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審決分類 審判 訂正 ただし書き3号明りょうでない記載の釈明 訂正する F04C
審判 訂正 特許請求の範囲の実質的変更 訂正する F04C
審判 訂正 3項(134条5項)特許請求の範囲の実質的拡張 訂正する F04C
審判 訂正 4項(134条6項)独立特許用件 訂正する F04C
審判 訂正 (特120条の4,3項)(平成8年1月1日以降) 訂正する F04C
審判 訂正 ただし書き2号誤記又は誤訳の訂正 訂正する F04C
管理番号 1327198
審判番号 訂正2017-390003  
総通号数 210 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-06-30 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2017-01-19 
確定日 2017-03-27 
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6022247号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第6022247号の明細書、特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。 
理由 第1 請求の趣旨
平成29年 1月19日付けでなされた本件訂正審判の請求は、特許第6022247号(特許出願:平成24年 7月27日、設定登録:平成28年10月14日)の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「本件特許明細書」という。)における明細書及び特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正明細書及び特許請求の範囲のとおりに訂正することを求めるものであって、具体的には、訂正事項1ないし訂正事項2のとおりにすること(以下、「本件訂正」という。)を求めるものである。

1.訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「前記第1仕切板吐出ポート及び前記第2仕切板吐出ポートから、前記第1・第2シリンダ室で圧縮されたガス冷媒が前記圧縮室内空間内に吐出され、」と記載されているのを、「前記第1仕切板吐出ポート及び前記第2仕切板吐出ポートから、前記第1・第2第シリンダ室で圧縮されたガス冷媒が前記仕切板内空間内に吐出され、」に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2ないし請求項7も同様に訂正する。下線は当審で付与した。以下同様。)。

2.訂正事項2
本件特許明細書の段落【0011】に、「第1仕切板吐出ポート及び第2仕切板吐出ポートから、第1・第2シリンダ室で圧縮されたガス冷媒が圧縮室内空間内に吐出され、」と記載されているのを、「第1仕切板吐出ポート及び第2仕切板吐出ポートから、第1・第2シリンダ室で圧縮されたガス冷媒が仕切板内空間内に吐出され、」に訂正する。

第2 本件訂正の適否についての判断
1.訂正の目的の適否について
(1)訂正事項1
訂正前の請求項1に係る発明では、「前記第1仕切板吐出ポート及び前記第2仕切板吐出ポートから、前記第1・第2シリンダ室で圧縮されたガス冷媒が前記圧縮室内空間内に吐出され、」となっている。
訂正前の請求項1に係る発明には、「圧縮室内空間」や「圧縮室」が当該記載よりも前において記述されていないから、「前記圧縮室内空間」の「前記」が誤記であり、圧縮室が何を示すのかは訂正前の請求項1の記載からでは明らかでない。
そこで、本件特許明細書の記載を検討すると、本件特許明細書は、「圧縮室」について、段落【0011】の「第1仕切板吐出ポート及び第2仕切板吐出ポートから、第1・第2シリンダ室で圧縮されたガス冷媒が圧縮室内空間内に吐出され、」との記載と、段落【0056】の「プレード49により第1・第2シリンダ室17a、19a内が、ガス冷媒を吸込む吸込室(図示せず)と吸込んだガス冷媒を圧縮する圧縮室(図示せず)とに区画されている」との記載しかない。段落【0011】には、本件発明の課題を解決するための手段として、訂正前の請求項1の記載に相当する事項が記載されているにすぎず、段落【0056】の前記記載からみて、「圧縮室」は、第1・第2シリンダ室17a、19aの一部であって、ガス冷媒を圧縮する室である。
そうすると、訂正前の請求項1の「前記第1仕切板吐出ポート及び前記第2仕切板吐出ポートから、前記第1・第2シリンダ室で圧縮されたガス冷媒が前記圧縮室内空間内に吐出され、」の記載は、圧縮室で圧縮されたガス冷媒が第1仕切板吐出ポート及び第2仕切板吐出ポートから圧縮室自身に吐出されることを意味することとなり、明らかに不合理である。
そして、本件特許明細書中には、段落【0026】に「仕切板18は、第1シリンダ17と第2シリンダ19との間を仕切るとともに、その内部に仕切板内空間である仕切板内マフラ室18aが形成されている」と、段落【0029】に「第1分割仕切板18bには、第1シリンダ室17a内で圧縮されたガス冷媒を仕切板内マフラ室18aに吐出する第1仕切板吐出ポート35が形成されている。」と、段落【0031】に「第2分割仕切板18cには、第2シリンダ室19aで圧縮されたガス冷媒を仕切板内マフラ室18aに吐出する第2仕切板吐出ポート42が形成されている。」と、それぞれ記載されている。これらの記載から、第1仕切板吐出ポート及び第2仕切板吐出ポートから、第1・第2シリンダ室で圧縮されたガス冷媒が吐出されるのは、前記圧縮室ではなく、前記仕切板内空間である仕切板内マフラ室であることが理解できる。
以上のことをふまえれば、「第1・第2シリンダ室で圧縮されたガス冷媒が、第1仕切板吐出ポート及び第2仕切板吐出ポートから前記圧縮室内空間に吐出される」との記載は明らかな誤記で、第1・第2シリンダ室で圧縮されたガス冷媒が吐出されるのは、「前記仕切板内空間内」であるのが正しいことが理解できる。
してみれば、「誤記の訂正」とは、本来その意であることが、明細書、特許請求の範囲又は図面の記載などから明らかな内容の字句、語句に正すことをいい、訂正前の記載が当然に訂正後の記載と同一の意味を表示するものと客観的に認められるものをいうから、この訂正事項1の訂正は、特許法第126条第1項ただし書第2号に規定する誤記の訂正を目的とするものである。
同様に、訂正後の請求項2ないし請求項7においても、訂正後の請求項1に記載された「第1仕切板吐出ポート及び第2仕切板吐出ポートから、第1・第2シリンダ室で圧縮されたガス冷媒が前記仕切板内空間内に吐出され、」を直接的又は間接的に引用しており、特許法第126条第1項ただし書第2号に規定する誤記の訂正を目的とするものである。
(2)訂正事項2
