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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G11B
管理番号 1327593
審判番号 不服2016-8425  
総通号数 210 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-06-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-06-07 
確定日 2017-05-19 
事件の表示 特願2011-178566「サスペンション、ヘッド付サスペンションおよびハードディスクドライブ」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 2月28日出願公開、特開2013- 41648、請求項の数(6)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯及び本願発明

1.手続の経緯
本件出願は,平成23年8月17日の出願であって,平成27年8月19日付けで拒絶理由が通知され,同年10月19日付けで意見書ともに手続補正書が提出され,平成28年3月3日付けで拒絶査定され,平成28同年6月7日に拒絶査定不服審判の請求がされたものである。

2.本願発明
本件出願の請求項に係る発明は,平成27年10月19日付け手続補正書における特許請求の範囲の請求項1から請求項6にそれぞれ記載された事項により特定される以下のとおりのものである。(下線は手続補正書に記載されたとおり。)
なお,以下において,これら請求項に係る発明を,請求項の番号に従って,「本願第1発明」などといい,「本願第1発明」から「本願第6発明」を併せて「本願発明」という。

【請求項1】
ヒンジ部を有するロードビームと、
前記ロードビームに取り付けられ、ヘッドスライダが実装されるヘッド領域から、前記ロードビームの前記ヒンジ部に対応するヒンジ領域を通って、外部接続基板が接合されるテール領域に延びるサスペンション用基板と、を備え、
前記サスペンション用基板は、絶縁層と、
前記絶縁層の一方の面に設けられた金属支持層と、
前記絶縁層の他方の面に設けられ、複数の配線を含む配線層と、を有し、
前記金属支持層は、実装される前記ヘッドスライダを支持するタング部と、
前記ヘッド領域と前記ヒンジ領域との間に配置されると共に、前記タング部に一対のアウトリガー部を介して連結され、前記ロードビームに接合された一対の接合点を含む接合部と、を有し、
前記接合部の前記接合点は、前記配線層の複数の前記配線の両側に配置され、
前記絶縁層は、一対の前記接合点の間に設けられ、前記配線層の前記配線に沿って延びる絶縁層本体と、
前記接合部において前記絶縁層本体の両側に設けられ、前記サスペンション用基板の振動を緩和する一対の振動緩和部と、を有しており、
前記サスペンション用基板の前記絶縁層の前記振動緩和部は、前記接合点より前記ヘッド領域側に配置され、前記絶縁層本体の長手方向に直交する方向に延びるヘッド側振動緩和部を有していることを特徴とするサスペンション。
【請求項2】
前記サスペンション用基板の前記絶縁層の前記振動緩和部は、前記接合点より前記ヒンジ領域側に配置され、前記絶縁層本体の長手方向に直交する方向に延びるヒンジ側振動緩和部を更に有していることを特徴とする請求項1に記載のサスペンション。
【請求項3】
ヒンジ部を有するロードビームと、
前記ロードビームに取り付けられ、ヘッドスライダが実装されるヘッド領域から、前記ロードビームの前記ヒンジ部に対応するヒンジ領域を通って、外部接続基板が接合されるテール領域に延びるサスペンション用基板と、を備え、
前記サスペンション用基板は、絶縁層と、
前記絶縁層の一方の面に設けられた金属支持層と、
前記絶縁層の他方の面に設けられ、複数の配線を含む配線層と、を有し、
前記金属支持層は、実装される前記ヘッドスライダを支持するタング部と、
前記ヘッド領域と前記ヒンジ領域との間に配置されると共に、前記タング部に一対のアウトリガー部を介して連結され、前記ロードビームに接合された一対の接合点を含む接合部と、を有し、
前記接合部の前記接合点は、前記配線層の複数の前記配線の両側に配置され、
前記絶縁層は、一対の前記接合点の間に設けられ、前記配線層の前記配線に沿って延びる絶縁層本体と、
前記接合部において前記絶縁層本体の両側に設けられ、前記サスペンション用基板の振動を緩和する一対の振動緩和部と、を有しており、
前記サスペンション用基板の前記絶縁層の前記振動緩和部は、前記接合点より前記ヒンジ領域側に配置され、前記絶縁層本体の長手方向に直交する方向に延びるヒンジ側振動緩和部を有していることを特徴とするサスペンション。
【請求項4】
前記サスペンション用基板の前記絶縁層の前記振動緩和部は、対応する前記接合点に対して前記絶縁層本体の反対側に配置され、前記絶縁層本体に沿って延びる外側振動緩和部を有していることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のサスペンション。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の前記サスペンションと、
前記サスペンションに実装された前記ヘッドスライダと、を備えたことを特徴とするヘッド付サスペンション。
【請求項6】
請求項5に記載の前記ヘッド付サスペンションを備えたことを特徴とするハードディスクドライブ。


第2 原査定の理由の概要

●理由(特許法第29条第2項)について
・請求項1,2,これらを引用する請求項4,5,6
・引用文献等:1.,2.,3.,4.,5.,6.,7.,8.,9.

