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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1327412
審判番号 不服2016-11093  
総通号数 210 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-06-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-07-22 
確定日 2017-04-13 
事件の表示 特願2012-256320「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 6月 5日出願公開、特開2014-100438〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成24年11月22日の出願であって、平成27年8月14日付けで拒絶理由が通知され、同年10月15日付けで意見書が提出されるとともに手続補正がなされ、平成28年4月15日付けで拒絶査定がなされたのに対し、平成28年7月22日に拒絶査定不服審判が請求され、それと同時に手続補正がなされたものである。

第2 平成28年7月22日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成28年7月22日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 本件補正の内容
本件補正は特許請求の範囲の請求項1の記載を含むものであり、請求項1の記載は、補正前の
「【請求項1】
可変表示を行い表示結果を導出表示し、予め定められた特定表示結果が表示結果として導出表示されたときに、遊技者にとって有利な有利状態に制御する遊技機であって、
前記有利状態に制御するか否かを決定する決定手段と、
前記決定手段による決定結果にもとづいて、第1リーチ演出を実行して前記表示結果を導出表示する第1演出パターンと、前記第1リーチ演出を開始した後に、前記第1リーチ演出よりも前記特定表示結果となる可能性が高い第2リーチ演出に切替えてから、前記表示結果を導出表示する第2演出パターンとを含む複数種類の演出パターンのいずれかを実行する演出パターン実行手段と、
前記演出パターン実行手段が前記第1演出パターンにおける前記第1リーチ演出実行中の所定契機で、前記第1リーチ演出後に導出表示される前記表示結果が前記特定表示結果となる可能性を示唆する示唆表示を行う示唆演出を実行する示唆演出実行手段と、
を備え、
前記演出パターン実行手段は、前記第2演出パターンにおける前記第1リーチ演出実行中の前記所定契機と同じ契機で、切替示唆表示を行う切替演出を実行してから前記第2リーチ演出に切替える、
ことを特徴とする遊技機。」から、
補正後の
「【請求項1】
A 可変表示を行い表示結果を導出表示し、予め定められた特定表示結果が表示結果として導出表示されたときに、遊技者にとって有利な有利状態に制御する遊技機であって、
B 前記有利状態に制御するか否かを決定する決定手段と、
C 前記決定手段による決定結果にもとづいて、第1リーチ演出を実行して前記表示結果を導出表示する第1演出パターンと、前記第1リーチ演出を開始した後に、前記第1リーチ演出よりも前記特定表示結果となる可能性が高い第2リーチ演出に切替えてから、前記表示結果を導出表示する第2演出パターンとを含む複数種類の演出パターンのいずれかを実行する演出パターン実行手段と、
D 前記演出パターン実行手段が前記第1演出パターンにおける前記第1リーチ演出実行中の所定契機で、前記第1リーチ演出後に導出表示される前記表示結果が前記特定表示結果となる可能性を示唆する示唆表示を行う示唆演出を実行する示唆演出実行手段と、
を備え、
E 前記演出パターン実行手段は、前記第2演出パターンにおける前記第1リーチ演出実行中の前記所定契機と同じ契機で、切替示唆表示を行う切替演出を実行してから前記第2リーチ演出に切替え、
F 前記示唆演出実行手段が実行する前記示唆表示の表示態様は複数種類あり、実行される前記表示態様に応じて前記有利状態に制御される割合が異なる、
ことを特徴とする遊技機。」
へ補正された(下線部は補正箇所を示す。記号A?Fは分説するため当審にて付した。)。

2 本件補正の目的
本件補正によって、請求項1の記載は、上記1の下線部の構成が付加された。

すなわち、「前記第1リーチ演出後に導出表示される前記表示結果が前記特定表示結果となる可能性を示唆する示唆表示を行う示唆演出を実行する示唆演出実行手段」において、「前記示唆演出実行手段が実行する前記示唆表示の表示態様は複数種類あり、実行される前記表示態様に応じて前記有利状態に制御される割合が異なる」ものであることを付加することで、「示唆演出実行手段」の構成を限定するものである。

そして、補正後の請求項1に記載された発明は、補正前の請求項1に記載された発明と、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とする補正に該当する。

そして、本件補正は、願書に最初に添付した明細書の段落【0209】の記載および図15、図18の図示内容から導かれるものであり、新規事項を追加するものではない。

3 独立特許要件
そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)が、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか、すなわち、本件の特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであるかについて以下に検討する。

(1)刊行物の記載事項
ア 刊行物1
原査定の拒絶の理由に引用された本願の出願前に頒布された刊行物である特開2002-360842号公報(以下、「刊行物1」という。)には、図面の図示と共に、次の事項が記載されている(下線は当審で付した。)。

(1-ア)「【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、表示部において複数の識別情報を変動表示可能な可変表示装置を備えた遊技機に関するものである。」