訂正事項2の訂正は、訂正事項1に係る訂正に伴って、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るものである。
そうすると、訂正事項2の訂正は、特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

2.本願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであるか否かについて
(1)訂正事項1
訂正事項1の訂正は、上述のとおり特許明細書の段落【0026】、【0029】、【0031】に記載された内容に基づいて導き出された構成であって、当該記載は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面にも記載されているから,訂正事項1の訂正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に範囲内の訂正であり、特許法126条第5項の規定に適合するものである。
(2)訂正事項2
訂正事項2の訂正は、訂正事項1に係る訂正に伴って、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るものであるから、上記2.(1)と同様の理由により、当該訂正事項2の訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項の規定に適合するものである。

3.訂正が実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるか否かについて
(1)訂正事項1
訂正事項1の訂正は、請求項中の記載が、本件特許明細書の記載との関係で誤りであることが明らかであり、かつ、本件特許明細書の記載全体から、正しい記載が自明な事項として定まるときにおいて、その誤りを正しい記載にする訂正である。
よって、訂正事項1の訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものには該当せず、特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
(2)訂正事項2
訂正事項2の訂正は、訂正事項1に係る訂正に伴って、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るものであるから、上記3.(1)と同様の理由により、当該訂正事項2は、実質上特許請求の範囲を拡張、又は変更するものには該当せず、特許法第126条第6項の規定に適合するものである。

4.訂正後の発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるか否かについて
特許公報に参考文献として列挙された中国特許出願公開第1676938号明細書、特開平10-213087号公報、特開平1-301984号公報、特開平2-230994号公報、国際公開第2009/145232号、実開平2-63093号公報のいずれの文献にも、第1仕切板吐出ポートの断面積が第1軸受吐出ポートの断面積より小さく形成され、第2仕切板吐出ポートの断面積が第2軸受吐出ポートの断面積よりも小さく形成された点は、記載されておらず、訂正後の請求項1?7に係る発明(以下、「本件訂正発明1?7」という。)は、「第1仕切板吐出ポート35と第2仕切板吐出ポート42とから仕切板内空間である仕切板内マフラ室18aに吐出されるガス冷媒の量が少なくなり、仕切板内マフラ室18aの容積を小さくしても仕切板内マフラ室18aに吐出されるガス冷媒の圧力脈動を抑制することができ、圧力脈動が原因となる騒音の発生を抑制することができる。また、仕切板内マフラ室18aの容積を小さくすることにより、仕切板18を薄型化することができ、仕切板18を薄型化することにより第1軸受15と第2軸受20との間隔を小さくすることができる。第1軸受15と第2軸受20との間隔が小さくなることにより、回転軸12が第1軸受15や第2軸受20に対して片当りすることや、回転軸12が撓むことを防止することができ、密閉型圧縮機2の性能を高めることができる。」(段落【0084】)という格別の作用効果を奏するものである。
また、他に本件訂正発明1?7が特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由を発見しない。
したがって、訂正事項1の訂正は、特許法第126条第7項の規定に適合するものである。

第3 むすび
したがって、本件訂正は、特許法第126条第1項ただし書第2号又は第3号に掲げる事項を目的とし、かつ同条第5項ないし第7項の規定に適合するものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
密閉型圧縮機及び冷凍サイクル装置
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、密閉型圧縮機及びこの密閉型圧縮機を用いた冷凍サイクル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
密閉ケース内に電動機部とこの電動機部に連結された回転軸により駆動される圧縮機構部とを収容し、圧縮機構部に仕切板を介して上下一対のシリンダを設け、各シリンダ内に形成されたシリンダ室内でガス冷媒(作動流体)を圧縮し、圧縮したガス冷媒を密閉ケース内の空間に吐出する密閉型圧縮機として、例えば、下記特許文献1、2に記載されたものが知られている。
【0003】
特許文献1に記載された密閉型圧縮機では、仕切板に吐出ポートを形成し、シリンダ室内で圧縮したガス冷媒をこの吐出ポートから密閉ケース内の空間に吐出している。
【0004】
特許文献2に記載された密閉型圧縮機では、回転軸を軸支する軸受と仕切板とに吐出ポートを形成し、シリンダ室内で圧縮したガス冷媒をこれらの吐出ポートから密閉ケース内の空間に吐出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10-213087号公報
【特許文献2】国際公開2009/145232号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された密閉型圧縮機は、吐出ポートが仕切板にのみ形成されているため、ガス冷媒の吐出量が多くなることに伴いガス冷媒が吐出ポートを通過する際の圧力損失が大きくなり、密閉型圧縮機の性能が低下する。
【0007】
