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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  B01D
管理番号 1327860
異議申立番号 異議2016-700714  
総通号数 210 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2017-06-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2016-08-09 
確定日 2017-04-03 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第5859463号発明「排ガス及びガス・スクラバ流体浄化装置及び方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第5859463号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-10〕、〔11-12〕について訂正することを認める。 特許第5859463号の請求項1ないし8、10ないし12に係る特許を維持する。 特許第5859463号の請求項9に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 
理由 第1.手続の経緯
特許第5859463号は、平成23年2月24日を国際出願日とする特願2012-554342号について、平成27年12月25日に設定登録がされ、その後、その請求項1-12に係る特許に対し、特許異議申立人 村上 友一(以下、「村上申立人」という。)及び齋藤 慎二(以下、「齋藤申立人」という。)により特許異議の申立てがなされ、平成28年10月28日付けで本件特許の請求項1-12に係る特許に対する取消理由が通知され、平成29年1月30日付けで特許権者より意見書の提出及び訂正の請求がなされ、平成29年3月8日付けで齋藤申立人より意見書の提出がなされ、平成29年3月10日付けで村上申立人より意見書の提出がなされたものである。

第2.訂正の請求
1.訂正の内容
平成29年1月30日付け訂正請求書による訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は、次の訂正事項よりなる。

(1)一群の請求項1-10に係る訂正
(ア)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「前記汚染されたスクラバ流体を排ガス・スクラバから前記セパレータ入口へ導くための手段は、前記バッファ・タンク(6)を介して、汚染されたスクラバ流体を前記排ガス・スクラバ(1)から前記セパレータ入口(8)へ導くように構成されていること、を特徴とする排ガス浄化装置。」とあるのを、「前記汚染されたスクラバ流体を排ガス・スクラバから前記セパレータ入口へ導くための手段は、前記バッファ・タンク(6)を介して、汚染されたスクラバ流体を前記排ガス・スクラバ(1)から前記セパレータ入口(8)へ導くように構成されていること、汚染されたスクラバ流体の一部を、ブリード・オフ・ディスク積層体遠心分離機(20,20’)に抜き出すための手段を更に有していて、この手段は、前記汚染されたスクラバ流体から、少なくとも、汚染物質粒子を有する汚染物質相と浄化されたスクラバ流体とを、分離するように構成されていること、を特徴とする排ガス浄化装置。」と訂正する。

(イ)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項9を、削除する。

(ウ)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項10に「下記特徴を有する請求項9に記載の排ガス浄化装置、」とあるのを、「下記特徴を有する請求項1に記載の排ガス浄化装置、」と訂正する。

(2)一群の請求項11-12に係る訂正
(エ)訂正事項
特許請求の範囲の請求項11に「- 前記バッファ・タンク(6)から前記排ガス・スクラバに、浄化されたスクラバ流体を供給すること、を特徴とする方法。」とあるのを、「- 前記バッファ・タンク(6)から前記排ガス・スクラバに、浄化されたスクラバ流体を供給すること、及び汚染されたスクラバ流体の一部を、ブリード・オフ・ディスク積層体遠心分離機(20,20’)に抜き出し、抜き出された汚染されたスクラバ流体の一部から、少なくとも、汚染物質粒子を有する汚染物質相と浄化されたスクラバ流体とを、分離すること、を特徴とする方法。」と訂正する。

2.訂正の適否
(1)一群の請求項1-10に係る訂正
(ア)訂正事項1について
訂正事項1は、請求項1に「汚染されたスクラバ流体の一部を、ブリード・オフ・ディスク積層体遠心分離機(20,20’)に抜き出すための手段を更に有していて、この手段は、前記汚染されたスクラバ流体から、少なくとも、汚染物質粒子を有する汚染物質相と浄化されたスクラバ流体とを、分離するように構成されていること、」との構成を直列に付加するものであるから、当該訂正事項1は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、当該訂正事項1は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
さらに、当該訂正事項1において付加された構成は、本件訂正前の請求項9に記載された事項であるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものである。

(イ)訂正事項2について
訂正事項2は、特許請求の範囲の請求項9を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そして、当該訂正事項2は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでない。

(ウ)訂正事項3について
訂正事項3は、訂正事項2において、請求項9を削除したことに伴う訂正であり、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
そして、当該訂正事項3は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(2)一群の請求項11-12に係る訂正
(エ)訂正事項について
訂正事項は、請求項11に「及び汚染されたスクラバ流体の一部を、ブリード・オフ・ディスク積層体遠心分離機(20,20’)に抜き出し、抜き出された汚染されたスクラバ流体の一部から、少なくとも、汚染物質粒子を有する汚染物質相と浄化されたスクラバ流体とを、分離すること、」との構成を直列に付加するものであるから、当該訂正事項は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、当該訂正事項は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
さらに、当該訂正事項において付加された構成は、本件訂正前の請求項9に実質的に記載された事項であるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものである。

3.一群の請求項について
(1)一群の請求項1-10に係る訂正について
訂正前の請求項2-10は請求項1を引用しているものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。したがって、訂正前の1-10に対応する訂正後の請求項1-10は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。

(2)一群の請求項11-12に係る訂正について
訂正前の請求項12は請求項11を引用しているものであって、訂正事項によって記載が訂正される請求項11に連動して訂正されるものである。したがって、訂正前の11-12に対応する訂正後の請求項11-12は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。

4.むすび
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号又は第3号に掲げる事項を目的とし、同法第120条の5第9項の規定によって準用する第126条第5項又は第6項に適合するので、請求項〔1-10〕、〔11-12〕について訂正を認める。

第3.本件発明
上記「第2.」のとおり、本件訂正請求による訂正が認められるから、本件特許の請求項1-12に係る発明(以下、請求項の項番にしたがって、「本件発明1」などといい、全体をまとめて「本件発明」という。)は、平成29年1月30日付け訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1-12に記載された事項により特定される、以下のものである。