(1-イ)「【0068】遊技盤8の中央部分には、可変表示装置としての特別図柄表示装置20が組込まれている。特別図柄表示装置20は、・・・液晶ディスプレイ(LCD)よりなる表示部20aを備えており、複数の図柄列を表示することができるようになっている。本実施の形態において、これらの図柄列としては左図柄列21、中図柄列22及び右図柄列23の3つの図柄列(識別情報列)が挙げられる・・・。・・・
【0069】さらに、特別図柄表示装置20の表示部20aでは、遊技球Bの作動口11への入賞に基づいて、各図柄列21?23の図柄変動表示・・・が行われるような構成となっている。・・・」

(1-ウ)「【0075】主基板50は、主たる制御を司るためのものであって、読み出し専用メモリ(ROM)、中央処理装置(CPU)、ランダムアクセスメモリ(RAM)等を備えている。ROMは所定の制御プログラムや初期データを予め記憶しており、CPUはROMの制御プログラム等に従って各種演算処理を実行する。RAMはCPUによる演算結果を図柄乱数バッファ、図柄乱数エリア、停止図柄エリア等に一時的に記憶する。・・・
【0076】また、RAMは、後述する特別遊技状態としての大当たり状態の発生を決定するための乱数カウンタをも備えている。この乱数カウンタは、乱数更新処理により、所定(例えば「0」?「299」)の範囲で、例えば2ms毎に、1カウントずつ更新される。本実施の形態では、遊技球Bが作動口11に入賞し、それが作動口用スイッチ41にて検出されたときに(保留最大回数時は除く)、前記乱数カウンタの値が所定値、例えば「7」であった場合に、大当たり状態が発生させられるようになっている。」

(1-エ)「【0095】さて、図5(c)に示すように、上述したように変動表示される各図柄列21?23の各図柄70A?70Iは、所定時間経過後、表示部20aの大当たりラインL1?L5上に停止表示(確定停止表示)される。このとき、大当たり図柄、外れリーチ図柄、外れ図柄の中から1つが選択された上で、前記大当たりラインL1?L5上に停止表示される。なお、停止図柄とは、各図柄列21?23が図柄変動を停止したときに確定表示される図柄である。・・・
【0096】・・・大当たり図柄は、通常遊技状態からリーチ遊技状態(リーチ状態)を経た後、遊技者に有利な特別遊技状態としての大当たり状態を発生させるための図柄である。詳しくは、全ての図柄列21?23の変動が停止させられたとき、表示されている図柄70A?70Hの組合せが、予め定められた大当たりの組合せ、すなわち、同一種類の図柄70A?70Hが大当たりラインL1?L5に沿って並んでいるときの同図柄70A?70Hの組合せとなる場合がある。この組合せを構成する図柄が「大当たり図柄」である。
【0097】・・・大当たりの組合せが成立すると、特別電動役物が作動し・・・、遊技者にとって有利な大当たり状態の到来、すなわち、より多くの景品球を獲得することが可能となる。・・・」

(1-オ)「【0099】また、リーチ状態とは、大当たり直前の状態をいう・・・本実施の形態におけるリーチ状態には、右図柄列23の図柄変動が、前記大当たりラインL1?L5上において左図柄列21の停止図柄と同一種類の図柄で停止する状態が含まれる。
【0100】上記のリーチ状態には、中図柄列22の図柄変動が、最終的に左・右両図柄列21,23の停止図柄と同一種類の図柄(大当たり図柄)で停止して大当たり状態になるもの以外にも、異なる種類の図柄(これを「外れリーチ図柄」という)で停止して、大当たり状態とならないもの(以下、「外れリーチ状態」という)が含まれる。・・・
【0101】上記リーチ状態において、リーチパターンとしては、・・・「ノーマルリーチ」の外に、種々のリーチパターンが設定されている。これらリーチパターンのうち、「ノーマルリーチ」以外のリーチパターンは、いわゆる「スーパーリーチ」と称されるものである。「スーパーリーチ」の動作が開始された場合には、「ノーマルリーチ」の場合に比べて、大当たり状態が発生する期待値(大当たり期待値)が高くなるようになっている。また、「スーパーリーチ」においても、各リーチパターンによって大当たり期待値が異なったものとなっていることとしてもよい。・・・」