特許文献2に記載された密閉型圧縮機は、吐出ポートが仕切板と軸受とに形成されているため、ガス冷媒の吐出量が多くなった場合でも、ガス冷媒が吐出ポートを通過する際の圧力損失を抑制することが可能である。しかし、仕切板に形成された吐出ポートの断面積と軸受に形成された吐出ポートの断面積についての記載はない。仕切板に形成された吐出ポートの断面積と軸受に形成された吐出ポートの断面積とが同じであると、仕切板の吐出ポートから仕切板内に形成されたマフラ室内に吐出されるガス冷媒の圧力脈動を抑えるためには、仕切板のマフラ室の容積を、軸受の吐出ポートから吐出されるガス冷媒のためのマフラ室の容積と同等にする必要があり、仕切板が厚くなる。仕切板が厚くなると、それに伴って軸受間の間隔が大きくなり、軸受に対する回転軸の片当りや回転軸の撓みが発生する。軸受に対する回転軸の片当りや回転軸の撓みは、密閉型圧縮機の性能を低下させる一因となる。
【0008】
また、仕切板を有する密閉型圧縮機は、回転軸に一対の偏心部が形成され、それらの偏心部の間に偏心部間連結部が形成され、この偏心部間連結部が挿通される挿通部が仕切板の中央に形成されている。ここで、仕切板に吐出ポートやマフラ室を形成した場合には、回転軸の軸方向に沿った仕切板の厚さ寸法が大きくなる。そして、仕切板の厚さ寸法が大きくなることにより、回転軸の軸方向に沿った偏心部間連結部の長さ寸法が大きくなり、回転軸の回転時にこの偏心部間連結部が撓みを生じ易くなり、回転軸の剛性が低下する。
【0009】
偏心部間連結部の撓みを防止して回転軸の剛性を高めるためには、偏心部間連結部を大径にすることが考えられる。しかし、仕切板内のマフラ室の容積を確保するためには挿通部を大径にすることはできず、挿通部の大きさが制限されることにより偏心部間連結部を大径化することが制限される。
【0010】
本発明の実施形態の目的は、シリンダ室で圧縮された作動流体が吐出ポートを通過する際の圧力損失を抑制することができ、さらに、仕切板の吐出ポートから吐出される作動流体の圧力脈動を抑制して仕切板の薄型化を図ることができ、しかも、回転軸の偏心部間連結部を大径化して回転軸の剛性を高めることができる密閉型圧縮機及びこの密閉型圧縮機を用いた冷凍サイクル装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
実施形態の密閉型圧縮機によれば、電動機部とこの電動機部に連結された回転軸により駆動される圧縮機構部とが密閉ケース内に収容され、圧縮機構部は、回転軸の軸方向に沿って順に設けられた第1軸受と、第1シリンダと、仕切板と、第2シリンダと、第2軸受とを備え、両端を第1軸受と仕切板とによって閉止された第1シリンダ内に作動流体を圧縮する第1シリンダ室が形成され、両端を仕切板と第2軸受とによって閉止された第2シリンダ内に作動流体を圧縮する第2シリンダ室が形成され、第1シリンダ室内で圧縮された作動流体と第2シリンダ室内で圧縮された作動流体とを密閉ケース内の空間に吐出する密閉型圧縮機において、仕切板の内部に密閉ケース内の空間に連通する仕切板内空間が形成され、第1シリンダ室内で圧縮された作動流体が密閉ケース内の空間に吐出する吐出ポートとして、第1軸受に形成された第1軸受吐出ポートと仕切板に形成され、第1仕切板吐出ポートとを有し、第2シリンダ室内で圧縮された作動流体が密閉ケース内の空間に吐出する吐出ポートとして、第2軸受に形成された第2軸受吐出ポートと仕切板に形成された第2仕切板吐出ポートとを有し、第1仕切板吐出ポート及び第2仕切板吐出ポートから、第1・第2シリンダ室で圧縮されたガス冷媒が仕切板内空間内に吐出され、第1仕切板吐出ポートの断面積は第1軸受吐出ポートの断面積より小さく形成され、第2仕切板吐出ポートの断面積は第2軸受吐出ポートの断面積より小さく形成されている。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1の実施形態の密閉型圧縮機を含む冷凍サイクル装置の概略図である。
【図2】第2の実施形態の密閉型圧縮機の一部を示す縦断面図である。
【図3】偏心部間連結部材の外周部への仕切板の組み付け手順を示す説明図である。
【図4】第3の実施形態の密閉型圧縮機の一部を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第1の実施形態)
第1の実施形態について、図1に基づいて説明する。図1に示すように、冷凍サイクル装置1は、密閉型圧縮機2と、密閉型圧縮機2に接続された凝縮器3と、凝縮器3に接続された膨張装置4と、膨張装置4に接続された蒸発器5と、蒸発器5と密閉型圧縮機2との間に接続されたアキュムレータ6とを有している。この冷凍サイクル装置1では、作動流体である冷媒が気体状のガス冷媒と液体状の液冷媒とに相変化しながら循環し、ガス冷媒から液冷媒に相変化する過程で放熱され、液冷媒からガス冷媒に相変化する過程で吸熱され、これらの放熱や吸熱を利用して暖房、冷房、加熱、冷却等が行われる。
【0014】
密閉型圧縮機2は、略円筒状に形成された気密状態の密閉ケース7を有し、この密閉ケース7内に電動機部8とガス冷媒を圧縮する圧縮機構部9とが収容されている。密閉ケース7は、円筒の中心を上下方向に向けて設置され、密閉ケース7内の上方側に電動機部8が配置され、その下方に圧縮機構部9が配置されている。密閉ケース7内の底部には、潤滑油が貯留されている。密閉ケース7内の空間は、圧縮機構部9で圧縮された後の高圧のガス冷媒で満たされている。
【0015】
電動機部8は、固定子10と回転子11と回転軸12とを有している。固定子10は円筒状に形成され、密閉ケース7の内周部に焼嵌めや圧入又は溶接等により固定されている。回転子11は、固定子10の内側に回転可能に挿入され、回転子11の中心部に回転軸12が嵌合され、回転軸12と回転子11とが一体に回転する。
【0016】
回転軸12には、この回転軸12の外周側に向けて張り出した二つの円柱状の偏心部13、14が形成されている。これらの偏心部13、14は、回転軸12の軸方向に沿って設定寸法離間した位置に形成されるとともに、回転軸12の回転方向に沿って180°離間した位置に形成されている。
【0017】
圧縮機構部9は、電動機部8の回転軸12により駆動され、低圧のガス冷媒を圧縮して高圧・高温のガス冷媒とする部分であり、回転軸12の軸方向に沿って順に設けられた、第1軸受15と、第1マフラケース16と、第1シリンダ17と、仕切板18と、第2シリンダ19と、第2軸受20と、第2マフラケース21とを備えている。
【0018】
第1軸受15は、第1シリンダ17に固定され、第2軸受20は、第2シリンダ19に固定されている。これらの第1軸受15と第2軸受20とは、回転軸12を回転可能に軸支している。
【0019】
第1マフラケース16は、第1軸受15に固定されて第1軸受15の周囲を囲む中空のケースであり、内部には第1マフラ室16aが形成されている。さらに、第1マフラケース16には、第1マフラ室16a内と密閉ケース7内の空間とを連通する複数の連通孔22が形成されている。これらの連通孔22は、密閉ケース7内に貯留された潤滑油の液面より上方に位置している。
【0020】
第2マフラケース21は、第2軸受20に固定されて第2軸受20の周囲を囲む中空のケースであり、内部には第2マフラ室21aが形成されている。
【0021】