「【請求項1】
ディーゼル・エンジンのための排ガス浄化装置であって、
排ガスを浄化するためのガス・スクラバ(1)を有し、このガス・スクラバは、汚染物質粒子を有する汚染されたスクラバ流体を作り出し、
このガス・スクラバに接続され、前記汚染されたスクラバ流体を浄化するためのスクラバ流体浄化装置を有し、
前記スクラバ流体浄化装置は、前記汚染されたスクラバ流体から、少なくとも、汚染物質粒子を有する汚染物質相と浄化されたスクラバ流体とを分離するための遠心分離機(9)を有し、
この遠心分離機は、
分離ディスク(13)の積層体を備えた分離スペース(12)の周りを取り囲むロータ(11)と、
前記分離スペースの中に伸びる、汚染されたスクラバ流体のためのセパレータ入口(8)と、
前記分離スペースから伸びる、浄化されたスクラバ流体のための第一のセパレータ出口(14)と、
前記分離スペースから伸びる、汚染物質相のための第二のセパレータ出口(15)と、
を有し、
このスクラバ流体浄化装置は、
汚染されたスクラバ流体を前記排ガス・スクラバから前記セパレータ入口へ導くための手段と、
浄化されたスクラバ流体を第一のセパレータ出口から前記排ガス・スクラバへ導くための手段と、を更に有していること、
前記排ガス浄化装置は、バッファ・タンク(6)を更に有し、
前記浄化されたスクラバ流体を前記第一のセパレータ出口から前記排ガス・スクラバへ導くための手段は、このバッファ・タンクを介して、浄化されたスクラバ流体を前記第一のセパレータ出口(14)から前記排ガス・スクラバ(1)へ導くように構成されていること、
前記汚染されたスクラバ流体を排ガス・スクラバから前記セパレータ入口へ導くための手段は、前記バッファ・タンク(6)を介して、汚染されたスクラバ流体を前記排ガス・スクラバ(1)から前記セパレータ入口(8)へ導くように構成されていること、
汚染されたスクラバ流体の一部を、ブリード・オフ・ディスク積層体遠心分離機(20,20’)に抜き出すための手段を更に有していて、この手段は、前記汚染されたスクラバ流体から、少なくとも、汚染物質粒子を有する汚染物質相と浄化されたスクラバ流体とを、分離するように構成されていること、
を特徴とする排ガス浄化装置。
【請求項2】
下記特徴を有する請求項1に記載の排ガス浄化装置、
前記第二のセパレータ出口(15)は、汚染物質相の間欠的な排出のための排出ポートを有している。
【請求項3】
下記特徴を有する請求項2に記載の排ガス浄化装置、
前記スクラバ流体浄化装置は、
前記分離スペース(12)の径方向外側の部分の中の汚染物質相の量に関係する前記遠心分離機のプロセス・パラメータを決定するための手段と、
前記分離スペースの径方向外側の部分の中の汚染物質相の量が予め定められたレベルを超えたことを示す、前記プロセス・パラメータについての予め定められた条件で、前記第二のセパレータ出口(15)の前記排出ポートを開くように構成された手段と、
を更に有している。
【請求項4】
下記特徴を有する請求項3に記載の排ガス浄化装置、
前記運転パラメータは、前記第一のセパレータ出口(14)の中の浄化されたスクラバ流体の濁り度であり、
前記運転パラメータの予め定められた条件は、この濁り度が予め定められたレベルを超えたことである。
【請求項5】
下記特徴を有する請求項3に記載の排ガス浄化装置、
前記遠心分離機は、第三のセパレータ出口を更に有していて、この第三のセパレータ出口は、前記分離スペース(12)の径方向外側の部分から伸び、
前記運転パラメータは、この第三のセパレータ出口での圧力であって、前記予め定められた条件は、この圧力が予め定められたレベルを下回ったことである。
【請求項6】
下記特徴を有する請求項1から5の何れか1項に記載の排ガス浄化装置、
前記セパレータ入口(8)は、ハーメチック・タイプである。
【請求項7】
下記特徴を有する請求項1から6の何れか1項に記載の排ガス浄化装置、
前記スクラバ流体浄化装置は、前記セパレータ入口(8)及び前記第一のセパレータ出口(14)と連絡するバイパス(19)を更に有している。
【請求項8】
下記特徴を有する請求項1から7の何れか1項に記載の排ガス浄化装置、
前記スクラバ流体は、水道水、海水脱塩水、淡水などのような水である。
【請求項9】(削除)
【請求項10】
下記特徴を有する請求項1に記載の排ガス浄化装置、
前記ブリード・オフ・ディスク積層体遠心分離機(20,20’)は、更に、前記第二のセパレータ出口(15)から汚染物質相を受け取るように構成されている。
【請求項11】
ディーゼル・エンジンの排ガスに由来する汚染されたスクラバ流体を浄化するための方法であって、
- 排ガス・スクラバ(1)からバッファ・タンク(6)へ、汚染されたスクラバ流体を取り出し、ここで、この汚染されたスクラバ流体は、汚染物質粒子を有し、汚染されたスクラバ流体を前記バッファ・タンクから遠心分離機に供給し、
- ディスク積層体遠心分離機(9)の中で、前記汚染されたスクラバ流体から、汚染物質粒子を有する汚染物質相を分離し、それにより、浄化されたスクラバ流体を取り出し、
- 前記遠心分離機から前記バッファ・タンク(6)に、浄化されたスクラバ流体を供給すること、
- 前記バッファ・タンク(6)から前記排ガス・スクラバに、浄化されたスクラバ流体を供給すること、
及び汚染されたスクラバ流体の一部を、ブリード・オフ・ディスク積層体遠心分離機(20,20’)に抜き出し、抜き出された汚染されたスクラバ流体の一部から、少なくとも、汚染物質粒子を有する汚染物質相と浄化されたスクラバ流体とを、分離すること、
を特徴とする方法。
【請求項12】
下記工程を更に有する、請求項11に記載の方法、
- 前記遠心分離機(9)から、汚染物質粒子を有する前記分離された汚染物質相を排出する。」

第4.取消理由の概要
村上申立人は、本件訂正前の請求項1-12に係る発明は、証拠として提出した甲第1?3号証(以下、「甲1-1」、「甲1-2」等という。)に基づいて、容易に発明をすることができたものであるから、その発明に係る特許は、特許法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである旨、主張している。
また、齋藤申立人は、本件訂正前の請求項1-12に係る発明は、証拠として提出した甲第1?11号証(以下、「甲2-1」、「甲2-2」等という。)に基づいて、容易に発明をすることができたものであるから、その発明に係る特許は、特許法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである旨、主張している。
これに対し、当審にて本件訂正前の請求項1-12に係る特許に対して平成28年10月28日付け取消理由通知にて、特許権者に通知した取消理由の概要は、次のとおりである。

1)本件訂正前の請求項1-12に係る発明は、齋藤申立人より証拠として提出され、本件特許の出願前に発行された甲2-2に記載された発明、及び、甲2-7に記載された事項及び、甲2-1、甲2-3?甲2-11に記載された周知技術に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。



村上申立人より提出された証拠
甲1-1:特開平11-235517号公報
甲1-2:特表2002-518159号公報
甲1-3:特開2007-1339号公報

齋藤申立人より提出された証拠
甲2-1:特開2000-176242号公報
甲2-2:特開平1-242160号公報
甲2-3:特表平8-510161号公報
甲2-4:特開2004-154694号公報
甲2-5:特表2002-518159号公報(甲1-2と同じ)
甲2-6:特開平9-38456号公報
甲2-7:特開平9-192440号公報
甲2-8:特開平8-168630号公報
甲2-9:特開平6-226041号公報
甲2-10:特開平9-192447号公報
甲2-11:特開2001-259360号公報

第5.引用例の記載事項及び引用例に記載された発明の認定
1.引用例の記載事項
(1)甲1-1の記載事項
甲1-1には、発明の名称「ガス浄化装置」について、次の記載がある。
(ア)「【請求項1】・・・排気ガスの浄化を行うガス浄化装置において・・・」
(イ)「【0015】除塵を行った後のガスは、吸収部7に送り込まれる。吸収部7は、送り込まれたガス中のNO_(2)、あるいはNOを吸収液に吸収するための機構である。吸収部7の内部で、送り込まれたガスと吸収液を気液接触させ、吸収反応を生じさせる。吸収液の性質は中性のものでもかまわないし、苛性ソーダ,亜硫酸ナトリウム,チオ硫酸ナトリウム等のアルカリ性のものを用いてもかまわない。」
(ウ)「【0018】吸収液は吸収液溜め9に貯留されており、循環ポンプ11により充填物25に散布される。吸収液は気液接触による吸収反応を行いつつ吸収液溜め9に貯留される。吸収液の散布の仕方は連続的に行っても間欠的に行ってもかまわない、但し、間欠的に散布を行う場合には、所定の性能を維持できるように、散布のサイクルの制御を行う。
【0019】・・・吸収液溜め9の吸収液は循環ポンプ11により連続的に散布が行われ、常に吸収反応が持続される。・・・」
(エ)「【0026】・・・吸収液中に含まれる煤塵等の不要物は、固液分離手段25により固形分20が溶液から分離される。・・・
【0027】用水使用量の低減が必要の場合には、用水のリサイクルを図るために固液分離手段25により分離された溶液の一部または全部を、ポンプ19で貯水槽18に蓄える。・・・溶液は循環液再生手段18で不要なイオン等の処理を行う。
【0028】・・・不要イオンを取り除いた液は、吸収液溜め9に送られ再利用に用いられる。・・・」