(1-カ)「【0105】主基板50が遊技球Bが作動口11へ入賞した旨を検出した場合、そのことに基づいて、主基板50は、対応する保留ランプ24a?24d・・・を点灯させ、保留カウンタの値を「1」ずつインクリメントする。・・・
【0106】また、主基板50は、内部乱数カウンタ、大当たり図柄カウンタ、外れリーチ図柄カウンタ、外れ図柄カウンタ等の各カウンタの値を各乱数エリアに格納する。そして、所定のタイミングにおいて対応する保留ランプ24a?24dを消灯させるとともに、保留カウンタの値をデクリメントし、各エリア等に格納されたデータに基づき図柄変動を実行する。
【0107】このとき、主基板50は、当該変動に際し、指令としてのコマンドを特別図柄表示装置20の表示制御基板110をはじめ、ランプ制御基板120、音声制御基板130等へと出力(送信)する。さて、当該コマンドには、(1)変動開始から所定時間後に図柄70A?70Iを確定表示させる旨の時間情報及び各リーチパターンに代表される変動パターンからなるパターン情報、並びに、(2)いかなる図柄70A?70Iで確定表示させるかという図柄情報が含まれる。ここで、図柄情報としては、大当たり図柄、外れリーチ図柄、外れ図柄が含まれ、これらは、上述した内部乱数カウンタ、大当たり図柄カウンタ、外れリーチ図柄カウンタ、外れ図柄カウンタ等に基づいて決定されるものである。
【0108】本実施の形態における上記コマンドは、2バイト構成からなっており、順次連続的に表示制御基板110等へと送信される。・・・先頭の1バイト目は、これからいかなる情報が送信されてくるかというキーワード情報によって構成されている。また、後半の1バイトは、具体的な指示内容に該当するパターンコード等の内容情報によって構成されている。
【0109】例えば、本実施の形態において、まず最初に送信されるコマンドはパターン情報である。この場合、1バイト目は、これからパターン情報(時間情報及び変動パターンを示唆する)が送信される旨のキーワード情報により構成され、2バイト目は、・・・パターンコード情報により構成されている。ここで、・・・パターンコード情報は、図柄の変動時間を例えば「10秒」とする、或いは、「30秒」とするといった内容を示唆する時間情報と、どのような変動パターン(又は変動パターン群のうちいずれか)を実行するといった変動パターンを示唆する情報とからなる。
【0110】続いて送信されるのは図柄情報である。すなわち、本実施の形態のように左→右→中の順に3つの図柄列21?23の図柄が確定させられる場合においては、まず、パターン情報に続いて2番目に送信されるコマンドたる図柄情報として、1バイト目は、これから左図柄列21の図柄情報が送信される旨のキーワード情報により構成され、2バイト目は、確定表示される図柄を示唆するパターンコード情報により構成されている。・・・」

(1-キ)「【0113】さらに、表示制御基板110は、当該コマンドに基づき図柄変動を開始するとともに、変動停止に至るまでの間、前記変動パターンに基づく種々の演出を行う。当該演出としては、例えばリーチ演出が主として挙げられる。
【0114】すなわち、上記コマンドのうち、パターン情報に基づき、表示制御基板110のCPU63は、テーブルを参酌して、上述した各変動パターンの中から所定のパターンを選択決定するとともに、当該決定したパターンに基づく演出を、変動開始から確定表示までの間、別途設定された時間データの秒数分だけ実行する。・・・」