第1シリンダ17は、密閉ケース7内に位置固定して設けられている。第1シリンダ17には、上端側を第1軸受15のフランジ部15aにより閉止されて下端側を仕切板18により閉止された第1シリンダ室17aが形成されている。
【0022】
第2シリンダ19は、第1シリンダ17に位置固定して設けられている。第2シリンダ19には、上端側を仕切板18により閉止されて下端側を第2軸受20のフランジ部20aにより閉止された第2シリンダ室19aが形成されている。
【0023】
第1・第2シリンダ室17a、19aには回転軸12が挿通され、回転軸12に形成された一方の偏心部13が第1シリンダ室17a内に位置し、回転軸12に形成された他方の偏心部14が第2シリンダ室19a内に位置している。一方の偏心部13にはローラ23が嵌合され、他方の偏心部14にはローラ24が嵌合されている。これらのローラ23、24は、回転軸12の回転に伴い外周部の一部を第1・第2シリンダ室17a、19aの内周面に当接させながら第1・第2シリンダ室17a、19a内を転動する。また、第1・第2シリンダ室17a、19a内には、それぞれスライド可能にブレード(図示せず)が設けられており、ブレードの先端部がスプリング等の付勢体により付勢されてローラ23、24の外周面に当接されている。
【0024】
第1・第2シリンダ室17a、19aの内周面にローラ23、24の外周面の一部が当接され、ローラ23、24の外周面にブレードの先端部が当接されることにより、第1・第2シリンダ室17a、19a内はローラ23、24の転動に伴って容積が変動する二つの空間に仕切られている。圧縮機構部9の駆動時には、一方の空間にガス冷媒が流入し、その空間の容積がローラ23、24の転動に伴って小さくなることにより、その空間内のガス冷媒が圧縮される。圧縮されたガス冷媒は、第1マフラ室16a、第2マフラ室21a、後述する仕切板内マフラ室18aに吐出され、その後、密閉ケース7内の空間に導かれている。
【0025】
また、第1シリンダ17には低圧のガス冷媒を第1シリンダ室17a内に吸込むための第1吸気ポート25が設けられ、第2シリンダ19には低圧のガス冷媒を第2シリンダ室19a内に吸込むための第2吸気ポート26が設けられ、これらの第1・第2吸気ポート25、26とアキュムレータ6との間に低圧のガス冷媒が流れる吸込管27が設けられている。
【0026】
仕切板18は、第1シリンダ17と第2シリンダ19との間を仕切るとともに、その内部に仕切板内空間である仕切板内マフラ室18aが形成されている。仕切板18は、回転軸12の軸方向に沿って二つに分割された第1分割仕切板18bと第2分割仕切板18cとを連結することにより形成され、第1分割仕切板18bが第1シリンダ17側に位置し、第2分割仕切板18cが第2シリンダ19側に位置している。第1分割仕切板18bには、回転軸12の軸方向に沿った両端面側に突出する位置決め部材28が固定されている。第2分割仕切板18cには位置決め部材28が係合される係合部29が形成され、位置決め部材28の一端が係合部29に係合されることにより、第1分割仕切板18bと第2分割仕切板18cとが位置決めされている。第1シリンダ17における第1分割仕切板18bに対向する部分には係合部30が形成され、位置決め部材28の他端が係合部30に係合されることにより、第1シリンダ17と仕切板18とが位置決めされている。なお、第1シリンダ17と第2シリンダ19とは予め位置固定されており、第1シリンダ17と仕切板18とが位置決めされることにより、第2シリンダ19と仕切板18とが位置決めされる。
【0027】
つぎに、第1シリンダ室17a内、第2シリンダ室19a内で圧縮されたガス冷媒を密閉ケース7内の空間に導くための構造について説明する。
【0028】
第1軸受15のフランジ部15aには、第1シリンダ室17a内で圧縮されたガス冷媒を第1マフラ室16a内に吐出する第1軸受吐出ポート31が形成されている。この第1軸受吐出ポート31は、回転軸12の回転に伴う所定のタイミングで第1シリンダ室17aに連通される。また、フランジ部15aには、第1軸受吐出ポート31を開閉する吐出弁32と、吐出弁32の最大開度“L1”を規制する弁押え33とが設けられている。第1シリンダ17における第1軸受吐出ポート31に対向する部分には、切欠溝34が形成されている。
【0029】
第1分割仕切板18bには、第1シリンダ室17a内で圧縮されたガス冷媒を仕切板内マフラ室18aに吐出する第1仕切板吐出ポート35が形成されている。この第1仕切板吐出ポート35は、回転軸12の回転に伴う所定のタイミングで第1シリンダ室17aに連通される。また、仕切板18には、第1仕切板吐出ポート35を開閉する吐出弁36と、吐出弁36の最大開度“L2”を規制する弁押え37とが設けられている。
【0030】
第2軸受20のフランジ部20aには、第2シリンダ室19aで圧縮されたガス冷媒を第2マフラ室21a内に吐出する第2軸受吐出ポート38が形成されている。この第2軸受吐出ポート38は、回転軸12の回転に伴う所定のタイミングで第2シリンダ室19aに連通される。また、フランジ部20aには、第2軸受吐出ポート38を開閉する吐出弁39と、吐出弁39の最大開度“L1”を規制する弁押え40とが設けられている。第2シリンダ19における第2軸受吐出ポート38に対向する部分には、切欠溝41が形成されている。
【0031】
第2分割仕切板18cには、第2シリンダ室19aで圧縮されたガス冷媒を仕切板内マフラ室18aに吐出する第2仕切板吐出ポート42が形成されている。この第2仕切板吐出ポート42は、回転軸12の回転に伴う所定のタイミングで第2シリンダ室19aに連通される。また、仕切板18には、第2仕切板吐出ポート42を開閉する吐出弁43と、吐出弁43の最大開度“L2”を規制する弁押え44とが設けられている。
【0032】
第1仕切板吐出ポート35の断面積は、第1軸受吐出ポート31の断面積より小さく形成されている。また、第1仕切板吐出ポート35を開閉する吐出弁36の最大開度“L2”は、第1軸受吐出ポート31を開閉する吐出弁32の最大開度“L1”より小さく形成されている。
【0033】
同様に、第2仕切板吐出ポート42の断面積は、第2軸受吐出ポート38の断面積より小さく形成されている。また、第2仕切板吐出ポート42を開閉する吐出弁43の最大開度“L2”は、第2軸受吐出ポート38を開閉する吐出弁39の最大開度“L1”より小さく形成されている。
【0034】
第1マフラ室16aと仕切板内マフラ室18aと第2マフラ室21aとは、連通されている。第1マフラ室16aと仕切板内マフラ室18aとを連通する第1吐出流路45が設けられており、この第1吐出流路45は第1分割仕切板18bと第1シリンダ17と第1軸受15のフランジ部15aとを貫通して形成されている。第2マフラ室21aと仕切板内マフラ室18aとを連通する第2吐出流路46が設けられており、この第2吐出流路46は、第2軸受20のフランジ部20aと第2シリンダ19と第2分割仕切板18cとを貫通して形成されている。第1吐出流路45の断面積は第2吐出流路46の断面積より大きく形成されている。