(2)甲1-2(甲2-5)の記載事項
甲1-2(甲2-5)には、「遠心沈降分離機」(発明の名称)について、次の記載がある。
(オ)「【0001】
本発明は、固体の粒子がそれよりも小さい密度を有する液体中に浮遊している液体混合物から固体を分離する遠心分離機に関する。・・・」
(カ)「【0032】
・・・遠心分離機は、垂直回転軸Rの周りをある速度で回転できるロータ1と、ロータ1内に配置され同じ回転軸Rの周りを回転できるが、ロータ1の回転速度とは異なる速度で回転する螺旋状コンベヤ2と、ロータ1および螺旋状コンベヤをそれぞれの速度で回転させるように構成されている駆動装置とを含んでいる。・・・」
(キ)「【0040】
図1からわかるように、螺旋状コンベヤは、下部ロータ部6の全体を通ってスラッジ出口のいくらか外側まで軸方向に延びる・・・」
(ク)「【0053】
・・・ロータ1は、重ね合わされた円錐台分離円板51を備えている。・・・支持体53内の空間54は、図1の実施形態の環状体9内の対応する空間10のように小さな密度を有する材料で満たすことができる。・・・」
(ケ)「【0055】
螺旋状コンベヤ2は、ロータの上部内の液体が内側に回転軸Rの方へ流れると共に分離円板51間を流れることができるように、分離円板51の重ね合わせの周りに分散配置された開口60を、螺旋状コンベヤ2の上部の、ロータ周囲壁の近傍に備えている。分離円板51は、各円板間に、互いに隣接する分離円板間に短い半径方向距離を有する分離空間を形成している。」
【0056】
支持プレート52の貫通穴62が支持プレート62と円錐状プレート59との間に形成された出口チャンバ63と連通している中央空間61が、分離円板51の重ね合わせと円錐状の仕切壁55との間に形成されている。
【0057】
入口パイプ22によって部分的に支持されると共に入口パイプ22を囲む他のパイプ65によって部分的に支持された、斬減円板(paring disc)64の形態の固定された出口部材が、出口チャンバ63内に配置されている。斬減円板64は、出口導管68(図4参照)とキャップ46の上方で連通する中央環状チャネル67内に開口するいくつかの出口チャネル66を形成している。
【0058】
入口パイプ22は、下向きに出口チャンバ63を通って延び、円錐状の仕切壁55内の入口流路23内に開口している。」
(コ)「【0060】
しかし、望むならば、出口68を通る液体の流出を多少とも絞ることができ、このことは、出口チャンバ63内の遊離した液体の表面を回転軸Rにより近い位置に位置させることができることを意味する。・・・望むのであれば、遠心分離機の動作中に、検知された何らかのパラメータ、たとえば、スラッジ出口13を通ってロータから出るスラッジの乾燥度に応じて、出口68を通る流出量の絞りを変化させてもよい。・・・
【0062】
・・・下部ロータ部6は円錐状の部品70を備えてもよい。・・・スラッジ出口13を通るスラッジの軸方向の流出が何らかの回転部材または固定部材によって妨げられることなく、このように、スラッジ用の有効な出口を回転軸Rまでのほぼ全体にわたって回転軸Rから所望の距離だけ離して配置してもよい。」

(3)甲1-3の記載事項
甲1-3には、発明の名称「船舶の推進装置における内燃機関廃熱回収プラント」について、下記の記載がある。
(サ)「【0019】
主煙道33は、燃焼ガスが火炉24の出口部から蒸発管群27の略下半分を通り、Uターンして蒸発管群27の略上半分を通り上方へ向かうように形成されている。
【0020】
バイパス煙道35は、主煙道33における蒸発管群27の略上半分へ向かう位置の上流側で主煙道33から分岐され、上方へ向かうように形成されている。・・・各煙道の流路断面積を調節するように構成されている。」
(シ)「【0022】
・・・高圧蒸発器45は、主機9の排ガス通路53に設置された高圧コア44の内部に位置され、主機9の排ガスと熱交換を行なえるように構成されている。・・・
排ガス通路53には、高圧蒸発器45の下流側の分岐位置Sで分岐された排ガスバイパス55が設けられている。この分岐位置Sには、排ガスダンパ56が設けられている。排ガスダンパ56は、排ガスの流路を排ガスバイパス55と排ガス通路53とのいずれかに振り分けるものである。
【0023】
・・・低圧蒸発器57は、主機9の排ガス通路53における分岐位置Sの下流側に設置された低圧コア46の内部に位置され、主機9の排ガスと熱交換を行なえるように構成されている。」

(4)甲2-1の記載事項
甲2-1には、発明の名称「湿式排煙脱硫方法と装置」について、下記の記載がある。
(ス)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、排ガスの脱硫装置と脱硫方法に関し、特に副生物の脱水を行うのに好適な湿式排煙脱硫方法と装置に関する。」
(セ)「【0003】・・・吸収塔2内では多数のスプレノズル4を備えたスプレヘッダ3が設置されており、スプレノズル4から微細な液滴として噴霧される吸収液スラリ(吸収剤としてカルシウム系吸収剤(石灰石、石灰等)を使用する)と排ガス1を接触させることで排ガス中の硫黄酸化物は吸収液スラリ滴の表面で化学的に除去される。排ガス1に同伴される微小な液滴は吸収塔2の上部に設置されたミストエリミネータ5で除去され、・・・スプレノズル4から噴霧された大部分の液滴は硫黄酸化物(SO_(2))を吸収したのち、吸収塔2の下部に設けられた吸収塔循環タンク7に落下する。循環タンク7の吸収液スラリは循環ポンプ17でスプレヘッダに送られ、再びスプレノズル4から排ガス1に向けて噴霧される。」
(ソ)「【0005】・・・吸収塔循環タンク7内の吸収液スラリの一部を抜出しポンプ12にて石膏脱水設備13a及び13bに送液し、吸収液スラリ中に含まれている石膏およびばい塵を石膏14として回収する。・・・
【0006】石膏およびばい塵の脱水ろ液16は、系内に不純物が濃縮するのを防ぐため一部を排水15として系外に排出し、残りの液の一部は石灰石供給設備10により石灰石スラリ製造用補給水として一次脱水装置13aで使用され、残りの液の他部は吸収塔2の吸収塔循環タンク7へ送液される。・・・」
(タ)図1


