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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 B41J
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 取り消して特許、登録 B41J
管理番号 1327792
審判番号 不服2016-8818  
総通号数 210 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-06-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-06-14 
確定日 2017-05-23 
事件の表示 特願2012- 23431「カートリッジ」拒絶査定不服審判事件〔平成24年 8月16日出願公開、特開2012-153140、請求項の数(4)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯

本願は、平成24年2月6日の出願であって、平成27年9月29日付けで拒絶理由が通知され、同年12月4日付けで手続補正がされ、平成28年3月23日付けで拒絶査定(以下「原査定」という)がされ(同査定の謄本の送達(発送)日 同年同月29日)、これに対し、同年6月14日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に、手続補正がされたものである。

第2 原査定の理由の概要

理由1 この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。



・請求項 1-3
・引用文献 1

理由2 この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。



・請求項 1-3
・引用文献 1

・請求項 4
・引用文献 1-2

<引用文献等一覧>
引用文献1.特開2008-87159号公報
引用文献2.特開2000-218813号公報

第3 平成28年6月14日付けの手続補正の適否

1 補正の内容

平成28年6月14日提出の手続補正書による手続補正(以下「本件補正」という。)は、補正前の特許請求の範囲の請求項1ないし5を、補正後の特許請求の範囲の請求項1ないし4とする補正である。補正前の特許請求の範囲の請求項1ないし5、及び、補正後の特許請求の範囲の請求項1ないし4は、それぞれ以下のとおりである(下線は補正箇所を示す。)。

(補正前)
「【請求項1】
印刷装置のカートリッジ装着部に着脱可能に装着され、前記カートリッジ装着部に挿入される際に挿入方向の前側となる前面と、前記前面と対向する後面と、前記前面及び前記後面と交わる第一側面、第二側面、第三側面及び第四側面を有する略直方体形状のカートリッジであって、
前記第一側面と前記第二側面とが互いに対向しており、
前記第三側面と前記第四側面とが互いに対向しており、
前記第一側面には、前記カートリッジを前記カートリッジ装着部に装着する際に前記カートリッジ装着部に設けられたガイド溝の一部に挿入される第一レール部が突出して設けられており、
前記第二側面には、前記ガイド溝の一部に挿入される第二レール部が突出して設けられており、
前記第三側面の一部と、前記第一側面及び前記第二側面のうち前記第三側面側の一部とを少なくとも構成する第一ケース部材と、
前記第四側面の一部と、前記第一側面及び前記第二側面のうち前記第四側面側の一部とを少なくとも構成する第二ケース部材と、
前記印刷装置の装置側端子群と電気的に接続されるカートリッジ側端子群と、を備え、
前記第一ケース部材は、第一係合部を有し、
前記第二ケース部材は、第二係合部を有し、
前記第一ケース部材及び前記第二ケース部材は、前記第一係合部と前記第二係合部を係合させることで一体化可能に形成されており、
前記第一係合部及び前記第二係合部は、前記第一レール部及び前記第二レール部の少なくとも一方を構成し、
前記第一レール部及び前記第二レール部は、それぞれ延在方向において第一部分と第二部分とに分かれており、
前記第一レール部の前記第一部分と前記第二部分との間には、前記カートリッジ装着部に係止される凹状の第一の係止部が形成され、
前記カートリッジ側端子群は、前記第一側面の前記後面よりも前記前面に近い位置に配置され、
前記第一の係止部は、前記第一側面の前記後面よりも前記カートリッジ側端子群に近い位置に配置される、
カートリッジ。
【請求項2】
前記第一係合部は、前記第一ケース部材の外面に設けられており、
前記第二係合部は、前記第二ケース部材の外面に設けられている
請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項3】
前記第一係合部及び第二係合部は、前記第一ケース部材と前記第二ケース部材とが組み合わされて一体化された状態で前記第一レール部及び第二レール部を構成する
請求項1又は請求項2に記載のカートリッジ。
【請求項4】
前記第一レール部の幅と、前記第二レール部の幅とが異なる
請求項1から請求項3のうちいずれか一項に記載のカートリッジ。
【請求項5】
前記第二レールの前記第一部分と前記第二部分との間には、前記カートリッジ装着部に係止される凹状の第二の係止部が形成され、
前記第一の係止部と第二の係止部とが、互いに対向する位置に配置される、請求項1から請求項4のうちいずれか一項に記載のカートリッジ。」

