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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H01F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01F
管理番号 1327274
審判番号 不服2015-3144  
総通号数 210 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-06-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-02-19 
確定日 2017-04-12 
事件の表示 特願2010- 71271「超伝導マグネットアセンブリを冷却するための装置及び方法」拒絶査定不服審判事件〔平成22年10月28日出願公開、特開2010-245524〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成22年3月26日(パリ条約による優先権主張 平成21年3月31日 米国(US))の出願であって、平成25年12月26日付け拒絶理由通知に対して平成26年3月6日付けで手続補正がなされたが、同年11月19日付けで拒絶査定がなされた。これに対し、平成27年2月19日付けで拒絶査定不服審判が請求されるとともに手続補正がなされたものである。

2.平成27年2月19日付けの手続補正についての補正却下の決定
(補正却下の決定の結論)
平成27年2月19日付けの手続補正を却下する。

(理由)
(1)補正後の本願発明
平成27年2月19日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)により、特許請求の範囲の請求項1は、
本件補正前には、
「【請求項1】
超伝導マグネットアセンブリ(20)を製造する方法であって、
第1の真空リザーバ(24)の周りに構成されたハウジング(22)を提供する工程と、
コイル巻型(30)を形成する工程と、
前記コイル巻型(30)を熱シールド(26)で取り囲む工程と、
前記熱シールド(26)を第1の真空リザーバ(24)内に配置する工程と、
対象を受け容れるための中心コアの周りに構成された超伝導マグネット(32、34)を前記コイル巻型(30)の周りに位置決めする工程と、
冷媒(76)を保持する冷媒リザーバ(74)と該冷媒リザーバ(74)と熱的に接続されるクライオクーラ(70)の少なくとも一部とをその内部に有する第2の真空リザーバ(62)を提供する工程と、
その各々が気化器領域(84)及び凝縮器領域(86)を有するパルス動作型ヒートパイプを含む配管系(82)を備えた第1の2相式熱伝達デバイス(80B)及び第2の2相式熱伝達デバイス(80A)を提供する工程と、
第1の2相式熱伝達デバイス(80B)の気化器領域(84)をコイル巻型(30)と超伝導マグネット(32、34)のうちの一方に配置し、かつ第2の2相式熱伝達デバイス(80A)の気化器領域(84)を熱シールド(26)に配置して熱的に接続する工程と、
冷媒リザーバ(74)に保持された冷媒(76)に対してかつ第1の2相式熱伝達デバイス(80B)の凝縮領域(86)を熱的に接続する工程と、
第2の2相式熱伝達デバイス(80A)の凝縮領域(86)に対してクライオクーラ(70)を熱的に接続する工程と、
を含む方法。」

とあったものが、

「【請求項1】
超伝導マグネットアセンブリ(20)を製造する方法であって、
第1の真空リザーバ(24)の周りに構成されたハウジング(22)を提供する工程と、
コイル巻型(30)を形成する工程と、
前記コイル巻型(30)を熱シールド(26)で取り囲む工程と、
前記熱シールド(26)を第1の真空リザーバ(24)内に配置する工程と、
対象を受け容れるための中心コアの周りに構成された超伝導マグネット(32、34)を前記コイル巻型(30)の周りに位置決めする工程と、
冷媒(76)を保持する冷媒リザーバ(74)と該冷媒リザーバ(74)と熱的に接続されるクライオクーラ(70)であって、その内部に移動するピストンを備え、その第2段が気化した前記冷媒(76)を前記冷媒リザーバ(74)内で液化する、前記クライオクーラ(70)の少なくとも一部とをその内部に有する第2の真空リザーバ(62)を提供する工程と、
その各々が気化器領域(84)及び凝縮器領域(86)を有するパルス動作型ヒートパイプを含む配管系(82)を備えた第1の2相式熱伝達デバイス(80B)及び第2の2相式熱伝達デバイス(80A)を提供する工程と、
第1の2相式熱伝達デバイス(80B)の気化器領域(84)をコイル巻型(30)と超伝導マグネット(32、34)のうちの一方に配置し、かつ第2の2相式熱伝達デバイス(80A)の気化器領域(84)を熱シールド(26)に配置して熱的に接続する工程と、
冷媒リザーバ(74)に保持された液体の冷媒(76)に対してかつ第1の2相式熱伝達デバイス(80B)の凝縮領域(86)を熱的に接続する工程と、
第2の2相式熱伝達デバイス(80A)の凝縮領域(86)に対してクライオクーラ(70)の第1段を熱的に接続する工程と、
を含む方法。」
と補正された。

また、請求項6についても、本件補正前には、
「【請求項6】
第1の真空リザーバ(24)をその内部に包含したハウジング(22)であって、該ハウジング(22)はさらに、
ある体積(28)を画定する第1の真空リザーバ(24)内にある、コイル巻型(30)をその内部に包含した熱シールド(26)と、
前記コイル巻型(30)の内部またはその近傍で、対象を受け容れるように構成された中心コアの周りに配置させた複数のマグネット(32、34)と、
を包含したハウジング(22)と、
冷媒(76)を保持する冷媒リザーバ(74)をその内部に有する第2の真空リザーバ(62)と、
第2の真空リザーバ(62)内にありかつ冷媒リザーバ(74)と熱的に連絡させた2相式クライオクーラ(70)と、
その各々が液体冷媒(90)及び蒸気冷媒(92)をその内部に包含しており、気化器領域(84)及び凝縮器領域(86)を含むパルス動作型ヒートパイプを含む配管系(82)を備えている第1の2相式熱伝達デバイス(80B)及び第2の2相式熱伝達デバイス(80A)と、
を備える超伝導マグネットアセンブリ(20)であって、
前記第1の2相式熱伝達デバイス(80B)の気化器領域(84)はコイル巻型(30)と複数のマグネット(32、34)のうちの一方に配置されて熱的に連絡しており、かつ第1の2相式熱伝達デバイス(80B)の凝縮器領域(86)は冷媒リザーバ(74)に保持された冷媒(76)と熱的に連絡していること、
前記第2の2相式熱伝達デバイス(80A)の気化器領域(84)は熱シールド(26)と熱的に連絡しており、かつ第2の2相式熱伝達デバイス(80A)の凝縮器領域(86)はクライオクーラ(70)と熱的に連絡していること、
を特徴とする超伝導マグネットアセンブリ(20)。」