(5)甲2-2の記載事項
甲2-2には、「遠心分離機の制御方法」(発明の名称)について、次の記載がある。
(チ)「本発明は遠心力で固形物含有液を液相と固形物相に比重差で分離する遠心分離機に係わるものであり、特に燃料油や潤滑油等から水分や固形物を分離して上記油を清浄化する遠心分離機・・・」(第1頁右下欄第3行-第7行)
(ツ)「1は回転体9を有する縦型の遠心分離機である。回転体9は軸心部で回転すべく支持され内部に多数の截頭円錐形状の分離板10が一定の間隙をもって積層されている。回転体90周部には周部内壁に添って水圧で上下に摺動するスラッジ排出弁12により開閉されるスラッジ排出孔11が具備されている。2a、2bは固形物濃度の検出装置で原液供給流路7及び/又は分離液排出流路8に設けられる。」(第2頁右下欄第15行-第3頁左上欄第3行)
(テ)「回転体9の分離室13外径部空隙に徐々に蓄積してきた固形物Bは、・・・スラッジ排出弁12が開弁されスラッジ排出孔11から回転体9外へ排出される。」(第3頁右上欄第1行-第5行)
(ト)「分離液排出流路8」(第3頁右上欄第10行)

(6)甲2-3の記載事項
甲2-3には、発明の名称「遠心分離機で分離された液体の流出流を調節する方法及びその方法を実施する遠心分離機」について、下記の記載がある。
(ナ)「第1図に示す本発明による遠心分離機の部分は、固定リング3によって軸線方向に結合された下方部分1及び上方部分2を有するローターを有する。・・・このスライド弁4は、上方部分2と共に分離室5を制限し、このスライド弁4は、作動中にロータで分離されて分離室の周囲に堆積した物質のための周囲出口開口部6に向かって環状の空隙を開閉するように配置されている。」(第9頁第25行-第10頁第3行)
(ニ)「分離室5の内側にはディストリビュータ11と上方部分2との間に多数の円錐形の分離ディスクからなるディスクスタック10が配置されている。」(第10頁第6行-第7行)
(ヌ)「出口装置18は、入口管15の周りの室内に配置され、出口管17に接続されている。」(第10頁第14行-第15行)

(7)甲2-4の記載事項
甲2-4には、発明の名称「遠心分離機による固液分離方法」について、下記の記載がある。
(ネ)「【0027】
・・・外周部にスラッジ排出孔13を有する回転胴11と回転胴11上部を覆蓋する回転体蓋部12から主になる回転体10を回転軸22に固定し、回転体10内に、截頭円錐形状の薄板からなる分離板14が回転体の軸方向に多数積層して形成された分離板群15およびスラッジ排出孔13を開閉する弁シリンダ16を装着している分離板型遠心分離機である。
【0028】
また、前記分離板型遠心分離機1は、回転体10の軸心位置に原液供給管17が挿入されて装着され、・・・」
(ノ)「【0035】
・・・軽液は分離板群15の間隙を上向流通して軽液排出流路に具備された軽液排出インペラ18により汲み出されて、軽液出口26から回転体10外に排出され、軽液排出流路cを経て清澄液槽3に貯留される。」

(8)甲2-6の記載事項
甲2-6には、発明の名称「湿式排煙脱硫装置」について、下記の記載がある。
(ハ)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は吸収塔タンク内に生じた酸化性物質を還元し低減できる湿式排煙脱硫装置に関する。」
(ヒ)「【0003】すなわち、この装置では吸収塔1内の排煙導入部1aに未処理排煙Aを導き、循環ポンプ7によりスプレパイプ8の複数のノズル8aから上方に向って液柱状に噴射したスラリに接触させて、未処理排煙A中の亜硫酸ガスを吸収除去し、・・・スプレパイプ8から噴射され亜硫酸ガスを吸収しつつ流下するスラリはタンク2内において・・・」
(フ)「【0005】・・・タンク2内には石膏と吸収剤である少量の石灰石が懸濁または溶存し、これらが抜出しポンプ10により吸出され、固液分離機11に供給され、ろ過されて水分の少ない石膏D(通常、水分含有率10%程度)として採出される。固液分離機11からのろ液はろ液タンク12に送られ、ここで補給水Eが加えられる。ろ液タンク12内の液(主に水)はポンプ13により吸出され、一部が図示省略した排水処理装置へ送られる一方、残りがスラリタンク14に送られ、ここで吸収剤(石灰石、CaCo_(3))Fが加えられ、吸収剤スラリとしてスラリポンプ15により吸出されて再びタンク2に送られる。・・・」
(ヘ)図1


(9)甲2-7の記載事項
甲2-7には、「排ガス処理装置」(発明の名称)について、次の記載がある。
(ホ)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は内燃機関から排出される排ガスのばいじんを処理する排ガス処理装置に関する。」
(マ)「【0010】
・・・排ガス管1はディーゼル機関等の内燃機関からの排ガスを煙突等に導く。排ガス処理管2は排ガス管1の排ガスを分岐してばいじん処理を行う。ダンパー3は排ガス処理管2に流入する排ガスの流量を制御する。・・・排ガス処理管2はU字形をしており、入口側垂直管2a内には吸収液を噴霧するスプレーノズル4が複数段設けられ各スプレーノズル4には止め弁5が設けられている。U字形の下部は循環タンク6に接続し、ばいじんを吸収した吸収液は回収され、排ガスと分離される。分離した排ガスは出口側垂直管2b内に設けられた液滴を分離するミストセパレータ7を通過しEGRに用いられる。」
(ミ)「【0011】循環タンク6には循環ポンプ8が設けられ、回収した吸収液をスプレーノズル4に供給する。また循環タンク6内下部には空気吹き込み管9が設けられ、ブロワ10により空気を供給してスプレーされた吸収液に含まれる亜硫酸塩の酸化を促進する。循環ポンプ8の供給水の一部は脱水機11に送られ吸収液中の固形物を液体から分離し、固形物は回収固形物貯蔵タンク12に蓄積し、液体は循環タンク6に戻す。これにより吸収液はスプレーノズル4および脱水機11を循環する。」
(ム)「【0013】吸収剤としては、Na,Ca,Mg,NH_(3) のいずれかを含む水酸化物又は炭酸塩が用いられる。これらは吸収剤調合タンク16で脱水機11の分離した液体と調合され、例えば10?20重量パーセント(W%)の濃度とする。CaCO_(3),Mg(OH)_(2),MgCO_(3)の場合、一部固体となりスラリー状となっている。このような溶液を吸収液としスプレー4より噴霧しばいじんを吸収する。吸収液中のばいじんは脱水機11より分離され固形物として取り出される。」
(メ)図1


(10)甲2-8の記載事項
甲2-8には、発明の名称「循環水のろ過方法」について、下記の記載がある。
(モ)「【請求項1】 ダクトおよび/または集塵機および/または吸収塔に取り付けたスプレーノズルで、排ガスに、水および/または吸収液を噴霧することにより、排ガス中の有害物質や煤塵を除去する方法において、排ガス中の有害物質や煤塵を含み、循環使用される水および/または吸収液中の浮遊固形物濃度を一定値以下に保つために、前記水および/または液の一部をろ過し、再利用することを特徴とする循環水のろ過方法。」
(ヤ)「【0003】・・・その後ろ過装置4にてろ過することにより循環水中の煤塵等を除去し循環水中の煤塵等の濃度を低減する方法は行われている。」
(ユ)「【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するための本発明に基づく湿式電気集塵機や洗浄集塵機の場合の循環水とろ過装置の概略系統を図3において説明する。本発明では、循環水を一時的に貯留しておくタンク5(以下、「循環水槽」と称する。)を設置し、そこに、集塵機1において捕集された排ガス2中の煤塵等にスプレーノズルで循環水3を噴霧し、洗い流されてきた循環水を一時的に貯めておき、再び循環水3として使用するが、その際、循環水の配管とは別のろ過装置4を循環する配管を設置し、浮遊固形物をここで除去することが有効である。」
(ヨ)図3