(補正後)
「【請求項1】
印刷装置のカートリッジ装着部に着脱可能に装着され、前記カートリッジ装着部に挿入される際に挿入方向の前側となる前面と、前記前面と対向する後面と、前記前面及び前記後面と交わる第一側面、第二側面、第三側面及び第四側面を有する略直方体形状のカートリッジであって、
前記第一側面と前記第二側面とが互いに対向しており、
前記第三側面と前記第四側面とが互いに対向しており、
前記第一側面には、前記カートリッジを前記カートリッジ装着部に装着する際に前記カートリッジ装着部に設けられたガイド溝の一部に挿入される第一レール部が突出して設けられており、
前記第二側面には、前記ガイド溝の一部に挿入される第二レール部が突出して設けられており、
前記第三側面の一部と、前記第一側面及び前記第二側面のうち前記第三側面側の一部とを少なくとも構成する第一ケース部材と、
前記第四側面の一部と、前記第一側面及び前記第二側面のうち前記第四側面側の一部とを少なくとも構成する第二ケース部材と、
前記印刷装置の装置側端子群と電気的に接続されるカートリッジ側端子群と、を備え、
前記第一ケース部材は、第一係合部を有し、
前記第二ケース部材は、第二係合部を有し、
前記第一ケース部材及び前記第二ケース部材は、前記第一係合部と前記第二係合部を係合させることで一体化可能に形成されており、
前記第一係合部及び前記第二係合部は、前記第一レール部及び前記第二レール部の少なくとも一方を構成し、
前記第一レール部及び前記第二レール部は、それぞれ延在方向において第一部分と第二部分とに分かれており、
前記第一レール部の前記第一部分と前記第二部分との間には、前記カートリッジ装着部に係止される凹状の第一の係止部が形成され、
前記第二レールの前記第一部分と前記第二部分との間には、前記カートリッジ装着部に係止される凹状の第二の係止部が形成されており、
前記カートリッジ側端子群は、前記第一側面の前記後面よりも前記前面に近い位置に配置され、
前記第一の係止部は、前記第一側面の前記後面よりも前記カートリッジ側端子群に近い位置に配置され、
前記第一の係止部と第二の係止部とが、互いに対向する位置に配置される、
カートリッジ。
【請求項2】
前記第一係合部は、前記第一ケース部材の外面に設けられており、
前記第二係合部は、前記第二ケース部材の外面に設けられている
請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項3】
前記第一係合部及び第二係合部は、前記第一ケース部材と前記第二ケース部材とが組み合わされて一体化された状態で前記第一レール部及び第二レール部を構成する
請求項1又は請求項2に記載のカートリッジ。
【請求項4】
前記第一レール部の幅と、前記第二レール部の幅とが異なる
請求項1から請求項3のうちいずれか一項に記載のカートリッジ。」

本件補正は、補正前の特許請求の範囲の請求項1に、「前記第二レールの前記第一部分と前記第二部分との間には、前記カートリッジ装着部に係止される凹状の第二の係止部が形成されており、」との事項を追加する補正(以下「補正事項1」という。)、及び、「前記第一の係止部と第二の係止部とが、互いに対向する位置に配置される、」との事項を追加する補正(以下「補正事項2」という。)を含んでいる。
また、本件補正は、補正前の請求項5を削除する補正(以下「補正事項3」という。)を含んでいる。

2 補正の適否

上記補正事項1及び2は、請求項1について、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「第二レール」について、「前記第二レールの前記第一部分と前記第二部分との間には、前記カートリッジ装着部に係止される凹状の第二の係止部が形成されており」との限定を付加するとともに、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「第一レール」及び「第二レール」について、「前記第一の係止部と第二の係止部とが、互いに対向する位置に配置される」との限定を付加するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そして、「第4」から「第6」までに示すように、本件補正後の請求項1ないし4に係る発明は、独立特許要件を満たすものである。

上記補正事項3は、本件補正前の請求項5を削除するものであるから、特許法第17条の2第5項第1号の請求項の削除を目的とするものに該当する。

また、本件補正は、特許法第17条の2第3項及び第4項の規定に違反するところはない。

よって、本件補正は、特許法第17条の2第3項ないし第6項の規定に適合する。

第4 本願発明

本願の請求項1ないし4に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明4」という。)は、本件補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された事項により特定される、上記「第3」の「1 補正の内容 (補正後)」に記載したとおりのものである。

第5 引用例

1.引用例1

原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願日前に頒布された刊行物である特開2008-87159号公報公報(以下「引用例1」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている(下線は審決で付した。以下同じ。)。

ア.「【0039】
インクジェットプリンタ2は、それぞれインクの液滴を下方へ噴射する複数のノズル(図示省略)を有するインクジェットヘッド5と、このインクジェットヘッド5の下方において記録用紙Pを所定の用紙搬送方向(図1の左方)へ搬送する搬送機構6と、4つのインクカートリッジ4がそれぞれ装着される4つのカートリッジ装着部8を有するホルダ7とを備えている。
【0040】
インクジェットヘッド5は、図1の紙面垂直方向に延びる2本のガイド軸10に沿って往復移動可能なキャリッジ9に装着されている。また、ホルダ7の4つのカートリッジ装着部8には、4色のインクをそれぞれ貯留するインクカートリッジ4が所定の装着方向(図1の紙面垂直方向)に着脱自在に装着される。さらに、インクジェットヘッド5とホルダ7の4つのカートリッジ装着部8は、4本のチューブ15を介して互いに接続されている。従って、4つのカートリッジ装着部8に4つのインクカートリッジ4がそれぞれ装着されている状態では、4つのインクカートリッジ4に貯留されている4色のインクがチューブ15を介してインクジェットヘッド5にそれぞれ供給される。」