・請求項3,請求項3を引用する請求項4.5,6
・引用文献等:1.,2.,3.,4.,5.,6.,7.,8.,9.

〈引用文献等一覧〉
1.米国特許第5940251号明細書
2.特開2003-249046号公報(※)
3.特開2009-158083号公報(周知技術を例示する文献)
4.特開2009-259362号公報(周知技術を例示する文献)
5.米国特許第6704164号明細書(周知技術を例示する文献)
6.米国特許第5953180号明細書(周知技術を例示する文献)
7.特開平11-134627号公報(周知技術を例示する文献)
8.米国特許第7209325号明細書(周知技術を例示する文献)
9.特開昭63-306575号公報(周知技術を例示する文献)
(※)2.は,1.を主たる引用発明とする判断では(周知技術を例示する文献)である。


第3 文献1記載発明

原査定の理由で「文献1」として引用された「米国特許第5940251号明細書」(US005940251A)(1999年(平成11年)8月17日米国公開)には,図面とともに次の記載がある。(下線は当審が付与。)

1.記載事項1
1. Technical Field
The present invention relates generally to head suspensions for supporting read/write heads over recording media. In particular, the present invention is directed to head suspensions having vibration absorption structures particularly effective at resonance frequencies. (第1欄)
(当審訳
1.技術分野
本発明は,一般に,記録媒体上の読み取り/書き込みヘッドを支持するためのヘッドサスペンションに関する。特に,本発明は,共振周波数において特に有効な振動吸収構造を有するヘッドサスペンションに関する。)

2.記載事項2
SUMMARY OF THE INVENTION
The present invention is directed to a head suspension having a vibration absorbing structure which is efficient to manufacture, and which adds little or no mass to the head suspension. In particular, the head suspension includes a load beam having a mounting region, a rigid region, and a spring region. A flexure (either integral with the load beam, or provided as a separate component) is located at a distal end of the load beam and includes a head slider bond pad for supporting a head slider. A vibration absorbing member extends from the head suspension. The vibration absorbing member is tuned to have a resonance mode frequency equal to a resonance mode frequency of the head suspension and is especially designed to vibrating during resonance vibrations of the head suspension. As such, energy of a resonance mode vibration of the head suspension is absorbed by the vibration of the vibration absorbing member, thereby reducing the gain of the head slider.
The vibration absorbing member can, for example, be attached to or formed as part of the rigid region of the load beam and extend therefrom. If the vibration absorbing member is formed as part of the load beam, it can advantageously be added without adding mass to the head suspension. In other embodiments, the vibration absorbing member can be formed as an extension of other components of the head suspension. For example, it can be made as part of the flexure and extend therefrom. (第2欄から第3欄)
(当審訳
本発明は,製造が効率的であり,そしてヘッドサスペンションに質量がほとんど又は全くかからないない振動吸収構造を備えたヘッドサスペンションに向けられている。特に,ヘッドサスペンションは,搭載領域と,剛性領域と,ばね領域とを有するロードビームを含む。フレキシャ(ロードビームと一体であるか,又は別個のコンポーネントとして提供される)は,ロードビームの遠位端に配置され,そしてヘッドスライダを支持するヘッドスライダボンドパッドを含む。振動吸収部材は,ヘッドサスペンションから延びている。振動吸収部材は,ヘッドサスペンションの共振モード周波数に等しい共振モードの周波数を有するように調整され,そして,ヘッドサスペンションの共振振動中に振動するように特に設計されている。このように,ヘッドサスペンションの共振モード振動のエネルギーは,振動吸収部材の振動によって吸収され,ヘッドスライダのゲインを小さくする。
振動吸収部材は,例えば,ロードビームの剛性領域の一部に接続される,又は一部として形成され,そしてそこから伸びる。振動吸収部材がロードビームの一部として形成される場合,ヘッドサスペンションに質量を加えることなく有利に付加することができる。他の実施形態では,振動吸収部材をヘッドサスペンションの他の構成要素の延長として形成することができる。例えば,それは,フレキシャの一部として形成され,そこから延びることができる。)