とあったものが、

「【請求項6】
第1の真空リザーバ(24)をその内部に包含したハウジング(22)であって、該ハウジング(22)はさらに、
ある体積(28)を画定する第1の真空リザーバ(24)内にある、コイル巻型(30)をその内部に包含した熱シールド(26)と、
前記コイル巻型(30)の内部またはその近傍で、対象を受け容れるように構成された中心コアの周りに配置させた複数のマグネット(32、34)と、
を包含したハウジング(22)と、
冷媒(76)を保持する冷媒リザーバ(74)をその内部に有する第2の真空リザーバ(62)と、
第2の真空リザーバ(62)内にありかつ冷媒リザーバ(74)と熱的に連絡させた2相式クライオクーラ(70)であって、その内部に移動するピストンを備え、その第2段が気化した前記冷媒(76)を前記冷媒リザーバ(74)内で液化する、前記クライオクーラ(70)と、
その各々が液体冷媒(90)及び蒸気冷媒(92)をその内部に包含しており、気化器領域(84)及び凝縮器領域(86)を含むパルス動作型ヒートパイプを含む配管系(82)を備えている第1の2相式熱伝達デバイス(80B)及び第2の2相式熱伝達デバイス(80A)と、
を備える超伝導マグネットアセンブリ(20)であって、
前記第1の2相式熱伝達デバイス(80B)の気化器領域(84)はコイル巻型(30)と複数のマグネット(32、34)のうちの一方に配置されて熱的に連絡しており、かつ第1の2相式熱伝達デバイス(80B)の凝縮器領域(86)は冷媒リザーバ(74)に保持された液体の冷媒(76)と熱的に連絡していること、
前記第2の2相式熱伝達デバイス(80A)の気化器領域(84)は熱シールド(26)と熱的に連絡しており、かつ第2の2相式熱伝達デバイス(80A)の凝縮器領域(86)はクライオクーラ(70)の第1段と熱的に連絡していること、を特徴とする超伝導マグネットアセンブリ(20)。」
と補正された。

上記補正は、
ア.請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である、「クライオクーラ」について、「その内部に移動するピストンを備え、その第2段が気化した冷媒(76)を冷媒リザーバ(74)内で液化する」との限定を、同じく請求項1に記載された発明特定事項である「冷媒」について、「液体の」との限定を、同じく請求項1に記載された発明特定事項である「凝縮領域(86)」に対して熱的に接続するのはクライオクーラ(70)「の第1段」であるとの限定を、それぞれ付加するものである。

イ.また、請求項6に記載された発明を特定するために必要な事項である、「2相式クライオクーラ」について、「であって、その内部に移動するピストンを備え、その第2段が気化した前記冷媒(76)を前記冷媒リザーバ(74)内で液化する、前記クライオクーラ(70)」との限定を、同じく請求項6に記載された発明特定事項である「冷媒」について、「液体の」との限定を、同じく請求項6に記載された発明特定事項である「凝縮器領域(86)」と熱的に連絡しているのはクライオクーラ(70)「の第1段」であるとの限定を、それぞれ付加するものである。

よって、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

そこで、本件補正後の上記請求項6に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項に規定する要件を満たすか)否かについて、以下に検討する。

(2)引用例
(2-1)引用例1
原査定の拒絶の理由に引用された特開平9-312210号公報(以下、「引用例1」という。)には、「冷却装置および冷却方法」について、図面とともに以下の各記載がある。なお、下線は当審で付与した。
ア.「【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、被冷却物を冷却するための冷却装置および冷却方法に関する。
(中略)
【0004】この冷凍機直冷式方式の超電導磁石装置では、今までのような液体ヘリウム中に超電導コイルを浸漬して冷却する浸漬冷却方式のように冷媒を用いる必要がないため取り扱いが極めて容易となり、システムの単純化および運転コストの低減化を図ることができる。
【0005】しかしながら、冷凍機直冷方式の超電導磁石装置にあっても次のような点が課題として残されている。すなわち、冷凍機直冷方式の超電導磁石装置では、通常断熱容器としての真空容器内に超電導コイルとサーマルシールドとを収容するとともに真空容器内に冷却ステージが位置するように複数段構成の蓄冷式冷凍機を配置する。
【0006】そして、この蓄冷式冷凍機の最低温度冷却ステージと超電導コイルとを伝熱部材で熱的に接続し、さらに最低温冷却ステージとは異なる温度の冷却ステージとサーマルシールドとを別の伝熱部材で熱的に接続するようにしている。
【0007】このような構成の冷凍機直冷方式の超電導磁石装置では、超電導コイルを収容した真空容器に蓄冷式冷凍機が直接取付けられた形態となっているため、次のような問題が存在している。
【0008】(1)真空容器を小さくして、いわゆるコイル部分を小さくしようとしても蓄冷式冷凍機の存在によって大幅な制約を受ける。このため、コイル部分が必然的に大きくなり、設置自由度や使用自由度に欠ける問題がある。
【0009】(2)蓄冷式冷凍機では、ギフォード・マクマホン冷凍サイクルで代表されるように、少なくともl段以上の蓄冷器を内蔵したディスプレーサを可動させる必要があるので、機械振動の発生を免れ得ない。このため、蓄冷式冷凍機の振動が超電導コイルに伝わり、この超電導コイルの振動に起因してコイルで発生した磁場の均一度が低下する問題もある。」

イ.【0013】このように、冷凍機直冷方式の超電導磁石装置にあっては、設置自由度、使用自由度、安定性、信頼性の点で改善する余地が残されている。この問題点は、液体ヘリウムやヘリウムガス等の冷媒を用いて間接的に超電導磁石装置を冷却する形式の冷却装置にも当てはまる。
【0014】【発明が解決しようとする課題】このように、従来の冷却装置にあっては、設置自由度、使用自由度、安定性、信頼性の点で改善する余地が残されている。本発明は、上記課題を考慮して成されたもので、設置自由度、使用自由度、安定性、信頼性の向上を図った冷却装置および冷却方法を提供することを目的としている。
【0015】【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本発明においては、下記の冷却装置および冷却方法を提案する。
(中略)
【0017】第3の冷却装置は、第1の容器と、前記第1の容器内に収容された冷却源と、前記被冷却物を収容可能に形成された第2の容器と、少なくとも一部がフレキシブルに形成され前記第1の容器と前記第2の容器との間を前記第1の容器内と前記第2の容器内とが真空状態が保持されるように接続するための配管と、前記配管内を通して前記冷却源と前記被冷却物とを熱的に接続するための伝熱部材とを備えて成ることを特徴としている。」