イ.「【0044】
図2に示すように、インクカートリッジ4は、略6面体(直方体)に構成されている。さらに、その6面のうち最も大きな面積を有する2つの矩形面が対向し、これら2つの矩形面が他の4面によって連結された構造を有する。そして、インクカートリッジ4は、前記2つの矩形面が鉛直面となるような姿勢(図4に示す姿勢)で、矩形面の長手方向に沿ってインクカートリッジ4はホルダ7のインク収容室に収容される。尚、以下のインクカートリッジ4の説明において、インクカートリッジ4の装着方向である矩形面の長手方向を前後方向、矩形面の短手方向を上下方向と定義する。また、矩形面に直交する方向をインクカートリッジ4の幅方向と定義する。
【0045】
図2、図3に示すように、インクカートリッジ4は、インクを貯留するカートリッジ本体20と、このカートリッジ本体20の略全体を覆う外部ケース21と、外部ケース21の前端部に取り付けられるプロテクタ22とを備えている。尚、本実施形態においては、カートリッジ本体20、外部ケース21、及び、プロテクタ22は、ナイロン、ポリエチレン、あるいは、ポリプロピレンなどの合成樹脂材料で形成されている。」

ウ.「【0074】
次に、外部ケース21について図2及び図3を参照して説明する。外部ケース21は、略直方体形状のブロック体であり、インク貯留体30を幅方向両側からそれぞれ挟み込む2つのケース部材(第1ケース部材23、第2ケース部材24)から構成されている。第1ケース部材23はインク貯留体30の図3における下面を覆う部材であり、第2ケース部材24はインク貯留体30の図3における上面を覆う部材である。尚、これら第1ケース部材23と第2ケース部材24は、それぞれ合成樹脂材料から射出成形等によって成形される。
【0075】
第1ケース部材23と第2ケース部材24とは略同形状に形成されている。これら第1ケース部材23と第2ケース部材24の前端部には、インク貯留体30を挟み込んだ状態において、インク導出部31の一部を外部に露出させる略円形の貫通孔を構成するケース切欠部110,111と、大気導入部32の一部を外部に露出させる略円形の貫通孔を構成するケース切欠部112,113が形成されている。さらに、第1ケース部材23と第2ケース部材24の前端部には、カートリッジ装着部8に設けられた光センサ160(図 参照)を、被検知部50及び遮光部材60(図4?図6参照)を挟み込む位置まで挿入するための貫通孔を構成するケース切欠部114,115とがそれぞれ形成されている。
【0076】
第1ケース部材23の上下両端部(インクカートリッジ4の短手方向両端部)には、この第1ケース部材23の表面よりも一段低い段差部分120,121が前後方向(インクカートリッジ4の長手方向)に延在するように形成されている。同様に、第2ケース部材24の上下両端部にも、この第2ケース部材24の表面よりも一段低い段差部分122,123が前後方向に延在するように形成されている。これらの段差部分120?123において、相対向する第1ケース部材23と第2ケース部材24が溶着される。即ち、第1ケース部材23の上側(大気導入部32側:図3左奥側)の段差部分120と、第2ケース部材24の上側の段差部分122とが溶着され、また、第1ケース部材23の下側(インク導出部31側:図3右手前側)の段差部分121と、第2ケース部材24の下側の段差部分123とが溶着される。さらに、段差部分120?123は、それぞれ、第1ケース部材23、第2ケース部材24の前端面よりもさらに前方に突出する突出部120a?123aを有する。尚、2つの突出部120a,122aには、後方へ延びる嵌合溝120b,122bがそれぞれ形成されている。
【0077】
また、第2ケース部材24において、段差部分123の後端部には、段差部分123の表面から第2ケース部材24の表面と面一となる高さまで突出するとともに、下方へ延びる係合部123bが形成されている。また、図2は示されていないが、第1ケース部材23の段差部分121にも、係合部123bと同様の係合部121bが形成されている。さらに、第1ケース部材23の上側の段差部分120と第2ケース部材24の上側の段差部分122には、前後方向に関する略中間位置において凹状の係止部120c,122cが形成されている。」

エ.「【0081】
4つのカートリッジ装着部8は全て同じ構成を有するものであるため、そのうちの1つについて以下説明する。図8に示すように、カートリッジ装着部8は、水平な底壁部151と、この底壁部151の奥端部(図中左端部:装着方向奥側の端部)から鉛直方向に延びる奥壁部152と、この奥壁部152の上端部から底壁部151と対向するようにほぼ水平に延びる係止棒153とを備えている。これら底壁部151、奥壁部152、及び、係止棒153の内側に、インクカートリッジ4が収容されるカートリッジ収容室154が形成されている。
【0082】
底壁部151の上端面には、装着されるインクカートリッジ4を下方から支持する支持部155が、外部ケース21の下部の段差部分121,123(図3参照)に応じて凹状に形成されている。また、係止棒153の長手方向途中部には、下方へ突出する凸部153aが、外部ケース21の上部の係止部120c,122c(図3参照)に応じた凸形状に形成されている。」

オ.「【0089】
この状態から、図9(a)に示すように、インクカートリッジ4を、その外部ケース21の突出部121a,123a(段差部分121,123の先端部)を底壁部151に形成された支持部155に当接させて、カートリッジ収容室154内に挿入していく。つまり、段差部分121,123が支持部155上をスライドするよう押圧していく(即ち、矢印E方向にインクカートリッジ4をスライドさせる)。」