3.記載事項3
Another embodiment of a head suspension including a vibration absorbing member extending from a flexure in accordance with the present invention is shown in FIG. 13. Elements in FIG. 13 functionally similar to those of FIG. 1 are labeled with like numerals incremented by 400. Head suspension 408 includes a load beam 412 having a mounting region 414, a spring region 418 with radius arms 426 and 428, and a rigid region 422 distal to the spring region 418. First and second lateral edges 423 and 424, respectively, are at the sides of the rigid region 422. Load beam 412 also preferably includes alignment apertures 464 and 466 for alignment and mounting of flexure 416 to load beam 412. Flexure 416 preferably includes tongue 421 supported between spring arms 429a and 429b to allow for pitch and roll motion of a head slider (not shown). Flexure 416 can also include alignment apertures 460 and 462 for alignment with apertures 464 and 466, respectively, when mounting flexure 416 to load beam 412.

In the embodiment of FIG. 13, a vibration absorbing member 430 is formed integrally with flexure 416. Flexure 416 preferably includes an elongated portion 416a extending diagonally along the bottom side (shown on top in FIG. 13) of rigid region 422 to a point adjacent to lateral edge 423 of rigid region 422. Vibration absorbing member 430 preferably extends from a proximal end of elongated portion 416a of flexure 416, transversely across rigid region 422 and across lateral edge 424. Vibration absorbing member 430 is attached to load beam 412 at attachment point 429 adjacent to lateral edge 423. As vibration absorbing member 30, vibration absorbing member 430 is preferably a rectangular strip and can be laminated, having a layer of rigid material such as stainless steel, a layer of electrically insulating material, such as polyimide, and a layer of electrically conducting material such as copper.

Vibration absorbing member 430 is preferably tuned to have a longitudinal resonance mode frequency (preferably a bending resonance mode frequency) which is substantially the same as a resonance frequency of load beam 412. In the same way as vibration absorbing member 30, vibration absorbing member 430 undergoes a vibration at a resonance mode frequency substantially the same as a selected resonance mode frequency of load beam 412 to reduce the gain of vibrations at the selected resonance mode frequency in head suspension 408.

Load beam 412 can be fabricated in substantially the same manner as load beam 12. Flexure 416 including elongated portion 416a and vibration absorbing member 430 can be fabricated as one piece in substantially the same manner as flexure 216. Alignment apertures 460 and 462, tongue 421, and arms 429a and 429b can be chemically etched or otherwise formed in flexure 416. Alignment apertures 460 and 462 of flexure 416 can be used with alignment apertures 464 and 466 to accurately align and mount flexure 416 and vibration absorbing member 430 to load beam 412. Flexure 416 can be mounted to load beam 412 by adhesive, welding, or other known processes. Aligning and mounting both flexure 416 and vibration absorbing member 430 to load beam 412 simultaneously has the advantage of cutting down on manufacturing steps in fabricating head suspension 408. It has the further advantage of increasing the accuracy of alignment of vibration absorbing member 430. (第13欄)
(当審訳
本発明によるフレキシャから延びる振動吸収部材を含むヘッドサスペンションの別の実施形態を図13に示す。図1のものと機能的に同様の図13の要素には,同じ数字が400だけインクリメントされている。ヘッドサスペンション408は,搭載領域414と,半径アーム426及び428を有するばね領域418と,ばね領域418に対して遠位の剛性領域422とを有するロードビーム412を含む。第1及び第2側縁部(423及び424)それぞれに剛性領域422の側部がある。ロードビーム412はまた,ロードビーム412にフレキシャ416を取り付け,そして調整のため,好ましくは,調整開口部464及び466を含む。フレキシャ416は,ヘッドスライダ(図示されていない)のピッチ及びロール運動を可能にするばねアーム429aと429bの間に支持される舌部421を好ましくは含む。フレキシャ416はまた,フレキシャ416をビーム412にロードするとき,開口部464及び466それぞれで調整するため,調整開口部460及び462を含む。

