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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1327566
審判番号 不服2016-11227  
総通号数 210 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-06-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-07-26 
確定日 2017-04-27 
事件の表示 特願2012-101430「電子機器及び電子機器の制御方法」拒絶査定不服審判事件〔平成25年11月 7日出願公開、特開2013-228936〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯

本願は、平成24年4月26日の出願であって、平成27年11月12日付けで拒絶理由が通知され、平成28年1月18日付けで手続補正がなされたが、同年4月18日付けで拒絶査定がされ、これに対して同年7月26日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。


2.本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、上記平成28年1月18日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された以下のとおりのものである。

「【請求項1】
表示部と、
接触を検出する接触検出部と、
前記接触検出部を振動させる振動部と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、前記接触検出部へのページめくりを検出すると、前記表示部に表示しているページをめくるとともに、前記ページめくり処理に要する時間以下で、前記振動部によって前記接触検出部を振動させる、
電子機器。」


3.引用発明

(1)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された国際公開第2011-28944号(以下、「引用例」という。)には、図面とともに以下の記載がある。(当審仮訳は、引用例の公表公報である特表2013-504128号公報の記載を参考した。また、下線は、当審において付加した。)

ア.「[0025] FIG. 1 illustrates an illustrative device architecture 100 which, in one possible implementation, is a handheld dedicated eBook reader device 102. The eBook reader device 102 has a touch-screen display 104. The eBook reader device 102 may also include a keyboard 106 or other types of actuatable elements that may have dedicated or assigned operations. For instance, the device 102 may have a power on/off button, selection keys, joystick, touchpad, and so forth.
[0026] The touch-screen display 104 presents content in a human-readable format to a user. The content presented in the touch-screen display 104 may take the form of electronic books, newspapers, or other readable or viewable materials. For example, the touch-screen display 104 provides the text of the electronic books and also depicts any illustrations, tables, or graphic elements that might be contained in the electronic books. The touch-screen display 104 is implemented with touch- sensitive technology which is responsive to user input registered via, for example, a finger, a stylus, or other similar pointing device.
[0027] As illustrated in FIG. 1, the eBook reader device 102 has various internal components, which include user interface subsystems 108. Examples of such components may include one or more user input controller(s) 110, a page turn detector 112, a bookmarking module 114, a book filtering module 116, and a text-to- speech module 118. The one or more user input controllers 110 are also provided to capture user input via the touch-screen 104, the keyboard 106, and any other user input element on the eBook reader device 102. 」(4-5頁)
(当審仮訳:
[0025] 図1は、1つの可能な実装例において、ハンドヘルド専用のeBookリーダデバイス102である、例示的なデバイスのアーキテクチャ100を示す。eBookリーダデバイス102は、タッチスクリーンディスプレイ104を有する。eBookリーダデバイス102はまた、キーボード106、または専用のもしくは割り当てられた動作を有してもよい、他の種類の作動可能な要素を含んでもよい。例えば、デバイス102は、電源オン/オフボタン、選択キー、ジョイスティック、タッチパッド等を有してもよい。
[0026] タッチスクリーンディスプレイ104は、人間が読むことが可能なフォーマットで、コンテンツをユーザに提示する。タッチスクリーンディスプレイ104に提示されるコンテンツは、電子ブック、新聞、または他の読むことが可能もしくは視認可能な資料という形態をとってもよい。例えば、タッチスクリーンディスプレイ104は、電子ブックのテキストを提供し、また、電子ブックに含まれ得る任意のイラスト、表、またはグラフィック要素を表す。タッチスクリーンディスプレイ104は、例えば指、スタイラス、または他の類似したポインティングデバイスを介して登録されたユーザ入力に応答する、タッチ感知技術を実装する。
[0027] 図1に示されるように、eBookリーダデバイス102は、ユーザインターフェースサブシステム108を含む、種々の内部構成要素を有する。そのような構成要素の例には、1つ以上のユーザ入力コントローラ110、ページめくり検出器112、ブックマーキングモジュール114、ブック絞り込みモジュール116、およびテキスト-スピーチ変換モジュール118が挙げられる。1つ以上のユーザ入力コントローラ110はまた、eBookリーダデバイス102上のタッチスクリーン104、キーボード106、および任意の他のユーザ入力要素を介したユーザ入力を捕捉するために提供される。)