(11)甲2-9の記載事項
甲2-9には、発明の名称「高性能排煙脱硫方法」について、下記の記載がある。
(ラ)「【0018】
・・・石炭焚きボイラ排ガスの如き硫黄酸化物を含む排ガス1は既存の脱硫装置2に導かれる。脱硫装置2では経路3から送られるCaCO_(3)と反応によって生成したCaSO_(4)・2H_(2)Oを含むスラリ状吸収液4がポンプ7により経路8を介して脱硫装置2内に噴出される。スラリ状吸収液はグリッドを充填した吸収部9で高濃度の硫黄酸化物を含む排ガスと気液接触し、CaSO_(4)・2H_(2)Oを生成し脱硫する。また硫黄酸化物を吸収した吸収液4は経路6から供給された空気がアーム回転式スパージャ5で微細な気泡として吹き込まれることにより、亜硫酸イオン(HSO_(3)^(-))の酸化が促進され、SO_(2)の吸収率の向上を計ると共にCaCO_(3)による中和反応によりCaSO_(4)・2H_(2)Oが生成される。生成したCaSO_(4)・2H_(2)Oを含むスラリ状吸収液4の一部は経路10から抜き出され、遠心分離機11で固液分離され副生石膏12が回収される。固液分離後の液は経路13にて脱硫装置2内に戻される。」
(リ)図1


(12)甲2-10の記載事項
甲2-10には、発明の名称「気体浄化装置」について、下記の記載がある。
(ル)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は有害物質を含有する気体を浄化する気体浄化装置に関する。
【0002】
【従来の技術】有害物質を含有した被浄化用気体(例えば、自動車や工場等の排気ガス)を浄化する装置・・・」
(レ)「【0011】図1は、本発明に係る気体浄化装置の実施の一形態を示し、この装置は、有害物質を溶け込ませる液体Sを貯蔵したケース1と、ケース1内に入った有害物質含有被浄化用気体Gと該ケース1内の液体Sとの気液混合体Mを形成する混合機構2と、該気液混合体Mを有害物質が溶け込んだ有害物質含有液体と有害物質が軽減乃至除去された気体G_(1)とに分離する分離機構3と、を備える。ここで、被浄化用気体Gの有害物質とは、二酸化硫黄SO_(2),一酸化炭素CO,炭化水素HC,窒素酸化物NO_(x)等であり、また、被浄化用気体Gとは、自動車の排気ガス,各種燃焼機の排気ガス等である。」
(ロ)「【0017】プロペラ24は、シャフト22の回転に伴って回転し、下筒体8の下方開口部26から液体Sを下筒体8内の上方に送り込んで上方開口部27から上筒体9内に確実に噴出させるためのものである。また、気体用配管20から中間筒体10の中空部19、環状空隙部Aを通り上筒体9内に入った被浄化用気体Gと、上筒体9内に噴出された上記液体Sとが上筒体9内で混合して気液混合体Mが形成されるが、シャフト22の回転に伴って回転する上記ブラシ25…が、気液混合体Mを攪拌してより均一かつ確実に混合する。なお、シャフト22は、図示省略の軸受けにて回転自在に枢支されている。また、軸受けは液体Sや気液混合体Mの流れを邪魔しないものとする。」
(ワ)「【0019】・・・そして、拡散された気液混合体Mは、分離機構3の上記壁体28の凹曲面29に衝突(激突)し、再び気体と液体とに分離する。この際、液体には被浄化用気体Gの有害物質が溶け込んでおり、気体G_(1)には有害物質が含まれていない。そして、浄化済の気体G_(1)はケース1の気体排気口7から外部に排出され、有害物質含有液体はケース1下部の液体S中に混入する。」
(オ)「【0021】なお、ケース1内の液体Sは、水分が蒸発して徐々に減少するため、液体Sの補助タンク30を有する水位維持手段31がケース1下部に連通連結され、ケース1内での液体Sの水位を一定に維持している。また、長期使用により液体Sは有害物質の含有量が多くなり、液体Sの浄化効力が低下するので、定期的に液体Sを交換し沈殿物を抜き取るための排出口32が、ケース1の底壁6近傍に設けられている。また、図示省略するが、液体1を循環機構により循環させて、フィルター等にてろ過するのも、好ましい。」
(ン)図1


(13)甲2-11の記載事項
甲2-11には、発明の名称「排煙脱硫方法及び装置」について、下記の記載がある。
(A)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、脱硫性能が高く、かつ得られる石膏品質の向上及び装置のコンパクト化を図ることができる湿式排煙脱硫方法及び装置・・・」
(B)「【0017】
・・・カルシウム系吸収剤スラリー、例えば炭酸カルシウムスラリー(吸収液スラリー)を吸収塔10aの底部の下部液溜槽12から吸収塔内の上部の気液接触部14に吸収液循環ライン16を介して循環させ、吸収塔内の上部から噴霧させて、噴霧した吸収液スラリーと排ガスとを気液接触部14で接触させる。・・・
【0018】この操作により、排ガス中の二酸化硫黄などの硫黄酸化物は吸収剤スラリーに吸収されるとともに、・・・
【0019】・・・下部液溜槽12内に、上部から落下してくるスラリーの一部を集液できる隔離槽32が設けられる。そして、この隔離槽32にはスラリー抜出しポンプ34を備えたスラリー抜出しライン36が接続され、さらにこのスラリー抜出ライン36に分級器38が接続され、この分級器38の微細粒子スラリー出口40と吸収塔の下部液溜槽12とが微細粒子スラリー戻しライン42を介して接続され、分級器38の粗大粒子スラリー出口44と石膏分離機20とが粗大粒子スラリー抜出しライン46を介して接続されている。・・・
【0020】・・・分級器38で分級された微細粒子(CaSO_(4)、CaCO_(3)、CaSO_(3))を含むスラリーは微細粒子スラリー戻しライン42により吸収塔の下部液溜槽12に戻され、粗大粒子(主としてCaSO_(4))を含むスラリーは石膏分離機20に送られ、水分が分離されて石膏が回収される。」
(C)図1


2.引用例(甲2-2)に記載された発明の認定
記載事項(チ)-(ト)によれば、甲2-2には、
「固形物含有液を浄化するための浄化装置であって、
前記浄化装置は、固形物含有液を液相と固形物相に比重差で分離する遠心分離機を有し、
前記遠心分離機は、
複数の分離板10を備えた分離室13を取り囲んでいる回転体9と、
原液供給流路7と、
分離液排出流路8と、
スラッジ排出孔11と、
を有した浄化装置。」の発明(以下、「甲2-2発明」という。)が記載されている。
また、甲2-2には、
「複数の分離板10を備えた遠心分離機の中で、固形物含有液から、固形物相を分離して取り出し、それにより、浄化された液相を取り出す方法。」の発明(以下、「甲2-2発明B」という。)も記載されている。

第6.取消理由についての判断
1.本件発明1と引用発明との対比、判断
(1)本件発明1と甲2-2発明との対比
甲2-2発明の「複数の分離板10」は、本件発明1の「分離ディスク(13)の積層体」に相当し、以下同様に、「分離室13」は「分離スペース(12)」に、「回転体9」は「ロータ(11)」に、「原液供給流路7」は「セパレータ入口(8)」に、「分離液排出流路8」は「第一のセパレータ出口(14)」に、「スラッジ排出孔11」は「第二のセパレータ出口(15)」に相当する。
甲2-2発明の「固形物含有液」は「浄化」されるものであるから、甲2発明の「固形物含有液」に含まれている「固形物」は、本件発明1の「汚染物質粒子」及び「汚染物質相」に相当し、また、甲2-2発明の「固形物含有液」、「液相」と、本件発明1の「汚染物質粒子を有する汚染されたスクラバ流体」、「浄化されたスクラバ流体」とは、「汚染物質粒子を有する汚染された流体」、「浄化された流体」である点で共通する。