図13の実施形態では,フレキシャ416と一体的に振動吸収部材430が形成されている。フレキシャ416は,剛性領域422の側縁部423に隣接する点まで,剛性領域422の底面(図13の上に示されている)に沿って斜めに伸びる延長された部分416aを好ましくは含む。振動吸収部材430は,剛性領域422をわたり,そして側縁424をわたる横方向に,フレキシャ416の細長い部分416aの近位端から好ましくは延在する。振動吸収部材430は,側縁423に隣接する接続点429でロードビーム412に接続される。振動吸収部材30のように,振動吸収部材430は好ましくは長方形のストリップであり,そして,ステンレス鋼のような剛性材料の層,電気絶縁材料の層例えばポリイミド,及び銅のような導電性材料の層を備えるように,積層することができる。

振動吸収部材430は,ロードビーム412の共振周波数と実質的に同じである縦共振モード周波数(好ましくは曲げ共振モード周波数)を有するように好ましくは調整される。振動吸収部材30と同様に,振動吸収部材430は,ヘッドサスペンション408における選択された共振モード周波数における振動の利得を低減するために,選択された共振モード周波数のロードビーム412と実質的に同じ共振モード周波数で振動する。

ロードビーム412は,ロードビーム12と実質的に同じ方法で製造することができる。細長い部分416a及び振動吸収部材430を含むフレキシャ416は,フレクシャ216と実質的に同じ方法で一体部品として製造することができる。調整開口部460及び462,舌部421,及びアーム(429a及び429b)は,化学的にエッチングされ得るか,又はフレキシャ416内に形成され得る。フレキシャ416のアライメントアパーチャ460及び462は,フレクシャ416及び振動吸収部材430をロードビーム412に正確に調整し,搭載するために,調整開口部464及び466とともに使用することができる。フレキシャ416は,接着剤,溶接,又は他の公知のプロセスによって,ロードビーム412に搭載できる。ロードビーム412にフレキシャ416と振動吸収部材430の両方を調整し,搭載することは,ヘッドサスペンション408を製造する際の製造工程を短縮するという利点を同時に有する。それは,振動吸収部材430の調整の精度を高めるさらなる利点を有する。)


4.図面記載事項
図13(「FIG.13」)として次の記載がある。

5.文献1記載発明
以上によれば,文献1には,次の発明(以下「文献1記載発明」という。)が記載されているといえる。

ヘッドサスペンション408は,搭載領域414と,半径アーム426及び428を有するばね領域418と,ばね領域418に対して遠位の剛性領域422とを有するロードビーム412を含み,
フレキシャ416は,ヘッドスライダのピッチ及びロール運動を可能にするばねアーム429aと429bの間に支持される舌部421を含み,
フレキシャ416と一体的に振動吸収部材430が形成され,
振動吸収部材430は,剛性領域422をわたり,そして側縁424をわたる横方向に,フレキシャ416の細長い部分416aの近位端から延在し,振動吸収部材430は,側縁423に隣接する接続点429でロードビーム412に接続され,
振動吸収部材430は,ロードビーム412の共振周波数と実質的に同じである縦共振モード周波数(曲げ共振モード周波数)を有するように調整され,
振動吸収部材430は,ヘッドサスペンション408における選択された共振モード周波数における振動の利得を低減するために,選択された共振モード周波数のロードビーム412と実質的に同じ共振モード周波数で振動する
ヘッドサスペンション。


第4 当審の判断

1.本願第1発明について
(1) 対比
ア 本願第1発明と文献1記載発明を対比すると,次のことがいえる。

文献1記載発明及び本願第1発明は,「サスペンション」に係る発明の点で共通するといえる。

文献1記載発明における「振動吸収部材430」,「接合点429」,「舌部421」は,本願第1発明における「振動緩和部」,「接合点」,「タング部」にそれぞれ相当するということができる。
そうしてみると,文献1記載発明は,「接合点429」を含む「接合部」を有しているということができる。

文献1記載発明においても,本願第1発明と同様に,「ロードビーム」及び「ヘッドスライダが実装されるヘッド領域」を備えているということができる。

イ 以上によれば,本願第1発明と文献1記載発明は,次の点で一致し,相違するといえる。

[一致点]
ロードビームと,
ヘッドスライダが実装されるヘッド領域と,を備え,
タング部と,
接合点を含む接合部と,
振動緩和部と,有しているサスペンション。

[相違点]
(ア) 本願第1発明における「ロードビーム」は,「ヒンジ部」を有するとの特定があるのに対し,文献1記載発明においては,そのような特定がない点で相違する。