【0035】
凝縮器3では、密閉ケース7内の空間から導かれたガス冷媒が凝縮され、液冷媒となる。
【0036】
膨張装置4では、凝縮器3で凝縮された液冷媒が減圧される。
【0037】
蒸発器5では、膨張装置4で減圧された液冷媒が蒸発し、ガス冷媒となる。
【0038】
アキュムレータ6では、蒸発器5で蒸発したガス冷媒中に液冷媒が含まれていた場合、その液冷媒が除去される。
【0039】
このような構成において、電動機部8が駆動されて回転軸12が回転することにより、アキュムレータ6を通過した低圧のガス冷媒が吸込管27を経由して第1・第2吸気ポート25、26から第1・第2シリンダ室17a、19a内に吸込まれ、吸込まれたガス冷媒が圧縮される。
【0040】
第1シリンダ室17a内で圧縮されたガス冷媒は、第1軸受吐出ポート31と第1仕切板吐出ポート35とから吐出され、圧縮されたガス冷媒が第1シリンダ室17aから吐出される吐出ポートの総面積が大きくなる。このため、第1シリンダ室17a内から吐出されるガス冷媒の量が多くなった場合でも、圧縮されたガス冷媒が第1軸受吐出ポート31と第1仕切板吐出ポート35とを通過する際の圧力損失を抑制することができ、密閉型圧縮機2の性能を高めることができる。
【0041】
また、第2シリンダ室19a内で圧縮されたガス冷媒は、第2軸受吐出ポート38と第2仕切板吐出ポート42とから吐出され、圧縮されたガス冷媒が第2シリンダ室19aから吐出される吐出ポートの総面積が大きくなる。このため、第2シリンダ室19a内から吐出されるガス冷媒の量が多くなった場合でも、圧縮されたガス冷媒が第2軸受吐出ポート38と第2仕切板吐出ポート35とを通過する際の圧力損失を抑制することができ、密閉型圧縮機2の性能を高めることができる。
【0042】
第1仕切板吐出ポート35の断面積が第1軸受吐出ポート31の断面積より小さく形成され、また、第2仕切板吐出ポート42の断面積が第2軸受吐出ポート38の断面積より小さく形成されている。このため、第1仕切板吐出ポート35と第2仕切板吐出ポート42とから仕切板内マフラ室18a内に吐出されるガス冷媒の量が少なくなり、仕切板内マフラ室18aの容積を小さくしても仕切板内マフラ室18a内に吐出されるガス冷媒の圧力脈動を抑制することができ、圧力脈動が原因となる騒音の発生を抑制することができる。
【0043】
さらに、仕切板内マフラ室18aの容積を小さくすることにより、仕切板18を薄型化することができ、仕切板18を薄型化することにより第1軸受15と第2軸受20との間隔を小さくすることができる。第1軸受15と第2軸受20との間隔が小さくなることにより、回転軸12が第1軸受15や第2軸受20に対して片当りすることや、回転軸12が撓むことを防止することができ、密閉型圧縮機2の性能を高めることができる。
【0044】
第1仕切板吐出ポート35に設けられている吐出弁36の最大開度“L2”が第1軸受吐出ポート31に設けられている吐出弁32の最大開度“L1”より小さく設定され、さらに、第2仕切板吐出ポート42に設けられている吐出弁43の最大開度“L2”が第2軸受吐出ポート38に設けられている吐出弁39の最大開度“L1”より小さく設定されている。このため、仕切板18をより一層薄型化することができ、回転軸12が第1軸受15や第2軸受20に対して片当りすることや回転軸12が撓むことをより一層確実に防止することができる。
【0045】
第1シリンダ17における第1軸受吐出ポート31に対向する部分には切欠溝34が形成され、さらに、第2シリンダ19における第2軸受吐出ポート38に対向する部分には切欠溝41が形成されている。このため、ガス冷媒の圧縮工程の最終段階で第1軸受吐出ポート31や第2軸受吐出ポート38からのガス冷媒の吐出をスムーズに行わせることができる。
【0046】
第2マフラ室21a内に吐出されたガス冷媒は、第2吐出流路46内を流れて仕切板内マフラ室18a内に導かれ、第2マフラ室21a内に吐出されたガス冷媒と仕切板内マフラ室18a内に吐出されたガス冷媒とが第1吐出流路45内を流れて第1マフラ室16a内に導かれる。したがって、第2吐出流路46内を流れるガス冷媒に比べて第1吐出流路45内を流れるガス冷媒の量は多くなる。
【0047】
ここで、第1吐出流路45の断面積と第2吐出流路46の断面積とは、第1吐出流路45の断面積が第2吐出流路46の断面積より大きく形成されている。このため、第1吐出流路45内を流れるガス冷媒の量が第2吐出流路46内を流れるガス冷媒の量より多くなっても、ガス冷媒は第1吐出流路45内をスムーズに流れる。
【0048】
第1マフラ室16aのガス冷媒は、第1マフラケース16に形成された連通孔22から密閉ケース7内の空間に導かれる。この連通孔22は、密閉ケース7内に貯留されている潤滑油の油面より上方に位置して形成されているため、連通孔22から密閉ケース7内の空間に導かれるガス冷媒による潤滑油のフォーミングや、フォーミングされた潤滑油がガス冷媒と共に密閉ケース7外に排出されることを抑制することができる。
【0049】
仕切板18は、第1分割仕切板18bと第2分割仕切板18cとの二つに分割された部材を連結することにより形成されているため、仕切板内マフラ室18aを形成することや、仕切板18内に弁押え37、44を設けることを容易に行える。
【0050】
第1分割仕切板18bと第2分割仕切板18cとを連結する場合には、第1分割仕切板18bに固定された位置決め部材28の一端を第2分割仕切板18c形成された係合部29に係合させることにより、正しい位置で確実に連結することができる。さらに、位置決め部材28の他端を第1シリンダ17の係合部30に係合させることにより、仕切板18を第1シリンダ17及び第2シリンダ19に対して正しい位置で連結することができる。
【0051】
(第2の実施形態)
第2の実施形態について、図2及び図3に基づいて説明する。なお、第2の実施形態及び以下に説明する第3の実施形態において、第1の実施形態で説明した構成要素と同じ構成要素には同じ符号を付け、重複する説明は省略する。
【0052】
第2の実施形態の密閉型圧縮機2Aの基本的な構成は、第1の実施形態の密閉型圧縮機2と同じあり、密閉ケース7内に電動機部8(図1参照)と圧縮機構部9と回転軸12とが収容されている。
【0053】
圧縮機構部9は、回転軸12の軸方向に沿って順に設けられた第1軸受15と、第1シリンダ17と、仕切板18と、第2シリンダ19と、第2軸受20とを備えている。
【0054】
回転軸12には、第1シリンダ室17a内に位置するとともに回転軸12の回転中心“X”から偏心してその外周部にローラ23が嵌合される円柱状の偏心部13と、第2シリンダ室19a内に位置するとともに回転軸12の回転中心“X”から偏心してその外周部にローラ24が嵌合される円柱状の偏心部14と、2つの偏心部13、14の間に位置してこれらの偏心部13、14を連結する偏心部間連結部47とが形成されている。偏心部間連結部47は円柱状に形成され、その中心が回転軸12の回転中心“X”と同心であり、その外周部には後述する逃げ部が形成されている。
