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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H01L 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 取り消して特許、登録 H01L |
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管理番号 | 1327260 |
審判番号 | 不服2016-16331 |
総通号数 | 210 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2017-06-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2016-11-01 |
確定日 | 2017-05-08 |
事件の表示 | 特願2015-552196「差電圧供給部を有する発光ダイオードのドライバ」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 3月26日国際公開、WO2015/040519、平成28年 3月24日国内公表、特表2016-509371、請求項の数(15)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、2014年9月4日を国際出願日とする出願であって、平成28年3月2日付けで拒絶理由通知がされ、同年6月10日に意見書の提出がされ、同年6月30日付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、同年11月1日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされたものである。 第2 原査定の概要 原査定(平成28年6月30日付け拒絶査定)の概要は、次のとおりである。 理由1(新規性・進歩性) 本願請求項1ないし6,11ないし15に係る発明は、以下の引用文献1に記載された発明と構成上の差異がなく、また、当該発明に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、また、同条第2項の規定により特許を受けることができない。 理由2(進歩性) 本願請求項7,8に係る発明は、当業者が引用文献1,2に記載された発明に基づいて、また、請求項9,10に係る発明は、当業者が引用文献1,3,4に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献等一覧 1.特開2006-353007号公報 2.再公表特許第2005/011006号 3.特開2007-318879号公報 4.特開2005-124392号公報 第3 本願発明 本願請求項1ないし15に係る発明は、平成28年11月1日に補正された特許請求の範囲の請求項に記載された事項により特定される発明であるところ、請求項1は、次のとおりであり、請求項2ないし14は、請求項1の発明特定事項を全て引用する従属請求項であり、また、請求項15は、請求項1を方法の発明として表現した請求項である。 「【請求項1】 1つ又は複数のLEDを駆動するドライバであって、1つの第1のバイアス電圧と1つの第2のバイアス電圧との差電圧を供給される少なくとも1つの駆動ユニットを有し、前記差電圧は前記1つ又は複数のLEDの順方向電圧の最大の予想されるばらつきに基づいて、当該最大の予想されるばらつき以上の値に選択される、 当該ドライバ。」 第4 引用文献、引用発明等 1 原査定の拒絶理由に引用された上記引用文献1には、図とともに次の事項が記載されている。 (1)「【0039】 図4を参照して、本発明の一実施の形態に係るLEDドライバ10について説明する。図示のLEDドライバ10は、携帯電話、デジタルカメラ等(図示せず)の液晶表示装置のバックライトとして使用される白色LEDを駆動するために使用される。図示のLEDドライバ10は、白色LEDとして、第1乃至第4の白色発光ダイオードLED1?LED4を駆動するためのものである。図示のLEDドライバ10は、チャージポンプ式LEDドライバである。 【0040】 チャージポンプ式LEDドライバ10は、チャージポンプ回路12を備え、このチャージポンプ12にはリチウムイオン電池などの電池20から電池電圧が入力電圧V_(IN)として印加される。電池20には入力コンデンサC_(IN)が並列に接続されており、この入力コンデンサC_(IN)の両端間に入力電圧V_(IN)が保持される。 【0041】 換言すれば、チャージポンプ式LEDドライバ10は、電源入力端子INと接地端子GNDとを持つ。これら電源入力端子INと接地端子GNDとの間に、電池20と入力コンデンサC_(IN)が並列に接続されている。図示の例では、入力コンデンサC_(IN)の容量値は1μFである。 【0042】 チャージポンプ回路12は、入力電圧V_(IN)を1倍又は1.5倍にして、出力電圧V_(OUT)を出力する機能を有する。すなわち、チャージポンプ回路12は、昇圧率として1倍及び1.5倍を持つ。チャージポンプ回路12には、第1及び第2のコンデンサC1、C2が接続されている。」 (2)「【0049】 具体的に説明すると、第1乃至第4の白色発光ダイオードLED1?LED4の順方向降下電圧V_(F1)?V_(F4)はそれぞれ異なる。例えば、順方向降下電圧V_(F)が第1乃至第4の白色発光ダイオードLED1?LED4の順番に高いとする。第1の白色発光ダイオードLED1の順方向降下電圧V_(F1)が3.6Vで、第2の白色発光ダイオードLED2の順方向降下電圧V_(F2)が3.5Vで、第3の白色発光ダイオードLED3の順方向降下電圧V_(F3)が3.4Vで、第4の白色発光ダイオードLED4の順方向降下電圧V_(F4)が3.3Vであったとする。そして、出力電圧V_(OUT)か3.8Vであったとする。この場合、第1の白色発光ダイオードLED1のLED端子電圧V_(LED1)は0.2Vに等しく、第2の白色発光ダイオードLED2のLED端子電圧V_(LED2)は0.3Vに等しく、第3の白色発光ダイオードLED3のLED端子電圧V_(LED3)は0.4Vに等しく、第4の白色発光ダイオードLED4のLED端子電圧V_(LED4)は0.5Vに等しい。従って、第1の白色発光ダイオードLED1のLED端子電圧V_(LED1)が一番低いので、最低LED電圧セレクタ16は、0.2VのLED端子電圧V_(LED1)を最低のLED端子電圧V_(LED)として選択して出力する。」 (3)したがって、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「順方向降下電圧V_(F1)?V_(F4)がそれぞれ、3.6V、3.5V、3.4V及び3.3Vである第1乃至第4の白色発光ダイオードLED1?LED4のLEDドライバ10であって、入力電圧V_(IN)を1倍又は1.5倍にして、3.8Vの出力電圧V_(OUT)を出力する機能を有するチャージポンプ回路12を備えるLEDドライバ10。」 第5 当審の判断 1 引用発明において、発光ダイオードLED1?LED4の順方向降下電圧は3.3V?3.6Vであるから、そのばらつきは0.3Vと見積もられ、また、チャージポンプ回路12は、入力電圧V_(IN)を1倍又は1.5倍にして、3.8Vの出力電圧V_(OUT)を出力するから、入力電圧V_(IN) は、3.8V程度、少なくとも2.5V程度と解されるところであり、引用発明は、入力電圧V_(IN) が発光ダイオードLED1?LED4の順方向降下電圧のばらつき0.3V以上である構成を有しているといえるが、この入力電圧V_(IN )は、電源入力端子INと接地端子GNDとの差電圧である。 2 一方、本願請求項1に係る発明の「第1のバイアス電圧」及び「第2のバイアス電圧」は、本願明細書及び図面の記載からも明らかなように、いずれも接地電圧のことではないから、本願請求項1に係る発明と引用発明に構成上の差異がないとはいえないし、本願請求項1に係る発明は、当業者が引用発明に基づいて容易に発明をすることができたとすることもできない。 3 本願請求項2?14に係る発明は、請求項1の発明特定事項を全て引用する従属請求項に係る発明であり、また、請求項15に係る発明は、請求項1を方法の発明として表現した請求項に係る発明であるから、引用発明と構成上の差異がないとはいえないし、当業者が引用発明と引用文献2?4に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたとすることもできない。 第6 むすび したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2017-04-10 |
出願番号 | 特願2015-552196(P2015-552196) |
審決分類 |
P
1
8・
113-
WY
(H01L)
P 1 8・ 121- WY (H01L) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 金高 敏康 |
特許庁審判長 |
恩田 春香 |
特許庁審判官 |
星野 浩一 河原 英雄 |
発明の名称 | 差電圧供給部を有する発光ダイオードのドライバ |
代理人 | 特許業務法人M&Sパートナーズ |