(1-ク)「【0121】ここで、前記図柄変動を行うべく表示制御基板110に対し出力されるコマンドに、「カウントダウン予告」を行う旨の情報が含まれていた場合において、表示制御基板110側で行われる処理内容について詳述する。
【0122】この場合において、表示制御基板110のCPU63により、図10(a)に示すように、各図柄列21?23の図柄70A?70Iの変動が開始させられる。・・・
【0123】そして、変動開始から所定時間経過後において、左図柄列21の図柄変動速度がそれまでの変動速度よりも遅くされた後、所定の図柄70A?70Iにて停止させられる・・・。続いて、右図柄列22の図柄変動速度が遅くさせられ・・・左図柄列21と同様に所定の図柄70A?70Iにて停止させられる・・・。このように、本実施の形態では、カウントダウン予告が行われる場合には、リーチ状態が発生させられる。
【0124】次に、リーチ状態が発生してから、所定時間の間、図10(b)に示すように、ノーマルリーチと同様の表示が行われる(第1の表示態様に相当)。すなわち、背景等に関してそれまでとほとんど変化させられることがなく、単に中図柄列22の図柄70A?70Iだけが変動表示される。・・・
【0125】続いて、所定時間経過後、CPU63は、カウントダウン予告を実行するべく・・・図10(c)に示すように、それまでキャラクタGCが振り回していたまといMTの回転を停止させるとともに、上部の標識部HSに、所定の数字、例えば本実施の形態では切換の3秒前であることを示唆する「3」という数字(識別標識)を表示させる。
【0126】次に、図10(d)に示すように、キャラクタGCが先ほどとは反対方向を向いた状態で・・・まといMTを振り回す動作表示を行う。
【0127】続いて、前記「3」の数字の表示から1秒経過した後、図11(a)に示すように、キャラクタGCが振り回していたまといMTの回転を再度停止させるとともに、上部の標識部HSに、「2」という数字(識別標識)を表示させる。・・・
【0128】・・・続いて、前記「2」の数字の表示から1秒経過した後、図11(c)に示すように、キャラクタGCが振り回していたまといMTの回転を再度停止させるとともに、上部の標識部HSに、「1」という数字(識別標識)を表示させる。これにより、切換の1秒前であることが示唆されることとなる。その後、図11(d)に示すように、キャラクタGCが先ほどとは反対方向を向いた状態で上記と同様にまといMTを振り回す動作表示を行う。この時点で、遊技者にとってのわくわく感が高められることとなり、次にどのような演出が行われるのが(切換が行われることを知っている遊技者は、どのような表示態様の切換が行われるのか)をわくわくどきどきしながらまといMT(標識部HS)を注視することとなる。
【0129】そして、前記「1」の数字の表示から1秒経過した後、図12(a)?(d)のいずれかに示すように、キャラクタGCが振り回していたまといMTの回転を再度停止させるとともに、上部の標識部HSに、予め設定されていた所定の識別標識を表示させる。
【0130】本実施の形態においては、予め複数通り(4通り)の識別標識が用意されている。すなわち、図12(a)に示すように標識部HSに「0」の数字が表示された場合には、中図柄列22の図柄70A?70Iの変動が停止され、所定の図柄70A?70Iにて確定表示されることとなる(この場合、外れリーチ図柄で停止することとしてもよいし、外れリーチ図柄又は大当たり図柄で停止することとしてもよい)。
【0131】また、図12(b)に示すように標識部HSに「Go」の文字が表示された場合には、中図柄列22の図柄70A?70Iの変動が継続され、次に、所定の発展型のスーパーリーチによる演出が実行される(第2の表示態様に切り換えられる)。従って、このような示唆(予告)を認知した遊技者、又は切換を認知した遊技者にとっては、それまでよりも大当たり状態発生の期待感が高められることとなる。
【0132】さらに、図12(c)に示すように標識部HSに「×」の文字が表示された場合には、中図柄列22の図柄70A?70Iの変動が継続されるが、表示態様がそれまでに対し特に切り換えられることなく、そのままノーマルリーチでの演出表示が継続される。
【0133】併せて、図12(d)に示すように標識部HSに「クエスチョンマーク」の記号が表示された場合には、中図柄列22の図柄70A?70Iの変動が継続されるとともに、表示態様がそれまでとは切り換えられることとなる。但し、この時点では次にどのような遊技状態になるかは把握することができず、その後、所定の表示態様へと切り換えられる。・・・
【0134】このように、本実施の形態によれば、リーチ状態中においてノーマルリーチパターンに基づく表示態様(第1の表示態様)から、第2の表示態様へと表示態様が切り換えられるに際し、その切換の起因又は契機となりうる示唆、すなわち、・・・カウントダウン予告が、表示部20aのうちの図柄70A?70Iの変動表示領域以外の領域で行われる。このため、カウントダウン予告に伴い、遊技者は、表示態様がノーマルリーチから別の表示パターンへと切り換えられるタイミングを把握できるとともに、カウントダウンが行われている期間中、まといMTの標識部HSを注意深く見守ることとなる。・・・」

(1-ケ)上記段落【0107】には「主基板50は、当該変動に際し、指令としてのコマンドを特別図柄表示装置20の表示制御基板110・・・等へと(送信)する。・・・当該コマンドには、・・・各リーチパターンに代表される変動パターンからなるパターン情報・・・が含まれる・・・」と記載され、上記段落【0114】には「上記コマンドのうち、パターン情報に基づき、表示制御基板110のCPU63は、テーブルを参酌して、上述した各変動パターンの中から所定のパターンを選択決定するとともに、当該決定したパターンに基づく演出を・・・実行する。」と記載されている。
このことから、上記段落【0107】、【0114】には、表示制御基板110のCPU63は、主基板50から送信されたコマンドに基づき、テーブルを参酌して各リーチパターンに代表される変動パターンの中から所定のパターンを選択決定し、当該決定したパターンに基づいてリーチ演出を行うことが記載されているといえる。