(イ) 本願第1発明は,「サスペンション基板」を備えるとの特定があるのに対し,文献1記載発明には,そのような特定がない点で相違する。

(ウ) 上記(ア)及び(イ)の相違により,本願第1発明における「サスペンション基板」について,文献1記載発明には,「ロードビームのヒンジ部に対応するヒンジ領域を通って、外部接続基板が接合されるテール領域に延びる」との特定もない点,更に,「絶縁層」,「金属支持層」,及び「配線層」を,該「サスペンション基板」が有するとの特定もない点で相違する。
そして,本願第1発明においては,「タング部」及び「接合点を含む接合部」を,上記「金属支持層」が有するとの特定があるのに対し,文献1記載発明には,そのような特定がない点で相違する。

(エ) 本願第1発明における「振動緩和部」については,「接合点」より「ヘッド領域側」に配置されているのに対し,文献1記載発明にはそのような配置の特定がない点で相違する。
更に,本願第1発明における「振動緩和部」は,「接合部」において「絶縁層本体の両側」に設けられているのに対し,文献1記載発明にはそのように設けることの特定がない点で相違する。

(2) 検討
ここで,上記相違(エ)について検討するに,文献1記載発明における「振動吸収部材430」に対して,本願第1発明のように,配置し,設けることについて,文献1に記載も示唆もなく,このようすることを,当業者が容易に,なし得るとする理由,若しくは想到し得るとする理由がない。

(3) まとめ
したがって,他の相違点について検討するまでもなく,文献1記載発明を基に,本願第1発明のように構成することを,当業者が容易になしえたということはできない。


2.本願第3発明について
(1) 対比
本願第3発明と文献1記載発明を対比すると,上記「1.」のアに述べたのと同様のことがいえる。

そうしてみると,本願第3発明と文献1記載発明は,次の点で一致し,相違するといえる。

[一致点]
ロードビームと,
ヘッドスライダが実装されるヘッド領域と,を備え,
タング部と,
接合点を含む接合部と,
振動緩和部と,有しているサスペンション。

[相違点]
本願第3発明と文献1記載発明についても,上記「1.」のイ[相違点](ア)から(ウ)と同様の相違があり,これらの相違点に加えて,両者には次の相違(エ)があるといえる。

(エ) 本願第3発明における「振動緩和部」については,「接合点」より「ヒンジ領域側」に配置されているのに対し,文献1記載発明にはそのような配置の特定がない点で相違する。
更に,本願第3発明における「振動緩和部」は,「接合部」において「絶縁層本体の両側」に設けられているのに対し,文献1記載発明にはそのように設けることの特定がない点で相違する。

(2) 検討
ここで,上記(エ)についても,上記「1.」の(2)において検討したのと同様のことがいえる。

(3) まとめ
したがって,他の相違点について検討するまでもなく,文献1記載発明を基に,本願第3発明のように構成することを,当業者が容易になしえたということはできない。


3.本願第2発明,本願第4発明から本願第6発明について
本願第2発明,本願第4発明から本願第6発明は,本願第1発明若しくは本願第3発明を,直接的若しくは間接的に引用する発明であるから,上記1.及び2.において検討した相違を含むものであるといえる。

したがって,本願第2発明,本願第4発明から本願第6発明についても,上記1.及び2.で検討したのと同様に,文献1記載発明を基に,本願第2発明,本願第4発明から本願第6発明のように構成することを,当業者が容易になしえたということはできない。

4.まとめ
上記「1.」から「3.」に述べたとおりであり,本願発明を,文献1記載発明を基に,当業者が容易に発明をすることができたということはできない。


第5 むすび

以上のとおりであるから,原査定の理由によって,本願を拒絶することはできない。
また,ほかに本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。
 
審決日 2017-05-08 
出願番号 特願2011-178566(P2011-178566)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G11B)
最終処分 成立  
前審関与審査官 齊藤 健一  
特許庁審判長 水野 恵雄
特許庁審判官 近藤 聡
山本 章裕
発明の名称 サスペンション、ヘッド付サスペンションおよびハードディスクドライブ  
代理人 中村 行孝  
代理人 堀田 幸裕  
代理人 山下 和也  
代理人 永井 浩之  
代理人 朝倉 悟  
代理人 佐藤 泰和  
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