イ.「 [0031] The page turn detector 112 detects an input corresponding to a command to change the displayed page on the eBook reader device 102. The command may be generated by a key on the keyboard 106, an object such as the user's finger swiped across the touch-screen display 104, a pressure applied to a point on the touch-screen display 104, and the like. Examples of page turning mechanisms are described below in more detail with reference to FIGS. 2-4. 」(6-7頁)
(当審仮訳:
[0031] ページめくり検出器112は、eBookリーダデバイス102上に表示されたページを変更するためのコマンドに対応する入力を検出する。該コマンドは、キーボード106上のキー、タッチスクリーンディスプレイ104を横断してスワイプさせたユーザの指等の物体、タッチスクリーンディスプレイ104上のある地点に印加された圧力等によって生成されてもよい。ページめくり機構の実施例は、図2?図4を参照して以下に詳細に説明する。)

ウ.「[0045] Recall from above that a "page" as described herein may be understood as a virtual frame of the content, or a visual display window presenting the content to the user. The pages presented on the eBook reader device 102 and turned using the touch-screen display 104 may not correspond directly to the identical hard pages in the associated physical book. Depending on display capabilities, font size, and other such parameters, any given "page" displayed on the eBook reader device 102 may contain more or less text/graphics than the corresponding hard page. Thus, the page turning mechanism 112 turns pages in the sense of changing from one display frame to another. A visual representation of a "page," such as a page number 302, may assist the user in distinguishing one page from another. In this example, the page number is "50". Additionally, a visual representation of turning pages, such as a changing page number, may provide visual confirmation that pages are turning. In other implementations, a graphic element such as a representation of book with turning pages may be displayed instead of or together with the page number to provide a visual representation of the turning pages. Further, in place of page numbers, a progress graphic may be used to represent the user's progress through the content. Audio and/or haptic feedback may also be used to provide an indication of pages turning. For example, a sound of actual paper pages of a book being turned could be played each time the "page" of an eBook is turned. 」(11頁)
(当審仮訳:
[0045] 前述したことを想起して、本明細書に記載される「ページ」は、コンテンツの仮想フレームとして、またはコンテンツをユーザに提示する仮想表示ウィンドウとして理解されてもよいことを思い出していただきたい。eBookリーダデバイス102上に提示されて、タッチスクリーンディスプレイ104を使用してめくられるページは、関連する物理的なブックの同じハードページに直接的に対応しない場合がある。表示能力、フォントサイズ、および他の当該のパラメータに応じて、eBookリーダデバイス102上に表示される任意の所与の「ページ」は、対応するハードページよりも、多いまたは少ないテキスト/グラフィックスを含み得る。したがって、ページめくり機構112は、一方の表示フレームからもう一方に変化させるという意味でページをめくる。ページ番号302等の「ページ」の視覚的表現は、ユーザがあるページと別のページとを区別するのを援助してもよい。この実施例において、ページ番号は、「50」である。加えて、ページ番号を変更する等の、ページをめくるという視覚的表現は、そのページがめくられていることの視覚的な確認を提供してもよい。他の実装例では、ページめくりを伴うブックの表現等のグラフィック要素を、ページ番号の代わりに、またはそれと一緒に表示して、ページめくりの視覚的表現を提供してもよい。さらに、コンテンツを通してのユーザの進行を表すために、ページ番号の代わりに、進行するグラフィックを使用してもよい。また、ページめくりを示す目安となる、音声および/または触覚フィードバックを使用してもよい。例えば、eBookの「ページ」がめくられるたびに、本の実際の紙ページがめくられている音を再生することができる。)

