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審決分類 審判 査定不服 特17 条の2 、4 項補正目的 取り消して特許、登録 H04W
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H04W
管理番号 1327430
審判番号 不服2016-8597  
総通号数 210 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-06-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-06-09 
確定日 2017-05-09 
事件の表示 特願2014-229982「基準信号パターン」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 4月16日出願公開、特開2015- 73290、請求項の数(52)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯

本願は,2011年(平成23年)6月1日(優先権主張 2010年(平成22年)6月1日 米国,2011年(平成23年)5月3日 米国,同月31日 米国)を国際出願日とする特願2013-513333号の一部を,平成26年11月12日に新たな特許出願としたものであって,同年12月11日付けで手続補正書が提出され,平成27年8月28日付けで拒絶理由が通知され,同年12月1日付けで意見書とともに手続補正書が提出され,平成28年1月29日付けで拒絶査定され,同年6月9日に拒絶査定不服審判の請求をするのと同時に手続補正されたものである。


第2 補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]
平成28年6月9日付け手続補正を却下する。

[理由]
1.本件補正の概要
平成28年6月9日付け手続補正(以下「本件補正」という。)は,本願の請求項1に係る発明について,次の[本件補正前]のようであったのを,[本件補正後]のようにする補正事項を含むものである。(下線は手続補正書における記載のとおり。)

[本件補正前]
【請求項1】
ワイヤレス通信のための方法において、
複数のアンテナポートからサブフレーム中でチャネル状態情報基準信号(CSI-RS)を送信する際に使用するためのリソースを規定する利用可能なCSI-RSパターンのセットを、基地局によって、識別することと、
送信構成に基づいて、前記利用可能なCSI-RSパターンのセットのうちのサブセットを、前記基地局によって、識別することと、
前記サブセットから前記CSI-RSパターンのうちの1つを、前記基地局によって、選択することと、
前記選択されたCSI-RSパターンにしたがって前記サブフレーム中でCSI-RSを、前記基地局によって、送信することとを含む方法。

[本件補正後]
【請求項1】
ワイヤレス通信のための方法において、
複数のアンテナポートからサブフレーム中でチャネル状態情報基準信号(CSI-RS)を送信する際に使用するためのリソースを規定する利用可能なCSI-RSパターンのセットを、基地局によって、識別することと、
送信構成に基づいて、前記利用可能なCSI-RSパターンのセットのうちのサブセットを、前記基地局によって、識別することと、
前記送信構成に基づいて、前記利用可能なCSI-RSパターンのセットから前記CSI-RSパターンのうちの1つを、または、前記サブセットから前記CSI-RSパターンのうちの1つを、前記基地局によって、選択することと、
前記選択されたCSI-RSパターンにしたがって前記サブフレーム中でCSI-RSを、前記基地局によって、送信することとを含む方法。

2.本件補正の判断
上記補正事項は,「前記送信構成に基づいて、前記利用可能なCSI-RSパターンのセットから前記CSI-RSパターンのうちの1つを、または、」との事項を附加するものである。

そして,上記事項の附加によって,本件補正前では,「基地局によって,選択する」のが,「サブセットからCSI-RSパターンのうちの1つ」であったのに対して,本件補正後では,「送信構成に基づいて」,「基地局によって,選択する」のが,
「利用可能なCSI-RSパターンのセットから前記CSI-RSパターンのうちの1つ」又は「サブセットから前記CSI-RSパターンのうちの1つ」となった。

このことについて検討するに,基地局によって,選択する選択肢として「利用可能なCSI-RSパターンのセットから前記CSI-RSパターンのうちの1つ」を追加するものであることは明らかである。
このことから,本件補正後では,基地局によって選択することができるものが,本件補正前より増加,拡張されたということはできるが,限定されたということはできない。

したがって,請求項1について,本件補正は,発明を特定するために必要な事項を限定するものであるということはできず,また特許請求の範囲を減縮するものであるということもできない。
また,請求項1について,本件補正は,誤記の訂正若しくは明りょうでない記載の釈明のいずれにも該当しない。
更に,本件補正は,請求項の削除にも該当しない。

よって,本件補正は,特許法第17条の2第5項において掲げる事項(第1から4号)のいずれにも該当しない。

3.まとめ
以上のとおりであるから,本件補正は,特許法第17条の2第5項の規定に違反するので,同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。


第3 原査定の概要

原査定の概要は次のとおりである。

この出願については、平成27年8月28日付け拒絶理由通知書に記載した理由によって、拒絶をすべきものです。

●理由1(特許法第29条第2項)について
・請求項 1-52
・引用文献等 1-4
先の拒絶理由通知に示した引用文献1(特に、3.、Appendix)、引用文献2(特に、3.)、引用文献3(特に、2.)、引用文献4(特に、7.、8.)に例示されるように、「CSI-RSを送信するために使用可能なREのサブセットを用いて、CSI-RSを送信する方法。」は、本願出願前に周知の技術である。
上記に加えて、引用文献1には、既存のRSを避けてCSI-RSを配置することが記載されている。
よって、引用文献1に記載された発明に、引用文献2-4に記載の周知技術を適用し、本願請求項に記載の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