カ.「【0092】
図7(b)の状態から、ユーザが蓋部材170を図7(b)の矢印F方向に回動させると、図7(c)に示すように、係止棒153の凸部153aが外部ケース21の凹状の係止部120c,122cに係合するため、インクカートリッジ4がカートリッジ装着部8に対して前後に移動不能となる。さらに、蓋部材170の凸部170dが底壁部151の凹部151aと係合することにより、蓋部材170が底壁部151に対して回動不能となり、この蓋部材170によってインクカートリッジ4がカートリッジ収容室154から飛び出さないように確実にロックされ、そのロック状態が保持される。これにより、インクカートリッジ4が、カートリッジ装着部8に装着されているときに、印字中の振動等に起因してインクカートリッジ4に外力が作用しても、カートリッジ装着部8から簡単に外れてしまうことがない。

キ.「【0161】
インク残量検出専用の構成としては以下のような公知の構成を採用することができる。例えば、図27に示すように、インクカートリッジ254のインク貯留室40の底面付近の内面に、インク残量検出用の1対の電極250,251が貼り付けられていてもよい。この場合、インクカートリッジ254がカートリッジ装着部に装着されている状態では、これら1対の電極250,251はカートリッジ装着部に設けられた接点に接続される。そして、インクジェットプリンタ側でこれら1対の電極250,251間の抵抗値を検出し、その変化を監視することにより、インクジェットプリンタの制御装置がインク残量の変化(有無)を認識できるようになる。尚、インクカートリッジ254側の接点とカートリッジ装着部側の接点にインクが付着することがないように、1対の電極250,251は、インク導出部31とは反対側の端部(後端部)に設けられることが好ましい。」

ク.図3からは、第1ケース部材23が、インクカートリッジ4の6面のうち、最も大きな面積を有する一方の矩形面の一部と、他の対向する2面のうち前記最も大きな面積を有する一方の矩形面側の一部を構成しており、第2ケース部材24がインクカートリッジ4の6面のうち、最も大きな面積を有する他方の矩形面の一部と、前記他の対向する2面のうち前記最も大きな面積を有する他方の矩形面側の一部を構成している点が看取できる。

上記の記載事項を総合すると、引用例1には、次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されているものと認められる。

「インクジェットプリンタ2は、カートリッジ装着部8を有するホルダ7を備え、
カートリッジ装着部8には、インクカートリッジ4が着脱自在に装着され、
インクカートリッジ4は、略6面体(直方体)に構成され、
その6面のうち最も大きな面積を有する2つの矩形面が対向し、
インクカートリッジ4は、前記2つの矩形面が鉛直面となるような姿勢で、矩形面の長手方向に沿ってホルダ7のインク収容室に収容され、
インクカートリッジ4は、外部ケース21を備え、
外部ケース21は、略直方体形状のブロック体であり、第1ケース部材23、第2ケース部材24から構成され、
第1ケース部材23と第2ケース部材24とは略同形状に形成され、
第1ケース部材23が、インクカートリッジ4の6面のうち、最も大きな面積を有する一方の矩形面の一部と、他の対向する2面のうち前記最も大きな面積を有する一方の矩形面側の一部を構成しており、
第2ケース部材24がインクカートリッジ4の6面のうち、最も大きな面積を有する他方の矩形面の一部と、前記他の対向する2面のうち前記最も大きな面積を有する他方の矩形面側の一部を構成しており、
第1ケース部材23の上下両端部には、この第1ケース部材23の表面よりも一段低い段差部分120,121が前後方向に延在するように形成され、第2ケース部材24の上下両端部にも、この第2ケース部材24の表面よりも一段低い段差部分122,123が前後方向に延在するように形成され、第1ケース部材23の上側の段差部分120と、第2ケース部材24の上側の段差部分122とが溶着され、また、第1ケース部材23の下側の段差部分121と、第2ケース部材24の下側の段差部分123とが溶着され、
カートリッジ装着部8は、底壁部151と、係止棒153とを備え、
底壁部151の上端面には、装着されるインクカートリッジ4を下方から支持する支持部155が、外部ケース21の下部の段差部分121,123に応じて凹状に形成された、係止棒153の長手方向途中部には、下方へ突出する凸部153aが、外部ケース21の上部の係止部120c,122cに応じた凸形状に形成され、
インクカートリッジ4を、段差部分121,123が支持部155上をスライドするよう押圧し、
第1ケース部材23の上側の段差部分120と第2ケース部材24の上側の段差部分122には、前後方向に関する略中間位置において凹状の係止部120c,122cが形成され、
係止棒153の長手方向途中部には、下方へ突出する凸部153aが、外部ケース21の上部の係止部120c,122cに応じた凸形状に形成され、
係止棒153の凸部153aが外部ケース21の凹状の係止部120c,122cに係合し、
インクカートリッジ254のインク貯留室40の底面付近の内面に、インク残量検出用の1対の電極250,251が貼り付けられ、
これら1対の電極250,251はカートリッジ装着部に設けられた接点に接続され、
1対の電極250,251は、インク導出部31とは反対側の端部(後端部)に設けられる
インクカートリッジ4。」

2.引用例2

同じく原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願日前に頒布された刊行物である特開2000-218813号公報(以下「引用例2」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。