ウ.「【0092】(中略)
(第4の実施の形態)図14は、本発明の第4の実施の形態に係る冷却装置の部分断面図である。
【0093】この低温冷却装置は、大きく分けて、コイル部lと、冷凍部2と、この冷凍部2とコイル部1とを接続する接続部3とで構成されている。コイル部1は、ステンレス鋼などの非磁性材で形成されて断熱容器として機能する環状の真空容器11と、この真空容器11内に収容された超電導コイル12と、この超電導コイル12と真空容器11との間に超電導コイル12を包囲するように配置されたサーマルシールド13とを備えている。
【0094】超電導コイル12は、NbTi合金線やNb_(3)Sn線で形成されており、図示しない断熱支持手段によって支持されている。この超電導コイル12の線端はパワーリードの一部をなす酸化物超電導線l4a,l4bの一端側に接続されており、これら酸化物超電導線14a,14bの他端側は銅リードl5a,l5bに接続されている。
【0095】酸化物超電導線l4a,l4bと銅リードl5a,l5bとの接続部は窒化アルミニウム等で形成された絶縁材を介してサーマルシールド13に熱的接続されている。
【0096】銅リード15a,15bの他端側は、真空容器11の上壁を気密に貫通して設けられたブッシングを介して外部に導かれている。また、超電導コイル12の図中下端面には銅、アルミニウム、室化アルミニウムなどの良熱伝導材で形成された伝熱部材l6が熱的に接続されている。
【0097】冷凍部2は、真空容器18と、この真空容器18内に冷却ステージを位置させるように真空容器18の内外に跨って配置された蓄冷式冷凍機l9とで構成されている。
【0098】この蓄冷式冷凍機l9は、この例では2段膨張式のギフォード・マクマホン冷凍機によって構成されている。この蓄冷式冷凍機l9は、1段蓄冷器の畜冷材として銅メッシュ等を用いており、また2段蓄冷器の蓄冷材としてEr_(3)Niで代表される磁気相転移に伴う異常磁気比熱を利用した磁性蓄冷材を用いている。
【0099】これらの蓄冷材の使用により第1段冷却ステージ20では50K程度の寒冷を発生し、第2段冷却ステージ21では4K程度の寒冷を発生するように設計されている。なお、図中22は2段直列に接続された蓄冷器を往復動させるためのモータを示し、23は冷媒ガスの圧縮・吸引に供される圧縮機を示している。
【0100】一方、接続部3は、コイル部lの真空容器11内と冷凍部2の真空容器18内とを気密に連通させるフレキシブルな配管25と、一端側が蓄冷式冷凍機l9の第1段冷却ステージ20に熱的に接続されるとともに他端側が配管25内を通してサーマルシールドl3に熱的に接続された伝熱部材25(「26」の誤記:当審注)と、一端側が蓄冷式冷凍機l9の第2段冷却ステージ21に熱的に接続されるとともに他端側が配管25内を通して伝熱部材l6に熱的に接続された伝熱部材27とで構成されている。
【0101】伝熱部材26,27は、少なくとも一部がフレキシブルに構成された良熱伝導材、あるいは図15に示すループ型細管ヒートパイプ28、あるいは一部がフレキシブルに構成された良熱伝導材とループ型細管ヒートパイプ28とを組合せたもので形成されている。
(中略)
【0104】また、上記ループ型細管ヒートパイプ28、ドリームパイプ28の両端は、銅等の熱電導材lllによって冷凍機の冷却ステージ等に取り付けられる。このような構成であると、蓄冷式冷凍機l9を運転開始させると、超電導コイル12の熟(「熱」の誤記:当審注)は伝熱部材l6、伝熱部材27を介して蓄冷式冷凍機l9の第2段冷却ステージ21に吸熱され、サーマルシールドl3の熱は伝熱部材26を介して第l段冷却ステージ20に吸熱される。」

エ.「【0107】そして、この場合には、超電導コイル12を収容した真空容器1lと冷凍機用の真空容器18との間の距離を十分にとることができるこのため、冷凍機の存在に左右されることなく、コイル部1を小型化できることになる。
【0108】また、上述した距離を十分にとることができるので、この例のように磁性蓄冷材を蓄冷機に組み込んだ蓄冷式冷凍機19を用いても、超電導コイル12で発生した磁場と磁性蓄冷材との間の電磁的な干渉を防止できる。
【0109】したがって、超電導コイルl2で発生した磁場の対称性が崩れるようなこともないし、蓄冷器を内蔵したディスプレーサに傾きが生じるのを防止できるので、冷凍機の冷凍能力を長時間に亘って安定に維持させることができる。
【0110】また、コイル部lと冷凍部2とをフレキシブルな配管、フレキシブルな伝熱部材26,27を介して接続しているので、蓄冷式冷凍機19の振動が超電導コイルl2に伝わるのを防止でき、磁場の均一性も確保することができる。
(中略)
【0112】なお、本発明の冷却装置は、特に上述した超電導コイル等の極低温に冷却する必要のある被冷却物を冷却するのに適しており、その他にも、MRIやNMR、またリニアモーターカー(磁気浮上式列車)、単結晶引き上げ装置等にも適用できる。」

・上記「ア.」の記載事項によれば、冷凍機直冷方式の超電導磁石装置において、超電導コイルを収容した真空容器に蓄冷式冷凍機が直接取付けられた形態となっている場合には、真空容器を小さくしてコイル部分を小さくしようとしても蓄冷式冷凍機の存在によって大幅な制約を受けるため、設置自由度や使用自由度に欠けること、また、蓄冷式冷凍機では少なくともl段以上の蓄冷器を内蔵したディスプレーサを可動させる必要があるので、機械振動の発生を免れ得ず、蓄冷式冷凍機の振動が超電導コイルに伝わり、コイルで発生した磁場の均一度が低下する問題のあることが、従来技術の課題として記載されている。

・上記「イ.」の記載事項によれば、冷凍機直冷方式の超電導磁石装置において、設置自由度、使用自由度、安定性、信頼性の向上を図った冷却装置の提供を目的として、第1の容器と、第1の容器内に収容された冷却源と、被冷却物を収容可能に形成された第2の容器と、少なくとも一部がフレキシブルに形成され第1の容器と第2の容器との間を第1の容器内と第2の容器内とが真空状態が保持されるように接続するための配管と、配管内を通して冷却源と被冷却物とを熱的に接続するための伝熱部材とを備えて成る冷却装置が提案されている。

・上記「ウ.」の記載事項によれば、第4の実施の形態に係る冷却装置は、コイル部1と、冷凍部2と、冷凍部2とコイル部1とを接続する接続部3とで構成され、
コイル部1は、断熱容器として機能する環状の真空容器11と、真空容器11内に収容された超電導コイル12と、超電導コイル12を包囲するように配置されたサーマルシールド13とを備え、超電導コイル12の下端面には、銅、アルミニウム、窒化アルミニウムなどの良熱伝導材で形成された伝熱部材16が熱的に接続され、
冷凍部2は、真空容器18と、この真空容器18内に冷却ステージを位置させるように真空容器18の内外に跨って配置された蓄冷式冷凍機l9(この例では、2段膨張式のギフォード・マクマホン冷凍機)とで構成され、蓄冷式冷凍機l9は、蓄冷材の使用により、第1段冷却ステージ20では50K程度の寒冷を発生し、第2段冷却ステージ21では4K程度の寒冷を発生するように設計され、
接続部3は、コイル部lの真空容器11内と冷凍部2の真空容器18内とを気密に連通させるフレキシブルな配管25と、一端側が蓄冷式冷凍機l9の第2段冷却ステージ21に熱的に接続されるとともに他端側が配管25内を通して(超電導コイル12の下端面に熱的に接続された)伝熱部材l6に熱的に接続された伝熱部材27と、一端側が蓄冷式冷凍機l9の第1段冷却ステージ20に熱的に接続されるとともに他端側が配管25内を通してサーマルシールドl3に熱的に接続された伝熱部材26とで構成され、伝熱部材27,26は、少なくとも一部がフレキシブルに構成された良熱伝導材、あるいはループ型細管ヒートパイプ28で形成され、
ループ型細管ヒートパイプ28の両端は、銅等の熱電導材lllによって冷凍機の冷却ステージ等に取り付けられ、蓄冷式冷凍機l9を運転開始させると、超電導コイル12の熱は伝熱部材l6、伝熱部材27を介して蓄冷式冷凍機l9の第2段冷却ステージ21に吸熱され、サーマルシールドl3の熱は伝熱部材26を介して第l段冷却ステージ20に吸熱される。