【0055】
仕切板18は、回転軸12の軸方向に沿って二つに分割された第1分割仕切板18bと第2分割仕切板18cとを連結することにより形成されている。この仕切板18内には、図1に示すように、仕切板内マフラ室18aと、第1仕切板吐出ポート35と、第2仕切板吐出ポート42とが形成されている。仕切板18の中央部分には、偏心部間連結部47が挿通される挿通部48が形成されている。
【0056】
なお、図2では、図1において図示を省略したブレード49と、付勢体であるスプリング50とを図示している。ブレード49の先端部は、スプリング50により付勢されてローラ23、24の外周面に当接され、このブレード49により第1・第2シリンダ室17a、19a内が、ガス冷媒を吸込む吸込室(図示せず)と吸込んだガス冷媒を圧縮する圧縮室(図示せず)とに区画されている。
【0057】
ここで、圧縮機構部9においては、偏心部13、14の半径寸法が“Rc”とされ、挿通部48の内径寸法が“Dp”とされ、回転軸12の回転中心“X”から偏心部13、14の中心“Y1、Y2”までの偏心量が“e”とされ、偏心部間連結部47の半径寸法が“Rj”とされている。そして、この偏心部間連結部47は、半径寸法“Rj”が、“Dp-Rc-e”より大きく、かつ、“Dp/2”より小さく形成されている。また、挿通部48の内径寸法“Dp”は、偏心部13、14の直径寸法“2Rc”より大きく形成されている。
【0058】
さらに、偏心部間連結部47の外周部であって偏心部13、14に対向する部位に、回転軸12の軸方向に沿った両側である電動機部8が取付けられる側とその反対側とに位置して、逃げ部51、52が形成されている。
【0059】
電動機部8が取付けられる側に位置する一方の逃げ部51は、偏心部13より外周方向に張り出さない形状に形成されている。具体的には、逃げ部51は偏心部13の中心“Y1”を中心とする半径寸法“Rk”の円弧状に形成され、その半径寸法“Rk”は偏心部13の半径寸法“Rc”に対し、“Rk≦Rc”の関係を有している。また、回転軸12の軸方向に沿った逃げ部51の寸法“K1”は、仕切板18の厚さ寸法“2H”より小さく形成されるとともに、第1・第2分割仕切板18b、18cの厚さ寸法“H”より小さく形成されている。
【0060】
電動機部8が取付けられる側の反対側に位置する他方の逃げ部52は、偏心部14より外周方向に張り出さない形状に形成されている。具体的には、逃げ部52は偏心部14の中心“Y2”を中心とする半径寸法“Rk”の円弧状に形成され、その半径寸法“Rk”は偏心部14の半径寸法“Rc”に対し、“Rk≦Rc”の関係を有している。また、回転軸12の軸方向に沿った逃げ部52の寸法“K2”は、仕切板18の厚さ寸法“2H”より小さく形成されるとともに、第1・第2分割仕切板18b、18cの厚さ寸法“H”と同じ寸法に形成されている。
【0061】
図3は、偏心部間連結部47の外周部への仕切板18の組み付け手順を示す説明図である。
【0062】
図3(a)では、偏心部間連結部47の逃げ部52が、第1分割仕切板18bの挿通部48に挿通されている。第1分割仕切板18bは、回転軸12における電動機部8が取付けられる側の反対側から矢印“a”方向に移動されることにより、第1分割仕切板18bの挿通部48に逃げ部52が挿通されている。挿通部48の内径寸法“Dp”は、偏心部14の直径寸法“2Rc”より大きく形成されているため、挿通部48は偏心部14の外周を通過する。さらに、逃げ部52は、偏心部14より外周方向に張り出さない形状に形成され、かつ、回転軸12の軸方向に沿った逃げ部52の寸法“K2”が第1分割仕切板18bの厚さ寸法“H”と同じ寸法であるため、図示するように、偏心部間連結部47の逃げ部52が第1分割仕切板18bの挿通部48に挿通される。
【0063】
図3(b)では、挿通部48に逃げ部52が挿通された第1分割仕切板18bが、回転軸12の回転中心“X”と直交する方向である矢印“b”方向に移動されている。さらに、第2分割仕切板18cの挿通部48に、回転軸12における電動機部8が取付けられる側の反対側の端部が挿通されている。
【0064】
図3(c)では、第1分割仕切板18bが回転軸12の回転中心“X”の方向であって電動機部8が取付けられる側へ向けて矢印“c”方向に移動され、偏心部間連結部47が挿通部48に挿通されている。偏心部間連結部47の半径寸法“Rj”は、挿通部48の半径寸法“Dp/2”より小さいため、挿通部48に偏心部間連結部47を挿通することができる。さらに、第2分割仕切板18cが矢印“d”方向に移動され、逃げ部52が挿通部48に挿通されている。
【0065】
図3(d)では、第1・第2分割仕切板18b、18cの挿通部48に偏心部間連結部47が挿通され、第1分割仕切板18bと第2分割仕切板18cとが連結されて仕切板18が形成されている。
【0066】
このような構成において、仕切板18に仕切板内マフラ室18aを形成することにより、このような仕切板内マフラ室18aを有しない他の仕切板に比べて仕切板18の厚さ寸法“2H”が大きくなる。仕切板18の厚さ寸法“2H”が大きくなることにより、回転軸12における仕切板18が組み付けられる部分である偏心部間連結部47の軸方向に沿った寸法が大きくなる。
【0067】
なお、偏心部間連結部に逃げ部52を形成しない従来の密閉型圧縮機においては、偏心部の半径寸法が“Rc”とされ、仕切板の挿通部の内径寸法が“Dp”とされ、回転軸の回転中心“X”から偏心部の中心までの偏心量が“e”である場合、偏心部間連結部の半径寸法を、“Dp-Rc-e”より小さくしなければ、仕切板を偏心部間連結部の外周部に組み付けることができない。
【0068】
これに対し、この実施形態の密閉型圧縮機2Aでは、偏心部間連結部47に逃げ部52を形成し、仕切板18を第1・第2分割仕切板18b、18cに分割して形成することにより、偏心部間連結部47の半径寸法“Rj”を、“Dp-Rc-e”より大きく形成した場合でも、偏心部間連結部47の外周部への仕切板18の組み付けを図3において説明した手順で行うことができる。
【0069】
したがって、この密閉型圧縮機2Aにおいては、偏心部間連結部47の軸方向の長さ寸法が大きくなっても、偏心部間連結部47を大径にすることにより回転軸12の回転時において偏心部間連結部47が撓みを生じにくくなり、回転軸12の剛性が高くなり、信頼性の高い密閉型圧縮機2Aを得ることができる。
【0070】
また、偏心部間連結部47の中心は回転軸12の回転中心“X”と同心であり、回転時における遠心力による回転アンバランスが抑制される。
【0071】