<引用文献等一覧>
1.Samsung,Discussions on CSI-RS for LTE-Advanced,3GPP TSG-RAN WG1 Meeting #59 R1-094574,2009年11月9日
2.ZTE,CSI-RS Pattern Design for LTE-Advanced,3GPP TSG-RAN WG1 Meeting #60 R1-100969,2010年2月22日(周知技術を示す文献)
3.Huawei,CSI-RS Pattern Design,3GPP TSG-RAN WG1 Meeting #61 R1-103101,2010年5月10日(周知技術を示す文献)
4.Qualcomm Incorporated,Further details on CSI-RS,3GPP TSG-RAN WG1 Meeting #60b R1-103288,2010年5月10日(周知技術を示す文献)


第4 本願発明

本件補正は,上記「第2」に述べたとおり,却下された。

したがって,本願の請求項1から52に係る発明(以下,それぞれを,請求項の番号に従って,「本願第1発明」などといい,「本願第1発明」から「本願第52発明」を併せて「本願発明」という。)は,平成27年12月1日付け手続補正書における特許請求の範囲に記載されたとおりのものであって,本願第1発明は次の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものである。

【請求項1】
ワイヤレス通信のための方法において、
複数のアンテナポートからサブフレーム中でチャネル状態情報基準信号(CSI-RS)を送信する際に使用するためのリソースを規定する利用可能なCSI-RSパターンのセットを、基地局によって、識別することと、
送信構成に基づいて、前記利用可能なCSI-RSパターンのセットのうちのサブセットを、前記基地局によって、識別することと、
前記サブセットから前記CSI-RSパターンのうちの1つを、前記基地局によって、選択することと、
前記選択されたCSI-RSパターンにしたがって前記サブフレーム中でCSI-RSを、前記基地局によって、送信することとを含む方法。


第5 引用文献等

1.引用文献及び記載事項

原査定の理由で「引用文献1」として引用された「Samsung,Discussions on CSI-RS for LTE-Advanced,3GPP TSG-RAN WG1 Meeting #59 R1-094574,2009年11月9日」には次の記載がある。

(1) 記載事項1
3 CSI RS Placement in an RB
In RAN1#58bis, Rel-10 UE-RS mapping has been completed up to rank-8 transmissions. For Rel-10 CSI RS placement, we need to avoid all the existing RS REs to avoid RS collision, as well as REs for downlink control. We first observe that all the REs in the OFDM symbols assigned for downlink control are not available for CSI RS placement. Excluding a small (1.44MHz) bandwidth case, in non-MBSFN subframes, maximally the first 3 OFDM symbols in a subframe can be used for downlink control. Hence, we propose not to use the REs in the first three OFDM symbols in a subframe in an RB. Secondly, the REs in the OFDM symbols with Rel-8 CRS cannot be used for CSI RS placement to avoid collision between CRS from serving and neighbour cells and CSI RS, as Rel-8 allows cell-specific RS shift. Finally, we consider the REs in OFDM symbols with Rel-8 DRS or Rel-10 UE RS. Obviously, it is not desirable to place CSI RS in the REs with DRS or UE RS; however, it could be allowed to place CSI RS in REs in those OFDM symbols avoiding DRS and UE RS. The resulting placeholders for CSI RS in an RB according to the discussion are illustrated in Figure 4.

We summarize the discussion in this section, with the following proposal:
Proposal:
1. CSI-RS should be placed in OFDM symbols other than OFDM symbols with control signals and CRS. In a normal subframe, this implies CRS can be placed in OFDM symbols 3,5 and 6 in an even numbered slot, and in OFDM symbols 2, 3, 5 and 6 in an odd numbered slot. In OFDM symbols with Rel-8 DRS and Rel-10 UE-RS, CSI-RS should be placed avoiding DRS and UE-RS REs.
(当審訳
3 RBにおけるCSI RSの配置
RAN1#58bisでは,Rel-10 UE-RSマッピングはランク8の送信まで完了している。Rel-10 CSI RS配置のためには,ダウンリンク制御のためのREと同様に,RS衝突を回避するために,すべての既存RS REを回避する必要がある。ダウンリンク制御のために割り当てられたOFDMシンボルにおける全てのREが,CSI RSの配置に使用できないことに最初に気付く。小さい(1.44MHz)帯域幅の場合を除き,非MBSFNサブフレームでは,最大でサブフレーム内の最初の3つのOFDMシンボルをダウンリンク制御に使用が可能である。したがって,1RBの1サブフレーム内の最初の3つのOFDMシンボルでREを使用しないことを提案する。第二に、Rel-8がセル固有のRSシフトを可能にするので,サービング及び隣接セルからのCRSとCSI RSとの間の衝突を避けるためにCSI RS配置に,Rel-8 CRSを有するOFDMシンボルのREを使用することができない。最後に,Rel-8 DRS又はRel-10 UE RSを用いたOFDMシンボルのREを検討する。明らかに,DRS又はUE RSを伴うREにCSI RSを配置することは望ましくない,しかしながら,DRS及びUE RSを回避するそれらのOFDMシンボル内のREにCSI RSを配置することが許されるだろう。議論に従って1RB内のCSI RSのため,結果として生じるプレースホルダ(確保位置)が図4に示されている。