・上記「エ.」の記載事項によれば、(第4の実施の形態に係る)冷却装置は、(コイル部lと、冷凍部2と、この冷凍部2とコイル部1とを接続する接続部3とで構成されているから)超電導コイル12を収容した真空容器1lと冷凍機用の真空容器18との間の距離を十分にとることができるため、冷凍機の存在に左右されることなくコイル部1を小型化でき、蓄冷式冷凍機19の振動が超電導コイル12に伝わるのを防止でき、磁場の均一性も確保することができる。
なお、冷却装置は超電導コイル等の極低温に冷却する必要のある被冷却物を冷却するのに適し、MRI装置等にも適用できる。

したがって、上記記載事項、図14及び図15の第4の実施の形態に着目すると、引用例1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。
「コイル部1と、冷凍部2と、冷凍部2とコイル部1とを熱的に接続する接続部3とで構成される冷却装置において、
コイル部1は、環状の真空容器11と、真空容器内に収容された下端面に伝熱部材16を熱的に接続した超電導コイル12と、超電導コイル12と真空容器11との間に超電導コイル12を包囲するように配置されたサーマルシールド13とを備え、
冷凍部2は、真空容器18と、真空容器18内に冷却ステージを位置させるように真空容器18の内外に跨って配置された2段膨張式のギフォード・マクマホン冷凍機19とで構成され、
接続部3は、コイル部lの真空容器11内と冷凍部2の真空容器18内とを気密に連通させるフレキシブルな配管25と、一端側が2段膨張式のギフォード・マクマホン冷凍機l9の第2段冷却ステージ21に熱的に接続されるとともに他端側が配管25内を通して超電導コイルの下端面に熱的に接続された伝熱部材l6に熱的に接続された伝熱部材27と、一端側が2段膨張式のギフォード・マクマホン冷凍機l9の第1段冷却ステージ20に熱的に接続されるとともに他端側が配管25内を通してサーマルシールドl3に熱的に接続された伝熱部材26とで構成され、
伝熱部材27,26は、ループ型細管ヒートパイプ28で形成されている
冷却装置。」

(2-2)引用例2
また、原査定の拒絶の理由に引用された特開平4-261077号公報(以下「引用例2」という。)には、「熱シールド体冷却法」に関し、図面とともに以下の記載がある。なお、下線は当審で付与した。
カ.「【0012】【実施例】実施例1.以下、この発明の一実施例を図にしたがって説明する。図1において、1は超電導コイル、2はヘリウム容器すなわち内槽、3は熱シールド板、4は例えばアルゴンを作動流体としたヒートパイプ、4aはヒートパイプ4の蒸発部、4bはヒートパイプ4の凝縮部、5は液体窒素槽、6は真空容器すなわち外槽である。ヒートパイプ4の蒸発部4aは熱シールド板3と熱的に接続され、凝縮部4bは液体窒素槽5と熱的に接続されている。
【0013】このように構成された超電導マグネットの基本動作は従来例と同様である。ただし実施例では、熱伝導率の大きい材質からなる熱シールド板3を冷却配管9に液体窒素を循環させ冷却していた。本発明では、液体窒素槽5と熱シールド板3をヒートパイプ4により熱的に連結しており、ヒートパイプ4を介して熱シールド板3は冷却される。
【0014】少し詳しく説明する。ヒートパイプは熱輸送素子であり、作動流体の潜熱を利用することから、条件にもよるが銅の数倍?数百倍の熱輸送特性を有している。したがってヒートパイプを利用することにより、熱シールド板を非常に効率良く冷却できるのである。ただ、ヒートパイプは作動流体の流動、蒸発および凝縮潜熱を利用しているため、その利用温度が作動流体の凝固点と臨界点の間に限定される。通常の超電導マグネットにおいて液体窒素槽5の温度は78K程度、熱シールド板3の温度は高くても100K程度に抑える必要がある。そこで例えばアルゴン-窒素の二元流体を用いれば、使用温度範囲が70?130K程度となり作動流体となる。従って、アルゴン-窒素の二元流体を作動流体としたヒートパイプ4を用いることにより、渦電流による影響を抑えるため高抵抗材を熱シールド板に用いた場合でも熱シールド板の温度を低く抑えることができる。条件にもよるが、熱伝導のみで冷却した時に熱シールド板の温度が100K以上になる場合でも、本実施例のようにヒートパイプを用いれば熱シールド板の温度を80?90K程度にできる。また、熱シールド板に熱良導体を用いた時でも、熱伝導距離が長くなる場合には同様のヒートパイプを設置することで、熱シールド板の温度を低く抑えることが可能である。いずれにしろ、熱シールド板の熱伝導のみに頼る場合に比べ、熱シールド板の温度上昇度を数分の一から数十分の一に抑えることが可能である。」

キ.「【0016】また、ヒートパイプの凝縮部と熱的に連結される寒冷発生部は、液体窒素を貯蔵したタンクであっても、冷凍機の寒冷発生部であっても問題はない。そのような構成例を図2に示す。図2において、10が例えばヘリウムを冷媒とした冷凍機であり、10aが寒冷発生部である。ヒートパイプ4の凝縮部4bは冷凍機10の寒冷発生部10aと熱的に連結されている。また、図1と図2とを組み合わせたシステムとして、図3のような構成もある。熱シールド板3の冷却は、凝縮部4bが液体窒素槽5と熱的に連結されたヒートパイプ4によって行われ、一方液体窒素槽内で蒸発した窒素ガスが冷凍機10の寒冷発生部10aで再凝縮される構成である。図2および図3のような構成が可能なことも本発明の大きな利点の一つである。なぜなら強制循環方式では、蒸発した窒素ガスを冷凍機により再液化するようなシステムが組めないからである。」