また、逃げ部51は偏心部13の中心“Y1”を中心とする円弧状に形成されているため、偏心部13を形成する場合に逃げ部51を連続して形成することができ、逃げ部51の形成を容易に行うことができる。同様に、逃げ部52は偏心部14の中心“Y2”を中心とする円弧状に形成されているため、偏心部14を形成する場合に逃げ部52を連続して形成することができ、逃げ部52の形成を容易に行うことができる。
【0072】
なお、電動機部8側に形成されている一方の逃げ部51は、第1・第2分割仕切板18b、18cの組み付けのためには不要である。しかし、この逃げ部51が形成されていることにより、偏心部13に嵌合されたローラ23の端部が偏心部間連結部47側に張り出した場合に、ローラ23の端部が偏心部間連結部47に干渉することを防止することができる。逃げ部52は、第1・第2分割仕切板18b、18cの組み付けのために利用されるとともに、この逃げ部52が形成されていることにより、偏心部14に嵌合されたローラ24の端部が偏心部間連結部47側に張り出した場合に、ローラ24の端部が偏心部間連結部47に干渉することを防止することができる。
【0073】
また、本実施の形態では、回転軸12の軸方向に沿った逃げ部52の寸法“K2”と第1・第2分割仕切板18b、18cの厚さ寸法“H”とを同じ寸法に形成した場合を例に挙げて説明している。しかし、この寸法については、偏心部間連結部47を挿通部48に挿通することが可能な範囲であれば、逃げ部52の寸法“K2”を第1・第2分割仕切板18b、18cの厚さ寸法“H”より小さくしてもよい。逃げ部52の寸法“K2”が小さくなることにより、偏心部間連結部47の剛性が高くなるとともに、回転時における遠心力による回転アンバランスがより一層抑制される。
【0074】
(第3の実施形態)
第3の実施形態について、図4を参照して説明する。第3の実施形態の密閉型圧縮機2Bの基本的な構成は第2の実施形態の密閉型圧縮機2Aと同じあり、密閉ケース7(図2参照)内に電動機部8と圧縮機構部9と回転軸12とが収容されている。
【0075】
第3の実施形態と第2の実施形態との異なる点は、偏心部間連結部47の外周部への第1・第2分割仕切板18b、18cの組み付けを、回転軸12の軸方向に沿った電動機部8が取付けられる側から行うようにした点である。
【0076】
この密閉型圧縮機2Bでは、偏心部間連結部47の外周部であって偏心部13、14に対向する部位に、回転軸12の軸方向に沿った両側である電動機部8が取付けられる側とその反対側とに位置して逃げ部51a、52aが形成されている。
【0077】
電動機部8が取付けられる側に位置する一方の逃げ部51aは、回転軸12の軸方向に沿った寸法“K1a”が、第1・第2分割仕切板18b、18cの厚さ寸法“H”と同じ寸法に形成されている。
【0078】
電動機部8が取付けられる側の反対側に位置する他方の逃げ部52aは、回転軸12の軸方向に沿った寸法“K2a”が、第1・第2分割仕切板18b、18cの厚さ寸法“H”より小さく形成されている。
【0079】
電動機部8の回転子11には、回転軸12の軸方向に沿った両側に、バランサ53、54が取付けられている。
【0080】
ここで、回転軸12の回転時における、回転軸12の軸方向に沿った電動機部8が取付けられる側の反対側に位置する偏心部14、ローラ24、逃げ部52aによる遠心力を“F1”、回転軸12の軸方向に沿った電動機部8が取付けられる側に位置する偏心部13、ローラ23、逃げ部51aによる遠心力を“F2”、下側のバランサ54による遠心力を“F3”、上側のバランサ53による遠心力を“F4”とし、“F1”と“F2”との間の距離を“L1”、“F2”と“F3”との間の距離を“L2”、“F3”と“F4”との間の距離を“L3”としたとき、下側のバランサ54の位置を中心としたモーメントの関係式は、
“F1・(L1+L2)=F2・L2+F4・L3”と表わすことができる。
【0081】
ここで、上側のバランサ53の位置における遠心力“F4”は、回転軸12に対して片持ち荷重となるので、回転軸12の撓み防止のためにはこの“F4”をできるだけ小さくすることが望ましい。“F4”を小さくするためには、上記式において、“F1を小さくして“F2”を大きくすることが必要である。すなわち、偏心部間連結部47の逃げ部51a、52aにおいては、電動機部8が取付けられる側に位置する逃げ部51aの寸法“K1a”を、電動機部8が取付けられる側の反対側に位置する逃げ部52aの寸法“K2a”より大きくすることが必要である。
【0082】
このような構成において、この実施形態では、偏心部間連結部47に逃げ部51a、52aを形成し、電動機部8が取付けられる側に位置する逃げ部51aの寸法“K1a”を、電動機部8が取付けられる側の反対側に位置する逃げ部52aの寸法“K2a”より大きく形成し、偏心部間連結部47の外周部への第1・第2分割仕切板18b、18cの組み付けを回転軸12における電動機部8が取付けられる側から行っている。これにより、回転軸12の回転時において回転軸12に対して片持ち状態で作用する荷重を小さくすることができ、密閉型圧縮機2Bの信頼性を向上させることができる。
【0083】
以上説明した実施形態によれば、第1シリンダ室17a内で圧縮された作動流体であるガス冷媒を密閉ケース7内の空間に吐出する吐出ポートとして、第1軸受15に形成された第1軸受吐出ポート31と、仕切板18に形成された第1仕切板吐出ポート35とを有し、第2シリンダ室19a内で圧縮された作動流体を密閉ケース7内の空間に吐出する吐出ポートとして、第2軸受に形成された第2軸受吐出ポートと、仕切板に形成された第2仕切板吐出ポートとを有するため、圧縮されたガス冷媒が吐出される吐出ポートの面積を大きくすることができ、作動流体が各吐出ポートを通過する際の圧力損失を抑制することができる。
【0084】
さらに、第1仕切板吐出ポート35の断面積は第1軸受吐出ポート31の断面積より小さく形成され、また、第2仕切板吐出ポート42の断面積は第2軸受吐出ポート38の断面積より小さく形成されている。このため、第1仕切板吐出ポート35と第2仕切板吐出ポート42とから仕切板内空間である仕切板内マフラ室18aに吐出されるガス冷媒の量が少なくなり、仕切板内マフラ室18aの容積を小さくしても仕切板内マフラ室18aに吐出されるガス冷媒の圧力脈動を抑制することができ、圧力脈動が原因となる騒音の発生を抑制することができる。また、仕切板内マフラ室18aの容積を小さくすることにより、仕切板18を薄型化することができ、仕切板18を薄型化することにより第1軸受15と第2軸受20との間隔を小さくすることができる。第1軸受15と第2軸受20との間隔が小さくなることにより、回転軸12が第1軸受15や第2軸受20に対して片当りすることや、回転軸12が撓むことを防止することができ、密閉型圧縮機2の性能を高めることができる。
【0085】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、様々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0086】