ケ.「【0031】また、上記インクカートリッジ19aの下面には、位置決め突部42aの周辺に、突部25aが挿通される凹部44aが形成されている。すなわち、突部25aの高さは、インクカートリッジ19aの位置決め突部42aの高さよりも高く形成されている。そして、インクカートリッジ19aが、大収容室23aに収容され、装着された状態で、3つの突部25aがインクカートリッジ19aの3つの凹部44aに挿通されるようになっている。なお、上記インクカートリッジ19aの位置決め突部42aの下面には、インク供給口43aを封止するフィルム(図示せず)が貼着されている。」

コ.「【0050】なお、上記各実施の形態では、突部25a,25bおよび凹部44a,44bを形成させる場所や突部25a,25bおよび凹部44a,44b自体の形状を変えることにより、上記突部25a,25bが、異種類のインクカートリッジ19a,19bの凹部44a,44bには挿通されないように構成したが、これに限定するものではなく、異なる機種の間で、突部25a,25bの厚みや幅の寸法等を変更したり、例えば突部25a,25bを仮想四辺形上ではなく仮想円上に配置する等配置を変更したりしてもよい。この場合も、同様の作用効果を奏する。」

上記の記載事項を総合すると、引用例2には、次の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されているものと認められる。

「インクカートリッジの下面には、突部が挿通される凹部が形成され、
凹部自体の形状を変えることにより、上記突部が、異種類のインクカートリッジの凹部には挿通されないように構成した
インクカートリッジ。」

3.引用例3

前置報告書に引用された、本願の出願日前に頒布された刊行物である特表2001-509103号公報(以下「引用例3」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。

サ.「一旦インク容器12が適切に整列して収容ステーション14に挿入されると、ラッチ68がインク容器12上の対応するラッチ機構64と係合してインク容器12を収容ステーション14内にラッチする。この時、収容ステーション14に繋がった液入口28が、インク容器12上の対応する液出口20と係合して、液体が液管路21内に流入することができる。」(第16ページ第13?17行)

シ.「インク容器12は、伸長軸Aに沿って配置された第1および第2の側面63を有する。好適な実施形態において、第1および第2の側面63は、挿入方向70と略整列している。整列機構62およびラッチ機構64を含む複数の容器位置決め機構34が、第1および第2の側面上に配置され、それぞれ案内機構66およびラッチ機構68を含む対応する収容ステーション位置決め機構と係合する。このように配置すると、容器位置決め機構、液出口、および容器の複数の電気的接点がすべて、伸長軸Aに沿って配置される。これによってさらに、最小限の大きさ48’の容器12が最小限の幅W’になることができる。」(第17ページ第6?13行)

上記の記載事項を総合すると、引用例3には、次の発明(以下「引用発明3」という。)が記載されているものと認められる。

「第1および第2の側面63を有し、
整列機構62およびラッチ機構64を含む複数の容器位置決め機構34が、第1および第2の側面上に配置され、それぞれ案内機構66およびラッチ機構68を含む対応する収容ステーション位置決め機構と係合し、
インク容器12が適切に整列して収容ステーション14に挿入されると、ラッチ68がインク容器12上の対応するラッチ機構64と係合してインク容器12を収容ステーション14内にラッチする
インク容器12。」

4.引用例4

同じく前置報告書に引用された、本願の出願日前に頒布された刊行物である特開2008-213147号公報(以下「引用例4」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。

ス.「【0053】
インクカートリッジ30は、左右一対のケース31,32を有する。ケース31,32は、インクカートリッジ30の挿抜方向を中心として、ほぼ対称な形状である。ケース31,32が合わせられることにより、中空形状の1つのケースが構成される。このケースは、薄型の略6面体である。図5において、x方向がインクカートリッジ30の挿入方向であり、y方向がインクカートリッジ30の厚み方向であり、z方向がインクカートリッジ30の高さ方向である。」

セ.「【0057】
ケース31,32の上下面には、レール37,38が形成されている。各レール37,38は、上面又は下面から上方又は下方へ突出して、インクカートリッジ30の挿入方向へ延びている。レール37,38は、ケース61のガイド溝63,64(図3参照)とそれぞれ嵌合する。レール37,38とガイド溝63,64との嵌合により、インクカートリッジ30はケース61に対して位置決めされるとともに、挿抜方向へスライド可能に案内される。」

上記の記載事項を総合すると、引用例4には、次の発明(以下「引用発明4」という。)が記載されているものと認められる。

「左右一対のケース31,32を有し、
ケース31,32が合わせられることにより、中空形状の1つのケースが構成され、
ケース31,32の上下面には、レール37,38が形成され、
各レール37,38は、上面又は下面から上方又は下方へ突出して、インクカートリッジ30の挿入方向へ延び、
レール37,38は、ケース61のガイド溝63,64とそれぞれ嵌合する
インクカートリッジ30。」

5.引用例5

同じく前置報告書に引用された、本願の出願日前に頒布された刊行物である特開2010-12803号公報(以下「引用例5」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。

ソ.「【0030】
図2乃至図4は、インクカートリッジ1の外観形状を示した図であり、インクカートリッジ1は略直方体状の容器本体2を有し、この容器本体2の前面にはインクジェット式記録装置100に供給されるインクを送出するインク供給口3が形成されている。」