よって、本件発明1と、甲2-2発明とは、
「汚染物質を有する汚染された流体から、少なくとも、汚染物質粒子を有する汚染物質相と浄化された流体とを分離するための浄化装置を有し、
前記浄化装置は遠心分離機を有し、
この遠心分離機は、
分離ディスクの積層体を備えた分離スペースの周りを取り囲むロータと、
前記分離スペースの中に伸びる、汚染された流体のためのセパレータ入口と、
前記分離スペースから伸びる、浄化された流体のための第一のセパレータ出口と、
前記分離スペースから伸びる、汚染物質相のための第二のセパレータ出口と、
を有する、
浄化装置」である点で一致し、下記(相違点1)?(相違点3)で相違する。

(相違点1)
本件発明1の浄化装置が、「ディーゼル・エンジンのための排ガス浄化装置」であり、「ガス・スクラバ」で作り出された、「汚染物質粒子を有する汚染されたスクラバ流体」を浄化するものであるのに対し、甲2-2発明の浄化装置は、「ディーゼル・エンジンのための排ガス浄化装置」でなく、「汚染されたスクラバ流体」を浄化するものでもない点。

(相違点2)
本件発明1の浄化装置は、「排ガスを浄化するためのガス・スクラバ」に接続されたものであり、「浄化されたスクラバ流体を第一のセパレータ出口から排ガス・スクラバへ導くための手段」が、「バッファ・タンクを介して、浄化されたスクラバ流体を第一のセパレータ出口から排ガス・スクラバへ導くように構成」され、「汚染されたスクラバ流体を排ガス・スクラバからセパレータ入口へ導くための手段」が、「バッファ・タンクを介して、汚染されたスクラバ流体を排ガス・スクラバからセパレータ入口へ導くように構成」されているのに対し、甲2-2発明の浄化装置では、固形物含有液を浄化装置に供給する上流側の装置や、浄化装置により排出された液体の供給先が特定されていない点。

(相違点3)
本件発明1の浄化装置は、「汚染されたスクラバ流体の一部を、ブリード・オフ・ディスク積層体遠心分離機に抜き出すための手段」を有しており、当該手段が、「前記汚染されたスクラバ流体から、少なくとも、汚染物質粒子を有する汚染物質相と浄化されたスクラバ流体とを、分離するように構成されている」のに対し、甲2-2発明の浄化装置は、「汚染されたスクラバ流体の一部を、ブリード・オフ・ディスク積層体遠心分離機に抜き出すための手段」を有していない点。

(2)相違点についての判断
事案に鑑み、最初に(相違点3)について検討する。
「ブリード・オフ」は、「抜き取る」、「抜き出す」、「取り出す」という意味の用語であり、また、本件特許明細書の段落【0066】、【0067】の、「スクラバ流体ループから、汚染されたスクラバ流体の一部が、スクラバ流体ループから抜き出され、ブリード・オフ・セパレータ20の入口24へ移送される。」、「浄化されたスクラバ流体は、第一のセパレータ出口25から、排出のために船舶の外側へ、または一時的な貯蔵のためにタンクへ導かれる。」との記載を合わせて参酌すれば、本件発明1では、「汚染されたスクラバ流体の一部を、ブリード・オフ・ディスク積層体遠心分離機に抜き出すための手段」は、「ガス・スクラバ」、「スクラバ流体浄化装置」及び「バッファ・タンク」から形成される「スクラバ流体のループ」から「スクラバ流体」を「抜き出す」作用を奏する「手段」であるといえる。
これに対し、甲2-1、甲2-3?甲2-11には、「固形物」を含有する「液体」の「ループ」から、「固形物」を含有する「液体」の一部を「抜き出す」ための、「遠心分離機」を含む「手段」は記載されていないし、そのような「手段」は、村上申立人が提出した甲1-1?甲1-3にも記載されていない。
齋藤申立人は、提出した異議申立書(以下、「齋藤申立書」という。)及び平成29年3月8日付け意見書にて、汚染されたスクラバ流体の流量に応じて遠心分離機の数を変更することは、当業者が適宜なし得る設計的事項であり、また、甲2-5(甲1-2)に記載されているように、遠心分離機の種類として、「ブリード・オフ・ディスク積層体遠心分離機」は周知技術であるから、甲2-2発明に対して、周知の「ブリード・オフ・ディスク積層体遠心分離機」をさらに増設して、スクラバ流体の一部を供給するように設計変更することは、当業者の通常の創作能力の発揮にすぎないと主張する。 しかしながら、甲2-5(甲1-2)に記載された遠心分離機は、本件特許明細書の段落【0068】-【0072】及び図6に「ブリード・オフ・ディスク積層体遠心分離機」として記載されている遠心分離機と同じ型の「ディスク積層体遠心分離機」ではあるが、甲2-5(甲1-2)には、当該遠心分離機を含む手段により、「固形物」を含有する「液体」の「ループ」から、当該「固形物」を含有する「液体」の一部を「抜き出す」ことについての記載はないから、甲2-5(甲1-2)に、本件発明1の「汚染されたスクラバ流体の一部を、ブリード・オフ・ディスク積層体遠心分離機に抜き出すための手段」が記載されているとはいえない。
また、村上申立人は平成29年3月10日付け意見書にて、何らかの作用を得るために、同様の作用を奏する機器を複数、あるいは多段に配置して、その効果や効率を向上させようとすることは周知の技術である旨、主張している。
しかしながら、甲2-2発明から本件発明1を導き出すためには、甲2-2発明の「遠心分離機」を、「固形物」を含有する「液体」の「ループ」内と、「固形物」を含有する「液体」の「ループ」から、当該「固形物」を含有する「液体」の一部を「抜き出す」手段との両方に設ける必要があるものであって、甲2-2発明の「遠心分離機」を、「複数、あるいは多段」に設置するのみでは、本件発明1の浄化装置を構成することはできない。
よって、本件発明1の(相違点3)に係る発明特定事項は、甲2-2発明に、甲2-7に記載された事項及び、甲2-1、甲2-3?甲2-11に記載された周知技術を適用して、当業者が容易に想到し得たものであるとはいえない。
したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲2-2に記載された発明、甲2-7に記載された事項及び、甲2-1、甲2-3?甲2-11に記載された周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでない。

(3)本件発明1についての小括
上記のとおり、本件発明1は、甲2-2に記載された発明、甲2-7に記載された事項及び、甲2-1、甲2-3?甲2-11に記載された周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでないから、その特許は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものでない。

2.本件発明2-8、10について
本件発明2-8、10は、本件発明1を引用し、本件発明1をさらに限定する発明であるから、「1.(1)」?「1.(2)」で検討したとおり、甲2-2に記載された発明、甲2-7に記載された事項及び、甲2-1、甲2-3?甲2-11に記載された周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでなく、その特許は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものでない。