このセクションでの議論をまとめ,次の提案を附す。
提案:
1.CSI-RSを,制御信号及びCRSを有するOFDMシンボル以外のOFDMシンボル内に配置するべきである。通常のサブフレームでは,偶数番目のスロットのOFDMシンボル3,5,6に,そして奇数番目のスロットのOFDMシンボル2,3,5,6に,CRSを置くことができることを意味する。Rel-8 DRS及びRel-10 UE-RSを有するOFDMシンボルにおいては,DRS及びUE-RS REを避けて,CSI-RSを配置すべきである。)

(2) 記載事項2
Appendix
The CSI RS patterns used for the link throughput simulations are found in Figure 5 for 4-Tx systems, Figure 6 for 8-Tx systems, and Figure 7 for CSI RS splitting, respectively.
(当審訳
付録
リンクスループットシミュレーションに使用されるCSI RSパターンを、4-Txシステムの図5で、8-Txシステムの図6で、そしてCSI RSを分割している図7でそれぞれ知る。)

2.引用発明
以上によれば,引用文献1には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているということができる。

CSI-RSを送信するために使用可能なREのサブセットを用いて、CSI-RSを送信する方法。


第6 当審の判断

1.対比
本願第1発明と引用発明を比較すると次のことがいえる。

(相違点)
本願第1発明は,発明を特定する事項として「基地局」を有しているのに対して,引用発明は「基地局」を特定事項として有していない点で相違がある。
この相違により,本願第1発明においては,「基地局」が,<1>「利用可能なCSI-RSパターンのセット」を「識別すること」,<2>「利用可能なCSI-RSパターンのセットのうちのサブセット」を「送信構成に基づいて」「識別すること」,<3>「サブセットからCSI-RSパターンのうちの1つ」を「選択すること」,及び<4>「選択されたCSI-RSパターンにしたがってサブフレーム中でCSI-RS」を「送信すること」の特定があるのに対して,これら特定事項を,引用発明は有さない相違がある。

2.検討
上記相違について検討するに,例え,引用発明における「CSI-RS」を送信するのが「基地局」であることが,本願優先日前に周知であったということができたとしても,そのような基地局を引用発明に対して導入することによって,上記<1>から<3>における特定事項のように,「識別すること」,「選択すること」を,当業者が容易に想起することができたとまでいうことができる理由がない。

3.まとめ
以上のとおりであるから,引用発明及び周知技術に基づいて,本願第1発明を当業者が容易に発明をすることができたということはできない。
また,本願第2発明から本願第12発明は,本願第1発明を直接的若しくは間接的に引用する発明である。
したがって,本願第2発明から本願第12発明についても,本願第1発明と同様に,引用発明及び周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたということはできない。

そして,本願第13,25,37,及び49から52発明についても,本願第1発明について検討したのと同様のことが該当する。
したがって,本願第13,25,37,及び49から52発明についても,本願第1発明と同様に,引用発明及び周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたということはできない。
また,本願第14から24,26から36,38から48発明は,本願第13,25,又は37発明を,直接的若しくは間接的に引用する発明である。
したがって,本願第14から24,26から36,38から48発明についても,引用発明及び周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたということはできない。


第7 むすび

以上のとおり,本願発明は,引用発明及び周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。
したがって,本願発明を,原査定の理由によって,拒絶することはできない。
また,ほかに本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。
 
審決日 2017-04-24 
出願番号 特願2014-229982(P2014-229982)
審決分類 P 1 8・ 57- WY (H04W)
P 1 8・ 121- WY (H04W)
最終処分 成立  
前審関与審査官 三浦 みちる  
特許庁審判長 水野 恵雄
特許庁審判官 近藤 聡
北岡 浩
発明の名称 基準信号パターン  
代理人 福原 淑弘  
代理人 井関 守三  
代理人 蔵田 昌俊  
代理人 岡田 貴志  

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