(1-コ)上記段落【0113】には「図柄変動を開始するとともに、変動停止に至るまでの間・・・リーチ演出」を行うことが記載され、上記段落【0124】?【0128】には、それぞれ「リーチ状態が発生してから、所定時間の間・・・ノーマルリーチと同様・・・図柄列22の図柄70A?70Iだけが変動表示される」、「続いて、所定時間経過後・・・カウントダウン予告を実行するべく・・・上部の標識部HSに、切換の3秒前であることを示唆する「3」という数字・・・を表示させる」、「次に、図10(d)に示すように、キャラクタGCが先ほどとは反対方向を向いた状態で・・・まといMTを振り回す動作表示を行う」、「続いて、前記「3」の数字の表示から1秒経過した後、・・・上部の標識部HSに、「2」という数字・・・を表示させる」、「続いて、前記「2」の数字の表示から1秒経過した後、図11(c)に示すように、キャラクタGCが振り回していたまといMTの回転を再度停止させるとともに、上部の標識部HSに、「1」という数字・・・を表示させる」と記載され、これら一連のリーチ演出は、「表示態様の切換の何秒前であるかを示唆する数字を「3」から「1」まで順に表示するカウントダウン予告」と言い換えることができる。そして、上記段落【0131】には「図12(b)に示すように標識部HSに「Go」の文字が表示された場合には、中図柄列22の図柄70A?70Iの変動が継続され、次に、所定の発展型のスーパーリーチによる演出が実行される・・・このような切換を認知した遊技者にとっては、それまでよりも大当たり状態発生の期待感が高められる」と記載され、上記段落【0132】には「さらに、図12(c)に示すように標識部HSに「×」の文字が表示された場合には、中図柄列22の図柄70A?70Iの変動が継続され・・・そのままノーマルリーチでの演出表示が継続される」と記載されている。なお、上記段落【0134】には「リーチ状態中において・・・カウントダウン予告が、表示部20aのうちの図柄70A?70Iの変動表示領域以外の領域で行われる」と記載されている。
以上から、上記段落【0113】、【0124】?【0128】、【0131】、【0132】、【0134】には、リーチ状態が発生してから、所定時間の間、ノーマルリーチと同様、中図柄列の図柄だけを変動表示させ、所定時間経過後、表示部20aのうちの図柄70A?70Iの変動表示領域以外の領域にある標識部HSにおいて、表示態様の切換の何秒前であるかを示唆する数字を「3」から「1」まで順に表示する「カウントダウン予告」なるリーチ演出が示されるとともに、当該カウントダウン予告の実行後、そのままノーマルリーチでの演出表示が継続される場合と、前記カウントダウン予告の実行後、所定の発展型のスーパーリーチによる演出が実行され、それまでよりも大当たり状態発生の期待感が高められる場合とを含む複数種類の演出のいずれかを実行することが示されるとともに、これらの演出が、図柄変動が停止に至るまで実行されることが記載されている。

上記(1-ア)?(1-ク)の記載事項、上記(1-ケ)、(1-コ)の認定事項及び図面の図示内容を総合勘案すると、刊行物1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる(記号a?eは本願補正発明の記号A?Eに対応させて付した。)。

「a 表示部において複数の識別情報を変動表示可能な可変表示装置を備えた遊技機に関するものであり、遊技盤8の中央部分に組み込まれた可変表示装置としての特別図柄表示装置20の表示部20aでは、遊技球Bの作動口11への入賞に基づいて、各図柄列21?23の図柄変動表示が行われ、変動表示される各図柄列の各図柄70A?70Iは、大当たり図柄、外れリーチ図柄、外れ図柄の中から1つが選択された上で、所定時間経過後、表示部20aの大当たりライン上に確定停止表示し、表示された図柄が、予め定められた大当たりの組合せとして成立すると、遊技者にとって有利な大当たり状態が到来するように構成した遊技機であり、(【0001】、【0068】、【0069】、【0095】、【0096】、【0097】)

b 主基板50は、読み出し専用メモリ(ROM)、中央処理装置(CPU)、ランダムアクセスメモリ(RAM)等を備え、当該RAMは、特別遊技状態としての大当たり状態の発生を決定する乱数カウンタも備え、遊技球Bが作動口11に入賞し、それが作動口用スイッチ41にて検出されたときに、前記乱数カウンタの値が所定値となった場合に、大当たり状態が発生させられるようになっており、(【0075】【0076】)

c 表示制御基板110のCPU63は、主基板50から送信されたコマンドに基づき、テーブルを参酌して各リーチパターンに代表される変動パターンの中から所定のパターンを選択決定し、当該決定したパターンに基づいてリーチ演出を行うものであり、リーチ状態が発生してから、所定時間の間、ノーマルリーチと同様、中図柄列の図柄だけを変動表示させ、所定時間経過後、表示部20aのうちの図柄70A?70Iの変動表示領域以外の領域にある標識部HSにおいて、表示態様の切換の何秒前であるかを示唆する数字を「3」から「1」まで順に表示するカウントダウン予告を実行後、そのままノーマルリーチでの演出表示が継続され、その後図柄変動が停止に至る場合と、前記カウントダウン予告の実行後、所定の発展型のスーパーリーチによる演出が実行され、それまでよりも大当たり状態発生の期待感が高められた上、その後図柄変動が停止に至る場合とを含む複数種類の演出のいずれかを実行し、(認定事項(1-ケ)、(1-コ))

d 前記カウントダウン予告を実行後、そのままノーマルリーチでの演出表示が継続され、その後図柄変動が停止に至る場合において、標識部HSの「1」の数字の表示から1秒経過した後に、標識部HSに「×」の文字を表示させ、(【0129】、認定事項(1-コ))

e 前記カウントダウン予告を実行後、所定の発展型のスーパーリーチによる演出が実行され、それまでよりも大当たり状態発生の期待感が高められた上、その後図柄変動が停止に至る場合において、標識部HSの「1」の数字の表示から1秒経過した後に、標識部HSに「Go」の文字を表示させる、(【0129】、認定事項(1-コ))