3.本件発明11と引用発明との対比、判断
(1)本件発明11と甲2-2発明Bとの対比
「1.(1)」で、本件発明1と甲2-2発明とを対比したのと同様に、本件発明11と甲2-2発明Bとを対比すると、本件発明11と、甲2-2発明Bとは、
「流体を浄化するための方法であって、
- 汚染物質粒子を有し、汚染された流体を遠心分離機に供給し、
- ディスク積層体遠心分離機の中で、前記汚染された流体から、汚染物質粒子を有する汚染物質相を分離し、それにより、浄化された流体を取り出す方法」である点で一致し、下記(相違点1)?(相違点3)で相違する。

(相違点1)
本件発明11が、「ディーゼル・エンジンの排ガスに由来する汚染されたスクラバ流体を浄化」するものであり、「ガス・スクラバ」で作り出された、「汚染物質粒子を有する汚染されたスクラバ流体」を浄化するものであるのに対し、甲2発明Bは、「汚染されたスクラバ流体」を浄化するものでなく、「汚染された流体」が「ディーゼル・エンジンの排ガスに由来する」ものでもない点。

(相違点2)
本件発明11では、「排ガス・スクラバからバッファ・タンク(6)へ、汚染されたスクラバ流体を取り出」し、「汚染されたスクラバ流体」を「バッファ・タンク」から遠心分離機に供給し、遠心分離機から「バッファ・タンク」に、浄化されたスクラバ流体を供給し、「バッファ・タンク」から「排ガス・スクラバ」に、「浄化されたスクラバ流体」を供給するのに対し、甲2発明Bでは、固形物含有液を遠心分離機に供給する上流側の装置や、遠心分離機により排出された液体の供給先が特定されていない点。

(相違点3)
本件発明11では、「汚染されたスクラバ流体の一部を、ブリード・オフ・ディスク積層体遠心分離機(20,20’)に抜き出」し、「抜き出された汚染されたスクラバ流体の一部から、少なくとも、汚染物質粒子を有する汚染物質相と浄化されたスクラバ流体とを、分離する」のに対し、甲2-2発明Bでは、「汚染されたスクラバ流体の一部を、ブリード・オフ・ディスク積層体遠心分離機に抜き出」していない点。

(2)相違点についての判断
事案に鑑み、最初に(相違点3)について検討する。
「1.(1)」?「1.(2)」で検討したように、甲1-1?甲1-3、甲2-1、甲2-3?甲2-11には、「固形物」を含有する「液体」を「遠心分離機」に抜き出すことにより、「固形物」を含有する「液体」の「ループ」から、当該「固形物」を含有する「液体」の一部を「抜き出す」ことは記載されていないし、村上申立人及び齋藤申立人が、特許異議申立書及び意見書に記載した主張を参酌しても、本件発明11の(相違点3)に係る発明特定事項は、甲2-2発明Bに、甲2-7に記載された事項及び、甲2-1、甲2-3?甲2-11に記載された周知技術を適用して、当業者が容易に想到し得たものであるとはいえない。
したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明11は、甲2-2に記載された発明、甲2-7に記載された事項及び、甲2-1、甲2-3?甲2-11に記載された周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでない。

(3)本件発明11についての小括
上記のとおり、本件発明11は、甲2-2に記載された発明、甲2-7に記載された事項及び、甲2-1、甲2-3?甲2-11に記載された周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでないから、その特許は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものでない。

4.本件発明12について
本件発明12は、本件発明11を引用し、本件発明11をさらに限定する発明であるから、「3.(1)」?「3.(2)」で検討したとおり、甲2-2に記載された発明、甲2-7に記載された事項及び、甲2-1、甲2-3?甲2-11に記載された周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでなく、その特許は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものでない。

第7.取消理由において採用しなかった特許異議申立理由について
村上申立人及び齋藤申立人は、「第5」で検討した取消理由1)に加え、下記申立理由により、本件特許の請求項1-8、10-12に係る特許は、特許法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである旨、主張しているので、以下検討する。

2)本件訂正前の請求項1-12に係る発明は、村上申立人より証拠として提出され、本件特許の出願前に発行された甲1-1に記載された発明、及び、甲1-2、甲1-3に記載された事項に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。
3)本件訂正前の請求項1-12に係る発明は、齋藤申立人より証拠として提出され、本件特許の出願前に発行された甲2-1に記載された発明、及び、甲2-2?甲2-11に記載された事項に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。
4)本件訂正前の請求項1-12に係る発明は、齋藤申立人より証拠として提出され、本件特許の出願前に発行された甲2-6に記載された発明、及び、甲2-2?甲2-5、甲2-7?甲2-11に記載された事項に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。

1.本件発明1-8、10と、甲1-1?甲1-3及び甲2-1?甲2-11の記載事項との対比、判断
甲1-1、甲2-1及び甲2-6に記載された事項につき、「第6.1.(1)」で行ったのと同様に比較すると、少なくとも、甲1-1、甲2-1及び甲2-6には、「汚染されたスクラバ流体の一部を、ブリード・オフ・ディスク積層体遠心分離機に抜き出すための手段」を有していない点で相違する。
そして、「第6.1.(1)(2)」で述べたように、甲1-1?甲1-3及び甲2-1?甲2-11には、「固形物」を含有する「液体」の「ループ」から、「固形物」を含有する「液体」の一部を「抜き出す」ための、「遠心分離機」を含む「手段」は記載されていない。
よって、本件発明1は、甲1-1に記載された発明、及び、甲1-2、甲1-3に記載された事項に基いて、甲2-1に記載された発明、及び、甲2-2?甲2-11に記載された事項に基いて、若しくは、甲2-6に記載された発明、及び、甲2-2?甲2-5、甲2-7?甲2-11に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものでない。
同様に、本件発明1を引用し、本件発明1をさらに限定する発明である本件発明2-8、10についても、甲1-1に記載された発明、及び、甲1-2、甲1-3に記載された事項に基いて、甲2-1に記載された発明、及び、甲2-2?甲2-11に記載された事項に基いて、若しくは、甲2-6に記載された発明、及び、甲2-2?甲2-5、甲2-7?甲2-11に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものでない。

2.本件発明11、12と、甲1-1?甲1-3及び甲2-1?甲2-11の記載事項との対比、判断
甲1-1、甲2-1及び甲2-6に記載された事項につき、「第6.3.(1)」で行ったのと同様に比較すると、少なくとも、甲1-1、甲2-1及び甲2-6には、「汚染されたスクラバ流体の一部を、ブリード・オフ・ディスク積層体遠心分離機に抜き出」していない点で相違する。
そして、「第6.3.(1)(2)」で述べたように、甲1-1?甲1-3及び甲2-1?甲2-11には、「固形物」を含有する「液体」の「ループ」から、「固形物」を含有する「液体」の一部を「抜き出す」ための、「遠心分離機」を含む「手段」は記載されていない。
よって、本件発明11は、甲1-1に記載された発明、及び、甲1-2、甲1-3に記載された事項に基いて、甲2-1に記載された発明、及び、甲2-2?甲2-11に記載された事項に基いて、若しくは、甲2-6に記載された発明、及び、甲2-2?甲2-5、甲2-7?甲2-11に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものでない。
同様に、本件発明11を引用し、本件発明11をさらに限定する発明である本件発明12についても、甲1-1に記載された発明、及び、甲1-2、甲1-3に記載された事項に基いて、甲2-1に記載された発明、及び、甲2-2?甲2-11に記載された事項に基いて、若しくは、甲2-6に記載された発明、及び、甲2-2?甲2-5、甲2-7?甲2-11に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものでない。