上記「カ.」には、超電導コイル、ヘリウム容器(内槽)、熱シールド板、アルゴンを作動流体としたヒートパイプ、ヒートパイプの蒸発部、ヒートパイプの凝縮部、液体窒素槽、真空容器(外槽)からなる超電導コイル等を収める極低温容器の熱シールド体冷却法において、ヒートパイプの蒸発部は熱シールド板と熱的に接続され、凝縮部は液体窒素槽と熱的に接続されることで、ヒートパイプを介して熱シールド板が冷却される構成が記載されている。また、ヒートパイプは作動流体の流動、蒸発および凝縮潜熱を利用した非常に効率の良い冷却方法であることが記載されている。
上記「キ.」には、超電導コイルの冷却装置において、ヒートパイプの凝縮部が、液体窒素槽と熱的に接続されている構成(図1)と、ヒートパイプの凝縮部が冷凍機の寒冷発生部に連結される構成(図2)が記載され、さらに両者(図1と図2)を組み合わせたシステムとして、ヒートパイプが液体窒素槽5(本願補正発明の「冷媒リザーバ」に相当)と熱的に連結され、液体窒素槽内では蒸発した窒素ガスが冷凍機の寒冷発生部で再凝縮される構成が記載されている(図3)。

(2-3)引用例3
また、原査定の拒絶の理由に引用された特開平9-306722号公報(以下「引用例3」という。)には、「超電導磁石装置」に関し、図面とともに以下の記載がある。なお、下線は当審で付与した。
ク.「【0012】本発明装置で用いているループ型細管ヒートパイプは、たとえば細い銅管などで形成されたループ型細管の中に作動流体を収容したものとなっている。実際にヒートパイプとして用いるときには、ループ型細管の一部を吸熱部として被冷却物に熱的に接続し、またループ型細管の他の一部を放熱部として冷却源に熱的に接続する。
【0013】吸熱部から侵入した熱によって、吸熱領域に存在している作動流体が加熱されると、この作動流体内で気泡が発生する。このとき、この気泡が周辺の液体を押し退ける。この押し退ける力は吸熱部を境にしてループの両側方向に働くが、構成の微妙なアンバランス等によって、一方向への力が強くなる。この結果、液体の一方向への流れ成分が増してループ内を作動流体が循環移動する。この循環する作動流体が吸熱部と放熱部との間の熱交換に寄与して熱輸送が行われる。特に、吸熱部で蒸発したガスが放熱部で凝縮することによる蒸発潜熱を利用できるので、超電導コイルと極低温冷凍機との間の距離が離れていても多量の熱を運ぶことができる。このため、同じ断面積の銅材を熱伝導素子として用いた場合の10?100 倍以上の熱を伝えることができる。また、ループ型細管ヒートパイプは、格別な流体駆動源を必要としないので簡便性に富んでいること、全体を柔軟構造にすることができるので設置自由度に富んでいることなどの優れた面を備えている。」

ケ.「【0019】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら発明の実施形態を説明する。図1には本発明の一実施形態に係る超電導磁石装置が示されている。図中、30は断熱容器としての真空容器を示している。この真空容器30内には臨界温度が20K 程度の超電導線で形成された超電導コイル31が配置されている。真空容器30内には極低温冷凍機32の冷却ステージも位置している。
【0020】極低温冷凍機32は蓄冷器を備えた、たとえばギフォード・マクマホン冷凍機によって構成されている。この極低温冷凍機32は、50K程度に冷却される第1段冷却ステージ33と、この第1段冷却ステージ33より低い、たとえば4K程度に冷却される第2段冷却ステージ34とを備えている。
【0021】第2段冷却ステージ34と超電導コイル31とはループ型細管ヒートパイプ35によって熱的に接続されている。ループ型細管ヒートパイプ35は、細い銅チューブを多数回巻回して形成された無端のループ型細管36を備えており、このループ型細管36内に作動流体としてのヘリウムを収容したものとなっている。そして、ループ型細管36に設定された放熱部38は銅ブロックなどで形成された熱伝導部材39を介して第2段冷却ステージ34に熱的に接続されており、またループ型細管36に設定された吸熱部40は銅ブロックなどで形成された熱伝導部材41を介して超電導コイル31に熱的に接続されている。」

上記「ク.」の記載から、ループ型細管ヒートパイプは、細い銅管などで形成されたループ型細管の中に作動流体を収容したもので、作動流体内で発生する気泡が周辺の液体を押し退け、構成の微妙なアンバランス等によって一方向への力が強くなり、その結果、液体の一方向への流れ成分が増してループ内を作動流体が循環移動し、この循環する作動流体が吸熱部と放熱部との間の熱交換に寄与して熱輸送が行われ、特に、吸熱部で蒸発したガスが放熱部で凝縮することによる蒸発潜熱を利用できるので、超電導コイルと極低温冷凍機との間の距離が離れていても多量の熱を運ぶことができることが記載されている。
上記「ケ.」の記載から、ループ型細管ヒートパイプ36のループ型細管の放熱部38と、ギフォード・マクマホン冷凍機の第2段冷却ステージ34とが、熱伝導部材39を介して熱的に接続される構成が記載されている。

(3)対比・判断
そこで、本願補正発明と引用発明とを対比する。
a.引用発明の「コイル部1」、「真空容器11」、「超電導コイル12」、「伝熱部材16」は、本願補正発明の「ハウジング」、「第1の真空リザーバ(24)」、「超伝導マグネット(32)」、「コイル巻型(30)」にそれぞれ相当する。
ここで、引用発明の「超電導コイル12」は、断熱容器として機能する「環状の真空容器11」内に収容されており、部分断面図である図14には番号等の注記はないものの、超電導コイル12の内側に斜線で表記された部材が記載されていることからみて、超電導コイル12が環状の真空容器と斜線で表記された部材とからなる「中心コア」の周りに配置されているものと認められる。また、引用発明の「サーマルシールド13」は、真空容器11内に収容された超電導コイル12と、真空容器11との間に超電導コイル12を包囲するように配置されてなるものであるから、本願補正発明の「熱シールド(26)」に相当する。そして、引用発明の真空容器11は、超電導コイル12を包囲するように配置されたサーマルシールド13をその容器内に収容するものであるから、真空容器11はある体積を有する真空空間を備えていることは、明らかである。
よって、引用発明の「コイル部1は、環状の真空容器11と、真空容器内に収容された下端面に伝熱部材16を熱的に接続した超電導コイル12と、超電導コイル12と真空容器11との間に超電導コイル12を包囲するように配置されたサーマルシールド13とを備え」は、本願補正発明の「第1の真空リザーバ(24)をその内部に包含したハウジング(22)であって、該ハウジング(22)はさらに、ある体積(28)を画定する第1の真空リザーバ(24)内にある、コイル巻型(30)をその内部に包含した熱シールド(26)と、コイル巻型(30)の中心コアの周りに配置させたマグネットとを包含し」に相当する。
ただし、本願補正発明は、ハウジング(22)が、コイル巻型(30)の内部またはその近傍で、「対象(例えば、MRI装置の患者)を受け容れるように構成された中心コアの周りに配置させた複数のマグネット(32、34)を包含し」ているのに対し、引用発明ではコイル巻型(伝熱部材16)の近傍で、中心コアの周りに配置させたマグネット(超電導コイル12)は備えるものの、「対象(例えば、MRI装置の患者)を受け容れるように構成された中心コアの周りに配置させた複数のマグネットを包含し」ているとの特定はなされていない。