ことを特徴とする遊技機。」

イ 刊行物2
本願出願前に頒布された刊行物である特開2012-205745号公報(以下、「刊行物2」という。)には、図面の図示と共に、次の事項が記載されている。

(2-ア)「【0015】
遊技盤101の略中央部分には、画像表示部104が配置されている。画像表示部104としては液晶表示器(LCD:Liquid Crystal Display)などが用いられる。画像表示部104は、大当たり抽選の抽選結果をあらわす特別図柄に対応して設けられた装飾図柄(以下「特図装飾図柄」という)や演出画像などを表示する。・・・
【0055】
・・・図4は、本実施の形態のぱちんこ遊技機が表示画面上でおこなう演出について示す説明図・・・である。・・・
【0060】
また、ぱちんこ遊技機100は、特図装飾図柄TZ1?TZ3のほか、特殊装飾図柄TZ4も表示する。そして、特図装飾図柄TZ1?TZ3の変動にともなって特殊装飾図柄TZ4も変動させる。・・・」

(2-イ)「【0066】
左特図装飾図柄TZ1と右装飾図柄TZ2とを・・・リーチ・・・として大当たりとなる可能性を予告すると、つづいて、ぱちんこ遊技機100は、特殊装飾図柄TZ4の表示態様を第1表示態様から第2表示態様とする。ここで、たとえば第2表示態様は有色表示とすることができる。
【0067】
一例として、ぱちんこ遊技機100は、第2表示態様として、特殊装飾図柄TZ4を黄色、オレンジ色、赤色のいずれかの表示色で表示することができ、第2表示態様とするときにはいずれの表示色とするかを決定する。この際に、ぱちんこ遊技機100は、たとえば、大当たりへの期待度が黄色<オレンジ色<赤色と高くなるように表示色を決定する。これによって、ぱちんこ遊技機100は、特殊装飾図柄TZ4を第2表示態様とすることで、大当たりへの期待度を遊技者に示唆することができる。」

(2-ウ)上記段落【0015】には「遊技盤101の略中央部分には、画像表示部104が配置され、画像表示部104は、大当たり抽選の抽選結果をあらわす特別図柄に対応して設けられた装飾図柄を表示する」と記載され、上記段落【0060】には「ぱちんこ遊技機100は、特図装飾図柄TZ1?TZ3のほか、特殊装飾図柄TZ4も表示する。そして、特図装飾図柄TZ1?TZ3の変動にともなって特殊装飾図柄TZ4も変動させる」と記載されている。
これら記載及び図4の図示内容から、遊技盤101の画像表示部104において、大当たり抽選の抽選結果をあらわす特別図柄に対応して設けられた装飾図柄TZ1?TZ3の変動が表示される領域以外の領域において、特殊装飾図柄TZ4の変動を表示することが記載されているといえる。

(2)本願補正発明と引用発明との対比
本願補正発明と引用発明とを対比する(対比にあたっては、本願補正発明の構成A?Eと引用発明の構成a?eについて、それぞれ(a)?(e)の見出を付けて行った。)。

(a)引用発明の「遊技盤8の中央部分に組み込まれた可変表示装置としての特別図柄表示装置20の表示部20a」において、「遊技球Bの作動口11への入賞に基づいて」行われる「各図柄列21?23の図柄変動表示」は、本願補正発明における『可変表示』に相当し、引用発明の「変動表示される各図柄列の各図柄70A?70I」について、「大当たり図柄、外れリーチ図柄、外れ図柄の中から1つ」を「選択」し、「所定時間経過後、表示部20aの大当たりライン上に確定停止表示」することは、本願補正発明における『表示結果を導出表示』することに相当する。また、引用発明における「予め定められた大当たりの組合せ」は、本願補正発明の『予め定められた特定表示結果』に相当しているから、引用発明における「表示された図柄が、予め定められた大当たりの組合せとして成立すると、遊技者にとって有利な大当たり状態が到来するように構成した遊技機」は、本願補正発明の『予め定められた特定表示結果が表示結果として導出表示されたときに、遊技者にとって有利な有利状態に制御する遊技機』に相当する。

(b)引用発明における「主基板50」は、「ランダムアクセスメモリ(RAM)等を備え、当該RAMは、特別遊技状態としての大当たり状態の発生を決定するための乱数カウンタも備え、遊技球Bが作動口11に入賞し、それが作動口用スイッチ41にて検出されたときに、前記乱数カウンタの値が所定値となった場合に、大当たり状態が発生させられる」ように構成されており、ここにいう「大当たり状態」は、本願補正発明における『有利状態』に相当するから、引用発明における「主基板50」は、本願補正発明における『前記有利状態に制御するか否かを決定する決定手段』を備えているということができる。