第8.むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び取消理由通知において採用しなかった特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件訂正後の請求項1-8、10-12に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件訂正後の請求項1-8、10-12に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
そして、本件訂正請求により、請求項9に係る特許は存在しなくなったので、当該請求項9に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディーゼル・エンジンのための排ガス浄化装置であって、
排ガスを浄化するためのガス・スクラバ(1)を有し、このガス・スクラバは、汚染物質粒子を有する汚染されたスクラバ流体を作り出し、
このガス・スクラバに接続され、前記汚染されたスクラバ流体を浄化するためのスクラバ流体浄化装置を有し、
前記スクラバ流体浄化装置は、前記汚染されたスクラバ流体から、少なくとも、汚染物質粒子を有する汚染物質相と浄化されたスクラバ流体とを分離するための遠心分離機(9)を有し、
この遠心分離機は、
分離ディスク(13)の積層体を備えた分離スペース(12)の周りを取り囲むロータ(11)と、
前記分離スペースの中に伸びる、汚染されたスクラバ流体のためのセパレータ入口(8)と、
前記分離スペースから伸びる、浄化されたスクラバ流体のための第一のセパレータ出口(14)と、
前記分離スペースから伸びる、汚染物質相のための第二のセパレータ出口(15)と、を有し、
このスクラバ流体浄化装置は、
汚染されたスクラバ流体を前記排ガス・スクラバから前記セパレータ入口へ導くための手段と、
浄化されたスクラバ流体を第一のセパレータ出口から前記排ガス・スクラバへ導くための手段と、を更に有していること、
前記排ガス浄化装置は、バッファ・タンク(6)を更に有し、
前記浄化されたスクラバ流体を前記第一のセパレータ出口から前記排ガス・スクラバへ導くための手段は、このバッファ・タンクを介して、浄化されたスクラバ流体を前記第一のセパレータ出口(14)から前記排ガス・スクラバ(1)へ導くように構成されていること、
前記汚染されたスクラバ流体を排ガス・スクラバから前記セパレータ入口へ導くための手段は、前記バッファ・タンク(6)を介して、汚染されたスクラバ流体を前記排ガス・スクラバ(1)から前記セパレータ入口(8)へ導くように構成されていること、
汚染されたスクラバ流体の一部を、ブリード・オフ・ディスク積層体遠心分離機(20,20’)に抜き出すための手段を更に有していて、この手段は、前記汚染されたスクラバ流体から、少なくとも、汚染物質粒子を有する汚染物質相と浄化されたスクラバ流体とを、分離するように構成されていること、
を特徴とする排ガス浄化装置。
【請求項2】
下記特徴を有する請求項1に記載の排ガス浄化装置、
前記第二のセパレータ出口(15)は、汚染物質相の間欠的な排出のための排出ポートを有している。
【請求項3】
下記特徴を有する請求項2に記載の排ガス浄化装置、
前記スクラバ流体浄化装置は、
前記分離スペース(12)の径方向外側の部分の中の汚染物質相の量に関係する前記遠心分離機のプロセス・パラメータを決定するための手段と、
前記分離スペースの径方向外側の部分の中の汚染物質相の量が予め定められたレベルを超えたことを示す、前記プロセス・パラメータについての予め定められた条件で、前記第二のセパレータ出口(15)の前記排出ポートを開くように構成された手段と、を更に有している。
【請求項4】
下記特徴を有する請求項3に記載の排ガス浄化装置、
前記運転パラメータは、前記第一のセパレータ出口(14)の中の浄化されたスクラバ流体の濁り度であり、
前記運転パラメータの予め定められた条件は、この濁り度が予め定められたレベルを超えたことである。
【請求項5】
下記特徴を有する請求項3に記載の排ガス浄化装置、
前記遠心分離機は、第三のセパレータ出口を更に有していて、この第三のセパレータ出口は、前記分離スペース(12)の径方向外側の部分から伸び、
前記運転パラメータは、この第三のセパレータ出口での圧力であって、前記予め定められた条件は、この圧力が予め定められたレベルを下回ったことである。
【請求項6】
下記特徴を有する請求項1から5の何れか1項に記載の排ガス浄化装置、
前記セパレータ入口(8)は、ハーメチック・タイプである。
【請求項7】
下記特徴を有する請求項1から6の何れか1項に記載の排ガス浄化装置、
前記スクラバ流体浄化装置は、前記セパレータ入口(8)及び前記第一のセパレータ出口(14)と連絡するバイパス(19)を更に有している。
【請求項8】
下記特徴を有する請求項1から7の何れか1項に記載の排ガス浄化装置、
前記スクラバ流体は、水道水、海水脱塩水、淡水などのような水である。
【請求項9】(削除)
【請求項10】
下記特徴を有する請求項1に記載の排ガス浄化装置、
前記ブリード・オフ・ディスク積層体遠心分離機(20,20’)は、更に、前記第二のセパレータ出口(15)から汚染物質相を受け取るように構成されている。
【請求項11】
ディーゼル・エンジンの排ガスに由来する汚染されたスクラバ流体を浄化するための方法であって、
- 排ガス・スクラバ(1)からバッファ・タンク(6)へ、汚染されたスクラバ流体を取り出し、ここで、この汚染されたスクラバ流体は、汚染物質粒子を有し、汚染されたスクラバ流体を前記バッファ・タンクから遠心分離機に供給し、
- ディスク積層体遠心分離機(9)の中で、前記汚染されたスクラバ流体から、汚染物質粒子を有する汚染物質相を分離し、それにより、浄化されたスクラバ流体を取り出し、
- 前記遠心分離機から前記バッファ・タンク(6)に、浄化されたスクラバ流体を供給すること、
- 前記バッファ・タンク(6)から前記排ガス・スクラバに、浄化されたスクラバ流体を供給すること、及び
汚染されたスクラバ流体の一部を、ブリード・オフ・ディスク積層体遠心分離機(20,20’)に抜き出し、抜き出された汚染されたスクラバ流体の一部から、少なくとも、汚染物質粒子を有する汚染物質相と浄化されたスクラバ流体とを、分離すること、
を特徴とする方法。
【請求項12】
下記工程を更に有する、請求項11に記載の方法、
- 前記遠心分離機(9)から、汚染物質粒子を有する前記分離された汚染物質相を排出する。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2017-03-24 
出願番号 特願2012-554342(P2012-554342)
審決分類 P 1 651・ 121- YAA (B01D)
最終処分 維持  
前審関与審査官 小久保 勝伊  
特許庁審判長 新居田 知生
特許庁審判官 後藤 政博
萩原 周治
登録日 2015-12-25 
登録番号 特許第5859463号(P5859463)
権利者 アルファ・ラバル・コーポレイト・エービー
発明の名称 排ガス及びガス・スクラバ流体浄化装置及び方法  
代理人 蔵田 昌俊  
代理人 飯野 茂  
代理人 峰 隆司  
代理人 福原 淑弘  
代理人 河野 直樹  
代理人 砂川 克  
代理人 野河 信久  
代理人 野河 信久  
代理人 堀内 美保子  
代理人 佐藤 立志  
代理人 福原 淑弘  
代理人 峰 隆司  
代理人 井関 守三  
代理人 堀内 美保子  
代理人 飯野 茂  
代理人 蔵田 昌俊  
代理人 井関 守三  
代理人 砂川 克  
代理人 岡田 貴志  
代理人 特許業務法人磯野国際特許商標事務所  
代理人 佐藤 立志  
代理人 岡田 貴志  
代理人 河野 直樹  
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