、濾液Bを得る工程」は、本件発明1の「pH調整されたカドミウム含有排水から、前記水酸化亜鉛スラリーを採集し、カドミウム含有排水処理後の処理後液を得る工程」に相当する。
vi)すると、本件発明1と引用発明とは、
「カドミウム含有排水からのカドミウムの除去方法であって、
前記カドミウム含有排水のpH値を8.5以上に調整する工程と、
前記pH調整されたカドミウム含有排水から、水酸化亜鉛スラリーを生成させる工程と、
前記pH調整されたカドミウム含有排水から、前記水酸化亜鉛スラリーを採集し、カドミウム含有排水処理後の処理後液を得る工程と、
でなるカドミウム含有排水の処理方法。」の点で一致し、以下の点で相違する。

(相違点1)
「カドミウム含有排水」の含有する成分について、本件発明1は「カドミウムと亜鉛と鉄とアルミニウムとを含有し、前記鉄含有量が0.5ppm以下、前記アルミニウム含有量が2ppm以下である」のに対して、引用発明は「Cd及びZnを含有する」ものである点。

(相違点2)
「水酸化亜鉛スラリー」の処理について、本件発明1では、「採集された水酸化亜鉛スラリーを、前記pH値を8.5以上に調整されたカドミウム含有排水へ加える工程」を有するのに対して、引用発明では、「分離・回収」した「水酸化亜鉛を含む殿物」を「pH=9?11」にした「濾液A」へ加えるものではない点。

4.相違点の検討
i)事案に鑑み相違点2について検討する。
ii)甲第3号証には次の技術的事項が示されている。
「銅の電解製錬工程」等から生成する排水中に「金属オキソアニオン又は金属イオンの形で含まれ」る「セレン、ヒ素、カドミウム及びマンガン」を「回収、除去」する「排水の処理方法」(【請求項1】、【0002】、【0003】)であって、
処理対象の「排水」が流れる順に、「原水槽」、「1段槽」、「2段槽」と並ぶフロー(【図1】)において、
a)「原水槽」、「1段槽」、「2段槽」のいずれかで、処理対象の「排水」に「Fe^(3+)」と「Mn^(2+)」とを混合し、その濃度が、「Fe^(3+)」で少なくとも「50ppm」であり(【0029】?【0033】、【図1】)、
b)「1段槽」で、「排水」を「水酸化カルシウム」等で「pH4?8」にして、「SeO_(3)^(2-)」「AsO_(4)^(3-)」を「主として鉄と共沈」させることにより除去(【0019】【0029】?【0033】、【0038】)し、
c)「2段槽」で、さらに「排水」を「水酸化カルシウム」等で「pH9?12」にして、「Cd^(2+)」「Mn^(2+)」を「主として鉄と共沈」させ(【0020】)、
d)「2段槽」から、上記の「共沈」した沈殿物である「共沈残渣(鉄沈)」を回収(【0021】)して、「pH9?12」に調整された「2段槽」へ添加する(【0013】【0022】【図1】)ことで、「共沈源」として用い、「4価のセレンに加えて、ヒ素、カドミウム及びマンガンを効率よく回収、除去できる」(【0023】)という点。
iii)すると、甲第3号証には、カドミウムを含有する「排水の処理方法」において、「排水」を「pH9?12」に調整して「Cd^(2+)」「Mn^(2+)」を沈殿させて、当該沈殿である「Cd^(2+)」を含むスラリーを「pH9?12」に調整した「排水」へ添加するという技術的事項が開示されているといえる。
iv)ここで、甲1の記載事項(カ)から、引用発明の「濾液A」が「鉄」を含むか否かは不明であり、また、「pH=9?11」にすることで「水酸化亜鉛を含む殿物」が生成し、当該「殿物」に「Cd」が含まれるものであることから、引用発明では、亜鉛が「Cd」の「共沈源」であるといえる。
すると、上記iii)の甲第3号証に開示された技術的事項は、上記ii)から、「鉄」を「Cd^(2+)」の「共沈源」とするものだから、引用発明と甲第3号証に開示された技術的事項とは、「共沈源」を異にするものであるので、引用発明に甲第3号証に開示された技術的事項を適用する動機付けに欠けることは明らかであるし、また、本件発明1は、そもそも「鉄含有量が0.5ppm以下」の「カドミウム含有排水」を対象とする発明であり、「鉄」を処理の途中で添加することもないから、「カドミウム含有排水」の鉄含有量の点でも、鉄を含むか否か不明な引用発明に、鉄をカドミウムの共沈源として多量に要する甲第3号証に開示された技術的事項を適用することは想起し得ない。
v)よって、引用発明への甲第3号証に記載の技術的事項の適用により本件発明1をなすことは容易想到とはいえない。
vi)以上から、上記相違点2は実質的なものというべきである。