b.引用発明の冷凍部2は、真空容器18と、この真空容器18内に冷却ステージを位置させるように真空容器18の内外に跨って配置された蓄冷式冷凍機l9とで構成されているから、引用発明の冷凍部2の「真空容器18」の真空容器内部の空間は、本願補正発明の「第2の真空リザーバ(62)」に相当し、引用発明の「2段膨張式のギフォード・マクマホン冷凍機」は、極低温冷凍機であって、クライオクーラの一種であり、2段階の冷却ステージを備えるから、本願補正発明の「2相式クライオクーラ」に相当する。
よって、引用発明の冷凍部2の「真空容器18と、真空容器18内に冷却ステージを位置させるように真空容器18の内外に跨って配置された2段膨張式のギフォード・マクマホン冷凍機19とで構成され」は、本願補正発明の「第2の真空リザーバ(62)内にある2相式クライオクーラ(70)」に相当する。
ただし、本願補正発明は、第2の真空リザーバ(62)の内部に「冷媒(76)を保持する冷媒リザーバ(74)を有」し、2相式クライオクーラ(70)が、「冷媒リザーバ(74)と熱的に連絡され、その内部に移動するピストンを備え、その第2段が気化した冷媒(76)を冷媒リザーバ(74)内で液化する」ものであるのに対し、引用発明では、第2の真空リザーバ内に2相式クライオクーラ(2段膨張式のギフォード・マクマホン冷凍機)を備えるものの、そのような構成は特定されていない。

c.引用発明の「フレキシブルな配管25」は、コイル部lの真空容器11内と冷凍部2の真空容器18内とを気密に連通させるものであるから、本願補正発明の「真空チューブ220」に相当する。
また、引用発明の「ループ型細管ヒートパイプ28」は、ループ形状の細管ヒートパイプで構成されているから、本願補正発明の「ヒートパイプ」に相当し、引用発明の「伝熱部材27,26」は、本願補正発明の「2相式熱伝達デバイス」に相当し、引用発明の「冷却装置」は、超電導磁石装置における超伝導コイルを極低温に冷却する装置であるから、本願補正発明の「超伝導マグネットアセンブリ(20)」に相当する。
よって、引用発明の「伝熱部材27,26は、ループ型細管ヒートパイプ28で形成されている冷却装置」は、本願補正発明の「ヒートパイプを含む配管系(82)を備えている第1の2相式熱伝達デバイス(80B)及び第2の2相式熱伝達デバイス(80A)と、を備える超伝導マグネットアセンブリ(20)」に相当する。
ただし、本願補正発明の第1及び第2の2相式熱伝達デバイスが備える配管系は、「その各々が液体冷媒(90)及び蒸気冷媒(92)をその内部に包含しており、気化器領域(84)及び凝縮器領域(86)を含むパルス動作型」ヒートパイプを含むものであるのに対し、引用発明の伝熱部材27,26は、ループ型細管ヒートパイプで形成されているものの、そのような構成は特定されていない。

d.引用発明の「一端側が2段膨張式のギフォード・マクマホン冷凍機l9の第2段冷却ステージ21に熱的に接続されるとともに他端側が配管25内を通して超電導コイルの下端面に熱的に接続された伝熱部材l6に熱的に接続された伝熱部材27」は、本願補正発明の「第1の2相式熱伝達デバイス(80B)の気化器領域(84)はコイル巻型(30)と熱的に連絡しており、かつ第1の2相式熱伝達デバイス(80B)の凝縮器領域(86)はクライオクーラ(70)の第2段と熱的に連絡していること」に相当する。
また、引用発明の「一端側が2段膨張式のギフォード・マクマホン冷凍機l9の第1段冷却ステージ20に熱的に接続されるとともに他端側が配管25内を通してサーマルシールドl3に熱的に接続された伝熱部材26」は、本願補正発明の「第2の2相式熱伝達デバイス(80A)の気化器領域(84)は熱シールド(26)と熱的に連絡しており、かつ第2の2相式熱伝達デバイス(80A)の凝縮器領域(86)はクライオクーラ(70)の第1段と熱的に連絡していること」に相当する。
ただし、本願補正発明は、第1の2相式熱伝達デバイス(80B)の凝縮器領域(86)は、2相式クライオクーラ(70)と熱的に連絡させた「冷媒リザーバ(74)に保持された液体の冷媒(76)と」熱的に連絡しているのに対し、引用発明は、冷媒リザーバ(74)を備えておらず「クライオクーラ(70)の第2段冷却ステージ(21)に」熱的に接続されている。

したがって、本願補正発明と引用発明とは、以下の点で一致ないし相違する。
(一致点)
「第1の真空リザーバをその内部に包含したハウジングであって、該ハウジングはさらに、
ある体積を画定する第1の真空リザーバ内にある、コイル巻型をその内部に包含した熱シールドと、
前記コイル巻型の近傍で、中心コアの周りに配置させたマグネットと、
を包含したハウジングと、
第2の真空リザーバと、
第2の真空リザーバ内にある2相式クライオクーラと、
ヒートパイプを含む配管系を備えている第1の2相式熱伝達デバイス及び第2の2相式熱伝達デバイスと、
を備える超伝導マグネットアセンブリであって、
前記第1の2相式熱伝達デバイスの気化器領域はコイル巻型と熱的に連絡しており、かつ第1の2相式熱伝達デバイスの凝縮器領域はクライオクーラの第2段冷却ステージと熱的に連絡していること、
前記第2の2相式熱伝達デバイスの気化器領域は熱シールドと熱的に連絡しており、かつ第2の2相式熱伝達デバイスの凝縮器領域はクライオクーラの第1段冷却ステージと熱的に連絡していること、
を特徴とする超伝導マグネットアセンブリ。」

(相違点1)
本願補正発明は、ハウジングが、コイル巻型(30)の内部またはその近傍で、「対象を受け容れるように構成された中心コアの周りに配置させた複数のマグネット(32,34)を包含し」ているのに対し、引用発明は、コイル巻型の近傍で、中心コアの周りに配置させたマグネット(超電導コイル12)は備えるものの、そのような特定はなされていない点。

(相違点2)
本願補正発明は、第2の真空リザーバ(62)の内部に「冷媒(76)を保持する冷媒リザーバ(74)を有」し、2相式クライオクーラ(70)が、「冷媒リザーバ(74)と熱的に連絡され、その内部に移動するピストンを備え、その第2段が気化した冷媒(76)を冷媒リザーバ(74)内で液化する」ものであるのに対し、引用発明は、第2の真空リザーバ内に2相式クライオクーラ(2段膨張式のギフォード・マクマホン冷凍機)を備えるものの、そのような構成は特定されていない点。