エ.「[0097] FIG. 19 illustrates selected functional components 1900 that might be implemented as eBook reader subsystems 1902. In a very basic configuration, the subsystems 1902 include a memory 1904, a processing unit 1906, and a touchscreen display module 1908 for controlling eBook content output to the touch-screen display 104 as well as interpreting commands received by the touch-screen display 104. The memory 1904 typically contains an operating system 1910 of the eBook reader device 102. The memory 1904 may also include one or more electronic documents 1912 such as eBooks.
[0098] As described above, the touch-screen display 104 is adapted for displaying visible representations of textual or graphic content, such as contents of an electronic book in digital form. For convenience only, the touch-screen display 104 is shown in a generally rectangular configuration in the implementations described herein. However, it is understood that the touch-screen display 104 may be implemented in any shape, and may have any ratio of height to width. Also, for stylistic or design purposes, the touch-screen display 104 may be curved or otherwise non-linearly shaped.
[0099] ・・・中略・・・
[0100] ・・・中略・・・
[0101] ・・・中略・・・
[0102] ・・・中略・・・
[0103] The eBook reader device 102 may have additional features or functionality. For example, the eBook reader device 102 may also include an audio output module 1922 for controlling the generation of sounds such as synthesized speech. Output from the audio output module 1922 may be directed to an on-board speaker 1924 or another output device such as a head-phone jack. The eBook reader device 102 may also include microphone(s) 1926 for recording sound such as the user's voice and/or for detecting taps on the display to localize a point of contact on the display as described above in relation to FIG. 3. In some implementations the eBook reader device 102 may also include a vibrator 1928 or other output device for creating a haptic output that is detectable by a user touching the eBook reader device 102. The eBook reader device 102 may include, in some implementations, an accelerometer 1930 for detecting the orientation of the device. Other output device(s) such as an auxiliary display, printer, etc. may also be included. 」(30-33頁)
(当審仮訳:
[0097] 図19は、eBookリーダサブシステム1902として実装されてもよい、選択された機能的構成要素1900を示す。極めて基本的な構成において、サブシステム1902は、タッチスクリーンディスプレイ104に出力されるeBookコンテンツを制御する、ならびにタッチスクリーンディスプレイ104が受け取るコマンドを翻訳するための、メモリ1904と、処理ユニット1906と、タッチスクリーンディスプレイモジュール1908とを含む。メモリ1904は、一般的に、eBookリーダデバイス102のオペレーティングシステム1910を含む。メモリ1904は、eBook等の1つ以上の電子文書1912を含んでもよい。
[0098] 前述のように、タッチスクリーンディスプレイ104は、デジタル形態の電子ブックのコンテンツ等のテキストまたはグラフィックコンテンツの可視的な表現を表示するために調整される。便宜上、タッチスクリーンディスプレイ104は、本明細書に記載される実装例において、略長方形の構成で示される。しかしながら、タッチスクリーンディスプレイ104は、あらゆる形状で実装されてもよく、幅に対する高さの任意の比率を有してもよいものと理解されたい。また、スタイル的または設計的な目的のために、タッチスクリーンディスプレイ104は、湾曲していても、または非直線的な形状であってもよい。
[0099] ・・・中略・・・
[0100] ・・・中略・・・
[0101] ・・・中略・・・
[0102] ・・・中略・・・
[0103] eBookリーダデバイス102は、付加的な特徴または機能を有してもよい。例えば、eBookリーダデバイス102はまた、合成されたスピーチ等の音の生成を制御するための、音声出力モジュール1922を含んでもよい。音声出力モジュール1922からの出力は、オンボードスピーカー1924またはヘッドフォンジャック等の別の出力デバイスに向けられてもよい。eBookリーダデバイス102はまた、ユーザの声等の音を記録するための、および/または図3に関して前述したようにディスプレイ上の接触地点を見つけ出すためにディスプレイ上のタップを検出するための、マイクロホン1926を含んでもよい。いくつかの実装例において、eBookリーダデバイス102はまた、eBookリーダデバイス102に触っているユーザによって検出可能である、触覚出力を作成するためのバイブレーター1928または他の出力デバイスを含んでもよい。eBookリーダデバイス102は、いくつかの実装例において、デバイスの方位を検出するための、加速度計1930を含んでもよい。また、補助ディスプレイ等の他の出力デバイス、プリンタ等が含まれてもよい。)

上記引用例の記載及び図面並びにこの分野の技術常識を考慮すると、次のことがいえる。

a.上記ア.、上記エ.、及び図1、図19によれば、引用例には、タッチスクリーンディスプレイ104と、ユーザインターフェースサブシステム108とメモリ1904と処理ユニット1906と触覚出力を作成するためのバイブレーター1928を含むeBookリーダサブシステム1902と、を有するeBookリーダデバイス102、が記載されている。

b.上記ア.の段落[0027]によれば、前記ユーザインターフェースサブシステム108は、ユーザ入力コントローラ110、ページめくり検出器112、ブックマーキングモジュール114、ブック絞り込みモジュール116、およびテキスト-スピーチ変換モジュール118を含むものであって、さらに、ユーザ入力コントローラ110は、前記eBookリーダデバイス102上のタッチスクリーン104を介したユーザ入力を捕捉するために提供される、ことが記載されている。
したがって、引用例には、前記ユーザインターフェースサブシステム108は、前記eBookリーダデバイス102上のタッチスクリーン104を介したユーザ入力を捕捉するユーザ入力コントローラ110、ページめくり検出器112、ブックマーキングモジュール114、ブック絞り込みモジュール116、およびテキスト-スピーチ変換モジュール118を含む、ことが記載されている。