タ.「【0036】
また、カートリッジ側固定構造7に近い側の容器本体2の一方の側面には、インクの種類、残量等の情報を記憶させるIC(半導体記憶素子)を搭載した回路基板8bが設けられており、この回路基板8bの表面にはICと電気的に接続されていると共に、記録装置本体の装置側接点と接触する電極(カートリッジ側電極)8aを備え、記憶装置8を構成している。記憶装置8は、カートリッジ側固定構造7と共に、容器本体2全体のうちのインク供給口3に近い位置に配置されている。なお、本実施形態においては回路基板8b上に記憶素子と電極8が形成されているが、記憶素子と電極8aとをFPC上に形成して両者を容器本体2の異なる位置に配置することもできる。
【0037】
図5は、インクカートリッジ1の分解斜視図であり、容器本体2は、上面が開口したケース本体2Aと、このケース本体2Aの上面開口を封止する蓋部材2Bとから成っている。図6は、インクカートリッジ1からその蓋部材2Bを外した状態を示している。」

チ.「【0039】
ケース本体2Aのインク袋9を収容した領域の外周を囲むように形成された溶着部26には、フィルム25が熱溶着によって固定されて内部を密閉空間としている。この密閉空間は、加圧流体導入口4から導入された加圧流体(本実施形態では加圧空気)が外部に漏れることなく密閉され、加圧流体によってインク袋9のインク収容部を押圧して外部にインクを供給可能に構成されている。さらに、蓋部材2Bは、フィルム25を覆うように蓋部材2Bに形成された係合突起27によりケース本体2Aに固定され、前記フィルム25の保護と加圧時におけるフィルム25の無用な膨張の防止をしている。」

上記の記載事項を総合すると、引用例5には、次の発明(以下「引用発明5」という。)が記載されているものと認められる。

「略直方体状の容器本体2を有し
容器本体2は、上面が開口したケース本体2Aと、このケース本体2Aの上面開口を封止する蓋部材2Bとから成っており、
蓋部材2Bは、蓋部材2Bに形成された係合突起27によりケース本体2Aに固定され、
カートリッジ側固定構造7に近い側の容器本体2の一方の側面には、回路基板8bが設けられており、この回路基板8bの表面には記録装置本体の装置側接点と接触する電極(カートリッジ側電極)8aを備える
インクカートリッジ1。」