5.甲第2,4,5号証について
i)甲第2号証について
甲2には、「カドミウムを含む廃水の処理方法」(発明の名称)において、「先ずカドミウムを含む廃水を炭酸カルシウムによってpH6程度に中和し、次に該中和液を苛性ソーダによってpH8?8.6に調整する。これによって生成さた沈澱物を固液分離した後、その上澄水中に僅かに残留するカドミウムをキレート剤等によって捕捉する」(2頁右上欄1-7行)という技術的事項が示されている。
したがって、甲2には上記相違点2に係る技術的事項は示されていない。
ii)甲第4号証について
甲4には、「イオン含有排水の凝集沈殿処理方法」(発明の名称)において、「フッ化物イオン含有排水」あるいは「銅、亜鉛、ニッケル、カドミウム、マンガン、鉛、亜鉛、鉄などの重金属イオン含有排水」等に「難溶性塩を形成するアルカリ化合物」を添加して「不溶物」を生成させるに際し、「処理水」の「濁度」を低減させる(【0002】?【0005】)ために、「カチオン系高分子凝集剤」と「アニオン系高分子凝集剤」とを併用(【0008】)し、また、「不溶物」の凝集沈殿の促進のために「原水に対して通常10?40ppm」である「アルミニウム塩(又は鉄塩)」を添加」(【0019】)し、「生成した不溶物を含有する汚泥を沈降分離処理」(【0023】)してできた「濃縮汚泥」を「混合槽」へ返送し「カルシウム化合物」(「難溶性塩を形成するアルカリ化合物」の一例)と混ぜて「イオン含有排水」へ混合(【0026】)するという技術的事項が示されている。
すると、甲4には、上記相違点2に係る技術的事項と関連して、「不溶物」でなる「濃縮汚泥」を、「混合槽」へ返送して「アルカリ化合物」と混ぜて、結果としてpHを調整した「イオン含有排水」へ混合する点が開示されているといえる。
しかしながら、甲4の上記開示は実施例としての「フッ化物イオン含有排水」に関するもので、「カドミウム」「亜鉛」の凝集沈殿について具体的に開示されているものではなく、凝集促進のために「アルミニウム塩(又は鉄塩)」の添加が成し得ることからも明らかなように、「カドミウム」の共沈源として「亜鉛」を用いることを認識するものではない。
したがって、上記の点が甲4に開示されていても、引用発明のカドミウムの共沈源は亜鉛であり、甲4の技術的事項におけるカドミウムの共沈源は亜鉛であるとまではいえないから、引用発明において甲4の技術的事項を適用して相違点2に係る本願発明1の特定事項に想到し得るものとはいえない。
iii)甲第5号証について
甲5には、「無機性廃水の処理方法及び処理装置」(発明の名称)において、「亜鉛(Zn)」「カドミウム(Cd)」を含む「無機性廃水」に「水酸化カルシウム等」を添加して(【0002】)、「pH9?11」で「不溶性水酸化物フロック」を生成凝縮させ(【0016】)、「クロスフロー式ろ過装置より上流側に所定時間循環させ」て、同装置の「ろ材表面」に「不溶性水酸化物フロックをケーキ層として堆積させ」ることで「処理水中の不純物濃度を低濃度とすることができ」る(【0013】【図1】)ところ、「反応槽4」へクロスフロー式「ろ過装置通過後廃水を循環させることにより、ろ過装置通過後廃水にアルカリ剤と反応する機会を再度与えることができる」(【0040】【図3】)という技術的事項が示されている。
すると、甲5には、上記相違点2に係る技術的事項と関連して、「クロスフロー式ろ過装置」を「通過後」の「廃水」を「反応槽4」へ循環させることにより、同「廃水」にアルカリ剤と反応する機会を再度与える点が開示されているといえる。
しかしながら、甲5の上記点において「反応槽4」へ循環されるのは、「ろ材表面」に「不溶性水酸化物フロックをケーキ層として堆積させ」た後の実質的にろ過された後の「廃水」であり、「不溶性水酸化物フロック」が「反応槽4」へ循環されるものではない。
したがって、上記の点が甲5に開示されていても、それは「採集された水酸化亜鉛スラリーを、前記pH値を8.5以上に調整されたカドミウム含有排水へ加える工程」に用いる上記相違点2に係る本願発明1の特定事項に当たらない。

6.甲第1?5号証について
甲第1?5号証に記載された技術的事項は上記でみたようなものであるから、甲第1?5号証に記載された技術的事項をどのように組み合わせても、上記相違点2に係る本願発明1の特定事項は、当業者が容易に想到し得るものではない。

7.本件発明1についての結言
以上から、本件発明1に係る特許は、同発明が、甲第1号証に記載された発明、甲第3号証に記載された技術的事項、及び、甲第2号証に記載された技術的事項に基いて、また、甲第1?5号証に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえないので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものに対してされたものでなく、取り消されるべきものでない。

B.本件発明2-6について
本件発明2-6は直接又は間接的に本件発明1を引用するから、本件発明2-6に係る特許についても、本件発明1に係る特許と同様に、取り消されるべきものでない。

第5 むすび
したがって、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、請求項1ないし6に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1ないし6に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2017-03-31 
出願番号 特願2012-53523(P2012-53523)
審決分類 P 1 651・ 121- Y (C02F)
最終処分 維持  
前審関与審査官 片山 真紀  
特許庁審判長 豊永 茂弘
特許庁審判官 中澤 登
山本 雄一
登録日 2016-07-08 
登録番号 特許第5965164号(P5965164)
権利者 DOWAテクノロジー株式会社 卯根倉鉱業株式会社
発明の名称 カドミウム含有排水の処理方法  
代理人 阿仁屋 節雄  
代理人 阿仁屋 節雄  
代理人 奥山 知洋  
代理人 奥山 知洋  
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