c.上記ア.の段落[0026]、及び上記エ.の段落[0098]には、前記タッチスクリーンディスプレイ104は、人間が読むことが可能なフォーマットで、コンテンツをユーザに提示し、該提示されるコンテンツは、電子ブック、新聞、または他の読むことが可能もしくは視認可能な資料であり、例えば、電子ブックのテキストを提供し、さらに、指、スタイラス、または他の類似したポインティングデバイスを介して登録されたユーザ入力に応答する、タッチ感知技術を実装するものである、ことが記載されている。

d.上記エ.の段落[0097]には、前記メモリ1904と前記処理ユニット1906は、タッチスクリーンディスプレイ104に出力されるeBookコンテンツを制御する、ならびにタッチスクリーンディスプレイ104が受け取るコマンドを翻訳する、ことが記載されている。

e.上記イ.の記載によれば、前記ページめくり検出器112は、前記eBookリーダデバイス102上に表示されたページを変更するためのコマンドに対応する入力を検出するものであり、該コマンドは、前記タッチスクリーンディスプレイ104を横断してスワイプさせたユーザの指によって生成されたものであることが記載されている。

f.上記ウ.には、ページめくりを示す目安となる触覚フィードバックを使用できること、また、上記エ.の段落[0103]には、Bookリーダデバイス102に触っているユーザによって検出可能である、触覚出力を作成するためバイブレーター1928が用いられる、ことが記載されている。
したがって、引用例には、ページめくりを示す目安として、eBookリーダデバイス102に触っているユーザによって検出が可能なようにバイブレーター1928によって触覚出力がされることが記載されているといえる。

上記引用例の記載事項及び図面を総合勘案すると、引用例には、結局、次の発明(以下、「引用発明」という。)が開示されていると認められる。

「タッチスクリーンディスプレイ104と、ユーザインターフェースサブシステム108とメモリ1904と処理ユニット1906と触覚出力を作成するためのバイブレーター1928を含むeBookリーダサブシステム1902と、を有するeBookリーダデバイス102において、
前記ユーザインターフェースサブシステム108は、前記eBookリーダデバイス102上の前記タッチスクリーン104を介したユーザ入力を捕捉するユーザ入力コントローラ110、ページめくり検出器112、ブックマーキングモジュール114、ブック絞り込みモジュール116、およびテキスト-スピーチ変換モジュール118を含み、
前記タッチスクリーンディスプレイ104は、人間が読むことが可能なフォーマットで、コンテンツをユーザに提示し、該提示されるコンテンツは、電子ブック、新聞、または他の読むことが可能もしくは視認可能な資料であり、例えば、電子ブックのテキストを提供し、さらに、指、スタイラス、または他の類似したポインティングデバイスを介して登録されたユーザ入力に応答する、タッチ感知技術を実装するものであり、
前記メモリ1904と前記処理ユニット1906は、前記タッチスクリーンディスプレイ104に出力されるeBookコンテンツを制御する、ならびに前記タッチスクリーンディスプレイ104が受け取るコマンドを翻訳するものであり、
前記ページめくり検出器112は、前記eBookリーダデバイス102上に表示されたページを変更するためのコマンドに対応する入力を検出するものであり、また、該コマンドは、前記タッチスクリーンディスプレイ104を横断してスワイプさせたユーザの指によって生成されたものであって、
ページめくりを示す目安として、eBookリーダデバイス102に触っているユーザによって検出が可能なように前記バイブレーター1928によって触覚出力がされる、
eBookリーダデバイス102。」


4.対 比

本願発明と引用発明とを対比する。

ア.引用発明の「タッチスクリーンディスプレイ104」は、「人間が読むことが可能なフォーマットで、コンテンツをユーザに提示」するものであるから、本願発明の「表示部」に相当する。

イ.引用発明の「タッチスクリーンディスプレイ104」は、「指、スタイラス、または他の類似したポインティングデバイスを介して登録されたユーザ入力に応答する、タッチ感知技術を実装するものであ」るから、本願発明の「接触を検出する接触検出部」に相当する。

ウ.引用発明の「バイブレーター1928」は、「ページめくりの目安として、eBookリーダデバイス102に触っているユーザによって検出が可能な」「触覚出力」を行うものであり、また、ページめくりは、ユーザのタッチスクリーンディスプレイ104をスワイプすることによるから、「触覚出力」はユーザのタッチスクリーンディスプレイ104へのスワイプに対して出力されるものと認められ、さらに、バイブレータは振動するものであるから「触覚出力」は「振動」によるものと認められる。
してみれば、引用発明の「バイブレーター1928」は、本願発明の「接触検出部を振動させる振動部」に相当する。