第6 対比・判断

1 本願発明1について

(1)対比

本願発明1と引用発明1とを対比する。

後者の「インクジェットプリンタ2」は、その構造、機能、作用等からみて、前者の「印刷装置」に相当し、同様に「カートリッジ装着部8」は「カートリッジ装着部」に、「インクカートリッジ4」は「カートリッジ」にそれぞれ相当する。
後者においては「インクジェットプリンタ2は、カートリッジ装着部8を有するホルダ7を備え、カートリッジ装着部8には、インクカートリッジ4が着脱自在に装着され」るから、「インクカートリッジ4」は、「インクジェットプリンタ2」の「カートリッジ装着部8」に「着脱自在に装着され」るといえる。また、後者の「インクカートリッジ4は、略6面体(直方体)に構成され、その6面のうち最も大きな面積を有する2つの矩形面が対向し、インクカートリッジ4は、前記2つの矩形面が鉛直面となるような姿勢で、矩形面の長手方向に沿ってホルダ7のインク収容室に収容され」るものであって、略6面体(直方体)において3組の面が対向することは明らかだから、インクカートリッジ4は、カートリッジ装着部8に挿入される際に挿入方向の前側となる前面と、前記前面と対向する後面と、前記前面及び前記後面と交わる第一側面、第二側面、第三側面及び第四側面を有する略直方体形状であり、前記第一側面と前記第二側面とが互いに対向しており、前記第三側面と前記第四側面とが互いに対向しているといえる。
そうすると、後者は、前者の「印刷装置のカートリッジ装着部に着脱可能に装着され、前記カートリッジ装着部に挿入される際に挿入方向の前側となる前面と、前記前面と対向する後面と、前記前面及び前記後面と交わる第一側面、第二側面、第三側面及び第四側面を有する略直方体形状のカートリッジであって、前記第一側面と前記第二側面とが互いに対向しており、前記第三側面と前記第四側面とが互いに対向しており」との発明特定事項を備えている。
後者においては、「第1ケース部材23の上下両端部には、この第1ケース部材23の表面よりも一段低い段差部分120,121が前後方向に延在するように形成され、第2ケース部材24の上下両端部にも、この第2ケース部材24の表面よりも一段低い段差部分122,123が前後方向に延在するように形成され」るから、段差部分120,121,122,123は、第1ケース部材23及び第2ケース部材24の上下両端部の側面に突出して設けられているといえ、「カートリッジ装着部8は、底壁部151を備え、底壁部151の上端面には、装着されるインクカートリッジ4を下方から支持する支持部155が、外部ケース21の下部の段差部分121,123に応じて凹状に形成され、インクカートリッジ4を、段差部分121,123が支持部155上をスライドするよう押圧」するから、「段差部分121,123」は、インクカートリッジ4をカートリッジ装着部8に装着する際に、凹状に形成された支持部155上をスライドするよう押圧するものである。そうすると、後者は、前者の「前記第一側面には、前記カートリッジを前記カートリッジ装着部に装着する際に前記カートリッジ装着部に設けられたガイド溝の一部に挿入される第一レール部が突出して設けられており」との発明特定事項を備えている。
後者においては、「第1ケース部材23」が、インクカートリッジ4の6面のうち、最も大きな面積を有する一方の矩形面の一部と、他の対向する2面のうち前記最も大きな面積を有する一方の矩形面側の一部を構成しており、「第2ケース部材24」がインクカートリッジ4の6面のうち、最も大きな面積を有する他方の矩形面の一部と、前記他の対向する2面のうち前記最も大きな面積を有する他方の矩形面側の一部を構成しているから、後者の「第1ケース部材23」及び「第2ケース部材24」はそれぞれ、前者の「前記第三側面の一部と、前記第一側面及び前記第二側面のうち前記第三側面側の一部とを少なくとも構成する第一ケース部材」及び「前記第四側面の一部と、前記第一側面及び前記第二側面のうち前記第四側面側の一部とを少なくとも構成する第二ケース部材」に相当する。
後者においては、「第1ケース部材23の上下両端部には、この第1ケース部材23の表面よりも一段低い段差部分120,121が前後方向に延在するように形成され、第2ケース部材24の上下両端部にも、この第2ケース部材24の表面よりも一段低い段差部分122,123が前後方向に延在するように形成され、第1ケース部材23の上側の段差部分120と、第2ケース部材24の上側の段差部分122とが溶着され、また、第1ケース部材23の下側の段差部分121と、第2ケース部材24の下側の段差部分123とが溶着され」るから、後者のこの点と前者の「前記第一ケース部材及び前記第二ケース部材は、前記第一係合部と前記第二係合部を係合させることで一体化可能に形成されており」の点とは、「第一ケース部材及び第二ケース部材は、一体化可能に形成されており」との概念で共通する。
後者においては「1対の電極250,251はカートリッジ装着部に設けられた接点に接続され」るから、「電極250,251」は、前者の「印刷装置の装置側端子群と電気的に接続されるカートリッジ側端子群」に相当する。
後者が「凹状の係止部120c,122c」を有する点は、カートリッジ装着部8が備える「係止棒153の凸部153aが外部ケース21の凹状の係止部120c,122cに係合」するから、前者の「前記第一レール部の前記第一部分と前記第二部分との間には、前記カートリッジ装着部に係止される凹状の第一の係止部が形成され、前記第二レールの前記第一部分と前記第二部分との間には、前記カートリッジ装着部に係止される凹状の第二の係止部が形成され」る点と、「カートリッジ装着部に係止される凹状の係止部が形成され」との概念で共通する。

したがって、両者は、

「印刷装置のカートリッジ装着部に着脱可能に装着され、前記カートリッジ装着部に挿入される際に挿入方向の前側となる前面と、前記前面と対向する後面と、前記前面及び前記後面と交わる第一側面、第二側面、第三側面及び第四側面を有する略直方体形状のカートリッジであって、
前記第一側面と前記第二側面とが互いに対向しており、
前記第三側面と前記第四側面とが互いに対向しており、
前記第一側面には、前記カートリッジを前記カートリッジ装着部に装着する際に前記カートリッジ装着部に設けられたガイド溝の一部に挿入されるレール部が突出して設けられており、
前記第三側面の一部と、前記第一側面及び前記第二側面のうち前記第三側面側の一部とを少なくとも構成する第一ケース部材と、
前記第四側面の一部と、前記第一側面及び前記第二側面のうち前記第四側面側の一部とを少なくとも構成する第二ケース部材と、
前記印刷装置の装置側端子群と電気的に接続されるカートリッジ側端子群と、を備え、
前記第一ケース部材及び前記第二ケース部材は、一体化可能に形成されており、
カートリッジ装着部に係止される凹状の係止部が形成される、
カートリッジ。」

の点で一致し、以下の点で相違している。

[相違点1]
前者が「第二側面には、ガイド溝の一部に挿入される第二レール部が突出して設けられている」のに対して、後者はそのようなものでない点。

[相違点2]
「第一係合部」及び「第二係合部」に関して、前者では「第一ケース部材は、第一係合部を有し、第二ケース部材は、第二係合部を有し、前記第一ケース部材及び前記第二ケース部材は、前記第一係合部と前記第二係合部を係合させることで一体化可能に形成されており、前記第一係合部及び前記第二係合部は、第一レール部及び第二レール部の少なくとも一方を構成している」のに対して、後者はそのようなものでない点。

[相違点3]
「第一の係止部」及び「第二の係止部」に関して、前者では「第一レール部及び第二レール部は、それぞれ延在方向において第一部分と第二部分とに分かれており、前記第一レール部の前記第一部分と前記第二部分との間には、カートリッジ装着部に係止される凹状の第一の係止部が形成され、前記第二レールの前記第一部分と前記第二部分との間には、前記カートリッジ装着部に係止される凹状の第二の係止部が形成されており、前記第一の係止部は、前記第一側面の前記後面よりも前記カートリッジ側端子群に近い位置に配置され、前記第一の係止部と第二の係止部とが、互いに対向する位置に配置される」のに対して、後者ではそのようなものでない点。