1…冷凍サイクル装置、2…密閉型圧縮機、3…凝縮器、4…膨張装置、5…蒸発器、7…密閉ケース、8…電動機部、9…圧縮機構部、12…回転軸、13、14…偏心部、15…第1軸受、17…第1シリンダ、16a…第1マフラ室、17a…第1シリンダ室、18…仕切板、18a…仕切板内マフラ室(仕切板内空間)、18b…第1分割仕切板(分割仕切板)、18c…第2分割仕切板(分割仕切板)、19…第2シリンダ、19a…第2シリンダ室、21a…第2マフラ室、23、24…ローラ、28…位置決め部材、29…係合部、30…係合部、31…第1軸受吐出ポート、32…吐出弁、35…第1仕切板吐出ポート、36…吐出弁、38…第2軸受吐出ポート、39…吐出弁、42…第2仕切板吐出ポート、43…吐出弁、45…第1吐出流路、46…第2吐出流路、47…偏心部間連結部、48…挿通部、51a…逃げ部、52…逃げ部、52a…逃げ部
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動機部とこの電動機部に連結された回転軸により駆動される圧縮機構部とが密閉ケース内に収容され、
前記圧縮機構部は、前記回転軸の軸方向に沿って順に設けられた第1軸受と、第1シリンダと、仕切板と、第2シリンダと、第2軸受とを備え、両端を前記第1軸受と前記仕切板とによって閉止された前記第1シリンダ内に作動流体を圧縮する第1シリンダ室が形成され、両端を前記仕切板と前記第2軸受とによって閉止された前記第2シリンダ内に作動流体を圧縮する第2シリンダ室が形成され、前記第1シリンダ室内で圧縮された作動流体と前記第2シリンダ室内で圧縮された作動流体とを前記密閉ケース内の空間に吐出する密閉型圧縮機において、
前記仕切板の内部に前記密閉ケース内の空間に連通する仕切板内空間が形成され、
前記第1シリンダ室内で圧縮された作動流体が前記密閉ケース内の空間に吐出する吐出ポートとして、前記第1軸受に形成された第1軸受吐出ポートと前記仕切板に形成された第1仕切板吐出ポートとを有し、
前記第2シリンダ室内で圧縮された作動流体が前記密閉ケース内の空間に吐出する吐出ポートとして、前記第2軸受に形成された第2軸受吐出ポートと前記仕切板に形成された第2仕切板吐出ポートとを有し、
前記第1仕切板吐出ポート及び前記第2仕切板吐出ポートから、前記第1・第2シリンダ室で圧縮されたガス冷媒が前記仕切板内空間内に吐出され、
前記第1仕切板吐出ポートの断面積は前記第1軸受吐出ポートの断面積より小さく形成され、前記第2仕切板吐出ポートの断面積は前記第2軸受吐出ポートの断面積より小さく形成されていることを特徴とする密閉型圧縮機。
【請求項2】
前記回転軸には、前記第1・第2シリンダ室内に位置するとともに前記回転軸の回転中心から偏心してその外周部にローラが嵌合される偏心部と、これらの偏心部の間に位置して前記回転軸の回転中心と同心である偏心部間連結部とが形成され、前記仕切板は前記回転軸の軸方向に沿って分割された複数の分割仕切板を連結して形成されるとともにこの仕切板には前記偏心部間連結部が挿通される挿通部が形成され、
前記偏心部の半径寸法を“Rc”、前記挿通部の内径寸法を“Dp”、前記回転軸の回転中心から前記偏心部の中心までの偏心量を“e”としたとき、前記偏心部間連結部は、半径寸法“Rj”が、“Dp-Rc-e”より大きく、かつ、“Dp/2”より小さい円柱状に形成され、
前記偏心部間連結部の外周部であって前記偏心部に対向する部位に、前記偏心部より外周方向に張り出さない形状であって、前記回転軸の軸方向に沿った寸法が前記仕切板の厚さ寸法より小さい逃げ部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の密閉型圧縮機。
【請求項3】
前記第1仕切板吐出ポートを開閉する吐出弁の最大開度が前記第1軸受吐出ポートを開閉する吐出弁の最大開度より小さく設定され、前記第2仕切板吐出ポートを開閉する吐出弁の最大開度が前記第2軸受吐出ポートを開閉する吐出弁の最大開度より小さく設定されていることを特徴とする請求項1又は2記載の密閉型圧縮機。
【請求項4】
前記第1シリンダが前記第2シリンダの上方に配置され、
前記第1軸受吐出ポートに連通する第1マフラ室と、前記第2軸受吐出ポートに連通する第2マフラ室とが設けられ、
前記仕切板内空間と前記第1マフラ室とを連通する第1吐出流路と、前記仕切板内空間と前記第2マフラ室とを連通する第2吐出流路とが設けられ、
前記第1吐出流路の断面積が前記第2吐出流路の断面積より大きく形成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の密閉型圧縮機。
【請求項5】
前記仕切板は前記回転軸の軸方向に沿って二つに分割された分割仕切板を連結することにより形成され、一方の前記分割仕切板には両端が突出する位置決め部材か設けられ、他方の前記分割仕切板と前記第1シリンダ又は前記第2シリンダとに、前記位置決め部材が係合される係合部が形成されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の密閉型圧縮機。
【請求項6】
前記逃げ部は、前記回転軸の軸方向に沿った前記電動機部が取付けられる側とその反対側とに形成され、前記逃げ部の前記回転軸の軸方向に沿った寸法は、前記電動機部が取付けられる側に位置する一方の前記逃げ部がその反対側に位置する他方の前記逃げ部より大きく形成されていることを特徴とする請求項2記載の密閉型圧縮機。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか一項に記載の密閉型圧縮機と、前記密閉型圧縮機に接続される凝縮器と、前記凝縮器に接続される膨張装置と、前記膨張装置と前記密閉型圧縮機との間に接続される蒸発器とを備えた冷凍サイクル装置。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2017-03-02 
結審通知日 2017-03-06 
審決日 2017-03-17 
出願番号 特願2012-167189(P2012-167189)
審決分類 P 1 41・ 852- Y (F04C)
P 1 41・ 853- Y (F04C)
P 1 41・ 841- Y (F04C)
P 1 41・ 855- Y (F04C)
P 1 41・ 856- Y (F04C)
P 1 41・ 854- Y (F04C)
最終処分 成立  
前審関与審査官 新井 浩士  
特許庁審判長 久保 竜一
特許庁審判官 藤井 昇
松永 謙一
登録日 2016-10-14 
登録番号 特許第6022247号(P6022247)
発明の名称 密閉型圧縮機及び冷凍サイクル装置  
代理人 小川 眞一  
代理人 小川 眞一  
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