(c)引用発明における「リーチ状態が発生してから、所定時間の間、ノーマルリーチと同様、中図柄列の図柄だけを変動表示させ、所定時間経過後、表示部20aのうちの図柄70A?70Iの変動表示領域以外の領域にある標識部HSにおいて、表示態様の切換の何秒前であるかを示唆する数字を「3」から「1」まで順に表示するカウントダウン予告」は、本願補正発明における『第1リーチ演出』に相当するから、当該「カウントダウン予告を実行後、そのままノーマルリーチでの演出表示が継続され、その後図柄変動が停止に至る場合」は、本願補正発明における『第1リーチ演出を実行して前記表示結果を導出表示する第1演出パターン』に相当し、引用発明における「所定の発展型のスーパーリーチによる演出」は、「実行され」ると、「それまでよりも大当たり状態発生の期待感が高められる」ので、本願補正発明における『前記第1リーチ演出よりも前記特定表示結果となる可能性が高い第2リーチ演出』に相当するから、引用発明における「前記カウントダウン予告を実行後、所定の発展型のスーパーリーチによる演出が実行され、それまでよりも大当たり状態発生の期待感が高められた上、その後図柄変動が停止に至る場合る場合」は、本願補正発明における『前記第1リーチ演出を開始した後に、前記第1リーチ演出よりも前記特定表示結果となる可能性が高い第2リーチ演出に切替えてから、前記表示結果を導出表示する第2演出パターン』に相当する。また、引用発明における「表示制御基板110のCPU63」は、「変動パターンの中から所定のパターンを選択決定し、当該決定したパターンに基づきリーチ演出を行う」ものであるから、本願補正発明における『複数種類の演出パターンのいずれかを実行する演出パターン実行手段』に相当するものということができる。そして、本願補正発明における『前記決定手段による決定結果にもとづいて』は、引用発明においても、「リーチ演出」を行うパターンを決定するに当たり、「大当たり状態」が発生したか否かの情報を受けて行われることは明らかである。

(d)引用発明における「標識部HSの「1」の数字の表示から1秒経過した後」は、本願補正発明の『前記第1演出パターンにおける前記第1リーチ演出実行中の所定契機』に相当し、引用発明の「標識部HSに表示された「×」の文字」は、ノーマルリーチが継続される場合に表示されるとともに、ノーマルリーチが継続することを表示することにより、大当たりになる可能性があることを示唆していることは明らかであるから、本願補正発明の『前記第1リーチ演出後に導出表示される前記表示結果が前記特定表示結果となる可能性を示唆する示唆表示』に相当する。よって、引用発明における「表示制御基板110のCPU63」は、本願補正発明の『示唆演出を実行する示唆演出実行手段』に相当するということができる。

(e)引用発明における「標識部HSの「1」の数字の表示から1秒経過した後」は、本願補正発明の『前記第1リーチ演出実行中の前記所定契機と同じ契機』に相当し、引用発明の「標識部HSに表示された「Go」の文字」は、所定の発展型のスーパーリーチによる演出への切替を示唆するものであり、本願補正発明の前記所定契機と同じ契機の『切替示唆表示』に相当するといえる。

上記(a)?(e)の対比により、本願補正発明と引用発明とは、
「A 可変表示を行い表示結果を導出表示し、予め定められた特定表示結果が表示結果として導出表示されたときに、遊技者にとって有利な有利状態に制御する遊技機であって、
B 前記有利状態に制御するか否かを決定する決定手段と、
C 前記決定手段による決定結果にもとづいて、第1リーチ演出を実行して前記表示結果を導出表示する第1演出パターンと、前記第1リーチ演出を開始した後に、前記第1リーチ演出よりも前記特定表示結果となる可能性が高い第2リーチ演出に切替えてから、前記表示結果を導出表示する第2演出パターンとを含む複数種類の演出パターンのいずれかを実行する演出パターン実行手段と、
D 前記演出パターン実行手段が前記第1演出パターンにおける前記第1リーチ演出実行中の所定契機で、前記第1リーチ演出後に導出表示される前記表示結果が前記特定表示結果となる可能性を示唆する示唆表示を行う示唆演出を実行する示唆演出実行手段と、
を備え、
E 前記演出パターン実行手段は、前記第2演出パターンにおける前記第1リーチ演出実行中の前記所定契機と同じ契機で、切替示唆表示を行う切替演出を実行してから前記第2リーチ演出に切替えことを特徴とする遊技機。」
である点で一致し、以下のFに関する点で相違する。

(相違点)
「示唆演出実行手段」における「示唆表示の表示態様」について、本件補正発明では、「複数種類あり、実行される表示態様に応じて有利状態に制御される割合が異なる」のに対し、引用発明では、標識部HSに「×」の文字が表示される点。

(3)相違点についての検討・判断
(相違点について)
刊行物2には、前記「第2[理由]3(1)イ」の(2-イ)の記載事項及び(2-ウ)の認定事項から、ぱちんこ遊技機100の画像表示部104の大当たり抽選の抽選結果をあらわす特別図柄に対応して設けられた装飾図柄TZ1?TZ3の変動が表示される領域以外の領域において、リーチとなると、特殊装飾図柄TZ4を大当たりへの期待度が黄色<オレンジ色<赤色と高くなるように表示色を決定して表示するようにし、これにより、大当たりへの期待度を遊技者に示唆する技術事項が記載されているといえる。