(相違点3)
本願補正発明は、第1の2相式熱伝達デバイス(80B)の凝縮器領域(86)が「冷媒リザーバ(74)に保持された液体の冷媒(76)と」熱的に連絡しているのに対し、引用発明は、冷媒リザーバを備えていないため、「クライオクーラの第2段冷却ステージに」熱的に接続されている点。

(相違点4)
本願補正発明の第1及び第2の2相式熱伝達デバイスが備える配管系は、「その各々が液体冷媒(90)及び蒸気冷媒(92)をその内部に包含しており、気化器領域(84)及び凝縮器領域(86)を含むパルス動作型」ヒートパイプを含むものであるのに対し、引用発明の伝熱部材27,26は、ループ型細管ヒートパイプで形成されているものの、そのような構成は特定されていない点。

上記相違点について検討する。
(相違点1について)
上記「2.(2-1)エ.」に既述したように引用例1には、冷却装置をMRIに適用することが記載されている。
ここで、MRI装置において、超伝(電)導磁石装置と患者用ベッドとを有し、超伝(電)導磁石装置は巻型に固定された超伝(電)導コイルの形態で構成され、その内部に形成された空間に対象である患者用のベッドが挿入された複数のマグネットを備えることは、例えば、特開平1-262605号公報の「超電導磁石装置」には、超電導コイル1と患者が中に入る常温ポア12が、特開2004-73752号公報の「開放型MRI装置の磁場均一度調整方法」には、段落【0025】,図1,図2に、複数の超電導コイルと被検体1が配設される空間23が、特開2009-517号公報の「セラミック巻型を持つヒートパイプ冷却型超伝導磁石」には、段落【0016】,【0017】,図1,図2に、超伝導磁石54が巻型72に固定及び固着された複数の超伝導コイル73の形態で患者を受け入れるように構成された空間が、それぞれ記載されているように、周知の技術事項である。
したがって、引用発明のMRIに適用できる冷却装置において、上記周知技術を適用して、コイル巻型の内部またはその近傍で、MRI装置の患者等の対象を受け容れるように中心コアの周りに配置させた複数のマグネットを備えた構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。

(相違点2及び3について)
上記相違点2及び3は、何れも「第2の真空リザーバ内にある2相式クライオクーラの第2段が冷媒リザーバと熱的に連絡している」ことによる相違点であるから、まとめて検討する。
はじめに、引用発明のギフォード・マクマホン冷凍機等の極低温冷凍機であるクライオクーラが、「その内部に移動するピストンを備え」ることは、例えば、特開平11-87131号公報の段落【0002】や特開2000-79106号公報の段落【0004】に記載されているように周知の技術事項であるから、クライオクーラの内部構成として「その内部に移動するピストンを備え」る旨の限定には、特段の技術的意義は認められない。
そして、上記「2.(2-2)」に既述したように引用例2には、超電導コイルの冷却装置において、ヒートパイプの凝縮部が、液体窒素槽と熱的に接続されている構成(図1)と、ヒートパイプの凝縮部が冷凍機の寒冷発生部に連結される構成(図2)が記載され、さらに両者(図1と図2)を組み合わせたシステムとして、ヒートパイプが液体窒素槽5(本願補正発明の「冷媒リザーバ」に相当)と熱的に連結され、液体窒素槽内では蒸発した窒素ガスが冷凍機の寒冷発生部で再凝縮される構成が記載されている(図3)。
そうすると、引用発明において、ヒートパイプ凝集部と2段膨張式冷凍機の寒冷発生部である第2段冷却ステージとの熱的連絡に、引用例2の冷媒を貯蔵したタンク(冷媒リザーバ)を介在させる技術思想を適用して、冷媒を保持する冷媒リザーバと、内部に移動するピストンを備える2相式クライオクーラの第2段とを熱的に連絡して、第2段が気化した冷媒を冷媒リザーバ内で液化し、第1の2相式熱伝達デバイスの凝縮器領域を冷媒リザーバに保持された液体の冷媒と熱的に連絡するように構成することは、当業者が容易になし得たことである。

(相違点4について)
上記「2.(2-2)」に既述したように引用例2(特に「カ.」)には、超電導コイル等を収める極低温容器の熱シールド体冷却法において、ヒートパイプの蒸発部は熱シールド板と熱的に接続され、凝縮部は液体窒素槽と熱的に接続されることで、ヒートパイプを介して熱シールド板が冷却される構成が記載されており、ヒートパイプは熱輸送素子であり、作動流体の流動、蒸発および凝縮潜熱を利用した非常に効率の良い冷却方法であることが、また、上記「2.(2-3)」に既述したように引用例3(特に「ク.」)には、ループ型細管ヒートパイプは、たとえば細い銅管などで形成されたループ型細管の中に作動流体を収容したもので、ヒートパイプとして用いるときには、ループ型細管の一部を吸熱部として被冷却物に熱的に接続し、ループ型細管の他の一部を放熱部として冷却源に熱的に接続するものであり、吸熱部から侵入した熱によって、吸熱領域に存在している作動流体が加熱されると、ループ内を作動流体が循環移動すること、この循環する作動流体が吸熱部と放熱部との間の熱交換に寄与して熱輸送が行われ、特に、吸熱部で蒸発したガスが放熱部で凝縮することによる蒸発潜熱を利用できるので、超電導コイルと極低温冷凍機との間の距離が離れていても多量の熱を運ぶことができることが、それぞれ記載されている。
さらに本願補正発明のヒートパイプは「パルス動作型」との限定がなされており、本願補正発明の「パルス動作型ヒートパイプ」とは、本願明細書の段落【0017】の記載から「脈動性のスラグ流を提供するもの」と解されるが、引用例3のループ型細管ヒートパイプにおいても「吸熱部から侵入した熱によって、吸熱領域に存在している作動流体が加熱されると、この作動流体内で気泡が発生し、この気泡が周辺の液体を押し退け、この押し退ける力は吸熱部を境にしてループの両側方向に働くが、構成の微妙なアンバランス等によって、一方向への力が強くなり、この結果、液体の一方向への流れ成分が増してループ内を作動流体が循環移動し、この循環する作動流体が吸熱部と放熱部との間の熱交換に寄与して熱輸送が行われ(段落【0013】)」ていることから、流路内に気相と液相の異なる相の流体が交互に流れて振動力で循環流を形成するものであるから、「脈動性のスラグ流を提供するもの」といえ、本願補正発明の「パルス動作型ヒートパイプ」と同様の構成を備えるものと認められる。
なお、ヒートパイプを用いた熱輸送システムにおいて、パルス動作型ヒートパイプ(自動振動型ヒートパイプ)を用いることも周知の技術事項である(例えば、特許第2714883号公報、特開2007-178043号公報)。
そうすると、引用発明のループ型細管ヒートパイプで形成されている伝熱部材27,26においても、引用例2、引用例3及び周知のヒートパイプの構成を適用して、その各々が液体冷媒及び蒸気冷媒をその内部に包含しており、気化器領域及び凝縮器領域を含むパルス動作型ヒートパイプを含む配管系を備えるように構成することは、当業者が容易になし得たことである。