エ.引用発明の「処理ユニット1906」は、本願発明の「制御部」に相当する。
また、引用発明の「ページめくり検出器112」は、「表示されたページを変更するためのコマンドに対応する入力を検出」しているので、「接触検出部へのページめくりを検出すると、前記表示部に表示しているページをめくる」ことは明らかであり、そして、引用発明の「処理ユニット1906」は、「タッチスクリーンディスプレイ104が受け取るコマンドを翻訳」し、さらに、「タッチスクリーンディスプレイ104に出力されるeBookコンテンツを制御する」ものであるから、「処理ユニット1906」が「ページめくり検出器112」を制御するものと認められる。
さらに、「処理ユニット1906」は、「タッチスクリーンディスプレイ104が受け取るコマンドを翻訳する」ものであるから、引用発明の「ページめくりを示す目安として、Bookリーダデバイス102に触っているユーザによって検出が可能なようにバイブレーター1928によって触覚出力がされる」ことは、「処理ユニット1906」によって行われているものと認められる。
してみれば、引用発明の「処理ユニット1906」が「ページめくり検出器112」を制御し、さらに、「Bookリーダデバイス102に触っているユーザによって検出が可能なようにバイブレーター1928によって触覚出力」することと、本願発明の「制御部は、前記接触検出部へのページめくりを検出すると、前記表示部に表示しているページをめくるとともに、前記ページめくり処理に要する時間以下で、前記振動部によって前記接触検出部を振動させる」こととは、「制御部は、前記接触検出部へのページめくりを検出すると、前記表示部に表示しているページをめくるとともに、前記振動部によって前記接触検出部を振動させる」点では共通する。

オ.引用発明の「eBookリーダデバイス102」は、本願発明の「電子機器」に相当する。

そうすると、本願発明と引用発明とは次の点で一致ないし相違するものと認められる。

(一致点)

「表示部と、
接触を検出する接触検出部と、
前記接触検出部を振動させる振動部と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、前記接触検出部へのページめくりを検出すると、前記表示部に表示しているページをめくるとともに、前記振動部によって前記接触検出部を振動させる、
電子機器。」


(相違点)
上記「制御部」が「接触検出部へのページめくりを検出すると、前記振動部によって前記接触検出部を振動させる」のが、本願発明では、「前記ページめくり処理に要する時間以下」であるのに対して、引用発明では、そのような振動させる時間の特定がされていない点。


5.検討

そこで、上記相違点について検討する。
引用発明において振動部を振動させる時間をどのように設定するかは、当業者が設計時に適宜変更なし得る事項である。
そして、拒絶査定で引用した米国特許出願公開第2010/0188327号明細書(特に、段落[0022]、[0038]、FIG.4(対応する日本語ファミリー文献である特表2012-516509号公報の段落【0018】、【0031】、【0034】、図4)等参照。)にも記載されるように、ユーザ入力部を振動させる時間を、ページめくり処理に要する時間以下とすることは常套手段である。
また、通常、ユーザが電子機器に対して入力を行う際には、待ち時間なく入力を行いたいことは技術常識であり、入力が連続する場合は、最初の入力に対する処理が終了した時点で、直ぐに次の入力ができることが望ましいことは明らかである。
さらに、紙の本と同様に、電子ブックにおいても連続的にページめくり操作がなされることは普通のことであり、引用発明は、ページめくり操作をタッチスクリーンディスプレイ104を指でスワイプすることにより行うものであるから、連続的にページめくり行う際に、ページめくり処理に要する時間以上に振動が継続されると次のページめくりに対応するスワイプ操作での入力が行い難いことは、当業者であれば普通に予想されることである。
してみれば、引用発明において、連続的に直ぐに入力を行い易いように、前記振動部によって前記接触検出部を振動させる時間を、前記ページめくり処理に要する時間以下とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

また、本願発明の効果も、引用発明から想到される構成から当業者が予想できる範囲のものである。


6.むすび

以上のとおりであって、本願発明は、上記引用例に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2017-02-23 
結審通知日 2017-02-28 
審決日 2017-03-14 
出願番号 特願2012-101430(P2012-101430)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 佐藤 匡  
特許庁審判長 和田 志郎
特許庁審判官 山澤 宏
山田 正文
発明の名称 電子機器及び電子機器の制御方法  
代理人 杉村 憲司  
代理人 太田 昌宏  

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