[相違点4]
「カートリッジ側端子群」に関して、前者では「第一側面の後面よりも前面に近い位置に配置される」のに対して、後者ではそのようなものでない点。

(2)判断

相違点2について検討する。

まず本願発明1について検討すると、本願発明1の課題は「大型化を防ぎつつ、容積効率を向上させることが可能なカートリッジを提供すること」(段落【0005】)であり、本願発明1の作用効果は「第一ケース部材の第一係合部及び第二ケース部材の第二係合部を、それぞれ、第一レール部及び第二レール部の少なくとも一部として兼用することができるので、第一係合部及び第二係合部と、第一レール部及び第二レール部とを別々に設ける必要が無くなる。これにより、その分のスペースを節約することができるため、大型化を防ぎつつ収容効率を向上させることができる。」(段落【0008】)というものである。したがって、これらからすれば、相違点2に係る本願発明1の発明特定事項である「第一ケース部材は、第一係合部を有し、第二ケース部材は、第二係合部を有し、前記第一ケース部材及び前記第二ケース部材は、前記第一係合部と前記第二係合部を係合させることで一体化可能に形成され」ることと、「前記第一係合部及び前記第二係合部は、第一レール部及び第二レール部の少なくとも一方を構成している」こととは、一体不可分のものである。

引用発明2の「インクカートリッジ」は、「凹部」が形成されるものであって、レール部を有さない。
引用発明3の「インク容器12」は本願発明1の「カートリッジ」に相当する。しかしながら、引用例3には「インク容器12」が複数の部材からなることや、係合部を有することは記載されていない。
引用発明4の「ケース31,32」は本願発明1の「第一ケース部材」及び「第二ケース部材」に相当する。しかしながら、引用例4には「ケース31,32」が係合部を有することは記載されていない。
引用発明5の「上面が開口したケース本体2Aと、このケース本体2Aの上面開口を封止する蓋部材2Bとから成り、蓋部材2Bは、蓋部材2Bに形成された係合突起27によりケース本体2Aに固定される」点は、「ケース本体2A」に「係合突起27」が固定されるためには、「ケース本体2A」が「係合突起27」に対応する被係合部を有することは明らかであるから、本願発明1の「第一ケース部材は、第一係合部を有し、第二ケース部材は、第二係合部を有し、前記第一ケース部材及び前記第二ケース部材は、前記第一係合部と前記第二係合部を係合させることで一体化可能に形成されて」いる点に相当する。しかしながら、引用発明5はそもそもレール部を有しておらず、「係合突起27」や「被係合部」はレール部を構成するものではない。
したがって、引用発明2ないし5は、いずれも相違点2に係る本願発明1の発明特定事項を備えるものではない。

また、上記相違点2に係る本願発明1の発明特定事項が、当業者にとって設計事項であるとする根拠もない。

そして、本願発明1は、上記相違点2に係る本願発明1の発明特定事項を具備することにより、本願明細書に記載の「第一ケース部材の第一係合部及び第二ケース部材の第二係合部を、それぞれ、第一レール部及び第二レール部の少なくとも一部として兼用することができるので、第一係合部及び第二係合部と、第一レール部及び第二レール部とを別々に設け
る必要が無くなる。これにより、その分のスペースを節約することができるため、大型化を防ぎつつ収容効率を向上させることができる。」(段落【0008】)という作用効果を奏するものである。

そうすると、本願発明1は引用発明1ないし5に基いて当業者が容易に想到することができたものではない。

2 本願発明2ないし4について

本願発明2ないし4は、本願発明1をさらに限定したものである。
すると、本願発明2ないし4は、本願発明1と同様に、引用発明1ないし5に基づいて当業者が容易に想到することができたものではない。

第7 原査定について

1.理由1(特許法第29条第1項第3号)について
上記「第6」の「1(1)」において検討したとおり、本願発明1と引用発明1とは相違点1ないし4において相違する。また、本願発明2及び3は本願発明1をさらに限定したものであるから、本願発明2及び3と引用発明1とは少なくとも相違点1ないし4において相違する。そうすると、本願発明1ないし3は引用発明1ではない。
したがって、原査定の理由1を維持することはできない。

2.理由2(特許法第29条第2項)について
上記「第6」において検討したとおり、本願発明1ないし4は引用発明1ないし5に基づいて当業者が容易に想到することができたものではないから、本願発明1ないし3は引用発明1に基づいて当業者が容易に想到することができたものではなく、また、本願発明4は引用発明1及び2に基づいて当業者が容易に想到することができたものではない。
したがって、原査定の理由2を維持することはできない。

第8 むすび

以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。

また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2017-05-09 
出願番号 特願2012-23431(P2012-23431)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (B41J)
P 1 8・ 113- WY (B41J)
最終処分 成立  
前審関与審査官 島▲崎▼ 純一鈴木 友子  
特許庁審判長 黒瀬 雅一
特許庁審判官 森次 顕
畑井 順一
発明の名称 カートリッジ  
代理人 志賀 正武  
代理人 佐伯 義文  
代理人 大浪 一徳  
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