引用発明と刊行物2に記載の技術事項とは、遊技機の画像表示部の特別図柄の変動領域以外の領域で示唆表示を行うものであり、当該示唆表示の表示に継続されるリーチの内容が確定したタイミングで表示態様の異なる示唆表示を遊技者に示すことにより大当たりへの期待感を遊技者に示唆することを課題としている点で共通するから、引用発明において、カウントダウン予告を実行後、そのままノーマルリーチでの演出表示が継続される場合に、標識部HSの「1」の数字の表示から1秒経過した後に標識部HSに表示される「×」の文字やその背景の表示色について、引用文献2に記載の技術事項を適用し、大当たりへの期待度に応じて表示色を決定して表示することにより、当該相違点に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者が容易になし得ることである。

なお、審判請求人は、請求書の第4頁下から6行?第5頁2行において、本願発明によれば、(i)実行されているリーチにて大当りとなる可能性を示唆する示唆演出が実行されると思いきや、切替演出が実行されて異なるリーチに発展することにより、遊技者に対して意外性を与えることができ、遊技興趣を向上できるといった効果や、(ii)単にリーチが継続するか否かを報知する引用文献1に記載の発明とは異なり、所定契機において示唆演出または切替演出という異なる種類の演出が実行され得るので、所定契機での表示に対する注目が薄れてしまうことを防止することができるといった効果を奏する旨主張しているが、引用発明においても、同じタイミングで示唆演出または切替演出という異なる種類の演出のいずれかを実行するものであるから、上記効果と同様の効果を奏する。

(4)小括
以上のとおり、本願補正発明は、引用発明及び刊行物2に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

4 まとめ
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明に対する判断
1 本願発明の認定
平成28年7月22日付けの手続補正は、上記のとおり却下されることとなったので、本願の請求項1、2に係る発明は、平成27年10月15日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1、2に記載された事項により特定されるものであると認められるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。
「【請求項1】
可変表示を行い表示結果を導出表示し、予め定められた特定表示結果が表示結果として導出表示されたときに、遊技者にとって有利な有利状態に制御する遊技機であって、
前記有利状態に制御するか否かを決定する決定手段と、
前記決定手段による決定結果にもとづいて、第1リーチ演出を実行して前記表示結果を導出表示する第1演出パターンと、前記第1リーチ演出を開始した後に、前記第1リーチ演出よりも前記特定表示結果となる可能性が高い第2リーチ演出に切替えてから、前記表示結果を導出表示する第2演出パターンとを含む複数種類の演出パターンのいずれかを実行する演出パターン実行手段と、
前記演出パターン実行手段が前記第1演出パターンにおける前記第1リーチ演出実行中の所定契機で、前記第1リーチ演出後に導出表示される前記表示結果が前記特定表示結果となる可能性を示唆する示唆表示を行う示唆演出を実行する示唆演出実行手段と、
を備え、
前記演出パターン実行手段は、前記第2演出パターンにおける前記第1リーチ演出実行中の前記所定契機と同じ契機で、切替示唆表示を行う切替演出を実行してから前記第2リーチ演出に切替える、
ことを特徴とする遊技機。」

2 平成27年8月14日付けの拒絶理由の概要及び刊行物
(1)平成27年8月14日付けの拒絶理由の概要は以下のとおりである。
ア 本願の請求項1に係る発明は、その出願前に頒布された刊行物1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。

イ 本願の請求項1に係る発明は、その出願前に頒布された刊行物1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

刊行物1:特開2002-360842号公報

(2)刊行物1の記載事項は、前記「第2[理由]3(1)ア」に記載したとおりである。

3 判断
本願発明は、本願補正発明における「前記示唆演出実行手段が実行する前記示唆表示」の「表示態様」が「複数種類あり、実行される前記表示態様に応じて前記有利状態に制御される割合が異なる」ものであるとの「遊技機」としての限定を省いたものである。

そうすると、前記「第2[理由]3(2)」において検討したように、本願発明と引用発明に相違点はなく、一致するといえる。

したがって、本願発明は、刊行物1に記載された発明である。

また、仮に相違点があったとしても、本願発明は、刊行物1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

4 むすび
以上のとおり、本願発明は、刊行物1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができない。また、本願発明は、刊行物1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

したがって、その余の請求項について検討するまでもなく、本願は、拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2017-02-09 
結審通知日 2017-02-14 
審決日 2017-02-27 
出願番号 特願2012-256320(P2012-256320)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (A63F)
P 1 8・ 121- Z (A63F)
P 1 8・ 113- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 大浜 康夫  
特許庁審判長 本郷 徹
特許庁審判官 長井 真一
瀬津 太朗
発明の名称 遊技機  
代理人 木村 満  

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