なお、請求人は、審判請求書において、本願明細書の段落【0008】の「クライオクーラは、MRIシステムの超伝導マグネットに近いためにこれから加えられる磁場を受けている。画像収集中にアーチファクトとして出現することがあるゴースト効果(ghosting effect)を回避するためには、クライオクーラ低温段(具体的には、クライオクーラ内部で移動するピストン)を磁気シールドしなければならない。このことは費用が高くつくことが分かっている。さらにクライオクーラのモータ駆動部分(複数のこともある)も、クライオクーラが故障せずに適正に動作できるように保証するために厚手の金属製磁気シールドを必要とする。これもまた出費が大きい。」との記載を引用して、「本願発明では、アーチファクトの出現に影響の少ない熱シールド(26)を振動するクライオクーラ(70)の第1段と接続する一方、アーチファクトの出現に影響の大きいコイル巻型(30)又は超伝導マグネット(32、34)を振動するクライオクーラ(70)とは直接接続せず、クライオクーラ(70)の第2段により液化された液体の冷媒(76)と熱的に接続しているため、アーチファクトの出現の低減した安価なシステムの設計を可能にする」旨主張している。
しかしながら、本願補正発明において、アーチファクトの出現の低減は、本願明細書の段落【0011】の「(中略)より具体的に本発明の一実施形態は、クライオクーラの箇所を超伝導マグネットアセンブリの構成及び箇所から隔絶させることを可能にした冷却用の2相式熱伝達デバイス(例えば、パルス動作型(pulsating)ヒートチューブ)を利用し、これによりシステムの全体設計、据え付け、動作及びメンテナンスを簡略化した超伝導マグネットアセンブリを提供することを目的とする。」との記載、段落【0017】の「(中略)本発明の態様は、クライオクーラに関して別の利点を提供する。クライオクーラが遠隔式に配置及び/または位置決めできるという点で、クライオクーラの設計及び構成を大幅に簡略化することができる。その結果、クライオクーラの新たな配置のために音響ノイズが大幅に低減または排除される。クライオクーラ上及びクライオクーラ駆動器の周りの磁気シールドはもはや必要がない。」との記載から、2相式熱伝達デバイス(例えば、パルス動作型(pulsating)ヒートチューブ)を冷却用に利用することで、クライオクーラの箇所を超伝導マグネットアセンブリの構成及び箇所から隔絶させることを可能にし、クライオクーラを遠隔式に配置・位置決めできることで、クライオクーラ上及びクライオクーラ駆動器の周りの磁気シールドを必要ないものとすることにより実現した効果であり、引用例1の冷却装置においても、上記「2.(2-1)エ」に既述したように、「冷却装置は、(コイル部lと、冷凍部2と、この冷凍部2とコイル部1とを接続する接続部3とで構成されているから)超電導コイル12を収容した真空容器1lと冷凍機用の真空容器18との間の距離を十分にとることができるため、冷凍機の存在に左右されることなくコイル部1を小型化でき、蓄冷式冷凍機19の振動が超電導コイル12に伝わるのを防止でき、磁場の均一性も確保することができる」ものであるから、アーチファクトの出現の低減したシステムの設計を可能とするものと認められる。よって請求人の主張は認められない。

そして、本願補正発明が奏する効果は、引用発明、引用例2ないし3に記載された技術事項及び周知技術から当業者が十分に予測できたものであって、格別顕著なものとはいえない。

(4)むすび
以上のとおり、本願補正発明は、引用例1に記載された発明、引用例2ないし3に記載された技術事項及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

したがって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1
項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3.本願発明
平成27年2月19日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし10に係る発明は、平成26年3月6日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1ないし10に記載された事項により特定されたものであるところ、請求項6に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりである。
「【請求項6】
第1の真空リザーバ(24)をその内部に包含したハウジング(22)であって、該ハウジング(22)はさらに、
ある体積(28)を画定する第1の真空リザーバ(24)内にある、コイル巻型(30)をその内部に包含した熱シールド(26)と、
前記コイル巻型(30)の内部またはその近傍で、対象を受け容れるように構成された中心コアの周りに配置させた複数のマグネット(32、34)と、
を包含したハウジング(22)と、
冷媒(76)を保持する冷媒リザーバ(74)をその内部に有する第2の真空リザーバ(62)と、
第2の真空リザーバ(62)内にありかつ冷媒リザーバ(74)と熱的に連絡させた2相式クライオクーラ(70)と、
その各々が液体冷媒(90)及び蒸気冷媒(92)をその内部に包含しており、気化器領域(84)及び凝縮器領域(86)を含むパルス動作型ヒートパイプを含む配管系(82)を備えている第1の2相式熱伝達デバイス(80B)及び第2の2相式熱伝達デバイス(80A)と、
を備える超伝導マグネットアセンブリ(20)であって、
前記第1の2相式熱伝達デバイス(80B)の気化器領域(84)はコイル巻型(30)と複数のマグネット(32、34)のうちの一方に配置されて熱的に連絡しており、かつ第1の2相式熱伝達デバイス(80B)の凝縮器領域(86)は冷媒リザーバ(74)に保持された冷媒(76)と熱的に連絡していること、
前記第2の2相式熱伝達デバイス(80A)の気化器領域(84)は熱シールド(26)と熱的に連絡しており、かつ第2の2相式熱伝達デバイス(80A)の凝縮器領域(86)はクライオクーラ(70)と熱的に連絡していること、
を特徴とする超伝導マグネットアセンブリ(20)。」

(1)引用例
原査定の拒絶の理由で引用された引用例1ないし3の記載事項は、上記「2.(2)」に記載したとおりである。

(2)対比・判断
本願発明は、本願補正発明における「2相式クライオクーラ」の「であって、その内部に移動するピストンを備え、その第2段が気化した前記冷媒を前記冷媒リザーバ内で液化する、前記クライオクーラ」の限定を削除し、冷
媒の「液体」の限定を削除し、クライオクーラ「の第1段」を削除したものである。

そうすると、本願発明の構成要素を全て含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が、上記「2.(3)」に記載したとおり、引用例1に記載された発明、引用例2ないし3に記載された技術事項及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用例1に記載された発明、引用例2ないし3に記載された技術事項及び周知技術により当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3)むすび
以上のとおり、本願の請求項6に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。したがって、その余の請求項について論及するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2016-11-14 
結審通知日 2016-11-15 
審決日 2016-11-28 
出願番号 特願2010-71271(P2010-71271)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H01F)
P 1 8・ 575- Z (H01F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 久保田 昌晴  
特許庁審判長 酒井 朋広
特許庁審判官 森川 幸俊
井上 信一
発明の名称 超伝導マグネットアセンブリを冷却するための装置及び方法  
代理人 荒川 聡志  
代理人 黒川 俊久  
代理人 田中 拓人  
代理人 小倉 博  

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